(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記機械的スイッチは、電気的に分離されていて連動して開閉する少なくとも2つの回路を有し、前記少なくとも2つの回路のうちの一の回路の開閉により前記センサの前記少なくとも2つの端子間の開放とショートとが切り替わり、前記少なくとも2つの回路のうちの他の回路の開閉により前記制御部への電力の供給と遮断とが切り替わるように構成されている、請求項1又は2記載の警報器。
前記電源部は供給電力の安定化手段を含んでおり、前記安定化手段は前記制御部への電力供給を遮断する制御信号の入力端子を有し、前記入力端子が前記機械的スイッチの前記他の回路に電気的に接続されており、前記機械的スイッチの前記他の回路が閉じることによって前記制御部への電力の供給が遮断される、請求項3記載の警報器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのセンサには、たとえばガスセンサであれば、半導体式、接触燃焼式、電気化学式など、煙センサであれば、光電式、イオン化式など各種検知方式が採用されている。そして、これら各検知方式のセンサを用いる場合は、その構造などに応じてセンサを適切に取り扱うことが求められる。たとえば、電圧が印加され、電気信号により検知結果を出力するセンサであれば、この電圧の入力端子や電気信号の出力用の端子(電極)を適切に処理することが求められることがある。
【0005】
たとえば、プラチナなどからなる検知極と対極とを有する電気化学式のガスセンサでは、検知極での一酸化炭素ガスなどと空気中の水蒸気との反応により電子とプロトンとが発生し、この電子が外部の導電路を通って、また、プロトンがセンサ内のイオン伝導体を通ってそれぞれ対極に達し、対極において空気中の酸素を伴って再反応する。一酸化炭素ガスの濃度に応じて外部の回路を移動する電子の量が変化するため、外部の導電路を流れる電流の大きさから、一酸化炭素ガスの濃度を得ることができる。このような電気化学式のガスセンサでは、外部の導電路内の電流の流れが遮断されると分極を起こしてセンサの劣化が早まるため、検知極と対極とが、センサの動作時および非動作時を問わず、常に電気的に接続されていることが求められる。
【0006】
一方、外部の導電路内には、電流の大きさを検知するための電気回路や、検知極および対極に所定の電圧を印加する電気回路が付加される。これらの電気回路は、警報器の電源部からの電力で動作するため、電源部からの電力供給が無い状態では、検知極と対極との間の電気的接続が遮断されることがある。そのような場合に備えて、電気化学式のガスセンサには、電流検知用の回路などが接続される導電路とは別に、検知極と対極との間を接続する電気回路を設けることが好ましい。しかし、このように電源供給の無いときに2つの電極(端子)間を接続し、しかも、電源が供給されるときにはセンサの本来の検知機能に影響を与えないような電気回路を設けることは、警報器のコストアップや消費電流の増加を伴うことがある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、動作時に電圧が印加されるセンサの少なくとも2つの端子の間を、電力供給の無い非動作時に少ない部品で簡単に電気的に接続することができ、しかも、センサの動作時も非動作時も、この端子間の接続または開放を維持するために電力を略消費することのない、安価で消費電流が少なく、しかもセンサの劣化の加速を防ぐことができる警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の警報器は、少なくとも外部環境の状態を検出するセンサと、電源部とを有する警報器であって、前記センサは動作時に電圧が印加される少なくとも2つの端子を有し、前記センサの前記少なくとも2つの端子に電圧が印加されないときに、前記少なくとも2つの端子が、導体同士の接触により自動的にショートされる構造である。
【0009】
前記電源部からの電力供給を受けて前記センサの動作を制御する制御部をさらに有しており、前記少なくとも2つの端子が自動的にショートされる構造が、前記電源部から前記制御部への電力の供給と遮断とを切り替える機械的スイッチにより構成され、前記機械的スイッチは、前記制御部に電力を供給するときに前記少なくとも2つの端子間を開放し、前記制御部への電力供給を遮断するときに前記少なくとも2つの端子間をショートするように構成されていると、制御部への電力供給の遮断に伴ってセンサの2つの端子に電圧が印加されなくなったときに、自動的にセンサの端子間がショートされるため好ましい。
【0010】
前記機械的スイッチは、電気的に分離されていて連動して開閉する少なくとも2つの回路を有し、前記少なくとも2つの回路のうちの一の回路の開閉により前記センサの前記少なくとも2つの端子間の開放とショートとが切り替わり、前記少なくとも2つの回路のうちの他の回路の開閉により前記制御部への電力の供給と遮断とが切り替わるように構成されていてもよい。
【0011】
前記電源部は供給電力の安定化手段を含んでおり、前記安定化手段は前記制御部への電力供給を遮断する制御信号の入力端子を有し、前記入力端子が前記機械的スイッチの前記他の回路に電気的に接続されていると、制御部への電力供給ラインに機械的スイッチを直接接続する必要がなく、電流容量の小さい機械的スイッチを用いることができるため好ましい。
【0012】
前記電源部は電池の電力を供給し、前記少なくとも2つの端子が自動的にショートされる構造が、前記電池の外殻により互いに分離され、前記電池の無い状態では互いに接触するように形成されている少なくとも2つの導電体を含み、前記電池が警報器から取り外されているときに前記少なくとも2つの端子間をショートするように構成されていると、電池が取り外され、それによりセンサの端子に電圧が印加されていないときに、自動的にセンサの2つの端子間がショートされるため好ましい。
【0013】
前記センサは一酸化炭素ガスの濃度を検出する電気化学式センサであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、動作時に電圧が印加されている少なくとも2つの端子が、電圧が印加されないときに自動的にショートされる。この少なくとも2つの端子は、導体同士の物理的接触によりショートされるため、たとえば、トランジスタなどによりショートされる場合と異なり、2つの端子のショート時も開放時も、そのショート状態や開放状態を維持するための電力を略消費しない。また、たとえば金属片などの極めてシンプルな機構部品でセンサの端子間がショートされ得る。従って、安価に、しかも、電力を略消費することなく、センサの劣化の進行を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明の一実施形態の警報器について、図面を参照しながら説明する。
図1に示されるように、一実施形態の警報器1は、外部環境の状態を検出するセンサ2と、電源部3とを有しており、センサ2は、センサ2の動作時に電圧が印加される2つの端子2a、2bを有し、センサ2の2つの端子2a、2bに電圧が印加されないときに、2つの端子2a、2bが、導体4aと導体4bとの接触により自動的にショートされる構造になっている。すなわち、センサ2の2つの端子2a、2bは、それぞれ、センサ端子ショート手段4の導体4a、4bにそれぞれ接続されており、センサ端子ショート手段4の導体4aと導体4bとの接触により互いに電気的に接続される構造になっている。
【0017】
警報器1は、電源部3から電源ライン7a、7bを介して電力供給を受けて前記センサの動作を制御する制御部5をさらに有している。また、センサ2には、電源部3からの電力供給を受けて動作し、センサ2の2つの端子2a、2bに印加される所定の電圧を生成すると共に、端子2a、2bから得られるセンサ2の出力を処理して制御部5に伝えるセンサ入出力回路6が備えられている。すなわち、センサ2が周囲の物理現象を監視している通常動作時は、電源部3からの電力供給によりセンサ入出力回路6で生成される所定の電圧がセンサ2の端子2a、2bに印加される。センサ2は、たとえば、監視対象の物理現象の変化に応じて、端子2a、2bに流れる電流を変化させる。センサ入出力回路6は、たとえば、このセンサ2に流れる電流の大きさに応じた電圧を発生させ、制御部5に伝えている。
【0018】
電源部3は、乾電池などの一次電池、バッテリなどの二次電池、または、商用電源からの電力を供給する部分である。警報器1が商用電源で動作する場合は、電源部1は、交流電力を直流電力に変換するコンバータなどで主に構成される。制御部5は、好ましくは、演算機能、比較機能、記憶機能などを有し、センサ2などから送られる検知データを処理する。制御部5は、たとえば、市販のマイコンやASICなどの半導体装置などを含み、内蔵されたプログラムに沿って動作するように構成されている。
【0019】
センサ2は、
図1の例では、2つの端子2a、2bを有しているが、3つ以上の端子を有していてもよく、そのうちの少なくとも2つの端子には、センサ2の動作時に電圧が印加される。センサ2は、そのように用いられるセンサであれば特に限定されず、たとえば、一酸化炭素(CO)ガス、メタンガス(CH
4)またはプロパンガス(C
3H
8)を検知する各種ガスセンサ、サーミスタなどからなる温度センサ、湿度センサ、または煙センサ、臭気センサなどであってよい。しかし、センサ2が、その少なくとも2つの端子2a、2bに電圧が印加されていないときに端子2aと端子2bとの間をショートすることが必要なセンサである場合に、本実施形態の警報器1は特に有益となる。そのようなセンサとしては、電気化学作用を用いて一酸化炭素ガスの濃度を検出する電気化学式センサが例示される。
【0020】
センサ入出力回路6は、図示されていないが、たとえば、センサ2の各端子に印加される所定の電圧を生成する回路と、たとえば、センサ2の電流出力を電圧に変換する回路とを含んでいる。センサ2の各端子に印加される電圧を生成する回路は、たとえば、抵抗分圧による基準電圧発生部と演算増幅器などによる所謂ボルテージフォロア回路とで構成され得る。また、センサ2の電流出力を電圧に変換する回路は、たとえば、センサ2の出力電流に応じた電圧降下を生じさせる電流検出用の抵抗と、演算増幅器で構成される負帰還増幅器との組み合わせにより構成され得る。しかし、センサ入出力回路6の構成は、これらに限定されず、センサ2の各端子に所定の電圧を印加することができ、センサ2の出力を所定の方法で処理できるものであれば、任意の回路により構成されてよい。
【0021】
本実施形態では、センサ端子ショート手段4は、電源部3からの電力が制御部5やセンサ入出力回路6に供給される電源ライン7a、7bに直接接続されるか、少なくとも電源部3からの電力の供給および遮断に関与するように設けられる。電源部3からの電力供給を受けて動作するセンサ入出力回路6からセンサ2の端子2a、2bへの電圧印加が無いときに、導体4aと導体4bとの物理的な接触により端子2a、2bがショートされることに1つの特徴がある。導体4a、4bとしては、スライド式スイッチの可動接点と固定接点などが例示される。すなわち、センサ2の2つの端子2a、2bが、電気信号の入力により動作するトランジスタなどの半導体からなるスイッチング素子によってではなく、導体4aと導体4bとの物理的接触によりショートされるのである。そのため、少ない部品点数で、かつ、電力消費を伴うことなく、センサ2の2つの端子2a、2bのショートと開放とが行われ得る。トランジスタなどを用いる場合との違いについて以下に説明する。
【0022】
図6には、トランジスタなどを用いてセンサの2つの端子をショートする回路の一例が示されている。ゲート端子への電圧印加の無い状態でドレイン−ソース間がオン状態となるデプレッション型の接合型電界効果型トランジスタQ100のソース端子とドレイン端子とが、それぞれセンサ102の2つの端子102a、102bに接続されている。端子102a、102bに電圧が印加されている状態では、端子102aから抵抗R101と抵抗R102とを介してグランドに電流が流れ、トランジスタQ100のゲート−ソース間に電位差が生じ、それにより、トランジスタQ100のソースとドレインとの間がオフ状態となり、端子102a、102b間は電気的に接続されていない状態となる。一方、端子102aへの電圧印加が無い状態では、ソースとドレインとの間がオン状態となり、端子102aと端子102bとの間が電気的に接続され得る。
【0023】
しかし、
図6に示されるようにトランジスタを用いる方法では、そのオフ状態の間中、たとえば1μA程度の電流が端子102aからグランドに流れ、それにより電力を消費することとなり、特に電池式の警報器などの場合、好ましくない。また、トランジスタQ100に付随して、抵抗R101やR102なども必要となり、部品点数の増加に伴って警報器のコストが増加する。特に、デプレッション型のトランジスタは、比較的流通量が少ないため、警報器の安定供給や、故障時の迅速な交換などの面で懸念となり得る。
図6の例と異なる回路によりセンサの端子間がショートされる場合でも、トランジスタなどの半導体からなるスイッチング素子が用いられる場合は、ゲート電圧の印加やベース電流の流入による電力消費を伴うことが予想される。また、印加電圧の調整やトランジスタの保護などのために、抵抗R101のような追加部品が必要になると考えられる。
【0024】
これに対して、本実施形態では、センサ2の2つの端子2a、2bは、導体4aと導体4bとの物理的な接触によりショートされる。端子2aと端子2bとがショートされないときは、単に、導体4aと導体4bとが非接触状態になっているだけであり、それにより電力が消費されることはない。また、導体4aと導体4bとの、接触状態と非接触状態との切り替え、および、その状態の維持は、後述の例に示されるように、他の追加部品を伴うことなく実現され得る。そのため、安価に、しかも、電力を消費することなく、センサの2つの端子をショートしてセンサの劣化の進行を防止することができる。また、流通量の少ない半導体素子を用いる必要が無いため、警報器の安定供給や保守の面での懸念も少ないと考えられる。
【0025】
図2Aには、センサの2つの端子間をショートする本実施形態の一例のセンサ端子ショート手段41が示されている。センサ端子ショート手段41は、導体同士の物理的接触により端子間が電気的に接続される機械的スイッチ10により構成されている。機械的スイッチ10は、2つのスイッチ11、12を含んでいる。スイッチ11は、導体41aと導体41bとの接触と非接触との切り替えにより、端子11aと端子11bとの間のショートと開放とを切り替える。同様にスイッチ12は、導体41cと導体41dとの接触と非接触との切り替えにより、端子12aと端子12bとの間のショートと開放とを切り替える。この場合、導体41a〜41dは、機械的スイッチ10内の各スイッチを構成する接触子(接点)であってよい。
【0026】
機械的スイッチ10の端子11aは、
図1に示されるセンサ2の端子2aに接続され、端子11bはセンサ2の端子2bに接続される。すなわち、スイッチ11の開閉によりセンサ2の端子12aと端子12bとの間のショートと開放とが切り替えられる。また、機械的スイッチ10の端子12aは、
図1に示される電源ライン7aに接続され、端子12bは、電源ライン7bに接続される。その場合、スイッチ12の開閉により電源部3から制御部5およびセンサ入出力回路6への電力の供給と遮断とが切り替えられる。そして、機械的スイッチ10は、スイッチ12を閉じることにより制御部5およびセンサ入出力回路6に電力を供給するときにセンサ2の端子2aと端子2bとの間を開放状態にし、制御部5およびセンサ入出力回路6への電力供給をスイッチ12の開放により遮断するときに、センサ2の端子2aと端子2bとの間をショートするように構成されている。
【0027】
従って、
図2Aに示されるセンサ端子ショート手段41は、たとえば、連動して動作する機械的スイッチをそれぞれの回路に含む、電気的に分離された2回路入りのスイッチにより構成され得る。すなわち、センサ端子ショート手段41は、スイッチ11を含む第1回路11cと、スイッチ12を含む第2回路12cとの2回路入りの機械的スイッチ10により構成され、スイッチ11とスイッチ12とが連動して開閉が切り替わるように構成されていてもよい。第1回路11cの開閉により
図1に示されるセンサ2の端子2aと端子2bとの間の開放とショートとが切り替わり、第2回路12cの開閉により
図1に示される制御部5への電力の供給と遮断とが切り替わる構成となり得る。
【0028】
そして、スイッチ12が導体41cと導体41dとを非接触状態にするときには、スイッチ11が連動して導体41aと導体41bとを物理的に接触している状態にする。それにより、電源部3(
図1参照)からの電力の供給が遮断されるのに応じて、すなわち、センサ2の端子2a、2bに電圧が印加されなくなるのに応じて、端子2aと端子2bとの間が自動的にショートされる。警報器には、電源部からの電力の供給および遮断の制御機能を有するものがある。その制御に機械的スイッチを用いている警報器であれば、部品点数を増やすことなく単にその機械的スイッチを2回路入りにするだけで、センサの端子に電圧が印加されないときにセンサの端子間をショートする機能を備えることができる。また、警報器が電力供給の制御機能を有していない場合でも、付随部品を何ら要しない2回路入りのスイッチを1つ追加するだけで、センサの端子間をショートする機能を備えることができる。
【0029】
センサ端子ショート手段41としては、2回路入りの連動式のスライドスイッチやトグルスイッチが例示される。しかし、センサ端子ショート手段41は、2つ以上の電気的に互いに分離された回路を含むものであれば、これらに限定されず、他の形式の機械的スイッチが用いられてもよい。
【0030】
図2Bには、2回路入りの連動式の機械的スイッチを用いるセンサ端子ショート手段41の他の例が示されている。
図2Bに示される例では、電源部3は供給電力の安定化手段8を含んでおり、機械的スイッチ10の端子12aは安定化手段8に接続されている。安定化手段8は、電源部3の電池などの電圧を制御部5などに印加するのに適した所定の電圧に変換すると共に、制御部5などに安定した電圧が印加されるように、制御部5などの電流に応じて供給電力を調整する。安定化手段8は、たとえば市販の電圧レギュレータICなどで構成され得る。安定化手段8は、制御部5などへの電力供給を遮断するための制御信号が入力される入力端子8aを有している。たとえば、入力端子8aに、所定の閾値以下のローレベル信号が入力されると、電源部3から電源ライン7aへの出力が停止される。安定化手段8に電圧レギュレータICなどが用いられる場合、入力端子8aは、たとえば、チップイネーブル端子であってよい。この安定化手段8の入力端子8aに機械的スイッチ10の第2回路12cの端子12aが接続されている。第2回路12cの端子12bはグランドに接続されている。一方、機械的スイッチ10の端子11a、11bは、
図1に示されるセンサ2の端子2a、2bにそれぞれ接続され得る。
【0031】
制御部5やセンサ入出力回路6(
図1参照)への電力供給を遮断する場合、たとえば、機械的スイッチ10の第2回路12cが閉じられる。それにより、安定化手段8の入力端子8aにローレベル信号となるグランドレベルの電圧が印加され、制御部5などへの電力の供給が遮断される。そして、これに連動してスイッチ11が閉状態となり、導体41aと導体41bとが物理的に接触し、それにより、
図1に示されるセンサ2の端子2aと端子2bとが、自動的にショートされる。
【0032】
図2Bに示される例では、センサ端子ショート手段41は電源ライン7a、7bと直接接続されていない。そのため、警報器1の電源電流などの比較的大きな電流が機械的スイッチ10内を流れることがない。従って、電流容量の比較的小さい機械的スイッチ10をセンサ端子ショート手段41に用いることができる。
【0033】
機械的スイッチ10を有する本実施形態の警報器1の外観の一例が
図3に示されている。
図3に示される例では、警報器1の、
図3上左側面に、電源スイッチ23が設けられている。警報器1内にスライド式の機械的スイッチ10が設けられている。機械的スイッチ10は、摺動部13を有しており、摺動部13が、
図3上、左右にスライドすることにより機械的スイッチ10の開閉状態が切り替わるようになっている。そして、電源スイッチ23は、警報器1内で機械的スイッチ10の摺動部13と係合するように構成されている。すなわち、電源スイッチ23を押し込むことにより、たとえば、その先端部分が機械的スイッチ10の摺動部13に当接して摺動部13を、
図3上、右方に動かすように、警報器1に取付けられている。電源スイッチ23は、たとえば、単純な板状体であってよい。
【0034】
たとえば、電源スイッチ23が押し込まれていない状態では、電源部からの電力供給が遮断されると共に、センサの2つの端子間がショートされる。そして、電源スイッチ23が押し込まれると、摺動部13が右方に動くことにより、たとえば、
図2Bの例であれば、スイッチ11、12が開状態となり、制御部などに電力が供給されると共にセンサの端子間のショート状態が解除され、センサの各端子に所定の電圧が印加される。また逆に、電源スイッチ23が押し込まれていないときに電源部からの電力が供給されると共にセンサの2つの端子間が開放状態にされ、電源スイッチ23が押し込まれると、電力供給が遮断されると共にセンサの2つの端子間がショートされてもよい。また、
図3の例と異なり、一旦、押し込まれた電源スイッチ23を引き戻すことにより、摺動部13が、
図3上、左方に動くように電源スイッチ23と機械的スイッチ10の摺動部13とが係合されてもよい。たとえば、突起状の摺動部13が、電源スイッチ23に設けられた孔部や切れ込み部(いずれも図示せず)に挿入されていてもよい。電源スイッチ23を引き戻すことにより、機械的スイッチ10を電源スイッチ23が押し込まれる前の状態に復帰させることが可能となる。
【0035】
なお、
図3において、符号25は、ユーザーから警報器1への自己点検の実施の指示や現在の監視状態の表示の指示などに用い得る外部操作手段としての押しボタンスイッチを示しており、符号26は、電源部からの給電状態を表示する表示器を示している。また、符号27は、警報器1が有するスピーカやブザー(いずれも図示せず)の音響が警報器1の外部に良好に伝わるように筐体上に設けられた開口部を示しており、符号28は、警報器1の故障状態や、周囲環境の異常を報知する発光ダイオード群を示している。しかし、本実施形態の警報器1の外観は
図3に例示されるものに限定されない。電源スイッチ23や発光ダイオード群28などは、警報器1の用途や機能に応じて、任意の位置、形態および数で設けられ得る。
【0036】
なお、本実施形態の警報器1は、
図1に示される電源部3やセンサ2や制御部5などに加えて、警報器1の機能に応じて、1つまたは2つ以上の他の機能部分を有していてもよい。たとえば、警報器1は、周囲環境の異常を検知した時にユーザーに報せる表示装置やブザーなどの音響生成装置を含む報知部を有していてもよく、また、センサ2以外に1つまたは2つ以上のセンサを有していてもよい。
【0037】
つぎに、本発明の他の実施形態の警報器1aについて、
図4および5A〜5Cを参照して説明する。
図4に示されるように、他の実施形態の警報器1bでは、センサ端子ショート手段42が、電源部3内の電池31の近傍に配置された導体42aと導体42bとで構成されている点が、一実施形態の警報器1と異なっている。その他の構成要素は、一実施形態の警報器1と同様であり、同様の構成要素についての説明は適宜省略する。
【0038】
図4に示されるように、警報器1aの電源部3は電池31を含んでいる。本実施形態は、電源部3が電池31の電力を供給する電池式警報器に用いられる実施形態である。導体42a、42bは、それぞれセンサ2の端子2a、2bに接続されている。そして、導体42aと導体42bとは、電池31が警報器1aから外されたときに物理的に接触するように構成されている。すなわち、電池31が警報器1aから取り外されることによりセンサ2の端子2a、2bに電圧が印加されなくなると、自動的に端子2aと端子2bとがショートされる構造になっている。
【0039】
図5A〜5Cには、センサ端子ショート手段42の導体42a、42bの一例が示されている。
図5Aには、電池装着部32に電池31が装着された状態の平面図が示され、
図5Bには、
図5Aの電池31の負極側から見た側面図が示されている。また、
図5Cには、電池が装着されていない状態での導体42a、42bが示されている。
図5A〜5Cに示される例では、導体42a、42bは、それぞれ、電池の円形の断面形状に応じて湾曲した部分を有する板材である。導体42aと導体42bとは、略同一の形状を有し、湾曲部分の凹んでいる面を対向させて、一端をそれぞれ固定されている。電池31は、導体42aと導体42bとの対向する湾曲部分に挟まれている。導体42a、42bにより保持されていてもよい。
【0040】
図5Cに示されるように、導体42a、42bは、固定されていない側の端部が、電池がセットされない状態で互いに接触するように、電池装着部32に固定されている。すなわち、電池がセットされていない状態では、センサ2の端子2aと端子2b(
図4参照)との間はショートされている。なお、導体42a、42bの固定されていない側の端部は、電池31を装着し易いように、互いに最も近接する部分から最先端部側に向かって互いの間隔が広がるように形成されている。
【0041】
電池31が装着されると、
図5Bに示されるように、電池31の外殻によって導体42aと導体42bとの間が押し広げられ、導体42a、42bの固定されていない側の端部が分離した状態となる。しかし、導体42a、42bは弾性変形しているだけであり、互いに近付く方向に向かって付勢されている。そのため、電池31が取り外されると、再び、
図5Cの状態に復帰し、それによりセンサ2の端子2aと2bとの間がショートされる。
【0042】
このように、本実施形態の警報器1bにおいても、電池31が取り外され、すなわち、センサ2の端子2a、2bに電圧が印加されない状態になると、端子2aと端子2bとの間が自動的にショートされる。導体42a、42bの材料は導電性を有するものであれば特に限定されないが、適度な弾性を有する材料が好ましい。たとえば、ばね鋼、ステンレス鋼、および、りん青銅などが用いられ得る。また、導体42a、42bの形状も、電池31の着脱に応じて接触および分離し得るものであれば、
図5A〜5Cに示されるものに限定されない。
【0043】
なお、前述の説明では、本実施形態を、電池式警報器に適用される実施形態として説明したが、本実施形態と同様の構造は、商用電源を用いる警報器にも適用され得る。たとえば、警報器の設置面に設けられている商用電源のコンセント付近に凸状物を設けておき、このコンセントに嵌合する警報器側のプラグ付近に、コンセント付近の凸状物が挿入されるように、
図5A〜5Cに示されるような1対の導体を設けておけばよい。警報器が設置面から取り外され、商用電源からの電力供給が断たれると、自動的にセンサの少なくとも2つの端子間がショートされ得る。