特許第6588237号(P6588237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588237
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】バルブおよび流体制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   F16K27/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-110527(P2015-110527)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-223533(P2016-223533A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野刈 慎也
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−178893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00−27/12
F17D 1/00− 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路および第2流路が形成されたボディと、
前記第1流路と前記第2流路との間を連通または遮断する弁体と、
を備えたバルブであって、
前記ボディは、
前記弁体側に位置する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有する基部と、
前記第2面と段差部を形成する第3面を有する第1連結部と、
前記第1面と段差部を形成する第4面を有する第2連結部と、を有し、
前記第1流路は、第1−1流路と、第1−2流路とを有し、
前記第1−1流路の第1−1ポートは前記第3面に開口し
前記第1−2流路の第1−3ポートは、前記第1−1流路の第1−2ポートに連通し、かつ前記弁体に向かって開口し、
前記第1−2流路の第1−4ポートは前記第4面に開口し、
前記第1−3ポートを介して、前記第1流路と前記第2流路とが連通可能であり、
前記第1連結部は、別のバルブのボディにおける前記第2連結部に相当する部分に対し連結され、前記第1−1流路と前記別のバルブのボディにおける前記第1−2流路に相当する流路とが連通し、
前記ボディに弁室が形成され、前記弁室に前記弁体が配置されている、バルブ。
【請求項2】
前記ボディには、第3流路が形成され、
前記バルブは、
前記第1流路と前記第3流路との間を連通または遮断する他の弁体
を更に備え、
前記第1−2流路は、前記第1−3ポートと前記第1−4ポートとの間において前記他の弁体に向かって開口する第1−5ポートを有し、
前記第1−5ポートを介して、前記第1流路と前記第3流路とが連通可能である、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバルブが連結されたマニホールドバルブを備える流体制御装置。
【請求項4】
複数のガスラインを備え、各ガスラインに請求項1または請求項2に記載のバルブが1つ設けられ互いに連結されて前記マニホールドバルブが構成されている、請求項3に記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置等に使用される流体制御装置で用いられるバルブおよびそのバルブを備える流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のガスラインを備える流体制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。各ガスラインは、複数の流体制御機器と、複数の継手とを有し、複数の継手の上面に複数の流体制御機器を装着することにより、複数の流体制御機器同士が接続され、流体が供給される。そして、マスフローコントローラの入口側には三方弁が設けられ、当該三方弁の下側には、一つのマニホールドが複数のガスラインに対して設けられ、各ガスラインの三方弁に対し連結されている。マニホールドには、パージガスが供給され、複数の三方弁に対し供給されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−349797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマニホールドでは、仕様変更等によりガスラインの増減が生じた場合、ガスライン数に応じた長さのマニホールドに取り換える必要があり、マニホールドに連結されている流体制御機器を全て取り外す必要がある。このため、仕様変更等に工数および時間がかかってしまう。
【0005】
また、マニホールドの流路は、ガンドリルで切削することにより形成される。このため、流路の長さはドリルビットの長さに依存するが、ドリルビットの長さを長くするとドリルビットが破損し易くなるので、流路の長さをあまり長くすることができない。よって、マニホールドあたりのガスラインの数が限られていた。
【0006】
そこで本発明は、ガスラインの数を制限せず、かつ容易にガスラインを増減可能なバルブおよび流体制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するために、本発明の一態様であるバルブは、第1流路および第2流路が形成されたボディと、前記第1流路と前記第2流路との間を連通または遮断する弁体と、を備えたバルブであって、前記ボディは、前記弁体側に位置する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有する基部と前記第2面と段差部を形成する第3面を有する第1連結部と、前記第1面と段差部を形成する第4面を有する第2連結部と、を有し、前記第1流路は、第1−1流路と、第1−2流路とを有し、前記第1−1流路の第1−1ポートは前記第3面に開口し、前記第1−2流路の第1−3ポートは、前記第1−1流路の第1−2ポートに連通し、かつ前記弁体に向かって開口し、前記第1−2流路の第1−4ポートは前記第4面に開口し、前記第1−3ポートを介して、前記第1流路と前記第2流路とが連通可能であり、前記第1連結部は、別のバルブのボディにおける前記第2連結部に相当する部分に対し連結され、前記第1−1流路と前記別のバルブのボディにおける前記第1−2流路に相当する流路とが連通する。
【0008】
また、前記ボディには、第3流路が形成され、前記バルブは、前記第1流路と前記第3流路との間を連通または遮断する他の弁体を更に備え、前記第1−2流路は、前記第1−3ポートと前記第1−4ポートとの間において前記他の弁体に向かって開口する第1−5ポートを有し、前記第1−5ポートを介して、前記第1流路と前記第3流路とが連通可能でも良い。
【0009】
また、本発明の一態様である流体制御装置は、上記に記載のバルブが連結されたマニホールドバルブを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガスラインの数を制限せず、かつ容易にガスラインを増減可能なバルブおよび流体制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るバルブを備える流体制御装置の斜視図を示す。
図2】実施形態に係るバルブを備える流体制御装置の側面図を示す。
図3】バルブの外観斜視図を示す。
図4】(a)は、第1方向に直交する平面における閉状態にあるバルブの部分断面図を示し、(b)は、(a)のIVb−IVb線に沿った閉状態にあるバルブの部分断面図を示す。
図5】開状態にあるバルブの部分断面図を示す。
図6】(a)は、ボディの本体部に形成された流路の説明図を示し、(b)は、ボディの本体部が他部材と連結するための構造の説明図を示す。
図7】隣り合うバルブのボディが連結された状態を示す図である。
図8】変形例に係るバルブの説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態に係るバルブおよび流体制御装置について、図面を参照して説明する。以下の説明における上下は、図1の上下とし、ガスライン3の延びる方向を第1方向D1とし、基盤2に平行でかつ第1方向D1に直交する方向を第2方向D2とする。
【0013】
図1は、本実施形態に係るバルブ20を備える流体制御装置1の斜視図を示している。図2は、本実施形態に係るバルブ20を備える流体制御装置1の側面図を示している。
【0014】
流体制御装置1は、基盤2と、複数(3ライン)のガスライン3と、ガスアウトマニホールド4とを備えている。また、各ガスライン3の構成は同じであるので、以下では複数のガスライン3のうちの一つのガスライン3についてのみ説明を行う。
【0015】
図1に示すように、ガスライン3は、複数の継手10、11と、複数の流体制御機器12〜17、20と、を備える。
【0016】
複数の継手10、11は、プロセスガスの入口となる入口継手10と、入口継手10とガスアウトマニホールド4との間に配置される複数のブロック状の継手11とにより構成さている。複数の継手10、11は、基盤2上に一列に並ぶように設けられ、図示せぬボルトにより基盤2に固定されている。図2に示すように、各継手10、11には、ガスの流路10a、11aが形成されている。また、ガスアウトマニホールド4には、第2方向D2に沿って延びる流出路4aが形成され、出口配管4Bが接続されている。
【0017】
複数の流体制御機器12〜17は、自動弁(例えば流体駆動式の自動弁)12〜14、20と、手動式のレギュレータ(減圧弁)15と、フィルタ16と、流量制御機器(例えば、マスフローコントローラ(MFC:Mass Flow Controller))17と、により構成されている。図1に示すように、各流体制御機器12〜17、20は、ボルト5(図の簡略化のため一つのボルト5にのみ参照番号を付している。)により、継手10、11、ガスアウトマニホールド4に対しそれぞれ連結されている。
【0018】
そして、入口継手10から流入するプロセスガスは、流体制御機器12〜17、20、複数の継手11、およびガスアウトマニホールド4を通過して、図示せぬチャンバへ供給される。なお、後述のように複数のバルブ20は、互いに連結可能に構成され、一体となって2つの閉止ブロック7と共にマニホールドバルブを構成する。
【0019】
次に、バルブ20について、図3図5を参照して説明する。
【0020】
図3は、バルブ20の外観斜視図を示している。図4(a)は、第1方向D1に直交する平面における閉状態にあるバルブ20の部分断面図を示し、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線に沿った閉状態にあるバルブ20の部分断面図を示している。図5は、開状態にあるバルブ20の部分断面図を示している。
【0021】
図3に示すように、バルブ20は、ボディ30と、ボンネット部21と、アクチュエータ22とを備える。
【0022】
図4に示すように、ボディ30は、本体部31と円筒部32とを備え、例えば、鋳造、ロストワックス、または3Dプリンタにより製造される。本体部31には、第1流路31aと、第2流路31bとが形成されている。円筒部32は、本体部31の上側に設けられ、弁室32aが形成されている。また、弁室32aには環状の溝32bが形成されている。第1流路31aは弁室32aに連通し、第2流路31bは溝32bと連通するように構成されている。なお、本体部31の詳細な構成については後述する。
【0023】
ボンネット部21は、ボンネット21Aと、ボンネットナット21Bと、シート21Cと、ダイヤフラム21Dと、押さえアダプタ21Eと、ダイヤフラム押さえ21F、ホルダ21Gと、ステム21Hと、バネ21Jとを有する。
【0024】
ボンネット21Aは、略円筒状をなし、ボンネットナット21Bが円筒部32に対し螺合されることにより、ボディ30に対し固定されている。シート21Cは、環状をなし、円筒部32の弁室32aと第1流路31aとが連通する箇所の周縁に設けられている。ダイヤフラム21Dは、押さえアダプタ21Eにより、その外周縁部が狭圧され、ボディ30に対し保持されている。弁体であるダイヤフラム21Dは、略球殻状をなし、上に凸の略円弧状が自然状態となっている。ダイヤフラム21Dがシート21Cに対し当接および離間することによって、第1流路31aと第2流路31bとの間の連通または遮断が行われる。バルブ20が閉状態にあるときには、ダイヤフラム21Dがシート21Cに当接し、第1流路31aと第2流路31bとが遮断される。図5に示すように、バルブ20が開状態にあるときには、ダイヤフラム21Dがシート21Cから離間し、第1流路31aと第2流路31bとが連通する。
【0025】
ダイヤフラム押さえ21Fは、ダイヤフラム21Dの上側に設けられ、ダイヤフラム21Dの中央部を押圧可能に構成されている。ダイヤフラム押さえ21Fはホルダ21Gに嵌合され、ホルダ21Gは、ボンネット21Aにより上下方向に移動可能に支持されている。ステム21Hは、ホルダ21Gに対し螺合されて連結されている。バネ21Jは、ホルダ21Gを常に下側に付勢している。
【0026】
ステム21Hは、駆動部であるアクチュエータ22により駆動されて、上側へ移動される。アクチュエータ22は、外部からの流体により駆動力を発生させる。これにより、ホルダ21Gもバネ21Jの付勢力に抗して上側に移動し、ダイヤフラム21Dの弾性力および第1流路31aを流れるガスの圧力によりダイヤフラム21Dは略円弧状に戻り、図5に示すようにバルブ20は開状態となる。
【0027】
次に、ボディ30の本体部31について図3、4、6を参照して説明する。図6(a)は、ボディ30の本体部31に形成された流路の説明図を示し、図6(b)は、ボディ30の本体部31が他部材と連結するための構造の説明図を示している。
【0028】
図3に示すように、ボディ30の本体部31は、基部33と、第1連結部34と、第2連結部35とを備える。
【0029】
基部33は、略直方体状をなし、第1面33Aと第1面33Aの反対側に位置する第2面33Bとを有する。第1面33Aには、円筒部32が設けられる。第2面33Bは、バルブ20が継手11に連結される時に継手11に当接する。第2面33Bには、第1方向D1に沿った2箇所に環状凹部33c(図4(b)、図6(a))が形成されている。
【0030】
第1連結部34は、基部33に対して第2方向D2の一方の側に突出するように設けられている。第1連結部34は、第2面33Bと段差部36を形成する第3面34Aを有する。第3面34Aには、環状凹部34b(図4(a)、図6(a))が形成されている。
【0031】
第2連結部35は、基部33に対して第2方向D2の他方の側に突出するように設けられている。第2連結部35は、第1面33Aと段差部37を形成する第4面35Aを有する。第4面35Aには、環状凹部35bが形成されている。また、第3面34Aと第4面35Aとは、略同一平面上に位置する。なお、第1連結部34の第3面34Aの反対側に位置する第5面34Dと第1面33Aとは、面一の関係にあり、第2連結部35の第4面35Aの反対側に位置する第6面35Dと第2面33Bとは面一の関係にある。また、バルブ20における他部材との連結するための構造については後述する。
【0032】
また、上記のように、ボディ30の本体部31には、図4、6に示すように、第1流路31aと第2流路31bとが形成されている。
【0033】
第1流路31aは、パージガス(例えば、窒素)を流すための流路であり、第1−1流路31cと、第1−2流路31dとを有する。
【0034】
第1−1流路31cは、環状凹部34bを介して第3面34Aに開口する第1−1ポート31c1と、第1−2流路31dに開口する第1−2ポート31c2とを有する。第1−1流路31cは、第1−1ポート31c1から上方に延びる部分と、上方に延びる部分の上端から第2方向D2に沿って延びる部分とにより構成される。
【0035】
第1−2流路31dは、ダイヤフラム21Dに向かって開口する第1−3ポート31d1と、環状凹部35bを介して第4面35Aに開口する第1−4ポート31d2とを有する。第1−2流路31dは、第1−3ポート31d1から下方に向かって延びる部分と、下方に延びる部分の下端から第2方向D2に沿って延びる部分と、第2方向D2に延びる部分の端部から下方に向かって延びる部分と、下方に延びる部分の下端から第2方向D2に沿って延びる部分と、第2方向D2に沿って延びる部分の端部から上方に向かって延びる部分とにより構成される。
【0036】
第2流路31bは、プロセスガスおよびパージガスを流すための流路であり、第2−1流路31eと、第2−2流路31fとを有する。
【0037】
第2−1流路31eは、逆V字状をなし、環状凹部33cを介して第2面33Bに開口する2つの第2−1ポート31e1および第2−2ポート31e2を有する。第2−1ポート31e1は、第2−2ポート31e2よりもプロセスガスの流れの上流側に位置する。
【0038】
第2−2流路31fは、溝32bを介してダイヤフラム21Dに向かって開口する第2−3ポート31f1と、第2−1流路31eに開口する第2−4ポート31f2とを有する。第2−2流路31fは、第2−3ポート31f1から第2−4ポート31f2へ下方に向かって延びるように構成されている。
【0039】
また、図6(b)に示すように、本体部31において、基部33の4隅に接続穴33dが、第1連結部34に一対のボルト挿入穴34cが、第2連結部35に一対の雌ネジ穴35cが形成されている。
【0040】
各接続穴33dには、ボルト5(図1)が挿入され、当該ボルト5が継手11に対し螺合され、本体部31が継手11に対し連結される。一対のボルト挿入穴34cには、それぞれボルト6(図1)が挿入され、隣接するバルブ20のボディ30の雌ネジ穴35cに螺合され、図7に示すように、隣り合うバルブ20のボディ30が連結される。
【0041】
図7は、隣り合うバルブ20のボディ30が連結された状態を示す図である。なお、図7において、ボディ30の本体部31および閉止ブロック7のみ断面図で示されており、3個の本体部31に対し、図7における右側から順に参照番号31X、31Y、31Zを付して説明する。
【0042】
図7に示すように、本体部31Xの第1連結部34に閉止ブロック7が連結されて第1−1ポート31c1が閉じられ、本体部31Zの第2連結部35に閉止ブロック7が連結され第1−4ポート31d2が閉じられている。
【0043】
本体部31Yの第1連結部34が、本体部31Xの第2連結部35に対し、上下方向で重なった状態で互いに連結されている。換言すれば、本体部31Yの第1連結部34が本体部31Xの段差部37(図3、4(a))内に位置し、本体部31Xの第2連結部35が本体部31Yの段差部36(図3、4(a))内に位置するようにして連結されている。これにより、本体部31Xの第1−2流路31dと、本体部31Yの第1−1流路31cとが互いに連通する。
【0044】
本体部31Xの第2連結部35の環状凹部35bおよび本体部31Yの第1連結部34の環状凹部34bには、ガスケット38が挿入され、本体部31Xと本体部31Yとの連結部分がシールされている。
【0045】
本体部31Zは、本体部31Yが本体部31Xに連結された形態と同様の形態で、本体部31Yに連結されている。
【0046】
また、本体部31Xの第1連結部34の環状凹部34bおよび閉止ブロック7の凹部7aに、ガスケット38が挿入され、本体部31Xの第1連結部34と閉止ブロック7との連結部分がシールされている。本体部31Zの第2連結部35の環状凹部35bおよび閉止ブロック7の凹部7aに、ガスケット38が挿入され、本体部31Zの第2連結部35と閉止ブロック7との連結部分がシールされている。
【0047】
また、各本体部31の環状凹部33cおよび各継手11の図示せぬ環状凹部にもガスケット38が挿入され、本体部31と継手11との連結部分がシールされている。
【0048】
このようにして、本体部31が連結されることにより、3つのバルブ20が第2方向D2に沿って連結されて、各バルブ20を貫き各第2流路に連通可能な一本の流路を有するマニホールドバルブが構成される。
【0049】
次に、バルブ20が閉状態および開状態にあるときのガスの流れについて説明する。
【0050】
プロセスガスを図示せぬチャンバに供給する際、バルブ20は図4に示す閉状態にされる。これにより、ガスライン3へ供給されるプロセスガスが、本体部31の第2−1ポート31e1から第2流路31bへ流入しても、第1流路31aへは流れず、第2−2ポート31e2から流出し、下流側のマスフローコントローラ17へ流れる。
【0051】
一方、パージガスによりマスフローコントローラ17等をパージする際、バルブ20は図5に示す開状態にされる。これにより、パージガスを供給するためのガスライン3を流れるパージガスは、本体部31の第2−1ポート31e1から第2流路31bへ流入し、溝32bおよび弁室32aを通過して第1流路31aへ流入する。なお、パージガスを供給するガスライン3以外のガスライン3では、自動弁13は閉状態にされる。
【0052】
例えば、図7において、パージガスを供給するためのガスライン3が、本体部31Xを備えるガスライン3である場合、パージガスは、本体部31Xの第2流路31bから第1流路31aへ流入する。その後、パージガスは、本体部31Xの第1−2流路31dから本体部31Yの第1−1流路31cへ流入する。本体部31Yの第1−1流路31cへ流入したパージガスは、一部が溝32bおよび弁室32aを通過して本体部31Yの第2流路31bへ流入し、残部が本体部31Yの第1−2流路31dへ流入する。
【0053】
本体部31Yの第2流路31bへ流入したパージガスは、自動弁13が閉状態にあるので、マスフローコントローラ17側に流れ、マスフローコントローラ17、自動弁14、およびガスアウトマニホールド4を通過し、図示せぬチャンバまで流れる。
【0054】
一方、本体部31Yの第1−2流路31dへ流入したパージガスは、本体部31Zの第1−1流路31cへ流入し、溝32bおよび弁室32aを通過して本体部31Zの第2流路31bへ流入する。そして、本体部31Zの第2流路31bへ流入したパージガスは、自動弁13が閉状態にあるので、マスフローコントローラ17側に流れ、マスフローコントローラ17、自動弁14、およびガスアウトマニホールド4を通過し、図示せぬチャンバまで流れる。
【0055】
次に、バルブ20を備えた流体制御装置1においてガスライン3を増設または削減する方法について図1図7に基づき説明する。
【0056】
ガスライン3の増設時には、ガスアウトマニホールド4およびこれに固定されている自動弁14を全て外し、増設するガスライン3の複数の継手10、11およびガスライン3の数に応じた新たなガスアウトマニホールド4を基盤2に固定する。次に、本体部31Zの第2連結部35から閉止ブロック7を外して、増設するバルブ20の本体部31の第1連結部34を、本体部31Zの第2連結部35にボルト6により連結させる。増設したバルブ20の本体部31の第2連結部35に閉止ブロック7を固定する。増設するガスライン3の複数の流体制御機器12〜17、増設したバルブ20を複数の継手10、11に連結する。さらに、既存のガスライン3の自動弁14を新たなガスアウトマニホールド4に連結する。
【0057】
ガスライン3の削減時には、閉止ブロック7を本体部31Zの第2連結部35から外し、削減するガスライン3の複数の継手10、11および複数の流体制御機器12〜17、20を基盤2から外す。さらに、ガスアウトマニホールド4およびこれに固定されている自動弁14を全て外す。次に、本体部31Yの第2連結部35に対し、閉止ブロック7を固定する。また、ガスライン3の数に応じた新たなガスアウトマニホールド4を基盤2に固定し、新たなガスアウトマニホールド4に対し自動弁14を連結する。
【0058】
上記のようなバルブ20によれば、バルブ20のボディ30の第1連結部34を、別のバルブ20のボディ30の第2連結部35に連結または第2連結部35から外すことにより、容易にマニホールドバルブの長さの変更することができる。これにより、ガスライン3の数が制限されず、かつ容易にガスライン3の増減を行うことができる。
【0059】
また、バルブ20のボディ30の第1連結部34が、隣接するバルブ20のボディ30の第2連結部35に対し、上下方向で重なった状態で、上側からボルト5により互いに連結されている。このため、バルブ20を連結または取り外す際には、上方からのアクセスのみで、バルブ20を連結または取り外すことができる。よって、広いスペースを確保しなくても、バルブ20の連結および取外しを行うことができる。
【0060】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0061】
例えば、図8に示すように、上記の実施形態のバルブ20を複数(図8では2つ)連結したようなバルブ120であっても良い。図8(a)に示すように、ボディ130は、本体部131と2つの円筒部132A、132Bとを備える。各円筒部132A、132Bに対し、ボンネット部21およびアクチュエータ22が設けられている。本体部131は、基部133と、第1連結部34と、第2連結部35とを備える。2つの円筒部132A、132Bは、基部133の第1面133Aに対して設けられている。基部133は、第1面133Aの反対側に位置する第2面133Bを有する。基部133には、バルブ120を複数の継手11に接続するための接続穴133dが複数形成されている。
【0062】
そして、図8(b)に示すように、本体部131には、第1流路131aと、第2流路31bと、第3流路131gとが形成されている。第1流路131aの第1−2流路131dは、円筒部132A内のダイヤフラム21D(図4(b))に向かって開口する第1−3ポート131d1と、第4面35Aに開口する第1−4ポート131d2と、第1−3ポート131d1と第1−4ポート131d2との間において円筒部132B内のダイヤフラム21D(図4(b))に向かって開口する第1−5ポート131d3とを有する。
【0063】
第3流路131gは、プロセスガスおよびパージガスを流すための流路であり、第2流路31bと同様の形状をなしている。すなわち、第3流路131gは、第2流路31bの第2−1流路31eおよび第2−2流路31fに相当する第3−1流路および第3−2流路を有している。よって、第3−1流路は、逆V字状をなし、環状凹部133cを介して第2面133Bに開口する2つのポートを有する。第3−2流路は、円筒部132Bにおいて溝32b(図4(b))を介してダイヤフラム21D(図4(b))に向かって開口するポートと、第3−1流路に開口するポートとを有する。そして、ダイヤフラム21Dがシート21Cに対し当接および離間することによって、第1流路131aと第3流路131gとの間の連通または遮断が行われる。かかる構成のバルブ120によれば、複数のガスライン3の増減を容易に行うことができる。
【0064】
また、第1流路31aの第1−1流路31cは、環状凹部34bを介して第3面34Aに開口する第1−1ポート31c1と、第1−2流路31dに開口する第1−2ポート31c2とを有していれば、どのような形状であっても良い。同様に、第1流路31aの第1−2流路31dは、ダイヤフラム21Dに向かって開口する第1−3ポート31d1と、環状凹部35bを介して第4面35Aに開口する第1−4ポート31d2とを有していれば、どのような形状であっても良い。
【0065】
さらに、第2流路31bの第2−1流路31eは、環状凹部33cを介して第2面33Bに開口する2つの第2−1ポート31e1および第2−2ポート31e2を有していれば、どのような形状であっても良い。第2流路31bの第2−2流路31fは、溝32bを介してダイヤフラム21Dに向かって開口する第2−3ポート31f1と、第2−1流路31eに開口する第2−4ポート31f2とを有していれば、どのような形状であっても良い。
【0066】
また、複数のガスライン3のうちの一つのガスライン3をパージガスを流すガスラインとして用いたが、第2方向D2において端部に位置するバルブ20のボディ30の第1連結部34または第2連結部35に配管を接続して、パージガスを流すようにしても良い。
【0067】
また、ステム21Hを上下動させる駆動手段は、自動式の駆動手段であったが、手動式の駆動手段であっても良い。また、自動式の駆動手段としては、電磁式の駆動手段でも良い。また、バルブ20、120は、ダイヤフラムバルブであったが、他のバルブであっても良い。
【0068】
また、実施形態では、流体制御装置1は、流体制御機器として開閉弁、フィルタ、レギュレータ、およびマスフローコントローラを備えていたが、これらの他に、逆止弁、圧力計等を備えていても良い。
【符号の説明】
【0069】
1:流体制御装置
2:基盤
3:ガスライン
4:ガスアウトマニホールド
4a:流出路
4B:出口配管
5、6:ボルト
7:閉止ブロック
7a:凹部
10、11:継手
12〜17:流体制御機器
20、120:バルブ
21:ボンネット部
21C:シート
21D:ダイヤフラム
21H:ステム
22:アクチュエータ
30、130:ボディ
31a、131a:第1流路
31b:第2流路
31c:第1−1流路
31c1:第1−1ポート
31c2:第1−2ポート
31d、131d:第1−2流路
31d1、131d1:第1−3ポート
31d2、131d2:第1−4ポート
31e:第2−1流路
31e1:第2−1ポート
31e2:第2−2ポート
31f:第2−2流路
31f1:第2−3ポート
31f2:第2−4ポート
32a:弁室
32b:環状の溝
33、133:基部
33A、133A:第1面
33B、133B:第2面
33c 、34b、35b、133c:環状凹部
33d、133d:接続穴
34:第1連結部
34A:第3面
34c:ボルト挿入穴
34D:第5面
35:第2連結部
35A:第4面
35c:雌ネジ穴
35D:第6面
36、37:段差部
38:ガスケット
131d3:第1−5ポート
131g:第3流路
図1
図2
図3
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図6
図7
図8