特許第6588082号(P6588082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588082
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】ソフトマシンの大量生産法
(51)【国際特許分類】
   F03G 7/00 20060101AFI20191001BHJP
   B32B 7/10 20060101ALI20191001BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20191001BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20191001BHJP
   F15B 15/10 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   F03G7/00 B
   B32B7/10
   B32B5/02 Z
   B32B27/40
   F15B15/10 Z
【請求項の数】24
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-504632(P2017-504632)
(86)(22)【出願日】2015年4月13日
(65)【公表番号】特表2017-514067(P2017-514067A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】US2015025588
(87)【国際公開番号】WO2016003519
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2018年4月12日
(31)【優先権主張番号】61/978,573
(32)【優先日】2014年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ミン・ティン
(72)【発明者】
【氏名】アロック・スルヤバムジー・タイ
(72)【発明者】
【氏名】ボバク・モサデグ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・エム・ホワイトサイズ
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−204612(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0081711(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/110086(WO,A1)
【文献】 特表2013−512116(JP,A)
【文献】 特表2010−515924(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/148472(WO,A2)
【文献】 特開2002−248111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 7/00、 7/06
A61B 13/00−17/60
F15B 15/10
B81B 1/00− 7/04
B81C 1/00−99/00
B32B 5/02
B32B 7/10
B32B 27/40
DWPI(Derwent Innovation)
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトロボット装置であって、少なくとも、第一の熱可塑性層第二の熱可塑性層、および第三の熱可塑性層を含み、
前記第一の熱可塑性層が、伸張性のある熱可塑性材料を含み、
前記第二の熱可塑性層が、非伸張性層を含み
前記第三の熱可塑性層が、前記第一及び第二の熱可塑性層の間に配置され、空気圧ネットワークを含み、前記空気圧ネットワークは、圧縮源と流体接続するように構成されており、前記第一及び第二の熱可塑性層が前記第三の熱可塑性層に熱接着されている、ソフトロボット装置。
【請求項2】
前記第一の層が前記伸張性層であり、前記第二の層が前記非伸張性層であり、前記第一の層が前記第二の層より薄い、請求項1に記載のソフトロボット装置。
【請求項3】
前記第二の層がより硬い熱可塑性材料を含む、請求項1に記載のソフトロボット装置。
【請求項4】
前記第二の層が、熱可塑性層に接着されたもしくは埋め込まれた非弾性の生地、ウェブもしくはメッシュを含む、請求項3に記載のソフトロボット装置
【請求項5】
前記第一及び第二の熱可塑性層が1つ以上の仲介層を介して互いに接着されている、請求項1−3のいずれかに記載のソフトロボット装置。
【請求項6】
前記空気圧ネットワークが、熱間エンボス加工された空気圧ネットワークである、請求項1−5のいずれかに記載のソフトロボット装置。
【請求項7】
前記空気圧ネットワークが、チャンネルおよびチャンバを形成するように前記層から切り取り加工された、請求項1−5のいずれかに記載のソフトロボット装置。
【請求項8】
前記非伸張性層が、前記第二の熱可塑性層に接着されたもしくは埋め込まれた非弾性の生地、ウェブもしくはメッシュを含む、請求項1に記載のソフトロボット装置。
【請求項9】
前記非伸張性層が、前記第一の熱可塑性層に接着されたもしくは埋め込まれた弾性の生地、ウェブもしくはメッシュを含む、請求項1もしくは8に記載のソフトロボット装置。
【請求項10】
前記第三の熱可塑性層が2つ以上のサブレイヤを含み、前記2つ以上のサブレイヤが組み合わされて空気圧装置を形成している、請求項1、8、もしくは9に記載のソフトロボット装置。
【請求項11】
前記熱可塑性層の少なくとも1つが熱弾性材料を含む、請求項1−10のいずれかに記載のソフトロボット装置。
【請求項12】
前記熱弾性材料が熱可塑性ポリウレタンを含む、請求項11に記載のソフトロボット装置。
【請求項13】
ソフトロボット装置を作動させる方法であって、請求項1−12のいずれかに記載のソフトロボット装置を供給するステップと、前記伸張性層を膨張させ、ソフトな装置を第一の休止位置から第二の動作位置に動かすために空気圧ネットワークに加圧するステップとを含む、方法。
【請求項14】
ソフトロボット装置を製造する方法であって、第一の熱可塑性層、第二の熱可塑性層、および第三の熱可塑性層を提供するステップと、熱及び/又は圧力を前記第一及び第二の熱可塑性層に加えてそれらの層を熱接着させるステップとを含み、
前記第一の熱可塑性層が伸張性の熱可塑性材料を含み、
前記第二の熱可塑性層が非伸張性層を含み、
前記第三の熱可塑性層が空気圧ネットワークを含み、前記空気圧ネットワークは、圧縮源と流体連動するように構成されている、方法。
【請求項15】
前記第一の層が前記伸張性層であり、前記第二の層が前記非伸張性層であり、前記第一の層が前記第二の層より薄い、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第二の層がより硬い熱可塑性材料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第二の層が、熱可塑性層に接着されたもしくは埋め込まれた非弾性の生地、ウェブもしくはメッシュを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第一及び第二の熱可塑性層が1つ以上の仲介層を介して互いに接着されている、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
空気圧ネットワークを熱可塑性層に熱間エンボス加工するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
空気圧ネットワークのチャンネルおよびチャンバを形成するように前記熱可塑性層から切り取り加工するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記非伸張性層が、第二の熱可塑性層に接着されたもしくは埋め込まれた非弾性の生地、ウェブもしくはメッシュを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記非伸張性層が、第一の熱可塑性層に接着されたもしくは埋め込まれた弾性の生地、ウェブもしくはメッシュを含む、請求項14もしくは21に記載の方法。
【請求項23】
前記熱可塑性層の少なくとも1つが熱弾性材料を含む、請求項14−22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記熱弾性材料が熱可塑性ポリウレタンを含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【連邦政府補助金による研究もしくは開発であることに関する記述】
【0001】
本発明は、米国陸軍研究所からの米国政府補助付与番号W911NF−09−1−0476の援助を受けて為されたものである。米国政府が本発明の権利の一部を所有し得る。
【背景技術】
【0002】
モールド成形されたエラストマ製本体内部のチャンネルを利用したソフトロボット技術が報告されている。ソフトマシン(柔らかい機械)は、タコやイカのように骨を持たない頭足類動物の構造に基づいている。それらは単純なデザインに基づいて柔らかい材料から作られ、埋め込まれたチャンネルを持つソフトな装置に加圧することで頭足動物の動きを真似るようデザインされている。ソフトロボット技術は空気圧で作動しロボットに様々な動作をさせることができる。基本的なソフトロボットアクチュエータは、より硬いもしくは伸張性が低い裏張りに対して膨張する伸張性のチャンネルもしくは気胞を含む。ソフトロボットのデザインと作動についての追加情報は、ここにその内容全体が参照され援用される国際特許出願PCT/US11/61720号を参照のこと。
【0003】
モールド型成形はソフトロボットアクチュエータの製造法の1つであるが、それはバッチ処理である。プラスチック材料の硬化には時間がかかる可能性があり、硬化待ちの間製造工程が停止する。装置のより生産性の高い製造方法が望まれる。
【発明の概要】
【0004】
ソフトロボットの、低費用で高い生産性をもつ製造方法が説明される。ソフトマシンを製造する、熱可塑性樹脂を使った拡張可能な新しい工程が説明される。他の態様ではソフトロボットの連続製法が説明される。熱接着されたソフトロボットが提供される。
【0005】
1つの態様において、ソフトロボット装置が、少なくとも第一の熱可塑性層及び第二の熱可塑性層を含み、少なくとも1つの層が伸張性のある熱可塑性材料を含み、少なくとも1つの層が非伸張性の層であり、少なくとも1つの層が空気圧ネットワークを含む。空気圧ネットワークは圧縮源と流体接続するよう構成され、第一及び第二の熱可塑性層は互いに熱接着されている。
【0006】
1つ以上の実施形態において、前記非伸張性の層が空気圧ネットワークを収納する。
【0007】
1つ以上の実施形態において、第一の層が伸張性の層であり、第二の層が非伸張性の層であり、第一の層のほうが第二の層より薄い。
【0008】
1つ以上の実施形態において、第一の層が伸張性の層であり、第一の層が空気圧ネットワークを収納し、第二の層が非伸張性の層である。選択的に、第二の層はより硬い熱可塑性材料で作られ、例えば、第二の層は、前記熱可塑性層に接着されたもしくは埋め込まれた非弾性の生地、ウェブ、もしくはメッシュを含む。
【0009】
上記いずれの実施形態においても、第一及び第二の熱可塑性層は、互いに直接接着されるか、もしくは第一及び第二の熱可塑性層は、1つ以上の仲介層を介して互いに接着される。
【0010】
上記いずれの実施形態においても、前記空気圧ネットワークは熱間エンボス加工された空気圧ネットワークであるか、もしくは空気圧ネットワークは、チャンネル及びチャンバを形成するために前記層から切り取られる。
【0011】
1つ以上の実施形態において、前記装置はさらに第三の熱可塑性層を含み、ここで第一の熱可塑性層は伸張性の層を含み、第二の熱可塑性層は、非伸張性の層を含み、そして第三の熱可塑性層は、第一及び第二の熱可塑性層の間に配置され空気圧ネットワークを収納するが、選択的に、前記非伸張性の層は、第二の熱可塑性層に接着されるもしくは埋め込まれる非弾性の生地、ウェブ、もしくはメッシュを含み、及び/又は、前記伸張性の層は、第一の熱可塑性層に接着されるもしくは埋め込まれる弾性の生地、ウェブ、もしくはメッシュを含む。
【0012】
1つ以上の実施形態において、第三の熱可塑性層は、組み合わせで空気圧装置を形成する2つ以上のサブレイヤから成る。
【0013】
上記いずれの実施形態においても、熱可塑性層の少なくとも1つは、熱弾性材料を含み、選択的に、前記熱弾性材料は熱可塑性ポリウレタンである。
【0014】
他の態様において、ソフトロボット装置を作動させる方法は、ここに説明されるとおりのソフトロボット装置を提供すること、及び、伸張性の層を膨張させ、ソフトな装置を第一の休止位置から第二の動作位置に動かすために空気圧ネットワークに加圧することを含む。
【0015】
他の態様において、ソフトロボット装置を製造する方法は、第一の熱可塑性層及び第二の熱可塑性層を提供すること、熱及び/又は圧力を第一及び第二の熱可塑性層に加え、層同士を熱接着させることを含み、ここで少なくとも1つの層は伸張性の熱可塑性材料を含み、少なくとも1つの層は非伸張性の層であり、そして少なくとも1つの層は空気圧ネットワークを含み、空気圧ネットワークは圧縮源と流体接続するよう構成される。
【0016】
1つ以上の実施形態において、非伸張性の層が空気圧ネットワークを収納する。
【0017】
1つ以上の実施形態において、第一の層が伸張性の層であり、第二の層が非伸張性の層であり、第一の層のほうが第二の層より薄い。
【0018】
1つ以上の実施形態において、第一の層が伸張性の層であり、第一の層が空気圧ネットワークを収納し、第二の層が非伸張性の層である。選択的に、第二の層はより硬い熱可塑性材料を含む、及び/又は、第二の層は、熱可塑性層に接着されるもしくは埋め込まれる非弾性の生地、ウェブ、もしくはメッシュを含む。
【0019】
1つ以上の実施形態において、第一及び第二の熱可塑性層は、互いに直接接着されるか、もしくは第一及び第二の熱可塑性層は、1つ以上の仲介層を介して互いに接着される。
【0020】
1つ以上の実施形態において、前記方法はさらに、空気圧ネットワークを熱可塑性層に熱間エンボスする工程、もしくは空気圧ネットワークのチャンネル及びチャンバを作るために熱可塑性層を切る工程を含む。
【0021】
1つ以上の実施形態において、前記方法はさらに、第三の熱可塑性層を提供し、第三の熱可塑性層を第一及び第二の熱可塑性層の間に配置することを含み、ここで第一の熱可塑性層は伸張性の層を含み、第二の熱可塑性層は、非伸張性の層を含み、そして第三の熱可塑性層は、空気圧ネットワークを収納する。
【0022】
1つ以上の実施形態において、前記非伸張性の層は、第二の熱可塑性層に接着されたもしくは埋め込まれた非弾性の生地、ウェブ、もしくはメッシュから作られる。
【0023】
1つ以上の実施形態において、伸張性の層は、第一の熱可塑性層に接着されたもしくは埋め込まれた弾性の生地、ウェブ、もしくはメッシュから作られる。
【0024】
1つ以上の実施形態において、熱可塑性層の少なくとも1つは、熱弾性材料を含み、選択的に、前記熱弾性材料は熱可塑性ポリウレタンである。
【0025】
本開示のこれらの、及び他の態様及び実施形態は、以下に図示及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は以下の図面を参照して記述され、図面は、図示の目的だけに提供され、制限的であることは意図されていない。
図1図1は、1つ以上の実施形態に係るソフトロボットマシンを製作するための熱接着工程の略図である。
図2図2は、1つ以上の実施形態に係る熱可塑性シートに空気圧ネットワークを熱間エンボスする工程の略図である。
図3図3は、1つ以上の実施形態に係る空気圧ネットワークに、裏張りを熱接着する工程の略図である。
図4A図4Aは、四つ足のソフトロボットの製造用の熱間エンボス工程の略図である。
図4B図4Bは、四つ足のソフトロボットの例を示す。
図5図5は、1つ以上の実施形態に係る、連続的な熱間エンボス工程を表す略図である。
図6A図6Aは、1つ以上の実施形態に係る、レーザー切断されたシートの熱接着工程を表す略図であり、中央に位置して空気圧チャンネルを作成するのに使われる熱可塑性層の平面図である。
図6B図6Bは、1つ以上の実施形態に係る、レーザー切断されたシートの熱接着工程を表す略図であり、ソフトロボットマシンを構成する組み立て、積層順、及び層の厚みを示す断面図である。
図6C図6Cは、1つ以上の実施形態に係る、レーザー切断されたシートの熱接着工程を表す略図であり、1つ以上の実施形態に係る、ソフトロボットマシンの分解組立図である。
図7A図7Aは、1つ以上の実施形態に係る、レーザー切断されたシートの熱接着工程を表す略図であり、中央に位置して空気圧チャンネルを作成するのに使われる熱可塑性層の平面図である。
図7B図7Bは、1つ以上の実施形態に係る、レーザー切断されたシートの熱接着工程を表す略図であり、ソフトロボットマシンを構成する組み立て、積層順、及び層の厚みを示す断面図である。
図7C図7Cは、1つ以上の実施形態に係る、レーザー切断されたシートの熱接着工程を表す略図であり、1つ以上の実施形態に係る、ソフトロボットマシンの分解組立図である。
図8図8は、1つ以上の実施形態に係る、ソフトロボット装置の作動の略図である。
図9図9は、1つ以上の実施形態に係る、指装置の動作を示す略図である。
図10図10は、1つ以上の実施形態に係る、両端で接続された2つの指装置の動作を示す略図である。
図11A図11Aは、両端で接続された2つの指装置を使って作られた開創器の図示である。
図11B図11Bは、開創器の接続端の写真であり、接続境界が示されている。
図11C図11Cは、1つ以上の実施形態に係る、作動中の開創器の写真である。
【発明の詳細な説明】
【0027】
熱可塑性の材料を使ったソフトマシンの拡張可能な製作方法が説明される。前記マシンは第一の弾性で膨張可能(伸張性のある)層及び、比較的硬く非伸張性で、第一の層に熱接着された第二の層を含む。2つの層は、互いに直接接着されるか、もしくは、1つ以上の仲介層を介して互いに接着される。前記マシンはまた、加圧されマシンを作動させる空気圧ネットワークを含む。前記空気圧ネットワークは伸張性の層もしくは非伸張性の層のどちらかに位置するか、もしくはそれら2層の間に位置する第三の中間層に位置し得る。より硬い非伸張性の層は、選択的に紙やメッシュ生地などの補強層を含む。
【0028】
1つ以上の実施形態において、ソフトロボットマシンは、複数の熱可塑性材料の層を熱接着することで作成され得る。熱可塑性材料はある特定の温度以上でしなやか、もしくはモールド成形可能になり、冷えると固くなる。層の少なくとも1つは熱可塑性エラストマである。熱可塑性エラストマは、熱可塑性及びゴム状弾性の両方の特性を持つ。ソフトロボットマシンは、熱、圧力、もしくはその両方を材料(例えば熱可塑性プラスチック、メッシュ、(硬い/伸張性の)生地、プラスチックシート、メタル、等)の個々のシートに加えることで製造し得る。ホットプレス工程は熱可塑性プラスチックと、例えば、メッシュ、プラスチック片、(伸張性及び非伸張性の)生地等の、非弾性材料との組み合わせを容易にする。
【0029】
例示的な熱接着工程が、図1に示される。熱可塑性材料の2枚のシートが接着されている。これらのシートの少なくとも1枚は熱可塑性エラストマである。2枚目のシートは熱可塑性材料であり、選択的には熱可塑性エラストマであり得る。接着を望む場所に熱が加えられる。熱及び/又は圧力は、高温面と物理的に接触すること、もしくはレーザー加熱、もしくは従来の多くの方法で実現可能である。熱が加えられた場所では熱可塑性材料は柔らかくなり、互いに接着する。試験体は次に冷却され、熱可塑性材料を再固体化させ、確かな接着状態を達成する。1つ以上の実施形態において、2つの層の間の接着力を増すために2つの材料は類似した組成にし得る。一枚岩のような装置もしくエラストマ片が、熱、圧力、もしくは両方を使うことによって製造可能である。
【0030】
ソフトロボット装置では、その弾性性能を作動時の弾性膨張に利用できる。いくつかの実施形態において、伸張性の層は空気圧ネットワークを含み得る。他の実施形態において非伸張性のシートは第一の伸張性の層よりも厚く、空気圧ネットワークを形成する凹み部分を含む。1つ以上の実施形態において、第二のシートは、非伸張性を増強するために補強生地を中に埋め込んで含むことが可能である。
【0031】
ここで使われる「非伸張性」は、相対的な用語であり、ソフトマシンにおいて他の層の特性と比較しての相対的特性を示すのに使われる。すなわち、「非伸張性」の層は「伸張性」の層と比較して、層寸法の膨張もしくは延伸を発生させるのにより大きな圧力が必要となる。
【0032】
ソフトマシンの製造に以前使われていた従来のモールド成形技術よりも、熱可塑性接着を利用するほうがより速くソフトマシンが製造できる。空気圧ネットワークが有る場合もしくは無い場合どちらでも前記伸張性層は、(例えば、レーザー切断、リール式連続切断、エンボス法、三次元プリント、等)多くの製造方法で形成可能である。異なる層(例えば、伸張性層と非伸張性層)の結合は、熱、圧力、もしくはその両方によると短時間で可能となる。熱可塑性プラスチックは短時間で熱融着する。2層の熱可塑性エラストマは、熱により接合可能で、ほぼ連続の1層と見なせるほどになる。硬化可能な液体エラストマ(例えば、室温硬化性ゴム)は、これらのソフトマシンの製造に必要ではない。従って、高温熱接着法は、モールド成形エラストマの場合のように、硬化を待つ時間が必要ではない。
【0033】
1つの実施形態において、熱間エンボス工程が、1つ以上の内部連結した(空気用の)チャンバを持つソフトマシンの形成に採用される。図2は、例示的な熱間エンボス工程の概略図である。空気圧ネットワークのレプリカのネガ型が供給される。前記型で、空気圧チャンネルのネガをシートの上に押印する。図に示すとおり、隆起した形状の高さ(例えば、チャンネルの深さ)、隆起した形状間のスペース(例えば、チャンネル間のスペース)、隆起した形状の幅(例えば、チャンネルの幅)が、完成時の空気圧ネットワークの形状を決めるため選択される。レプリカのネガ型は、例えば、リソグラフィ技術、レーザー技術、もしくは三次元プリントなどの従来の様々な方法で製造可能である。三次元プリントが、安価で、応用性が高く、迅速なネガ型製造方法である。
【0034】
次に熱で柔らかくされた熱可塑性シートが型に押しつけられ、解放される。熱可塑性層もしくはシートは柔らかくするため加熱され、レプリカのネガ型が、前記柔らかくされたシートに押しつけられ空気用の層が刻印される。熱可塑性シートは、エンボスされた空気圧チャンネルの形状を保持する。
【0035】
空気圧ネットワークが形成された後、図3に示されるとおり、チャンネルを形成するために裏張りが貼られる。裏張りは刻印された層に熱接着で貼り付けられ、チャンバが密封される。空気圧チャンネルに使われるシートも、裏張りシートもどちらも熱可塑性材料である。1つ以上の実施形態において、それらは熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)であり得る。
【0036】
ソフトな装置は、作動時に使われる伸張性の差異をもたらすために、層厚みの差異を利用可能である。従って、装置の製造に同じ材料を使用することが可能である。1つの実施形態において薄い裏張りシートが伸張性の層であるように熱弾性材料が選ばれる。この例では、例えば非伸張性であることで硬い層が空気圧ネットワークを含む厚い層である。
【0037】
他の実施形態において、空気圧ネットワークを含むより厚いシートよりも、薄い裏張りが、例えば非伸張性であることでより硬くするためにウレタンが選択される。1つ以上の実施形態において両方の層が、同じ熱可塑性エラストマから作られるが、裏張りシートは非伸張性にするため補強生地を含む。
【0038】
ある例示的な実施形態において、薄い熱可塑性層が0.2mmの厚みを持ち、空気圧ネットワークを収納する厚い層が2.0mmの厚みを持つ。しかし、熱間エンボス工程は幅広い異なるポリマー材料及び厚みに対応できる。熱可塑性層の長さ及び幅には理論限界は存在しない。ある実施形態においては横方向寸法(長さ及び幅)は、10マイクロメートルから1メートルの広い範囲が可能で、厚み寸法は10マイクロメートルから10センチメートルの範囲が可能である。
【0039】
エンボス工程は、単純な「腕」のような形状に限られるわけではなく、より複雑な形状を持つソフトロボットの製造に使われ得る。図4Aは、例えば図4Bで示されるもののような四つ足のソフトロボットの製造に使われ得るエンボス工程を示す。
【0040】
これらのソフトマシン装置は連続的製造工程で作られ得る。図5は、リール式製造法を示す。このホットプレスの取り組み方によるとソフトマシン(装置全体もしくは、後に組み合わされる個々の作動部品、どちらでも)をリール式の連続製造することが可能である。この工程は、ソフトリソグラフィ技術の第一ステップと類似している。空気ネットワークのレプリカのネガ型が車輪状などの裏張りに固定され、前記車輪が、空気圧ネットワークを刻印するために加熱されたポリマーシートに押し付けられるもしくは転がり付けられる。刻印後のポリマーシートはその後の工程でソフトロボットを形成するために裏張り層に熱接着されることが可能である。
【0041】
これらのソフトマシンの1つの構成要素は熱可塑性プラスチックである。1つの例においては熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)が使用可能である。TPUは、例えば60℃以上もしくは170℃以上の臨界温度以上に加熱されると液体状になり、冷却されると固体となりその形状を保つ。冷却されたプラスチックには、硬いものから弾性をもつものまである。TPUは、(1)ジイソシアン酸と短鎖ジオール(いわゆる連鎖延長剤)との、及び(2)ジイソシアン酸と長鎖ジオールとの反応で生成される。3つの反応合成物の構造又は/及び分子量を変えることで、事実上無限大の組み合わせが製造可能で、莫大な数のTPUの変種が可能である。従って、例えば空気圧ネットワーク及びより硬いベースに適度な弾性を持たせるなど、望ましい最終的材料特性を持つTPUを選択することが可能である。BASFから入手可能なエラステンTPU各種は、適当なTPUである。
【0042】
空気圧ネットワークは、平面的なモールド/インプリントにより5分以内で熱可塑性プラスチックにエンボス加工できる。従来のソフトマシンは、液状エラストマがモールドの中で硬化される必要があり、ゴムが硬化する間モールドは占有される。より速いエンボス工程では、モールドは短時間でエンボスするだけに使われるため、製造時間が短縮される。
【0043】
別の態様においては層のエンボス加工の必要がない。例として、チャンネル及びチャンバを作るために、例えばレーザー切断により切り込まれた熱可塑性層を利用して柔らかい本体の機械が準備できる。ソフトリソグラフィの方法では実現不可能であり得る繊細で複雑な空気圧ネットワーク/デザインを作成するのにレーザー切断や金型切断は、利用可能である。
【0044】
レーザー切断機を使えば空気圧チャンネルを厚いシートに切り込むことが可能である。複数の層を組み合わせて、簡単な二次元デザインに基づいて空気圧ネットワークに使われる流路を作ることができる。複数の熱可塑性層を使い、異なった材料で装置を作成できる。図6Aに示されるように、1つ目の層(左)は空気チャンバを形成する一連の長方形を含む事ができ、2つ目の層(右)は空気チャンバ群を横に空気的につなぐチャンネルを形成する事ができる。これらの層は同じ材料及び同じ厚みで作られることが可能で、一旦熱接着されれば2層は一体として扱える。空気圧システムは上及び下で、例えば薄いTPUの層などの薄い熱可塑性プラスチックの層で熱融着される。その上面と底面に剛性の違うシートを取り付けると、装置をある方向に意図的に曲げるのに必要な材料特性差を生む事ができる。例えば、スパンデックス(伸張性)が上面に、そしてナイロン(非伸張性)が底面に使用可能である。図6Bの断面図に様々な層及び例示的な層厚みが示される。図6Cは、同じ層構成の分解組立図である。従って、剛性の違いを生み出すために厚みの違うTPUの層に頼るのではなく、同じ厚みのものを伸張性及び非伸張性の層として役立たせることができる。これらの層の熱可塑性により、全ての層を互いに熱接着することが可能である。
【0045】
図7は、熱接着された複数の層を使うソフトアクチュエータの別の実施形態である。この実施形態において、空気圧ネットワークはより厚いTPU層に切り込まれ、図7A及び7Bに示されるように、各チャンネルのアスペクト比は2倍である。2つの薄いTPU層が空気圧チャンネルの両脇を固め、流体の入れ物としてのチャンネルを密封する。スパンデックス(伸張性)及びナイロン(非伸張性)の外部層がTPUの薄い層に接着される。図7Cは、同じ層構成の分解組立図である。
【0046】
図8は、1つ以上の実施形態に係る、ソフトマシン「指」の作動を示す。この実施形態において、薄いシートが伸張性の層の役目をし、空気圧ネットワークを含む厚い層が、より硬い非伸張性の層の役目をする。休止状態(左に示される)では、ソフトロボットマシンは平面状である。一旦加圧されると前記薄い層が膨張して外向きに曲がり、それによりマシンは伸張性の層から離れる方向に曲がる(右に示される)。
【0047】
図9及び図10に示されるとおり、指(もしくは2本の指を向かい合う方向に作動するように使ってできるグリッパ)としての機能を持つ装置、及び開創器など、独特の機能性を持つ独特の装置が作成可能である。1つのユニットとしての「指」装置は、より複雑な動きや機能を生み出すための構成要素となり得る。例として2本の「指」が短いエッジ同士で連結されると、開いたり閉じたりできる装置となり得る。図11は、この原理を使って作られた開創器を示す。図11Aは、両端で接続された2つの指装置を使って作られた開創器の図示である。図11Aに示されるように2つの指アクチュエータ1100は、片方の端1120で永久的に接着され、もう一方の端1130は、やり直し可能なように、例えば連結したり分離したりできるように、接着される。開創器を開いたり閉じたりできることで、手術の場での利用が容易となる。図11Bは、開創器の端でのやり直し可能な接着の写真であり、接続境界線1140が示されている。図11Cは、1つ以上の実施形態に係る、作動時の開創器の写真である。
【0048】
従来のソフトマシンはまた、修理が難しい可能性がある。一旦伸張性及び非伸張性の層がはがれると、それらを再び接着させることは困難である。層はがれもしくは裂けなどの小さな不良は熱を使って修理可能である。熱可塑性プラスチックに基づく装置は、再び装置をホットプレスすることで修理可能である。装置を修理するための加熱は包括的(すなわち装置全体)もしくは局部的(すなわち小さい部分)に適用可能である。
【0049】
ソフトマシンの作動は、機械的異方性が必要であり得る。熱可塑性プラスチックを使うことで、化学的に類似しているが(例えばポリウレタン、シリコーン等)、機械的特性の異なる2つの材料の組み合わせで一体化した連続体が製造可能である。
【0050】
個々のアクチュエータもしくは機械もしくは装置(例えば構成要素)は、まず製造され、後により容易に組み合わされ、より複雑で高機能なソフトマシンを形成可能である。これらの高機能なソフトマシンは、個々の構成要素を組み合わせてアクチュエータに熱を加えて接着させることで作成可能である。
【0051】
ここに別途、定義、使用、もしくは描写されない限り、ここで使われる用語(技術及び科学用語も含む)は、関連分野の背景で認められている意味と整合する意味として解釈されるべきであり、理想化された、もしくはここに明確に定義されない限り過剰に形式的な意味での解釈はされないものとする。例えば、もしある特定の合成成分が参照された場合、その成分は完璧にではなく実質的に現実的に純粋であることを指し、不純物の可能性はある。例えば微量の不純物(例えば1もしくは2%以下など)の可能性は、説明の範囲内であると理解されるべきである。同様に、もしある特定の形状が参照された場合、その形状は、例えば製造公差により、理想的な形状からの不完全な変形も含むことが意図されている。ここに述べられる百分率もしくは濃度は、重量もしくは体積に基づき得る。
【0052】
第一、第二、第三などの用語がここで様々な要素の説明に使われ得るが、これらの要素はこれらの用語で限定されるものではない。これらの用語は単に、1つの要素を他から区別するためだけに使われる。従って、第一の要素は、次に記述された時には、例示する実施形態の教義から離脱することなく、第二の要素と呼ばれることもあり得る。空間での相対的位置の用語、例えば「上」「下」「左」「右」「前」「後」等、は図で示される中においてある1つの要素の他の要素との関係の記述を容易にするためだけに使われ得る。空間的位置の用語の使用法及び図示された構造は、装置が、図に示された向きに加えそれと異なる向きで使用もしくは運用され得ることも理解の上で解釈されるべきである。例として、もしもここに記述の装置の上下が反転された場合、他の要素や機構からみて「下」と記述されていた要素が、「上」になることとなる。従って例の用語「上」は「上」及び「下」の向きを含み得るといえる。装置は、さらに他の向き(例えば90度回転されるもしくは他の方向)に置かれるかもしれず、相対的位置の用語はそれを考慮の上解釈されるべきである。さらに加えて、本開示においては他に特記されない限り、他の要素「の上にのった」、「と接続した」、「と連結した」、「と接触した」等、と記述された場合、他の要素に直接的に「のった」「接続した」「連結した」「接触した」場合と、他の要素が介入した間接的の場合と、があり得る。
【0053】
ここに使用される用語は、ある特定の実施形態を記述する目的で使われたものであり、例示の実施形態に限定されることは意図されていない。単数扱いで記述された用語は、文脈から明らかに単数のみとわかる場合を除き、複数の場合も含む。
【0054】
上に記述された実施形態は、実例を示す目的であり、制限的ではないと理解されたい。当業者は、通常の実験を行うだけで、ここに記述された特定の実施形態と同等なものを数多く実現もしくは確認可能であろう。本発明の範囲は添え付けの請求項及びその等価物にわたり、前述の説明に含まれる例に限られるものではない。
【0055】
1つ以上の出版物、特許出願、特許もしくは他の参考文献がここに組み込まれていることを理解されたい。編入された材料のいずれかが本発明の開示内容と不一致である場合は、本発明の開示が優先するものとする。
【関連出願の相互参照】
【0056】
本申請はここにその全体が参照されて援用される2014年4月11日付米国特許出願番号61/978、573号の権利を主張する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C