(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベータの乗りかごに設置され、所定強度のビーコン信号を発信するビーコン端末と、前記エレベータの利用者が携帯する利用者端末と、前記利用者端末に無線接続された利用者乗降推定装置およびエレベータ制御装置とを備えたエレベータシステムにおいて、
前記利用者端末は、
前記ビーコン端末から発信されたビーコン信号を受信して、前記ビーコン端末から受信位置までの距離に対応した強度情報を生成するビーコン信号受信部と、
前記ビーコン信号受信部で生成されたビーコン信号の強度情報を前記利用者乗降推定装置に送信する信号情報送信部と、
前記利用者の目的階の情報を記憶する利用者情報記憶部と、
前記エレベータ制御装置から、前記エレベータの運転状況情報を受信する運転状況受信部と、
前記利用者情報記憶部に記憶された前記利用者の目的階の情報と、前記運転状況受信部で受信されたエレベータの運転状況情報とに基づいて、前記利用者の目的階以外の階床で前記乗りかごが戸開したと判定したときに、前記信号情報送信部から送信した前記ビーコン信号の強度情報に応じて、前記利用者乗降推定装置から、前記利用者が前記乗りかごから降車したと推定したことを示す降車推定情報を受信すると、当該利用者が目的階以外の階床で前記乗りかごから一時降車したと推定し、一時降車推定情報を生成するELオペレーション情報生成部と、
前記ELオペレーション情報生成部で生成された一時降車推定情報を、前記エレベータ制御装置に送信するELオペレーション情報送信部と
を有し、
前記利用者乗降推定装置は、
前記信号情報送信部から送信された前記ビーコン信号の強度情報を受信して記憶する信号情報記憶部と、
信号情報記憶部に記憶された前記ビーコン信号の強度情報の履歴に基づいて前記利用者の位置を監視し、前記利用者の乗りかごへの乗降状況を推定する利用者位置監視部と、
前記利用者位置監視部で前記利用者が前記乗りかごから降車したと推定されると、前記降車推定情報を生成して前記利用者端末に送信する乗降推定情報送信部と
を有し、
前記エレベータ制御装置は、
前記利用者端末のELオペレーション情報送信部から送信された前記一時降車推定情報を受信すると、一時降車した利用者の再乗車を支援するための再乗車支援処理を実行する動作制御部と、
前記エレベータの運転状況情報を取得し、前記利用者端末に送信する運転状況送信部とを有することを特徴とするエレベータシステム。
前記利用者乗降推定装置の乗降推定情報送信部は、前記利用者位置監視部で前記利用者が前記乗りかごに乗車したと推定されると、乗車推定情報を生成して前記利用者端末に送信し、
前記利用者端末のELオペレーション情報生成部は、前記一時降車推定情報を生成していない状態で、前記利用者乗降推定装置から前記乗車推定情報を受信すると、かご呼び登録要求情報を生成し、
前記ELオペレーション情報送信部は、前記ELオペレーション情報生成部で生成されたかご呼び登録要求情報を、前記エレベータ制御装置に送信し、
前記エレベータ制御装置は、前記利用者端末から前記かご呼び登録要求情報を受信すると、該当するかご呼びを自動登録する呼び登録部をさらに有し、
前記動作制御部は、前記呼び登録部に登録されたかご呼びに応答するように前記エレベータ内の機器を動作させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータシステム。
前記利用者端末のELオペレーション情報生成部は、前記一時降車推定情報を生成した後、前記利用者乗降推定装置から前記乗車推定情報を受信すると、再乗車通知情報を生成し、
前記ELオペレーション情報送信部は、前記ELオペレーション情報生成部で生成された再乗車通知情報を、前記エレベータ制御装置に送信し、
前記エレベータ制御装置の動作制御部は、前記利用者端末から前記再乗車通知情報を受信すると、前記再乗車支援処理を終了する
ことを特徴とする請求項3に記載のエレベータシステム。
前記エレベータ制御装置の動作制御部は、前記利用者端末のELオペレーション情報送信部から前記一時降車推定情報を受信すると、前記再乗車支援処理として、前記乗りかごの戸開を延長し、前記乗りかご内の戸開ボタンの操作を無効にするとともに、一時降車した利用者の再乗車を優先させることを他の利用者に報知するための報知情報を、該当する乗場または前記乗りかごの少なくともいずれかに設置された出力装置から出力させる
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のエレベータシステム。
前記エレベータ制御装置の動作制御部は、前記利用者端末のELオペレーション情報送信部から前記一時降車推定情報を受信した後、当該利用者が前記乗りかごに再乗車したことを示す情報を受信すると、一定時間戸閉を禁止してその間に発生した呼びの情報を一時記憶し、当該一定時間が経過すると、一時記憶した呼びに応答するための制御を行う
ことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のエレベータシステム。
前記エレベータ制御装置の動作制御部は、前記利用者端末のELオペレーション情報送信部から前記一時降車推定情報を受信し、前記乗りかごの戸開から一定時間が経過すると、一時降車した利用者の利用者端末でビーコン信号が受信されているか否かを確認し、受信されていなければ、再乗車支援処理を終了する
ことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のエレベータシステム。
前記利用者乗降推定装置の利用者位置監視部は、前記利用者が前記乗りかごに乗り込んだと推定した後、当該利用者が前記乗りかごに乗車している間、継続して当該利用者端末から送信される情報に基づいて、前記乗りかご内における当該利用者の位置を推定し、
前記利用者乗降推定装置の乗降推定情報送信部は、前記利用者位置監視部で、前記乗りかごの奥側に、着床階が目的階の利用者がおり、且つ、前記乗りかごのかごドア付近に着床階が非目的階の利用者がいると推定されると、一時降車の判定に利用するための降車推定情報の生成処理を実行する
ことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載のエレベータシステム。
エレベータの乗りかごに設置され、所定強度のビーコン信号を発信するビーコン端末から発信されたビーコン信号を、前記エレベータの利用者が携帯する利用者端末が受信して、前記ビーコン端末から受信位置までの距離に対応した強度情報を生成するビーコン信号生成ステップと、
前記利用者端末が、前記ビーコン信号生成ステップで生成されたビーコン信号の強度情報を、前記利用者端末に無線接続された利用者乗降推定装置に送信する信号情報送信ステップと、
前記利用者乗降推定装置が、前記利用者端末の信号情報送信ステップにより送信された前記ビーコン信号の強度情報を受信して記憶する信号情報記憶ステップと、
前記利用者乗降推定装置が、信号情報記憶ステップで記憶された前記ビーコン信号の強度情報の履歴に基づいて前記利用者の位置を監視し、前記利用者の乗りかごへの乗降状況を推定する利用者位置監視ステップと、
前記利用者位置監視ステップで前記利用者が前記乗りかごから降車したと推定されると、前記利用者乗降推定装置が、降車推定情報を生成して前記利用者端末に送信する乗降推定情報送信ステップと、
前記利用者端末が、前記利用者の目的階の情報を記憶する利用者情報記憶ステップと、
前記利用者端末に無線接続されたエレベータ制御装置が、前記エレベータの運転状況情報を取得し、前記利用者端末に送信する運転状況送信ステップと、
前記利用者端末が、前記エレベータ制御装置から、前記エレベータの運転状況情報を受信する運転状況受信ステップと、
前記利用者端末が、前記利用者情報記憶ステップで記憶された前記利用者の目的階の情報と、前記運転状況受信ステップで受信されたエレベータの運転状況情報とに基づいて、前記利用者の目的階以外の階床で前記乗りかごが戸開したと判定したときに、前記信号情報送信ステップで送信した前記ビーコン信号の強度情報に応じて、前記利用者乗降推定装置から、前記降車推定情報を受信すると、当該利用者が目的階以外の階床で前記乗りかごから一時降車したと判定し、一時降車推定情報を生成するELオペレーション情報生成ステップと、
前記利用者端末が、前記ELオペレーション情報生成ステップで生成された一時降車推定情報を、前記エレベータ制御装置に送信するELオペレーション情報送信ステップと、
前記エレベータ制御装置が、前記ELオペレーション情報送信ステップで送信された前記一時降車推定情報を受信すると、一時降車した利用者の再乗車を優先させるための再乗車支援処理を実行する動作制御ステップと
を有することを特徴とするエレベータ制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータシステム1Aの構成について、
図1〜3を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1Aは、建物に設置されたエレベータの昇降路内を昇降して、各階の乗場2間を移動する乗りかご3と、乗りかご3内およびかご上に設置された複数のビーコン端末4−1〜4−3と、当該エレベータの利用者M1〜M6がそれぞれ携帯する利用者端末5−1〜5−6と、利用者端末5−1〜5−6に無線接続された利用者乗降推定装置6およびエレベータ制御装置7とを備える。以下、いずれのビーコン端末であるかを特定する必要がない場合には、「ビーコン端末4」と記載する。同様に、いずれかの利用者端末であるかを特定する必要がない場合には、「利用者端末5」と記載する。
【0009】
乗場2には、エレベータ制御装置7に接続された、乗場呼びボタン21と、乗場スピーカ装置22とが設置されている。
図1においては、1つの乗場2のみを示しているが、実際には、建物内の各階に乗場2が設けられ、同様に乗場呼びボタン21と、乗場スピーカ装置22とが設置されている。乗りかご3はエレベータ制御装置7にテールコード(図示せず)を介して接続され、乗りかご3内には、行先階登録ボタン31と、戸開ボタン32と、戸閉ボタン33と、かご内スピーカ装置34とが設置されている。ビーコン端末4、利用者端末5、利用者乗降推定装置6、およびエレベータ制御装置7の詳細な構成について、
図2を参照して説明する。
【0010】
ビーコン端末4−1〜4−3はそれぞれ、識別情報記憶部41と、ビーコン信号発信部42とを有する。識別情報記憶部41は、該当するビーコン端末4の設置位置情報を含む固有の識別情報を記憶する。ビーコン信号発信部42は、識別情報記憶部41に記憶されたビーコン端末4の識別情報を含むビーコン信号を、所定時間間隔で発信する。
【0011】
利用者端末5−1〜5−6はそれぞれ、ビーコン信号受信部51と、信号情報送信部52と、利用者情報記憶部53と、乗降推定情報受信部54と、運転状況受信部55と、ELオペレーション情報生成部56と、ELオペレーション情報送信部57とを有する。ビーコン信号受信部51は、ビーコン端末4−1〜4−3から発信されたビーコン信号を受信して、それぞれ該当するビーコン端末4から受信位置までの距離に対応した強度情報を生成する。信号情報送信部52は、ビーコン信号受信部51で受信されたビーコン端末4ごとのビーコン信号に含まれる識別情報と、生成された各ビーコン信号の強度情報とを、利用者乗降推定装置6に送信する。
【0012】
利用者端末5で受信されるビーコン信号は、発信元のビーコン端末4からの距離が近い程、強度が高くなる。例えば、
図3に示すように、ビーコン端末4−1の位置をPとすると、当該ビーコン端末4−1から発信されたビーコン信号は、位置Pから近距離領域Q内にある利用者端末5−1〜5−3では高い強度(強度「10」以下〜「1」超)で受信され、位置Pから中距離領域R内にある利用者端末5−4、5−5では中程度の強度(強度「1」以下〜「0.1」超)で受信され、位置Pから遠距離領域S内になる利用者端末5−6では低い強度(強度「0.1」以下)で受信される。本実施形態においてビーコン端末4−1は乗りかご3に設置されているため、位置Pから近距離の領域Qは乗りかご3内に該当し、位置Pから中距離の領域Rは乗場2内の乗場ドア付近の乗車待機領域(
図1の領域X)に該当し、位置Pから遠距離の領域Sは乗場2の乗車待機領域X以外の領域に該当する。
図1および
図3では、ビーコン端末4から近距離領域Q内にある利用者端末5−1〜5−3に○印を付し、中距離領域R内にある利用者端末5−4、5−5に△印を付し、遠距離領域S内にある利用者端末5−6に×印を付している。
【0013】
利用者情報記憶部53は、当該利用者端末5を所持する利用者に関する情報として、当該利用者の目的階、体重、性別等の情報を予め記憶する。乗降推定情報受信部54は、後述する処理により利用者乗降推定装置6から送信される、当該利用者の乗りかご3の乗降推定情報を受信する。運転状況受信部55は、エレベータ制御装置7から、当該エレベータの運転状況情報を所定時間間隔で受信する。
【0014】
ELオペレーション情報生成部56は、利用者情報記憶部53に記憶された利用者の目的階の情報と、運転状況受信部55で受信されたエレベータの運転状況情報とに基づいて、利用者の目的階以外の階床で乗りかご3が戸開したと判定したときに、一時降車推定情報を生成していない状態で、信号情報送信部52から送信したビーコン信号の強度情報に応じて、利用者乗降推定装置6から、利用者が乗りかご3に乗車と推定したことを示す乗車推定情報を受信すると、かご呼び登録要求情報を生成する。また、利用者乗降推定装置6から、利用者が乗りかご3から降車したと推定したことを示す降車推定情報を受信すると、当該利用者が目的階以外の階床で乗りかご3から一時降車したと判定し、一時降車した利用者の再乗車を優先させることを他の利用者に報知するための報知情報の出力を要求する報知出力要求情報を生成する。ELオペレーション情報送信部57は、ELオペレーション情報生成部56で生成された、かご呼び登録要求情報および報知出力要求情報を、エレベータ制御装置7に送信する。
【0015】
利用者乗降推定装置6は、信号情報受信部61と、信号情報記憶部62と、利用者位置監視部63と、乗降推定情報送信部64とを有する。信号情報受信部61は、利用者端末5の信号情報送信部52から送信された、ビーコン端末4ごとの識別情報およびビーコン信号の強度情報を受信する。信号情報記憶部62は、信号情報受信部61で受信されたビーコン端末4ごとの識別情報およびビーコン信号の強度情報を記憶する。利用者位置監視部63は、信号情報記憶部62に記憶されたビーコン端末4ごとの識別情報の設置位置情報およびビーコン信号の強度情報の履歴に基づいて当該利用者の位置の移動状況を監視し、乗りかご3への乗降状況を推定する。乗降推定情報送信部64は、利用者位置監視部63で、当該利用者が乗りかご3に乗り込んだと推定されると、乗車推定情報を生成して該当する利用者端末5に送信し、当該利用者が乗りかご3から降車したと推定されると、降車推定情報を生成して利用者端末5に送信する。
【0016】
エレベータ制御装置7は、ELオペレーション情報受信部71と、呼び登録部72と、動作制御部73と、運転状況送信部74とを有する。ELオペレーション情報受信部71は、利用者端末5のELオペレーション情報送信部57から送信されたかご呼び登録要求情報および一時降車推定情報を受信する。呼び登録部72は、ELオペレーション情報受信部71で受信されたかご呼び登録要求情報に基づくかご呼び、乗りかご3内の行先階登録ボタン31による操作情報に基づくかご呼び、および、乗場呼びボタン21による操作情報に基づく乗場呼びを登録する。動作制御部73は、呼び登録部72に登録された呼びに応答するように、エレベータ内の機器を動作させる。また動作制御部73は、ELオペレーション情報受信部71でかご呼び登録要求情報が受信されると、該当するかご呼びを呼び登録部72に自動登録する。また動作制御部73は、ELオペレーション情報受信部71で一時降車推定情報が受信されると、再乗車支援処理として、一時降車した利用者の再乗車を優先させるための報知情報を乗場スピーカ装置22またはかご内スピーカ装置34の少なくともいずれかから出力させる。運転状況送信部74は、当該エレベータ内の各機器の動作状況情報を取得し、利用者端末5に送信する。
【0017】
〈第1実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータシステム1Aの動作について、
図1の全体図、および
図4、
図5のシーケンス図を参照して説明する。
図4は、利用者が乗りかご3に乗り込むときに実行される処理を示し、
図5は、乗り込んだ利用者が目的階以外の階で一時降車するときに実行される処理を示す。
【0018】
一例として、当該エレベータを利用しようとする利用者M4が、乗りかご3に乗り込むときに実行される処理について説明する。利用者M4が利用者端末5−4を携帯して所定階の乗場2に来場し、乗場呼びボタン21を操作すると、エレベータ制御装置7の呼び登録部72に乗場呼びが登録される。呼び登録部72に乗場呼びが登録されたことにより乗場呼びが発生すると(S1の「YES」)、当該乗場呼びに応答して動作制御部73によりエレベータ内の機器の動作が制御され、乗りかご3が当該階に着床して戸開する(S2)。
【0019】
乗りかご3が該当階に着床して戸開すると、乗場2にいる利用者M4の利用者端末5−4のビーコン信号受信部51において、乗りかご3に設置されたビーコン端末4−1〜4−3のビーコン信号発信部42から発信されたビーコン信号が、各ビーコン端末4−1〜4−3からの距離に対応した強度で受信される(S3)。そして、各ビーコン信号に含まれる各ビーコン端末4−1〜4−3の識別情報と、各ビーコン信号を受信したときの信号の強度情報とが、信号情報送信部52から利用者乗降推定装置6に送信される(S4)。
【0020】
利用者乗降推定装置6では、利用者端末5−4から送信された各ビーコン端末4−1〜4−3の識別情報と各ビーコン信号の強度情報とが、信号情報受信部61から受信されて信号情報記憶部62に記憶される(S5)。このステップS3〜S5の処理は、利用者M4が、利用者端末5−4でビーコン信号を受信可能な位置である乗りかご3内および乗りかご3が着床している乗場2内にいる間、所定時間間隔で繰り返され、都度各ビーコン端末4−1〜4−3の識別情報とビーコン信号の強度情報とが信号情報記憶部62に蓄積される。
【0021】
次に、信号情報記憶部62に記憶された情報の履歴に基づいて、利用者位置監視部63により、当該利用者M4の乗りかご3への乗降状況が推定される。具体的には、ビーコン端末4ごとに、利用者端末5−4で受信された強度情報の変化が監視されることで、当該利用者M4が乗場2の乗車待機領域Xから乗りかご3内に乗り込んだか否かが推定される(S6)。例えば、利用者端末5−4においてすべてのビーコン端末4からの強度情報が所定値を超えると、利用者M4が乗りかご3に乗り込んだと推定されると(S6の「YES」)、利用者位置監視部63により乗車推定情報が生成され、乗降推定情報送信部64から利用者端末5に送信される(S7)。
【0022】
利用者端末5では、利用者乗降推定装置6から送信された乗車推定情報が乗降推定情報受信部54で受信され、ELオペレーション情報生成部56に送出される。ELオペレーション情報生成部56では、利用者情報記憶部53に記憶された当該利用者M4の目的階の情報と、乗降推定情報受信部54で受信された当該利用者M4の乗降推定情報と、運転状況受信部55で受信されたエレベータの運転状況情報とに基づいて、当該利用者M4が目的階以外の階床で乗りかご3に乗り込んだと判定すると、目的階を指定したかご呼び登録要求情報が生成される。生成されたかご呼び登録要求情報は、当該利用者M4の利用者情報内の体重、性別等の情報とともに、ELオペレーション情報送信部57からエレベータ制御装置7に送信される(S8)。
【0023】
エレベータ制御装置7では、利用者端末5−4から送信されたかご呼び登録要求情報がELオペレーション情報受信部71で受信され、該当するかご呼びが呼び登録部72に自動登録される。そして、動作制御部73により、登録されたかご呼びに応答するための制御が実行される(S9)。
【0024】
次に、上述したステップS1〜S9の処理によりかご呼びが2つ以上自動登録された状態で、乗り込んだ利用者M4が目的階以外の階で一時降車するときに実行される処理について、
図5を参照して説明する。
【0025】
まず、かご呼びが2つ以上自動登録された状態で(S11の「YES」)、最初の応答対象の呼びに応答するために動作制御部73により各機器の動作が制御され、乗りかご3が該当する階床に着床して戸開すると(S12)、当該運転情報が運転状況送信部74から利用者端末5−4に送信される(S13)。
【0026】
利用者端末5−4では、エレベータ制御装置7から送信された運転情報が運転状況受信部55で受信され、ELオペレーション情報生成部56に送出される。ELオペレーション情報生成部56では、利用者情報記憶部53に記憶された当該利用者の目的階の情報と、運転状況受信部55で受信されたエレベータの運転状況情報とに基づいて、当該利用者M4の目的階以外の階床に乗りかご3が着床し戸開したか否かが判定される(S14)。ここで、利用者M4の目的階以外の階床に着床し戸開したと判定されると(S14の「YES」)、当該利用者M4の乗りかご3の乗降状況が利用者乗降推定装置6に問い合わせられる(S15)。
【0027】
利用者乗降推定装置6では、利用者端末5−4からの問い合わせに応じて利用者位置監視部63で当該利用者M4の乗降状況が推定され、問い合わせ元の利用者端末5−4が乗りかご3内から乗車待機領域Xに移動したか否かが監視される(S16)。例えば、
図6に示すように、信号情報記憶部62に記憶された情報の履歴に基づいて、利用者端末5−4で受信されたビーコン信号の強度が、戸開直後で利用者M4が乗りかご3内にいるときには「8」であり、その後乗りかご3内の移動に伴って強度が低くなっていき、戸開5秒後に強度が「0.4」になると、当該利用者M4が乗りかご3から降車して乗車待機領域Xに移動したと判定される。そして、利用者端末5−4が乗りかご3内から乗車待機領域Xに移動したと判定されると(S16の「YES」)、降車推定情報が生成されて乗降推定情報送信部64から利用者端末5−4に送信される(S17)。
【0028】
利用者端末5−4では、ステップS15の問い合わせに応答して利用者乗降推定装置6から送信された降車推定情報が乗降推定情報受信部54で受信され、ELオペレーション情報生成部56に送出される。ELオペレーション情報生成部56では、当該利用者が目的階以外の階床で乗りかご3から降車したことから当該降車は一時降車であると判定され、一時降車推定情報が生成される(S18)。生成された一時降車推定情報は、ELオペレーション情報送信部57からエレベータ制御装置7に送信される(S18)。
【0029】
エレベータ制御装置7では、利用者端末5−4から送信された一時降車推定情報がELオペレーション情報受信部71から受信され、動作制御部73に送出される。動作制御部73では、一時降車推定情報が取得されると、再乗車支援処理として、一時降車した利用者の再乗車を優先させるための報知情報を乗場スピーカ装置22またはかご内スピーカ装置34の少なくともいずれかから出力させる制御が実行される。例えば、乗りかご3が着床した階で乗場呼びが発生している場合には、乗場スピーカ装置22およびかご内スピーカ装置34の双方から報知情報を出力させ、当該階で乗場呼びが発生していない場合には、かご内スピーカ装置34のみから報知情報を出力させる。上述したステップS15〜S19の処理は、当該利生者M4が乗場2に一時降車している間、繰り返される。
【0030】
その後、利用者M4が乗りかご3に再乗車し、利用者乗降推定装置6の利用者位置監視部63で当該利用者M4が乗りかごに乗車したと推定されると、乗降推定情報送信部64により乗車推定情報が生成され、利用者端末5−4に送信される。利用者端末5−4では、利用者乗降推定装置6から送信された乗車推定情報が乗降推定情報受信部54で受信され、ELオペレーション情報生成部56に送出される。ELオペレーション情報生成部56では、一時降車推定情報を生成した後に乗車推定情報を受信したことで、当該利用者M4が乗りかご3に再乗車したと判定され、再乗車通知情報が生成される。生成された再乗車通対情報は、ELオペレーション情報送信部57からエレベータ制御装置7に送信される。
【0031】
エレベータ制御装置7では、利用者端末5−4から送信された再乗車通知情報がELオペレーション情報受信部71で受信され、動作制御部73に送出される。動作制御部73では、再乗車通知情報が取得されると(S20の「YES」)、実施していた再乗車支援処理が終了され、報知情報の出力が停止される(S21)。
【0032】
以上の第1実施形態によれば、エレベータ利用者が目的階以外の階で一時降車したときに、当該利用者が確実に再乗車できるように支援することができる。
【0033】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータシステム1Bの構成は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてエレベータ制御装置7の動作制御部73は、ELオペレーション情報受信部71で一時降車推定情報が受信されると、戸開延長し、戸開ボタン32の操作を無効にするとともに、報知情報を出力させる。
【0034】
〈第2実施形態によるエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Bの動作について、
図7のシーケンス図を参照して説明する。本実施形態において、
図7のステップS31〜S38で実行される処理は、第1実施形態で説明したステップS1〜S18の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0035】
本実施形態において、ステップS37の処理により、エレベータ制御装置7の動作制御部73において一時降車推定情報が取得されると、乗りかご3が戸開延長され、戸開ボタン32の操作が無効にされるとともに、報知情報の出力が開始される(S38)。その後、利用者乗降推定装置6で生成された情報に基づいて、一時降車した利用者が乗りかご3に移動し、再乗車したと判定されると(S39の「YES」)、戸開延長および戸閉ボタン33の操作無効が取り消され、報知情報の出力が停止される(S41)。
【0036】
以上の第2実施形態によれば、エレベータ利用者が目的階以外の階で一時降車したときに、当該利用者がさらに確実に再乗車できるように支援することができる。
【0037】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータシステム1Cの構成は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてエレベータ制御装置7の動作制御部73は、利用者端末5のELオペレーション情報送信部57から一時降車推定情報を受信した後、当該利用者が乗りかご3に再乗車したことを示す情報を受信すると、一定時間戸閉を禁止してその間に発生した呼びの情報を一時記憶し、当該一定時間が経過すると、一時記憶した呼びに応答するための制御を行う。
【0038】
〈第3実施形態によるエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Cの動作について、
図8のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様にステップS31〜S38の処理が実行され、ステップS38の処理によりエレベータ制御装置7の動作制御部73において一時降車推定情報が取得されると、ステップS19〜S21の処理が実行されるとともに、一定時間戸閉が禁止される(S51)。
【0039】
そして、戸閉が禁止されている間に新たな呼びが発生して呼び登録部72に登録されると(S52の「YES」)、当該呼びの情報が動作制御部73に一時記憶される(S53)。このステップS52、S53の処理は、当該一定時間が経過するまで繰り返される(S54の「NO」)。その後、戸閉が禁止されてから一定時間が経過すると(S54の「YES」)、一時記憶した呼びに応答するための機器の制御が実行される(S55)。
【0040】
以上の第3実施形態によれば、エレベータ利用者が目的階以外の階で一時降車して再乗車した後、乗場にいる他の利用者にも十分な乗車時間を持たせることで、利用者の利便性をさらに向上させることができる。
【0041】
《第4実施形態》
〈第4実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第4実施形態によるエレベータシステム1Dの構成は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてエレベータ制御装置7の動作制御部73は、ELオペレーション情報受信部71で一時降車推定情報が受信され、乗りかご3の戸開から一定時間が経過すると、一時降車した利用者M4の利用者端末5−4でビーコン信号が受信されているか否かを確認し、受信されていなければ、報知情報の出力を停止するとともに、戸開延長および戸閉ボタン33の操作無効が取り消す。
【0042】
〈第4実施形態によるエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Dの動作について、
図9のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様にステップS11〜S18の処理が実行され、ステップS18の処理によりエレベータ制御装置7の動作制御部73において一時降車推定情報が受信され、乗りかご3の戸開から一定時間が経過すると(S61の「YES」)、一時降車した利用者M4の利用者端末5−4でビーコン信号が受信されているか否かが確認される(S62)。ここで、利用者端末5−4から送信される情報に基づいてビーコン信号が受信されていると判定されたときには(S62の「YES」)、ステップS19に移行し、第1実施形態で説明したステップS19〜S21の処理が実行される。このとき、第3実施形態で説明したステップS51〜S55の処理も実行されるようにしてもよい。
【0043】
また、利用者端末5−4でビーコン信号が受信されていないと判定されたときには(S62の「NO」)、戸開している階床で乗場呼びが発生して乗場呼びが登録されていれば(S63の「YES」)、乗場スピーカ装置22およびかご内スピーカ装置34からの報知情報の出力が停止される(S64)。また、戸開している階床で乗場呼びが登録されていなければ(S63の「NO」)、かご内スピーカ装置34からの報知情報の出力が停止される(S65)。
【0044】
そして、ステップS64またはS65の処理により報知情報の出力が停止されると、戸開延長および戸閉ボタン33の操作無効が取り消される(S66)。このとき、第3実施形態で説明したように一定時間戸閉が禁止されているときには、当該戸閉禁止の設定も取り消される。
【0045】
以上の第4実施形態によれば、乗りかごから一時降車したと判定した利用者が乗場から離れ、再乗車しないと判定したときには、報知情報の出力や戸閉の禁止等、一時降車した利用者を支援するための動作を停止させることで、エレベータを効率よく運転させることができる。
【0046】
《第5実施形態》
〈第5実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第5実施形態によるエレベータシステム1Eの構成は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態において利用者乗降推定装置6の利用者位置監視部63は、利用者が乗りかご3に乗り込んだと推定した後、当該利用者が乗りかご3に乗車している間、継続して当該利用者端末から送信される情報に基づいて、乗りかご3内における当該利用者の位置を推定する。乗降推定情報送信部64は、利用者位置監視部63で、乗りかご3の奥側に、着床階が目的階の利用者がおり、且つ、乗りかご3のかごドア付近に着床階が非目的階の利用者がいると推定された状態で、降車した利用者の利用者端末から乗降状況が問い合わせられると、一時降車の判定に利用するための降車推定情報の生成処理を実行する。
【0047】
〈第5実施形態によるエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Eの動作について、
図10のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、第1実施形態のステップS1〜S7の処理が実行され、利用者乗降推定装置6において乗りかご3に乗り込んだ利用者の利用者端末に乗車推定情報が生成された後、当該利用者が乗りかご3に乗車している間、継続して当該利用者端末から送信される情報に基づいて、乗りかご3内における当該利用者の位置が推定される(S71)。
【0048】
そして、推定した利用者の位置に基づいて、乗りかご3の奥側に、着床階が目的階の利用者がおり、且つ、乗りかご3のかごドア付近に着床階が非目的階の利用者がいると判定されると(S72の「YES」)、ステップS16に移行し、降車した利用者の利用者端末から乗降状況が問い合わせられたときに、一時降車の判定に利用するための降車推定情報の生成処理が実行される。ステップS72において乗りかご3の奥側に、着床階が目的階の利用者がいないと判定されたとき(S72の「NO」)、または、乗りかご3のかごドア付近に着床階が非目的階の利用者がいないと判定されたとき(S73の「NO」)には、降車推定情報の生成処理は実行されない。
【0049】
以上の第5実施形態によれば、乗りかご内に一時降車する利用者がいる状況のときにのみ、一時降車する利用者を支援するための処理を実行することで、効率よくエレベータの動作を制御することができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【課題】 乗りかご内のエレベータ利用者が目的階以外の階で一時降車したときに、当該利用者が確実に再乗車できるように支援するエレベータシステム、これに利用する利用者端末、およびエレベータ制御方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によればエレベータシステムは、乗りかごに設置されたビーコン端末と利用者端末と利用者乗降推定装置とエレベータ制御装置とを備える。利用者乗降推定装置は、ビーコン端末から送信されたビーコン信号を利用者端末で受信したときの強度情報の履歴に基づいて利用者の乗降状況を推定する。利用者端末は、利用者の目的階以外の階床で乗りかごが戸開したときに利用者乗降推定装置で利用者が乗りかごから降車したと推定されると、一時降車推定情報をエレベータ制御装置に送信する。エレベータ制御装置は、一時降車推定情報を受信すると一時降車した利用者の再乗車を優先させるための再乗車支援処理を実行する。