(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588045
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】バルブユニット
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20191001BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20191001BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20191001BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20191001BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20191001BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20191001BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20191001BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N33/53 M
G01N37/00 102
F16K31/06 385Z
F16K27/00 D
!C12M1/00 A
!C12N15/09 200
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-22162(P2017-22162)
(22)【出願日】2017年2月9日
(65)【公開番号】特開2018-128375(P2018-128375A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2018年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】米田 充孝
(72)【発明者】
【氏名】夏目 清辰
【審査官】
島田 保
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−65584(JP,A)
【文献】
特開2010−68783(JP,A)
【文献】
特開2015−59597(JP,A)
【文献】
特開2014−11974(JP,A)
【文献】
特開2005−237254(JP,A)
【文献】
特開2009−30987(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0345096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
B01J 19/00
F16K 27/00
F16K 31/06
G01N 33/53
C12M 1/00
C12N 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬が分注される窪みを有するとともに内部に前記試薬と混合する試料が充填されているDNAチップを備えたDNA分析装置に用いられ、前記窪みへ空気を出力して、前記窪みに分注されている前記試薬を前記試料へ圧送するバルブユニットであって、
供給ポート、出力ポート、及び排出ポートが形成されたボディを有する電磁弁と、
前記出力ポートと前記窪みとを連通する連通通路と、を備え、
前記電磁弁は、前記供給ポートと前記出力ポートとが連通する第1切換状態と、前記出力ポートと前記排出ポートとが連通する第2切換状態と、に切換可能になっており、
前記電磁弁が前記第1切換状態になると、前記供給ポートに供給された空気が前記出力ポート及び前記連通通路を介して前記窪みへ出力されるとともに、前記電磁弁が前記第2切換状態になると、前記連通通路から前記出力ポート及び前記排出ポートを介して前記空気が大気へ排出されて前記窪みへの前記空気の出力が行われなくなり、
前記連通通路の途中から分岐される分岐通路と、
前記分岐通路に接続されるバッファタンクと、を備えたことを特徴とするバルブユニット。
【請求項2】
前記連通通路の一部を形成し、一端が前記出力ポートに連通するとともに途中で前記分岐通路に連通する第1通路を有する金属製の第1ベースと、
前記連通通路の一部を形成し、一端が前記第1通路に連通するとともに他端が前記窪みに連通する第2通路を有する樹脂製の第2ベースと、
前記第1ベースと共に前記第2ベースを挟む位置に配置される金属板と、を備え、
前記第1ベースには雌ねじ孔が形成され、
前記第2ベースには螺子挿通孔が形成され、
前記金属板には螺子座孔が形成され、
前記第1ベースと前記第2ベースとは、前記螺子座孔及び前記螺子挿通孔を通過するとともに前記雌ねじ孔にねじ込まれた螺子の頭部が前記螺子座孔に当接して、前記螺子の締め付け力によって前記第2ベースが前記第1ベースと前記金属板とによって挟み込まれた状態で互いに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のバルブユニット。
【請求項3】
前記バッファタンクを複数備え、
前記複数のバッファタンクを保持する保持部材を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバルブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNA分析装置に用いられるバルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
DNA分析装置は、DNAチップの内部で試薬と試料とを混合して、試薬と試料との反応を検出したり測定したりする。DNAチップは、複数の窪みを有しており、複数の窪みには、試薬がそれぞれ分注されている。DNAチップの内部には、各窪みにそれぞれ連通する内部通路が形成されている。各内部通路には、試料が充填されている。
【0003】
さらに、DNA分析装置は、バルブユニットを備えている。バルブユニットは、窪みへ空気を出力して、窪みに分注されている試薬を内部通路内に充填されている試料へ圧送する。バルブユニットは、例えば特許文献1に開示されているような電磁弁を有している。電磁弁のボディには、供給ポート、出力ポート、及び排出ポートが形成されている。供給ポートには、空気供給源から圧縮された空気が供給される。出力ポートからは、出力ポートと窪みとを連通する連通通路を介して窪みへ空気が出力される。排出ポートは大気に開放されている。また、電磁弁は、空気の流路を切り換える弁体と、弁体を移動させるためのソレノイド部と、を有している。
【0004】
そして、例えば、ソレノイド部への通電が行われると、弁体が移動して、供給ポートと出力ポートが連通するとともに、出力ポートと排出ポートとが非連通になる。すると、空気供給源から供給ポートに供給された空気が出力ポート及び連通通路を介して窪みへ出力される。また、ソレノイド部への通電が行われなくなると、弁体が、ソレノイド部への通電が行われているときとは逆の方向へ移動して、出力ポートと排出ポートとが連通するとともに、供給ポートと出力ポートとが非連通になる。すると、連通通路から出力ポート及び排出ポートを介して空気が大気へ排出され、窪みへの空気の出力が行われなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−59597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電磁弁の駆動により、供給ポートと出力ポートとが連通すると、出力ポート及び連通通路の圧力が急激に上昇して、出力ポート及び連通通路を介して窪みに空気が勢い良く出力されることになり、窪みに分注されている試薬の飛び散りが発生してしまう虞がある。試薬の飛び散りが発生すると、飛び散った試薬が次回の分析に混入して、分析結果に影響が出るため好ましくない。
【0007】
そこで、例えば、連通通路にオリフィスを設けることにより、窪みへ出力される空気の流量を抑えることが考えられるが、試薬の飛び散りの発生を抑制するためには、オリフィスの孔径を極小にしなければならないため、オリフィスに異物が詰まり易く、窪みへ空気を安定的に出力することができなくなる虞がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、窪みへ空気を安定的に出力しつつも、窪みから試薬が飛び散ってしまうことを抑制することができるバルブユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するバルブユニットは、試薬が分注される窪みを有するとともに内部に前記試薬と混合する試料が充填されているDNAチップを備えたDNA分析装置に用いられ、前記窪みへ空気を出力して、前記窪みに分注されている前記試薬を前記試料へ圧送するバルブユニットであって、供給ポート、出力ポート、及び排出ポートが形成されたボディを有する電磁弁と、前記出力ポートと前記窪みとを連通する連通通路と、を備え、前記電磁弁は、前記供給ポートと前記出力ポートとが連通する第1切換状態と、前記出力ポートと前記排出ポートとが連通する第2切換状態と、に切換可能になっており、前記電磁弁が前記第1切換状態になると、前記供給ポートに供給された空気が前記出力ポート及び前記連通通路を介して前記窪みへ出力されるとともに、前記電磁弁が前記第2切換状態になると、前記連通通路から前記出力ポート及び前記排出ポートを介して前記空気が大気へ排出されて前記窪みへの前記空気の出力が行われなくなり、前記連通通路の途中から分岐される分岐通路と、前記分岐通路に接続されるバッファタンクと、を備えた。
【0010】
上記バルブユニットにおいて、前記連通通路の一部を形成し、一端が前記出力ポートに連通するとともに途中で前記分岐通路に連通する第1通路を有する金属製の第1ベースと、前記連通通路の一部を形成し、一端が前記第1通路に連通するとともに他端が前記窪みに連通する第2通路を有する樹脂製の第2ベースと、前記第1ベースと共に前記第2ベースを挟む位置に配置される金属板と、を備え、前記第1ベースには雌ねじ孔が形成され、前記第2ベースには螺子挿通孔が形成され、前記金属板には螺子座孔が形成され、前記第1ベースと前記第2ベースとは、前記螺子座孔及び前記螺子挿通孔を通過するとともに前記雌ねじ孔にねじ込まれた螺子の頭部が前記螺子座孔に当接して、前記螺子の締め付け力によって前記第2ベースが前記第1ベースと前記金属板とによって挟み込まれた状態で互いに取り付けられているとよい。
【0011】
上記バルブユニットにおいて、前記バッファタンクを複数備え、前記複数のバッファタンクを保持する保持部材を備えるとよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、窪みへ空気を安定的に出力しつつも、窪みから試薬が飛び散ってしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は実施形態におけるDNA分析装置の縦断面図、(b)は窪み周辺を拡大して示す断面図。
【
図3】電磁弁が開弁している状態を示すバルブユニットの部分断面図。
【
図4】電磁弁が閉弁している状態を示すバルブユニットの部分断面図。
【
図5】金属ベースとアクリルベースとの取付状態を示す部分断面図。
【
図6】複数のバッファタンクが保持部材によって保持されている状態を示す斜視図。
【
図7】複数のバッファタンクが保持部材によって保持されている状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、DNA分析装置に用いられるバルブユニットを具体化した一実施形態を
図1〜
図7にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、DNA分析装置10は、窪み11を複数有するDNAチップ12を備えている。
図1(b)に示すように、各窪み11には、試薬13が分注されている。また、DNAチップ12の内部には、各窪み11にそれぞれ連通する内部通路14が形成されている。各内部通路14の途中には、試料が充填されている。DNA分析装置10は、DNAチップ12の内部で試薬13と試料とを混合して、試薬13と試料との反応を検出したり測定したりする。
【0015】
図1(a)に示すように、DNA分析装置10は、バルブユニット16を備えている。バルブユニット16は、窪み11へ空気を出力して、窪み11に分注されている試薬13を内部通路14内に充填されている試料へ圧送する。
【0016】
図2に示すように、バルブユニット16は、電磁弁17と、金属製の第1ベースである金属ベース18と、樹脂製の第2ベースであるアクリルベース19と、を備えている。アクリルベース19は平板形状である。アクリルベース19は、アクリル樹脂により形成された平板状のアクリル板を複数積層した積層構造になっている。アクリルベース19は、金属ベース18が搭載される本体部19aと、本体部19aからDNAチップ12が配置される位置に向けて延びる通路形成部19bと、を有している。
【0017】
本実施形態のバルブユニット16は、金属ベース18を複数有している。金属ベース18は、直方体形状である。また、本実施形態のバルブユニット16は、電磁弁17を複数有している。複数の電磁弁17は、各金属ベース18に対して電磁弁17が各金属ベース18の長手方向に複数並んで配置されている。複数の電磁弁17は、対応する金属ベース18に対して取り付けられている。
【0018】
図3に示すように、電磁弁17は、供給ポート21、出力ポート22、及び排出ポート23が形成された非磁性材製のボディ20を有している。また、電磁弁17は、ボディ20に形成された流路を切り換える弁体24と、弁体24を移動させるソレノイド部25とを備えている。ボディ20内には、弁体24を収容する弁室26が形成されている。弁室26は、供給ポート21、出力ポート22、及び排出ポート23にそれぞれ連通している。
【0019】
ボディ20の弁室26内に臨む壁面であり、供給ポート21の弁室26への開口周囲には、弁体24が着座する供給弁座27が形成されている。さらに、ボディ20の弁室26内に臨む壁面であり、排出ポート23の弁室26への開口周囲には、弁体24が着座する排出弁座28が形成されている。弁体24は供給弁座27及び排出弁座28に対し接離可能になっている。弁室26内には、弁体24を排出弁座28に向けて付勢する弁体ばね29が介在されている。
【0020】
ソレノイド部25は、環状のコイル30と、コイル30の内側に固設される固定鉄心31と、コイル30へ電力が供給されることで固定鉄心31に吸着される可動鉄心32と、可動鉄心32を固定鉄心31に対して離間する方向へ付勢する付勢ばね33とを備えている。
【0021】
コイル30へ電力が供給されると、コイル30が励磁され、固定鉄心31に吸引力が発生し、可動鉄心32が付勢ばね33の付勢力に抗して固定鉄心31に吸着され、弁体24が弁体ばね29の付勢力によって排出弁座28に向けて移動するとともに、排出弁座28に着座する。これにより、電磁弁17は、供給ポート21と出力ポート22とが連通するとともに、出力ポート22と排出ポート23とが非連通になる第1切換状態となる。
【0022】
図4に示すように、コイル30への電力の供給が停止されると、コイル30の励磁作用による固定鉄心31の吸引力が消滅し、可動鉄心32が付勢ばね33の付勢力により固定鉄心31から離間する方向へ移動する。すると、可動鉄心32から弁体24に対して、弁体24を供給弁座27に向けて押圧する押圧力が作用し、弁体24が供給弁座27に着座する。これにより、電磁弁17は、出力ポート22と排出ポート23とが連通するとともに、供給ポート21と出力ポート22とが非連通になる第2切換状態となる。
【0023】
図3及び
図4に示すように、金属ベース18には、供給ポート21に連通する供給通路18a、及び排出ポート23に連通する排出通路18bが形成されている。供給通路18aには、図示しない供給配管を介して図示しない空気供給源が接続されている。排出通路18bは図示しない排出配管を介して大気に開放されている。
【0024】
また、金属ベース18には、出力ポート22に連通する第1通路41が形成されている。第1通路41の一端は出力ポート22に連通するとともに、他端は金属ベース18におけるアクリルベース19側の面181に開口している。金属ベース18とアクリルベース19との間には、シール部材18sが設けられている。シール部材18sは、金属ベース18とアクリルベース19との間の空気の洩れを抑止する。
【0025】
図1に示すように、アクリルベース19には、第1通路41に連通する第2通路42が形成されている。第2通路42の一端は第1通路41に連通するとともに、他端はアクリルベース19の通路形成部19bにおける金属ベース18とは反対側の面191bに開口している。よって、第2通路42は、アクリルベース19の本体部19aにおける第1通路41に対応する位置から通路形成部19bに向けて延びて通路形成部19bの内部を通過して通路形成部19bの面191bに至る。
【0026】
通路形成部19bの面191bには、ガスケット35を介して平板状のスペーサ36が設けられている。スペーサ36における第2通路42の他端の開口位置と対応する部分には、貫通孔36aが形成されている。そして、スペーサ36におけるアクリルベース19とは反対側の面には、ガスケット37を介してDNAチップ12が配置されている。DNAチップ12は、窪み11が貫通孔36aに連通するようにスペーサ36に対して配置される。
【0027】
第2通路42の他端は、貫通孔36aを介して窪み11に連通している。本実施形態において、第1通路41、第2通路42、及び貫通孔36aは、出力ポート22と窪み11とを連通する連通通路40を形成している。よって、第1通路41及び第2通路42は、連通通路40の一部を形成している。
【0028】
図3及び
図4に示すように、金属ベース18には、第1通路41の途中から分岐される第3通路43が形成されている。第3通路43は、第1通路41の途中から金属ベース18におけるアクリルベース19とは反対側の面182に向けて延びている。第3通路43の一端は第1通路41の途中に連通するとともに、他端は金属ベース18の面182に開口している。第3通路43の他端には継手43aを介して接続配管43bが接続されている。また、接続配管43bにはバッファタンク50が接続されている。
【0029】
第3通路43、継手43aの内部、及び接続配管43b内は、連通通路40の途中から分岐される分岐通路44を形成している。よって、第1通路41は途中で分岐通路44に連通している。そして、バッファタンク50は分岐通路44に接続されている。
【0030】
図5に示すように、アクリルベース19の本体部19aにおける金属ベース18とは反対側の面191aには、金属板45が設けられている。金属板45は、金属ベース18と共にアクリルベース19を挟む位置に配置されている。金属ベース18には雌ねじ孔18hが形成されている。アクリルベース19の本体部19aには、螺子挿通孔19hが形成されている。金属板45には螺子座孔45hが形成されている。雌ねじ孔18h、螺子挿通孔19h、及び螺子座孔45hは、アクリルベース19の厚み方向で重なっている。
【0031】
金属ベース18とアクリルベース19とは、螺子座孔45h及び螺子挿通孔19hを通過するとともに雌ねじ孔18hにねじ込まれた螺子46の頭部46aが螺子座孔45hに当接して、螺子46の締め付け力によってアクリルベース19が金属ベース18と金属板45とによって挟み込まれた状態で互いに取り付けられている。
【0032】
図2に示すように、本実施形態のバルブユニット16では、複数の電磁弁17のうちのいくつかの電磁弁17に限定して、それらの電磁弁17に対応するように継手43a及び第3通路43が各金属ベース18に設けられている。したがって、全ての電磁弁17に対応して各金属ベース18に継手43a及び第3通路43が設けられているわけではない。そして、本実施形態では、複数の継手43aのうちの6つの継手43aに接続配管43bがそれぞれ接続されている。各接続配管43bにはバッファタンク50がそれぞれ接続されている。したがって、本実施形態のバルブユニット16は、バッファタンク50を6つ備えている。
【0033】
図6及び
図7に示すように、複数のバッファタンク50はそれぞれ同一形状であるとともに直方体形状である。複数のバッファタンク50は、短手方向に位置する側面同士が接触した状態で一列に並ぶように配置されている。複数のバッファタンク50の並設方向(
図6及び
図7において矢印X1で示す方向)で隣り合うバッファタンク50同士は、ピン51(
図7において破線で示す)によって互いに位置決めされている。
【0034】
さらに、複数のバッファタンク50の並設方向の両端に配置されている両バッファタンク50には、複数のバッファタンク50を並設方向で挟み込むようにして保持する一対の保持部材52が設けられている。保持部材52は、バッファタンク50の長手方向の両端面50aに引っ掛けられる第1引掛部52aと、バッファタンク50の長手方向に延び、且つ複数のバッファタンク50の並設方向に延びる側面50bに引っ掛けられる第2引掛部52bと、を有する。さらに、保持部材52は、複数のバッファタンク50の並設方向でバッファタンク50とは反対側に延びる取付部52cを有する。取付部52cは、例えば取付螺子が通過可能な貫通孔52hが形成されている。保持部材52は、貫通孔52hを通過した取付螺子が図示しない取付面にねじ込まれることにより取り付けられる。これにより、複数のバッファタンク50が一対の保持部材52により保持された状態で取付面に固定される。なお、取付面とは、例えば、アクリルベース19の本体部19aにおける金属ベース18が搭載されている側の面である。
【0035】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図3に示すように、電磁弁17が第1切換状態になると、空気供給源から供給配管を介して供給ポート21に供給された空気が、出力ポート22及び連通通路40を介して窪み11へ出力される。これにより、窪み11に分注されている試薬13が内部通路14内に充填されている試料へ圧送され、試薬13と試料とが混合される。また、第1通路41を流れる空気の一部は、第1通路41の途中で分岐通路44に流れ込み、分岐通路44を介してバッファタンク50に充填される。
【0036】
図4に示すように、電磁弁17が第2切換状態になると、連通通路40から出力ポート22、排出ポート23、排出通路18b、及び排出配管を介して空気が大気へ排出される。これにより、窪み11への空気の出力が行われなくなる。また、バッファタンク50に充填されていた空気も、第1通路41、出力ポート22、排出ポート23、排出通路18b、及び排出配管を介して大気へ排出される。
【0037】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)出力ポート22から連通通路40を介して窪み11へ空気が出力される際に、連通通路40を流れる空気の一部が分岐通路44に流れ込み、分岐通路44を介してバッファタンク50に充填される。このため、バッファタンク50に充填される時間分だけ出力ポート22及び連通通路40の圧力の上昇が遅延され、出力ポート22及び連通通路40の圧力が急激に上昇してしまうことが抑制される。これにより、出力ポート22及び連通通路40を介して窪み11に空気が勢い良く出力されてしまうことが回避され、窪み11に分注されている試薬13の飛び散りが生じ難くなる。また、試薬13の飛び散りの発生を抑制するために、例えば、連通通路40の途中にオリフィスを設ける必要が無いため、オリフィスを設けた場合にオリフィスに異物が詰まって、窪み11へ空気を安定的に出力することができなくなってしまうといったことが無い。よって、窪み11へ空気を安定的に出力しつつも、窪み11から試薬13が飛び散ってしまうことを抑制することができる。
【0038】
(2)金属ベース18とアクリルベース19とは、螺子座孔45h及び螺子挿通孔19hを通過するとともに雌ねじ孔18hにねじ込まれた螺子46の頭部46aが螺子座孔45hに当接して、螺子46の締め付け力によってアクリルベース19が金属ベース18と金属板45とによって挟み込まれた状態で互いに取り付けられている。よって、螺子46は、アクリルベース19に対して、螺子挿通孔19hを通過しているだけであるため、螺子46の締め付け力がアクリルベース19に作用し難く、アクリルベース19に掛かる負荷を低減することができる。
【0039】
(3)複数のバッファタンク50を保持部材52により保持することで、複数のバッファタンク50を一つのユニットとして一体化させることができ、複数のバッファタンク50を、複数のバッファタンク50の配置スペースに配置し易くなる。
【0040】
(4)バッファタンク50の容積を適宜変更することで、出力ポート22及び連通通路40の圧力の上昇時間の微調整を容易に行うことができ、窪み11から試薬13が飛び散ってしまうことをさらに抑制し易くすることができる。
【0041】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態のバルブユニット16では、複数の電磁弁17のうちのいくつかの電磁弁17に限定して、それらの電磁弁17に対応するように継手43a及び第3通路43が各金属ベース18に設けられていたが、例えば、全ての電磁弁17に対応して各金属ベース18に継手43a及び第3通路43が設けられていてもよい。すなわち、本実施形態のバルブユニット16においては、ユーザによって決められた電磁弁17に対応して、継手43a及び第3通路43を金属ベース18に設けることができる。
【0042】
・ 実施形態において、分岐通路44は、第1通路41の途中から分岐されていなくてもよく、例えば、第2通路42の途中から分岐されていてもよい。
・ 実施形態において、複数のバッファタンク50は、保持部材52により保持されていなくてもよく、それぞれが独立して取付面に取り付けられていてもよい。
【0043】
・ 実施形態において、金属板45を設けずに、アクリルベース19に、螺子46の頭部46aが当接する螺子座孔が形成されていてもよい。
・ 実施形態において、電磁弁17の数は特に限定されるものではない。
【0044】
・ 実施形態において、窪み11の数は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
10…DNA分析装置、11…窪み、12…DNAチップ、13…試薬、16…バルブユニット、17…電磁弁、18…第1ベースである金属ベース、18h…雌ねじ孔、19…第2ベースであるアクリルベース、19h…螺子挿通孔、20…ボディ、21…供給ポート、22…出力ポート、23…排出ポート、40…連通通路、41…第1通路、42…第2通路、44…分岐通路、45…金属板、45h…螺子座孔、46…螺子、46a…頭部、50…バッファタンク、52…保持部材。