(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アクチュエータは、前記係合部が前記挿入路の途中に位置している第1の姿勢と、前記係合部が前記挿入路から上方に待避している第2の姿勢との間で前記押圧部を中心として回転可能である
ことを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
前記アクチュエータが前方に移動したときに、前記アクチュエータの前記押圧部が前記上ビームの前記受け部に当たるよりも先に、前記アクチュエータの前記被ストッパ部は前記ストッパ部に当たる
ことを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
前記アクチュエータは、前記第1の姿勢にあるときに、前記アクチュエータの前記被ストッパ部が前記ストッパ部に当たっている第1の位置と、前記アクチュエータの前記被ストッパ部が前記ストッパ部から後方に離れており、前記第1の姿勢から前記第2の姿勢への回転が許容される第2の位置との間で前後方向に移動可能である
ことを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アクチュエータの操作を要することなくフラットケーブルを挿入できるコネクタでは、フラットケーブルの挿入に要する力が小さい方が好ましい。ところが、例えば特許文献2のコネクタでは、押圧カム部は可動ビームの中央部、具体的には可動ビームにおけるフラットケーブルとの接触部よりも後方の位置を押し上げるので、フラットケーブルの挿入に要する力が大きくなりやすい。
【0007】
本発明の目的は、アクチュエータの操作を要することなくフラットケーブルを挿入でき、且つ、フラットケーブルの挿入に要する力を低減できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコネクタは、フラットケーブルが前側から挿入可能な挿入路を有しているハウジングと、アクチュエータと、前記ハウジング内に配置され且つ左右方向に並んでいる複数の第1端子と、を有し、前記アクチュエータは、押圧部と、前記フラットケーブルの挿入過程で前記フラットケーブルの端部に当たり前記フラットケーブルの端部によって押し上げられる係合部と、を有し、前記複数の第1端子のそれぞれは、前記挿入路の上方に位置している上ビームを有し、前記上ビームは、前記フラットケーブルと接触する接触部と、前記接触部の前方に位置し且つ前記押圧部の上方に配置され、前記フラットケーブルの端部によって前記係合部が押し上げられるときに前記押圧部に当たり押し上げられる受け部と、を有している。これによれば、アクチュエータの操作を要することなくフラットケーブルを挿入でき、且つ、フラットケーブルの挿入に要する力を低減できる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記アクチュエータの前記押圧部は、前記フラットケーブルが挿入されている状態で、前記上ビームの前記受け部から下方に離れている。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記上ビームの前記受け部と前記アクチュエータの前記押圧部は、前記アクチュエータの前記係合部における前記フラットケーブルが当たる位置よりも前方に位置している。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記係合部は、前記フラットケーブルが挿入されている状態で前記フラットケーブルの穴又は切り欠きに嵌まる。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記アクチュエータは、前記係合部が前記挿入路の途中に位置している第1の姿勢と、前記ハウジングに対して起立している第2の姿勢との間で回転可能であり、前記アクチュエータの前記押圧部は、前記アクチュエータが前記第2の姿勢にある状態で、前記第1端子の弾性力に抗して前記上ビームの前記受け部を押し上げている。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記アクチュエータは前記複数の第1端子に対して右方と左方との少なくとも一方に位置している被ストッパ部を有し、前記アクチュエータの前記被ストッパ部の前方に、前記被ストッパ部の前方への移動を規制するストッパ部が設けられている。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記アクチュエータは、前記係合部が前記挿入路の途中に位置している第1の姿勢と、前記係合部が前記挿入路から上方に待避している第2の姿勢との間で前記押圧部を中心として回転可能である。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記アクチュエータが前方に移動したときに、前記アクチュエータの前記押圧部が前記上ビームの前記受け部に当たるよりも先に、前記アクチュエータの前記被ストッパ部は前記ストッパ部に当たる。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記アクチュエータは、前記第1の姿勢にあるときに、前記アクチュエータの前記被ストッパ部が前記ストッパ部に当たっている第1の位置と、前記アクチュエータの前記被ストッパ部が前記ストッパ部から後方に離れており、前記第1の姿勢から前記第2の姿勢への回転が許容される第2の位置との間で前後方向に移動可能である。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記アクチュエータは、前記複数の第1端子の右方と左方との少なくとも一方に位置する被支持部を有し、前記コネクタは、前記被支持部の下方に位置し且つ前記アクチュエータの前記被支持部を支持する支持部と、フラットケーブルの挿入過程において前記アクチュエータの前記被支持部を前記支持部に向けて付勢するばね部とを有している。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記複数の第1端子のそれぞれは、前記挿入路の下方に位置している下ビームを有し、前記上ビームと前記下ビームは前記第1端子の弾性力で前記フラットケーブルを挟むように構成されている。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記複数の第1端子と交互に配置される複数の第2端子をさらに備える。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と呼ぶ)について
図1乃至
図8Cを参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態を示す一例(以下、本実施形態と呼ぶ)に係るコネクタ1及びフラットケーブル9を示す斜視図である。
図2は、コネクタ1の拡大図である。
図3は、コネクタ1に配置される保持部材4Aの斜視図である。
図4A乃至
図4Dは、
図1に示すIV―IV線に示す断面におけるコネクタ1とフラットケーブル9との位置関係を示す図である。
図5A乃至
図5Eは、
図1のV―V線の断面におけるコネクタ1とフラットケーブル9との位置関係を示す図である。
図6は、コネクタ1及びフラットケーブル9の断面を示す図であり、その切断面は、
図1のVI−VI線で示されている。
図7A乃至
図7Dは、
図1のVII―VII線の断面におけるコネクタ1とフラットケーブル9との位置関係を示す図である。
図8A乃至
図8Cは、
図1の右側面におけるコネクタ1とフラットケーブル9との位置関係を示す図である。
【0022】
以下の説明では、各図のX1,X2が示す方向を、それぞれ前方,後方とする。また、各図のY1,Y2が示す方向を、それぞれ左方,右方とする。また、各図のZ1,Z2が示す方向を、それぞれ上方,下方とする。
【0023】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るコネクタ1は、ハウジング2と、アクチュエータ3と、保持部材4A及び4Bと、複数の第1端子5と、複数の第2端子6(
図2参照)とを含んでいる。
図2に示すように、複数の第1端子5及び複数の第2端子6は、ハウジング2の内側で左右方向に並んでおり、各第2端子6は、各第1端子5と交互に配置されている。また、
図4に示すように、ハウジング2の内側には、前側からフラットケーブル9が挿入可能な挿入路21が設けられている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、アクチュエータ3は、前方端としての先端が前方に押し倒された閉姿勢(
図1参照)と、先端が上方に持ち上げられた開姿勢(
図2参照)との間で回転可能である。本実施形態では、閉姿勢が本発明における「第1の姿勢」に対応し、開姿勢が本発明の「第2の姿勢」に対応している。
図2に示すように、アクチュエータ3には、複数の第1端子5及び複数の第2端子6の左方と右方とのそれぞれに、係合部31と、被ストッパ部32と、被支持部33が形成されている。また、ハウジング2の左端と右端とのそれぞれには、支持部22が形成されている。支持部22は、被支持部33の下方に位置し、被支持部33を下から支持している。
【0025】
図2及び
図3に示すように、保持部材4Aは、それぞれが前後且つ上下方向に平行に伸びる2つの板部である外板部41と内板部45とを含んでいる。外板部41と内板部45は、ブリッジ部44を介して繋がっている。保持部材4Aには、外板部41と内板部45とのそれぞれから後方に伸びる差し込み部41a,45aが形成されており、これらがハウジング2の内側へ差し込まれ、これらの先端部分がハウジング2の内側に引っ掛かることで、保持部材4Aはハウジング2に固定される。
【0026】
また、図
3に示すように、保持部材4Aには、外板部41から後方に伸びる押さえ部42と、ばね部43とが形成されている。また、保持部材4Aの内板部45には、ストッパ部46が形成されている。後述するように、ストッパ部46は、アクチュエータ3の前方への移動を規制する。
【0027】
保持部材4Bは、保持部材4Aとシンメトリックに形成され、保持部材4Aと同様の構成を有している。
図1に示すように、保持部材4Aは、複数の第1端子5及び複数の第2端子6の左方に配置され、保持部材4Bは、当該第1端子5及び第2端子6の右方に配置される。
【0028】
図4Aに示すように、ハウジング2には、挿入されたフラットケーブル9の上面、下面、及び後端の側面を覆う挿入路21が設けられている。アクチュエータ3が閉姿勢にされている場合、アクチュエータ3に形成される係合部31は、挿入路21の前後方向の途中に位置している。また、係合部31は、下方へ向かって凸状の形状を備える。具体的には、側面からみて、前方から後方および下方へ延びる傾斜面31aと後面31bを備える。該傾斜面31aを備えるので、フラットケーブル9の挿入を容易にすることができる。また、該後面31bは、後述するフラットケーブル9の縁93と対向するため、フラットケーブル9の抜けや外れを防止できる。
【0029】
図4Bに示すように、フラットケーブル9は、アクチュエータ3が閉姿勢にされた状態で、挿入路21に挿入される。フラットケーブル9の挿入過程で、係合部31は、フラットケーブル9の後側且つ左側(又は右側)の端部92に当たり、この端部92によって押し上げられる。ここで、係合部31とフラットケーブル9との端部92との接触位置は、後述する押圧部35と受け部51bとの接触位置(
図5A、
図5B参照)よりも後方に位置するため、係合部31が押し上げられると、アクチュエータ3の後端が持ち上がる。以降、このように後端が持ち上げられたアクチュエータ3の姿勢を浮姿勢とも呼ぶ。
【0030】
ここで、
図4Cに示すように、フラットケーブル9が更に後方へ押し込まれて挿入路21に挿入されると、係合部31は、フラットケーブル9の切り欠き91に嵌まり、アクチュエータ3は、浮姿勢から閉姿勢にされた状態となる。そうすると、フラットケーブル9が前方に引っ張られても、切り欠き91の後側の縁93が係合部31に当たるため、フラットケーブル9の抜けや外れが防止される。このように、本実施形態に係るコネクタ1では、アクチュエータ3が閉姿勢とされている場合に、作業者は、コネクタ1にフラットケーブル9を挿入することができ、挿入されたフラットケーブル9の先端部分をコネクタ1の内側にロックすることができる。
【0031】
また、
図4Dに示すように、アクチュエータ3が開姿勢にされることで、係合部31は、挿入路21の上方に配置される。このように、係合部31が挿入路21から待避することで、フラットケーブル9のロックは解除されて、作業者は、フラットケーブル9をコネクタ1から外すことができるようになる。
【0032】
図5Aに示すように、ハウジング2の内側には、第1端子5が配置されている。第1端子5は、挿入路21の上方に位置している上ビーム51と、当該挿入路21の下方に位置している下ビーム52と、を有している。ここで、上ビーム51には、上ビーム51から下方へ突設され、フラットケーブル9の上面と接触する接触部51aを備える凸状の接点部51sが形成されており、下ビーム52には、フラットケーブル9の下面と接触する凸状の接触部52aが形成されている。上ビーム51と下ビーム52は、それぞれの後側で支柱部53を介して繋がっており、第1端子5の弾性力でフラットケーブル9を挟むように構成されている。即ち、
図5Aの状態において、接触部51aと接触部52aとの間隔は、フラットケーブル9の厚みよりも短く設計されている。また、上ビーム51に下方へ延設された凸状の接点部51sが形成されているため、挿入されるフラットケーブル9の寸法に合わせて接触部51aの上下方向の位置や上ビーム51の弾性力を容易に調整することができる。
【0033】
第1端子5は、例えば金属などの導電材料により形成されている。第1端子5の接触部51aと接触部52aとの少なくとも一方が、フラットケーブル9の上面又は下面に配置される導電線又は導電面(図示せず)と接触することで、第1端子5とフラットケーブル9とは電気的に接続される。また、下ビーム52の前端には、ハウジング2と係合し、コネクタ1を設置する基板(図示せず)に固定される固定部54を有している。
【0034】
図4B及び
図5Bに示すように、アクチュエータ3に形成される係合部31は、挿入路21の前後方向の途中に位置し、フラットケーブル9の挿入過程で、第1端子5の上ビーム51に形成される接触部51aよりも先に、フラットケーブル9の端部92に当たって押し上げられる。
【0035】
また、
図5A及び
図5Bに示すように、アクチュエータ3には、第1端子5の上ビーム51を上方に押すための押圧部35が形成されている。さらに、第1端子5の上ビーム51には、押圧部35からの圧力を受ける鉤状の受け部51bが形成されている。フラットケーブル9の端部92によってアクチュエータ3の係合部31が押し上げられるとき(即ち、アクチュエータ3が浮姿勢にされているとき)、第1端子5の受け部51bは、アクチュエータ3の押圧部35に当たり、第1端子5の弾性力に抗して押し上げられる。受け部51bが押圧部35により押し上げられる場合、上ビーム51は、支柱部53との接点を支点として持ち上がる。ここで、受け部51bは、接触部51aの前方に位置しており、アクチュエータ3の係合部31がフラットケーブル9の端部92と接触する位置(
図4B参照)も、接触部51aよりも前方に位置している。このため、梃子の原理により、押圧部35が受け部51bを持ち上げるために要する力は、押圧部35が存在しない場合にフラットケーブル9の上面が接触部51aを持ち上げるために要する力よりも小さい。このように、本実施形態に係るコネクタ1では、フラットケーブル9の挿入時に、押圧部35が上ビーム51に形成される受け部51bを持ち上げることで、当該上ビーム51に形成される接触部51aからフラットケーブル9に作用する力を低減できる。即ち、フラットケーブル9の挿入に要する力を低減することができる。
【0036】
また、
図4B及び
図5Bに示すように、アクチュエータ3が浮姿勢にされるとき、第1端子5の上ビーム51に形成される受け部51bとアクチュエータ3に形成される押圧部35とは、いずれも、アクチュエータ3の係合部31においてフラットケーブル9の端部92が当たる接触位置よりも前方に位置している。ここで、係合部31と端部92との接触位置は、受け部51bと押圧部35との接触位置の後方に位置するため、フラットケーブル9の挿入過程で、アクチュエータ3は後側が押し上げられて浮姿勢となる。即ち、アクチュエータ3に開姿勢となる方向のモーメントが作用することを防止できる。
【0037】
なお、アクチュエータ3が浮姿勢にされ、第1端子5の上ビーム51が持ち上げられる場合、当該上ビーム51に形成される接触部51aは、フラットケーブル9に接触してもよいし接触しなくてもよい。例えば、多数の端子を備えるコネクタ、所謂多極のコネクタの場合、アクチュエータ3は、左右の端の近傍に設けられる係合部31を介して持ち上げられて、左右方向における中央部分が下方に撓むため、当該部分に設けられる第1端子5の接触部51aのみが、フラットケーブル9に接触してもよい。少なくとも、アクチュエータ3が浮姿勢のときは、第1端子5が持ち上げられているため、フラットケーブル9のコネクタ挿入時の抵抗力は低減できる。
【0038】
また、
図5Cに示すように、フラットケーブル9が挿入路21に挿入されると、アクチュエータ3の係合部31がフラットケーブル9の切り欠き91に嵌り、アクチュエータ3は閉姿勢にされる。フラットケーブル9が挿入されている状態において、上ビーム51と下ビーム52とのそれぞれに形成される接触部51a,52aは、挿入路21の途中に位置し、第1端子5の弾性力によりフラットケーブル9に押し付けられる。ここで、フラットケーブル9が挿入されている状態において、アクチュエータ3の押圧部35は、上ビーム51の受け部51bから下方に離れている。このため、フラットケーブル9が挿入されている状態で、フラットケーブル9の上面と、上ビーム51に形成される接触部51aとの間の接圧が確保される。また、押圧部35と接触部51aを備える接点部51sの前端縁との間には、前後方向のクリアランスC3が設けられている。これにより、押圧部35は接点部51sや上ビーム51に引っ掛かることを防止し、アクチュエータ3が閉姿勢となることを妨げないようにすることができる。
【0039】
図6に示すように、ハウジング2の内側には、第2端子6が配置されている。第2端子6は、第1端子5と同様に、上ビーム61と下ビーム62とを有し、それぞれの先端に、フラットケーブル9と接触する凸状の接触部61a,62aが形成される。また、第2端子6にも、コネクタ1を設置する基板(図示せず)に固定される固定部64が形成されている。第2端子6の固定部64は、第1端子5と異なり、第2端子6の後側に形成されている。さらに、上ビーム61と下ビーム62は、それぞれの後側で支柱部63を介して繋がっており、第2端子6の弾性力でフラットケーブル9を挟むように構成されている。
【0040】
図7Aに示すように、ハウジング2の左端の近傍には、保持部材4Aが配置されている。保持部材4Aの内板部45には、ハウジング2に差し込まれる差し込み部45aと、差し込み部45aの付け根の近傍から上方且つ後方の斜めに伸びる斜面を含んでいるストッパ部46が形成されている。また、アクチュエータ3の被ストッパ部32も、その下側から上方且つ後方の斜めに伸びる斜面を含んで形成されている。ストッパ部46は、アクチュエータ3の被ストッパ部32の前方に配置されている。
【0041】
図7A及び
図7Bに示すように、例えば、挿入路21に挿入されたフラットケーブル9が前方に引っ張られると、フラットケーブル9の切り欠き91に形成される縁93がアクチュエータ3の係合部31の後側を押すため(
図4C参照)、アクチュエータ3は前方に移動する。ここで、アクチュエータ3の係合部31の
後側がフラットケーブル9により力を受けるとアクチュエータ3は開姿勢の方向へのモーメントが作用するが、アクチュエータ3の被ストッパ部32が、保持部材4Aに形成されるストッパ部46に当たるため、アクチュエータ3及び被ストッパ部32の前方および開姿勢方向への移動が規制される。このように、アクチュエータ3の前方への移動を規制することで、アクチュエータ3の抜けや外れを防止することができる。
【0042】
より具体的には、アクチュエータ3は、閉姿勢にあるときに、アクチュエータ3の被ストッパ部32がストッパ部46に当たっている当接位置(
図5D及び
図7B参照)と、被ストッパ部32がストッパ部46から後方に離れている隔離位置(
図5C及び
図7A参照)との間で前後方向に移動可能である。ここで、アクチュエータ3が当接位置に配置される場合、ストッパ部46に含まれる斜面と被ストッパ部32に含まれる斜面とが当接することで被ストッパ部32の浮き上がりを押さえるため、当該アクチュエータ3に対し、閉姿勢から開姿勢への回転が規制される。一方、アクチュエータ3が隔離位置に配置される場合、被ストッパ部32に対する押さえが外れるため、当該アクチュエータ3の開姿勢への回転が許容される。即ち、作業者の意図しない状況でアクチュエータ3が開くことを防止するとともに、作業者は、アクチュエータ3を後方に押すことで、当該アクチュエータ3を開姿勢に動かすことが可能になる(
図7C参照)。なお、ストッパ部46及び被ストッパ部32は、必ずしも斜面を有さなくてもよい。ストッパ部46及び被ストッパ部32は、例えば、階段状に形成されてもよい。
【0043】
また、
図5Cに示すように、押圧部35は、該押圧部35の前方部分が切り欠かれており、前方と後方の間には段差部35aを備える。
図7A及び
図5Cに示すように、アクチュエータ3が隔離位置に配置される場合、アクチュエータ3の被ストッパ部32と保持部材4Aのストッパ部46との間の前後方向におけるクリアランスC1は、第1端子5の受け部51bの前方の位置とアクチュエータ3の押圧部35の段差部35aとの間の前後方向におけるクリアランスC2よりも小さい。このため、
図7B及び
図5Dに示すように、フラットケーブル9が引っ張られるなどによりアクチュエータ3が前方に移動すると、アクチュエータ3の押圧部35が上ビーム51の受け部51bに当たるよりも先に、アクチュエータ3の被ストッパ部32が保持部材4Aのストッパ部46に当たる。このように、アクチュエータ3が前方に動かされても、第1端子5の上ビーム51を押し上げないようにすることで、フラットケーブル9の上面と、上ビーム51に形成される接触部51aとの間の接圧を確保し維持することができる。さらに、アクチュエータ3が前方に動かされても、アクチュエータ3の被ストッパ部32が保持部材4Aのストッパ部46に当たるようにすることで、押圧部35を軸としてアクチュエータ3が開姿勢となる方向に開くことを防止できる。
【0044】
また、
図5Eに示すように、アクチュエータ3は、押圧部35を中心として、閉姿勢と開姿勢との間で回転可能である。アクチュエータ3が開姿勢にある状態において、アクチュエータ3の押圧部35は、第1端子5の弾性力に抗して上ビーム51の受け部51bを押し上げることができる。具体的には、
図8Cに示すように、アクチュエータ3が開姿勢にされている状態で、ハウジング2の支持部22の上面を基準として、その上面にアクチュエータ3の被支持部33の下面(
図1における被支持部33の後面に相当)を当接させることにより、アクチュエータ3の押圧部35は、上ビーム51の受け部51bを押し上げることができる。または、
図4Dに示されるように、ハウジング2の支持壁23の上面を基準として、アクチュエータ3の後端面36を当接させることにより、アクチュエータ3の押圧部35が上ビーム51の受け部51bを押し上げることもできる。または、
図7Dに示すように、アクチュエータ3が開姿勢にされている状態で、保持部材4A、4Bの差し込み部45aの上面を基準として、その上面にアクチュエータ3の後端37を当接させることにより、アクチュエータ3の押圧部35が上ビーム51の受け部51bを押し上げることもできる。その結果、上ビーム51の接触部51aと下ビーム52の接触部52aとの間隔を広げることができる。このように、アクチュエータ3が開姿勢にされることで、上ビーム51に形成される接触部51aはフラットケーブル9から上方に離れて、フラットケーブル9に対する接圧が解消される。
【0045】
なお、上ビーム51の接触部51aは、フラットケーブル9に接してもよいし接しなくてもよい。例えば、多数の端子を備えるコネクタ、所謂多極のコネクタの場合、アクチュエータ3の押圧部35は、左右の端の近傍に設けられたハウジング2の支持部22の上面、ハウジング2の支持壁23の上面又は保持部材4A、4Bの差し込み部45aの上面を基準として、上ビーム51の接触部51aを押し上げるが、アクチュエータ3の左右方向における中央部分が下方に撓むため、当該部分に設けられる第1端子5の接触部51aのみが、フラットケーブル9に接触してもよい。少なくとも、アクチュエータ3が開姿勢のときは、第1端子5の上ビーム51が持ち上げられているため、フラットケーブル9のコネクタ抜去時の抵抗力は低減できる。また、アクチュエータ3の係合部31とフラットケーブル9の切り欠き91の係合も解除される。このようにすることで、作業者は、アクチュエータ3を開姿勢にすることで、フラットケーブル9を容易に取り外すことが可能となる。なお、押圧部35が受け部51bを押し上げるための基準は、ハウジング2のいかなる位置で定めてもよく、また、別部材を用いて定めてもよい。
【0046】
図8A乃至
図8Cに示すように、アクチュエータ3の後方には、アクチュエータ3が開姿勢にあるときに、ハウジング2の支持部22により支持される被支持部33が形成されている。また、保持部材4Aの外板部41には、押さえ部42と、ばね部43とが形成されている。また、アクチュエータ3が開姿勢にあるときに、押さえ部42は、被支持部33の前側に配置されている。このように、保持部材4Aが上側と前側でアクチュエータ3を囲うことにより、アクチュエータ3の浮き上がりや抜け、外れを防止している。
【0047】
また、
図8Bに示すように、アクチュエータ3が閉姿勢にされた状態でフラットケーブル9が挿入されると、フラットケーブル9の厚みによりアクチュエータ3の後端が持ち上がる。ここで、保持部材4Aに形成されるばね部43は、アクチュエータ3の被支持部33の上側をハウジング2の支持部22に向けて付勢している。このようにすることで、フラットケーブル9が挿入されているときのアクチュエータ3のガタつきを抑えることができる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係るコネクタ1には、アクチュエータ3の操作を要することなくフラットケーブル9を挿入できる。また、アクチュエータ3に形成される押圧部35が、第1端子5の上ビーム51に形成される受け部51bを持ち上げることで、フラットケーブル9に作用する力が低減することができる。即ち、フラットケーブル9の挿入に要する力を低減することができる。
【0049】
なお、本発明は以上説明した実施形態に限られず、種々の変更がなされてよい。例えば、フラットケーブル9には、切り欠き91の代わりに穴が形成されてもよく、アクチュエータ3に形成される係合部31は、当該穴に嵌ってもよい。
【0050】
また、実施形態においては、ハウジング2に取り付けられる保持部材4A,4Bが、アクチュエータ3の前方への移動を規制するストッパ部46を有している場合について説明したが、ストッパ部46はハウジング2と一体で形成されてもよい。このことは、保持部材4A,4Bに形成される押さえ部42、ばね部43についても同様である。
【0051】
また、上記実施形態に係るコネクタ1は、必ずしもストッパ部46を有さなくてよい。ストッパ部46が無くても、アクチュエータ3の押圧部35により第1端子5の上ビーム51を持ち上げることで、フラットケーブル9に作用する力を低減することが可能である。
【0052】
なお、本明細書の開示は本発明の一例にすぎず、本発明の主旨を保った適宜変更であって当業者が容易に想到し得るものは本発明の範囲に含まれる。図面で示す各部の幅、厚さ及び形状等は模式的に表されており、本発明の解釈を限定するものではない。