特許第6588310号(P6588310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588310
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】鳥害防止具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20191001BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   A01M29/32
   H02G7/00
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-222175(P2015-222175)
(22)【出願日】2015年11月12日
(65)【公開番号】特開2017-85999(P2017-85999A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139573
【氏名又は名称】株式会社愛洋産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岸 洋司
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−274837(JP,A)
【文献】 特開平07−298823(JP,A)
【文献】 特開2003−134987(JP,A)
【文献】 特開2000−287605(JP,A)
【文献】 特開2006−060884(JP,A)
【文献】 特開2014−033607(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/046544(WO,A1)
【文献】 特開2008−149131(JP,A)
【文献】 米国特許第05400552(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
H02G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱の腕金に固定して用いられ、鳥の営巣を抑制するための鳥害防止具であって、
前記腕金に固定して用いられる土台部と、
前記土台部から延び出す棒状の複数の延設部であって、前記土台部の一方の側面から前記腕金の長さ方向と交差する方向に延び出し、前記長さ方向に間隔を空けて互いに平行に延設される少なくとも2本の延設部と、前記土台部における前記一方とは反対の他方の側面から前記長さ方向と交差する方向に延び出し、前記長さ方向に間隔を空けて互いに平行に延設される少なくとも2本の延設部と、を含む、弾性材料で形成されている複数の延設部と、
を備える鳥害防止具。
【請求項2】
請求項1に記載の鳥害防止具において、
前記複数の延設部は、鳥が止まらないときは直線状の形状である一方、鳥が止まると当該鳥の自重で沈むように構成されている、鳥害防止具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の鳥害防止具において、
前記延設部は、JIS K 6253の規格のデュロメータ・タイプDでの計測で硬度50〜60度の弾性材料で形成されている鳥害防止具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の鳥害防止具において、
前記土台部及び前記延設部のうち少なくとも一方は、絶縁材料で形成されている鳥害防止具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の鳥害防止具において、
前記土台部及び前記延設部は、耐候性を有する耐候性材料で形成されている鳥害防止具。
【請求項6】
請求項3に記載の鳥害防止具1において、
前記延設部は、前記硬度に応じて配合を調整したゴム及びポリプロピレンのブレンド材料で構成されている鳥害防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥害防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
配電線や通信線を支える電柱には、開閉器・変圧器等の充電部と言われる設備が取付けられている。このような、設備と電線が入り混じっている場所は、カラスなどの鳥にとっては営巣するには格好の場所になっている。
【0003】
しかし、この場所は近くを電気が流れている場所でもあり、使用される営巣材が針金や金属製ハンガーなどであった場合、ショートして停電する虞がある。
そのため現在、このような場所にカラスなどの鳥類が進入しないように、針山や風車を設置したり、テグスを張るなどの対策を講じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これまでの対策は、設置初期こそ効果を発揮するものの、鳥が慣れてしまうことがあり、鳥が慣れてしまうと、鳥の営巣を抑止する効果を発揮しなくなるおそれがあった。
【0005】
例えば、針山の場合、鳥は、針山を巣の土台代わりに使用してしまうことがあった。また、風車の場合、鳥は、風車を枝で止めてしまうことがあった。さらに、テグスの場合、鳥は、巣を安定させるための材料にしてしまうことがあった。
【0006】
そこで、本発明では、鳥が慣れにくい鳥害防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の鳥害防止具は、土台部と、前記土台部から平行に延設された複数の延設部と、を備える。前記延設部は、JIS K 6253の規格のデュロメータ・タイプDでの計測で硬度50〜60度の弾性材料で形成されていてもよい
【0008】
この鳥害防止具は、例えば、延設部が、鳥が営巣を行うことが予想される営巣予想場所の上方で平行に配置されるように、土台部を、営巣予想場所の周囲の固定場所(たとえば、電柱の腕金)に固定することによって設置される。
【0009】
この鳥害防止具は、延設部が、硬度50〜60度の弾性材料で構成されているので、風が吹くと微振動する。また、この鳥害防止具は、延設部が、硬度50〜60度の弾性材料で構成されているので、鳥が止まると自重で沈む柔軟性を有すとともに、巣材として編み込むだけの柔軟性を有さない。
【0010】
そのため、この鳥害防止具は、上記のように設置された場合、営巣予想場所に行こうとして鳥が延設部に止まると延設部が沈むため、この沈み込みによって鳥を驚かすことができる。また、この鳥害防止具は、延設部を巣に編み込もうとして曲げても、所定の硬度があるので編み込めず、鳥が編み込みをあきらめて延設部を離すと跳ね上がるので、鳥を驚かすことができる。また、この鳥害防止具は、風で吹くと延設部が不定期に微振動するので、その微振動によって鳥を驚かすことができる。
【0011】
したがって、この鳥害防止具は、上記のように設置すると、営巣予想場所に営巣しようとする鳥を、複数の方法で驚かすことができるので、鳥が営巣予想場所で営巣することを効果的に抑止することができる。
【0012】
土台部及び延設部のうち少なくとも一方は、絶縁材料で形成されているとよい。鳥害防止具を介してショートが発生することを抑制するためである。
土台部及び延設部は、耐候性を有する耐候性材料で形成されているとよい。この鳥害防止具は、電柱の上など、風雨にさらされる場所に設置されることが多いためである。
【0013】
延設部は、硬度に応じて配合を調整したゴム及びポリプロピレンのブレンド材料で構成されていてもよい。これはあくまでも一例である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の鳥害防止具の平面図及び右側面図である。
図2】実施形態の鳥害防止具を電柱に取り付けた様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の鳥害防止具1は、図1に示すように、土台部3と、この土台部3から平行に延設された複数の延設部5とを備えている。
【0016】
土台部3は、絶縁性及び耐候性を有しており、長板形状に形成されたゴム製(具体的には、エチレンプロピレンゴム)の板材である。土台部3は、図2に示すように、電柱の座金など、鳥が営巣を行うことが予想される営巣予想場所(本実施形態では開閉器の上方側)の周囲に固定される。土台部3には、2つのネジ穴30が形成されている。そのため、土台部3は、座金等に対し、このネジ穴30にボルト及びナットなどを挿入して固定してもよい。また、土台部3は、座金とともに針金を巻き付けるなどして固定してもよい。
【0017】
延設部5は、図1に示すように、それぞれ棒形状に形成されており、各延設部5は、土台部3の長手方向に対し垂直な方向に向かって土台部3から延設されている。各延設部5は、土台部3の長手方向に沿って所定間隔ごとに離間して配置されるように、土台部3に対して固定されている。
【0018】
これら延設部5は、JIS K 6253の規格のデュロメータ・タイプDでの計測で硬度50〜60度の弾性材料で形成されている。この延設部5は、絶縁性及び耐候性を有しており、エチレンプロピレンゴムとポリプロピレンを硬度に応じて配合を調整して形成されている。配合量としては、例えば、エチレンプロピレンゴム:ポリプロピレンを30:70としてもよい。
【0019】
以上のように構成された本実施形態の鳥害防止具1は、各延設部5が、営巣予想場所である開閉器の上方で平行に配置されるように設置し、土台部3を腕金に固定することで、電柱に設置される。
【0020】
本実施形態の鳥害防止具1は、延設部5が、硬度50〜60度の弾性材料で構成されているので、風が吹くと微振動する。また、この鳥害防止具1は、延設部5が、硬度50〜60度の弾性材料で構成されているので、鳥が止まると自重で沈む柔軟性を有すとともに、巣材として編み込むだけの柔軟性を有さない。
【0021】
そのため、本実施形態の鳥害防止具1は、上記のように設置した場合、営巣予想場所に行こうとして鳥が延設部5に止まると延設部5が沈むため、この沈み込みによって鳥を驚かすことができる。また、本実施形態の鳥害防止具1は、延設部5を巣に編み込もうとして曲げても、所定の硬度があるので編み込めず、鳥が編み込みをあきらめて延設部5を離すと跳ね上がるので、鳥を驚かすことができる。また、本実施形態の鳥害防止具1は、風で吹くと延設部5が不定期に微振動するので、その微振動によって鳥を驚かすことができる。
【0022】
したがって、本実施形態の鳥害防止具1は、上記のように設置すると、営巣予想場所に営巣しようとする鳥を、複数の方法で驚かすことができるので、鳥が営巣予想場所で営巣することを効果的に抑止することができる。
【0023】
また、本実施形態の鳥害防止具1は、土台部3及び延設部5の両方が、絶縁性及び耐候性を有しているため、営巣予想場所の近くに設置してもショートを抑止でき、しかも、電柱の上など、風雨にさらされる場所に設置されても、長期間、鳥害を抑止できる。
[他の実施形態]
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0024】
(1)上記実施形態では、延設部5を構成する材料としてエチレンプロピレンゴムを用いたが、ゴムとしては他に、クロロプレンゴム、シリコンゴムなどを用いてもよい。また、延設部5は、ゴムに代えて、ポリカーボネート等の樹脂を用いて構成してもよい。また、上記実施形態では、延設部5を構成する材料として、ポリプロピレンを用いたが、他に、ポリエチレンなどを用いてもよい。延設部5を構成する材料は、硬度や耐候性を有するものであれば、これらの材料に限定されるものではない。
【0025】
(2)上記実施形態では、土台部3も延設部5も絶縁性を有する材料で形成したが、本実施形態の鳥害防止具1を営巣予想場所に設置したときに、ショートの虞がない場合、これらのうち一方を絶縁性を有しないものとしてもよい。例えば、土台部3を金属製としてもよい。
【0026】
(3)上記実施形態では、営巣予想場所として開閉器の上方部分を例示したが、開閉器の上方部分に限られるものではない。
(4)上記実施形態では、延設部5の硬度を50〜60度としたが、鳥害を防止する対象となる鳥に合わせて硬度を変えればよい。
【0027】
(5)上記実施形態では、3本の延設部5を有する例を説明したが、延設部5の本数は2本でもよいし、4本以上でもよい。
(6)上記実施形態では、延設部5として、長手方向に垂直な断面形状が丸に形成されたものを用いたが、鳥が載ったときにしなればよく、三角又は四角に形成されているものでもよい。
【符号の説明】
【0028】
1… 鳥害防止具
3… 土台部
5… 延設部
30… ネジ穴
図1
図2