(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6587972
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】圧力測定装置および当該装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 19/14 20060101AFI20191001BHJP
G01L 19/00 20060101ALI20191001BHJP
G01L 23/18 20060101ALI20191001BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
G01L19/14
G01L19/00 101
G01L23/18
F02D45/00 368S
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-78181(P2016-78181)
(22)【出願日】2016年4月8日
(65)【公開番号】特開2016-200594(P2016-200594A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年12月20日
(31)【優先権主張番号】10 2015 206 470.0
(32)【優先日】2015年4月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランク クロプフ
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4507973(US,A)
【文献】
特開平5−215630(JP,A)
【文献】
特開2016−200593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
F02D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力測定装置(1,100,200,300,400)であって、
中空室(12)および第1シール構造部(14,114)を備えたケーシング(10,110)と、
第2シール構造部(24,124,524)を備えたセンサ装置(20,120,320,520)とを有しており、前記第2シール構造部(24,124,524)が前記第1シール構造部(14,114)と係合し、これによって前記第1および第2シール構造部(14,24,114,124,524)が用いられて前記センサ装置(20,120,220)により、前記中空室(12)の開口部(13)が閉鎖可能であり、
前記センサ装置(20,120,320,520)は、前記中空室(12)に印加されている、測定すべき圧力を測定するように構成されており、
前記圧力測定装置(1,100,200,300,400)は、シール装置(50,150,250,350,450)をさらに有しており、
該シール装置(50,150,250,350,450)は、少なくとも一部分が前記中空室(12)に配置されており、かつ、前記センサ装置(20,120,320,520)に押圧力を加えることにより、前記第2シール構造部(24,124,524)を前記第1シール構造部(14,114)に押圧するように形成されている、
ことを特徴とする圧力測定装置。
【請求項2】
前記センサ装置(120,220,320,520)は、
前記中空室(12)に連通しているダイヤフラム(122)と、
前記中空室(12)に印加されている、測定すべき圧力を前記ダイヤフラム(122)の変形に基づいて測定するように形成されている測定ユニット(60)とを有する、
請求項1に記載の圧力測定装置。
【請求項3】
前記シール装置(150,250,350,450)は、予荷重の下で前記ケーシング(110)に取り付けられ、これによって前記シール装置(150,250,350,450)が、前記予荷重によって、前記センサ装置(20,120,220)に押圧されて、前記第2シール構造部(24)が前記第1シール構造部(14)に押圧されるようにした、
請求項1または2に記載の圧力測定装置。
【請求項4】
前記シール装置(250)は、少なくとも1つの溶接シーム(256)によって前記ケーシング(110)に固定されている、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の圧力測定装置。
【請求項5】
前記第1シール構造部は、第1外側円錐部(114)を有しており、
前記第2シール構造部は、第1内側円錐部(124)を有しており、
前記第1内側円錐部(124)は、前記開口部(13)を閉鎖するように前記第1外側円錐部(114)を形状結合的に押圧可能である、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の圧力測定装置。
【請求項6】
前記シール装置(150,250,350,450)と共働してシール作用を及ぼすように形成されている前記センサ装置(120,320)の第3シール構造部は、外側円錐部(126)および/またはシーリングエッジ(326)を有する、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の圧力測定装置。
【請求項7】
前記センサ装置(120)の前記第3シール構造部は、第2外側円錐部(126)を有しており、
前記シール装置(150,250)は、第2内側円錐部(154)として形成されかつ前記第2外側円錐部(126)に係合可能である第4シール構造部を有する、
請求項6に記載の圧力測定装置。
【請求項8】
圧力測定装置を製造する方法であって、
中空室(12)および第1シール構造部(14,114)を備えたケーシング(10,110)を形成するステップ(S01)と、
第2シール構造部(24,124)を備えたセンサ装置(20,120,220)を形成するステップ(S02)と、
前記中空室の開口部(13)が前記センサ装置(20,120,320,520)によって閉鎖可能に、前記中空室(12)に前記センサ装置(20,120,320,520)を挿入するステップ(S03)と、
前記中空室(12)にシール装置(50,150,250,350,450)の少なくとも一部分を配置して、当該シール装置(50,150,250,350,450)が、前記センサ装置(20,120,220)に押圧力を加えることにより、前記第2シール構造部(24,124,524)が前記第1シール構造部(14,114)を押圧するようにするステップ(S04)とを有する、
ことを特徴とする、圧力測定装置を製造する方法。
【請求項9】
前記シール装置(50,150,250,350,450)を前記中空室(12)に固定するため、および、前記センサ装置(20,120,220)に押圧力を加えるための、前記シール装置(50,150,250,350,450)を前記中空室(12)に配置するステップ(S04)において、前記シール装置(50,150,250,350,450)を前記中空室(12)に圧入して、前記シール装置(50,150,250,350,450)と、少なくとも前記センサ装置(20,120,220)との間に予荷重が発生するようにする、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シール装置(250)を前記中空室(12)に固定するため、および、前記センサ装置(20,120,220)に押圧力を加えるための、前記シール装置(250)を前記中空室(12)に配置するステップ(S04)において、前記シール装置(250)を、あらかじめ設定された予荷重の下で前記中空室(12)に接合し、溶接シーム(256)を用いて前記ケーシング(10,110)に固定する、
請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力測定装置および圧力測定装置を製造する方法に関する。本発明は特に自動密閉構造技術および接合技術を備えた圧力センサ、好適には高圧センサに関する。高圧センサとは特に、2000barを上回る、好適には2500barを上回る、特に好適には3000barを上回る圧力を測定するように設計されているセンサのことであり、この高圧センサは破壊されないことが有利である。ここで1barは10000Pascalである。
【背景技術】
【0002】
ハイドロリック機構およびプロセス技術の多くの分野において、圧力センサ、すなわち圧力測定装置、特に50barを上回る圧力測定装置が果たす役割は大きい。特に自動車製造においてこのような装置は、例えば燃料直接噴射およびビークルダイナミックコントロールにおいて、さまざまなシステムに使用される。一般的には、特に精度が高くかつ頑強であると共に比較的わずかなコストで製造可能ないわゆる圧電抵抗式高圧センサが使用される。
【0003】
圧電抵抗式圧力センサでは、適切に設計されたスチールダイヤフラム上に、膨張を検知しかつホイートストーンブリッジに接続される複数の電気抵抗が設けられている。スチールダイヤフラムに加わる、測定すべき圧力によってこのスチールダイヤフラムが変形する。これにより、スチールダイヤフラムの表面上でこれらの抵抗の材料が伸張し得る。これらの抵抗は、これらの伸張ないしは圧縮を検出できるように配置される。抵抗ブリッジとも称されるホイートストーンブリッジに結果的に発生する平衡のずれは、スチールダイヤフラムがわずかに変位する際に示される圧力に比例し、これは適切な電子回路によって評価することができる。
【0004】
独国特許出願公開第10 2009 025 486号明細書には2つの部分からなる圧力センサが記載されており、その2つの部分は、溶接シームによって互いに固定されている。第1の部分は、雄ねじを備えたケーシングであり、この第1の部分は、圧力を測定すべき液体と接触しない。第2の部分は、測定区間を有しており、ここでは、測定すべき圧力によって生じるこの測定区間の変形が測定され、測定すべき圧力を測定するために評価される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2009 025 486号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に開示されているのは、請求項1の特徴部分に記載された特徴的構成を有する装置と、請求項8に記載された特徴を有する装置の製造方法とである。
【0007】
これによれば、本発明により、圧力測定装置が得られ、この装置は、中空室および第1シール構造部を備えたケーシングと、第2シール構造部を備えたセンサ装置とを有しており、この第2シール構造部が第1シール構造部と係合し、これによって第1および第2シール構造部が用いられてセンサ装置により、中空室の開口部が閉鎖できるようにされており、センサ装置は、中空室に印加されている、測定すべき圧力を測定するように形成されており、上記装置は、シール装置をさらに有しており、このシール装置は、少なくとも一部分が、好適にはすべてが中空室に配置されており、かつ、センサ装置に押圧力を加えることにより、第2シール構造部を第1シール構造部に押圧するように構成されている。
【0008】
測定すべき圧力は特に、中空室に導入可能な液体の圧力であり、この液体には、測定すべき圧力が印加され、これによってこの中空室にも、測定すべき圧力が印加される。この装置のケーシングは、圧力ソケットと称することができる。シール装置とセンサ装置とは接合相手と称することができる。中空室の開口部とは、中空室から装置の外面へ至る液体連通路のことである。液体連通路とは、1つの箇所から別の箇所に到達するために液体が通り得るパスのことである。
【0009】
さらに本発明により、圧力測定装置を製造する方法が得られ、この方法は、中空室および第1シール構造部を備えたケーシングを形成するステップと、第2シール構造部を備えたセンサ装置を形成するステップと、中空室にセンサ装置を挿入して、中空室の開口部がこのセンサ装置によって閉鎖可能であるかまたは閉鎖されるようにするステップと、第2シール構造部を有するシール装置の少なくとも一部分を好適にはすべてを中空室に配置して、シール装置が、センサ装置に押圧力を加えることにより、第2シール構造部が第1シール構造部を押圧するようにするステップとを有する。
【0010】
発明の利点
本発明の根底にある知識は、圧力センサを複数の部分から作製することによって有利にも個々の部分を、別個にかつ必要な製造コストについても最適化して製造することができることである。さらに、圧力を測定すべき部分のあらゆる変形が最小化されるように、これらの個々に製造した部分を互いに接合するないしはこれらが接合されているようにすることが可能である。高圧センサでは、例えば、およそ0.5%FS(英語:"Full Scale"=フルスケール)の新品部品精度が要求されることが多い。このような精度を達成するために有利であるのは、圧力センサの個々の部品を組み立てる際にこの圧力センサ、すなわち圧力測定装置のゼロ信号のシフトが生じないようにすることである。さらに特に有利であるのは、本発明の装置が自動密閉性を有すること、すなわち、中空室に印加される圧力が高ければ高いほど、センサ装置が中空室の開口部を強く密閉することである。
【0011】
さらに本発明による装置は、引張力の負荷が加わる溶接シームを省略でき、これによって装置の頑強さが高まる。さらに本発明による装置の組み立て方式により、装置を製造する際にも、また現場でこの装置を使用するないしは組み込む際にも共に、この装置のセンサ装置を外部の影響からより良好に機械的にデカップリングすることが保証される。
【0012】
さらにここで説明している本発明による装置の利点は、この装置のセンサ装置を製造するのに使用される詳細な方法には依存しない。以下では、センサ装置の薄膜層ベースの測定ユニットを有する一実施形態を説明するが、これは複数の例のうちの一例である。
【0013】
有利な実施形態および発展形態は、従属請求項および図面を参照して行われる以下の説明から得られる。
【0014】
有利な一発展形態によれば、上記のセンサ装置は、中空室に連通しているダイヤフラムを有し、かつ、中空室に印加されている、測定すべき圧力をダイヤフラムの変形に基づいて測定するように構成された測定ユニットをさらに有する。この測定ユニットは特に、ホイートストーンブリッジを有し得る。上記のダイヤフラムは、センサ装置の一体型の基体の薄くした部分として形成することができ、この部分は例えばスチール製とすることが可能である。これにより、測定すべき圧力を特に正確に測定することができる。
【0015】
別の有利な発展形態によれば、シール装置は、予荷重の下でケーシングに取り付けられ、これによってシール装置が、この予荷重によって、センサ装置に押圧されて、第2シール構造部が、第2シール構造部に係合する第1シール構造部に押圧される。これにより、圧力を加えない場合またはわずかな圧力だけを加えた場合であっても、センサ装置がケーシングに気密に接合されて、中空室の第1開口部を介した圧力損失が発生せず、第1開口部がセンサ装置によって気密に閉鎖されることが保証される。言い換えると、これによってこの装置は自動気密性を有するのである。
【0016】
有利な別の発展形態によれば、シール装置は、少なくとも1つの溶接シームによってケーシングに固定される。これにより、シール装置とケーシングとの比較的強固な接合を実現することができる。
【0017】
有利な別の発展形態によれば、第1シール構造部は、第1外側円錐部を有しており、第2シール構造部は、第1内側円錐部を有する。第1内側円錐部は、中空室の開口部を閉鎖するように第1外側円錐部を形状結合的に押圧可能である。言い換えると、第1内側円錐部は、第1外側円錐部に気密に圧入可能である。これにより、ケーシングの中空室から続く開口部は特に気密に閉鎖可能である。外側円錐部とは、特に一要素における円錐状の凹部の側面のことである。内側円錐部とは、特に一要素の円錐状の外面のことである。
【0018】
有利な別の発展形態によれば、センサ装置は、第3シール構造部を有しており、この第3シール構造部は、シール装置と共働してシール作用を及ぼすように形成されている。第3シール構造部は、第2外側円錐部を有するかまたは第2外側円錐部から構成することができる。第3シール構造部は付加的または択一的にシーリングエッジを有するかまたはシーリングエッジから構成することができる。シーリングエッジは、食い付き縁部と称することも可能である。これにより、センサ装置とシール装置との間の特に気密な接合が可能になる。
【0019】
有利な別の発展形態によれば、センサ装置の第3シール構造部は、第2外側円錐部を有しており、シール装置は、第2内側円錐部として形成された第4シール構造部を有しており、この第4シール構造部は、第3シール構造部と係合可能であるかまたは係合されている。特に第2内側円錐部は、例えば予荷重により、第2外側円錐部を押圧可能であり、すなわち第2内側円錐部は、外側円錐部に圧入可能である。これにより、センサ装置とシール装置との間の気密性がさらに高まる。
【0020】
本発明による製造方法の有利な発展形態によれば、シール装置を中空室に固定するため、およびセンサ装置に押圧力を加えるために中空室にシール装置に配置または挿入する際に、シール装置を中空室に圧入して、シール装置と、少なくともセンサ装置またはオプションではケーシングとの間に予荷重が発生するようにする。ここでは、シール装置だけが上記の予荷重によってケーシングの中空室に固定されるようにすることができる。すなわちプレス嵌めが行われるのである。余剰のプレス嵌めは好適には、シール装置とケーシングとの間の接合が、中空室が、測定すべき印加される圧力下で膨張する場合であっても気密になるように選択される。この余剰分は、本発明による装置の使用分野に応じて予想される圧力にカスタマイズ可能である。
【0021】
別の有利な発展形態によれば、シール装置を中空室に固定するため、およびセンサ装置に押圧力を加えるためにシール装置に中空室に配置または挿入する際に、シール装置を、あらかじめ設定した予荷重の下で中空室に接合し、溶接シームを用いてケーシングに固定する。この溶接シームにより、シール装置とケーシングとの間に気密の接合を得ることができる。シール装置を中空室に固定するため、プレス嵌めと、これに続く溶接との組み合わせも考えられる。
【0022】
以下、図面の複数の概略図に示した実施例に基づき、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態による圧力測定装置1の概略ブロック図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による圧力測定装置100の概略断面図である。
【
図3】本発明のさらに別の実施形態による圧力測定装置200の概略断面図である。
【
図4】本発明のさらに別の実施形態による圧力測定装置300の概略断面図である。
【
図5】本発明のさらに別の実施形態による圧力測定装置400の概略断面図である。
【
図6】
図2の装置100のセンサ装置120の詳細を示した概略平面図である。
【
図7a】本発明による装置のセンサ装置120の概略断面図である。
【
図7b】本発明による装置のセンサ装置320の概略断面図である。
【
図7c】本発明による装置のセンサ装置520の概略断面図である。
【
図8】本発明による、圧力測定装置の製造方法を説明する概略フローチャートである。
【0024】
すべての図において、同じないしは機能的に同じ部材および装置(特に断らない限り)には同じ参照符号が付されている。方法のステップの番号付けは、わかりやすくするために使用しているのであり、断らない限り、特に所定の時間的な順序を特に示してはいない。特に複数のステップを同時に実行することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、本発明の一実施形態による圧力測定装置1の概略ブロック図が示されている。
【0026】
装置1は、中空室12を備えたケーシング10を有しており、中空室12は、ここからケーシング10の外部に通じている開口部13を有する。ケーシング10は、第1シール構造部14をさらに有する。装置1には、第2シール構造部24を備えたセンサ装置20がさらに含まれている。ここでは第1および第2シール構造部14,24が用いられてセンサ装置20によって中空室12の開口部13が閉鎖可能または閉鎖されるように、第2シール構造部24は第1シール構造部14と係合している。
【0027】
センサ装置20は、中空室に印加される、測定すべき圧力を測定するように構成されており、ここでこれは、例えば、測定すべき圧力が加えられている液体が中空室に導入されるかまたは導入されていることによって行われる。
【0028】
装置1はシール装置50をさらに有しており、このシール装置は、全体が中空室12に配置されており、かつ、センサ装置20に押圧力を加えることにより、第2シール構造部24が、第2シール構造部24に係合する第1シール構造部14を押圧するように形成されている。
【0029】
センサ装置20と、シール装置50と、ケーシング10とは好適には互いに別々に製造される部材である。すなわち、これらの3つの部材のうちのどの2つの部材も互いに一体で製造されることはないのである。
【0030】
図2には、本発明の別の実施形態による圧力測定装置100の概略ブロック図が示されている。
【0031】
装置100は、装置1の変形形態である。装置100のセンサ装置120は、ダイヤフラム122を有しており、このダイヤフラムは、センサ装置120の一体型の基体123の一部である。基体123は好適にはスチールから形成される。ダイヤフラム122は、例えば基体123を穴開けすることによって形成することができ、これにより、基体123の残りの部分に比べて薄い部分が、ダイヤフラム122として得られる。中空室12とは反対側を向いた、ダイヤフラム122の第1外面には、ダイヤフラム122の変形に基づいて圧力を測定する測定ユニット60が形成されている。装置100の測定ユニット60は、以下で
図6に関連して詳しく説明する。
【0032】
センサ装置120の基体123は、回転対称軸R1に関して回転対称に形成されており、この回転対称軸R1は、ダイヤフラム122に交わり、特にダイヤフラム122に対して垂直に立っている。以下で、軸方向、接線方向または半径方向という場合、これはつねに回転対称軸R1を基準として定められるものとする。
【0033】
基体123は、第2シール構造部として第1内側円錐部124,すなわち、ケーシング110側を向いた、基体123の外面の円錐状部分をさらに有しており、第1内側円錐部124は、ダイヤフラム122から軸方向に遠ざかると半径方向に大きくなる。装置100のケーシング110は、第1シール構造部として第1外側円錐部114を有しており、この円錐部は、中空室12側を向いており、かつ、回転対称軸R1に関して回転対称である。第1内側円錐部124は、基体123のひいてはセンサ装置20の、回転対称軸R1に対して平行でありかつ中空室12とは逆向きの第1方向D1への運動を形状結合的に妨げて、これによって互いに係合する第1および第2シール構造部114,124が、中空室12の第1開口部13を閉鎖できるように、第1外側円錐部114に係合している。特に、中空室12に印加されている圧力により、第2シール構造部124が第1シール構造部114に押圧される場合、第1開口部13はセンサ装置120によって閉鎖される。第1方向D1とは逆向きの第2方向D2に中空室12は、第2開口部115を有しており、この開口部を介して中空室12に、測定すべき圧力を印加することができる。
【0034】
センサ装置120の基体123は、第3シール構造部を有しており、このシール構造部は、回転対称軸R1および第1内側円錐部124と共軸な第2外側円錐部126として形成されており、この第2外側円錐部126は、半径方向に第1内側円錐部124の内側に形成されている。
【0035】
中空室12内にはシール装置150が配置されており、このシール装置は、装置100では、予荷重が加えられて中空室12内に圧入され、これによってシール装置150はケーシング110に対して固定される。シール構造部150は、回転対称軸R1に関して回転対称に形成されており、貫通部155を有する。この貫通部は、測定ユニット60とは反対側を向いたダイヤフラム122の外面において、中空室12の第2開口部115とダイヤフラム122との間の流体接続を形成する。
【0036】
シール装置150は、第4シール構造部として第2内側円錐部154を有しており、この円錐部は、回転対称軸R1に関して回転対称に形成されており、かつ、貫通部155が貫通している。第2内側円錐部154は、これが第2外側円錐部126と形状結合的に係合できるように構成されている。さらにシール装置150が中空室12に圧入される予荷重を、シール装置150が中空室12に挿入され、第2内側円錐部154が第2外側円錐部126に押し付けられて気密の接続が得られるように選択する。これにより、特に第2開口部115と、互いに係合する第1および第2シール構造部114,124との間で液体連通路が閉鎖されるようにする。
【0037】
中空室12とは反対側を向いた外面に、ケーシング110は雄ねじ117を有しており、この雄ねじを用いて、圧力ソケットとしてのケーシング110を、例えば噴射システムに、例えば車両の燃料噴射システムにねじ込むことができる。軸方向においてダイヤフラム122とは反対側のケーシング110の端部、圧力側の端部と称することができる端部に、ケーシングのシーリングエッジ116が形成されており、このシーリングエッジにより、ケーシング110をシステムに取り付ける際に気密の接続を形成することができる。軸方向においてダイヤフラム122側のケーシング110の端部には、カバー118を設けることができ、このカバーを通して、測定ユニット60を接触接続することができる。ケーシング110とは反対側の、カバー118の面にはプリント基板119を配置することができ、このプリント基板119を用いて、測定ユニット60からのデータ信号を評価および/または伝送することができる。
【0038】
図3には、本発明の別の実施形態による、圧力測定装置200の概略断面図が示されている。装置200は、
図2の装置100の変形形態であり、この装置は、装置200のシール構造部250が、プレス嵌めではなく、溶接シーム256によってケーシング110に固定されている点が装置100と異なる。この溶接シーム256は、特に接線方向にシール構造部250を取り囲む溶接シームであり、すなわち回転対称軸R1に関して回転対称である。装置200でもシール構造部250は、予荷重によってセンサ装置120に押圧力を加える。
【0039】
図4には、本発明の別の実施形態にしたがい、圧力測定装置300の概略断面図が示されている。装置300は、
図2の装置100の変形形態であり、この装置は、センサ装置320およびシール構造部350の構成が装置100と異なっている。
【0040】
装置300においてセンサ装置320は、第3シール構造部としての第2外側円錐部126の代わりに、第2開口部115の方向およびシール装置350の方向を向いた、第3シール構造部としてのシーリングエッジ326を有しており、このシーリングエッジは、回転対称軸R1の周りに回転対称に形成されている。装置300のシール装置350は、第4シール構造部は有せず、軸方向にセンサ装置320側を向いた、シール装置350の端部に、平坦な外面351が形成されているため、シーリングエッジ326は、シール装置350の平坦な外面351と共に、シール装置350がセンサ装置320に及ぼす押圧力により、気密の接合を形成する。
【0041】
図5には、本発明の別の実施形態による圧力測定装置400の概略断面図が示されている。装置400は、
図4の装置300の変形実施形態であり、この装置は、シール構造部450の構成が装置300と異なっている。
【0042】
装置400では、センサ装置320側を向いたシール装置450の外面351に、回転対称軸R1に関して回転対称な有底孔457が形成されており、この有底孔にシールリング458がはめ込まれている。センサ装置320のシーリングエッジ326は、予荷重により、すなわち、シール装置450によってセンサ装置320に加えられる押圧力により、シールリング458と気密に係合する。
【0043】
シール装置450には別のシーリングエッジ454がさらに形成されており、このシーリングエッジは、シールリング458と気密に係合する。この別のシーリングエッジ454は好適には、センサ装置320側を向いた、シール装置450の有底孔457の面に形成されており、この面に対して垂直に回転対称軸R1が立っている。
【0044】
シールリング458は、回転対称軸R1に関して回転対称であり、好適には金属製であり、かつ、シーリングエッジ326,454によって変形可能である。
【0045】
図6には、
図2の装置100のセンサ装置120の詳細図が略示されている。
図6の左側には、第2方向D2の方向に見た概略平面図が、また右側にはセンサ装置120の一部分を通る概略断面図が示されている。
【0046】
ケーシング110とは反対側の、センサ装置120の外面61には測定ユニット60が配置されており、この測定ユニットは、
図6では薄膜構造体として形成されている。この薄膜構造体は、例えば酸化ケイ素の絶縁層62と、機能層64を有するかまたはこれらから構成される。機能層64としては、あらゆる圧電抵抗材料、例えばニッケル・クロム合金、白金、ポリシリコン、チタン酸窒化物などを使用可能である。
【0047】
機能層64には、例えば本発明による製造方法の間に、少なくとも4つの抵抗610が、例えば湿式エッチング、乾式エッチング、レーザ切削などによって構造化される。これらの抵抗610は、1つのホイートストーンブリッジに結線され、また、メアンダ状領域612を有するため、ダイヤフラム122の変形、特に伸張によってこれらの抵抗610の電気抵抗値が変化する。このホイートストーンブリッジおよびコンタクト面に至る電気線路は、機能層64の面または付加的なメタライゼーション面に実施することができる。付加的にはこの機能層を、パッシベーション層、例えば窒化ケイ素により、または別の手段、例えばゲル化によって保護することができる。
【0048】
プリント基板119は、評価回路を有することができ、この評価回路を用いてホイートストーンブリッジにおける電圧を評価することができ、この評価に基づき、測定すべき圧力に比例する出力信号を、例えば0から5ボルトの電圧の形で、または例えば4から20ミリアンペアの電流の形で、または、デジタルの形で供給することができる。この出力信号は、プリント基板において取り出すことができ、例えばカバー118の上側部分を構成する適切なプラグを用いて外部に案内することができる。
【0049】
図7a)〜
図7c)には、本発明による装置の考えられ得るさまざまなセンサ装置120,320,520の概略断面図が示されている。
図7a)には
図2および
図3のセンサ装置120の基体123が示されている。
図7b)には
図4および
図5のセンサ装置320の基体323が示されている。
図7c)にはセンサ装置520の基体523の考えられ得る別の形態が示されており、この基体は、第2シール構造部として付加部524を有しており、この付加部は、シール装置により、ケーシングの対応するプレートに押し付けられる。
【0050】
図8には、圧力測定装置を製造する、本発明による方法を説明するためのフローチャートが略示されている。この製造方法は特に、装置1,100,200,300,400のうちの1つを製造するのに適しており、その一部は、
図1〜
図7c)に関連してすでに詳細に説明した。特にこの製造方法は、本発明の装置に関連して説明したすべての変形形態および発展形態にカスタマイズすることができる。
【0051】
ステップS01では、中空室12と第1シール構造部14,114を有するケーシング10,110が形成される。ステップS02では、第2シール構造部24,124,524を有するセンサ装置20,120,320,520が形成される。ステップS03では、対応して形成されたセンサ装置20,120,320,520が中空室12に挿入されて、中空室12の開口部13がセンサ装置20,120,320,520によって閉鎖可能になるかまたは閉鎖される。ステップS04では、第2シール構造部24,124,524を有するシール装置50,150,250,350,450の少なくとも一部分が中空室12に配置されて、シール装置50,150,250,350,450が、センサ装置20,120,320,520に押圧力を加えることにより、第2シール構造部24,214,524が第1シール構造部14,114に押圧される。すなわちその気密性が高まるのである。
【0052】
特にシール装置50,150,250,350,450は、中空室12に圧入され、シール装置50,150,250,350,450と、少なくともセンサ装置20,120,320,520との間に予荷重が生じるようにされる。シール装置50,150,250,350,450は、所定の予荷重の下で中空室12に接合され、溶接シーム256を用いてケーシング10,110に固定することができる。
【0053】
ここまで複数の有利な実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明はこの実施例に限定されることはなく多様に変更可能である。特に本発明は、その核心から逸脱することなく、多種多様に変更または修正可能である。