特許第6588255号(P6588255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6588255バックルおよびこれを備えるシートベルト装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588255
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】バックルおよびこれを備えるシートベルト装置
(51)【国際特許分類】
   A44B 11/26 20060101AFI20191001BHJP
   B60R 21/18 20060101ALN20191001BHJP
【FI】
   A44B11/26
   !B60R21/18
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-133708(P2015-133708)
(22)【出願日】2015年7月2日
(65)【公開番号】特開2017-12557(P2017-12557A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】藤井 篤志
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−014359(JP,A)
【文献】 特開平11−099897(JP,A)
【文献】 特開平05−112201(JP,A)
【文献】 実開昭55−114209(JP,U)
【文献】 実開昭61−036469(JP,U)
【文献】 特開2001−130365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 11/00 − 11/28
B60R 21/18
21/26 − 21/30
22/00 − 22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材を覆うケースと、
前記支持部材に支持され前記ケースに覆われて、挿入されるタングをロック又は解除するロック部と、
前記支持部材に支持され前記ケースに覆われる緊急時に膨張するエアベルト用のインフレータと、
前記支持部材及び前記ケースに支持され外部に光を照射する照明部と、
を備え
前記ケースと前記ロック部との間に前記タングの挿入口が形成され、
前記照明部は、基盤ユニットを含み、
前記基盤ユニットは、
光を発光する発光部と、
前記発光部が取り付けられるプレートと、
を有し、
前記プレートは、前記タングの挿入口に対して平行に前記支持部材に取り付けられ、
前記インフレータは、前記タングの挿入口の側方から前記プレートの長手方向に沿って設置される
ことを特徴とするバックル。
【請求項2】
前記照明部は前記発光部が発光した光を拡散する拡散部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のバックル。
【請求項3】
前記照明部は、前記ケースと前記ロック部との間に形成される前記タングの挿入口の両端を照明する
ことを特徴とする請求項2に記載のバックル。
【請求項4】
前記照明部は、前記エアベルトであることを示す透過部分を照明する
ことを特徴とする請求項2に記載のバックル。
【請求項5】
前記照明部は、前記タングの着脱に対応して移動する照明スイッチを有し、
前記タングが挿入されていない状態で、前記照明スイッチは前記発光部をON状態とし、
前記タングが挿入された状態で、前記照明スイッチは前記発光部をOFF状態とする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載のバックル。
【請求項6】
シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、
前記シートベルトリトラクタから引き出されたシートベルトに摺動自在に支持されたタングと、
前記タングが係脱可能に係合される請求項1乃至のいずれか1つに記載のバックルと、
を少なくとも備える
ことを特徴とするシートベルト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルト装置等に用いられているバックルの技術分野、およびこのバックルを備えたシートベルト装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車を始めとする各種交通機関の座席には、衝突等の通常走行時より大きな減速度が車両に加えられた緊急時に乗員をシートベルトで拘束して慣性移動を抑制するためにシートベルト装置が付設されている。このようなシートベルト装置は、乗員によるシートベルトの装着操作を簡易にするために、一般的に、シートベルトに支持されたタングと、車体側に固定されるとともにこのタングが挿入係止されるバックルとを備えている。
【0003】
従来のシートベルト装置に用いられているバックルとして、タングが挿入されたときこのタングの係止孔に進入してタングに係止するラッチ部材と、ラッチ部材によるタングへの係止時にスプリングの付勢力により移動してラッチ部材をタングの係止位置にロックするラッチ部材ロック部材と、ラッチ部材ロック部材によるラッチ部材のロックを解除するとともにラッチ部材をタングの係止孔から脱出させてラッチ部材とタングとの係止を解除する解除操作部材と、解除操作部材がラッチ部材とタングとの係止を解除したとき、タングをバックルから離脱する方向に押圧するエジェクタと、を少なくとも有するバックルが多々知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この種のバックルを備えたシートベルト装置においては、乗員へのシートベルトの装着の際にタングがバックルに挿入されてラッチ部材がタングに係止することで、タングはバックルに係止される。これにより、シートベルトは乗員に装着されて、前述の緊急時に乗員はシートベルトに拘束されるので、その慣性移動が抑制される。また、乗員からのシートベルトの装着解除の際には、解除操作部材が乗員により押圧されることで、ラッチ部材のタングへの係止が解除される。
【0005】
このようなバックルにおいて、乗員が夜間等に、容易にタング挿入口を視認できるように、バックル内にLED等の光源を備えた所謂照明付バックルが知られている。照明付バックルは、バックル内にプリント基板と光源としてのLEDがタング挿入口の両側部分に対応して固定されている。
【0006】
このような従来の照明付バックル装置では、例えば乗員がシートに着座すると、このバックル装置のLEDが作動されて発光し、ライトガイドを介してバックルボディの挿入口が照らされ、乗員は容易にこれを視認できる。
【0007】
また、従来、シートベルト装置の一つの種類として、ベルトが緊急時に膨張するエアベルト装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平5−15813号公報
【特許文献2】特開2015−39945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、エアベルト装置のインフレータを内蔵し、且つ、LED等の照明部品を
収納して発光するバックルは、従来は存在していなかった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、容易且つ的確にバックルの位置を把握することが可能であって、且つ、エアベルト装置のインフレータを内蔵するバックルおよびこれを備えるシートベルト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するために、本発明にかかるバックルは、
支持部材と、
前記支持部材を覆うケースと、
前記支持部材に支持され前記ケースに覆われて、挿入されるタングをロック又は解除するロック部と、
前記支持部材に支持され前記ケースに覆われる緊急時に膨張するエアベルト用のインフレータと、
前記支持部材及び前記ケースに支持され外部に光を照射する照明部と、
を備え
前記ケースと前記ロック部との間に前記タングの挿入口が形成され、
前記照明部は、基盤ユニットを含み、
前記基盤ユニットは、
光を発光する発光部と、
前記発光部が取り付けられるプレートと、
を有し、
前記プレートは、前記タングの挿入口に対して平行に前記支持部材に取り付けられ、
前記インフレータは、前記タングの挿入口の側方から前記プレートの長手方向に沿って設置される
ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかるバックルでは、
前記照明部は、
光を発光する発光部と、
前記発光部が発光した光を拡散する拡散部と、
を有する
ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかるバックルでは、
前記照明部は、前記ケースと前記ロック部との間に形成される前記タングの挿入口の両端を照明する
ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるバックルでは、
前記照明部は、前記エアベルトであることを示す透過部分を照明する
ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるバックルでは、
前記照明部は、前記タングの着脱に対応して移動する照明スイッチを有し、
前記タングが挿入されていない状態で、前記照明スイッチは前記発光部をON状態とし、
前記タングが挿入された状態で、前記照明スイッチは前記発光部をOFF状態とする
ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかるシートベルト装置は、
シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、
前記シートベルトリトラクタから引き出されたシートベルトに摺動自在に支持されたタ
ングと、
前記タングが係脱可能に係合される前記バックルと、
を少なくとも備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このような構成をした本発明にかかるバックルによれば、
支持部材と、
前記支持部材を覆うケースと、
前記支持部材に支持され前記ケースに覆われて、挿入されるタングをロック又は解除するロック部と、
前記支持部材に支持され前記ケースに覆われる緊急時に膨張するエアベルト用のインフレータと、
前記支持部材及び前記ケースに支持され外部に光を照射する照明部と、
を備え
前記ケースと前記ロック部との間に前記タングの挿入口が形成され、
前記照明部は、基盤ユニットを含み、
前記基盤ユニットは、
光を発光する発光部と、
前記発光部が取り付けられるプレートと、
を有し、
前記プレートは、前記タングの挿入口に対して平行に前記支持部材に取り付けられ、
前記インフレータは、前記タングの挿入口の側方から前記プレートの長手方向に沿って設置されるので、
容易且つ的確にバックルの位置を把握することが可能であって、且つ、エアベルト装置のインフレータを内蔵しながらバックルを小型薄型に構成することが可能となる。
【0019】
また、本発明にかかるバックルによれば、
前記照明部は、
光を発光する発光部と、
前記発光部が発光した光を拡散する拡散部と、
を有するので、
効率よく光を拡散させることが可能となる。
【0020】
また、本発明にかかるバックルによれば、
前記照明部は、前記ケースと前記ロック部との間に形成される前記タングの挿入口の両端を照明するので、
乗員が容易にタング挿入口を視認することが可能となる。
【0021】
また、本発明にかかるバックルは、
前記照明部は、前記エアベルトであることを示す透過部分を照明するので、
乗員が容易にエアベルトであることを視認することが可能となる。
【0023】
また、本発明にかかるバックルは、
前記照明部は、前記タングの着脱に対応して移動する照明スイッチを有し、
前記タングが挿入されていない状態で、前記照明スイッチは前記発光部をON状態とし、
前記タングが挿入された状態で、前記照明スイッチは前記発光部をOFF状態とするので、
乗員が夜間等に、容易にタング挿入口を視認することが可能となる。
【0024】
また、本発明にかかるシートベルト装置は、
シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、
前記シートベルトリトラクタから引き出されたシートベルトに摺動自在に支持されたタングと、
前記タングが係脱可能に係合される前記バックルと、
を少なくとも備えるので、
バックルの部品点数を減少させ、容易且つ的確に組み立て製造することができ、結果的にシートベルト装置を容易且つ的確に組み立て製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るバックルの斜視分解図を示す。
図2】本発明に係るバックルの正面図を示す。
図3】本発明に係るバックルの支持部材に基板ユニットが支持された状態を示す。
図4】本発明に係るバックルの一部の断面図を示す。
図5】本発明に係るバックルのリフレクタを示す。
図6】本発明に係るバックルの照明部のスイッチがONの状態を示す。
図7】本発明に係るバックルの照明部のスイッチがOFFの状態を示す。
図8】本発明に係る他の実施形態のバックルの正面図を示す。
図9】本発明に係る他の実施形態のバックルの正面図を示す。
図10】本発明にかかるバックル10の一例を備えるシートベルト装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
【0027】
図1は、本発明に係るバックル10の斜視分解図を示す。図2は、本発明に係るバックル10の正面図を示す。図3は、本発明に係るバックル10の支持部材11に基板ユニット22が支持された状態を示す。図4は、本発明に係るバックル10の一部の断面図を示す。
【0028】
バックル10は、支持部材11と、支持部材11を覆うケース12と、支持部材11に支持されケース12に覆われて後述するタングをロック又は解除するロック部13と、緊急時に膨張する図示しないエアベルト用のインフレータ14と、ケース12とロック部13の間に形成されるタングの挿入口15の両端を照明する照明部20と、を備える。
【0029】
支持部材11は、ロック部13、インフレータ14、及び照明部20を支持し、ケース12に覆われる。また、ケース12とロック部13との間には、タングの挿入口15が形成される。
【0030】
ケース12は、支持部材11、ロック部13、インフレータ14、及び照明部20を覆う。ケース12は、ロック部13を覆うロックカバー部12aと、インフレータ14を覆うインフレータカバー部12bと、開口12cを有し、ロック部13の解除ボタン13aが開口12cから露出する。
【0031】
ロック部13は、ケース12の開口12aと解除ボタン13aとの隙間で挿入口15を形成する。挿入口15は、タングを挿入する部分である。ロック部13には図示を省略したロックプレートが配置されており、挿入口15から挿入されたタングに係合してその抜き出しを阻止するようになっている。
【0032】
解除ボタン13aは常にケース12から突出する方向に付勢されており、この解除ボタン13aを押し込むことによってロックプレートによるタングの係止が解除される。また、ロック部13には、タングの抜き差しに対応してオンオフする照明スイッチ21が設け
られている。照明スイッチ21は照明部20に含まれる。
【0033】
支持部材11には、照明部20の基盤ユニット22が支持される。基盤ユニット22は、照明スイッチ21のオンオフに対応して点灯又は消灯する第1LED22a及び第2LED22bと、第1LED22a及び第2LED22bが取り付けられるプレート22cと、を有する。第1LED22a及び第2LED22bは、プレート22cに印刷等によって形成された図示しないプレート配線部に接続される。照明スイッチ21がオンされると、プレート配線部は、照明スイッチ21を介して電源等に接続した支持部材側配線部23に接続される。したがって、第1LED22a及び第2LED22bが通電する。
【0034】
本実施形態では、基盤ユニット22のプレート22cは、Y字形状に形成されている。第1LED22a及び第2LED22bは、Y字形状の2つの突出部22dに取り付けられる。また、プレート22cの配線部上は、カバー26で覆われ液体や異物から保護される。
【0035】
このように、照明部20は、第1LED22a及び第2LED22bが取り付けられるプレート22cを有し、プレート22cは、タングの挿入口14に対して平行に支持部材11に取り付けられるので、バックル10を小型薄型に構成することが可能となる。
【0036】
図5は、本発明に係るバックル10のリフレクタ24、25を示す。
【0037】
第1LED22aから発光された第1の光は、第1リフレクタ24で反射拡散され、第1照射面24aから照射する。第2LED22bから発光された第2の光は、第2リフレクタ25で反射拡散され、第2照射面25aから照射する。第1リフレクタ24と第2リフレクタ25には、十分に拡散できるように、それぞれ凹状の第1拡散面24bと第2拡散面25bが形成される。第1リフレクタ24と第2リフレクタ25は、挿入口15の幅方向両端部に対応して配置される。なお、第1リフレクタ24と第2リフレクタ25は、それぞれ第1拡散部と第2拡散部を構成する。
【0038】
図6は、本発明に係るバックル10の照明部20のスイッチ21がONの状態を示す。図7は、本発明に係るバックル10の照明部20のスイッチ21がOFFの状態を示す。
【0039】
支持部材11には照明スイッチ21が移動可能に配置されている。照明スイッチ21は、タングが挿入された際に、これに押圧されて支持部材11の長手方向に沿って移動するようになっている。そして、照明スイッチ21が移動するとON/OFFが切り替わり、第1LED22a及び第2LED22bの点灯と消灯が切り替わる構造となっている。
【0040】
例えば、図6(a)に示すように、タングが挿入されていない状態では、図6(b)に示すように、照明スイッチ21はON状態であって、第1LED22a及び第2LED22bは点灯している。
【0041】
そして、図7(a)に示すように、タングが挿入された状態では、図7(b)に示すように、照明スイッチ21はOFF状態であって、第1LED22a及び第2LED22bは消灯している。
【0042】
このように、照明部20は、タングの着脱に対応して移動する照明スイッチ21を有し、タングが挿入されていない状態で、照明スイッチ21は第1LED22a及び第2LED22bをON状態とし、タングが挿入された状態で、照明スイッチ21は第1LED22a及び第2LED22bをOFF状態とするので、乗員が夜間等に、容易にタング挿入口15を視認することが可能となる。
【0043】
図8は、本発明に係る他の実施形態のバックル10の正面図を示す。
【0044】
従来のバックル装置では、バックルがエアベルト用であることを示す表示がわかりづらかった。
【0045】
図8に示す実施形態のバックル10は、図2に示したリフレクタ24、25を用いず、「AIR BELT」の文字を光らせるような構造とする。例えば、「AIR BELT」の文字でエアベルトであることを示す拡散部としての透過部分27を形成し、裏側にLED等の発光部を配置すればよい。文字は、カタカナ等でもよい。
【0046】
このように、照明部20は、エアベルトであることを示す透過部分27を照明するので、乗員が容易にエアベルトであることを視認することが可能となる。
【0047】
なお、文字ではなく、膨張したエアベルトを示す図柄等でエアベルトであることを示す透過部分27を形成してもよい。
【0048】
図9は、本発明に係る他の実施形態のバックル10の正面図を示す。
【0049】
図9に示す実施形態のバックル10は、図2に示したリフレクタ24、25を光らせ、且つ、「AIR BELT」の文字も光らせるような構造とする。例えば、リフレクタ24、25を光らせる構造は、図1図7に示したバックル10の構造でよく、それに加えて、「AIR BELT」の文字を拡散部としての透過部材27で形成し、裏側にLED等の発光部を配置すればよい。
【0050】
次に、本発明に係るバックル10を車両のシートベルト装置に適用した例を説明する。
【0051】
図10は、本発明にかかるバックル10の一例を備えるシートベルト装置を模式的に示す図である。
【0052】
図10に示すように、この例のシートベルト装置1は、基本的には従来公知の三点式シートベルト装置と同じである。図中、1はシートベルト装置、2は車両シート、3は車両シート2の近傍に配設されたシートベルトリトラクタ、4はシートベルトリトラクタ4に引き出し可能に巻き取られかつ先端のベルトアンカー4aが車体の床あるいは車両シート2に固定され緊急時に膨張する図示しないエアベルトを含むシートベルト、5はシートベルトリトラクタ3から引き出されたシートベルト4を乗員のショルダーの方へガイドするガイドアンカー、6はこのガイドアンカー5からガイドされてきたシートベルト4に摺動自在に支持されたタング、7は車体の床あるいは車両シートに固定されかつタング6が係脱可能に挿入係合されるバックル10である。このシートベルト装置1におけるシートベルト4の装着操作および装着解除操作も、従来公知のシートベルト装置と同じである。本発明に係るバックル10を用いたシートベルト装置1は、特に暗い後部座席に用いられることが好ましい。
【0053】
上記構成のバックル10では、部品点数を減少させ、容易且つ的確に組み立て製造することができ、結果的にシートベルト装置を容易且つ的確に組み立て製造することが可能となる。また、例えば車両のイグニションスイッチがONとなった状態や乗員がシートに着座した状態に連動して、このバックル10の図7(b)に示した第1LED22a及び第2LED22bが作動されて発光するように設定する。第1LED22a及び第2LED22bが発光すると、リフレクタ24,25を介してケース12の挿入口15が照らされる。したがって、乗員は容易に挿入口15を視認でき、図9に示したタング6を挿入口1
5に容易に挿入することが可能となる。そして、タング6がバックル10の挿入口15から内部へ挿入されると、照明スイッチ21が移動してOFFとなり、第1LED22a及び第2LED22bが消灯する。
【0054】
以上、本実施形態のバックル10によれば、支持部材11と、支持部材11を覆うケース12と、支持部材11に支持されケース12に覆われて、挿入されるタング6をロック又は解除するロック部13と、支持部材11に支持されケース12に覆われる緊急時に膨張するエアベルト用のインフレータ14と、支持部材11及びケース12に支持され外部に光を照射する照明部20と、を備えるので、容易且つ的確にバックル10の位置を把握することが可能であって、且つ、エアベルト装置のインフレータ14を内蔵することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態のバックル10によれば、照明部20は、光を発光する第1LED22a及び第2LED22bと、第1LED22a及び第2LED22bが発光した光を拡散する第1リフレクタ24及び第2リフレクタ25と、を有するので、効率よく光を拡散させることが可能となる。
【0056】
また、本実施形態のバックル10によれば、照明部20は、ケース12とロック部13との間に形成されるタング6の挿入口15の両端を照明するので、乗員が容易にタング挿入口15を視認することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態のバックル10によれば、照明部20は、エアベルトであることを示す透過部分27を照明するので、乗員が容易にエアベルトであることを視認することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態のバックル10によれば、照明部20は、LED22aが取り付けられる基盤ユニット21を有し、基盤ユニット21は、タング6の挿入口15に対して平行に支持部材11に取り付けられるので、バックル10を小型薄型に構成することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態のバックル10によれば、照明部20は、タング6の着脱に対応して移動する照明スイッチ21を有し、タング6が挿入されていない状態で、照明スイッチ21は第1LED22a及び第2LED22bをON状態とし、タング6が挿入された状態で、照明スイッチ21は第1LED22a及び第2LED22bをOFF状態とするので、乗員が夜間等に、容易にタング挿入口15を視認することが可能となる。
【0060】
さらに、本実施形態のシートベルト装置1によれば、シートベルト4を巻き取るシートベルトリトラクタ3と、シートベルトリトラクタ3から引き出されたシートベルト4に摺動自在に支持されたタング6と、タング6が係脱可能に係合されるバックル10と、を少なくとも備えるので、バックル10の部品点数を減少させ、容易且つ的確に組み立て製造することができ、結果的にシートベルト装置1を容易且つ的確に組み立て製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のバックルおよびシートベルト装置は、乗員が夜間等に、タング挿入口を視認するバックル、およびこのバックルを備えた車両のシートベルト装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…シートベルト装置、3…シートベルトリトラクタ、4…シートベルト、6…タング、
10…バックル、11…支持部材、12…ケース、13…ロック部、14…インフレータ、15…挿入口、20…照明部、21…照明スイッチ、22…基盤ユニット、22a,22b…LED(発光部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10