特許第6588086号(P6588086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許6588086-浮遊秤量パンを有する秤 図000002
  • 特許6588086-浮遊秤量パンを有する秤 図000003
  • 特許6588086-浮遊秤量パンを有する秤 図000004
  • 特許6588086-浮遊秤量パンを有する秤 図000005
  • 特許6588086-浮遊秤量パンを有する秤 図000006
  • 特許6588086-浮遊秤量パンを有する秤 図000007
  • 特許6588086-浮遊秤量パンを有する秤 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588086
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】浮遊秤量パンを有する秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 7/04 20060101AFI20191001BHJP
   G01G 21/20 20060101ALI20191001BHJP
   G01G 21/24 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   G01G7/04
   G01G21/20
   G01G21/24
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-512749(P2017-512749)
(86)(22)【出願日】2015年8月19日
(65)【公表番号】特表2017-530348(P2017-530348A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】EP2015068993
(87)【国際公開番号】WO2016034411
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2018年6月1日
(31)【優先権主張番号】14183599.1
(32)【優先日】2014年9月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599082218
【氏名又は名称】メトラー−トレド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】レバー,ダニエル
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−127858(JP,A)
【文献】 特開2003−004514(JP,A)
【文献】 特開平04−299221(JP,A)
【文献】 特開平02−028521(JP,A)
【文献】 米国特許第05167290(US,A)
【文献】 特表2012−525593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 7/04
G01G 21/00
G01G 21/24
G01G 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
秤量パン(3)と、少なくとも6つの位置センサと、秤量機構(4)と、を有する秤(1)の作動方法であって、
前記秤量機構は、少なくとも6つの電磁機構(5)を備え、
前記電磁機構(5)の各々は、少なくとも1つの永久磁石(6)と、少なくとも1つのフォースコイル(7)と、を備え、
秤量プロセス中において、前記電磁機構(5)は、前記秤量パンに対する前記電磁機構(5)のそれぞれの位置および向きに応じて前記フォースコイルを通る電流を送ることによって、前記秤量パン(3)に作用する補償力(FC1−FC6)を6自由度で発生させ、
前記方法は、
前記少なくとも6つの位置センサ(8)によって、三次元の全てで前記秤量パン(3)の位置を測定する工程と、
前記フォースコイル(7)の各々を流れるそれぞれの電流を同時に調節し、それらのそれぞれのモーメントの合計によって、前記補償力(FC1−FC6)が前記6自由度の並進移動および回転移動に対する所定の浮遊一定位置に前記秤量パンを保持する工程と、
それぞれの前記フォースコイル(7)を流れる電流の量から秤量結果を計算する工程と
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記秤量プロセス中において、前記電磁機構(5)は、前記秤量パン(3)に接続された連結要素(9)を介して前記秤量パン(3)に作用する補償力(FC1−FC6)を発生させ、
前記補償力は、
前記6自由度に対応しており、
前記連結要素(9)に対する前記電磁機構(5)のそれぞれの位置および向きに応じて前記フォースコイル(7)を通って送られる電流によって発生される
方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記秤量パン(3)の位置は、前記フォースコイル(7)の位置を測定することによって測定され、
前記位置センサ(8)に対する前記秤量パン(3)の位置は、前記測定と、前記フォースコイル(7)の位置に対する前記秤量パン(3)の既知の位置と、から導き出される
方法。
【請求項4】
求項2に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記秤量パン(3)の位置は、前記連結要素(9)の位置を測定することによって測定され、
前記位置センサ(8)に対する前記秤量パン(3)の位置は、前記測定と、前記連結要素(9)に対する前記秤量パン(3)の既知の位置と、から導き出される
方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記フォースコイル(7)を流れる電流のそれぞれの量は、前記秤量パン(3)の傾きを計算するために使用される
方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記フォースコイル(7)を流れる電流のそれぞれの量は、前記秤量パン(3)上にある秤量対象物の重心の位置を計算するために使用される
方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記秤量パン(3)の3つの所定点の位置がZ軸に沿って測定され、
前記秤量パン(3)の2つの所定点の位置がY軸に沿って測定され、
前記秤量パン(3)の1つの所定点の位置がX軸に沿って測定される
方法。
【請求項8】
秤(1)であって、
秤量パン(3)と、
少なくとも6つの位置センサ(8)と
を備え、
前記少なくとも6つの位置センサは、三次元の全てで前記秤量パン(3)の位置を測定するために設けられ、
前記秤(1)は、さらに、少なくとも6つの電磁機構(5)を有する秤量機構(4)を備え、
前記電磁機構(5)の各々は、少なくとも1つの永久磁石(6)と、少なくとも1つのフォースコイル(7)と、を備え、
前記秤量機構(4)は、前記秤量パン(3)に対するそれらのそれぞれの向きおよび位置に応じて前記フォースコイル(7)を通る電流を送ることによって、前記秤量パン(3)に作用する補償力(FC1−FC6)を6自由度で発生させるように構成され、
前記秤(1)は、さらに、前記フォースコイル(7)を流れる個々の電流を調節するように構成された調節ユニットを備え、
前記補償力(FC1−FC6)は、それらのそれぞれのモーメントの合計によって、6つの並進および回転自由度に対する所定の一定浮遊位置に前記秤量パン(3)を保持し、
前記秤(1)は、さらに、それぞれの前記フォースコイル(7)を流れる電流の量に基づいて秤量結果を計算するために設けられる計算ユニットを備える
秤(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の秤(1)であって、
前記少なくとも6つの電磁機構(5)は、前記秤量パン(3)の重量が前記少なくとも6つの電磁機構(5)にわたって実質的に均一に分配されるように互いに対して配置された
秤(1)。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の秤(1)であって、
前記秤量パン(3)は、前記秤量機構(4)の上方、下方または側方に配置された
秤(1)。
【請求項11】
請求項8ないし請求項10のいずれか一項に記載の秤(1)であって、
前記電磁機構(5)は、互いに平行かつ近傍に位置する2つのラインに沿ってそれぞれ配置された3つの電磁機構(5)からなる実質的に2つのグループに配置された
秤(1)。
【請求項12】
請求項8ないし請求項10のいずれか一項に記載の秤(1)であって、
少なくとも3つの前記電磁機構(5)が、前記秤量パン(3)の第1の側に配置され、
少なくとも3つの前記電磁機構(5)が、前記第1の側と反対の前記秤量パン(3)の第2の側に配置された
秤(1)。
【請求項13】
請求項8ないし請求項10のいずれか一項に記載の秤(1)であって、
前記電磁機構(5)は、該電磁機構(5)が六脚のように前記秤量パン(3)に作用するように配置された
秤(1)。
【請求項14】
請求項8ないし請求項13のいずれか一項に記載の秤(1)であって、
前記電磁機構(5)は、前記秤量パン(3)に接続された連結要素(9)を介して前記秤量パン(3)に作用する補償力(FC1−FC6)を発生させ、
前記連結要素(9)は、単一品材料から形成されるとともに複数のアームを有するキャリアを備え、
前記キャリアは、前記電磁機構(5)と前記秤量パン(3)とを互いに接続する
秤(1)。
【請求項15】
請求項8ないし請求項14のいずれか一項に記載の秤(1)であって、
前記電磁機構は、実質的に同一であり、実質的に一平面に配置される
秤(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、浮遊秤量パンを有する秤に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]高精度に質量を秤量するために、従来技術の解決策は、磁力補償の原理に基づく秤を使用することである。この種の秤では、秤量パンに作用する力は、ガイド部材によって伝達され、撓みピボットを介してレバーシステムに至る。レバーシステムの最後のレバーは、永久磁石内に入れられたフォースコイルによって、一定の位置に保持される。フォースコイルを流れる電流の必要量が測定され、秤量結果を決定するために使用される。
【0003】
[0003]従来の磁力補償秤は、秤量パンに作用する全てのモーメントを分離する。その結果、重力方向の力のみが測定される。この概念は、追加的な力が重力方向に発生し、秤量信号を歪め得るという欠点を有している。したがって、秤は、秤量セルの作用線、すなわち、軸線(これに沿って、測定される力が適用され、これに沿って、秤量セルがその最高感度を有する)が可能な限り重力方向に近づくように整合されるように設定されなければならない。これは、秤の水平位置を調節することによって達成される。
【0004】
[0004]さらに、秤量対象物の重心が秤量セルの作用線上に位置していない場合には、さらなる誤差が生じ得る。関連する偏心した荷重力が、秤量セルに伝達されず、測定のために考慮され得ない。偏心した荷重力は、推定され、追加的なセンサを使用して補正され得るだけである。
【0005】
[0005]様々な支点および撓み継ぎ手において力が生じ、それによって、秤の精度が損なわれることがさらなる欠点である。さらに、レバーおよび撓みピボットは、熱に対して特に敏感であり、したがって、秤量結果についての誤差の原因になることが多い。
【0006】
[0006]従来技術のうち、電磁力補償システムを有する秤が米国特許第5,485,784号に開示されている。この文献では、機械的に接触することなく、重量力が秤量パンから磁力補償システムに直接的に伝達される。したがって、従来の磁力補償秤の支点および伝達レバーで生じるような力のロスがない。重力は2つのフォースコイルを有するシステムによって補償される。さらに、パッシブ磁石が、鉛直方向に配置され、重力方向において力補償システムを安定化させるように機能する。したがって、パッシブ磁石によって、秤の正しい水平位置が確保される。さらに、パッシブ磁石は、偏心して配置された荷重によって生じるモーメントを補償する。この設定では、補償は、磁力、および、パッシブ磁石の互いに対する配置のみに依存する。したがって、偏心した荷重力が秤量結果に影響を与える程度は、評価され得ない。その結果、このシステムは、秤量結果の最高分解能の秤のためにはあまりにも不正確である。
【0007】
[0007]JP123858Aに開示されているのは、少なくとも6つの磁石ユニットと、接触のない浮遊位置に載置室を保持するガイド要素と、を有する秤量デバイスである。磁石ユニットの各々は、2つのコイルと、2つの電磁石と、永久磁石と、を備えている。各磁石ユニットと反対側に配置されているのは、強磁性材料のガイド要素である。このガイド要素は、載置室に固定されている。磁石ユニットは、載置室の並進運動または回転運動を防止するようにガイド要素に対して配置されている。各ガイド要素と対応する磁石ユニットとの距離は、磁石ユニット当たり1つの位置センサで測定される。
【0008】
[0008]秤量対象物が載置室に配置された後、磁石ユニットとガイド要素との距離を安定化させるために電流が調節される。位置が安定すると、電流はゼロに向けて徐々に調節される。磁石ユニットの引力は適宜変化し、結果として、磁石ユニットとガイド要素との距離、ひいては、載置室の位置が変化される。電流がゼロに達すると、磁石ユニットとそれぞれのガイド要素との距離が測定される。磁石ユニットとそれぞれのガイド要素との距離、および、磁石の透磁率から秤量対象物の重量が計算される。ホール素子を使用して、電流の調節が最適化され、ひいては、磁石ユニットとガイド要素との距離の調節が最適化される。
【0009】
[0009]JP123858Aに開示された秤量デバイスは、コイルの電流がゼロに設定されるという利点を有している。したがって、コイルに追加的な熱が発生しない。したがって、磁石の特性への影響が限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[0010]しかしながら、距離に基づく重量の決定は、大きな欠点を有している。磁界と距離との関数的な関係の非線形性が、一方では距離の調節をより困難にし、他方では重量の決定の不正確さにつながる。
【0011】
[0011]全ての側において磁石によって支持される閉鎖された載置室を有していることがこの秤のさらなる欠点である。閉鎖された載置室は、秤量パンよりも重い。そのいわゆる死荷重に起因して、載置室は、秤量対象物の最大容積を制限する。さらに、磁石は載置室に取り付けられる。その結果、秤量対象物に加えて支持されるべき重量は、いっそう重くなり、秤の精度が低下する。
【0012】
[0012]この載置室は、さらに、この種の秤は非常にかさばり、荷重の容積と独立しており、したがって、空気浮力によって大きな影響を受けるという欠点を有している。さらに、大きな容積に起因して、この解決策は、化学天秤には適していない。
【0013】
[0013]したがって、本発明の目的は、内部反力が存在せず、秤量対象物の容積と独立して重量を可能な限り正確に測定することができ、秤量デバイスが可能な限り振動に対して影響を受けない方法を実施するための秤量方法および秤量デバイスを提供することである。秤量方法は、秤量パンに対する秤量対象物の重心の位置および秤量デバイスのレベル外条件を測定し、補償することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[0014]この課題は、秤量パンと、少なくとも6つの位置センサと、秤量機構と、を有する秤を動作させる方法によって解決される。秤量機構は、少なくとも6つの電磁機構を備えており、電磁機構の各々は、永久磁石とフォースコイルとを備えている。秤量工程中において、電磁機構は、秤量パンに対するそれらのそれぞれの位置および向きに応じてフォースコイルを通る電流を送ることによって、6自由度で秤量パンに作用する補償力を発生させる。特許請求の範囲に記載された方法は、少なくとも6つの位置センサによって三次元すべてで秤量パンの位置を測定する工程と、フォースコイルを流れるそれぞれの電流を同時に調節し、その結果、それらのそれぞれのモーメントの合計によって、補償力が6自由度での並進移動および回転移動に対して所定の浮遊・一定位置に秤量パンを保持する工程と、それぞれのフォースコイルを流れる電流の量から秤量結果を計算する工程と、からなる。
【0015】
[0015]位置センサおよび秤量機構は、秤ハウジング内に配置される。位置センサは、フォースコイルを流れる電流を制御するように機能する。フォースコイルを流れるコイルは、秤量パンの位置が所定値のところで一定に保持されるように調節される。必要な電流の量は、それによって引き起こされる力に比例する。位置センサは、好ましくは、光電子センサを備えている。フォースコイルを流れる電流は、フォースコイルひいては秤量パンが秤量プロセス中にそれぞれの永久磁石に対して実質的に移動しないように制御される。
【0016】
[0016]重力は電磁機構のみによって補償されるので、また、少なくとも6つの電磁機構は6自由度で動作するので、秤量パンに作用する力は、完全に制御され、測定され、補償され得る。
【0017】
[0017]この文脈における「6自由度」との専門用語は、直交座標系に対する並進運動の3自由度と、直交座標系の軸を中心とする回転の3自由度と、を意味する。
【0018】
[0018]フォースコイルは、好ましくは、それぞれの永久磁石の直線的な範囲内に配置される。これは、永久磁石の磁界がフォースコイルに最大限影響を与える領域である。したがって、フォースコイルによって引き起こされる力(補償力)が、最大限の精度で決定され、制御され得る。電磁機構は、現在利用可能な種類の永久磁石の特性である非常に小さなヒステリシスの利点から利益を得る。
【0019】
[0019]少なくとも6つのフォースコイルによって引き起こされるローレンツ力は、それらを流れるそれぞれの電流によって調節される。補償力の絶対値、および、互いに対する個々のフォースコイルの位置およびベクトルの向きに基づいて、秤の重心に作用するモーメントの合計が計算され得る。これから、結果として生じる力が三次元で計算され得る。
【0020】
[0020]本方法の有利な具現化では、秤量パンは、好ましくは単一品材料から形成される単一の連結要素に連結される。連結要素および秤量パンは、互いに対して強固に接続される。秤量プロセス中において、電磁機構は、連結要素に対するそれらのそれぞれの位置および向きに応じてフォースコイルを通る電流を送ることによって、連結要素によって秤量パンに6自由度で作用する補償力を発生させる。本方法のこの実施では、電磁機構は、連結要素に直接的に補償力を働かせる。
【0021】
[0021]本実施形態は、秤量パンが連結要素の形態に応じて秤ハウジングの上方、側方または下方に配置され得るという利点を有している。
【0022】
[0022]連結要素によって秤量パンが6つの電磁機構に連結される方法の他の有利な実施形態では、連結要素の位置は、位置センサによって測定される。連結要素に対する秤量パンの相対位置は、一定であり、既知であるので、秤量パンの位置は、測定から導き出すことができる。この方法は、秤量パンが秤ハウジングの外部、例えば、秤の側部に配置される場合に有利である。
【0023】
[0023]補償力によってフォースコイルが浮遊位置に保持される他の実施形態では、秤量パンの位置は、少なくとも6つのフォースコイルの位置によって測定され得る。フォースコイルの位置、および、フォースコイルの位置に対する秤量パンの位置に基づいて、秤量パンの位置が決定され得る。
【0024】
[0024]本方法の有利な実施形態では、フォースコイルを流れる電流についての情報が、荷重の偏心を計算する目的で処理される。秤量対象物が秤量機構に対して偏心して配置される場合、このことは、秤量対象物によって電磁機構に作用する力の分配に影響を与える。したがって、秤量パンに作用する力の重心、および、鉛直に対する個々の補償力の作用線が計算され得る。
【0025】
[0025]本方法のさらなる実施形態では、フォースコイルを流れる電流についての情報が、秤量パンの傾斜位置を計算する目的で処理される。個々の補償力は、秤の傾きによって直接的に影響を受ける。結果として生じるモーメントの合計に基づいて、秤の傾きが計算され得る。したがって、浮遊秤量パンの水平位置は、動作前に粗く調節される必要があるだけであり、秤量結果は秤の傾きによって影響を受けない。
【0026】
[0026]好ましくは、少なくとも6つの位置センサの各々は、秤量パンの他の所定点の位置を測定する。有利な実施形態では、3つの位置センサが、Z軸に沿って重力方向に向けられ、2つは、Z軸に直交するY軸に沿って向けられ、1つは、両方に直交するX軸に沿って向けられる。
【0027】
[0027]上述の方法を実施する能力を有する秤が特許請求の範囲に記載されている。この秤は、秤量パンと、少なくとも6つの位置センサと、を備えている。少なくとも6つの位置センサは、秤量パンの位置を三次元の全てで測定するために設けられる。秤は、さらに、少なくとも6つの電磁機構を有する秤量機構を備えている。電磁機構の各々は、フォースコイルと永久磁石とを備えている。秤量機構は、秤量パンに対するそれらのそれぞれの向きおよび位置に応じてフォースコイルを通る電流を送ることによって、6自由度で秤量パンに作用する補償力(FC1−FC6)を発生させるように構成される。さらに、秤は、6つのフォースコイルに個々に電流を供給するための電力供給装置を備えている。フォースコイルは、調節ユニットによって個々に調節される。調節ユニットは、位置センサの信号を入力として受け取り、秤量パンが補償力(FC1−FC6)によって6つの並進および回転自由度に対する所定の一定の浮遊位置に保持されるまで、フォースコイルを流れる個々の電流を適宜調節する。秤は、さらに、それぞれのコイルを流れる電流の量に基づいて秤量結果を計算するために設けられた計算ユニットを備えている。
【0028】
[0028]少なくとも6つの電磁機構と秤量パンとの間に支点が存在しないことは、本願において特許請求の範囲に記載された浮遊秤量パンを有する秤の特に有利な態様である。したがって、電磁機構によって発生された力と、秤量パンに作用する力と、の間の力損失量は、実用的にゼロに設定される。このため、浮遊秤量パンを有する秤は、高分解能の重力測定に適している。
【0029】
[0029]ハンガー、ガイド部材、撓みピボットおよびレバーがないと、秤の容積は根本的に低減される。その結果は、高さが低い比較的小さい秤であり、したがって、実験室のカウンターにより多くの空間が残される。
【0030】
[0030]秤量パンは、秤量機構の直上に配置されてもよい。この場合、フォースコイルを秤量パンに直接的に固定することが有利である。従来のフォースコイルは、永久磁石よりも軽いので、支持されるべき重量は逆の構成の場合よりも小さい。
【0031】
[0031]本実施形態では、秤量パンに作用する力の均一な分配によって、単一のフォースコイルを有する従来の直接測定システムで可能なよりも広い測定範囲がもたらされる。
【0032】
[0032]また、電磁機構は、連結要素によって秤量パンに連結されてもよい。これによって、秤量パンが秤量機構の上方に必ずしも配置されない秤を構築することができる。
【0033】
[0033]例えば、秤量パンは、秤の側部に配置され得る。このことは、天秤が実験室で使用される場合に特に有利である。それは、秤量パンを作業面の近傍に配置できるからである。これによって、空気の流れに対する感度が低減し、秤量パン上への秤量対象物の配置が単純化される。
【0034】
[0034]他の実施形態では、電磁機構のうちの3つは、互いに近くに延在する2つのラインの各々に実質的に沿って配置される。このことは、一次元の秤のサイズを著しく低減できるという利点を有している。この長く狭い構成は、多数の秤量セルのアレイで使用され得る。
【0035】
[0035]さらなる実施形態による秤は、電磁機構の2つのグループの間に配置される秤量パンを有している。この秤をコンベアベルトとともに使用することは、特に有利である。電磁機構は秤量パンの直下に位置しないので、それらは、振動の影響を受けにくい強固な本体上に設置することができる。さらに、電磁機構を2つのグループに配置することによって、電磁機構全体にわたって重量をより良好に分配することができる。互いに対向して配置される電磁機構の2つのグループによって、コンベアベルトをそれらの間に位置決めすることができる。
【0036】
[0036]また、秤量パンは、吊り下げ位置で秤量機構に連結されてもよい。
【0037】
[0037]有利な実施形態では、電磁機構は、電磁機構が重量に対して実質的に六脚のように作用するように配置される。六脚は、線形移動の3つの方向および回転の3つの方向における6つの軸線に対してプラットフォームを支持する6つの駆動ユニットを有している。
【0038】
[0038]この実施形態は、6つの電磁機構が荷重の等しい部分を支持するという利点を有している。したがって、フォースコイルは、より大きな能力を有している。この構成は、フィルターまたは他の嵩張る秤量対象物を秤量することについて特に有利である。
【0039】
[0039]さらなる実施形態では、電磁機構は、第1、第2および第3の電磁機構が重力と実質的に反対の力を働かせ、ひいては、秤量パンを浮遊位置に保持するように構成される。第4、第5および第6の電磁機構は、秤量パンが水平面内で安定化されるように構成される。
【0040】
[0040]天秤の他の実施形態では、電磁機構は、それらが秤量パンの鉛直連結要素を介して秤量パンに作用し、第1の電磁機構が連結要素に対して重力方向と実質的に反対に力を作用させ、第2および第3の電磁機構が第1の水平面において連結要素の第1の点を安定化させ、第4および第5の電磁機構が第2の水平面において連結要素の第2の点に作用し、第6の電磁機構がその水平面における秤量パンの回転を防止するように構成されるように構成される。
【0041】
[0041]浮遊秤量パンを有する天秤の様々な実施形態について、以下により詳細に説明し、それらは、図面に概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】電磁機構の概略図を示している。
図2】電磁機構の配置の真ん中に位置する浮遊秤量パンを有する秤の第1の実施形態を示している。
図3】電磁機構の配置の側方に位置する浮遊秤量パンを有する秤の第2の実施形態を示している。
図4】電磁機構の配置の側方に位置する浮遊秤量パンを有する秤の第3の実施形態を示している。
図5】2つの部分で構成された秤ハウジングと、2つの部分間に配置された浮遊秤量パンと、を有する秤の第4の実施形態を示している。
図6】精密秤のための構成を示している。
図7】浮遊秤量パンを有する秤の幅の狭い構成を図面に示される位置センサとともに示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[0042]図1は、電磁機構5を示している。電磁機構5は、フォースコイル7と永久磁石6とを備えている。フォースコイル7は、連結要素9に機械的に接続される。永久磁石6は、秤ハウジング2によって支持される。それは、円筒状胴部11と柱部品10とに接続される。柱部品10および円筒状胴部11は、磁界を伝導するように機能する。永久磁石6に対するフォースコイル7の配置は、フォースコイル7が力ベクトルFの方向に移動可能となるようになっている。電磁機構5は、鉛直方向に向けられていない。したがって、力ベクトルFは、重力方向に対して鉛直成分と水平成分とを有している。
【0044】
[0043]フォースコイル7は、可変電力供給装置に接続される。ローレンツ力の原理にしたがって、永久磁石6の磁界内に入れられたフォースコイル7を流れる電流が力を発生させる。電流の極性および振幅は、秤ハウジング2の上方の所定の一定位置において物理的に接触することなく、フォースコイル7が連結要素9を浮遊状態で保持するように調節される。
【0045】
[0044]連結要素9は、フォースコイル7または永久磁石8に固定されてもよい。連結要素9は、好ましくは、フォースコイル7によって支持される。したがって、フォースコイル7と連結要素9との間には、固定手段がほとんど必要なくなり、それによって、秤量パン3の死荷重が低減される。
【0046】
[0045]代替的に、永久磁石6を連結要素9に接続するとともにフォースコイル7を秤ハウジング2に接続することも可能である。しかしながら、最小限の量の電流を使用するためには、2つの要素、すなわち、フォースコイル7および永久磁石6のうちの軽い方が可動部品すなわち連結要素9に取り付けられれば、電磁機構5にとって有利である。
【0047】
[0046]図2は、6つの電磁機構5と浮遊秤量パン3とを有する秤1を示している。電磁機構5は、秤ハウジング2のベースプレートに取り付けられている。それらは、電磁機構によって発生される力FC1−FC6によって、連結要素9と秤ハウジング2との接続を確立する。秤量パン3は、連結要素9に機械的に接続されている。連結要素9はいくつかのアームを有しており、秤量パン3は当該アームを介して電磁機構に連結されている。複数のアームを有する連結要素9の構成は、軽量であるという利点を有している。秤量パン3は、電磁機構5の実質的に中央に配置されている。これによって、6つの電磁機構5上の秤量対象物の荷重力の略均一な分配がもたらされる。これによって、秤量能力が増大する。秤1は、6つよりも多い電磁機構5を有していてもよい。
【0048】
[0047]6つの電磁機構5は、鉛直方向に向けられていない。それらは、前部で6つの並進自由度および回転自由度に対して力を作用させるようにそれぞれ向けられている。電磁機構5の各々は、電流によって調節され、その結果、電磁機構5は、秤量パン3、連結要素9および秤量対象物の重量力を補償し、所定の一定の浮遊位置に連結要素9を保持する。フォースコイル7によって発生される力Fは、ローレンツ力の理論によって、必要となる電流から計算され得る。電磁機構5の互いに対する位置および向きに基づいて、三次元で秤量パン3に作用するモーメントが計算される。全てのモーメントの合計から、結果として生じる補償力を計算できる。秤量対象物の質量は、結果として生じる補償力の鉛直成分から決定され得る。
【0049】
[0048]少なくとも6つの位置センサ8(図2〜7では示されていない)は、秤ハウジング2に直接的または間接的に取り付けられてもよい。それらは、秤量パン3の6つの所定点によって、または、連結要素9の6つの所定点によって、秤量パン3の位置を直接的に測定することができる。代替形態として、電磁機構5の浮遊部品(フォースコイルまたは永久磁石)の位置が測定されてもよい。位置センサ8は、それらが秤量パン3の三次元での位置を記録できるように構成される。
【0050】
[0049]図3は、6つの電磁機構5と浮遊秤量パン3とを有するさらなる実施形態における秤1を示している。電磁機構5は、秤ハウジング2に取り付けられている。それらは、連結要素9と秤ハウジング2との接続を確立する。連結要素9は、いくつかのアームを有している。相対的に長いアームは秤量パン3に接続されており、その結果、秤量パン3は、秤量機構4の上方には位置決めされていないが、秤量機構4から横方向にオフセットされている。
【0051】
[0050]6つの電磁機構5のうちの4つは、他の2つよりも秤量パン3の近くに配置されている。この構成によって、6つの電磁機構5にわたって、秤量対象物、秤量パン3および連結要素9の重量力の実質的に均一な分配が可能になる。
【0052】
[0051]6つの電磁機構5は、鉛直方向に向けられていない。それらのそれぞれの向きは、それらが6つの並進および回転自由度に対して力を作用させるようになっている。
【0053】
[0052]図4〜7は、電磁機構5のシステムの様々な構成を示している。各構成は、秤の特定の用途に特に適している。
【0054】
[0053]平面視で、図4は、秤ハウジング2の側方に横方向にオフセットされた浮遊秤量パン3を有する秤1を概略的に示している。秤量パン3は、連結要素9によって電磁機構5に連結されている。4つの電磁機構5は、他の2つよりも秤量パン3の近くに配置されている。すなわち、これらの電磁機構5は、力が6つのフォースコイル7の間で最適に分配されるように配置されている。
【0055】
[0054]この構成は、秤量パン3が作業面の非常に近くに配置されるというという利点を有している。これによって、秤量パン3上への秤量対象物の載置、および、秤量パン3の清掃が容易になる。さらに、この構成の秤量パン3は、空気流にさらされにくい。
【0056】
[0055]図5は、6つの電磁機構5と第1の秤ハウジング17と第2の秤ハウジング18とを有する秤1を示している。3つの電磁機構5は、第1の秤ハウジング17のベースプレート上で、秤量パン3の一方側に配置されており、一方、他の3つの電磁機構5は、第2の秤ハウジング18のベースプレート上で、秤量パン3の他方側に配置されている。複数のアームを有する連結要素9は、最小限の重量のみを与える状態で、6つの電磁機構5の全てを互いに接続している。
【0057】
[0056]この構成は、秤1がコンベアベルト10とともに使用される場合に特に有利である。秤1は、コンベアベルト10が秤ハウジング17,18の上方に位置しないように配置される。したがって、秤ハウジング17,18は、コンベアベルトの振動によって影響を受けないように、硬いベース上に設置され得る。
【0058】
[0057]重量力は、秤量パンのまわりで6つの電磁機構5に均一に分配される。したがって、それらの使用可能な能力が最大化される。
【0059】
[0058]図6は、秤量機構4の上方に浮遊状態で配置された秤量パン3を有する秤1を示している。電磁機構5は、実質的に一定の間隔で円に配置されている。秤量パン3は、電磁機構5の円の上方において中央配置されている。電磁機構5は、それらが秤量パン3に接触する実質的に六脚のように作用するように配置されている。
【0060】
[0059]この実施形態では、フォースコイル7または永久磁石6は、秤量パン3に直接的に固定されてもよい。連結要素9は必要ではない。これによって、秤1の精度および秤量能力が向上し、秤1の構成が簡素化される。
【0061】
[0060]図7は、図示される位置センサを有する秤の一実施形態を示している。秤量パン3は、連結要素9のすぐ左および右の2つのラインに沿って配置された電磁機構および連結要素9の横配置で、秤ハウジング2に対する側方位置に浮遊状態で保持される。その結果、重量は、6つの電磁機構5にわたって可能な限り均一に分配される。
【0062】
[0061]この構成は、幅が狭い秤ハウジング2によって他と区別される。狭いハウジングを有するこの種の秤は、多くの秤の横並びの配置に非常に適している。横並び配置は、ピペットのキャリブレーションのために使用され、また、複数の重量が同時に測定されるその他の領域で使用される。
【0063】
[0062]6つの位置センサは、連結要素9の位置を三次元で測定するように構成されている。秤パン3の位置は、秤量パン3の位置と連結要素9の位置との関係から導き出すことができる。
【0064】
[0063]位置センサ8は、秤ハウジング2のベースプレート上に取り付けられている。位置センサ8の各々は、連結要素9までのそれぞれの距離を測定する。位置センサ8a,8c,8dは、それらの各々がZ方向における連結要素9までのそれぞれ距離を測定するように向けられている。位置センサ8b,8eは、Y方向における連結要素9までのそれぞれ距離を測定するように配置されている。位置センサ8fは、X方向における連結要素9に対する位置を測定する。
【0065】
[0064]6つよりも多い位置センサ8を有する構成も可能である。ただし、最小数は6つであり、それらは、連結要素に対して、または、秤量パン3に対して、連結要素9の位置、ひいては、秤量パン3の位置も三次元で測定され得るように配置されるべきである。
【0066】
[0065]位置センサは、好ましくは、光電子部品を備えている。ただし、原則として、任意の種類の位置センサを使用することができる。
【0067】
[0066]上述の説明および図面は、電磁機構同士が実質的に同一であり、平面に配置されており、大部分が平坦な構成の連結要素を有する例を示している。本発明の範囲には、電磁機構同士が必ずしも同一ではなく、および/または、異なる平面に配置された構成、または、連結要素が湾曲した構成を有していてもよい構成も含まれることが自明であると考えられる。
[形態1]
秤量パン(3)と、少なくとも6つの位置センサと、秤量機構(4)と、を有する秤(
1)の作動方法であって、
前記秤量機構は、少なくとも6つの電磁機構(5)を備え、
前記電磁機構(5)の各々は、少なくとも1つの永久磁石(6)と、少なくとも1つの
フォースコイル(7)と、を備え、
秤量プロセス中において、前記電磁機構(5)は、前記秤量パンに対する前記電磁機構
(5)のそれぞれの位置および向きに応じて前記フォースコイルを通る電流を送ることに
よって、前記秤量パン(3)に作用する補償力(FC1−FC6)を6自由度で発生させ

前記方法は、
前記少なくとも6つの位置センサ(8)によって、三次元の全てで前記秤量パン(3)
の位置を測定する工程と、
前記フォースコイル(7)の各々を流れるそれぞれの電流を同時に調節し、それらのそ
れぞれのモーメントの合計によって、前記補償力(FC1−FC6)が前記6自由度の並
進移動および回転移動に対する所定の浮遊一定位置に前記秤量パンを保持する工程と、
それぞれの前記フォースコイル(7)を流れる電流の量から秤量結果を計算する工程と
を備える方法。
[形態2]
形態1に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記秤量プロセス中において、前記電磁機構(5)は、前記秤量パン(3)に接続され
た連結要素(9)を介して前記秤量パン(3)に作用する補償力(FC1−FC6)を発
生させ、
前記補償力は、
前記6自由度に対応しており、
前記連結要素(9)に対する前記電磁機構(5)のそれぞれの位置および向きに応じ
て前記フォースコイル(7)を通って送られる電流によって発生される
方法。
[形態3]
形態1または形態2に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記秤量パン(3)の位置は、前記フォースコイル(7)の位置を測定することによっ
て測定され、
前記位置センサ(8)に対する前記秤量パン(3)の位置は、前記測定と、前記フォー
スコイル(7)の位置に対する前記秤量パン(3)の既知の位置と、から導き出される
方法。
[形態4]
形態1または形態2に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記秤量パン(3)の位置は、前記連結要素(9)の位置を測定することによって測定
され、
前記位置センサ(8)に対する前記秤量パン(3)の位置は、前記測定と、前記連結要
素(9)に対する前記秤量パン(3)の既知の位置と、から導き出される
方法。
[形態5]
形態1ないし形態4のいずれか一項に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記フォースコイル(7)を流れる電流のそれぞれの量は、前記秤量パン(3)の傾き
を計算するために使用される
方法。
[形態6]
形態1ないし形態5のいずれか一項に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記フォースコイル(7)を流れる電流のそれぞれの量は、前記秤量パン(3)上にあ
る秤量対象物の重心の位置を計算するために使用される
方法。
[形態7]
形態1ないし形態6のいずれか一項に記載の秤(1)の作動方法であって、
前記秤量パン(3)の3つの所定点の位置がZ軸に沿って測定され、
前記秤量パン(3)の2つの所定点の位置がY軸に沿って測定され、
前記秤量パン(3)の1つの所定点の位置がX軸に沿って測定される
方法。
[形態8]
秤(1)であって、
秤量パン(3)と、
少なくとも6つの位置センサ(8)と
を備え、
前記少なくとも6つの位置センサは、三次元の全てで前記秤量パン(3)の位置を測定
するために設けられ、
前記秤(1)は、さらに、少なくとも6つの電磁機構(5)を有する秤量機構(4)を
備え、
前記電磁機構(5)の各々は、少なくとも1つの永久磁石(6)と、少なくとも1つの
フォースコイル(7)と、を備え、
前記秤量機構(4)は、前記秤量パン(3)に対するそれらのそれぞれの向きおよび位
置に応じて前記フォースコイル(7)を通る電流を送ることによって、前記秤量パン(3
)に作用する補償力(FC1−FC6)を6自由度で発生させるように構成され、
前記秤(1)は、さらに、前記フォースコイル(7)を流れる個々の電流を調節するよ
うに構成された調節ユニットを備え、
前記補償力(FC1−FC6)は、それらのそれぞれのモーメントの合計によって、6
つの並進および回転自由度に対する所定の一定浮遊位置に前記秤量パン(3)を保持し、
前記秤(1)は、さらに、それぞれの前記フォースコイル(7)を流れる電流の量に基
づいて秤量結果を計算するために設けられる計算ユニットを備える
秤(1)。
[形態9]
形態8に記載の秤(1)であって、
前記少なくとも6つの電磁機構(5)は、前記秤量パン(3)の重量が前記少なくとも
6つの電磁機構(5)にわたって実質的に均一に分配されるように互いに対して配置され

秤(1)。
[形態10]
形態8または形態9に記載の秤(1)であって、
前記秤量パン(3)は、前記秤量機構(4)の上方、下方または側方に配置された
秤(1)。
[形態11]
形態8ないし形態10のいずれか一項に記載の秤(1)であって、
前記電磁機構(5)は、特に互いに平行かつ近傍に位置する2つのラインに沿ってそれ
ぞれ配置された3つからなる実質的に2つのグループに配置された
秤(1)。
[形態12]
形態8ないし形態10のいずれか一項に記載の秤(1)であって、
少なくとも3つの前記電磁機構(5)が、前記秤量パン(3)の第1の側に配置され、
少なくとも3つの前記電磁機構(5)が、前記第1の側と反対の前記秤量パン(3)の
第2の側に配置された
秤(1)。
[形態13]
形態8ないし形態10のいずれか一項に記載の秤(1)であって、
前記電磁機構(5)は、該電磁機構(5)が実質的に六脚のように前記秤量パン(3)
に作用するように配置された
秤(1)。
[形態14]
形態8ないし形態13のいずれか一項に記載の秤(1)であって、
前記連結要素(9)は、単一品材料から形成されるとともに複数のアームを有するキャ
リアを備え、
前記キャリアは、前記電磁機構(5)と前記秤量パン(3)とを互いに接続する
秤(1)。
[形態15]
形態8ないし形態14のいずれか一項に記載の秤(1)であって、
前記電磁機構は、実質的に同一であり、実質的に一平面に配置される
秤(1)。
【符号の説明】
【0068】
1…秤
2…秤ハウジング
3…秤量パン
4…秤量機構
5…電磁機構
6…永久磁石
7…フォースコイル
8…位置センサ
8a…第1の位置センサ
8b…第2の位置センサ
8c…第3の位置センサ
8d…第4の位置センサ
8e…第5の位置センサ
8f…第6の位置センサ
9…連結要素
10…コンベアベルト
11…柱部品
12…円筒状胴部
B…磁界
C1−FC6…補償力
…重力
17…第1の秤ハウジング
18…第2の秤ハウジング
Px…X軸に対する位置
Py…Y軸に対する位置
Pz…Z軸に対する位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7