(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スペーサ体は、前記ナット体の螺進に伴って前記止水体を軸方向に押圧する押圧面と、前記被接続体の周壁外面に当接する当接面を備えることを特徴とする請求項1に記載の配管材接続具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の分水栓では、分岐口(9)に装着されたゴム輪(3)に外筒(12)が押入されることにより、ゴム輪(3)が分岐口(9)の端面に圧接し、止水状態を形成する。しかしながら、特許文献1の分水栓の機構では、外筒(12)の外径が流体管(6)に穿孔された分岐口(9)の径に十分に精密に対応していなければ、両者の間に隙間が生じて十分に止水できない、又は、分岐口(9)に外筒(12)を押入することが困難又は不可能となるといった不具合が生じ得る。さらに、特許文献1の分水栓では、テーパリング(4)がゴム輪(3)を外方に膨出するように圧縮変形させ、ゴム輪(3)の環状突部(23)を分岐口(9)の管内面口縁に押圧することにより、分水栓が分岐口(9)に対して固定される。しかしながら、円筒状の流体管(6)の場合、流体管(6)の表面がアール状に湾曲しているため、分岐口(9)の口縁が同一平面上になく、分岐口(9)の周方向において管内面口縁とテーパリング(4)との距離が一様ではない。換言すると、環状凸部(23)が分岐口(9)の周方向に亘って管内面口縁に安定的に圧密することができない。それ故、環状凸部(23)と管内面口縁との間に隙間が存在して止水が不十分であったり、又は、分水栓が流体管(6)に対してぐらつく虞があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、被接続体に穿設された貫通孔に対して容易に設置可能であり、より確実な止水状態で配管材を被接続体に接続することができる配管材接続具及び該配管材接続具による配管構造を提供することによる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の配管材接続具は、配管材を被接続体の貫通孔に対して接続する配管材接続具であって、
一端に配管材を接続するための接続部、接続部に連設されて軸方向に延びる筒状部、筒状部外面に形成された螺子部、及び、螺子部の他端側で筒状部から外方に張り出したフランジ部を備えた接続具本体と、
螺子部に螺着され、フランジ部に向けて螺進可能なナット体と、
ナット体とフランジ部との間で筒状部に外挿され、筒状部の軸方向にスライド可能なスペーサ体と、
スペーサ体とフランジ部との間で筒状部に外挿され、スペーサ体に押圧されて軸方向に圧縮されたときに、径方向外方のみに中間部が膨出するように弾性的に屈曲変形可能な止水体と、を備え、
筒状部の螺子部とフランジ部との間の外面には、止水体を取着するための取着部が設けられ、取着部は、止水体の少なくとも中間部の内面を取着部に密着させて止水体を保持し、
被接続体の貫通孔に止水体が挿入された状態で、ナット体が締め付けられることにより、止水体外面が貫通孔端面に止水状態で圧接する
ように構成され、
取着部とフランジ部との間には、取着部の他端から連続的に縮径するようにテーパー状に形成された縮径部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項
2に記載の配管材接続具は、配管材を被接続体の貫通孔に対して接続する配管材接続具であって、
一端に前記配管材を接続するための接続部、前記接続部に連設されて軸方向に延びる筒状部、前記筒状部外面に形成された螺子部、及び、前記螺子部の他端側で前記筒状部から外方に張り出したフランジ部を備えた接続具本体と、
前記螺子部に螺着され、前記フランジ部に向けて螺進可能なナット体と、
前記ナット体と前記フランジ部との間で前記筒状部に外挿され、前記筒状部の軸方向にスライド可能なスペーサ体と、
前記スペーサ体と前記フランジ部との間で前記筒状部に外挿され、前記スペーサ体に押圧されて軸方向に圧縮されたときに、径方向外方のみに中間部が膨出するように弾性的に屈曲変形可能な止水体と、を備え、
前記筒状部の他端には、前記フランジ部に隣接して、他端側に向けて縮径するテーパー状に形成された縮径部が設けられ、
前記被接続体の前記貫通孔に前記止水体が挿入された状態で、前記ナット体が締め付けられることにより、前記止水体の他端が前記縮径部と前記フランジ部との間の凹所に入り込むように前記止水体の中間部が膨出して、前記止水体外面が前記貫通孔端面に止水状態で圧接することを特徴とする。
【0009】
請求項
3に記載の配管材接続具は、請求項1に記載の配管材接続具において、スペーサ体は、ナット体の螺進に伴って止水体を軸方向に押圧する押圧面と、被接続体の周壁外面に当接する当接面を備えることを特徴とする。
請求項
4に記載の配管材接続具は、請求項
3に記載の配管材接続具において、当接面は、貫通孔の周方向に亘って貫通孔周縁に当接するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項
5に記載の配管材接続具は、請求項
4に記載の配管材接続具において、被接続体が円筒状の中空体であり、当接面が被接続体の貫通孔周縁の曲面形状に沿うように湾曲していることを特徴とする。
【0011】
請求項
6に記載の配管材接続具は、請求項1から
5のいずれか一項に記載の配管材接続具において、止水体が圧縮された際に止水体がフランジ部を乗り越えることを防止する乗り越え防止手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項
7に記載の配管材接続具は、請求項
6に記載の配管材接続具において、乗り越え防止手段は、止水体の外径以上の大きさの径を有するフランジ部を含むことを特徴とする。
【0013】
【0014】
請求項
8に記載の配管材設置構造は、被接続体の周壁に穿設された貫通孔に請求項1から
7のいずれか一項に記載の配管材接続具が挿通されて配置され、配管材接続具の止水体が膨出することにより、止水体外面が貫通孔端面に止水状態で圧接し、配管材接続具の接続部に配管材が接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一形態の配管材接続具によれば、被接続体の貫通孔に止水体が挿入された状態で、ナット体の螺進によってスペーサ体及びフランジ部が止水体を軸方向に圧縮変形させるとともに、止水体の中間部を径方向に膨出させることにより、止水体外面が貫通孔端面に止水状態で圧着する。そして、貫通孔内で止水体が軸方向に延在するので、止水体の中間部が貫通孔端面に対して膨張することにより、貫通孔の周方向において止水体外面と貫通孔端面とが隙間なく圧密する。よって、配管材接続具は、より確実な止水状態を形成して被接続体に固定される。さらに、配管材接続具を貫通孔内に挿入し、ナット体を螺進させて止水体を貫通孔端面方向に膨出させることより、配管材接続具を被接続体の貫通孔に対して簡単に固定することが可能である。すなわち、貫通孔の径に対応するように、止水体の外径が変動するため、止水体や接続部本体の寸法形状に厳密な精度が要求されない。したがって、本発明の配管材接続具は、被接続体に穿設された貫通孔に対して容易に設置可能であり、より確実な止水状態で配管材を被接続体に接続することができる。
【0016】
本発明のさらなる形態の配管材接続具によれば、上記発明の効果に加えて、スペーサ体には、止水体を押圧する押圧面、及び、被接続体の周壁外面に当接する当接面が設けられている。これにより、被接続体の周壁外面にスペーサ体の当接面を当接させるまで貫通孔に配管材接続具を挿入し、ナット体を螺進させることにより、スペーサ体及びナット体の軸方向の位置を固定したまま、接続具本体及び止水体を被接続体の一端側に引き寄せつつ、押圧面で止水体を押圧して径方向に膨出させることができる。すなわち、当接面を被接続体の周壁外面に宛がった安定した姿勢で、ナット体の操作が可能であるので、配管材接続具の設置作業を容易に行うことが可能となる。
【0017】
本発明のさらなる形態の配管材接続具によれば、上記発明の効果に加えて、当接面が貫通孔の周方向に亘って貫通孔周縁に当接することにより、スペーサ体と被接続体との間に隙間が生じることが抑えられる。これにより、止水体を外部に露出せずに外部から保護することができる。
【0018】
本発明のさらなる形態の配管材接続具によれば、上記発明の効果に加えて、スペーサ体の湾曲した当接面が円筒状の被接続体の貫通孔周縁全体に亘って当接する。この当接関係により、ナット体を回転操作したときに、接続部本体及びスペーサ体が回転することが抑えられ、配管材接続具の円筒体への設置作業を安定して行うことが可能となる。
【0019】
本発明のさらなる形態の配管材接続具によれば、上記発明の効果に加えて、乗り越え防止手段により、止水体が軸方向に圧縮された際に止水体がフランジ部を乗り越えて軸方向にずれることを防止することができる。これにより、止水体をより確実に押圧して圧縮変形させることができる。
【0020】
本発明のさらなる形態の配管材接続具によれば、上記発明の効果に加えて、止水体の外径よりフランジ部の径が大きいことにより、止水体をフランジ部によって効果的に軸方向に係止することができる。
【0021】
本発明のさらなる形態の配管材接続具によれば、上記発明の効果に加えて、接続具本体のフランジ部に隣接する位置に縮径部が設けられている。すなわち、止水体がスペーサ体によってフランジ部に対して押圧されたとき、止水体の他端が縮径部外面に沿うように弾性変形する。つまり、縮径部によって止水体他端の変形が径方向内方にガイドされることにより、中間部の膨出が補助されるとともに止水体他端がフランジ部を乗り越えることが防止される。
【0022】
本発明の一形態の配管材設置構造は、上記発明の効果を配管材設置構造として発揮することができる。すなわち、本発明の配管材設置構造は、配管材接続具を被接続体に穿設された貫通孔に対して容易に設置可能であり、尚且つ、配管材接続具を介して、より確実に止水状態で配管材が被接続体に接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0025】
[第1実施形態]
本実施形態の配管材接続具100は、被接続体である排水管11の周壁12に穿設された貫通孔13に固定され、配管材としての管15と排水管11とを止水状態で接続することに用いられる。ただし、本実施形態の説明は本発明の例示にすぎず、本発明の用途は当該実施形態に限定されることはない。
【0026】
まず、
図1乃至
図3を参照して、本発明の一実施形態の配管材接続具100の構成を説明する。
図1(a),(b)は、配管材接続具100の概略斜視図である。
図2(a)〜(d)は、配管材接続具100の正面図、背面図、側面図及び平面図である。
図3(a),(b)は、配管材接続具100の常態のA−A断面図及びその変形後の形態の断面図である。
図4は、配管材接続具100の分解斜視図である。
【0027】
本実施形態の配管材接続具100は、全体として一端から他端へと軸方向に延びる中空の筒状体である。配管材接続具100の正面側(被接続体内部側)の端部を他端、背面側(配管材側)の端部を一端として定めた。
図1及び
図2に示すとおり、配管材接続具100は、軸方向に延びる接続具本体110と、該接続具本体110に螺着するナット体120と、該ナット体120の他端側で接続具本体110に外挿されたスペーサ体130と、該スペーサ体130の他端側で接続具本体110に装着された弾性変形可能な止水体140とを備えてなる。
【0028】
配管材接続具100では、
図3(a)に示すように、接続部本体110外面に対して、その他端側から、止水体140、スペーサ体130、ナット体120が順に外挿されて配置されている。また、一端から他端へと貫通する通孔が接続具本体110の内壁によって定められ、一端面及び他端面が所定の径で開口している。そして、
図3(b)に示すように、
図3(a)の常態からナット体120が軸方向に螺進することにより、スペーサ体130が他端側に前進し、該スペーサ体130によって止水体140が他端側に押圧される。すなわち、接続部本体110に対するナット体120の螺進運動に連動してスペーサ体130が変位する。その結果、スペーサ体130が止水体140を軸方向他端側に押圧して、止水体140が軸方向に弾性的に圧縮されるとともに径方向に膨出する。
【0029】
当該配管材接続具100において、
図4に示すとおり、接続部本体110、ナット体120、スペーサ体130及び止水体140がそれぞれ別部材として構成され、これらが互に組み合わさることにより、配管材接続具100が構成される。なお、
図1乃至
図3では、各部材が予め組み合わさった形態を配管材接続具100の常態として示したが、
図4のように、各部材が分離した組み立て前の形態も本発明の配管材接続具に含まれる。
【0030】
以下、
図5乃至
図9を参照して、本実施形態の配管材接続具100の各構成部品を詳細に説明する。
図5(a),(b)は、接続体本体110の斜視図であり、
図6(a)〜(d)は、該接続体本体110の正面図、背面図、側面図及びB−B断面図である。
図7(a)〜(d)は、ナット体120の斜視図、正面図、背面図及び側面図である。
図8(a)〜(g)は、スペーサ体130の正面からの斜視図、背面からの斜視図、正面図、平面図、側面図、C−C断面図及びD−D断面図である。
図9(a)〜(d)は、止水体140の斜視図、正面図、側面図及びE−E断面図である。
【0031】
図5及び
図6に示すとおり、接続部本体110は、一端から他端に直線状に延伸する中空筒体として成形され、一端から他端まで軸方向に貫通する通孔を定める。該接続部本体110は、一端に配管材(管15)を接続するための接続部111、該接続部111に連設されて軸方向他端側に延びる筒状部112、及び、該筒状部112の他端から径方向外方に張り出したフランジ部116を備える。
【0032】
接続部111は、中空の円筒状に軸方向に直線的に延びており、配管材である管15の先端を外挿して接続可能な径で開口している。つまり、接続部111の内径が管15の外径に対応している。なお、接続部111に管15がパッキンなどの封止部材(図示略)を介して接続されることが好ましい。
【0033】
筒状部112は、接続部111よりも拡径した中空の円筒状で軸方向に延びている。該筒状部112の外面には、その軸方向中央付近の所定の領域に亘って、ナット体120が螺着するための螺子部113が形成されている。また、筒状部112における螺子部113の他端側の外面には、止水体140を取着するための取着部114が配置されている。取着部114は、筒状部112の(螺子部113が外面に形成された)基端部分の径と比べて僅かに拡径している。尚且つ、取着部114は、止水体140の内径とほぼ合致するか、あるいは、僅かに止水体140の内径よりも小さい外径を有する。該取着部114に止水体140の内面が密着することにより、止水体140が接続部本体110に保持される。また、筒状部112のフランジ部116に隣接する箇所には縮径部115が形成されている。該縮径部115は、フランジ部116及び取着部114の間に形成され、取着部114他端から連続的に縮径するようにテーパー状に構成されている。そして、該縮径部115は、止水体140がフランジを乗り越えることを防止する乗り越え防止手段として機能する。
【0034】
フランジ部116は、筒状部112の縮径部115先端から径方向外方に所定幅で張り出しており、正面視円環状の薄板体として形成されている。本実施形態では、フランジ部116の径は、止水体140の外径とほぼ同じか、又は、それよりも僅かに大きくなるように定められている。すなわち、フランジ部116を乗り越え防止手段として機能させるべく、フランジ部116の径が止水体140の外径以上であることが好ましい。換言すると、フランジ部116の張り出し幅は、止水体140の肉部の厚み以上となるように構成されることが好ましい。尚且つ、フランジ部116の径は、貫通孔13に接続具本体110を挿入又は遊挿可能であるように貫通孔13の径以下である。
【0035】
図7に示すとおり、ナット体120は、接続具本体110に螺着可能なリング体として構成されている。ナット体120の内面には、内螺子部121が形成されている。該ナット体120の内径は、内螺子部121と接続部本体110の螺子部113とが螺合するように定められている。すなわち、ナット体120は、接続部本体110の筒状部112に螺着して、その軸方向に螺進可能である。また、ナット体120の外面には、軸方向に延びる複数の突起122が形成されている。複数の突起122は周方向に等間隔に形成されている。該突起122により、ナット体120を手で回転させることが容易となる。さらに、ナット体120の他端面には、スペーサ体130の一端側の端面に摺接する平滑な摺接面124が設けられている。この摺接面124によって、ナット体120は、スペーサ体130に端面同士で当接(摺接)しつつ、スペーサ体130に対して相対的に回転可能である。
【0036】
図8に示すとおり、スペーサ体130は、接続具本体110に軸方向にスライド可能に外挿される短筒体として構成されている。スペーサ体130は、軸方向に延びる円筒状の内筒部131、及び、該内筒部131他端側に連結されて拡径した外筒部132を備える。内筒部131は、環状のスペーサ体130の内壁を構成している。スペーサ体130が筒状部112に外挿された状態で軸方向にスライド可能であるように、内筒部131の内径は、接続部本体110の筒状部112及び螺子部113の外径よりも大きい。
【0037】
内筒部131の一端側の端面には、ナット体120の摺接面124が当接する基端面133が形成されている。この基端面133は、ナット体120の平面状の摺接面124が回転方向に摺接可能であるように平滑面として形成されている。つまり、摺接面124及び基端面133が当接しつつ、ナット体120が回転することにより、ナット体120の軸方向他端側への螺進とともにスペーサ体130が軸方向他端側にスライド移動可能である。また、内筒部131の他端側の環状の端面には、筒状部112の取着部114に取着された止水体140の一端面141を押圧するための押圧面134が形成されている。すなわち、押圧面134が止水体140一端面141に係合可能であるように、内筒部131の内径が止水体140の外径よりも小さい。止水体140の一端面141のほぼ全体に押圧面134が当接可能であることが好ましく、本実施形態では、止水体140の一端面141と押圧面134とは、ほぼ同一の寸法形状の環状面として形成されている。
【0038】
さらに、外筒部132は、内筒部131の周壁外面よりも拡径した円筒体である。外筒部132は、その先端が内筒部131先端(押圧面134)から他端側に突出するように軸方向に沿って延在している。該外筒部132が筒状部112に取着された止水体140に当接しないように、外筒部132の内径は止水体140の外径よりも大きい。また、外筒部132が周壁12の貫通孔13周縁に当接するように、外筒部132の内径は貫通孔13の径以上である。そして、該外筒部132の他端(先端)面には、被接続体である円筒形状の排水管11の湾曲した周壁13に当接(密接)するための当接面135が形成されている。該当接面135は、排水管11の貫通孔13周縁の曲面形状に沿うように湾曲している。より具体的には、外筒部132の先端縁が平面視及び底面視でアール状の凹曲線を形成し、左右側面視でアール状の凸曲線を形成するようにカーブしている。そして、当接面135が押圧面134の少なくとも他端側(貫通孔13側)に配置されている。なお、本実施形態では、当接面135の最も凹んだ部分が、軸方向において、凹圧面134とほぼ等しい位置にある。
【0039】
図9に示すように、止水体140は、弾性の薄肉状の円筒形体である。止水体140は、常態(非弾性変形時)で軸方向の一端面141から他端面142まで直線状に延びている。そして、一端面141と他端面142との間の肉部が中間部143として定められてる。止水体140は、接続部本体110の筒状部112の取着部114に取着されるように、その内径が取着部114外径とほぼ等しいか、あるいは、取着部114外径よりも小さい。また、止水体140の外径は、フランジ部116外径とほぼ等しく、尚且つ、当初形状で貫通孔13に挿入又は遊挿可能であるように貫通孔13の径以下である。さらに、止水体140は、螺子部113とフランジ部116との間に延在する取着部114とほぼ同じ長さで形成されている。
【0040】
本実施形態では、接続具本体110、ナット体120及びスペーサ体130は、合成樹脂からそれぞれ成形されてなる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、接続具本体、ナット体及びスペーサ体の全部又は一部を金属等の他の材料で形成してもよい。また、本実施形態では、止水体140の材質は、ゴム材料であるが、弾性変形可能且つ貫通孔に密着可能であれば、他の材料が選択されてもよい。
【0041】
以上の各構成部品の説明を踏まえ、再度、
図3(a),(b)を参照して、本実施形態の配管材接続具100をより詳細に説明する。
【0042】
図3(a)は、止水体140が弾性変形していない状態の配管材接続具100を示している。
図3(a)の形態は、配管材接続具100を排水管11の貫通孔13に挿入するときに採用される。
図3(a)によれば、接続部本体110の筒状部112の取着部114に止水体140が密着するように外挿されている。該止水体140の他端面142がフランジ部116の裏面(一端側の端面)に当接している。一方で、他端面142近傍において筒状部112の縮径部114外面と止水体140内面との間には、隙間が形成されている。スペーサ体130よりも他端側における配管材接続具100の外径は、貫通孔13内に容易に挿通可能であるように貫通孔13の径とほぼ同じか、あるいは、それよりも小さい。
【0043】
また、スペーサ体130が、筒状部112の螺子部113に外挿されている。該スペーサ体130の内筒部131内面と螺子部113外面との間には僅かな隙間が形成されている。つまり、スペーサ体130は、筒状部112(螺子部113)に外挿された状態で、螺子部113に干渉されることなく筒状部112の周囲を回転方向及び軸方向に遊動可能である。そして、止水体140の一端面141とスペーサ体130の内筒部131の押圧面134とがほぼ当接している(又は近接している)。この状態では、スペーサ体130と止水体140とが圧接しておらず、スペーサ体130が自在に回転動作可能である。さらに、スペーサ体130の外筒部132(当接面135)が止水体140の中間部143を包囲するように延在している。該外筒部132と中間部143の間には隙間が形成されている。
【0044】
そして、ナット体120の内螺子部121が筒状部112の螺子部113に部分的に螺合することにより、ナット体120が接続部本体110に緩く螺着している。つまり、
図3(a)の形態では、ナット体120が筒状部112に仮固定されている。そして、ナット体120の摺接面124がスペーサ体130の基端面133に当接している。摺接面124及び基端面133が共に平滑面であるため、両者の間に発生する摩擦力は僅かである。それ故、軸方向にある程度の力が加わっても、互いに回転方向に摺動可能である。なお、本実施形態において、配管材接続具100を貫通孔13に挿通させる際、ナット体120がさらに後退した位置で接続部本体110に螺着し、ナット体120、スペーサ体130及び止水体140が互いに離隔していてもよい。
【0045】
図3(b)は、止水体140が弾性変形した状態の配管材接続具100を示している。
図3(b)の形態は、配管材接続具100を排水管11の貫通孔13に対して止水状態で固定するときに採用される。
図3(a)の当初形態から、ナット体120が回転して筒状部112上で他端側に螺進すると、摺接面124及び基端面133が互いに摺接しつつ、ナット体120とともにスペーサ体130が他端側に前進する。そして、スペーサ体130の押圧面134が止水体140の一端面141を軸方向の他端側に押圧する。さらなるナット体120の締め付けによって、スペーサ体120が止水体140の弾性力に抵抗しながら前方に押し出される。その結果、
図3(b)のように、フランジ部116の裏面とスペーサ体130の押圧面134との距離が当初形態よりも狭まり、止水体140が軸方向に圧縮されるとともに止水体140の中間部143が径方向外方に膨出するように弾性変形している。止水体140の中間部143が膨出することにより、その外径が貫通孔13の径よりも大きくなる。
【0046】
弾性変形した止水体140において、止水体140の外面(すなわち中間部143)が全体的に凸曲状又はアーチ状に外方に膨らんでいるが、中間部143の略中央の膨らみが最も大きい。そして、取着部114の他端側に形成された縮径部115とフランジ部116との間の凹所(又は鋭角に凹んだ部分)に止水体140の他端が入り込むように、止水体140が屈曲変形している。すなわち、止水体140が軸方向に圧縮された際、縮径部115によって止水体140の他端(先端)が径方向内方にスライドし、止水体140の中間部143が外方に膨らみ易いように、その弾性変形が補助されている。すなわち、縮径部114が、止水体140の外方への膨出変形をガイドするとともに止水体140の軸方向への乗り越え防止手段として機能している。
【0047】
本実施形態では、当初形状の止水体140の外径と貫通孔13の径がほぼ等しくなるように設計されている。これにより、当初形状の止水体140を貫通孔13に容易に挿通可能であり、尚且つ、止水体140の中間部143が膨出した際に一端近傍又は他端近傍においても、止水体140外面が貫通孔13端面とより強い力で圧接可能である。なお、本実施形態において、所定の貫通孔13の径に基づいて配管材接続具100の寸法を決定してもよく、あるいは、配管材接続具100の寸法に合わせた径の貫通孔13を周壁12に穿孔してもよい。
【0048】
次に、
図10乃至
図12を参照して、本実施形態の配管材接続具100による配管材設置構造10を説明する。
図10は、配管材設置構造10の概略斜視図である。
図11(a),(b)は、該配管材設置構造10の側面図及び平面図である。
図12は、該配管材設置構造10のF−F断面図及びG−G断面図である。
【0049】
図10に示すとおり、本実施形態の配管材設置構造10では、被接続体は円筒状の排水管11であり、排水管11の周壁12に円形の貫通孔13が穿設されている。そして、該排水管11の貫通孔13に配管材接続具100が挿通されて固定され、該配管材接続具100を介して配管材としてのL字状の管15が排水管11に連通するように接続されている。該管15の上流には、ガス給湯器等の機器の排水口などが接続され得る。
【0050】
図11に示すように、配管材設置構造10において、配管材接続具100のスペーサ体130の当接面135が排水管11の周壁12に当接している。当接面135の平面視及び底面視における凹曲線が、水平断面における周壁12のアールに対応しているため、当接面135の凹曲部及び周壁12の凸曲部が嵌まり合うように、当接面135の略全体が周壁12の貫通孔13の周縁面にほぼ接している(又は近接している)。このように当接面135が貫通孔13の周方向に亘って貫通孔13周縁に当接することにより、スペーサ体130と周壁12の間に隙間が生じることが抑えられる。これにより、止水体140が外部に露出せずに外部空間の埃や汚れ等から保護され、その劣化が抑えられる。
【0051】
そして、
図12に示すように、当接面135が周壁12に当接した状態で、止水体140の中間部143が径方向外方に膨出して、貫通孔13端面に圧密している。
図12(a)の垂直断面視では、周壁12に対して当接面135の最も凹んだ箇所と貫通孔13の上下周縁とが当接しているため、止水体140の一端面141近傍に貫通孔13端面が位置する。しかし、止水体140の中間部143は、
図3(b)に示したように、その一端面141近傍から外方に立ち上がっているので、一端面141近傍においても止水体140外面と貫通孔13端面とが確実に圧接している。他方、
図12(b)の水平断面視では、止水体140の軸方向の略中央に貫通孔13端面が位置し、周壁12に対して当接面135の比較的大きく張り出した箇所と貫通孔13の左右端面とが当接している。止水体140の中間部143は、その中央付近で最も膨出が大きくなるので、止水体140外面と貫通孔13端面とがより強力に圧接している。すなわち、貫通孔13の周方向の他の位置における圧接態様は、
図12(a)の圧接態様と
図12(b)の圧接態様との中間程度となる。したがって、本実施形態の配管材設置構造10では、貫通孔13の周方向全体に亘って、止水体140外面と貫通孔13端面とが圧密し、安定した止水状態が形成されている。
【0052】
続いて、
図13を参照して、配管材接続具100を被接続体である排水管11に固定して配管材設置構造10を構築する工程を説明する。
【0053】
まず、
図13(a)に示すように、スペーサ体130の凹曲部を排水管11の凸曲面に合わせるように配管材接続具100の姿勢を維持しつつ、配管材接続具100を排水管11の周壁12に近接させ、配管材接続具100の他端側(フランジ部116、止水体140及び筒状部112の先端部分)を貫通孔13に挿入する。そして、
図13(b)に示すように、スペーサ体130の当接面135を貫通孔13周縁に当接させる。このとき、スペーサ体130の姿勢が周方向が多少の角度で傾いても、当接面135が周壁12と摺接してスペーサ体130が軸の回りに回転することにより、配管材接続具100を上記姿勢に配置可能である。また、スペーサ体130の当接面135及び貫通孔13周縁がともに対応するように湾曲しているため、当接面135及び貫通孔13周縁は安定的にその当接した姿勢を維持可能である。さらに、貫通孔13を止水体140が軸方向に貫通した状態で、貫通孔13端面と常態の止水体140外面との距離が貫通孔13の周方向でほぼ一様である。
【0054】
次いで、当接面135を貫通孔13周縁に押し当てながら、ナット体120を回転操作する。このナット体120の回転操作により、ナット体120の摺接面124とスペーサ体130の基端面133とを回転方向に摺接させつつ、ナット体120を接続部本体110の軸方向他端に螺進させる。これにより、ナット体120は接続部本体110に対して相対的に前進する。詳細には、スペーサ体130が周壁12に当接し、且つ、ナット体120がスペーサ体130に当接した位置を維持し、ナット体120の回転により、スペーサ体130及びナット体120の軸方向の位置が変位せずに、接続部本体110が貫通孔13の手前側に引き寄せられる。その結果、フランジ部116裏面とスペーサ体130の押圧面134との間の距離が縮まり、止水体140が軸方向に圧縮されて径方向に膨出する。そして、ナット体120を強く締め付けることで、止水体140と貫通孔13端面とがより密に圧接し、配管材接続具100が排水管11に止水状態で固定される。このとき、平面視においてスペーサ体130の当接面135及び貫通孔13周縁が互いに凹曲及び凸曲の関係で嵌まり合っていること、及び、止水体140と貫通孔13端面との摩擦力により、ナット体120の締め付け(回転)操作につられて、接続部本体110及びスペーサ体130が回転することが抑えられる。最後に、配管材接続具100の接続部111に配管材としての管15を止水状態で接続することにより、配管材設置構造10を構築することができる。
【0055】
以下、本発明に係る一実施形態の配管材接続具100における作用効果について説明する。
【0056】
本実施形態の配管材接続具100によれば、排水管11の貫通孔13に止水体140が挿入された状態で、ナット体120の螺進によってスペーサ体130の押圧面134及びフランジ部116が止水体140を軸方向に挟圧して圧縮変形させるとともに、止水体140の中間部143を径方向に膨出させることにより、止水体140外面が貫通孔13端面に止水状態で圧着する。すなわち、貫通孔13を当初形状の止水体140が軸方向に貫通した状態で、貫通孔13端面と止水体140外面との距離が貫通孔13の周方向でほぼ一様であるため、止水体140の中間部143が膨出したとき、貫通孔13の周方向全体に亘って止水体140外面と貫通孔13端面とが隙間なく圧密する。特に、本実施形態では、貫通孔13径と止水体140外径とがほぼ等しいので、軸方向において止水体140外面と貫通孔13端面とが確実に圧密する。また、貫通孔13の径に対応するように、止水体140の外径が膨張して変動するため、止水体140や接続部本体110の寸法形状に厳密な精度が要求されない。よって、本実施形態の配管材接続具100は、より確実な止水状態を形成して被接続体である排水管11に固定可能である。
【0057】
また、配管材接続具100の他端側を貫通孔13内に挿入し、当接面135を貫通孔13周縁に周方向全体に亘って当接させた状態で、ナット体120を操作することで、配管材接続具100を被接続体の貫通孔13に対して簡単に固定することが可能である。すなわち、周壁12外面にスペーサ体130の当接面135を当接させるまで貫通孔13に配管材接続具100を挿入し、ナット体120を螺進させることにより、接続具本体110及び止水体140を周壁12側に引き寄せつつ、押圧面134で止水体140を押圧して径方向に膨出させることができる。つまり、当接面135を排水管11の周壁12外面に宛がった安定した姿勢で、ナット体120の操作が可能であるので、配管材接続具100の設置作業を安定して行うことが可能となる。
【0058】
したがって、本実施形態の配管材接続具100は、被接続体である排水管11に穿設された貫通孔13に対して容易に設置可能であり、より確実な止水状態で配管材である管15を排水管11に接続することができる。
【0059】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の第2、第3実施形態及び変形例を説明する。なお、各実施形態において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、特定がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0060】
[第2実施形態]
図14乃至
図17を参照して、第2実施形態の配管材接続具200を説明する。
図14に示すとおり、配管材接続具200は、軸方向に延びる接続具本体210と、該接続具本体210に螺着するナット体220と、該ナット体220の他端側で接続具本体210に外挿されたスペーサ体230と、該スペーサ体230の他端側で接続具本体210に装着された弾性変形可能な止水体240とを備えてなる。本実施形態の配管材接続具200は、第1実施形態の配管材接続具100と比べて、スペーサ体230の構成のみが相違する。そして、第2実施形態の配管材接続具200は、被接続体として
図16に示すような角形の管材21を設置対象としたものである。
【0061】
図15に示すように、スペーサ体230は、接続具本体210に軸方向にスライド可能に外挿される短筒体として構成されている。スペーサ体230は、軸方向に延びる円筒状の筒部231、及び、該筒部231の他端で径方向外方に張り出した張出部232を備える。筒部231は、環状のスペーサ体230の内壁を構成している。筒部231の内径は、接続部本体210の筒状部212及び螺子部213の外径よりも大きい。また、筒部231の一端側の端面には、ナット体220の摺接面224が回転方向に摺接可能な基端面233が形成されている。
【0062】
筒部231の他端側の端面には、筒部212の取着部214に取着された止水体240の一端面241を押圧するための押圧面234が形成されている。つまり、押圧面234が止水体240の一端面241に係合可能であるように、筒部231の内径が止水体240の外径よりも小さい。また、張出部220の外径は、貫通孔23の径よりも大きくなるように定められている。該張出部232の他端(先端)面には、貫通孔23周縁に当接可能な当接面235が形成されている。該当接面235は平面状であり、被接続体である角形の管材21の平面状の周壁23にその周方向全体に亘って当接(密接)可能である。該当接面235は、押圧面234よりも径方向外側に配置されているが、両者は同一平面を形成しており、特に区分けされていない。
【0063】
図16及び
図17は、角形の管材21の周壁22に穿設された貫通孔23に対して配管材接続具200が固定された配管材設置構造20を示している。
図16に示すとおり、本実施形態の配管材設置構造20では、被接続体は断面視矩形の管材21であり、管材21の周壁22に円形の貫通孔23が穿設されている。そして、該管材21の貫通孔23に配管材接続具200が挿通されて固定され、該配管材接続具200を介して配管材としてのL字状の管25が管材21に連通するように接続されている。
図17(a)に示すように、配管材設置構造20において、配管材接続具200のスペーサ体230の当接面235が管材21の周壁22に当接している。当接面235及び貫通孔23周縁が垂直平面に平行に対向しているため、当接面235は周方向全体に亘って貫通孔23周縁に当接している。
図17(b)に示すように、止水体240の中間部243が軸方向に圧縮されるとともに径方向外方に膨出している。このとき、止水体240の一端面241近傍に貫通孔23端面が位置しているが、止水体240の中間部243がその一端面241近傍から外方に立ち上がっているので、一端面241近傍においても止水体240外面と貫通孔23端面とが確実に圧接している。本実施形態では、周方向において一様な圧接形態をとる。すなわち、貫通孔23の周方向全体に亘って、止水体240外面と貫通孔23端面とが圧接し、安定した止水状態が形成されている。
【0064】
すなわち、本発明のスペーサ体の当接面の形状を貫通孔周縁面の形状に合致させるように変更することにより、種々の形状の被接続体に対応することが可能である。
【0065】
[第3実施形態]
図18及び
図19を参照して、第3実施形態の配管材接続具300を説明する。
図18に示すとおり、配管材接続具300は、軸方向に延びる接続具本体310と、該接続具本体310に螺着するナット体320と、該ナット体320の他端側で接続具本体310に外挿されたスペーサ体330と、該スペーサ体330の他端側で接続具本体310に装着された弾性変形可能な止水体340とを備えてなる。第3実施形態の配管材接続具300では、上記配管材接続具100,200と比べて、スペーサ体330の構成のみが相違する。
【0066】
スペーサ体330は、接続具本体310に軸方向にスライド可能に外挿される短筒体として構成されている。スペーサ体330は、軸方向に延びる円筒状の内筒部331、及び、該内筒部331の他端に拡径して連結された外筒部332を備える。内筒部331は、環状のスペーサ体330の内壁を構成している。内筒部331の内径は、接続部本体310の筒状部312及び螺子部313の外径よりも大きい。内筒部331の一端側の端面には、ナット体320の摺接面324が回転方向に摺接可能な基端面333が形成されている。また、内筒部331の他端側の環状の端面には、筒状部312の取着部314に取着された止水体340の一端面341を押圧するための押圧面334が形成されている。他方、外筒部332は、内筒部331の外周面よりも拡径した円筒体である。外筒部332は、その先端が内筒部331先端(押圧面334)よりも他端側に突出するように軸方向に沿って延在している。外筒部332の内径は止水体340の外径よりも大きい。該外筒部332の他端(先端)面には、被接続体である角形の管材31の貫通孔33周縁に当接(密接)するための当接面335が形成されている。該当接面335は、押圧面334よりも他端側にせり出しているとともに、一平面上で環状に形成されている。
【0067】
図19は、角形の管材31の周壁32に穿設された貫通孔33に対して配管材接続具300が固定された配管材設置構造30を示している。
図19に示すとおり、本実施形態の配管材設置構造30では、被接続体は断面視矩形の管材31であり、管材31の周壁32に円形の貫通孔33が穿設されている。第2実施形態の配管材設置構造20と第3実施形態の配管材設置構造30の相違は、当接面335が押圧面334よりも他端側にせり出している点である。そして、該配管材設置構造30では、当接面335と押圧面334との軸方向の距離の分、止水体340の中間部343のより中央側で止水体340外面が貫通孔33端面に当接している。すなわち、スペーサ体の当接面の軸方向の位置を変更することにより、貫通孔端面に圧接する止水体外面の軸方向の位置を最適な位置に調整することが可能である。
【0068】
上記のとおり、第1〜3実施形態において、3種類のスペーサ体130,230,330を説明したが、被接続体の周壁形状に応じて、スペーサ体130,230,330のみを相互に入れ替えることにより、配管材接続具を被接続体の貫通孔に対して止水状態で固定することが可能である。つまり、本発明の配管材接続具は、異なる被接続体の周壁形状に対応可能とすべく、相互に交換可能な複数種のスペーサ体を備えてもよい。これにより、作業者が現場で使用する部品の点数を抑えたまま、異なる被接続体の周壁形状に対応することが可能となる。換言すると、本発明の配管材接続具は、スペーサ体のみを変更及び/又は追加することにより、様々な形状の被接続体に対応可能であるため、高い拡張性を有している。なお、上記3種類のスペーサ体は、例示にすぎず、当業者であれば、被接続体の周壁形状に応じてスペーサ体の形状を適宜変更及び/又は追加可能である。
【0069】
[変形例]
本発明の配管材接続具は、上記実施形態に限定されずに、例えば、以下のように変形可能である。
【0070】
(1)本実施形態の配管材接続具100は、排水管13に管15を接続する用途で用いられるが、本発明はこれに限定されず、種々の用途に適用可能である。すなわち、被接続体は、排水管以外に種々の形態をとり得る。被接続体は、排水管のような管体のみならず、周壁に貫通孔が形成されるものであれば、例えば、配線・配管ボックス、ダクトなどであってもよい。また。該配管材は、管のみならず、例えば、止水栓、水栓、キャップ、計測機器などの配管用の器具をも含む広い概念である。すなわち、本発明の技術的範囲を逸脱することなく、本発明の配管材接続具は種々の用途に応用可能である。
【0071】
(2)本発明の配管材接続具は、上記実施形態の形状・寸法に限定されない。例えば、接続部は、上記実施形態では直状の筒体であるが、L字形状、曲状、分岐状であってもよい。また、接続部は、筒状部と同径であってもよく、又は、筒状部よりも拡径していてもよい。さらに、接続部の外面又は内面にネジ山が形成されてもよい。上記実施形態では、フランジ部が筒状部の他端を構成しているが、フランジ部の他端面から筒状部の一部がさらに突出してもよい。さらに、筒状部に取着された止水体が径方向外方に膨出可能であれば、筒状部から縮径部が省略されてもよい。スペーサ体の形状は、上記形態に限定されず、被接続体の貫通孔の周縁に応じて任意に変更可能である。例えば、角柱の角部に貫通孔が形成された場合、スペーサ体の当接面は平面視L字状に形成されてもよい。また、貫通孔周縁面に凹凸がある場合、スペーサ体の当接面を凹凸状に形成してもよい。
【0072】
(3)上記実施形態では、配管材接続具のスペーサの当接面が被接続体の周壁外面に沿うように形成されているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、スペーサの当接面の形状が周壁外面形状に合致せず、当接面が周壁に部分的に当接し、両者の間に隙間が形成されてもよい。このような形態においても、当接面を被接続体の周壁外面に宛がった姿勢で、ナット体の操作が可能であるので、配管材接続具の設置作業を安定して行うことが可能であるという一定の効果が得られる。あるいは、スペーサ体が押圧面で止水体を軸方向に圧縮可能であれば、スペーサ体の当接面が省略されてもよい。すなわち、スペーサ体が周壁に当接せずとも、止水体の膨出によって配管材接続具を貫通孔に対して止水状態で固定可能である。
【0073】
(4)上記実施形態は、配管材接続具の接続部に、別体である管が嵌着されるように構成されている。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されない。すなわち、本発明において、接続具本体の接続部が配管材に一体的に接続されてもよい。換言すると、配管材に配管材接続具の接続具本体を一体的に形成し、配管材接続具の機能を配管材として発揮するように構成してもよい。
【0074】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。