特許第6588303号(P6588303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588303
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/20 20060101AFI20191001BHJP
   H01J 37/04 20060101ALI20191001BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20191001BHJP
   H01J 37/16 20060101ALI20191001BHJP
   H01J 37/18 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   H01J37/20 B
   H01J37/04 B
   H01J37/28 B
   H01J37/16
   H01J37/18
   H01J37/20 D
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-210275(P2015-210275)
(22)【出願日】2015年10月26日
(65)【公開番号】特開2017-84544(P2017-84544A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】516045702
【氏名又は名称】東方晶源微電子科技(北京)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】東條 徹
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10-134761(JP,A)
【文献】 特開平11-130251(JP,A)
【文献】 特開2000-36530(JP,A)
【文献】 特開2007-42799(JP,A)
【文献】 特開2015-95526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/20
H01J 49/04
G01N 1/00
G01N 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空中で検査すべき試料に対してビームを照射する鏡筒を有する検査室と、検査室の内部で試料を支持した状態で移動するステージと、検査室に仕切弁を介して連設される、真空引き可能なロードロック室と、検査室とロードロック室との間で試料を搬送する搬送手段とを備える検査装置において、
前記搬送手段は、検査室とロードロック室の連設方向をX軸方向とし、検査室の壁面に並設されるX軸方向に沿ってのびる第1及び第2のガイドレールと、第1及び第2のガイドレールに設けられて試料を保持する第1及び第2のハンドとを備え、これら第1及び第2の両ハンドは、ロードロック室に対して試料を受け渡す第1受渡位置と、ステージに対して試料を受け渡す第2受渡位置と、所定の退避位置との間で移動自在に構成したことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記ステージは、搬送手段によりロードロック室との間で試料の搬送を行うための所定の搬送位置に移動したときに、鏡筒の直下に位置する部分にビーム調整用の調整手段を有することを特徴とする請求項1記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関し、より詳しくは、半導体ウエハなどの試料の検査を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハなどの試料の検査を行う検査装置が、例えば特許文献1で知られている。このものは、真空中で検査すべき試料に対してビームを照射する鏡筒を有する検査室と、検査室の内部で試料を支持した状態で移動するステージと、検査室と仕切弁を介して連設される、真空引き可能なロードロック室と、検査室とロードロック室との間で試料を搬送する搬送手段とを備える。
【0003】
然しながら、上記従来例のものでは、搬送手段がロードロック室に設けられるため、ロードロック室内に搬送手段の設置スペースを確保しなければならず、ロードロック室の小容積化を図るのには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4460504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ロードロック室を可能な限り小容積化することができる検査装置を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、真空中で検査すべき試料に対してビームを照射する鏡筒を有する検査室と、検査室の内部で試料を支持した状態で移動するステージと、検査室と仕切弁を介して連設される、真空引き可能なロードロック室と、検査室とロードロック室との間で試料を搬送する搬送手段とを備える本発明の検査装置は、前記搬送手段が、検査室とロードロック室の連設方向をX軸方向とし、検査室の壁面に並設されるX軸方向に沿ってのびる第1及び第2のガイドレールと、第1及び第2のガイドレールに設けられて試料を保持する第1及び第2のハンドとを備え、これら第1及び第2の両ハンドは、ロードロック室に対して試料を受け渡す第1受渡位置と、ステージに対して試料を受け渡す第2受渡位置と、所定の退避位置との間で移動自在に構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、検査室の壁面に第1及び第2のガイドレールを設け、これら第1及び第2のガイドレールに沿って第1及び第2のハンドを移動させることで、ロードロック室と検査室との間で試料を搬送することができる。このため、ロードロック室内に搬送手段の設置スペースを確保する必要がないため、ロードロック室を可能な限り小容積化することができる。
【0008】
本発明において、前記ステージは、搬送手段によりロードロック室との間で試料の搬送を行うための所定の搬送位置に移動したときに、鏡筒の直下に位置する部分にビーム調整用の調整手段を有することが好ましい。これによれば、ステージへの試料の搬送が終了した直後に、鏡筒から調整手段にビームを照射してビームの調整を可及的速やかに行うことができ、試料の検査をすぐに開始することができ、ひいては、検査装置のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は、本発明の実施形態の検査装置の構成を模式的に示す平面図であり、(b)はその断面図。
図2】(a)は、本発明の実施形態の検査装置における試料の搬送を模式的に示す平面図であり、(b)はその断面図。
図3】(a)は、本発明の実施形態の検査装置における試料の搬送を模式的に示す平面図であり、(b)はその断面図。
図4】本発明の検査装置の変形例を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の検査装置について説明する。
【0011】
図1を参照して、検査装置Mは、検査室1と、この検査室1に仕切弁(ゲートバルブ)IVを介して連設されるロードロック室2とを備え、これら検査室1及びロードロック室2は図示省略の真空ポンプにより真空引きできるようになっている。以下においては、図1及び図2に示すように、検査室1とロードロック室2の連設方向をX軸方向、X軸方向と直交する2方向をY軸方向及びZ軸方向として説明する。
【0012】
検査室1は、検査すべき半導体ウエハなどの試料Wをその検査面を上にして支持すると共に試料Wを支持した状態で移動するXYZステージ(以下「ステージ」という)10と、ステージ10上に支持された試料Wに対して電子ビームや光ビーム(以下「ビーム」という)を照射する鏡筒11とを有する。鏡筒11としては、ビームを収束させるためのレンズや電極、並びに、試料Wからの二次電子や反射光を検出する検出手段等を備える公知のものを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。ステージ10の上面には、ステージ10がロードロック室2に最も近い搬送位置(後述)に移動した状態で鏡筒11(の中心軸)の直下に位置するようにビームを調整するための調整手段10bが設けられている。調整手段10bとしては、公知のファラデーカップやアライメントマークを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0013】
ロードロック室2は、仕切弁IVと対向する壁面2aに開口20を有し、この開口20を閉塞又は開放するドアDが設けられており、ドアDを開けた状態で図示省略のフロントエンドモジュール(EFEM)からロードロック室2に検査前の試料Wを投入し、検査済の試料Wを搬出できるようになっている。尚、開口20は、仕切弁IVと対向配置する必要はなく、例えば、仕切弁IVと対向していない側壁面2bに開設してもよい。ロードロック室2の下面には、アクチュエータ等で構成される駆動手段21により昇降自在なリフトピン20aが設けられている。
【0014】
検査装置Mは、検査室1とロードロック室2との間で試料Wを搬送する搬送手段3を備える。搬送手段3は、X軸方向にのびる第1及び第2のガイドレール30a,30bと、第1のガイドレール30aに設けられてX軸方向に移動自在な第1のハンド31aと、第2のガイドレール30bに設けられてX軸方向に移動自在な第2のハンド31bとを備える。
【0015】
ここで、搬送手段は従来例の如くロードロック室内に配置することが一般であるが、これでは、搬送手段の設置スペースをロードロック室内に確保する必要があり、搬送手段を小型化したとしても、ロードロック室の小容積化に限界がある。
【0016】
本実施形態では、検査室1の側壁面1aに第1及び第2のガイドレール30a,30bをZ軸方向に間隔を存して並設した。そして、第1及び第2のガイドレール30a,30bに第1及び第2のハンド31a,31bを設け、これらのハンド31a,31bを独立してX軸方向に移動自在に構成した。これにより、ハンド31a,31bをロードロック室2に試料Wを受け渡す第1受渡位置P1と、ステージ10に試料Wを受け渡す第2受渡位置P2と、検査時に鏡筒11と干渉しない所定の退避位置P3との間で独立して移動させることができる。ハンド31a,31bは、平面視L字状に形成され、ロードロック室2側の先端が二股に分岐されており、この分岐された先端部分311にて試料Wを保持できるようになっている。ハンド31a,31bの先端部分311の長さは、ハンド31a,31bが第1受渡位置P1に移動したときに、リフトピン20aとの間で試料Wを受け渡すことができるように定寸されている。尚、ハンド31a,31bの形状は、これに限定されず、ガイドレール30a,30bのロードロック室2側にハンド31a,31bが移動したときに、ロードロック室2に対して試料Wを受け渡すことができる形状であればよい。また、ハンド31a,31bを移動させる図示省略する駆動手段としては、公知のものを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0017】
本実施形態の検査装置Mは、公知のマイクロコンピュータやシーケンサ等を備える制御手段Cuを備え、この制御手段Cuにより、真空ポンプの稼働、ドアDや仕切弁IVの開閉、リフトピン10a,20aの昇降(駆動手段21の駆動)、ステージ10の稼働、第1及び第2のハンド31a,31bの稼働(図示省略の駆動手段の駆動)のほか、鏡筒11からのビームの照射を含めて検査装置Mを統括管理するようになっている。以下、上記検査装置Mにおける試料Wの搬送について、検査済の試料W1をロードロック室2に搬送すると共に、未検査の試料W2を検査室1に搬送する場合を例に説明する。
【0018】
検査済の試料W1が支持されたステージ10を搬送位置(図1に示す位置)に移動し、リフトピン10aを上昇させて試料W1をリフトする。次に、ハンド31bを第2受渡位置P2まで移動し、ハンド31bの先端を試料W1とステージ10の隙間に進入させた後、リフトピン10aを下降させることにより、試料W1をハンド31bで保持する。これと併せて、ドアDが開かれた大気圧のロードロック室2に未検査の試料W2を投入し、ドアDを閉めた後、真空引きする。所定の真空度に達すると、仕切弁IVを開弁すると共に、駆動手段21によりリフトピン20aを上昇させて試料W2をリフトする。そして、ハンド31aを第1受渡位置P1まで移動し、ハンド31aの先端を試料W2の下方に進入させた後、リフトピン20aを下降させることにより、試料W2をハンド31aで保持する。このようにして、検査済みの試料W1をハンド31bで保持し、未検査の試料W2をハンド31aで保持した状態を図1に示す。
【0019】
次に、試料W2を保持したハンド31aを第2受渡位置P2に移動すると共に、試料W1を保持したハンド31bを第1受渡位置P1に移動する(すなわち、試料W1,W2をスワップする)。そして、リフトピン20aを上昇させて試料W1をリフトする。この状態を図2に示す。次いで、ハンド31bを退避位置P3に移動させた後、仕切弁IVを閉じて、ロードロック室2を大気圧までベントする。ベントが完了すると、ドアDを開き、試料W1を取り出し、未検査の(試料W2の次に検査する)試料W3を投入し、ドアDを閉めた後、真空引きする。これと併せて、リフトピン10aを上昇させて試料W2をリフトし、ハンド31aを退避位置P3に移動させた後、リフトピン10aを下降させることにより、試料W2をステージ10上に保持する。この状態を図3に示す。このステージ10の搬送位置では、ステージ10に設けられたビーム調整部10bは、鏡筒11の(中心軸)直下に位置する。このため、ステージ10への試料W2の搬送が終了した直後に、鏡筒11からビーム調整部10bにビームを照射し、ビームの調整を行うことができる。ビームの調整方法としては、公知の方法を用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略するが、ステージ10をZ軸方向に移動させてワーキングディスタンスを調整してもよい。
【0020】
ビームの調整が終了すると、ステージ10をX軸方向及びY軸方向に移動させながら、鏡筒11からのビームを試料W2に照射し、試料W2の検査を行う。ビームを用いた検査については、例えば、電子ビームを用いた寸法測長(CD−SEM)や欠陥観察(Review SEM)等の公知の検査を行うことができるため、ここでは詳細な説明を省略する。尚、検査中、第1及び第2の両ハンド31a,31bは、鏡筒11と干渉しない退避位置P3に配置される(図3参照)。検査が終了すると、ステージ10を再び搬送位置に移動し、上述したように検査済の試料W2をロードロック室2に搬送すると共に、未検査の試料W3をステージ10に搬送する。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、検査室1の内側壁面1aに第1及び第2のガイドレール30a,30bを夫々設け、これら第1及び第2のガイドレール30a,30bに沿って第1及び第2のハンド31a,31bを移動させることで、ロードロック室2と検査室1との間で試料Wを搬送することができる。このように、ロードロック室2内にX軸方向に移動する搬送手段3の設置スペースを確保する必要がなく、ロードロック室2にはリフト機構を設けるだけでよいため、ロードロック室2を可能な限り小容積化することができる。
【0022】
また、ステージ10は、ロードロック室2との間で試料Wの搬送を行うための所定の搬送位置に移動したときに、鏡筒11の直下に位置する部分にビーム調整用の調整手段10bを有することが好ましい。これによれば、ステージ10への試料Wの搬送が終了した直後に、鏡筒11から調整手段10bにビームを照射してビームの調整を可及的速やかに行うことができ、試料Wの検査をすぐに開始することができ、ひいては、検査装置Mのスループットを向上させることができる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。上記実施形態においては、第1及び第2のガイドレール30a,30bを夫々1本ずつ設ける場合について説明したが、それぞれ2本以上設けてもよい。例えば、図4に示すように、2本の第1のガイドレール30aをZ軸方向に間隔を存して並設すると共に、2本の第2のガイドレール30bをZ軸方向に間隔を存して並設してもよい。そして、2本の第1のガイドレール30aにハンド31aを設けると共に2本の第2のガイドレール30bにハンド31bを設けることで、ハンド31a,31bの強度を高めることができてよい。これは、ハンド31a,31bで保持する試料Wが比較的重い場合に有効である。
【0024】
上記実施形態では、ガイドレール30a,30bを検査室1の内側壁面1aに設ける場合について説明したが、検査室1の下面に設けてもよい。
【符号の説明】
【0025】
M…検査装置、W…試料、1…検査室、1a…検査室1の内側壁面(壁面)、2…ロードロック室、10…ステージ、10b…調整手段、11…鏡筒、3…搬送手段、30a…第1のガイドレール、30b…第2のガイドレール、31a…第1のハンド、31b…第2のハンド、P1…第1受渡位置、P2…第2受渡位置、P3…退避位置。
図1
図2
図3
図4