特許第6588249号(P6588249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588249
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20191001BHJP
   F25D 11/02 20060101ALI20191001BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   F25D17/08 306
   F25D11/02 E
   F25D11/00 101B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-126562(P2015-126562)
(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-9220(P2017-9220A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 純一
(72)【発明者】
【氏名】天生 勝久
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−100976(JP,A)
【文献】 実開昭60−041780(JP,U)
【文献】 実開昭61−138982(JP,U)
【文献】 実開昭59−032276(JP,U)
【文献】 特開2012−255615(JP,A)
【文献】 特開2013−145082(JP,A)
【文献】 特開2012−242074(JP,A)
【文献】 米国特許第05839287(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00,11/02
F25D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却器が配設された冷却器室と、
冷蔵室と、
前記冷却器室から前記冷蔵室へ冷気を流す冷蔵室用冷気通路と、
前記冷蔵室用冷気通路を開閉するダンパ装置と、
前記ダンパ装置を迂回して前記冷却器室と前記冷蔵室とを繋ぐバイパス通気路と、
前記冷気を流す送風機と、
前記冷却器に冷媒を送る圧縮機と、
を備え、
前記送風機は、前記圧縮機の運転停止時でかつ前記ダンパ装置が閉状態のときに前記圧縮機の運転時よりも低速回転で運転する、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷蔵室の上側に冷凍室を備え、前記ダンパ装置は前記冷蔵室の上部に設置されている請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記冷気通路にあって前記ダンパ装置よりも前記冷蔵室側に位置させて、前記冷蔵室側の暖気が前記ダンパ装置側へ侵入することを規制する暖気侵入規制部が設けられている請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記暖気侵入規制部は取り出しが可能である請求項3記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば家庭用の冷蔵庫においては、上部に冷凍室、その下に冷蔵室が設けられ、冷凍室の背部に、冷却器および送風機が配設された冷却器室が設けられ、冷却器室で冷却された冷気を送風機の送風作用で冷凍室および冷蔵室に流すようにすることで、それら冷凍室および冷蔵室を冷却する構成としたものがある。このものにおいては、冷却器室と冷蔵室との間にはこれらを連通させる冷気通路が設けられているとともに、その冷気通路を開閉するダンパ装置が設けられていて、冷蔵室が冷え過ぎないようにするため、ダンパ装置を開閉して冷蔵室の温度を制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−255615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成のものにおいては、冷蔵室内の暖気が冷気通路を通ってダンパ装置付近に至り、その暖気とダンパ装置表面との温度差により当該ダンパ装置表面に着霜が発生し、その着霜が原因でダンパ装置が氷結して動作不良が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、ダンパ装置に着霜による動作不良が発生することを防止できる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の冷蔵庫は、冷却器が配設された冷却器室と、冷蔵室と、前記冷却器室から前記冷蔵室へ冷気を流す冷蔵室用冷気通路と、前記冷蔵室用冷気通路を開閉するダンパ装置と、前記ダンパ装置を迂回して前記冷却器室と前記冷蔵室とを繋ぐバイパス通気路と、前記冷気を流す送風機と、前記冷却器に冷媒を送る圧縮機と、を備える。前記送風機は、前記圧縮機の運転停止時でかつ前記ダンパ装置が閉状態のときに前記圧縮機の運転時よりも低速回転で運転する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態による冷蔵庫の概略的な縦断側面図(ダンパ装置が開状態)
図2】ダンパ装置が閉状態となった状態での冷蔵庫の概略的な縦断側面図
図3】暖気侵入規制部材の概略的斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態による冷蔵庫について図面を参照しながら説明する。図1において、冷蔵庫本体1の断熱箱体2は、内箱3と外箱4との間に断熱材5を充填して構成されている。断熱箱体2の内部には貯蔵室が形成されている。貯蔵室としては、上部が冷凍室6、その下が冷蔵室7とされている。冷凍室6と冷蔵室7との間は、断熱性を有する仕切壁8により仕切られている。冷凍室6および冷蔵室7の前面には、図示はしないが、それぞれの開口部を開閉する扉が設けられている。
【0009】
冷凍室6の後部には冷却器室9が形成されている。この冷却器室9は、前方からカバー10により覆われている。カバー10には、複数の冷気吹出し口10aが設けられている。冷却器室9内には、下部に冷却器11、上部に送風機12が配設されている。冷却器11は、冷凍サイクルの一部を構成する。冷凍サイクルは、図示はしないが、冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を吐出する圧縮機と、圧縮機から吐出されたガス冷媒を凝縮して液化する凝縮器と、液化した冷媒を蒸発させその際に周囲の空気を冷却する冷却器11などを配管によりサイクル接続して構成される。なお、図示はしないが、冷凍室6内の空気が冷却器室9内に戻される冷凍室用戻り通気路が設けられている。
【0010】
仕切壁8の後部には、冷蔵室用冷気通路14が設けられている。この冷蔵室用冷気通路14は、後部が冷却器室9に連通し、前部が冷蔵室7に連通している。冷蔵室用冷気通路14において、冷蔵室7に臨む先端部を冷気吹出し口14aとしている。冷蔵室用冷気通路14には、ダンパ装置15が配設されている。このダンパ装置15は、筒状をなし冷蔵室用冷気通路14に連通した通気口16と、図示しないダンパモータにより作動されてこの通気口16を開閉するダンパ板17を備えている。冷蔵室用冷気通路14において、ダンパ装置15の近傍、この場合上部に、当該ダンパ装置15を迂回するバイパス通気路18が設けられている。
【0011】
冷蔵室用冷気通路14には、暖気侵入規制部材20が設けられている。この暖気侵入規制部材20には、図3にも示すように、上方へ突出する凸状の暖気侵入規制部21が一体に設けられている。暖気侵入規制部21は、冷蔵室用冷気通路14にあってダンパ装置15よりも冷蔵室7側に位置させて、上方に向けて突出している。暖気侵入規制部21の上端部と冷蔵室用冷気通路14の内面との間には隙間22が形成されていて、その隙間22を通して冷気の通過が可能とされている。暖気侵入規制部材20は、仕切壁8に対して取り外し可能に組み込まれている。なお、図示はしないが、冷蔵室7内の空気が冷却器室9内に戻される冷蔵室用戻り通気路も設けられている。
【0012】
また、冷凍室6および冷蔵室7には、それぞれの温度を検知する温度センサが設けられている。さらに、冷蔵庫本体1には、図示はしないが、マイクロコンピュータを主体に構成された制御装置が設けられている。この制御装置は、各温度センサの検知温度や、予め備えた制御プログラムに基づき、前記冷凍サイクルの圧縮機、送風機12、ダンパ装置15などを制御する機能を備えている。
【0013】
上記構成において、冷凍室6および冷蔵室7を冷却する際には、ダンパ装置15が開放状態となっていて、冷凍サイクルの圧縮機が駆動されるとともに、送風機12が駆動される。これに伴い、冷却器11で冷却された冷却器室9内の冷気の一部は、図1の実線矢印A1で示すように、冷気吹出し口10aから冷凍室6内に供給され、その冷気で冷凍室6内が冷却される。冷凍室6内を冷却した冷気は、図示しない冷凍室用戻り通気路を通して冷却器室9内に戻される。
【0014】
また、冷却器11で冷却された冷気の一部は、図1に実線矢印A2で示すように、冷蔵室用冷気通路14、開放状態のダンパ装置15の通気口16、暖気侵入規制部21上方の隙間22を通り、冷気吹出し口14aから冷蔵室7内に供給され、その冷気で冷蔵室7内が冷却される。冷蔵室7内を冷却した冷気は、図示しない冷蔵室用戻り通気路を通して冷却器室9内に戻される。
【0015】
冷蔵室7内の温度が設定温度まで冷却されると、ダンパ装置15のダンパモータが駆動され、図2に示すように、ダンパ板17が通気口16を閉鎖する状態となる。この状態になると、冷蔵室7内の冷却が停止される状態となるが、送風機12の運転は継続されたままで、冷凍室6の冷却は継続される。この状態において、冷蔵室7内に暖気が発生すると、その暖気は冷蔵室7内を上昇し、図2に点線矢印Bで示すように、冷気吹出し口14aから冷蔵室用冷気通路14内に入り、ダンパ装置15側へ侵入するおそれがある。この場合、冷蔵室7の上側に冷凍室6が存し、ダンパ装置15は冷蔵室7の上部に存しているので、冷蔵室7内の暖気は上昇してダンパ装置15側へ到達しやすい配置となっている。
【0016】
このようにして冷蔵室7内の暖気がダンパ装置15付近まで達すると、その暖気とダンパ装置15表面との温度差により当該ダンパ装置15表面に着霜が発生し、その着霜が原因でダンパ装置15が氷結して動作不良が発生するおそれがある。
【0017】
この点、本実施形態においては、ダンパ装置15の近傍にバイパス通気路18を設けているので、ダンパ装置15が閉鎖状態であっても、送風機12が駆動されていれば、冷却器室9内の冷気の一部が、図2に実線矢印Cで示すように、バイパス通気路18を通して前方の暖気侵入規制部21側に向けて流れている。これにより、冷蔵室7側から冷蔵室用冷気通路14に暖気が侵入したとしても、その暖気がダンパ装置15に接触することが防止され、ダンパ装置15に着霜が発生することを防止でき、よって、ダンパ装置15に着霜による動作不良が発生することを防止できるようになる。
【0018】
しかも、冷蔵室用冷気通路14において冷気吹出し口14a付近には凸状の暖気侵入規制部21が存しているので、冷蔵室7内の暖気がダンパ装置15側へは侵入し難くなっている。このため、冷蔵室7側の暖気がダンパ装置15に接触することを、一層防止することが可能となる。
【0019】
一方、冷凍室6内の温度が設定温度まで冷却されると、圧縮機の運転は停止される。圧縮機の運転停止時は、送風機12は、圧縮機の運転時よりも低速回転で運転される。これにより、圧縮機の運転停止時でも冷却器室9側の冷気をバイパス通気路18を通してダンパ装置15側へ供給するので、冷蔵室7内の暖気がダンパ装置15付近まで侵入することを防止できる。この場合、送風機12は、高速回転させる必要はなく、圧縮機の運転時よりも低速回転でよい。
【0020】
上記した実施形態においては、暖気侵入規制部材20を取り外し可能な構成としている。暖気侵入規制部材20は、仕切壁8とは別に製造し、その仕切壁8に組み込むようにできるため、その暖気侵入規制部材20の製造性と組立性を向上できる。
【0021】
(その他の実施形態)
上記した実施形態においては、冷却器室9で冷却された冷気を、冷蔵室用冷気通路14を通して直接冷蔵室7内に供給する構成としたが、冷却器室9で冷却された冷気を、冷凍室6を経由した後、冷蔵室用冷気通路を通して冷蔵室7内に供給する構成とすることもできる。この場合も、ダンパ装置15は冷蔵室用冷気通路に設置する。
【0022】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫によれば、冷蔵室へ冷気を流す冷気通路にこれを開閉するダンパ装置を備えたものにおいて、ダンパ装置に着霜による動作不良が発生することを防止できる。
【0023】
本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0024】
図面中、6は冷凍室、7は冷蔵室、8は仕切壁、9は冷却器室、11は冷却器、12は送風機、14は冷蔵室用冷気通路(冷気通路)、15はダンパ装置、16は通気口、17はダンパ板、18はバイパス通気路、20は暖気侵入規制部材、21は暖気侵入規制部、22は隙間を示す。
図1
図2
図3