(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588088
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】管に連結するための継手
(51)【国際特許分類】
F16L 21/08 20060101AFI20191001BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20191001BHJP
F16L 21/02 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
F16L21/08 D
F16J15/06 L
F16L21/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-513337(P2017-513337)
(86)(22)【出願日】2015年5月21日
(65)【公表番号】特表2017-522518(P2017-522518A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015061204
(87)【国際公開番号】WO2015177259
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2018年5月17日
(31)【優先権主張番号】2012869
(32)【優先日】2014年5月22日
(33)【優先権主張国】NL
(31)【優先権主張番号】2013241
(32)【優先日】2014年7月23日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】515157471
【氏名又は名称】ゲオルク フィッシャー ヴァガ ナームローゼ フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Georg Fischer Waga N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェルーン ヴェイレンス
(72)【発明者】
【氏名】ミヘル パウル ヒュルセボス
(72)【発明者】
【氏名】ルール アレサンダー マリア ヴェリンク
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−055169(JP,U)
【文献】
特開平10−002470(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02090815(EP,A2)
【文献】
特開昭57−149691(JP,A)
【文献】
特開平07−071668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/08
F16J 15/06
F16L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの管(2)に連結するための継手(1)であって、該継手(1)は、
前記管(2)を収容するスリーブ(10)と、
前記スリーブ(10)と前記管(2)との間にシールを形成する少なくとも1つのシール部材(4)と、
前記スリーブ(10)と前記管(2)とに圧力を加える圧力部材(5)と、
前記圧力部材(5)上に設けられ、前記管(2)に作用するように配置されたグリッパ歯列(6)と、
前記圧力部材(5)に圧力を加える作動部材(3,7)と、を有しており、前記作動部材(3,7)は、圧力リング(3)を有していて、前記圧力リング(3)は、前記圧力リング(3)と前記圧力部材(5)とのそれぞれ隣接する傾斜した接触面(11’,11’’)を介して前記圧力部材(5)に作用し、
前記少なくとも1つのシール部材(4)は、前記圧力部材(5)と前記管(2)との間に位置している、継手(1)において、
前記少なくとも1つのシール部材(4)は、前記圧力部材(5)と前記スリーブ(10)との間に配置されることなく、前記スリーブ(10)に接続されている、又は前記スリーブ(10)に対して押し付けられており、
前記少なくとも1つのシール部材(4)の互いに反対側の端部がそれぞれ、前記圧力部材(5)と前記スリーブ(10)とに接続されていることを特徴とする、継手(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの管(2)に連結するための継手(1)であって、該継手(1)は、
前記管(2)を収容するスリーブ(10)と、
前記スリーブ(10)と前記管(2)との間にシールを形成する少なくとも1つのシール部材(4)と、
前記スリーブ(10)と前記管(2)とに圧力を加える圧力部材(5)と、
前記圧力部材(5)上に設けられ、前記管(2)に作用するように配置されたグリッパ歯列(6)と、
前記圧力部材(5)に圧力を加える作動部材(3,7)と、を有しており、前記作動部材(3,7)は、圧力リング(3)を有していて、前記圧力リング(3)は、前記圧力リング(3)と前記圧力部材(5)とのそれぞれ隣接する傾斜した接触面(11’,11’’)を介して前記圧力部材(5)に作用し、
前記少なくとも1つのシール部材(4)は、前記圧力部材(5)と前記管(2)との間に位置している、継手(1)において、
前記少なくとも1つのシール部材(4)は、前記圧力部材(5)と前記スリーブ(10)との間に配置されることなく、前記スリーブ(10)に接続されている、又は前記スリーブ(10)に対して押し付けられており、
前記少なくとも1つのシール部材(4)は、前記圧力リング(3)の傾斜面(11’)と前記圧力部材(5)の傾斜面(11’’)との間に配置されることなく、前記スリーブ(10)に接続されている、又は前記スリーブ(10)に対して押し付けられていることを特徴とする、継手(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの管(2)に連結するための継手(1)であって、該継手(1)は、
前記管(2)を収容するスリーブ(10)と、
前記スリーブ(10)と前記管(2)との間にシールを形成する少なくとも1つのシール部材(4)と、
前記スリーブ(10)と前記管(2)とに圧力を加える圧力部材(5)と、
前記圧力部材(5)上に設けられ、前記管(2)に作用するように配置されたグリッパ歯列(6)と、
前記圧力部材(5)に圧力を加える作動部材(3,7)と、を有しており、前記作動部材(3,7)は、圧力リング(3)を有していて、前記圧力リング(3)は、前記圧力リング(3)と前記圧力部材(5)とのそれぞれ隣接する傾斜した接触面(11’,11’’)を介して前記圧力部材(5)に作用し、
前記少なくとも1つのシール部材(4)は、前記圧力部材(5)と前記管(2)との間に位置している、継手(1)において、
前記少なくとも1つのシール部材(4)は、前記圧力部材(5)と前記スリーブ(10)との間に配置されることなく、前記スリーブ(10)に接続されている、又は前記スリーブ(10)に対して押し付けられており、
前記シール部材(4)を前記スリーブ(10)に取り付けるためのクリップ(13)を有していることを特徴とする、継手(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの管に連結するための継手に関する。
【0002】
欧州特許出願公開第0794378号明細書には、少なくとも1つの管に連結するための継手であって、該継手は、
前記管を収容するスリーブと、
前記スリーブと前記管との間にシールを形成する少なくとも1つのシール部材と、
前記スリーブと前記管とに圧力を加える圧力部材と、
前記圧力部材上に設けられ、前記管に作用するように配置されたグリッパ歯列と、
前記圧力部材に圧力を加える作動部材と、を有しており、前記作動部材は、圧力リングを有していて、前記圧力リングは、前記圧力リングと前記圧力部材とのそれぞれ隣接する傾斜した接触面を介して前記圧力部材に作用する、継手が開示されている。
【0003】
欧州特許出願公開第0794378号明細書の継手では、スリーブと管との間に所要のシールを提供するために、シール部材が、圧力部材と管との間、及び圧力部材とスリーブとの間に配置されている。
【0004】
請求項1の上位概念に記載の形式の継手はさらに、国際公開第2011/120669号明細書により公知である。
【0005】
継手の挿入中、継手の作動部材は、50年以上の使用期間にわたって、スリーブ内に収容される管に作用する軸方向の力に耐えることのできる圧力を加える圧力部材を有するために配置されている。これにより、圧力部材と管との間に位置するシール部材の部分、並びに、圧力部材とスリーブとの間に位置するシール部材の部分の両方に、十分な圧力を提供することができ、前述したように50年にわたる使用期間中に生じる恐れのある継手の材料の緩和を補償することができる。従って、シール部材、特に圧力部材とスリーブとの間のシール部材の部分に加えられる圧力は、通常はゴムであるシール部材が、管径が300mmよりも大きい場合には特に、過剰に負荷されるほど高いレベルになってしまう。300mmより大きな径によっては特に、圧力部材とスリーブとの間のシール部材の部分で必要な予張力は、シール部材が存続し、長期にわたる物理的特性を維持するには、シール部材のゴムに対しては高くなりすぎる。
【0006】
従って本発明の課題は、この問題に対する解決手段を提供することであり、少なくとも50年の耐用期間を有する継手であって、その耐用期間中に、シール特性を維持しつつ、管に作用する軸方向の力に耐えることができ、継手が、300mmよりも大きな径を有する管のために寸法設計されている場合もその耐用期間中の継手の通常の劣化に対処できる継手を提供することである。
【0007】
本発明によれば、継手は、1つ又は複数の従属請求項の特徴を有している。
【0008】
何よりもまず、本発明の継手は、前記少なくとも1つのシール部材が、前記圧力部材と前記スリーブとの間に配置されることなく、前記スリーブに接続されている、又は前記スリーブに対して押し付けられているという特徴を有して配置されている。これによりスリーブと管との間の完全に閉じたシールが提供され、本発明の継手のシール特性は、圧力部材によって加えられる圧力とつながりがない。従って、圧力部材によって加えられる圧力のレベルは、圧力部材とスリーブとの間のシールの耐用期間ともはや何の関係もない。
【0009】
好適な態様では、少なくとも1つのシール部材の互いに反対側の端部がそれぞれ、圧力部材とスリーブとに接続されている。
【0010】
さらに好適な態様では、前記少なくとも1つのシール部材は、前記圧力リングの傾斜面と前記圧力部材の傾斜面との間に配置されることなく、前記スリーブに接続されている、又は前記スリーブに対して押し付けられている。このことは、本発明の継手の耐用期間向上に貢献する。
【0011】
特別な態様では、継手が、前記シール部材を前記スリーブに取り付けるためのクリップを有しているのが望ましい。これにより、信頼性を損なうことなく、継手の取り付け及び取り外しが極めて簡単になる。
【0012】
図面を参照して、以下に本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による継手の好適な態様を示す図である。
【0014】
図面には、管2と共に使用するための本発明の継手1の実施形態が示されている。継手は、管2を収容するスリーブ10と、スリーブ10と管2との間にシールを形成するシール部材4と、スリーブ10と管2とに圧力を加える圧力部材5と、圧力部材5上に設けられ、管2に作用するように配置されたグリッパ歯列6と、作動部材3,7とを有していて、作動部材3,7は、圧力部材5に圧力を加えるように、スリーブ10の外側の一点から調節可能である。
【0015】
作動部材3,7は、圧力リング3を有していて、この圧力リング3は、この圧力リング3と圧力部材5とのそれぞれ隣接する傾斜した接触面11’,11’’を介して圧力部材5に作用する。これにより、スリーブ10又は管2のボディ長手方向軸線に平行に圧力部材5に加えられる力が圧力部材5に作用し、この力は、前記スリーブ10内に収容される管2に作用する、スリーブ10の前記ボディ長手方向に対して垂直な成分を含んでいる。
【0016】
本発明によれば、シール部材4が、圧力部材5と管2との間に配置されていて、このシール部材4は、圧力部材5とスリーブ10との間に配置されることなく、スリーブ10に接続されている、又はスリーブ10に対して押し付けられている。
【0017】
本発明の継手1を特徴付けるさらなる特徴の1つは、前記シール部材4が、圧力リング3の傾斜面11’と、圧力部材5の傾斜面11’’に配置されることなく設けられていることである。
【0018】
さらに、少なくとも1つのシール部材4の互いに反対側の端部がそれぞれ、圧力部材5とスリーブ10とに接続されていると好適である。
【0019】
さらに図示したように、本発明の継手1には好適にはさらに、シール部材4をスリーブ10に取り付けるためのクリップ13が設けられている。これにより、信頼性を損なうことなく、継手の取り付け及び取り外しが極めて簡単になる。
【0020】
ここまで、本発明の継手の様々な態様を参照しながら本発明を説明したが、本発明はこれらの特別な態様に限定されるものではなく、本発明を逸脱することなく、さらに様々な形式で変化させることができる。従って、説明した例としての態様は、添付の請求の範囲をその請求の範囲に応じて厳密に解釈するために用いるべきではない。むしろ上記態様は、説明した例としての態様に請求の範囲を限定することなく、添付の請求の範囲の文言を説明することを意図したものである。従って、本発明の保護範囲は、添付の請求の範囲のみに応じて解釈されるものであって、請求の範囲の文言にあり得る曖昧な部分は、例としての態様を使用することで解決されるものである。