(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588135
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】端末装置、無線通信システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20191001BHJP
H04W 16/32 20090101ALI20191001BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20191001BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20191001BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
H04W72/04 136
H04W72/04 111
H04W16/32
H04W24/10
H04W92/20
H04W72/04 132
H04L27/26 114
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-127551(P2018-127551)
(22)【出願日】2018年7月4日
(62)【分割の表示】特願2014-96197(P2014-96197)の分割
【原出願日】2014年5月7日
(65)【公開番号】特開2018-186540(P2018-186540A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2018年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】彭 海蘭
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊明
(72)【発明者】
【氏名】王 暁秋
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
Samsung,Report on [85#21][LTE/DC] Basic signalling flows (Samsung),3GPP TSG-RAN WG2♯85bis R2-141465,2014年 3月22日
【文献】
Samsung,Dual Connectivity, framework for SCG cell management, including measurement support,3GPP TSG-RAN WG2♯85bis R2-141516,2014年 3月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
H04L27/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置が第1の基地局装置および第2の基地局装置に接続する場合に、制御チャネルが前記端末装置から前記第2の基地局装置へ送信されるべき周波数帯域を、当該第2の基地局装置の使用できる複数の周波数帯域の中から当該第2の基地局装置が選択し、選択された前記周波数帯域が前記端末装置へ通知される無線通信システムにおける、前記端末装置であって、
前記第1の基地局装置へ、前記複数の周波数帯域のうちの1つ以上の周波数帯域について、前記第2の基地局装置から受信された信号に関する無線品質に関する情報を通知する通知手段と、
前記第1の基地局装置から、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を示す情報を取得する取得手段と、
を有し、
前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域は、前記無線品質が所定値を超える周波数帯域が所定数より多く存在する場合に、前記第1の基地局装置によって、当該無線品質が前記所定値を超える周波数帯域から抽出された前記所定数の周波数帯域を示す第1の情報と、前記第1の情報によって示されている周波数帯域とは異なる周波数帯域を示す第2の情報とが区別可能な形式で前記第2の基地局装置へ通知され、当該第2の基地局装置によって前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて選択された周波数帯域である、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
端末装置が第1の基地局装置および第2の基地局装置に接続する場合に、制御チャネルが前記端末装置から前記第2の基地局装置へ送信されるべき周波数帯域を、当該第2の基地局装置の使用できる複数の周波数帯域の中から当該第2の基地局装置が選択し、選択された前記周波数帯域が前記端末装置へ通知される無線通信システムにおける、前記端末装置であって、
前記第1の基地局装置へ、前記複数の周波数帯域のうちの1つ以上の周波数帯域について、前記第2の基地局装置から受信された信号に関する無線品質に関する情報を通知する通知手段と、
前記第1の基地局装置から、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を示す情報を取得する取得手段と、
を有し、
前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域は、前記第1の基地局装置によって前記複数の周波数帯域のうちの前記無線品質が高い方から抽出された所定数の周波数帯域を示す第1の情報と、前記第1の情報によって示されている周波数帯域とは異なる周波数帯域を示す第2の情報とが区別可能な形式で前記第2の基地局装置へ通知され、該第2の基地局装置によって前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて選択された周波数帯域である、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項3】
前記無線品質に関する情報は、参照信号受信電力と参照信号受信品質との少なくともいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
端末装置が第1の基地局装置および第2の基地局装置に接続する場合に、制御チャネルが前記端末装置から前記第2の基地局装置へ送信されるべき周波数帯域を、当該第2の基地局装置の使用できる複数の周波数帯域の中から当該第2の基地局装置が選択し、選択された前記周波数帯域が前記端末装置へ通知される無線通信システムであって、
前記端末装置が、
前記第1の基地局装置へ、前記複数の周波数帯域のうちの1つ以上の周波数帯域について、前記第2の基地局装置から受信された信号に関する無線品質に関する情報を通知する第1の通知手段と、
前記第1の基地局装置から、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を示す情報を取得する第1の取得手段と、
を有し、
前記第1の基地局装置が、
前記端末装置から、前記無線品質に関する情報を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段によって取得された前記無線品質に関する情報に基づいて、前記複数の周波数帯域のうちの前記無線品質が所定値を超える周波数帯域を抽出する抽出手段であって、前記無線品質が前記所定値を超える周波数帯域が所定数より多く存在する場合に、当該無線品質が前記所定値を超える周波数帯域から前記所定数の周波数帯域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された周波数帯域を示す第1の情報と、前記第1の情報によって示されている周波数帯域とは異なる周波数帯域を示す第2の情報とを区別可能な形式で前記第2の基地局装置へ通知する第2の通知手段と、
を有し、
前記第2の基地局装置が、
前記第1の基地局装置から、前記第1の情報及び前記第2の情報を取得する第3の取得手段と、
前記第3の取得手段によって取得された情報に基づいて、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を、前記第1の基地局装置を介して、前記端末装置へ通知する第3の通知手段と、
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
端末装置が第1の基地局装置および第2の基地局装置に接続する場合に、制御チャネルが前記端末装置から前記第2の基地局装置へ送信されるべき周波数帯域を、当該第2の基地局装置の使用できる複数の周波数帯域の中から当該第2の基地局装置が選択し、選択された前記周波数帯域が前記端末装置へ通知される無線通信システムであって、
前記端末装置が、
前記第1の基地局装置へ、前記複数の周波数帯域のうちの1つ以上の周波数帯域について、前記第2の基地局装置から受信された信号に関する無線品質に関する情報を通知する第1の通知手段と、
前記第1の基地局装置から、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を示す情報を取得する第1の取得手段と、
を有し、
前記第1の基地局装置が、
前記端末装置から、前記無線品質に関する情報を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段によって取得された前記無線品質に関する情報に基づいて、前記複数の周波数帯域のうちの前記無線品質が高い方から所定数の周波数帯域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された周波数帯域を示す第1の情報と、前記第1の情報によって示されている周波数帯域とは異なる周波数帯域を示す第2の情報とを区別可能な形式で前記第2の基地局装置へ通知する第2の通知手段と、
を有し、
前記第2の基地局装置が、
前記第1の基地局装置から、前記第1の情報及び前記第2の情報を取得する第3の取得手段と、
前記第3の取得手段によって取得された情報に基づいて、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を、前記第1の基地局装置を介して、前記端末装置へ通知する第3の通知手段と、
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
端末装置が第1の基地局装置および第2の基地局装置に接続する場合に、制御チャネルが前記端末装置から前記第2の基地局装置へ送信されるべき周波数帯域を、当該第2の基地局装置の使用できる複数の周波数帯域の中から当該第2の基地局装置が選択し、選択された前記周波数帯域が前記端末装置へ通知される無線通信システムにおける、前記端末装置の制御方法であって、
通知手段が、前記第1の基地局装置へ、前記複数の周波数帯域のうちの1つ以上の周波数帯域について、前記第2の基地局装置から受信された信号に関する無線品質に関する情報を通知する通知工程と、
取得手段が、前記第1の基地局装置から、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を示す情報を取得する取得工程と、
を有し、
前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域は、前記無線品質が所定値を超える周波数帯域が所定数より多く存在する場合に、前記第1の基地局装置によって、当該無線品質が前記所定値を超える周波数帯域から抽出された前記所定数の周波数帯域を示す第1の情報と、前記第1の情報によって示されている周波数帯域とは異なる周波数帯域を示す第2の情報とが区別可能な形式で前記第2の基地局装置へ通知され、当該第2の基地局装置によって前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて選択された周波数帯域である、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
端末装置が第1の基地局装置および第2の基地局装置に接続する場合に、制御チャネルが前記端末装置から前記第2の基地局装置へ送信されるべき周波数帯域を、当該第2の基地局装置の使用できる複数の周波数帯域の中から当該第2の基地局装置が選択し、選択された前記周波数帯域が前記端末装置へ通知される無線通信システムにおける、前記端末装置の制御方法であって、
通知手段が、前記第1の基地局装置へ、前記複数の周波数帯域のうちの1つ以上の周波数帯域について、前記第2の基地局装置から受信された信号に関する無線品質に関する情報を通知する通知工程と、
取得手段が、前記第1の基地局装置から、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を示す情報を取得する取得工程と、
を有し、
前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域は、前記第1の基地局装置によって前記複数の周波数帯域のうちの前記無線品質が高い方から抽出された所定数の周波数帯域を示す第1の情報と、前記第1の情報によって示されている周波数帯域とは異なる周波数帯域を示す第2の情報とが区別可能な形式で前記第2の基地局装置へ通知され、該第2の基地局装置によって前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて選択された周波数帯域である、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
端末装置が第1の基地局装置および第2の基地局装置に接続する場合に、制御チャネルが前記端末装置から前記第2の基地局装置へ送信されるべき周波数帯域を、当該第2の基地局装置の使用できる複数の周波数帯域の中から当該第2の基地局装置が選択し、選択された前記周波数帯域が前記端末装置へ通知される無線通信システムにおける、前記端末装置に備えられたコンピュータに、
前記第1の基地局装置へ、前記複数の周波数帯域のうちの1つ以上の周波数帯域について、前記第2の基地局装置から受信された信号に関する無線品質に関する情報を通知させ、
前記第1の基地局装置から、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を示す情報を取得させる、
ためのプログラムであって、
前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域は、前記無線品質が所定値を超える周波数帯域が所定数より多く存在する場合に、前記第1の基地局装置によって、当該無線品質が前記所定値を超える周波数帯域から抽出された前記所定数の周波数帯域を示す第1の情報と、前記第1の情報によって示されている周波数帯域とは異なる周波数帯域を示す第2の情報とが区別可能な形式で前記第2の基地局装置へ通知され、当該第2の基地局装置によって前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて選択された周波数帯域である、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
端末装置が第1の基地局装置および第2の基地局装置に接続する場合に、制御チャネルが前記端末装置から前記第2の基地局装置へ送信されるべき周波数帯域を、当該第2の基地局装置の使用できる複数の周波数帯域の中から当該第2の基地局装置が選択し、選択された前記周波数帯域が前記端末装置へ通知される無線通信システムにおける、前記端末装置に備えられたコンピュータに、
前記第1の基地局装置へ、前記複数の周波数帯域のうちの1つ以上の周波数帯域について、前記第2の基地局装置から受信された信号に関する無線品質に関する情報を通知させ、
前記第1の基地局装置から、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を示す情報を取得させる、
ためのプログラムであって、
前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域は、前記第1の基地局装置によって前記複数の周波数帯域のうちの前記無線品質が高い方から抽出された所定数の周波数帯域を示す第1の情報と、前記第1の情報によって示されている周波数帯域とは異なる周波数帯域を示す第2の情報とが区別可能な形式で前記第2の基地局装置へ通知され、該第2の基地局装置によって前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて選択された周波数帯域である、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基地局装置と、その複数の基地局装置と通信する端末とを含む無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)において、大セル(マクロセル)のカバレッジ内に異なる周波数帯域(例えば、マクロセルで使用されるよりも高い周波数帯域)を使用する小セル(スモールセル)を多数設置することが議論されている。例えば、
図1の例のように、2GHz帯の周波数帯域を使用するマクロセルのカバレッジエリア内に、3.5GHz帯の周波数帯域を使用するスモールセルが複数置局される。
【0003】
LTE Release 12において、このような環境において2つのタイプの基地局が連携するDual Connectivityという技術について議論が開始されている(非特許文献1)。2つのタイプの基地局とは、マスタeNodeB(マスタeNB、例えばマクロセルの基地局)とセカンダリeNodeB(セカンダリeNB、例えばスモールセルの基地局)である。そして、Dual Connectivityでは、2つのタイプの基地局間は、有線又は無線のバックホール回線で接続される。なお、端末装置は、マスタeNB及びセカンダリeNBの両方との間で接続を確立して、例えば、2つの基地局装置からデータを受信することができる。
【0004】
Dual Connectivityでは、端末装置への下り方向での制御信号のシグナリングは、マスタeNBが行う(非特許文献1)。一方で、上りリンクにおいて、端末からの制御信号は、マスタeNBに対してのみでなく、セカンダリeNBに対しても送信されることが想定されている。ここで、マスタeNB及びセカンダリeNBは、それぞれが一定の帯域幅を有する、複数の周波数帯域を使用可能であり、端末装置は、この複数の周波数帯域のうちの少なくともいずれかにおいて、制御信号を送信する。なお、この複数の周波数帯域のそれぞれは、例えば、20MHz帯域幅のコンポーネントキャリアに相当する。なお、マスタeNB及びセカンダリeNBがそれぞれ使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれには例えば別個のベースバンド用のユニットが割り当てられ、複数の周波数帯域のそれぞれにおいて別個のセル(通信可能範囲)が形成されることとなる。すなわち、マスタeNB及びセカンダリeNBは、それぞれ1つの基地局装置であるが、複数の周波数帯域に対応して、複数のセルを形成することとなる。そして、マスタeNBについてのこの複数のセルの集合は、MCG(Master Cell Group)と呼ばれ、セカンダリeNBについての複数のセルの集合はSCG(Secondary Cell Group)と呼ばれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TR 36.842 v12.0.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
端末装置は、マスタeNB及びセカンダリeNBに対して、MCGのうちの1つのセル及びSCGのうちの1つのセルにおいて、制御チャネル(PUCCH、物理上りリンク制御チャネル)を送信しなければならない。このため、マスタeNBおよびセカンダリeNBは、端末装置が制御チャネルを送信しなければならないセルを決定して通知する必要がある。
【0007】
これについて、3GPPの会合では、ある端末装置についての、SCGに含まれる複数のセルのうちのPUCCHが送信されなければならない1つのセルについては、セカンダリeNBが決定する、という合意が形成されている。そして、このときに、セカンダリeNBは、マスタeNBからのアシストを受けてもよいことも合意されている。しかしながら、セカンダリeNBが、マスタeNBからどのようなアシストを受けて、どのように上述の1つのセルを選択すべきかについて、具体的な手法は確立されていない。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、Dual Connectivityにおいて、PUCCHが送信されるべき1つのセルを決定する際の手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による端末装置は、端末装置が第1の基地局装置および第2の基地局装置に接続する場合に
、制御チャネルが
前記端末装置から前記第2の基地局装置へ送信されるべき周波数帯域を、当該第2の基地局装置の使用できる複数の周波数帯域の中から当該第2の基地局装置が選択し、選択された前記周波数帯域が前記端末装置へ通知される無線通信システムにおける、前記端末装置であって、前記第1の基地局装置へ、前記複数の周波数帯域のうちの1つ以上の周波数帯域について、前記第2の基地局装置から受信された信号に関する無線品質に関する情報を通知する通知手段と、前記第1の基地局装置から、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を示す情報を取得する取得手段と、を有し、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域は、
前記無線品質が所定値を超える周波数帯域が所定数より多く存在する場合に、前記第1の基地局装置によって
、当該無線品質が前記所定値を超える周波数帯域から抽出された前記所定数の周波数帯域を示す第1の情報と、前記第1の情報によって示されている周波数帯域とは異なる周波数帯域を示す第2の情報とが区別可能な形式で前記第2の基地局装置へ通知され
、当該第2の基地局装置によって前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて選択された周波数帯域である、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の別の一態様による端末装置は、端末装置が第1の基地局装置および第2の基地局装置に接続する場合に
、制御チャネルが
前記端末装置から前記第2の基地局装置へ送信されるべき周波数帯域を、当該第2の基地局装置の使用できる複数の周波数帯域の中から当該第2の基地局装置が選択し、選択された前記周波数帯域が前記端末装置へ通知される無線通信システムにおける、前記端末装置であって、前記第1の基地局装置へ、前記複数の周波数帯域のうちの1つ以上の周波数帯域について、前記第2の基地局装置から受信された信号に関する無線品質に関する情報を通知する通知手段と、前記第1の基地局装置から、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域を示す情報を取得する取得手段と、を有し、前記制御チャネルが送信されるべき前記周波数帯域は、前記第1の基地局装置によって前記複数の周波数帯域のうちの前記無線品質が高い方から抽出され
た所定数の周波数帯域を示す第1の情報と、前記第1の情報によって示されている周波数帯域とは異なる周波数帯域を示す第2の情報とが区別可能な形式で前記第2の基地局装置へ通知され
、該第2の基地局装置によって前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて選択された周波数帯域である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、Dual Connectivityにおいて、PUCCHが送信されるべき1つのセルを決定する際の手法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】それぞれ異なる周波数帯域を使用するマクロセルとスモールセルとの配置例を示す概念図。
【
図2】Dual Connectivityによる端末と複数のeNBとの間の通信の例を示す概念図。
【
図3】マスタeNB及びセカンダリeNBのハードウェア構成例を示す図。
【
図4】マスタeNBの機能構成例を示すブロック図。
【
図5】セカンダリeNBの機能構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(システム構成)
本実施形態に係る無線通信システムは、例えば、
図2に示すように、マスタeNB、セカンダリeNB及び端末装置(UE)を含む。なお、ここでは、eNBは基地局装置(eNodeB)であるが、対応する無線通信システムは、LTE以外のものであってもよい。また、端末装置は、移動体の又は固定された無線通信装置であり、LTE以外の無線通信システムに対応してもよい。なお、本実施形態の無線通信システムでは、マスタeNBは第1の周波数帯域(例えば2GHz)を用いて通信を行い、セカンダリeNBは第2の周波数帯域(3.5GHz)を用いて通信を行う。また、マスタeNBとセカンダリeNBは、同一周波数帯域を用いることができてもよく、すなわち、第1の周波数帯域と第2の周波数帯域とが同一の周波数帯域であってもよい。なお、第1の周波数帯域と第2の周波数帯域は、異なる周波数帯域であっても、例えば2GHz帯域などの同一の周波数帯域内の一部の周波数帯域として存在しうる。
【0015】
マスタeNB及びセカンダリeNBは、それぞれが使用する周波数帯域の中で、複数のコンポーネントキャリア(CC)を使用して通信を行うことができる。複数のCCのそれぞれは、例えば20MHzなどの一定の幅を有する周波数帯域に対応する。また、マスタeNB及びセカンダリeNBは、上述のように、複数のCCのそれぞれについての、複数の通信可能なセルを形成する。このように、1つのセルとCCの1つとが対応するため、以下では、「セル」という文言を対応するCC(周波数帯域)の意味を含んで使用する。なお、以下の議論において、各セルに対応する周波数帯域は、必ずしも1つのCCに対応する必要はなく、無線通信システムにおいて定められる所定の帯域幅を有する周波数帯域と対応していてもよい。
【0016】
上述のように、マスタeNBが形成するセルの集合はMCG(Master Cell Group)と呼ばれ、一方でセカンダリeNBが形成するセルの集合はSCG(Secondary Cell Group)と呼ばれる。
図2においては、MCG及びSCGは、それぞれ5つのセルを含んでいる状態が示されている。なお、この数については、例えば、マスタeNB及びセカンダリeNBがそれぞれ使用可能な周波数帯域幅と、1つのCCの周波数帯域幅に基づいて定まる。マスタeNBと端末との間では、MCGのうちの少なくとも1つのセルを用いて通信が行われる。同様に、Dual Connectivityが確立されている状態において、セカンダリeNBと端末との間では、SCGのうちの少なくとも1つのセルを用いて通信が行われる。
【0017】
Dual Connectivityでは、端末に送信されるRRC(Radio Resource Control)メッセージの送信などのC−plane(制御プレーン)での通信は、マスタeNBが行い、セカンダリeNBは行わない。このような制御プレーンでのマスタeNBと端末との間の通信が行われるセルは、PCellと呼ばれる。PCellでは、制御プレーンでの通信の他に、U−plane(ユーザプレーン)での通信を行うこともできる。また、PCellは、端末ごとに設定され、例えば、端末は、自らのために設定されたPCellにおいて、マスタeNBへの上りリンクのデータの送信が可能であることが確約される。なお、端末は、他のセルにおいて上りリンクのデータを送信することもできるが、例えば、設定されたPCellにおいてデータを送信しないで他のセルでデータを送信することはない。また、端末は、PCellにおいて、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)を送信しなければならない。また、端末は、MCGに含まれるセルとSCGに含まれるセルのうちの1つ以上について、マスタeNB又はセカンダリeNBから送信された無線信号についての無線品質を測定し、その測定結果をPCellにおいてマスタeNBに通知することができる。なお、無線品質は、例えば、参照信号受信電力(RSRP)又は参照信号受信品質(RSRQ)でありうるが、これ以外の無線品質(例えばSIR、SNRなど)が無線品質として用いられてもよい。なお、端末は、例えばSCGのセルからの無線信号を所定電力以上で受信した場合など、所定の条件が満たされた場合にこの測定結果をマスタeNBへ通知してもよいし、例えば、定期的にこのような測定結果をマスタeNBへ通知してもよい。MCGは、この他に、端末に対して、例えば下りリンク用のサービングセルを含み、マスタeNBは、この下りリンク用のサービングセルにおいて、端末にデータを送信することができる。
【0018】
一方で、SCGは、PCellのようにRRCメッセージを送信するセルは設定されないが、端末によってPUCCHが送信されなければならないセルが、端末ごとに設定される。ここでは、このセルのことをプライマリSCell(pSCell)と呼ぶ。なお、端末は、pSCell以外のセルにおいてもPUCCHを送信することもできるが、pSCell以外のセルではPUCCHを送信しなくてもよいのに対し、pSCellではPUCCHを送信しなければならない。SCGも、例えば、MCGと同様に下りリンク用のサービングセルを含み、その下りリンク用のサービングセルにおいて、端末にデータを送信することができる。また、MCG及びSCGは、全てのセルが端末との通信に用いられなければならないわけではなく、例えば、
図2の空白の四角形で示すように、PCell、pSCell、及び下りリンク用のサービングセルのいずれにも該当しないセルも存在する。そして、マスタeNB及びセカンダリeNBは、例えば、このようなセルでは端末との間での通信を行わない。
【0019】
(概要)
PCell及びpSCellは、上述の如く、端末ごとにそれぞれMCG及びSCGから選択されて設定され、その設定の情報は、例えばマスタeNBを介して、RRCメッセージによって、端末に通知される。そして、pSCellについては、上述のように、セカンダリeNBが、SCGの中から選択することで、3GPPにおいて合意が形成されている。そして、このとき、セカンダリeNBは、マスタeNBから通知されたアシスト情報を用いて、この選択を行ってもよい。しかしながら、この選択についての具体的な手法、アシスト情報としてどのような情報が用いられるべきか、などについては、現時点においては定められていない。
【0020】
このため、以下では、具体的な、セカンダリeNBによる、マスタeNBのアシストを受けてのpSCellの選択手法を提案する。
【0021】
(マスタeNB及びセカンダリeNBの構成)
図3に、本実施形態に係るマスタeNB及びセカンダリeNB(基地局装置)のハードウェア構成例を示す。マスタeNB及びセカンダリeNBは、例えば、CPU301、ROM302、RAM303、外部記憶装置304、及び通信装置305を有する。マスタeNB及びセカンダリeNBでは、例えばROM302、RAM303及び外部記憶装置304のいずれかに記録された、以下に示すようなマスタeNB及びセカンダリeNBの各機能を実現するプログラムがCPU301により実行される。
【0022】
そして、マスタeNB及びセカンダリeNBは、例えばCPU301により通信装置305を制御して、マスタeNB及びセカンダリeNBと端末との間の通信、又はマスタeNBとセカンダリeNBとの間のeNB間通信を行う。なお、マスタeNB及びセカンダリeNBは、各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能をコンピュータとプログラムにより実行させてもよい。
【0023】
なお、
図3では、マスタeNB及びセカンダリeNBは、1つの通信装置305を有するとしているが、実際にはこの通信装置305は複数あってもよいし、通信装置305が複数の通信装置を含んで構成されてもよい。すなわち、例えば、マスタeNB及びセカンダリeNBは、eNB間の通信用の通信装置及び端末との間の通信用の通信装置を有してもよい。
【0024】
また、マスタeNB及びセカンダリeNBは、端末との間の通信用の通信装置を、CCごとに用意してもよい。なお、通信装置305は、複数のベースバンド処理用のユニットを含み、それらで生成された複数のCCにおける信号を1つのアンテナで送信するように構成されてもよい。その場合、例えばそのユニットを一意に特定する識別情報(グローバルID)が割り当てられることにより、そのグローバルIDによって、1つのeNBについての1つのCCを特定することができる。なお、周波数帯域(CC)ごとに、セルIDが割り当てられてもよく、この場合、セルIDとeNBを特定するIDとの2つの識別情報を特定することにより、1つのeNBについての1つのCCを特定することができる。
【0025】
続いて、マスタeNBの機能構成について説明する。
図4は、本実施形態に係るマスタeNBの機能構成例を示すブロック図である。マスタeNBは、例えば、無線通信部401、有線通信部402、無線品質情報取得部403、及びアシスト情報生成部404を有する。
【0026】
無線通信部401は、無線通信を行うための機能部であり、例えば端末との間の無線接続を確立して無線通信を行う。すなわち、無線通信部401は、MCGに含まれる複数のセルのうちの1つ以上において、端末との間での接続を確立する。そして、無線通信部401は、接続を確立する1つ以上のセルのうち、例えば、1つのセルをPCellとして選択して、端末にRRCメッセージにより通知する。端末は、このRRCメッセージに従って、PUCCHを送信しなければならないPCellを認識する。そして、無線通信部401は、PCellにおいて、端末からのPUCCHを受信する。また、無線通信部401は、PCell又は例えば下りリンク用サービングセルにおいて、端末へデータを送信する。さらに、無線通信部401は、PCellにおいて、又はそれに加えて他のセルにおいて、端末からのデータを受信する。無線通信部401は、さらに、例えば端末からの参照信号受信電力(RSRP)又は参照信号受信品質(RSRQ)などの情報を含む測定報告(Measurement Report)を受信することができる。受信された測定報告は、無線品質情報取得部403へ入力される。
【0027】
有線通信部402は、有線通信を行うための機能部であり、例えばセカンダリeNBとの間で接続を確立して有線通信を行う。有線通信部402は、例えば、後述するアシスト情報生成部404が生成した、セカンダリeNBがpSCellを選択する際のアシスト情報を、セカンダリeNBへ通知する。なお、マスタeNBとセカンダリeNBとは、有線回線ではなく、例えば固定無線回線などによって接続されてもよい。この場合、有線通信部402はなくてもよい。また、マスタeNBとセカンダリeNBとの間の接続の途中で無線区間がある場合、有線通信部402は、その途中の無線区間の端点との間で有線接続を確立するために存在していてもよい。
【0028】
無線品質情報取得部403は、無線通信部401で受信した、SCGに含まれる複数のセルに含まれる1つ以上のセルについての、端末が受信した無線信号の無線品質に関する情報を取得する。すなわち、無線品質情報取得部403は、例えばRSRP又はRSRQの情報を、端末における無線品質情報として取得する。なお、この無線品質情報は、端末ごとに取得される。取得された無線品質情報は、アシスト情報生成部404へ入力される。
【0029】
アシスト情報生成部404は、無線品質情報に基づいて、アシスト情報を生成する。生成したアシスト情報は、有線通信部402を介して、セカンダリeNBへ送信される。アシスト情報生成部404は、例えば、ある端末からの無線品質情報が取得されたセルについて、そのセルのそれぞれについての無線品質情報を含むアシスト情報を生成する。この場合、どのセルにおいてどのような無線品質が得られたかを明示するために、セルの識別情報と、無線品質情報とが関連付けられて、アシスト情報に含まれる。なお、アシスト情報は、例えば複数の端末のそれぞれについて別個に生成される。なお、アシスト情報生成部404は、複数の端末に対応するアシスト情報を1つに統合した信号を形成して、有線通信部402を介してセカンダリeNBへ送信してもよい。
【0030】
アシスト情報生成部404は、例えば、無線品質情報に基づいて、SCGに含まれる複数のセルのうちの一部のセルを、セカンダリeNBがpSCellとして選択すべき候補のセルとして抽出する候補セル抽出部405をさらに含んでもよい。
【0031】
候補セル抽出部405は、例えば、無線品質情報に基づいて、SCGに含まれる複数のセルのうち、無線品質が高い方から所定数のセルを、上述の一部のセルとして抽出する。また、候補セル抽出部405は、例えば、無線品質情報に基づいて、SCGに含まれる複数のセルのうち、無線品質が所定値を超えるセルを、上述の一部のセルとして抽出してもよい。さらに、このときに、候補セル抽出部405は、無線品質が所定値を超えるセルの数が所定数を超える場合は、所定数のセルを選択的に抽出してもよい。このとき、例えば、候補セル抽出部405は、無線品質が所定値を超えるセルの中から、所定数のセルをランダムに選択して抽出してもよいし、例えば、無線品質が高い方から所定数のセルを選択して抽出してもよい。
【0032】
アシスト情報生成部404は、抽出した一部のセルを特定する情報を含ませて、アシスト情報を生成する。このセルを特定する情報は、例えば、セカンダリeNBにおけるそれぞれのセルを識別する識別情報である。この場合、ある1つのセルについての識別情報をセカンダリeNBに宛てて送信することにより、宛て先と識別情報との組み合わせによって、そのセカンダリeNBにおける当該1つのセルを特定することができる。同様に、セルを特定する情報は、セカンダリeNBの識別情報と、セルの識別情報とを含んで構成されてもよい。このように、セカンダリeNBの識別情報とセルの識別情報との組み合わせにより、ある1つのセカンダリeNBにおける、ある1つのセルを一意に特定することができる。さらに、各eNBの各セルに対して、それぞれ異なるIDが割り当てられ、任意のeNBにおける任意のセルを一意に特定できる識別情報が存在する場合は、その識別情報が、セルを特定する情報として用いられてもよい。例えば、各セルについてのベースバンド処理用のユニットには、そのユニットを一意に特定するためのグローバルIDが割り当てられる。このため、このグローバルIDを、セルを特定する情報として用いることができる。
【0033】
アシスト情報生成部404は、抽出した一部のセルを特定する情報を、その無線品質の高低の順位に応じた順序で、アシスト情報に含ませてもよい。例えば5つのセルのうち、第1のセル、第2のセル、第4のセルが、上述の一部のセルとして抽出され、その無線品質は、高い順に第4のセル、第1のセル、第2のセルであった場合について説明する。この場合、アシスト情報生成部404は、アシスト情報に、例えば「4」「1」「2」という順序でセルを特定する情報を含ませる。セカンダリeNBは、この情報を受信すると、第4のセルが最も無線品質がよく、それに続いて、第1のセル、第2のセルと、無線品質が落ちていくということを把握することができる。したがって、セカンダリeNBは、例えば、第4のセルが最もPUCCHの受信品質が良くなるセルであると考えられるため、第4のセルを、端末がPUCCHを送信しなければならないセルとして選択することができる。なお、アシスト情報生成部404は、例えば、アシスト情報に、「2」「1」「4」のような順序でセルを特定する情報を含ませてもよい。この場合も、セカンダリeNBは、この情報を受信したことにより、第4のセルが最も無線品質がよく、それに続いて、第1のセル、第2のセルと、無線品質が落ちていくということを把握することができる。
【0034】
なお、アシスト情報生成部404は、抽出されたセルについて、無線品質の高低の順位に関する順序の情報を付加して、アシスト情報を生成してもよい。例えば、アシスト情報生成部404は、上述の場合に、第1のセルについて「2」、第2のセルについて「3」、第4のセルについて「1」という情報を付加して、アシスト情報を生成してもよい。さらにアシスト情報には、例えば、各セルについての、無線品質の高低の順位の情報を含めるフィールドが含まれてもよく、アシスト情報生成部404は、このフィールドに順位の数値を格納することにより、アシスト情報を生成してもよい。すなわち、アシスト情報生成部404は、例えば、第1のセルについてのフィールドに「2」を、第2のセルについてのフィールドに「3」を、第4のセルについてのフィールドに「1」を、それぞれ格納してアシスト情報を生成してもよい。なお、アシスト情報生成部404は、例えば、所定数より後の順位のセルについては、そのセルについてのフィールドに「0」を格納してもよい。
【0035】
また、アシスト情報生成部404は、抽出された一部のセルについての、無線品質の情報を含めて、アシスト情報を生成してもよい。すなわち、例えば5つのセルのうち、第1のセル、第2のセル、第4のセルが、上述の一部のセルとして抽出された場合、例えば、これらのセルについてのRSRP又はRSRQの値が含められて、アシスト情報が生成される。なお、RSRP又はRSRQ以外の値が無線品質として用いられてもよい。この場合、無線品質の情報に基づいて、無線品質の高低の順位は明らかとなるため、上述の順位の情報は含まれる必要はないが、この情報も併せて含めてもよい。セカンダリeNBがどのようにアシスト情報を利用するかについて、マスタeNBが知らない場合がありうるからである。
【0036】
続いて、セカンダリeNBの機能構成について説明する。
図5は、本実施形態に係るセカンダリeNBの機能構成例を示すブロック図である。セカンダリeNBは、例えば、無線通信部501、有線通信部502、アシスト情報取得部503、及びpSCell選択部504を有する。
【0037】
無線通信部501は、無線通信を行うための機能部であり、例えば端末との間の無線接続を確立して無線通信を行う。すなわち、無線通信部501は、SCGに含まれる複数のセルのうちの1つ以上において、端末との間での接続を確立する。そして、無線通信部501は、接続を確立する1つ以上のセルのうち、例えば、pSCell選択部504が選択した1つのセルをpSCellにおいて、端末からのPUCCHを受信する。また、無線通信部501は、pSCell又は例えば下りリンク用サービングセルにおいて、端末へデータを送信する。さらに、無線通信部501は、pSCellにおいて、又はそれに加えて他のセルにおいて、端末からのデータを受信する。
【0038】
有線通信部502は、有線通信を行うための機能部であり、例えばマスタeNBとの間で接続を確立して有線通信を行う。有線通信部502は、例えば、マスタeNBから送信されてきたアシスト情報などのデータを受信する。なお、マスタeNBとセカンダリeNBとは、有線回線ではなく、例えば無線エントランスなどの無線回線によって接続されてもよい。この場合、有線通信部502はなくてもよい。また、マスタeNBとセカンダリeNBとの間の接続の途中で無線区間がある場合、有線通信部502は、その途中の無線区間の端点との間で有線接続を確立するために存在していてもよい。
【0039】
アシスト情報取得部503は、例えば有線通信部502を介して受信したマスタeNBからの信号から、アシスト情報を取得する。取得したアシスト情報は、pSCell選択部504へ入力される。なお、アシスト情報取得部503は、マスタeNBからアシスト情報が到来するのを待ち受けてもよいが、場合によっては、ある端末を特定して、マスタeNBへその端末についてのアシスト情報を要求してもよい。
【0040】
pSCell選択部504は、入力されたアシスト情報に基づいて、そのアシスト情報に対応する端末についてのpSCellを、SCGに含まれる複数のセルの中から選択する。pSCell選択部504は、例えば、アシスト情報に、SCGに含まれる複数のセルのうちの、マスタeNBで抽出された一部のセルを特定する情報が含まれている場合は、その抽出された一部のセルから、pSCellを選択する。また、pSCell選択部504は、アシスト情報において、その一部のセルについての無線品質の高低の順位を示されている場合は、例えば、無線品質が最も高いセルをpSCellとして選択してもよい。ここでpSCell選択部504は、例えば、無線品質が最も高いセルについて、そのセルをpSCellとしている端末数が所定数以上である場合などに、その次に無線品質が高いセルをpSCellとして選択してもよい。
【0041】
さらに、pSCell選択部504は、アシスト情報に、各セルにおけるRSRP又はRSRQの値などのような無線品質の情報が含まれている場合は、その無線品質の値が所定値以上であるようなセルの中からpSCellを選択してもよい。また、pSCell選択部504は、アシスト情報に含まれる無線品質が最も高い方のセルから優先して、pSCellとして選択するようにしてもよい。すなわち、無線品質が最も高いセルについて、そのセルをpSCellとする端末の数が所定数以上である場合などに、その次に無線品質が高いセルをpSCellとして選択してもよい。なお、端末がSCGの全セルについて無線品質を測定した場合に、その全ての値がアシスト情報に含まれていてもよく、この場合も、無線品質の値が高い方のセルから順に、又は無線品質の値が所定値以上であるセルが、pSCellとして選択されてもよい。
【0042】
pSCell選択部504が選択したセルの情報は、例えば有線通信部502を介して、マスタeNBへと通知される。なお、pSCell選択部504は、選択したpSCellによって、無線通信部501を制御してもよい。
【0043】
マスタeNBは、この選択されたセルの情報を、有線通信部402を介して受信すると、pSCellを設定するために、RRCメッセージを生成し、無線通信部401を介して、生成したRRCメッセージを端末へ送信する。
【0044】
(処理の流れ)
続いて、無線通信システムにおける、マスタeNB、セカンダリeNB、及び端末がそれぞれ実行する処理の流れについて説明する。
図6は、本実施形態に係る処理の流れの例を示すシーケンス図である。なお、
図6の処理の開始時点で、端末とマスタeNBとの間では、MCGに含まれる複数のセルのうち、いずれのセルがPCellとなるか、などの接続設定は完了しているものとする。
【0045】
処理において、まず、端末は、マスタeNB及びセカンダリeNBから受信される無線信号を観測し、無線品質を測定する(S601)。なお、無線品質の測定については、MCGに含まれる1つ以上のセルと、SCGに含まれる1つ以上のセルとについて行われうるが、ここでは、主としてSCGに含まれるセルについての無線品質の測定が行われれば足りる。また、この測定は、例えば端末がセカンダリeNBによって形成されたいずれかのセルの範囲に入ったなど、所定のイベントが生じた際に行われてもよい。なお、所定のイベントは、無線通信システムの設定によって定まるものであり、セカンダリeNBが形成するいずれかのセルの範囲に入ったことに限られないことは明らかである。続いて、端末は、少なくともSCGについて測定した無線品質を、マスタeNBに通知する(S602)。なお、この無線品質の通知は、MCGに含まれるPCellにおいて行われる。
【0046】
マスタeNBは、無線品質の情報を取得すると、続いて、セカンダリeNBがpSCellを選択するためのアシスト情報を生成する(S603)。このとき、アシスト情報は、例えば、端末において受信された無線信号の無線品質が高い方から所定数のセルについて、そのセルを特定する情報を含む。また、アシスト情報は、無線品質が所定値を超えるセルを特定する情報であってもよい。さらに、アシスト情報は、無線品質が所定値を超えるセルが所定数以上ある場合は、その中から選択された所定数のセルを特定する情報であってもよい。セルを特定する情報は、上述のいくつかの例に示す通りであることができ、例えば、セルに対応するベースバンド処理用のユニットを一意に特定するグローバルIDなどでありうる。なお、アシスト情報に複数のセルを特定する情報が含まれる場合は、それらのセルの無線品質の高低の順位に応じた順序でそのセルを特定する情報が含まれて、アシスト情報が生成されてもよい。また、アシスト情報は、SCGに含まれる各セルについての、端末によって測定された無線品質(例えば、RSRP又はRSRQ)の値によって構成されてもよい。この場合、例えば、一部のセルについて無線品質が測定されなかった場合は、無線品質が最低値であった場合と同様の値が、その一部のセルについての無線品質の情報として含まれてもよい。さらに、アシスト情報は、上述のように所定数のセル又は無線品質が所定値を超えるセルについての無線品質の情報を含み、それ以外のセルについての無線品質の情報は含まれなくてもよい。その後、マスタeNBは、生成したアシスト情報を、セカンダリeNBへと通知する(S604)。
【0047】
セカンダリeNBは、通知されたアシスト情報を用いて、端末がPUCCHを送信しなければならないセルであるpSCellを選択する(S605)。ここで、セカンダリeNBは、通知されたアシスト情報を必ず用いなければならないわけではなく、場合に応じて、アシスト情報を用いてもよいし、用いなくてもよい。例えば、アシスト情報が生成される際に用いられる無線品質の情報の確度が低い場合などは、セカンダリeNBは、その情報を用いなくてもよい。この場合、マスタeNBは、例えばS602の無線品質の通知が行われた際の無線信号の受信品質などに応じて、この確度の情報を決定してセカンダリeNBへと通知するようにしてもよい。また、セカンダリeNBの設定に応じて、マスタeNBから通知されたアシスト情報をセカンダリeNBが用いるか用いないかが定められてもよい。
【0048】
なお、このpSCellの選択は、すでにpSCellを設定されている端末に対して、再度実行されてもよい。すなわち、各端末におけるSCGに含まれる各セルからの無線信号の無線品質に基づいて、その各端末におけるpSCellの再設定のための、上述の選択が行われてもよい。また、セカンダリeNBは、このときに、併せて、端末との通信に用いるセル(セカンダリSCell、sSCell)を選択してもよい。
【0049】
セカンダリeNBは、pSCellを選択すると、その選択したpSCellを示す情報をマスタeNBへと通知する(S606)。なお、S605でsSCellが決定されている場合は、この通知において、併せてsSCellを示す情報をマスタeNBへと通知してもよい。この通知は、例えばeNB間RRCメッセージ(Inter eNB RRC message)として送信されうる。
【0050】
マスタeNBは、ある端末についてのpSCellを示す情報の通知を受けると、その端末に関する無線接続設定のために、RRCメッセージ(例えば、RRCConnectionReconfigurationメッセージ)を送信する(S607)。このメッセージによって、端末がPUCCHを送信すべきであるpSCellを示す情報が、その端末へと通知される。その後、端末は、通知されたpSCellにおいてPUCCHを送信するように無線通信の設定を行う。そして、端末は、無線接続設定が完了したことに応じて、例えば、RRCConnectionReconfigurationCompleteメッセージを送信し(S608)、本処理を終了する。
【0051】
このようにして、本実施形態では、端末が測定した無線品質に基づいて、セカンダリeNBがその端末についてのpSCellを選択する際に用いられうるアシスト情報を、マスタeNBが生成する。そして、セカンダリeNBは、マスタeNBからこのアシスト情報の提供を受け、その情報に基づいて、pSCellを選択する。このような方法により、端末からセカンダリeNBへ送信されるPUCCHの通信品質が高くなるように、pSCellを選択することが可能となる。