【実施例】
【0036】
これにより、本発明のポリイミドフィルムをフレキシブルディスプレイなどの映像表示素子用基板に適用することにより、機械的特性および耐熱性に優れるうえに、低い複屈折特性を有する無色透明な基板を得ることができる。
【0037】
<実施例>
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0038】
実施例1
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mLの反応器に窒素を通過させながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)384.316gを加え入れた後、FFDA 49.972g(0.13mol)を溶解した。その後、BPDA 15.299g(0.052mol)を入れて5時間反応させ、6FDA 34.652g(0.078mol)を入れた。その後、溶液の温度を常温に維持した後、18時間反応させた。その結果として、固形分の濃度が20重量%であり、粘度(Brookfield粘度計(RVDV−II+P)を、25℃で6番または7番スピンドルを用いて50rpmで2回測定して平均値を測定)が150ポアズ(poise)であるポリアミック酸溶液を得た。反応が終了した後、得られた溶液をステンレス板に塗布した後、10〜20μmにキャスティングし、80℃の熱風で20分、120℃で20分、300℃で等温10分間、熱風によって乾燥させた後、徐々に冷却し、板から分離して厚さ(Anritsu Electronic Micrometerで測定、誤差範囲±0.5%以下)12μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0039】
実施例2
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mlの反応器に窒素を通過させながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)407.493gを加え入れた後、FFDA 49.972g(0.13mol)を溶解した。その後、BPDA 11.475g(0.039mol)を入れて5時間反応させ、6FDA 40.427g(0.091mol)を入れた。その後、溶液の温度を常温に維持した後、18時間反応させた。その結果、固形分の濃度が20重量%であり、粘度が127poiseであるポリアミック酸溶液を得た。しかる後に、実施例1と同様にして厚さ10μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0040】
実施例3
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mlの反応器に窒素を通過させながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)384.349gを加え入れた後、FFDA 46.128g(0.12mol)を溶解した。その後、BPDA 7.061g(0.024mol)を入れて5時間反応させ、6FDA 42.648g(0.096mol)を入れた。その後、溶液の温度を常温に維持した後、18時間反応させた。その結果、固形分の濃度が20重量%であり、粘度が112poiseであるポリアミック酸溶液を得た。しかる後に、実施例1と同様にして厚さ12μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0041】
実施例4
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mlの反応器に窒素を通過させながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)390.551gを加え入れた後、FFDA 46.128g(0.12mol)を溶解した。その後、BPDA 3.531g(0.012mol)を入れて5時間反応させ、6FDA 47.979g(0.108mol)を入れた。その後、溶液の温度を常温に維持した後、18時間反応させた。その結果、固形分の濃度が20重量%であり、粘度が172poiseであるポリアミック酸溶液を得た。しかる後に、実施例1と同様にして厚さ15μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0042】
比較例1
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mlの反応器に窒素を通過させながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)380.027gを加え入れた後、FFDA 53.816g(0.14mol)を溶解した。その後、BPDA 41.191g(0.14mol)を入れ、溶液の温度を常温に維持した後、18時間反応させた。その結果、固形分の濃度が20重量%であり、粘度が112poiseであるポリアミック酸溶液を得た。しかる後に、実施例1と同様にして厚さ12μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0043】
比較例2
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mlの反応器に窒素を通過させながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)397.752gを加え入れた後、FFDA 46.128g(0.12mol)を溶解した。その後、6FDA 53.310g(0.12mol)を入れ、溶液の温度を常温に維持した後、18時間反応させた。その結果、固形分の濃度が20重量%であり、粘度が148poiseであるポリアミック酸溶液を得た。しかる後に、実施例1と同様にして厚さ19μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0044】
比較例3
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mlの反応器に窒素を通過させながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)380.998gを加え入れた後、FDA 45.299g(0.13mol)を溶解した。その後、BPDA 15.299g(0.052mol)を入れて5時間反応させ、6FDA 34.652g(0.078mol)を入れた。続いて、溶液の温度を常温に維持した後、18時間反応させた。その結果、固形分の濃度が20重量%であり、粘度が357poiseであるポリアミック酸溶液を得た。しかる後に、実施例1と同様にして厚さ17μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0045】
比較例4
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mlの反応器に窒素を通過させながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)396.601gを加え入れた後、FDA 45.299g(0.13mol)を溶解した。その後、BPDA 7.650g(0.026mol)を入れて5時間反応させ、6FDA 46.202g(0.104mol)を入れた。続いて、溶液の温度を常温に維持した後、18時間反応させた。その結果、固形分の濃度が20重量%であり、粘度が320poiseであるポリアミック酸溶液を得た。しかる後に、実施例1と同様にして厚さ14μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0046】
比較例5
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mlの反応器に窒素を通過させながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)394.502gを加え入れた後、TFDB 44.832g(0.14mol)を溶解した。その後、BPDA 16.476g(0.056mol)を入れて5時間反応させ、6FDA 37.317g(0.084mol)を入れた。続いて、溶液の温度を常温に維持した後、18時間反応させた。その結果、固形分の濃度が17重量%であり、粘度が480poiseであるポリアミック酸溶液を得た。しかる後に、実施例1と同様にして厚さ14μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0047】
比較例6
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた500mlの反応器に窒素を通過させながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)396.616gを加え入れた後、TFDB 43.231g(0.135mol)を溶解した。その後、BPDA 7.944g(0.027mol)を入れて5時間反応させ、6FDA 47.979g(0.108mol)を入れた。続いて、溶液の温度を常温に維持した後、18時間反応させた。その結果、固形分の濃度が17重量%であり、粘度が352poiseであるポリアミック酸溶液を得た。しかる後に、実施例1と同様にして厚さ20μmのポリイミドフィルムを製造した。
【0048】
これらの実施例および比較例で製造されたポリイミドフィルムの物性を下記の方法で評価し、その結果を下記表1および表2に示した。
【0049】
<測定例>
(1)平均透過度:実施例で製造されたフィルムについて、UV分光計(コニカミノルタ製、CM−3700d)を用いて550nmでの透過度を3回測定し、平均値(平均透過度)を計算した。
【0050】
(2)黄色度(Yellow Index、Y.I.):UV分光計(コニカミノルタ製、CM−3700d)を用いて、380〜780nmでの黄色度をASTM E313規格で測定した。
【0051】
(3)熱膨張係数(CTE)の測定:TMA(TA Instrument社製、Q400)を用い、熱機械分析法(TMA−Method)によって2回にわたって、50〜250℃での線形熱膨張係数を測定した。試験片の大きさは4mm×24mm、荷重は0.02N、昇温速度は10℃/minとした。ここで、フィルムを製膜して熱処理することによりフィルム内に残留応力が残っている可能性があるため、1番目の作動(Run)で残留応力を完全に除去した後、2番目の値を実測定値として提示した。
【0052】
(4)複屈折測定:複屈折分析器(プリズムカプラー(Prism Coupler)、Sairon SPA4000)を用い、532nmでTE(Transverse Electric)モード、及びTM(Transverse magnetic)モードで、それぞれ3回測定し、平均値を求めた。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
表1および表2に示すように、実施例1〜4のポリイミドフィルムは、比較例1〜2のフィルムと比較して、同じレベルで無色透明でありながら、より低い複屈折率を有することが分かった。特に比較例2と比較しては、線形熱膨張係数により表される耐熱特性が10%以上改善されたことが分かった。ただし、6FDAに対するBPDAのモル分率が増えるほど、上記の組成で、耐熱特性は改善されるものの、複屈折率は低下するおそれがあるので、6FDAの比率がアンヒドリドの総モル比に対して0.4以上乃至1.0未満の範囲を持つようにすることが好ましいことが分かった。