特許第6588185号(P6588185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6588185フィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6588185
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】フィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/10 20060101AFI20191001BHJP
   B08B 7/02 20060101ALI20191001BHJP
   B01D 41/04 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   B08B3/10 A
   B08B7/02
   B01D41/04
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-516272(P2019-516272)
(86)(22)【出願日】2018年12月12日
(86)【国際出願番号】JP2018045663
【審査請求日】2019年3月25日
(31)【優先権主張番号】特願2018-101606(P2018-101606)
(32)【優先日】2018年5月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513017021
【氏名又は名称】長瀬フィルター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】江口 敏記
(72)【発明者】
【氏名】志茂 仁祥
(72)【発明者】
【氏名】林 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】外本 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 茂
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/042630(WO,A1)
【文献】 国際公開第2018/078926(WO,A1)
【文献】 特公昭46−043758(JP,B1)
【文献】 特開2004−202454(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/198948(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/10
B01D 41/04
B08B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃波を発生する衝撃波発生工程と、
前記衝撃波をフィラーが付着したフィルターに接触させる衝撃波接触工程と、
を含み、
前記衝撃波接触工程において、前記衝撃波により、前記フィルターに与えられる圧力が0.07MPa以上である、
ことを特徴とする、フィルター洗浄方法。
【請求項2】
前記衝撃波接触工程において、前記衝撃波を、前記フィルターに水中下で接触させる、請求項1記載のフィルター洗浄方法。
【請求項3】
前記フィラーが、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、モンモリロナイト、セピオライト、クレー、ウォラスナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、石膏繊維、アルミボレート、繊維状マグネシウム化合物、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、マイカ、ガラスフレーク、ポリオキシベンゾイルウイスカー、ゼオライト、銀イオン担持ゼオライト、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、樹脂バルーン、カーボンブラック、黒鉛、金属粉、金属繊維、金属箔、カーボンナノチューブ、フェライト、磁性酸化鉄、サマリウムコバルト、Nd−Fe−B、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、鉛、タングステン、ステンレス、硫酸バリウム、硫化モリブデン、木炭粉、ガラスビーズ、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤燐、炭酸亜鉛、ドーソナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化セリウム、活性白土、高分子ゲル、顔料、ポリテトラフルオロエチレン粉末およびシリカゲルからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1または2記載のフィルター洗浄方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルター洗浄方法に用いられ、
衝撃波を発生させる衝撃波発生部と、
前記衝撃波発生部に隣接し、または前記衝撃波発生部を内部に収容し、かつ、前記フィラーが付着したフィルターを収納可能なフィルター収納部と、
を含み、
前記衝撃波により、前記フィルターに与えられる圧力が0.07MPa以上である、
ことを特徴とする、フィラー除去用のフィルター洗浄装置。
【請求項5】
前記フィルター収納部内に水が充填されており、
前記衝撃波を、前記フィルターに水中下で接触させる、請求項4記載のフィルター洗浄装置。
【請求項6】
前記フィラーが、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、モンモリロナイト、セピオライト、クレー、ウォラスナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、石膏繊維、アルミボレート、繊維状マグネシウム化合物、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、マイカ、ガラスフレーク、ポリオキシベンゾイルウイスカー、ゼオライト、銀イオン担持ゼオライト、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、樹脂バルーン、カーボンブラック、黒鉛、金属粉、金属繊維、金属箔、カーボンナノチューブ、フェライト、磁性酸化鉄、サマリウムコバルト、Nd−Fe−B、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、鉛、タングステン、ステンレス、硫酸バリウム、硫化モリブデン、木炭粉、ガラスビーズ、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ素亜鉛、赤燐、炭酸亜鉛、ドーソナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化セリウム、活性白土、高分子ゲル、顔料、ポリテトラフルオロエチレン粉末およびシリカゲルからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項4または5記載のフィルター洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルターの洗浄に、超音波洗浄が用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−358286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、超音波洗浄では、フィルターに付着したフィラー等の付着物を、物理的に除去不可能な場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、洗浄性能が超音波洗浄を上回る新たなフィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のフィルター洗浄方法は、
衝撃波を発生する衝撃波発生工程と、
前記衝撃波をフィラーが付着したフィルターに接触させる衝撃波接触工程と、
を含み、
前記衝撃波接触工程において、前記衝撃波により、前記フィルターに与えられる圧力が0.07MPa以上である、
ことを特徴とする。
【0007】
本発明のフィラー除去用のフィルター洗浄装置は、
前記本発明のフィルター洗浄方法に用いられ、
衝撃波を発生させる衝撃波発生部と、
前記衝撃波発生部に隣接し、または前記衝撃波発生部を内部に収容し、かつ、前記フィラーが付着したフィルターを収納可能なフィルター収納部と、
を含み、
前記衝撃波により、前記フィルターに与えられる圧力が0.07MPa以上である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置によれば、超音波洗浄を上回る洗浄性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施例における衝撃波発生部からの距離および衝撃波発生部へのチャージ電圧と、衝撃圧との関係の求め方を説明する模式図である。
図2図2は、本発明の実施例における衝撃波発生部からの距離および衝撃波発生部へのチャージ電圧と、衝撃圧との関係を示すグラフである。
図3図3は、本発明の実施例における洗浄性能評価方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、「衝撃波」とは、例えば、音速を超える速さで伝わる圧力変化の波である。本発明において、前記衝撃波の発生手段および発生方法に特に制限はなく、例えば、前記発生手段が、一対の電極であり、前記電極を用いたパルス放電等の放電により前記衝撃波を発生させてもよいし、前記発生手段が、火薬等の爆薬であり、その爆発により前記衝撃波を発生させてもよい。
【0011】
本発明において、「圧力」とは、例えば、ゲージ圧であってもよい。
【0012】
本発明のフィルター洗浄方法では、前記衝撃波接触工程において、前記衝撃波が、前記フィルターに水中下で接触してもよい。また、本発明のフィルター洗浄装置において、前記フィルター収納部内に水が充填されており、前記衝撃波が、前記フィルターに水中下で接触してもよい。
【0013】
本発明のフィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置において、前記フィラーは、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、モンモリロナイト、セピオライト、クレー、ウォラスナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、石膏繊維、アルミボレート、繊維状マグネシウム化合物、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、マイカ、ガラスフレーク、ポリオキシベンゾイルウイスカー、ゼオライト、銀イオン担持ゼオライト、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、樹脂バルーン、カーボンブラック、黒鉛、金属粉、金属繊維、金属箔、カーボンナノチューブ、フェライト、磁性酸化鉄、サマリウムコバルト、Nd−Fe−B、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、鉛、タングステン、ステンレス、硫酸バリウム、硫化モリブデン、木炭粉、ガラスビーズ、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤燐、炭酸亜鉛、ドーソナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化セリウム、活性白土、高分子ゲル、顔料、ポリテトラフルオロエチレン粉末およびシリカゲルからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
【0014】
つぎに、本発明のフィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置について、例をあげて説明する。本発明のフィルター洗浄方法は、例えば、図3に示すフィルター洗浄装置を用いて実施可能である。図3に示すように、このフィルター洗浄装置は、衝撃波発生部10と、フィルター収納部12と、を含む
【0015】
本例のフィルター洗浄装置は、フィルター収納部12の内部に、衝撃波発生部10を収容する。衝撃波発生部10は、アルミニウムワイヤーを張った電極端子に電荷をチャージした際の放電により衝撃波を発生する。この場合において、放電は、一回であってもよいし、連続した複数回であってもよい。衝撃波発生部10は、例えば、フィルター収納部12の内部において、支持部材(図示省略)によって所定の位置に配置される。
【0016】
図3には、フィルター収納部12の内部に、衝撃波発生部10が収容されたフィルター洗浄装置を示している。ただし、本発明は、この例に限定されない。本発明において、衝撃波発生部10が、例えば、後述の爆薬または打撃手段により衝撃波を発生するものである場合、衝撃波発生部10は、フィルター収納部12に隣接して設けられてもよい。
【0017】
図3には、前記衝撃波の発生手段として、アルミニウムワイヤーを張った電極端子を例示したが、本発明は、これに限定されない。前述のとおり、本発明において、前記衝撃波の発生手段および発生方法に特に制限はなく、例えば、前記発生手段が、電気雷管等により起爆される火薬等の爆薬であり、前記爆薬の爆発により前記衝撃波を発生させてもよい。また、例えば、前記発生手段が、ハンマー部材等の打撃手段であり、前記打撃手段を用いてフィルター収納部12に機械的な衝撃力を加えることにより前記衝撃波を発生させてもよい。これらの場合において、爆発または打撃は、一回であってもよいし、連続した複数回であってもよい。
【0018】
フィルター収納部12は、フィルター20を収納可能である。フィルター20は、例えば、支持部材(図示省略)によってフィルター収納部12の所定の位置に収納される。図3において、フィルター20の数は、一個であるが、これは例示であって、本発明は、これに限定されない。本発明において、フィルター収納部12に収納されるフィルター20の数は、複数であってもよい。
【0019】
フィルター収納部12の形成材料は、特に限定されず、例えば、樹脂;アルミニウム、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニッケル、タングステン、タングステン合金等の金属;等があげられる。
【0020】
フィルター収納部12内には、前記衝撃波を伝搬させる伝達媒体が充填されていてもよい。前記伝達媒体としては、例えば、水等の液体;ゴム等の弾性体、ジェル状の物体等の固体;大気等の気体;あるいはこれらの混合物等を用い得る。これらの中でも、前記衝撃波の伝達性の観点から、液体または固体が好ましく、さらに、安価かつ入手が容易であることから、水が好適である。前述のように、衝撃波発生部10が、フィルター収納部12に隣接して設けられる場合には、衝撃波発生部10内にも、同様の伝達媒体が充填されていてもよい。
【0021】
図3に示すフィルター洗浄装置を用いた本発明のフィルター洗浄方法は、例えば、つぎのようにして実施される。まず、衝撃波発生部10により、衝撃波を発生する。前記衝撃波は、フィルター収納部12内の前記伝達媒体(例えば、水)を伝搬して、フィルター20に接触する。フィルター20への前記衝撃波の接触により、フィルター20に付着したフィラーが粉砕され、前記伝達媒体に拡散されることで、除去される。このとき、前記衝撃波により、フィルター20に与えられる圧力を0.07MPa以上とすることで、後述の実施例で実証されているように、超音波洗浄を上回る洗浄性能が得られる。前記フィラーとしては、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、モンモリロナイト、セピオライト、クレー、ウォラスナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、石膏繊維、アルミボレート、繊維状マグネシウム化合物、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、マイカ、ガラスフレーク、ポリオキシベンゾイルウイスカー、ゼオライト、銀イオン担持ゼオライト、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、樹脂バルーン、カーボンブラック、黒鉛、金属粉、金属繊維、金属箔、カーボンナノチューブ、フェライト、磁性酸化鉄、サマリウムコバルト、Nd−Fe−B、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ベリリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、鉛、タングステン、ステンレス、硫酸バリウム、硫化モリブデン、木炭粉、ガラスビーズ等の各種ビーズ、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤燐、炭酸亜鉛、ドーソナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化セリウム、活性白土、高分子ゲル、顔料、ポリテトラフルオロエチレン粉末(例えば、テフロン(登録商標)粉等)、シリカゲル等があげられる。前記フィラーは、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。前記伝達媒体は、前記フィラーの拡散による汚れ具合により、適宜交換してもよい。
【実施例】
【0022】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例により限定および制限されない。
【0023】
〔衝撃波発生部からの距離および衝撃波発生部へのチャージ電圧と、衝撃圧との関係〕
まず、本発明のフィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置による洗浄性能評価に先立ち、衝撃波発生部からの距離および衝撃波発生部へのチャージ電圧と、衝撃圧との関係を求めた。
【0024】
図1に示すとおり、フィルター収納部(水を張った水槽)12内において、衝撃波発生部10と、圧力プローブ11との間隔(d[mm])、および、衝撃波発生部10へのチャージ電圧を変えながら、圧力プローブ11に接続したオシロスコープ13で、圧力を測定した。水槽12の大きさは、特に制限されず、本例では、496mm×496mm×598mmの直方体状の水槽12を用いた。また、水槽12に張る水の量も、特に制限されず、本例では、深さ約520mmとした。さらに、衝撃波発生部10の構成も、特に制限されず、本例では、線径0.9mm、線長60mmのアルミニウムワイヤーを張った電極端子に、パルス電源装置14を用いて電荷をチャージした際の放電により、前記衝撃波を発生させた。
【0025】
図2に示す結果から、衝撃波発生部10からの距離d[mm]および衝撃波発生部10へのチャージ電圧V[kV]と、衝撃圧P[MPa]には、下記式(1)の関係があることがわかった。

P=1.88×10×d−2.66×V3.19 (1)
【0026】
〔サンプルの準備〕
つぎに、本発明のフィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置による洗浄性能評価に用いるサンプルとして、表1に示すフィルター1〜3を準備した。なお、フィルター1〜3に付着している(捕集されている)フィラーは、酸化チタンである。
【0027】
【表1】
【0028】
〔洗浄性能評価〕
つぎに、図3に示すように、フィルター収納部(水を張った水槽)12内において、衝撃波発生部10と、サンプル20との間隔(d[mm])を500mmとし、衝撃波発生部10へのチャージ電圧を変えて、洗浄性能を評価した。図3において、水槽12の大きさ、水槽12に張る水の量、および衝撃波発生部10の構成は、図1におけるのと同様である。洗浄性能は、水槽12から引き上げた際にサンプル20に内包される水10mLをサンプル瓶に回収したものと、水槽12に張った水道水10mLをサンプル瓶に分取したものとのFUSO社製のデジタル濁度計「TU−2016」を用いて測定した濁度を比較することで評価した。評価は、1条件について、5回行った(N=5)。その結果を、表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表2に示すとおり、衝撃波により、フィルターに与えられる圧力が0.07MPa以上である実施例1〜3では、濁度が洗浄処理前を大幅に上回り、フィラーが十分に除去されることが確認された。一方、衝撃波により、フィルターに与えられる圧力が0.07MPa未満である比較例1および2では、濁度が洗浄処理前と変わらず、フィラーの除去が不十分であった。また、フィルター1〜3を超音波洗浄にかけても、フィラーの除去は確認されず、実施例1〜3では、洗浄性能が超音波洗浄を上回った。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明のフィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置は、洗浄性能が超音波洗浄を上回るものである。本発明のフィルター洗浄方法およびフィルター洗浄装置の用途は、特に限定されず、各種フィルターの洗浄に幅広く利用できる。
【0032】
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0033】
この出願は、2018年5月28日に出願された日本出願特願2018−101606を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0034】
10 衝撃波発生部
11 圧力プローブ
12 フィルター収納部(水槽)
13 オシロスコープ
14 パルス電源装置
20 フィルター(サンプル)
【要約】
洗浄性能が超音波洗浄を上回る新たなフィルター洗浄方法を提供する。
本発明のフィルター洗浄方法は、衝撃波を発生する衝撃波発生工程と、前記衝撃波をフィラーが付着したフィルターに接触させる衝撃波接触工程と、を含み、前記衝撃波接触工程において、前記衝撃波により、前記フィルターに与えられる圧力が0.07MPa以上であることを特徴とする。
図1
図2
図3