特許第6588213号(P6588213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6588213-衛生用紙収納カートン 図000003
  • 特許6588213-衛生用紙収納カートン 図000004
  • 特許6588213-衛生用紙収納カートン 図000005
  • 特許6588213-衛生用紙収納カートン 図000006
  • 特許6588213-衛生用紙収納カートン 図000007
  • 特許6588213-衛生用紙収納カートン 図000008
  • 特許6588213-衛生用紙収納カートン 図000009
  • 特許6588213-衛生用紙収納カートン 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588213
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】衛生用紙収納カートン
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20191001BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20191001BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20191001BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20191001BHJP
   B65D 25/22 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   B65D83/08 A
   B65D5/54 A
   A47K10/20 C
   A47K10/20 A
   A47K10/42 B
   B65D25/22 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-47812(P2015-47812)
(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2016-169011(P2016-169011A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】吉田 翔平
【審査官】 蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−006621(JP,A)
【文献】 実開平07−026339(JP,U)
【文献】 特開2009−208828(JP,A)
【文献】 実開平04−032980(JP,U)
【文献】 実開昭55−024941(JP,U)
【文献】 特開平11−227758(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0011879(US,A1)
【文献】 米国特許第4274573(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20
A47K 10/42
B65D 5/54
B65D 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面構成部材により衛生用紙を収納し得る内部空間が区画形成された箱状で、前記面構成部材に衛生用紙を取り出すための取出口領域を包囲する環状の取出口用切込線が形成された衛生用紙収納カートンであって、
前記面構成部材の一部を外側に展開してフック部を構成するためのフック部用切込線が形成され、前記フック部用切込線は、前記フック部の基端で断絶しており、基端を起点に曲げられて外側に展開され、
前記フック部は外側に展開された状態において、前記面構成部材の一面から離れるように前記基端から延びる基端部と、前記一面と略平行な方向に前記基端部の先端部から延びる捕捉部と、前記一面に近づくように前記捕捉部の先端部から延びる抜け止め部と、から構成され、
前記基端部と前記抜け止め部との間に内側保持領域が形成され、
前記基端における折曲線と、前記抜け止め部の先端の前記フック部用切込線とが略一直線上に位置している衛生用紙収納カートン。
【請求項2】
前記フック部用切込線により前記フック部が複数設けられる請求項1に記載の衛生用紙収納カートン。
【請求項3】
2つの前記フック部の連結一体化により成る一つの連結体フックを構成可能にする連結スリットを構成するためのスリット用切込線が当該連結されるフック部のそれぞれに形成された請求項2に記載の衛生用紙収納カートン。
【請求項4】
前記スリット用切込線が当該連結されるフック部のそれぞれに前記連結スリットが抱き合わせ関係となるように複数本形成されている請求項3に記載の衛生用紙収納カートン。
【請求項5】
前記連結体フックが複数構成可能にされた請求項3又は4に記載の衛生用紙収納カートン。
【請求項6】
前記複数のフック部が同側向きに構成される請求項から請求項5のうちいずれか一項に記載の衛生用紙収納カートン。
【請求項7】
前記フック部用切込線を前記取出口領域の反対面に有する請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の衛生用紙収納カートン。
【請求項8】
前記フック部を掛け止める相手部材を当該フック部の内側に保持する内側保持領域が、前記取出口領域から垂直な方向に配置可能にされた請求項7に記載の衛生用紙収納カートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー等の衛生用紙を収納するための衛生用紙収納カートンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都心への人口集中の結果、一人あたりの居住面積が減少している。ティシュカートンについても、生活者から「置き場所を増やしたい」「省スペースに設置したい」等の意見が出ている。
しかし、ティシュカートンは内包するティシュの折り畳みシート寸法よりも大きい必要があることから、コンパクト化には限界があり、壁や引き出し等に吊り下げない限りはテーブルなどの天面上のスペースをゼロにすることが難しい。
また、現在のティシュカートン形状では、壁や柱、引き出し等に吊り下げて使用することは難しく、生活者はティシュカートンにカバーをつけて、カバーの紐をフックに通し、吊り下げることで、壁に掛け止めて使用していた。
そこで、引き出しの取っ手等に係止して使用できる係止部材をカートンの面構成部材により同カートンに設けることで、他の部材を使用せずにカートン単体でも引き出しの取っ手等に係止して使用できるようにすることが一つの課題となる。
かかる課題に対応して特許文献1−3には、カートンの底面、側面等を構成する部材の一部を外側に展開させた係止部材を構成できる衛生用紙収納カートンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−212230号公報
【特許文献2】特開2013−006621号公報
【特許文献3】特開2005−219809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1−3に記載の係止部材はフック状ではなく、2枚の舌片(タブ)を連結してループ状に構成するものや、一枚の舌片(タブ)に取付用の孔を形成したループ状のものであり、係止する相手部材がフックや片持ち棒である場合を想定しているため、係止する相手部材が両持ち取っ手等のループ状である場合は、取付作業が煩雑になったり、取付不可であったりするという問題がある。
【0005】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、引き出しの取っ手等に掛け止めて使用できるフックを衛生用紙収納カートンの面構成部材により同カートンに設けることで、他の部材を使用せずに同カートン単体でも引き出しの取っ手等に掛け止めて使用できるようにすること、さらには同フックの耐久性、掛け止めて使用する場合に同カートンからの衛生用紙の取り出し性を良好にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、面構成部材により衛生用紙を収納し得る内部空間が区画形成された箱状で、前記面構成部材に衛生用紙を取り出すための取出口領域を包囲する環状の取出口用切込線が形成された衛生用紙収納カートンであって、
前記面構成部材の一部を外側に展開してフック部を構成するためのフック部用切込線が形成され、前記フック部用切込線は、前記フック部の基端で断絶しており、基端を起点に曲げられて外側に展開され、
前記フック部は外側に展開された状態において、前記面構成部材の一面から離れるように前記基端から延びる基端部と、前記一面と略平行な方向に前記基端部の先端部から延びる捕捉部と、前記一面に近づくように前記捕捉部の先端部から延びる抜け止め部と、から構成され、
前記基端部と前記抜け止め部との間に内側保持領域が形成され、
前記基端における折曲線と、前記抜け止め部の先端の前記フック部用切込線とが略一直線上に位置している衛生用紙収納カートンである。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、引き出しの取っ手等に掛け止めて使用できるフックを衛生用紙収納カートンの面構成部材により同カートンに設けることができるため、他の部材を使用せずに同カートン単体でも引き出しの取っ手等に掛け止めて使用できるようにすることができる。フックであるので、掛け止める相手部材がループ状である場合にも取付が容易である。また、フック部を掛け止める相手部材からの抜けを防止でき、ひいてはカートンの脱落を防止できる。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記フック部用切込線により前記フック部が複数設けられる請求項1に記載の衛生用紙収納カートンである。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、複数のフックにより複数の支点が設けられてカートンを安定的に支持することができ、荷重を複数のフックに分散でき、フックの耐久性を向上でき、ひいてはカートンの脱落を防止できる。
【0010】
請求項3記載の発明は、2つの前記フック部の連結一体化により成る一つの連結体フックを構成可能にする連結スリットを構成するためのスリット用切込線が当該連結されるフック部のそれぞれに形成された請求項2に記載の衛生用紙収納カートンである。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、フック単体の耐久性を向上することができ、ひいてはカートンの脱落を防止できる。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記スリット用切込線が当該連結されるフック部のそれぞれに前記連結スリットが抱き合わせ関係となるように複数本形成されている請求項3に記載の衛生用紙収納カートンである。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、フック単体の耐久性を向上することができ、ひいてはカートンの脱落を防止できる。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記連結体フックが複数構成可能にされた請求項3又は4に記載の衛生用紙収納カートンである。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、フック単体の耐久性が向上されるとともに、荷重を複数のフックに分散してカートンを安定的に支持することができ、ひいてはカートンの脱落を防止できる。
【0016】
請求項6記載の発明は、前記複数のフック部が同側向きに構成される請求項から請求項5のうちいずれか一項に記載の衛生用紙収納カートンである。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、複数のフックが互いに反対側向きに構成されることなく、同側向きに構成されるので、複数のフックを同時に使用してカートンを掛け止めることが容易である。
【0018】
請求項7記載の発明は、前記フック部用切込線を前記取出口領域の反対面に有する請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の衛生用紙収納カートンである。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、引き出しの取っ手等に掛け止めて取出口を取り出しやすい方向へ向けることが容易であり、これにより衛生用紙の取り出し性を良好にすることができる。
【0020】
請求項8記載の発明は、前記フック部を掛け止める相手部材を当該フック部内側に保持する内側保持領域が、前記取出口領域から垂直な方向に配置可能にされた請求項7に記載の衛生用紙収納カートンである。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、取出口からの衛生用紙の取出時にカートンに負荷される引っ張り力の略軸線上にフックの内側保持領域、従って、掛け止める相手部材を配置することができるために、フックの内側保持領域の位置が上すぎる場合に生じるカートンの揺れ動きを抑えて取り出し性を良好にすることができるとともに、フックの内側保持領域の位置が下すぎる場合に生じるカートンの脱落やカートンを掛け止められない事態を防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、引き出しの取っ手等に掛け止めて使用できるフックを衛生用紙収納カートンの面構成部材により同カートンに設けることで、他の部材を使用せずに同カートン単体でも引き出しの取っ手等に掛け止めて使用できるようにすること、さらには同フックの耐久性、掛け止めて使用する場合に同カートンからの衛生用紙の取り出し性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る衛生用紙収納カートンの組立てフック構成済み状態の斜視図であり、各フック部に連結スリットを1本有するもので連結体フックが構成されたものを示す。
図2】本発明の一実施形態に係る衛生用紙収納カートンの展開平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る衛生用紙収納カートンの2つのフック部の拡大平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る衛生用紙収納カートンの掛け止め形態を示す側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る衛生用紙収納カートンの2つのフック部の拡大平面図であり、各フック部に連結スリットを構成するためのスリット用切込線を1本有するものを示す。
図6】本発明の一実施形態に係る衛生用紙収納カートンの2つのフック部の拡大平面図であり、各フック部に連結スリットを構成するためのスリット用切込線を2本有するものを示す。
図7】本発明の一実施形態に係る衛生用紙収納カートンの組立てフック構成済み状態の斜視図であり、各フック部に連結スリットを2本有するもので連結体フックが構成されたものを示す。
図8】本発明の一実施形態に係る衛生用紙収納カートンの掛け止め形態を示す上面図であり、各フック部に連結スリットを1本有するもので連結体フックが構成されたものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0025】
本実施形態の衛生用紙収納カートン100は、ティシュペーパー、キッチンペーパーなどの衛生用紙を収納するカートンである。
図1に示すように衛生用紙収納カートン100は、直方体であり、衛生用紙を取り出すための取出口領域21が設けられた面を上面として、上面構成部材20と、底面構成部材30と、一対の側面構成部材41,42と、一対の妻面構成部材51,52とにより衛生用紙を収納し得る内部空間が区画形成された箱状に形成されている。
【0026】
図1及び図2に示すように上面構成部材20に取出口領域21を包囲する環状の取出口用切込線22が形成されている。取出口領域21は、上面構成部材20の長辺に平行に長く形成されている。上面構成部材20の2つの長辺に隣接して一対の側面構成部材41,42が連続しており、上面構成部材20の2つの短辺に隣接して一対の妻面構成部材51,52が連続している。
底面構成部材30は、上面構成部材20の反対面である。底面構成部材30の2つの長辺に隣接して一対の側面構成部材41,42が連続しており、底面構成部材30の2つの短辺に隣接して一対の妻面構成部材51,52が連続している。
衛生用紙収納カートン100は、以上のような構成の箱体である。形状は一例であってこれに限定されるものではない。
【0027】
底面構成部材30に4つのフック部31(31a−d)が構成される。フック部31は、底面構成部材30の一部を衛生用紙収納カートン100の外側に展開して構成されるもので、そのためにフック部用切込線35が形成されている。
図3に示すフック部31の基端32でフック部用切込線35は断絶しており、フック部31は展開後にも衛生用紙収納カートン100本体に繋がった一部として使用される。フック部31の展開後も、底面構成部材30のうちフック部31以外の部分は、衛生用紙収納カートン100の底面Bに配置されたままである。
4つのフック部31(31a−d)は、すべて同一形状である。但し、フック部31aとフック部31bとが対称形に、フック部31cとフック部31dとが対称形に形成される。
図3に示すように、フック部31は、基端32を起点に曲げられて外側に展開される。フック部31は外側に展開された状態において、底面Bから離れるように基端32から延びる基端部33pと、底面Bと略平行な方向に基端部33pの先端部から延びる捕捉部33qと、底面Bに近づくように捕捉部33qの先端部から延びる抜け止め部33rとから構成される。
抜け止め部33rの先端と底面Bとの間に開放部が構成される。この開放部を通してフック部31を掛け止める相手部材をフック部31内側の内側保持領域34に通過させる。抜け止め部33rは、抜け止め作用を発揮するために開放部を狭めるように突出している。
衛生用紙収納カートン100の構成部材は主に紙製が望ましいが、フック部31が形成可能であれば、紙製に限らず、樹脂によって形成されてもよい。その可撓性により、使用者が指で摘まむなどしてフック部31を撓ませて上記開放部を広げることができる。
【0028】
以上の4つのフック部31(31a−d)を外側に展開することによって、図4に示すように引き出しなどの正面板200に固定された取っ手201に掛け止めることができる。取っ手のほかタオル掛けなどがフック部31を掛け止める相手部材になり得るが、様々なものが相手部材となり得る。
フック部31を少なくとも1つ使用して掛け止める。そのため、衛生用紙収納カートン100のフック部31を少なくとも1つ構成できるようにフック部用切込線35を形成する。
しかし、掛け止められた状態での衛生用紙収納カートン100の安定性、フック部の耐久性等のために、フック部31を複数構成し、掛け止め時にも複数を使用することが好ましい。
複数のフック部31を同時に使用することを容易にするために、複数のフック部31(31a−d)は同側向きに構成される。例えば、フック部31aの基端部33pから見た抜け止め部33r(開放部)の方向は、側面構成部材42の存在面に向かう。他のフック部31b−dについても同様であるので同側向きである。90度以内で相対角が付けられることは許容されるが、水平方向に延在する棒に引っ掛ける場合には、内側保持領域34が実質的に狭くなるので、同側向き、かつ、平行にすることが好ましい。
また、衛生用紙収納カートン100を垂直に長くした状態で設置すると、収納された衛生用紙が自重により下に偏在しやすい。そのため、図示例のようにフック部31の基端部33pから見た抜け止め部33r(開放部)の方向が側面構成部材42の存在面に向かうことが好ましい。これにより、衛生用紙収納カートン100を水平に長くした状態で設置できる。
【0029】
4つのフック部31(31a−d)は、底面構成部材30の長手方向に並んで構成され、一方の側面構成部材42側に開放部が向くように構成されるので、図4に示すように一方の側面構成部材42が下、他方の側面構成部材41が上、一対の妻面構成部材51,52が左右、上面構成部材20が正面を向き、底面構成部材30が正面板200側に向くように掛け止められる。このとき、底面構成部材30と側面構成部材42との稜線をつくる縁が正面板200に当接して支持されて一定の角度で安定する。
フック部31(31a−d)が衛生用紙収納カートン100の長手方向に並んでいるので、多数のフック部を構成し、これを同時に使用して掛け止めることが容易である。
また、内側保持領域34が、取出口領域21から垂直な方向に配置される。なお、この垂直な方向は取出口領域21が設けられた上面に垂直な方向に相当する。このため、取出口からの衛生用紙の取出時に衛生用紙収納カートン100に負荷される引っ張り力の略軸線上にフック部31の内側保持領域34、従って、掛け止める相手部材を配置することができるために、フック部31の内側保持領域34の位置が上すぎる場合に生じるカートンの揺れ動きを抑えて取り出し性を良好にすることができるとともに、フック部31の内側保持領域34の位置が下すぎる場合に生じる衛生用紙収納カートン100の脱落や衛生用紙収納カートン100を掛け止められない事態を防止できる。好ましくは、取出口領域21内における取出口領域21の長手方向中心線から取出口領域21の存在面(衛生用紙収納カートン100の上面)に垂直な方向(図4の直線C上)に内側保持領域34の一部が存在するように配置する。
【0030】
さらに連結体フック(10a,10b又は10c,10d)を構成する場合につき説明する。
図5に示すように、連結スリット36p,36qを構成するためのスリット用切込線36p,36q(連結スリットと符号共通)が互いに連結されるフック部31aとフック部31bに形成され、互いに連結されるフック部31cとフック部31dにも形成される。
連結スリット36p,36qは、捕捉部33qの延設方向に沿って設けられる。一方の連結スリット36pは、捕捉部33qの先端側から切り込まれ、他方の連結スリット36qは、捕捉部33qの基端側から切り込まれて、互いに逆方向に切り込まれて形成される。
この連結スリット36p,36qが設けられることにより、フック部31aとフック部31bとを互いの相手の連結スリットに自身の部材を挿し込むようにして抱き合わせに連結し、図1に示すように一体化することができる。他の組のフック部31cとフック部31dについても同様に連結一体化が可能である。
すなわち、2つのフック部の連結一体化により成る一つの連結体フックを構成可能である。図1に示すように複数(図示例で2つ)の連結体フック10a,10bが構成される。
【0031】
また、図6に示すように、抱き合わせ関係になる連結スリット36p,36qを構成するためのスリット用切込線36p,36qをそれぞれ複数本(図示例で2本)とすることで、図7に示すように強固に連結された連結体フック10c,10dが構成される。連結スリット36p,36qを複数本とすることで、2つの捕捉部33q及び2つの抜け止め部33r同士を互いに近い位置で略平行に重ねることができ、掛け止め作業のしやすい連結体フック10c,10dが構成できる。特に、連結するだけで2つの捕捉部33qが重ね合わされるので、使用者が2つの捕捉部33qを摘まむことが誘導され、1つの捕捉部33qのみが摘ままれてフック部が引き裂かれることを防止できる。
【0032】
図1に示す1本ずつの連結スリット36p,36qによる連結体フック10a,10bの場合でも、図7に示す複数本ずつの連結スリット36p,36qによる連結体フック10c,10dの場合でも、図4に示すような態様で衛生用紙収納カートン100を掛け止めることができる。1本ずつの連結スリット36p,36qによる連結体フック10a,10bの場合の掛け止め状態を上から見た図を図8に示した。
【0033】
図示例のように連結体フック(10a,10b又は10c,10d)を左右一対で支持する構成とすることが好ましい。2支点を構成する2つの連結体フックにより、合計4枚のフック部の強度をもって衛生用紙収納カートン100を安定的に支持できる耐久性の高いフックを最少枚数で底面構成部材30の限られた面積を利用して構成することができるからである。
また、フック部を4枚使用して耐久性の向上を図る一方で、別個独立したフックが4つになるのでなく、一体化した連結体フックが2つであるので、別個独立したフック3つ以上の場合に比較して掛け止め作業が容易である。
【0034】
図4に示す距離d1を底面Bの短手方向の幅に応じて適度に設ける。距離d1は、取出口領域21の長手方向中心線から底面Bに垂直に内側保持領域34に落とした直線Cから、内側保持領域34内を通って、基端部33pの内縁までの距離である。
表1に示すように距離d1を様々に変えて衛生用紙収納カートン100を試作し、実際に引き出しに取り付けた状態で使用して、衛生用紙収納カートン100の使用評価を行った。底面Bの短手方向の幅を115mmとした場合には、d1=10mm(表1:AAA)では、最も安定して使用可能であった。d1=5mm,20mm,30mm(表1:AA)では、衛生用紙収納カートン100の揺れ動きも小さく安定して使用可能であった。d1=50mm,40mm(表1:A)では、使用可能だが衛生用紙収納カートン100の揺れ動きが大きく、フック部の破断の危険性もあった。d1=0mm(表1:B)では、取り出し口に対して衛生用紙を上方向に引き出した場合に衛生用紙収納カートン100の落下の恐れがあった。d1=−5mm,−10mm(表1:C)では、取り出し口方向に衛生用紙を引き出した場合にも衛生用紙収納カートン100の落下の恐れがあった。
距離d1を底面Bの短手方向の幅の0〜50%の範囲とした場合に使用可能であるが、特に距離d1を底面Bの短手方向の幅の0〜30%の範囲とした場合に安定して使用可能である。さらに取り出し性を良好にするには距離d1を底面Bの短手方向の幅の5〜10%の範囲とすることが好ましい。
【0035】
【表1】
【0036】
また、図3に示す距離d2を10mm以上とすることが好ましい。距離d2は互いに連結されるフック部間の底面B上での離間距離である。フック部31の使用時等にフック部31の基礎部分が破断することを防止するためである。
【0037】
二箇所設けた連結体フック(10a,10b又は10c,10d)の中心間の距離d3(図8参照)は、70mm〜95mmの範囲とすることが好ましい。
距離d3は、引き出しの取っ手の内幅を超えてはならない(取っ手にかからなくなる)という構造的制約がある。
引き出しの取っ手の内幅は、人の手幅(親指を除く、人差し指から小指までの間の、手のひらの長さ)を基準に構成される。成人男性の手幅は平均83.3mm、最大値95.1mmというデータがある。(AIST(独立行政法人 産業総合研究所)手の寸法データベースより引用)
したがって、距離d3は95mmを越えないことが好ましい。
距離d3が70mmを下回ると、衛生用紙収納カートン100の安定性が劣る。また、2つの連結体フックを構成するために、内側の隣り合うフック部31bとフック部31cは距離d3内に設けられるので、底面Bからの延出寸法(図3に示す距離d4相当)を十分に有したフック部、従って図3の距離d5を十分に有したフック部を構成し難いからである。
但し、距離d4および距離d5については、内側保持領域34を十分に構成可能な範囲内であれば、特に限定されない。
【0038】
一方、距離d3が95mmを越えても、洗面所等に設置してあるタオルかけの棒のような水平に充分に長い棒に対して取り付けることは可能である。
但し、この場合には、引き出しの取っ手の場合と比較して、掛け止め相手の棒とこの棒が支持される壁面との間の隙間が大きい場合が多くなるために、衛生用紙収納カートン100の下端(上述した底面構成部材30と側面構成部材42との稜線をつくる縁)をその壁面に当接支持させる設置態様が取れないことから、カートンの揺動、落下を防ぐために、フック部の位置をカートン底面の上端寄りにすることが好ましい(この場合、フック部の開放部から見て基端側が上端方向である。)。
【0039】
以上の実施形態にあっては、底面構成部材の一部をフック部としたが、上面構成部材、側面構成部材又は妻面構成部材の一部をフック部とすることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
10a,10b連結体フック
10c,10d連結体フック
20 上面構成部材
21 取出口領域
22 取出口用切込線
30 底面構成部材
31a−d フック部
32 基端
33p 基端部
33q 捕捉部
33r 抜け止め部
34 内側保持領域
35 フック部用切込線
36p,36q連結スリット及びスリット用切込線
41,42 側面構成部材
51,52 妻面構成部材
100 衛生用紙収納カートン
200 正面板
201 取っ手
B 底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8