(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588343
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】コンロ用バーナの逆火検知装置
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20191001BHJP
F24C 3/08 20060101ALI20191001BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20191001BHJP
F23D 14/62 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
F24C3/12 X
F24C3/12 K
F24C3/08 P
F23N5/24 101B
F23D14/62
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-4185(P2016-4185)
(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公開番号】特開2017-125637(P2017-125637A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】塩野 岳
(72)【発明者】
【氏名】橋本 道弘
(72)【発明者】
【氏名】水谷 嘉宏
【審査官】
西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−028428(JP,A)
【文献】
実開昭55−100830(JP,U)
【文献】
実開昭61−058552(JP,U)
【文献】
実開平03−121346(JP,U)
【文献】
特開昭61−055521(JP,A)
【文献】
特開2013−257092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00− 3/14
F23D 14/00−14/18
F23D 14/26−14/84
F23N 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ用バーナの混合管の上流端の流入口から逆火によって火炎が吹出したときに火炎又は火炎からの燃焼ガスが到達する部分に感熱素子を設けて、逆火の発生を検知するコンロ用バーナの逆火検知装置であって、コンロ用バーナは、主バーナ部と主バーナ部よりも定格燃焼量の小さな副バーナ部とを有し、主バーナ部用の混合管と副バーナ部用の混合管とをこれら両混合管の上流端の流入口が同方向に開口するように並設するものにおいて、
両混合管の流入口の開口方向をX軸方向、流入口から遠ざかる方向をX軸方向外方として、両混合管の流入口のX軸方向外方への投影空間をX軸方向所定位置に亘り上方から覆う共通の覆い板が設置され、覆い板の下に、主バーナ部用混合管の流入口から火炎が吹出したときに火炎からの燃焼ガスが到達すると共に副バーナ部用混合管の流入口から火炎が吹出したときに火炎からの燃焼ガスが到達する部分に位置させて前記感熱素子が配置され、
覆い板の下に、主バーナ部用混合管の外面に接触する接触部と副バーナ部用混合管の外面に接触する接触部とを有する伝熱板が配置され、主バーナ部用と副バーナ部用の両混合管からの熱が伝熱板を介して感熱素子に伝達されるようにすることを特徴とするコンロ用バーナの逆火検知装置。
【請求項2】
コンロ用バーナの混合管の上流端の流入口から逆火によって火炎が吹出したときに火炎又は火炎からの燃焼ガスが到達する部分に感熱素子を設けて、逆火の発生を検知するコンロ用バーナの逆火検知装置であって、コンロ用バーナは、主バーナ部と主バーナ部よりも定格燃焼量の小さな副バーナ部とを有し、主バーナ部用の混合管と副バーナ部用の混合管とをこれら両混合管の上流端の流入口が同方向に開口するように並設するものにおいて、
両混合管の流入口の開口方向をX軸方向、流入口から遠ざかる方向をX軸方向外方として、両混合管の流入口のX軸方向外方への投影空間をX軸方向所定位置に亘り上方から覆う共通の覆い板が設置され、覆い板の下に、主バーナ部用混合管の流入口から火炎が吹出したときに火炎からの燃焼ガスが到達すると共に副バーナ部用混合管の流入口から火炎が吹出したときに火炎からの燃焼ガスが到達する部分に位置させて前記感熱素子が配置され、
覆い板に、主バーナ部用混合管の外面に接触する接触部と副バーナ部用混合管の外面に接触する接触部とを設けて、覆い板を、主バーナ部用と副バーナ部用の両混合管からの熱を感熱素子に伝達する伝熱板に兼用することを特徴とするコンロ用バーナの逆火検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ用バーナで逆火が発生したときにこれを検知するコンロ用バーナの逆火検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンロ用バーナでは、煮こぼれを生じて、バーナの炎孔の大部分が煮こぼれ汁で閉塞されると、バーナの混合管内を火炎が逆流(逆火)して、混合管の上流端の流入口から火炎が吹出すことがある。そこで、従来、混合管の流入口から吹出す火炎又は火炎からの燃焼ガスが到達する部分に感熱素子を設け、流入口から火炎が吹出して、これを感熱素子が検知したとき、バーナへのガス供給を停止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、コンロ用バーナのバーナキャップを誤セットしたり、調理中に風が当たっている状態で火力を絞った場合、火炎が混合管内にとどまる軽度の逆火を生ずることがある。然し、上記従来例のものでは、このような軽度の逆火を感熱素子で検知することはできない。
【0004】
この場合、軽度の逆火を生ずると、混合管が加熱されるため、上記感熱素子とは別に、混合管の外面に触れる感熱素子を設ければ、軽度の逆火を検知することができる。然し、これでは、2個の感熱素子が必要になり、コストが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−28428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、混合管の流入口から火炎が吹出すような逆火と火炎が混合管内にとどまる軽度の逆火とを共通の感熱素子で検知できるようにしたコンロ用バーナの逆火検知装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本
願の第1発明と第2発明は、コンロ用バーナの混合管の上流端の流入口から逆火によって火炎が吹出したときに火炎又は火炎からの燃焼ガスが到達する部分に感熱素子を設けて、逆火の発生を検知するコンロ用バーナの逆火検知装置
であって、コンロ用バーナは、主バーナ部と主バーナ部よりも定格燃焼量の小さな副バーナ部とを有し、主バーナ部用の混合管と副バーナ部用の混合管とをこれら両混合管の上流端の流入口が同方向に開口するように並設するものにおいて、両混合管の流入口の開口方向をX軸方向、流入口から遠ざかる方向をX軸方向外方として、両混合管の流入口のX軸方向外方への投影空間をX軸方向所定位置に亘り上方から覆う共通の覆い板が設置され、覆い板の下に、主バーナ部用混合管の流入口から火炎が吹出したときに火炎からの燃焼ガスが到達すると共に副バーナ部用混合管の流入口から火炎が吹出したときに火炎からの燃焼ガスが到達する部分に位置させて前記感熱素子が配置されることを共通の特徴とし、更に、第1発明は、覆い板の下に、主バーナ部用混合管の外面に接触する接触部と副バーナ部用混合管の外面に接触する接触部とを有する伝熱板が配置され、主バーナ部用と副バーナ部用の両混合管からの熱が伝熱板を介して感熱素子に伝達されるようにすることを特徴とし、また、第2発明は、覆い板の下に伝熱板を配置する代わりに、覆い板に、主バーナ部用混合管の外面に接触する接触部と副バーナ部用混合管の外面に接触する接触部とを設けて、覆い板を、主バーナ部用と副バーナ部用の両混合管からの熱を感熱素子に伝達する伝熱板に兼用することを特徴とする。
【0008】
第1発明と第2発明によれば、
主バーナ部用や副バーナ部用の混合管の流入口から火炎が吹出すような逆火を生ずると、感熱素子に燃焼ガスが到達するため、逆火を感熱素子で検知できる。更に、火炎が
主バーナ部用や副バーナ部用の混合管内にとどまる軽度の逆火を生じたときは、混合管が加熱されてその熱が伝熱板を介して感熱素子に伝達されるため、軽度の逆火も共通の感熱素子で検知できる。
即ち、主バーナ部における混合管の流入口から火炎が吹出すような逆火と火炎が混合管内にとどまる軽度の逆火及び副バーナ部における混合管の流入口から火炎が吹出すような逆火と混合管内に火炎がとどまる軽度の逆火を単一の感熱素子により検知でき、コストダウンを図る上で有利である。
【0011】
また、
第2発明によれば、覆い板を、主バーナ部用と副バーナ部用の両混合管からの熱を感熱素子に伝達する伝熱板に兼用
することで、部品点数を削減して、一層のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態の逆火検知装置を具備するコンロ用バーナを備えるガスコンロの切断側面図。
【
図2】第1実施形態の逆火検知装置を具備するコンロ用バーナの斜め右上方から見た斜視図。
【
図3】第1実施形態の逆火検知装置を具備するコンロ用バーナの覆い板を分離した状態の斜め左上方から見た斜視図。
【
図4】逆火検知装置を取外した状態での上記コンロ用バーナの一部を分解した状態の斜視図。
【
図5】本発明の第2実施形態の逆火検知装置を具備するコンロ用バーナの斜め右上方から見た斜視図。
【
図6】第2実施形態の逆火検知装置を具備するコンロ用バーナの斜め右下方から見た斜視図。
【
図7】第2実施形態の逆火検知装置を具備するコンロ用バーナの覆い板を分離した状態の斜め右上方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、1は、コンロ用バーナを示している。このバーナ1は、副バーナ部3と副バーナ部3を囲う主バーナ部2とを有している。
【0014】
図2乃至
図4も参照して、バーナ1は、主バーナ部用混合管21と副バーナ部用混合管31とを有している。これら両混合管21,31は、天板4で覆われるコンロ本体5内に、両混合管21,31の上流端の流入口21a,31aが同方向に開口するように並設した状態で、コンロ本体5の底部に設置したバーナ支持台51上に固定されている。各混合管21,31の流入口21a,31aは、中心に主バーナ部用と副バーナ部用の各ガス供給管22,32の先端のガスノズル22a,32aを挿入するノズル挿入孔23a,33aとその周りに一次空気孔23b,33bとを有する蓋板23,33で覆われており、蓋板23,33の外面に回動調節自在に取付けたダンパ板24,34により一次空気孔23b,33bの開度を調節できるようにしている。そして、ガスノズル22a,32aからの燃料ガスの噴射に伴い一次空気孔23b,33bから一次空気が吸引され、各混合管21,31内で燃料ガスと一次空気との混合気が生成されるようにしている。
【0015】
主バーナ部用と副バーナ部用の両混合管21,31は、その下流側の端部において一体化されている。この一体化部分は、副バーナ部用混合管31の下流端部である上方に開口する内筒31bと、主バーナ部用混合管21の下流端部である上方に開口する外筒21bとから成る内外2重の筒状に形成されており、天板4に開設したバーナ用開口41に隙間を存して挿通されている。そして、一体化部分の上部に、バーナ用開口41の口縁部に装着したパッキン42に外周部を着座させた状態でカバーリング43を固定し、このカバーリング43を囲うようにして天板4上に複数の五徳爪44aを有する五徳44を載置している。
【0016】
また、バーナ1は、内筒21bの上端部に嵌合する副バーナボディ35と、副バーナボディ35を囲う環状の主バーナボディ25とを有している。主バーナボディ25は、外筒21bの上端部に嵌合して主バーナ部用混合管21からの混合気を主バーナボディ25に導く周方向複数個所の通路部25aを介して副バーナボディ35と一体化されている。
【0017】
主バーナボディ25上には環状の主バーナキャップ26が載置されており、主バーナ用混合管21と主バーナボディ25と主バーナキャップ26とで主バーナ部2が構成される。主バーナキャップ26の外周の周壁部には、周方向の間隔を存して大小複数の主バーナ炎孔27が形成されている。そして、主バーナ部用混合管21からの混合気が通路部25aと、主バーナボディ25と主バーナキャップ26との間に画成される分布空間とを介して主バーナ炎孔27から噴出して燃焼するようにしている。
【0018】
また、副バーナボディ35上には副バーナキャップ36が載置されており、副バーナ部用混合管31と副バーナボディ35と副バーナキャップ36とで副バーナ部3が構成される。副バーナキャップ36の周壁部には、周方向の間隔を存して大小複数の副バーナ炎孔37が形成されている。そして、副バーナ部用混合管31からの混合気が副バーナボディ35と副バーナキャップ36との間に画成される分布空間を介して副バーナ炎孔37から噴出して燃焼するようにしている。
【0019】
尚、副バーナ炎孔37の総開口面積は主バーナ炎孔27の総開口面積よりも小さく、定格燃焼量(最大燃焼量)は副バーナ部3の方が主バーナ部2よりも小さい。また、バーナ1には、主バーナキャップ26の周囲一箇所に臨む点火プラグ11と、副バーナキャップ36の周囲一箇所に臨む火炎検知素子たる熱電対12とが設けられている。そして、点火プラグ11により主バーナ部2に点火し、主バーナ部2から副バーナ部3に主バーナキャップ26の上面に形成したスリット炎孔28を介して火移りさせ、副バーナ部3への火移りを熱電対12で検出するようにしている。
【0020】
ところで、バーナ1の燃焼中に煮こぼれを生じて、主バーナ炎孔27の大部分が煮こぼれ汁で閉塞されると、主バーナ部用混合管21内を火炎が逆流(逆火)して、主バーナ部用混合管21の流入口21aから一次空気孔23bを介して火炎が吹出すことがある。同様に、副バーナ炎孔37の大部分が煮こぼれ汁で閉塞されると、副バーナ部用混合管31内を火炎が逆流して、副バーナ部用混合管31の流入口31aから一次空気孔33bを介して火炎が吹出すことがある。
【0021】
そこで、主バーナ部用と副バーナ部用の各混合管21,31の流入口21a,31aから火炎が吹出すような逆火を検知するために、以下の如く構成している。即ち、主バーナ部用と副バーナ部用の各混合管21,31の流入口21a,31aの開口方向をX軸方向、流入口21a,31aから遠ざかる方向をX軸方向外方、流入口21a,31aに近づく方向をX軸方向内方、両混合管21,31の並び方向をY軸方向、副バーナ部用混合管31側をY軸方向一方、主バーナ部用混合管21側をY軸方向他方として、コンロ本体5内に、両混合管21,31の流入口21a,31aのX軸方向外方への投影空間をX軸方向所定位置に亘り上方から覆う共通の覆い板6を設置している。尚、副バーナ部用混合管31の流入口31aは、主バーナ用混合管21の流入口21aよりもX軸方向内方に位置しているため、覆い板6は、Y軸方向一方の半部が他方の半部よりもX軸方向内方にのびる平面視L字状に形成されている。
【0022】
そして、覆い板6の下に、両混合管21,31の流入口21a,31aの中心高さよりも上方で、且つ、主バーナ部用混合管21の流入口21aの中心と副バーナ部用混合管31の流入口31aの中心との間のY軸方向位置に感熱素子たるバイメタルスイッチ7を配置している。尚、バイメタルスイッチ7は、X軸方向外方に開口するケース状のホルダ71に保持されている。また、バイメタルスイッチ7は、熱電対12をバーナ1へのガス供給路に介設した電磁安全弁又はコントローラに接続する熱電対回路に介設されている。
【0023】
これによれば、主バーナ部用混合管21の流入口21aから火炎が吹出すような逆火を生ずると、火炎からの燃焼ガスが覆い板6の下面に沿ってバイメタルスイッチ7に到達し、当該スイッチ7が所定温度以上になってオフし、電磁安全弁が閉弁されて、主バーナ部2及び副バーナ部3の燃焼が停止される。また、副バーナ部用混合管部31の流入口31aから火炎が吹出すような逆火を生じた場合も、火炎からの燃焼ガスが覆い板6の下面に沿ってバイメタルスイッチ7に到達し、当該スイッチ7がオフして、主バーナ部3及び副バーナ部2の燃焼が停止される。更に、主バーナ部用と副バーナ部用の何れの混合管21,31の流入口21a,31aから火炎が吹出しても、火炎が立上って天板4に触れることを覆い板6により阻止し、天板4の異常過熱を防止できる。
【0024】
ここで、主バーナ部用混合管21の流入口21aから火炎が吹出したときに火炎又は火炎からの燃焼ガスが到達するように、当該流入口21aに臨む部分に主バーナ部逆火検知用の感熱素子を設けると共に、副バーナ部用混合管31の流入口31aから火炎が吹出したときに火炎又は火炎からの燃焼ガスが到達するように、当該流入口31aに臨む部分に副バーナ部逆火検知用の感熱素子を設けることも可能である。但し、本実施形態によれば、単一の感熱素子(バイメタルスイッチ7)により主バーナ部2の逆火と副バーナ部3の逆火との何れも検知でき、コストダウンを図る上で有利である。
【0025】
尚、覆い板6のY軸方向一方の側縁と他方の側縁には、これら側縁から燃焼ガスが抜け出ることを防止できるように、下方に屈曲する垂下板部61,62を設けている。また、副バーナ部用混合管31の流入口31aと主バーナ部用混合管21の流入口21aとの間のX軸方向範囲に存する覆い板6の部分のY軸方向他方の側縁に下方に屈曲した垂下板部63を設け、当該側縁から燃焼ガスが抜け出ることを垂下板部62により防止できるようにしている。更に、覆い板6のX軸方向外方の端縁に、バイメタルスイッチ7の配置位置と覆い板6のY軸方向一方の側縁との間のY軸方向範囲に亘り、下方に屈曲した垂下板部64を設け、当該範囲から燃焼ガスが抜け出てしまうことを防止できるようにしている。
【0026】
ところで、主バーナキャップ26や副バーナキャップ36を誤セットしたり、調理中に風が当たっている状態で火力を絞った場合、火炎が主バーナ部用や副バーナ部用の混合管21,31内にとどまる軽度の逆火を生ずることがある。然し、上記の構造のままでは、このような軽度の逆火を検知することはできない。
【0027】
そこで、本実施形態では、覆い板6の下に、主バーナ部用混合管21の外面と副バーナ部用混合管31の外面とに接触する伝熱板8を設けて、この伝熱板8にバイメタルスイッチ7のホルダ71を結合している。より具体的に説明すれば、伝熱板8は、覆い板6のX軸方向外方寄りの部分の下に位置するY軸方向に幅広の基部81と、基部81のY軸方向他方の半部のX軸方向内方部分に位置する、主バーナ部用混合管21の端部フランジ21cの上面に接触する接触部82と、接触部82から下方への段差を存してX軸方向内方にのび、主バーナ部用混合管部21の端部フランジ部21c以外の部分の上部及びY軸方向両側部に接触する接触部83と、基部81のY軸方向一方の半部から下方への僅かな段差を存してX軸方向内方にのび、副バーナ部用混合管31の端部フランジ31cの上面に接触する接触部84と、接触部84から下方への段差を存してX軸方向内方にのび、副バーナ部用混合管31の端部フランジ部31c以外の部分の上部及びY軸方向両側部に接触する接触部85とを有している。そして、伝熱板8の基部81のX軸方向外方寄りの部分にバイメタルスイッチ7のホルダ71を結合している。
【0028】
これによれば、主バーナ部2で混合管21内に火炎がとどまるような軽度の逆火を生じた場合、混合管21の加熱でその熱が接触部82,83から伝熱板8を介してバイメタルスイッチ7に伝達される。また、副バーナ部3で混合管31内に火炎がとどまるような軽度の逆火を生じた場合にも、混合管31の加熱でその熱が接触部84,85から伝熱板8を介してバイメタルスイッチ7に伝達される。従って、主バーナ部2と副バーナ部3の何れで軽度の逆火を生じても、これをバイメタルスイッチ7で検知できる。即ち、バイメタルスイッチ7が所定温度以上になってオフし、主バーナ部2及び副バーナ部3の燃焼が停止される。
【0029】
尚、主バーナ部用混合管21の流入口21aに臨む第1の感熱素子と、副バーナ部用混合管31の流入口31aに臨む第2の感熱素子とを設けると共に、主バーナ部用混合管21の外面に接触して、この混合管21からの熱を第1の感熱素子に伝達する第1の伝熱板と、副バーナ部用混合管31の外面に接触して、この混合管31からの熱を第2の感熱素子に伝達する第2の伝熱板とを設けることも可能である。これによれば、主バーナ部2における混合管21の流入口21aから火炎が吹出すような逆火と火炎が混合管21内にとどまる軽度の逆火とを第1の感熱素子により検出でき、副バーナ部3における混合管31の流入口31aから火炎が吹出すような逆火と混合管31内に火炎がとどまる軽度の逆火とを第2の感熱素子により検出できる。このものでも、軽度の逆火を検知する専用の感熱素子を設けずに済むため、コストダウンを図ることができる。
【0030】
但し、本実施形態によれば、主バーナ部2における混合管21の流入口21aから火炎が吹出すような逆火と火炎が混合管21内にとどまる軽度の逆火及び副バーナ部3における混合管31の流入口31aから火炎が吹出すような逆火と混合管31内に火炎がとどまる軽度の逆火を単一の感熱素子(バイメタルスイッチ7)により検知でき、コストダウンを図る上で有利である。
【0031】
次に、
図5乃至
図7に示す第2実施形態の逆火検知装置について説明する。この逆火検知装置は、上記第1実施形態の逆火検知装置と同様に主バーナ2と副バーナ部3とを有するコンロ用バーナ1に適用されるものであり、第1実施形態と同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。尚、
図5乃至
図7では、ガス供給管及びガスノズルを省略している。
【0032】
第2実施形態の逆火検知装置の第1実施形態のものとの主たる相違点は、主バーナ部用と副バーナ部用の両混合管21,31の流入口のX軸方向外方への投影空間をX軸方向所定位置に亘り上方から覆う覆い板6を伝熱板8に兼用したことである。より具体的に説明すれば、第2実施形態のものでは、覆い板6が、主バーナ部用と副バーナ部用の両混合管21,31をその端部フランジ部21c,31cよりもX軸内方部分に亘って上方から覆うようにX軸方向内方に延長されている。そして、両混合管21,31の覆い板6の延長部で覆われる部分に上方への盛上り部21d,31dを設けると共に、覆い板6の延長部に、主バーナ部用混合管21の外面に盛上り部21dにおいて接触する接触部65と、副バーナ部用混合管31の外面に盛上り部31dにおいて接触する接触部66とを設けている。尚、各接触部65,66は、各盛上り部21d,31dの上面にビス65a,66aで締結される。
【0033】
また、覆い板6のY軸方向一方と他方の側縁に垂下板部61,62を設けると共に、X軸方向外方の端縁にもその全長に亘って垂下板部64を設けている。そして、覆い板6のY軸方向一方の側縁の垂下板部61に、覆い板6の下に位置するように感熱素子たるサーミスタ7´を挿通固定している。
【0034】
第2実施形態によれば、副バーナ部用混合管31の流入口から火炎が吹出すような逆火を生ずると、火炎からの燃焼ガスが副バーナ部用混合管31の流入口近傍に位置するサーミスタ7´に到達して、副バーナ部3の逆火が検知される。また、主バーナ部用混合管21の流入口から火炎が吹出すような逆火を生ずると、火炎からの燃焼ガスが覆い板6のX軸方向外方の端縁の垂下板部64に当たってY軸方向一方に導かれ、サーミスタ7´に燃焼ガスが到達して、主バーナ部2の逆火が検知される。
【0035】
また、主バーナ部2で混合管21内に火炎がとどまるような軽度の逆火を生じた場合、混合管21の加熱でその熱が接触部65から覆い板6を介してサーミスタ7´に伝達される。また、副バーナ部3で混合管31内に火炎がとどまるような軽度の逆火を生じた場合にも、混合管31の加熱でその熱が接触部66から覆い板6を介してサーミスタ7´に伝達される。従って、主バーナ部2と副バーナ部3の何れで軽度の逆火を生じても、これをサーミスタ7´で検知できる。そして、覆い板6が主バーナ部用と副バーナ部用の両混合管21,31からの熱を感熱素子たるサーミスタ7´に伝達する伝熱板8に兼用されることになるため、部品点数を削減して、一層のコストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1…バーナ、2…主バーナ部、21…主バーナ部用混合管、21a…流入口、3…副バーナ部、31…副バーナ部用混合管、31a…流入口、6…覆い板、65…覆い板の主バーナ部用混合管に対する接触部、66…覆い板の副バーナ部用混合管に対する接触部、7…バイメタルスイッチ(感熱素子)、7´…サーミスタ(感熱素子)、8…伝熱板、82,83…主バーナ部用混合管に対する接触部、84,85…副バーナ部用混合管に対する接触部。