(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
箱状の筐体と、筐体の箱状の空間を仕切る電磁遮蔽壁と、電磁遮蔽壁に仕切られた空間にそれぞれ配置される複数の回路基板と、複数の電極を有し複数の電極間にストレスリリーフを有し、幅方向が、前記電極に対応するパターンを有する回路基板の前記パターンに対して立ち上がった方向である金属片と複数の電極を露出するよう金属片を覆いストレスリリーフの形状を保持し素材がシリコンである樹脂材とを有し回路基板と電気的に接続する接続部品とを有する通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の接続部品を実装した通信装置の構成を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、通信装置の筐体9は、箱状の形状であり、筐体9の箱状の空間がさらに電磁遮蔽壁9aにより仕切られ、各RF回路基板4が、電磁遮蔽壁9aにより仕切られている空間に配置されている。またRF回路基板4は、本実施形態の接続部品3によって電気的に接続されている。
【0018】
筐体9の材料は、加工、放熱等に優位である金属である。
【0019】
RF回路基板4は、箱状の筐体9の底にねじ固定または、シート半田等で結合される。RF回路基板4の素材は、ねじ固定の場合は、例えば、ガラス布基材エポキシ樹脂積層板、ガラス布基材ポリイミド樹脂板としてよい。半田付けの場合は、例えばアルミナセラミック基板、フェライト基板、ストリップライン基板としてよい。
【0020】
RF回路基板4には、接続部品3と接続するための配線パタ−ン4aが設けられている。RF回路基板4の配線パタ−ン4aは、他方のRF回路基板4に近い端部に近接して配置されている。
【0021】
また、RF回路基板4の電磁的干渉を防ぐため、電磁遮蔽壁9aが2枚のRF回路基板4の間に設けられている。電磁遮蔽壁9aと筐体9は一体構造としてもよい。電磁遮蔽壁9aは、RF回路基板4を接続する位置に配置される接続部品3と干渉しないように貫通穴9bをもっている。
【0022】
接続部品3と配線パタ−ン4aは導電性接合材により接合される。接合に用いる導電性接合材の材料は、半田などを用いてもよいが、電気特性によっては導電性に優れた接着剤を用いてもよい。
【0023】
図2は、第1の実施形態の接続部品の構成を示す斜視図である。
図3は、第1の実施形態の接続部品3の構成の一例を示す断面図である。接続部品3は、金属片1と、樹脂材2からなる。接続部品3は、例えば、金属片1と樹脂材2を一体モールド成形して製造されてもよい。
【0024】
金属片1の形状は、低温から高温まで温度サイクルによって部品間の線膨張係数の差から生じるストレスを緩和するストレスリリ−フの機能を有する形状となっている。具体的には、
図1に示すように2枚のRF回路基板4の配線パタ−ン4aに金属片1の電極1aが接合された場合には、温度サイクルによって主には配線パタ−ン4aと電極1aの接合部に電極1a間を広げる方向又は狭める方向に大きなストレスが生じる。このストレスを緩和するストレスリリ−フは、電極間の距離が容易に変化可能な構造とすればよく、例えば、2つの金属片1の電極1aの間に折り曲げや湾曲加工を加えたものであればよい。本実施形態の金属片1のストレスリリ−フは、
図2及び
図3に示すように、2つの金属片1の電極1aの内側をそれぞれ略90度折り曲げた折り曲げ部1b、1cと、折り曲げ部1b、1c間に折り曲げ部1b、1cと反対方向に略90度折り曲げた折り曲げ部1d、1eをもつ形状としてもよい。なお、ストレスリリ−フの機能を有する形状は、これにかぎらず様々な折り曲げや湾曲加工で実現できる。このようなストレスリリーフにより温度サイクルによって配線パタ−ン4aと電極1aの接合部に生じるストレスを緩和することができる。
【0025】
なお金属片1の材料は、銅と同等の導通性をもつ薄板金属が有効である。また樹脂材2は、
図2及び
図3に示すように金属片1の複数の電極1aを露出して金属片1を覆い、金属片1の電極1a間のストレスリリーフの形状を保持するよう金属片1と一体モールド成形されている。具体的には樹脂材2は、折り曲げ部1d、1e及びこれらの間の部分を全体的に覆っている。樹脂材2の外形は、接続部品を保持しやすくまた金属片1と一体モールド成形しやすい形状とし、例えば、
図2及び
図3に示すように直方体形状としてもよい。また樹脂材2の金属片1の幅方向の外形は、
図4に示すように折り曲げ部1b、1c、1d、1eより幅が広い。このような形状とすれば、折り曲げ部1b、から1e及びこれらの間の部分の形状を、幅方向からも保持することができる。
【0026】
樹脂材2の素材は、耐熱性が高い樹脂、例えばシリコンを用いてもよい。なお、金属片1と樹脂材2を一体化する方法は、一体モールド成形に限定されない。金属片1のストレスリリーフの形状を保持し、かつストレスリリーフの機能を損なわなければ、他の方法でもよい。
【0027】
このような構成により、金属片1の電極1a間のストレスリリーフの形状の変形を防止することができ、金属片1を変形させずに保管すること及び基板への取り付け作業が行うことが容易となる。
【0028】
本実施形態の接続部品を用いてRF回路基板4を接続する作業について説明する。まず、配線パタ−ン4aに導電性接合材を塗布する。接続部品3の樹脂材2を保持し、貫通穴を通して、電極1aが筐体やRF回路基板4に接触し変形しないよう、電極1aを配線パタ−ン4aの位置に合わせ、接続部品3をRF回路基板4上に配置する。接続部品3の電極1aと配線パタ−ン4aの間に塗布された導電性接合材により接続部品3の電極と配線パタ−ン4aとを接合する。
【0029】
本実施形態の接続部品ではなく導電性ワイヤ等を用いる場合、導電性ワイヤの保管時や、RF回路基板への導電性ワイヤの配置の作業において、予め成形した導電性ワイヤやリボンを変形させてしまうおそれがある。変形した場合、導電性ワイヤやリボンの再成形を行わなければならないおそれもある。この場合、導電性ワイヤやリボンの表面が再成形により劣化する。これが一因で過酷な環境下でリボンの破断やクラックが生じ、RF回路のRF特性が低下する恐れもある。
【0030】
本実施形態の接続部品を用いることにより、樹脂材が金属片の安定した形状を保つため、保管時における接続部品の変形を防止でき、また接続部品を配置し接合する作業時における接続部品の変形も防止できる。このことにより、振動、衝撃、熱衝撃等の過酷な環境下での接続部分の信頼性の低下を防止することができる。また接続部品の形状が安定しているため、作業効率を向上させることができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図5は、本発明の第2の実施形態の接続部品の構成を示す斜視図である。
図6は本発明の第2の実施形態の接続部品の構成を示す断面図である。
【0033】
本実施形態では、金属片11が
図5、
図6に示すように両端が内側に巻いた形となっている点で第1の実施形態と異なる。
【0034】
接続部品12は、第1の実施形態と同様に金属片11と、樹脂材10からなる。接続部品12は、例えば、金属片11と樹脂材10を一体モールド成形して製造されてもよい。
【0035】
本実施形態の金属片11のストレスリリ−フは、
図5及び
図6に示すように、金属片1の両端の電極1aの外側を同じ方向に略90度折り曲げた折り曲げ部11b、11cと、折り曲げ部11b、11c間に折り曲げ部11b、11cと同じ方向に略90度それぞれ折り曲げた折り曲げ部11d、11eとをもつ形状としてもよい。なお金属片11の材料は、銅と同等の導通性をもつ薄板金属が有効である。
【0036】
また樹脂材10は、
図5及び
図6に示すように金属片11の内側に巻いた形のストレスリリーフの内面及び側面を全面的に覆うよう金属片11と一体モールド成形されている。具体的には樹脂材10は、
図6に示すように、金属片11の2つの電極11aの表面と、電極11aに対し略90度折り曲げられた直立面(折り曲げ部11b、11d間及び折り曲げ部11c、11e間)以外を全面的に覆う。樹脂材10の外形は、第1の実施形態と同様に接続部品を保持しやすくまた金属片1と一体モールド成形しやすい形状とし、例えば、
図5及び
図6に示すように直方体形状としてもよい。また樹脂材10の金属片11の幅方向の外形は、電極11a及び折り曲げ部11bから11eより幅が広い。このような形状とすれば、電極11a及び折り曲げ部11bから11e及びこれらの間の部分を、幅方向からも保持することができる。
【0037】
樹脂材10の素材は、第1の実施形態と同様に、例えば耐熱性が高いシリコンを用いてもよいが、同等に優れた素材でも代用は可能である。なお、金属片11と樹脂材10の一体化方法は、金属片11のストレスリリーフの形状を保持し、かつストレスリリーフの機能を損なわなければ、一体モールド成形でなくてもよい。
【0038】
接続部品12の電極11aは、配線パタ−ン4aとの間に導電性接合材13が塗布され、2枚のRF回路基板4と導通を得る。
【0039】
図7は、第2の実施形態の接続部品を実装した通信装置の構成を示す斜視図である。
図7に示すように接続部品12の、電極11aに対し略90度折り曲げられた直立面は、樹脂材10に覆われておらず、配線パタ−ン4aに対しても略90度に立ち上がった直立面となる。導電性接合材13が半田のとき、この直立面とパターン4aを接合するとフィレット13aを形成することが可能である。
【0040】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な振動、衝撃等の環境に対する良好な特性を得ることができるとともに、本実施形態の接続構造では電極11aが樹脂材10の外にはみ出していないので、接続部品12は、第1の実施形態と比較して小型化を必要とする回路に優位である。また、本実施形態の接続構造では電極11aが樹脂材10の外にはみ出していないので、組立等の取り扱いの際に電極11aを接触させ変形させるおそれが少ない。このため、第1の実施形態と比較して破損、変形等の可能性が低く、信頼性が高い。
【0041】
次に本発明の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図8は、本発明の第3の実施形態の接続部品を実装した通信装置の構成を示す斜視図である。
図9は、本発明の第3の実施形態の接続部品を実装した通信装置の構成を示す断面図である。
【0042】
通信装置は、箱状の筐体15と、筐体15の底に取り付けられた2枚のRF回路基板6と、2枚のRF回路基板6を仕切る電磁遮蔽壁15aと、筐体15の底の外部に取り付けられたRFモジュール8と、接続部品14とを有している。
【0043】
RFモジュ−ル8は、
図9に示すように、入出カアンテナとしてRFモジュ−ルピン8aを備えている。筐体15には、RFモジュ−ル8を実装固定した際、RFモジュ−ルピン8aをRF回路基板6まで貫通させる為にRFモジュ−ルピン8aの直径より大きな貫通穴が施されている。2枚のRF回路基板6は、RFモジュ−ルピン8aが貫通する為にRFモジュ−ルピン8aの直径より大きな貫通穴が施されている。接続部品14の一方の電極は、RFモジュールピン8aに嵌合する円筒形の電極である。接続部品14は各RF回路基板6上に実装され、一方の電極が各RF回路基板6から突き出しているRFモジュ−ルピン8aに差し込まれて嵌合しており、各RF回路基板6とRFモジュール8とを電気的に接続する。またRF回路基板6には、第1、第2の実施形態と同様に、接続部品14と接続するための配線パタ−ン6aが設けられ、接続部品14は、導電性接合材13により各RF回路基板6と電気的に接続されている。
【0044】
図8、
図9に示すように接続部品14の配線パタ−ン6aの面に対し略90度に立ち上がった電極17aは、樹脂材16に覆われておらず、導電性接合材13が半田のときフィレット13aを形成することが可能である。
【0045】
筐体9の材料は、第1、第2の実施形態と同様に、加工、放熱等に優位である金属である。また、2枚のRF回路基板6の電磁的干渉を防ぐため、電磁遮蔽壁15aが2枚のRF回路基板6の間に設けられている。電磁遮蔽壁15aと筐体15は一体構造としてもよい。
【0046】
2枚のRF回路基板6は、第1、第2の実施形態と同様に、箱状の筐体15の底にねじ固定または、シート半田等で結合される。RF回路基板6の素材は、第1、第2の実施形態と同様に、例えば、ガラス布基材エポキシ樹脂積層板、ガラス布基材ポリイミド樹脂板、アルミナセラミック基板、フェライト基板、ストリップライン基板などである。
【0047】
図10は、本発明の第3の実施形態の接続部品の他の実装状態を示す斜視図である。
図10に示すように、複数のRFモジュ−ルピン18aを持つRFモジュ−ル18を回路基板19上にある配線パタ−ン19aに接続する実施形態も可能である。
【0048】
図11は、本発明の第3の実施形態の接続部品の構成を示す斜視図である。
【0049】
接続部品14は、
図11に示すように、樹脂材16と金属片17により構成されている。金属片17の素材は、導通性が良い銅などと同等の薄板金属が有効である。
【0050】
金属片17の一端の電極は、RFモジュ−ルピン8aに嵌合する円筒形をしている。金属片17の他端は、実装時に配線パタ−ン6aの面に対し略直角となる角度に成形されている。金属片17の一端の電極である円筒の穴径は、RFモジュ−ルピン8aの直径と同じである。導電性接合材13が電極部17aと配線パタ−ン6aの間に塗布され接続部品14とRF回路基板6が導通を得る。
【0051】
実装形態3では
図11に示すように2枚のRF回路基板6と接続部品14とRFモジュ−ル8が導通を得ている。
【0052】
樹脂材16は、
図11に示すように金属片17の電極部17aと円筒部の内径以外を覆って金属片17と一体化されている。接続部品14は、例えば、金属片17と樹脂材16を一体モールド成形して製造されてもよい。
【0053】
金属片17は、RF回路基板6と接続部品14の線膨張係数の差から生じる熱衝撃を受けたときのストレスリリ−フとなる形状を有している。例えば、本実施形態の金属片17のストレスリリ−フは、
図11に示すように、電極17aと円筒部の間を折り曲げた折り曲げ部17b、17cをもつ形状としてもよい。なお、ストレスリリ−フの機能を有する形状は、これにかぎらず金属片に様々な折り曲げや湾曲加工を加えたものを用いることができる。
【0054】
また、振動によるRFモジュ−ルピン8aの振幅が金属片17に伝わり、金属板17にねじれる動きが発生するが、折り曲げ部17b、17c及び樹脂材16が、振動、衝撃等の外部環境による外力から金属片17にかかるストレスを緩和する。
【0055】
樹脂材2の外形は、接続部品を保持しやすくまた金属片17と一体モールド成形しやすい形状とし、例えば、
図11に示すように直方体形状としてもよい。また樹脂材16の金属片17の幅方向の外形は、電極17a、円筒部、折り曲げ部17b、17cより幅が広い。このような形状とすれば、電極17a、円筒部、折り曲げ部17b、17c及びこれらの間の部分の形状を、幅方向からも保持することができる。
【0056】
樹脂材2の素材は、第1の実施形態例えば耐熱性が高いシリコンを用いてもよいが、同等に優れた素材でも代用は可能である。なお、金属片1と樹脂材2の一体化方法は、金属片1のストレスリリーフの形状を保持し、かつストレスリリーフの機能を損なわなければ、一体モールド成形でなくてもよい。
【0057】
このような構成により、金属片1の電極1a間のストレスリリーフの形状の変形を防止することができ、金属片1を変形させずに保管すること及び基板への取り付け作業が行うことが容易となる。
【0058】
本実施形態の接続部品を用いてRF回路基板6及びRFモジュール8を接続する作業について説明する。まず、配線パタ−ン6aに導電性接合材を塗布する。接続部品14の樹脂材16を保持し、金属片17の一端である接続部品14の円筒形の穴にRFモジュ−ルピン8aを通し、電極17aを配線パタ−ン6aの位置に合わせ、接続部品14をRF回路基板46上に配置する。接続部品14の電極17aと配線パタ−ン6aの間に塗布された導電性接合材により接続部品14の電極17aと配線パタ−ン6aとを接合する。
【0059】
本実施形態によれば、金属片17の電極17aとRFモジュ−ルピン8aを通す円筒形の間のストレスリリーフの形状の変形を防止することができ、金属片1を変形させずに保管すること及び基板への取り付け作業が行うことが容易となる。第1、第2の実施形態と同様な振動、衝撃等の環境に対する良好な特性を得ることができるとともに、本実施形態の接続構造では電極17aが樹脂材16の外にはみ出していないので、接続部品14は、第1の実施形態と比較して組立等の取り扱いの際に電極17aを接触させ変形させるおそれが少ない。このため、第1の実施形態と比較して破損、変形等の可能性が低く、信頼性が高い。
【0060】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。