(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動栓体が前記注出位置となったときに、該可動栓体の外周面と前記注出筒部の内周面との間に生じる隙間を通して前記計量室の内部の内容物が外部に注出される、請求項1に記載の定量注出容器。
前記転動体が前記可動栓体の先端から一部が突出するとともに前記注出流路の開口端に設けられた環状シール部に当接して該注出流路の開口を閉塞する閉塞位置と前記環状シール部から離れて前記注出流路の開口を開放する開放位置との間で該注出流路に沿って移動自在である、請求項1または2に記載の定量注出容器。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0018】
図1に示す本発明の一実施の形態である定量注出容器1は、液状の薬剤を内容物として収容し、当該内容物を使用者の皮膚等の被塗布面に一定量ずつ小分けに注出させる用途に用いられるものである。
【0019】
この定量注出容器1は容器本体10、注出キャップ20、中栓部材30、可動栓体40、転動体50およびオーバーキャップ60を有している。
【0020】
容器本体10は胴部11と口部12とを備え、正立姿勢において胴部11が下側、口部12が上側となるボトル形状に形成されている。胴部11は有底筒状の形態を有し、その内部は内容物を収容する収容部13となっている。口部12は胴部11よりも小径の円筒状に形成されており、胴部11の上端部(
図1中上側となる端部)に肩部14を介して一体に連結されて、その内側空間は収容部13に連なっている。
【0021】
容器本体10としては、例えばガラス瓶や合成樹脂製ボトルを用いることができるが、内容物を収容する収容部と当該収容部に連なる口部とを有するものであれば、ボトル形状以外の種々の形状ないし材質のものを用いることができる。
【0022】
注出キャップ20は、合成樹脂材料により、本体筒部21とこの本体筒部21に対して
図1中で下方側に一体且つ同軸に設けられる装着筒部22と、この本体筒部21に対して
図1中で上方側に一体且つ同軸に設けられる注出筒部23とを有する略筒状に形成されている。装着筒部22は本体筒部21よりも大径の円筒状に形成され、注出筒部23は本体筒部21よりも小径の円筒状に形成されている。
【0023】
装着筒部22の内周面には当該内周面から径方向内側に向けて突出する爪部22aが一体に設けられている。一方、口部12の先端部は、その外径が他の部分よりも小さい小径形状に形成され、その外周面には径方向外側に向けて突出する環状の係止凸部12aが一体に設けられている。注出キャップ20は、装着筒部22が口部12の小径形状の先端部の外側に嵌め合わされるとともに爪部22aが係止凸部12aにアンダーカット係合することにより、口部12に抜け止め保持された状態で装着されている。
【0024】
なお、注出キャップ20は、爪部22aと係止凸部12aとのアンダーカット係合に替えて、例えば、ねじ結合等の他の手段によって口部12に装着することもできる。
【0025】
本体筒部21は口部12と同軸に配置されて当該口部12に対して図中上方に突出しており、その内側に容器本体10の収容部13に連なる空間を形成している。注出筒部23は内容物を外部に注出する部分であり、容器本体10の収容部13に収容された内容物は口部12と本体筒部21の内側を通って注出筒部23から外部に注出される。
【0026】
中栓部材30は口部12の開口に装着され、注出キャップ20との間に計量室Rを区画形成している。
【0027】
例えば合成樹脂製とされる中栓部材30は固定部31と中栓本体部32とを備えている。固定部31は円環状に形成されており、その外周面において装着筒部22の内周面に嵌合するとともに注出キャップ20の本体筒部21の下端と口部12の先端との間に挟持されている。このように、中栓部材30は固定部31において口部12に固定されている。また、固定部31の上面には環状溝31aが設けられており、注出キャップ20の本体筒部21の下端部分がこの環状溝31aに液密に嵌合することにより、注出キャップ20と中栓部材30との組合せ部分からの内容物の漏れ出しが防止されるようになっている。
【0028】
中栓本体部32は、固定部31から下方側に向けて一体に延びる段付きの有底筒状に形成され、口部12の開口を覆っている。つまり、この中栓本体部32により、注出キャップ20の内部が容器本体10の収容部13に対して仕切られて計量室Rが区画形成されている。
【0029】
段付きに形成された中栓本体部32の下側部分はシール筒部32aとなっている。このシール筒部32aは、注出筒部23や口部12と同軸の有底円筒状に形成されている。シール筒部32aの下端側には、それぞれ当該シール筒部32aの側壁から底壁に亘って開口する一対の流出孔33が設けられている。容器本体10の収容部13に収容された内容物は、これらの流出孔33を通して計量室Rの内部に流入することができる。
【0030】
なお、図示する場合では、中栓本体部32に一対の流出孔33を設けるようにしているが、内容物が流通できる少なくとも1つの流出孔33が設けられていれば、その個数ないし形状は種々変更可能である。
【0031】
可動栓体40は、略円筒状に形成される栓体本体部41と、この栓体本体部41の下端から下方に向けて突出する円筒状のスカート部42およびスカート部42の内側において栓体本体部41の下端から下方に向けて突出する円筒状のガイド部43とが、互いに同軸且つ一体に形成された外形略円柱状に形成されている。可動栓体40は例えば合成樹脂製とすることができるが、金属等の他の材質で形成することもできる。なお、
図1においては、便宜上、可動栓体40を半断面で示している。
【0032】
可動栓体40は、計量室Rの内部(注出キャップ20の内側)に注出筒部23と同軸に配置され、その栓体本体部41の先端(
図1中における上端)は注出筒部23から外部に突出している。また、可動栓体40は、中栓部材30に設けられた流出孔33を開放して収容部13に収容された内容物を計量室Rに充填可能とする計量位置(
図2(a)に示す位置)と、流出孔33を閉塞するとともに計量室Rの内部の内容物を外部に注出可能とする注出位置(
図1に示す位置)との間で、注出筒部23の軸方向に沿って移動自在となっている。なお、本実施の形態においては、可動栓体40の先端を、可動栓体40の軸方向の移動位置に拘わらず、常に注出筒部23の先端から外部に突出させるように構成しているが、これに限らず、可動栓体40が注出位置となったときに栓体本体部41の先端を注出筒部23の先端と同一位置または注出筒部23の内部に位置させる構成とすることもできる。なお、栓体本体部41の先端を注出筒部23の先端から突出させた構成とした場合には、可動栓体40をより安定的に注出位置にまで移動させることができる。
【0033】
より具体的に説明すると、中栓部材30にはシール筒部32aの底壁内面から上方に向けて注出筒部23や口部12と同軸に突出する支持突起34が一体に設けられており、ガイド部43が支持突起34の外側に該支持突起34に対して軸方向に移動自在に係合している。これにより、可動栓体40は、支持突起34に支持されつつ当該支持突起34に案内されて注出筒部23の軸方向に沿って移動することができる。なお、本実施の形態では、支持突起34を円柱状に形成し、円筒状に形成したガイド部43を支持突起34の外側に係合させるようにしているが、支持突起34を円筒状に形成し、円柱状に形成したガイド部43を支持突起34の内側に係合させる構成とすることもできる。
【0034】
また、可動栓体40のスカート部42の外径はシール筒部32aの内径よりも僅かに小さく形成されており、またスカート部42の下端には下方に向けて徐々に拡径する環状の第1シール44が一体に設けられている。一方、可動栓体40の外周面には環状の第2シール45が一体に突設されている。栓体本体部41の第2シール45よりも先端側(図中上方側)の部分は、注出筒部23の内径よりも僅かに小さな外径に形成されている。さらに、栓体本体部41の第2シール45よりも図中下方側には注出筒部23の内径よりも大径の部分が設けられ、この大径部分の段部41aが注出筒部23に当接することにより、可動栓体40の計量位置の側(上方側)のストローク端が規定されている。
【0035】
可動栓体40が計量位置となると、第1シール44がシール筒部32aに対して上方に離れて流出孔33が計量室Rに対して開放されるとともに第2シール45が注出筒部23の内周面に当接して注出筒部23が閉塞される。したがって、可動栓体40を計量位置とし、定量注出容器1を胴部11に対して口部12が上方側となる倒立姿勢とすることにより、容器本体10の収容部13に収容されている内容物を、流出孔33を通して計量室Rに充填させることができる。
【0036】
一方、可動栓体40が注出位置となると、第1シール44が中栓部材30のシール筒部32aの内周面に弾性的に当接して流出孔33が可動栓体40により計量室Rに対して閉塞された状態とされるとともに栓体本体部41の外周面と注出筒部23の内周面との間に隙間Gが生じる。したがって、定量注出容器1を倒立姿勢としたまま可動栓体40を注出位置とすることにより、計量室Rの内部の内容物を栓体本体部41の外周面と注出筒部23の内周面との間に生じた隙間Gから外部に注出させることができる。このとき、計量室Rによって計量された所定量の内容物のみが外部に注出されることになるので、過度の量の内容物が注出されることなく、容器本体10から一定量の内容物だけを小分けに注出させることができる。
【0037】
また、可動栓体40には計量室Rに連なるとともに栓体本体部41の先端に開口する注出流路47が設けられており、定量注出容器1を倒立姿勢としたまま可動栓体40を注出位置としたときには、隙間Gに加えてこの注出流路47からも計量室Rの内部の内容物が外部に注出されるようになっている。
【0038】
この注出流路47は、栓体本体部41の軸心に沿って延びる軸心流路部47aと、軸心流路部47aの下端から径方向に延びる導入流路部47bとを有している。軸心流路部47aは栓体本体部41の先端に開口し、当該先端において外部に連通している。一方、導入流路部47bは段部41aの下方側において栓体本体部41の側面に開口しており、可動栓体40が注出位置および計量位置の何れの位置にあっても常に計量室Rに連通するようになっている。
【0039】
栓体本体部41の先端には、注出流路47の一部を構成するように環状凹部46が設けられ、この環状凹部46に転動体50が嵌め込まれている。このように、可動栓体40の先端つまり栓体本体部41の先端に転動体50が装着されている。
【0040】
本実施の形態においては、転動体50は球状(球体)に形成され、環状凹部46の内部で転動自在となっている。なお、転動体50としては、鋼球等の金属製のものを用いることができるが、合成樹脂製等の他の材質のものを用いることもできる。
【0041】
転動体50は、その一部が栓体本体部41の先端から突出し、被塗布面に接触可能となっている。転動体50は注出流路47の開口に装着されているので、転動体50の栓体本体部41の先端から突出する部分を被塗布面に当接させ、その状態で当該被塗布面に沿って転動体50を転動させながら定量注出容器1を移動させることにより、注出流路47を通して注出される内容物を転動体50によってロールオン式に被塗布面に塗布することができる。また、隙間Gから被塗布面上に注出された内容物を転動体50によって引き延ばすことにより、被塗布面の広い範囲に内容物を塗布することができる。このように、本発明の定量注出容器1では、内容物をロールオン式に被塗布面に塗布しつつ隙間Gを通して注出された内容物を転動体50によって引き延ばして被塗布面の広い範囲に容易且つ均等に内容物を塗布することができる。
【0042】
また、本実施の形態では、転動体50を球状に形成するようにしたので、転動体50を前後左右に自在に転動させることができる。これにより、被塗布面の所望の箇所にロールオン式に内容物を塗布する作業や隙間Gを通して注出された内容物を引き延ばす作業をさらに容易に行うことができる。
【0043】
なお、転動体50は、球状に限らず、例えば円柱状(ローラー状)に構成することもできる。この場合、転動体50はその円柱状の軸心を回転軸として転動可能(回転)に構成される。このような構成により、転動体50の被塗布面との接触面積を大きくして、被塗布面のより広い範囲に対して内容物を容易に塗布することができる。
【0044】
オーバーキャップ60は、例えば樹脂材料により有頂筒状に形成されている。オーバーキャップ60の周壁内周面には雌ねじ61が設けられ、この雌ねじ61が口部12の外周面に設けられた雄ねじ12bにねじ結合することにより、オーバーキャップ60は口部12に着脱自在に装着されて注出キャップ20を覆っている。なお、オーバーキャップ60には、胴部11の側面に沿った形状の張出し部62が一体に設けられている。
【0045】
オーバーキャップ60の頂壁の内面には係合部63が一体に設けられている。係合部63は筒状に形成され、オーバーキャップ60の頂壁の内面から突出している。また、係合部63の先端側の内周面には環状の係止凹溝63aが設けられ、この係止凹溝63aに対応して栓体本体部41の先端外周には被係止凸部48が一体に形成されている。
【0046】
オーバーキャップ60が口部12に装着されると、被係止凸部48が係止凹溝63aに着脱自在にアンダーカット係合し、注出位置にある可動栓体40がオーバーキャップ60に着脱自在に保持される。このとき、係合部63の先端部分が栓体本体部41の先端部分と注出筒部23との間に挟み込まれることにより、隙間Gが係合部63により閉塞され、定量注出容器1が転倒等しても当該隙間Gからオーバーキャップ60の内部へ内容物が漏れ出すことが防止される。
【0047】
この状態からオーバーキャップ60が口部12から取り外されると、可動栓体40は係合部63に保持されてオーバーキャップ60とともに上方に引き上げられ、注出位置から計量位置に向けて移動する。このような構成により、オーバーキャップ60を口部12から取り外すだけの簡単な操作で、可動栓体40を注出位置から計量位置に容易に移動させることができる。
【0048】
次に、
図2に基づき、このような構成の定量注出容器1から一定量の内容物を小分けに注出して被塗布面Sに塗布する手順について説明する。
【0049】
定量注出容器1を使用する際には、まず、容器本体10の口部12からオーバーキャップ60を取り外す。オーバーキャップ60を口部12から取り外すと、可動栓体40はオーバーキャップ60によって上方に引き上げられて、
図2(a)に示すように、段部41aが注出筒部23の下端部に当接する計量位置とされる。可動栓体40が計量位置となると、第1シール44がシール筒部32aから離れて流出孔33が開放されて容器本体10の収容部13が計量室Rに連通されるとともに第2シール45によって注出筒部23の隙間Gが閉塞される。
【0050】
次に、
図2(b)に示すように、定量注出容器1を胴部11に対して口部12が下方側となる倒立姿勢とする。これにより、容器本体10の収容部13に収容されている内容物が流出孔33を通して計量室Rに充填される。このとき、注出流路47の開口端には転動体50が配置されているので、当該開口端から内容物が容易に流出することはない。なお、計量室Rに内容物が満量まで充填されたことを容易に確認できるようにするために、注出キャップ20を透明な材質で形成することもできる。
【0051】
計量室Rが満量に満たされるまで当該計量室Rに内容物が充填されると、次に、定量注出容器1を倒立姿勢としたまま可動栓体40の先端ないし転動体50を被塗布面Sに押し付け、その押付け力により、
図2(c)に示すように、可動栓体40を計量位置から注出位置にまで移動させる。可動栓体40が注出位置となると、流出孔33が閉塞されるとともに可動栓体40の外周面と注出筒部23の内周面との間に隙間Gが生じ、計量室Rによって一定量に計量された内容物が計量室Rから隙間Gを通って被塗布面Sに注出される。また、転動体50を被塗布面Sに当接させたまま被塗布面Sに沿って転動体50を転動させながら定量注出容器1を移動させることにより、注出流路47を通して供給される内容物を転動体50によってロールオン式に被塗布面Sに塗布しつつ隙間Gを通して注出された内容物を転動体50によって引き延ばすことができる。これにより、被塗布面Sの広い範囲に容易且つ均等に内容物を塗布することができる。
【0052】
内容物の塗布の終了後は、定量注出容器1を正立姿勢に戻し、オーバーキャップ60を口部12に装着することにより、係合部63の係止凹溝63aを可動栓体40の係止凸部48に係合させつつ注出筒部23の開口を係合部63によって閉塞することができる。
【0053】
図3は
図1に示す定量注出容器1の変形例を示す断面図である。なお、
図3においては前述した部材に対応する部材には同一の符号を付してある。
【0054】
図1に示す場合では、可動栓体40は、ガイド部43を栓体本体部41と一体に形成した構成となっているが、
図3に示すように、栓体本体部41とは別体に形成したガイド部43を栓体本体部41に嵌合固定した構成とすることもできる。この場合、ガイド部43に嵌合部43aと底壁部43bとを一体に設け、嵌合部43aをスカート部42の内側に嵌合させるとともに底壁部43bを栓体本体部41の内側に嵌合させる構成とすることができる。また、ガイド部43を栓体本体部41と一体に設け、注出流路47の下端をガイド部43とは別体に形成された底壁部43bによって閉塞する構成とすることもできる。
【0055】
このような構成により、可動栓体40を射出成形された樹脂製とする場合に、スカート部42に設けられる第1シール44を成形後に変形を生じさせることなく高い寸法精度で形成することができる。したがって、第1シール44によって流出孔33を精度よく開閉することができるようにして、この定量注出容器1の作動信頼性を高めることができる。
【0056】
図4は本発明の他の実施の形態である定量注出容器100の要部を拡大して示す断面図である。また、
図5(a)は
図4に示す定量注出容器のオーバーキャップを取り外した状態を示す断面図であり、
図5(b)は
図5(a)に示す定量注出容器を倒立姿勢として計量室に内容物を充填させた状態を示す断面図であり、
図5(c)は
図5(b)に示す定量注出容器の可動栓体の先端を被塗布面に押し付けて内容物を注出させている状態を示す断面図である。なお、
図4、
図5においては前述した部材に対応する部材には同一の符号を付してある。
【0057】
図1に示す定量注出容器1では、転動体50を環状凹部46によって常に可動栓体40の先端からその一部が突出する状態に保持するようにしている。これに対して、
図4に示す定量注出容器100では、注出流路47の開口端に環状シール部49に連ねて設けられる環状凹部46を注出流路47の軸方向に沿った縦長の形状に形成することにより、転動体50を、可動栓体40の先端からその一部が突出するとともに環状シール部49に当接して注出流路47の開口を閉塞する閉塞位置(
図5(b)に示す位置)と環状シール部49から離れて注出流路47の開口を開放する開放位置(
図4に示す位置)との間で注出流路47に沿って所定のストロークで移動できる構成としている。図示する場合では、環状凹部46は、転動体50を該環状凹部46ないし注出流路47の内部にその全体を収容可能な長さに形成されている。このような構成により、転動体50を被塗布面Sに押し付け、環状凹部46内で上下に移動させることにより注出流路47が開閉されるようにして、さらに小分けに内容物を注出させることができる。
【0058】
次に、このような構成の定量注出容器100から一定量の内容物を小分けに注出して頭皮等の被塗布面に塗布する手順について説明する。
【0059】
図1に示す定量注出容器1の場合と同様に、
図4に示す定量注出容器100を使用する際には、まず、容器本体10の口部12からオーバーキャップ60を取り外す。オーバーキャップ60を口部12から取り外すと、可動栓体40はオーバーキャップ60によって上方に引き上げられて、
図5(a)に示すように、計量位置とされる。可動栓体40が計量位置となると、第1シール44がシール筒部32aから離れて流出孔33が開放されて容器本体10の収容部13が計量室Rに連通されるとともに第2シール45によって注出筒部23の隙間Gが閉塞される。
【0060】
次に、
図5(b)に示すように、定量注出容器100を胴部11に対して口部12が下方側となる倒立姿勢とする。これにより、容器本体10の収容部13に収容されている内容物が流出孔33を通して計量室Rに充填される。このとき、転動体50が自重によって環状シール部49に全周に亘って当接するので、注出流路47の開口は転動体50によって閉塞され、当該開口から内容物が流出することはない。
【0061】
計量室Rが満量に満たされるまで当該計量室Rに内容物が充填されると、次に、定量注出容器100を倒立姿勢としたまま可動栓体40の先端ないし転動体50を被塗布面Sに押し付け、その押付け力により、
図5(c)に示すように、可動栓体40を計量位置から注出位置にまで移動させる。可動栓体40が注出位置となると、流出孔33が閉塞されるとともに可動栓体40の外周面と注出筒部23の内周面との間に隙間Gが生じ、計量室Rによって一定量に計量された内容物が計量室Rから隙間Gを通って被塗布面Sに注出される。また、転動体50は被塗布面Sに押し付けられることにより閉塞位置から開放位置に移動するので、転動体50が環状シール部49から離れて注出流路47の開口が開放され、計量室Rによって一定量に計量された内容物が注出流路47からも外部に注出される。したがって、可動栓体40の先端ないし転動体50を被塗布面Sに対して繰り返し押し付けることにより、計量室Rによって一定量に計量された内容物をさらに小分けして被塗布面に注出することができる。被塗布面に向けて注出された内容物は、可動栓体40の先端ないし転動体50を被塗布面Sに押し付けたまま定量注出容器1を被塗布面Sに沿って移動させることにより転動体50によって被塗布面Sの広い範囲に引き延ばすことができる。
【0062】
内容物の塗布の終了後は、定量注出容器100を正立姿勢に戻し、オーバーキャップ60を口部12に装着することにより、係合部63の係止凹溝63aを可動栓体40の係止凸部48に係合させつつ注出筒部23の開口を係合部63によって閉塞することができる。
【0063】
図6は
図4に示す定量注出容器100の変形例を示す断面図である。なお、
図6においては前述した部材に対応する部材には同一の符号を付してある。
【0064】
図4に示す場合では、可動栓体40の先端外周に係止凸部48を一体に設け、オーバーキャップ60に設けた係合部63をこの係止凸部48に係合させるようにしている。つまり、オーバーキャップ60の係合部63を可動栓体40の外周面側に嵌合させるようにしている。これに対して、
図6に示す変形例の定量注出容器100では、オーバーキャップ60に設けた係合部63を可動栓体40の内周面側に嵌合させるようにしている。
【0065】
より具体的には、係合部63を注出流路47に挿入可能な外径の円筒状に形成し、その外周面に係止凹溝63aを設けている。一方、係止凸部48は、可動栓体40の先端内周面つまり注出流路47の先端内周面に径方向内側に向けて突出して設けられる環状シール部49によって構成するようにしている。つまり、注出流路47の内周面に設けられる環状シール部49を係止凸部48としても機能させるようにしている。
【0066】
このような構成によっても、オーバーキャップ60を口部12から取り外すことにより可動栓体40を自動的に注出位置から計量位置に移動させることができる。また、注出流路47の内周面に設けられる環状シール部49を、環状シール部49としての機能に加えて係止凸部48としても用いるようにしたので、可動栓体40の構成を簡素化することができる。
【0067】
なお、オーバーキャップ60が口部12に装着されたときに係合部63を注出流路47内に挿入させるために、環状凹部46は
図4に示す場合よりもさらに縦長に形成され、転動体50は係合部63に当接しない位置にまで移動できるようになっている。なお、オーバーキャップ60が口部12に装着されたときに係合部63が転動体50に押し付けられる構成として、注出流路47の密閉性を高めるようにすることもできる。
【0068】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0069】
例えば、前記実施の形態では、定量注出容器1、100を、液状の薬剤を内容物として収容し、当該内容物を使用者の皮膚等の被塗布面に一定量ずつ小分けに注出させる用途に用いられるものとして例示したが、具体的には、医薬品、医薬部外品、化粧液、洗剤などの他の内容物を収容する用途に用いることもできる。
【0070】
また、前記実施の形態では、計量室Rで計量した内容物を、隙間Gと注出流路47の両方から外部に注出する構成としているが、これに限らず、隙間Gと注出流路47の何れか一方のみから内容物を注出させる構成とすることもできる。この場合、例えば、隙間Gを設けず、内容物を注出流路47のみから注出させる構成とした場合には、定量注出容器1、100はロールオン式の塗布容器として構成されることになる。また、例えば、導入流路部47bを設けず、内容物を隙間Gのみから注出させる構成とした場合には、第2シール45に替えて、段部41aを注出筒部23の下端に当接させて注出筒部23を閉塞する構成とすることができる。
【0071】
さらに、可動栓体40は、オーバーキャップ60の係合部63に係合してオーバーキャップ60の取り外しにより注出位置から計量位置に移動される構成とされているが、これに限らず、オーバーキャップ60を取り外した後、手動で注出位置から計量位置に切り替えられる構成とすることもできる。
【0072】
さらに、
図1、
図3および
図4に示す実施形態においては、オーバーキャップ60が口部12に装着されたときに、係合部63とは別に設けられた押付け部が転動体50に押し付けられる構成として、注出流路47の密閉性を高めるようにすることもできる。
【0073】
さらに、前記実施の形態では、転動体50を可動栓体40の先端に転動自在に装着するようにしているが、これに限らず、転動体50を転動しないように可動栓体40の先端に装着した構成とすることもできる。