(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の水処理装置においては、槽下部において固液分離槽と好気消化槽の間で汚水が流通して、各槽において汚水の処理が行われる。このような汚水に処理においては、汚水が効率的に流通される必要があり、上記の水処理装置の構成に対して更なる改善の余地がある。本発明は、この点を鑑みてなされたものであり、効率的な被処理水の流通を促進する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、本発明によって解決される。本発明に係る水処理装置の好ましい形態によれば、汚泥を含む被処理水に対して処理を行う水処理槽を備えた水処理装置が構成される。この水処理装置は、槽本体と沈殿槽と縦孔と空気供給部を有する。槽本体は、水処理装置の外郭を構成する外壁を有する槽状の部材である。この槽本体の内部には、水処理領域として、被処理水を処理する各槽が設けられている。具体的には、被処理水に含まれる汚泥を沈殿させるための沈殿槽と、沈殿槽の底部と連通し、沈殿槽の被処理水が往来可能な縦孔を備える。更に、水処理装置は、縦孔に対して空気を供給可能な吸気供給部を有する。好適には、空気供給部から供給される空気が被処理水中を上昇することで上向流が発生し、当該上向流に応じて下向流が発生することで、縦孔内に旋回流が生成される。旋回流によって縦孔内の被処理水が撹拌されるため、縦孔は撹拌孔とも称する。この縦孔は、槽本体の外壁から離間して配置されている。縦孔は、槽本体において上下に延在する所定の区画壁によって区画される領域として構成されている。すなわち、縦孔とは、上下方向に延在する所定の長さを備えた領域として定義される。典型的には、区画壁は、槽本体の側壁から離間して配置されるとともに、槽本体の底部から離間し、これにより沈殿槽と縦孔が槽本体の底部において連通する。より好適には、水処理装置の外部から沈殿槽に被処理水が流入するように構成され、縦孔には、沈殿槽の底部領域を介して被処理水が移流されるように構成される。
【0006】
本発明によれば、縦孔は、槽本体の外壁から離間して配置されているため、縦孔の周りに、沈殿槽を配置することができる。そのため、槽本体の底部で連通する沈殿槽と縦孔において、複数の方向(例えば、槽本体の前後方向および左右方向)に関して沈殿槽と縦孔の連通を図ることができる。これにより、沈殿槽と縦孔の間において被処理水とともに汚泥の流通(交換)が効率的に行われる。
【0007】
本発明に係る水処理装置において、さらに縦孔は、濾材が設けられた濾材配置領域と、濾材配置領域以外の濾材非配置領域で構成されている。この濾材配置領域は、空気供給部の散気口の上方に設けられている。すなわち、濾材は、散気口の上方に設けられる。そして、空気供給部から供給される空気によって、濾材配置領域において上向流が発生し、濾材非配置領域において下向流が発生する。その結果、縦孔内に旋回流が生成される。したがって、空気によって縦孔内を撹拌するとともに、細分化された空気(気泡)によって縦孔内の旋回流によって旋回する汚泥が好気処理される。
【0008】
本発明に係る水処理装置の更なる形態によれば、
濾材は、縦孔に鉛直方向に延在するよう設けられた網状濾材により構成されている。そして、空気供給部から供給された空気が
網状濾材を通過することで、空気が細分化されるように構成されている。好適には、
網状濾材は円筒状に構成され、空気供給部は空気供給管が
網状濾材の内部を縦孔の下部領域まで貫通するように構成される。
【0009】
本発明に係る水処理装置の更なる形態によれば、槽本体は、互いに平行な第1外壁と第2外壁を有する。そして、縦孔は、第1外壁と第2外壁に直交する槽本体の幅方向に関して、槽本体の幅方向の中心領域を含む領域に配置されている。したがって、槽本体の幅方向に関して、縦孔の第1外壁側と第2外壁側には、沈殿槽が設けられる。そのため、沈殿槽と縦孔は、縦孔の第1外壁側および第2外壁側の各領域において連通する。好適には、縦孔は、槽本体における幅方向の中心を通り第1外壁および第2外壁に平行な仮想平面に対して対称な領域によって構成される。
【0010】
本発明に係る水処理装置の更なる形態によれば、槽本体内において、沈殿槽の下流には、被処理水を好気処理または嫌気処理する処理槽が設けられている。なお、処理槽としては、好気処理槽および/または嫌気処理槽が設けられる。また、好気処理槽および嫌気処理槽以外の処理槽が更に設けられていてもよい。好気処理槽と嫌気処理槽が設けられる構成においては、嫌気処理槽が上流側であり、好気処理槽が下流側であることが好ましい。そして、槽本体には、沈殿槽と処理槽を区画するための隔壁が設けられており、当該隔壁に、縦孔を形成するための縦孔形成壁部が取り付けられている。典型的には、水処理装置は、槽状の槽本体に対して隔壁を取り付けることで、各水処理領域を構成する。そのため、隔壁と縦孔形成壁部が予め一体となったアセンブリ体が構成され、当該アセンブリ体が槽本体に取り付けられることが好ましい。この場合には、隔壁の組み付けと同時に縦孔が設けられる。したがって、水処理装置の製造工程の簡略化が図られる。
【0011】
本発明に係る水処理装置の更なる形態によれば、処理槽内の被処理水を沈殿槽に移流させて沈殿槽と処理槽の間で被処理水を循環させる循環機構が設けられている。循環機構として好適には、処理槽内の被処理水を沈殿槽に返送するポンプが用いられる。より好適には、水処理槽内の被処理水の水位に応じて揚程が変動することで、被処理水の移送量を可変とするエアリフトポンプが用いられる。
【0012】
本発明に係る水処理装置の更なる形態によれば、隔壁には、縦孔を挟んで、沈殿槽から処理槽に被処理水を移流させるための2つの移流開口が形成されている。したがって、撹拌槽が中央領域に設けられている構成であっても、2つの移流開口を介して被処理水を移流させることができる。その結果、沈殿槽から処理槽へ被処理水が効率的に移流される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水処理装置において、効率的な被処理水の流通を促進する技術が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の代表的な実施形態における水処理装置の構成を
図1〜
図6を参照して説明する。なお、本実施形態は、一般家庭、集合住宅等から排出される原水(「排水」ないし「被処理水」ともいう)を水処理領域に受け入れて処理する水処理装置について説明するものである。
【0016】
図1に示すように、水処埋装置100は、当該水処埋装置100の躯体(外郭)を構成する槽状の処理槽本体101を有する。
図1および
図2に示すように、処理槽本体101は、平面視で略矩形状に形成され、互いに平行な側壁101a,101bと、互いに平行な側壁101c,101dと、底壁101eおよび上壁101fによって構成される。この水処埋装置100は、屎尿と併せて生活雑排水(生活系の汚水)を処理する構成の水処理装置である。この処理槽本体101が、本発明における「槽本体」に対応する実施構成例である。
【0017】
図1に示すように、処理槽本体101は、流入管102、流出管103及びマンホール部104を備えている。流入管102は、被処理水(原水)を処理槽本体101の内部空間に導入するための開口部分として構成される。流出管103は、処理後の水を処理槽本体101の内部空間から導出するための開口部分として構成される。マンホール部104は、入槽用、内部点検用、清掃用のマンホールが形成された部位として構成される。
【0018】
なお、処理槽本体101のうちのマンホール部104側(上壁101f側)が槽上方または槽上部と規定され、その反対側(底壁101e側)が槽下方、槽下部または槽底部と規定される。また、処理槽本体101のうちの流入管102側(側壁101c側)が上流側と規定され、また流出管103側(側壁101d側)が下流側と規定される。また、
図1において、マンホール部104の延在面に沿った方向が水平方向(槽前後方向とも称す)と規定され、水平方向と交差する方向が鉛直方向(槽上下方向とも称す)と規定される。また、
図1の紙面に垂直な方向(槽前後方向と槽上下方向に直交する方向、
図3における上下方向)が槽左右方向と規定される。なお、
図1〜
図6における矢印は、被処理水の流れを示している。
【0019】
図1に示すように、処理槽本体101の内部空間には、流入管102を通じて受け入れた原水を貯留しつつ所定の水処理がなされる水処理領域が形成されている。この水処理領域には、沈殿分離槽120、清掃孔130、嫌気処理槽140、好気処理槽150、処理水槽160及び消毒槽170が形成されている。
図2に示すように、流入管102を通じて処理槽本体101(流入バッフル110)に流入した排水は、沈殿分離槽120、嫌気処理槽140、好気処理槽150、処理水槽160及び消毒槽170において順次処埋され、処理後の水は流出管103を通じて処理槽本体101の外部へと流出される。また、沈殿分離槽120と清掃孔130の間、および嫌気処理槽140と好気処理槽150の間では、被処理水が循環するように構成されている。なお、水処理装置100は、処理槽本体101外へと流出した水をそのまま放流する浄化槽として構成されてもよいし、或いは処理槽本体101外へと流出した水をトイレや散水用の水として再利用する水再利用装置として構成されてもよい。
【0020】
流入バッフル110は、水処理領域のうちの最上流領域を構成している。流入管102から流入バッフル110に流入した排水は、沈殿分離槽120に移流される。沈殿分離槽120に流入した被処理水は固液分離処理され、被処理水から分離された固形成分は沈殿汚泥として沈殿分離槽120の底部に堆積される。流入バッフル110に排水が流入することで、排水が間接的に沈殿分離槽120に流入され、沈殿分離槽120おける沈殿した汚泥等の撹拌が抑制される。この流入バッフル110を備えた沈殿分離槽120が、本発明における「沈殿槽」に対応する実施構成例である。
【0021】
図1および
図3に示すように、沈殿分離槽120とその下流側の嫌気処理槽140の間には槽上下方向に延在する隔壁105が設けられている。この隔壁105は、側壁101a,101bおよび底壁101eに取り付けられる。
図4に示すように、隔壁105における上方領域には、沈殿分離槽120と嫌気処理槽140を連通する左右の開口部105a,105bが形成されている。
図3および
図4に示すように、隔壁105には、沈殿分離槽120と清掃孔130を区画するための区画壁131が取り付けられている。この区画壁131は、槽左右方向に関して、側壁101a,101bから離間して設けられ、槽前後方向に関して、側壁101c,101dから離間して設けられている。この区画壁131によって、清掃孔130が、槽左右方向に関する隔壁105の中央領域に対応して設定される。すなわち、清掃孔130は、処理槽本体101の槽左右方向に関する中心部を含み、
図3に示すように当該中心部に対して対称な形状を有する。換言すると、清掃孔130は、処理槽本体101の槽左右方向に関する中心と通過し、槽前後方向に延在する仮想平面に対して対称に形成されている。この清掃孔130に対して、開口部105a,105bは、清掃孔130の左右にそれぞれ設けられている。この隔壁105および区画壁131がそれぞれ、本発明における「隔壁」および「縦孔形成壁部」に対応する実施構成例である。また、清掃孔130が、本発明における「縦孔」に対応する実施構成例である。また、開口部105a,105bが、本発明における「移流開口」に対応する実施構成例である。また、側壁101a,101bがそれぞれ、本発明における「第1外壁」および「第2外壁」に対応する実施構成例である。
【0022】
図1および
図4に示すように、区画壁131の下端部は、処理槽本体101の底部(底壁101e)から離間するように配置されており、これにより沈殿分離槽120の下方領域は、清掃孔130に連通している。すなわち、区画壁131の下端部は、清掃孔130の下端開口130aとして形成されており、下端開口130aは、底壁101eから上方に離間するように形成される。なお、区画壁131の上端部の清掃孔130の上端開口130bは、上壁101fから下方に離間するように形成される。清掃孔130には、ドラフトチューブとして形成された長尺状かつ網目状の濾材132および濾材132を貫通する第1散気管190が設けられている。第1散気管190は、
図4に示すように、清掃孔130における右側の領域に配置されている。この清掃孔130における右側の領域が、本発明における「濾材配置領域」に対応する実施構成例である。したがって、清掃孔130における濾材が配置されていない左側の領域が、本発明における「濾材非配置領域」に対応する実施構成例である。第1散気管190の下端部から下端開口130aを介して清掃孔130内に空気が供給されると、清掃孔130の右側の領域には上向流が発生し、清掃孔130の左側の領域には下向流が発生する。これにより、清掃孔130内に旋回流が発生し、清掃孔130内の被処理水が撹拌される。したがって、清掃孔130は、被処理水を撹拌する撹拌孔とも称する。この濾材132が、本発明における「濾材」に対応する実施構成例である。また、第1散気管190が、本発明における「空気供給部」に対応する実施構成例である。
【0023】
第1散気管190から散気された空気は、濾材132を通過して細分化される。沈殿分離槽120の底部に堆積した汚泥は、旋回流(上向流および下向流)によって被処理水とともに清掃孔130内を循環する。清掃孔130において、汚泥は、細分化された空気によって効率的に好気処理される。水処理領域における水位の変動により、清掃孔130内の汚泥と沈殿分離槽120の底部の汚泥は往来し、これにより沈殿分離槽120内に気泡を含む汚泥が供給される。その結果、沈殿分離槽120においては、気泡を含む汚泥が浮上してスカム化し、高濃度に汚泥が貯留される。
【0024】
図3に示すように、沈殿分離槽120内の被処理水は、左右の開口部105a,105bを通じて、下流側の嫌気処理槽140に移送される。
【0025】
図1、
図3および
図5に示すように、嫌気処理槽140は、第1嫌気室141、第2嫌気室142を備えている。嫌気処理槽140とその下流側の好気処理室150の間には槽上下方向に延在する隔壁106が設けられている。この隔壁106の前側(上流側)には、
図3に示すように、第1嫌気室141と第2嫌気室142を区画するための区画壁143が取り付けられている。この区画壁143によって、第2嫌気室142が、槽左右方向に関する隔壁106の中央領域に対応して設定される。
図5に示すように、区画壁143の下端部は、処理槽本体101の底部から離間するように配置されており、これにより第1嫌気室141の下方領域は、第2嫌気室142に連通している。
【0026】
また、
図3に示すように、隔壁106の後側(下流側)には、隔壁106の下流側の領域を好気処理槽150と処理水槽160に区画するための区画壁161が取り付けられている。区画壁143で区画される第2嫌気室142の槽左右方向の長さは、区画壁161で区画される処理水槽160の槽左右方向の長さより長くなるように設定される。これにより、
図3、
図5および
図6に示すように、隔壁106のうち、槽左右方向に関して、区画壁161の外側(処理水槽160の外側)であって、区画壁143の内側(第2嫌気室142の内側)において、第2嫌気室142と好気処理槽150を連通する左右の開口部106a,106bが設けられる。
【0027】
隔壁106は、区画壁143および区画壁161が隔壁106に予め取り付けられた状態で、処理槽本体101に組み付けられる。すなわち、隔壁106、区画壁143および区画壁161はアセンブリ体として構成される。これにより、水処理装置100の製造工程において、第2嫌気室142、好気処理槽150および処理水槽160が効率的かつ簡易的に設置される。
【0028】
第1嫌気室141のうち槽上下方向における中間領域には、有機汚濁物質を嫌気処理する嫌気性微生物が付着する所定量の嫌気濾材が充填された嫌気濾床144が処理槽本体101に支持されるように設けられている。嫌気濾材としては、平板状の濾材や骨格様球状の濾材を好適に用いることができる。この嫌気濾床144では、被処理水が嫌気処理及び濾過処理され、これによりBODの低減と汚泥物の除去が行なわれる。
【0029】
第1嫌気室141で嫌気処理された被処理水は、第1嫌気室141の下方領域から第2嫌気室142の下方領域に移送され、第2嫌気室142内を上昇する。その後、被処理水は、開口部106aおよび開口部106bを通過して好気処理槽150に移流される。
【0030】
この第2嫌気室142には、第1エアリフトポンプ180が設置されている。この第1エアリフトポンプ180は、嫌気処理槽140内に沈殿した汚泥を被処理水とともに、流入バッフル110に返送する。この第1エアリフトポンプ180は、嫌気濾床が設けられていない第2嫌気室142に設けられている。そのため、第1エアリフトポンプ180と嫌気濾床144との干渉が回避される。すなわち、第2嫌気室142は、嫌気処理槽140に流入した被処理水を第1嫌気室141内において下向流として流通させて嫌気処理する機能と、第1エアリフトポンプ180を嫌気濾床144から隔離する機能を有する。この第1エアリフトポンプ180が、本発明における「循環機構」に対応する実施構成例である。
【0031】
図3に示すように、隔壁106の下流側には、槽左右方向に関する中央領域に処理水槽160が設定されている。また、
図6に示すように、好気処理槽150は、処理槽本体101内において、処理水槽160を挟んで左側領域と右側領域が下部領域で連通するように形成される。この好気処理槽150の下部領域は、処理水槽160に連通している。
【0032】
図6に示すように、好気処理槽150内には、被処理水中の有機汚濁物質を好気分解(好気処理)する好気性微生物が付着する好気濾床151a,151bが設けられている。好気濾床151aは、好気濾床151bより下方の領域に設けられている。好気濾床151aは、網様ロール状の濾材によって構成されている。具体的には、網様ロール状の濾材は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなる線材が立体的に絡まる網状体であり、直径約100mm、長さ約100mmの円筒形に成形されている。したがって、好気濾床151aは、複数の網様ロール状の濾材が所定の領域に充填されて構成されている。なお、好気濾床151aの好気濾材は、網状体、球状体、板状体の濾材や、多孔質材料で成形された濾材を用いてもよい。一方、好気濾床151bは、ブロック状の(単一の)濾材によって構成されている。具体的には、ブロック状の濾材は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなる線材が立体的に絡まる網状体であり、ブロック状に一体に成形されている。したがって、上側の好気濾床151bは、下側の好気濾床151aの複数の濾材が流出を防止する蓋の機能を有する。この好気濾床151bは、処理槽本体101に支持されたネットや板状部材等の保持部材によって保持されている。なお、好気濾床151bの好気濾材は、一体に成形された濾材であれば、板状等の他の形状に成形されていてもよい。
【0033】
図6に示すように、好気処理槽150には、第2散気管191が設けられている。これにより、好気濾床151を通過する被処理水は、第2散気管191から供給される空気によって好気処理される。好気濾床151a,151bによって好気処理された被処理水は、好気処理槽150の下部領域に移送される。
【0034】
図1および
図6に示すように、処理水槽160には、第2エアリフトポンプ181が設けられている。第2エアリフトポンプ181は、処理水槽160の下部領域まで延在している。これにより、好気処理槽150から処理水槽160に移送される被処理水の一部は、処理水槽160に移送される前に、第2エアリフトポンプ181によって流入バッフル110に返送される。これにより、水処理装置100内の被処理水は、流入バッフル110、沈殿分離槽120、嫌気処理槽140および好気処理槽150を循環する。この第2エアリフトポンプ181が、本発明における「循環機構」に対応する実施構成例である。
【0035】
図1および
図2に示すように、処理水槽160内には、区画壁171によって区画された消毒槽170が設けられている。また、処理水槽160には、処理水槽160内の被処理水を消毒槽170に移送するための第3エアリフトポンプ182が設けられている。
【0036】
消毒槽170には、消毒処理を行うための固形消毒剤が充填された薬剤筒(図示省略)が設けられている。この薬剤筒から溶出した消毒剤によって消毒処理がなされた後の水は、流出管103を通じて処理槽本体101の外部へと排出される。なお、消毒槽170の下流には、更に別の槽、例えば放流用のポンプが設置された放流ポンプ槽などを設けてもよい。
【0037】
これら第1〜第3エアリフトポンプ180〜182および第1、第2散気管190,191は、空気供給装置(図示省略)に接続されており、エアバルブによって空気の供給および遮断が切り替えられる。なお、第1〜第3エアリフトポンプ180〜182および第1、第2散気管190,191に設けられたエアバルブは、コントローラ(図示省略)によって制御されている。
【0038】
水処理領域における水位の変動に伴って、第1〜第3エアリフトポンプ180〜182の揚程が変動する。すなわち、水処理領域における被処理水の水位が高くなると、揚程が短くなり、エアリフトポンプによる被処理水の移送量が多くなる。一方、水処理領域における被処理水の水位が低くなると、揚程が長くなり、エアリフトポンプによる被処理水の移送量が少なくなる。そのため、エアリフトポンプを利用することにより、水処理装置100に流入する排水が多くなり水処理領域の水位が上昇した場合であっても、水位の上昇に応じてエアリフトポンプの能力を上げることができる。
【0039】
以上の本実施形態によれば、水処理装置100において、平面視で清掃孔130が沈殿分離槽120に囲まれるように配置されている。そのため、複数の方向において沈殿分離槽120と清掃孔130の連通が図られる。すなわち、処理槽本体101の左右方向および前後方向において、沈殿分離槽120と清掃孔130が連通する。これにより、沈殿分離槽120と清掃孔130の間において被処理水が効率的に流通される。
【0040】
また、本実施形態によれば、第1散気管190から供給される空気によって、清掃孔130内の被処理水に旋回流を発生させるとともに、旋回流による被処理水の流れによって沈殿分離槽120と清掃孔130の間において被処理水が効率的に流通される。
【0041】
また、本実施形態によれば、第1散気管190から供給される空気が濾材132によって細分化されるため、清掃孔130内を旋回する被処理水に含まれる汚泥を細かい気泡によって効果的に好気処理することができる。
【0042】
以上の本実施形態においては、水処理装置100にエアリフトポンプを設けていたが、エアリフトポンプ以外の水中ポンプを設置してもよい。その場合には、コントローラが、水位の変動に応じて、水中ポンプによる被処理水の移送量を制御する。
【0043】
また、以上の実施形態においては、水処理装置100は、流入バッフル110、沈殿分離槽120、清掃孔130、嫌気処理槽140、好気処理槽150、処理水槽160及び消毒槽170の各処理要素によって構成される場合について説明したが、処理要素の数や種類に関しては必要に応じて種々選択が可能である。
【0044】
また、以上の実施形態においては、一般家庭、集合住宅等から排出される原水を処理する水処理装置100について記載したが、本発明は、一般家庭、集合住宅以外に、商業施設、公共施設、工場等の設備から排出される原水を処理する水処理装置に対しても適用することが可能である。
【0045】
(実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係)
以上の実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、実施形態の構成に限定されるものではない。なお、実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。
水処理装置100は、本発明の「水処理装置」に対応する構成の一例である。
処理槽本体101は、本発明の「槽本体」に対応する構成の一例である。
側壁101a,101b,101c,101dは、本発明の「外壁」に対応する構成の一例である。
底壁101eは、本発明の「外壁」に対応する構成の一例である。
上壁101fは、本発明の「外壁」に対応する構成の一例である。
側壁101aは、本発明の「第1外壁」に対応する構成の一例である。
側壁101bは、本発明の「第2外壁」に対応する構成の一例である。
沈殿分離槽120は、本発明の「沈殿槽」に対応する構成の一例である。
清掃孔130は、本発明の「縦孔」に対応する構成の一例である。
区画壁131は、本発明の「縦孔形成壁部」に対応する構成の一例である。
濾材132は、本発明の「濾材」に対応する構成の一例である。
隔壁105は、本発明の「隔壁」に対応する構成の一例である。
開口部105aは、本発明の「移流開口」に対応する構成の一例である。
開口部105bは、本発明の「移流開口」に対応する構成の一例である。
第1エアリフトポンプ180は、本発明の「循環機構」に対応する構成の一例である。
第2エアリフトポンプ181は、本発明の「循環機構」に対応する構成の一例である。
第1散気管190は、本発明の「空気供給部」に対応する構成の一例である。