特許第6588366号(P6588366)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588366
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】カバーの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/12 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   B60J7/12 M
   B60J7/12 G
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-55669(P2016-55669)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-170924(P2017-170924A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108889
【氏名又は名称】ベバスト ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤畑 耕司
(72)【発明者】
【氏名】溝口 孟
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−320334(JP,A)
【文献】 特開2007−261412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンカーの車室の上側を開閉するルーフパネルに回動可能に連結されたリンクに当該リンクを覆うようにカバーを取り付けたカバーの取付構造であって、
上記ルーフパネルには、取付孔が貫通形成され、
上記リンクの端部には、挿通孔が貫通形成され、
上記カバーの端部には、貫通孔が貫通形成され、
上記ルーフパネルには、上記リンクが段付きリベットを用いて回動可能に連結され、上記段付きリベットには、上記カバーが段付きネジを用いて回動可能に連結され、
上記段付きリベットの胴部は、大径部と、該大径部の反頭部側に該大径部よりも小径に形成された小径部と、該小径部の先端部に張出形成された張出部とを有し、当該段付きリベットの頭部の反胴部側の面には、締結孔が形成され、
上記段付きネジの胴部は、基端部と、該基端部の反頭部側に該基端部よりも小径に形成されたネジ部とを有し、
上記段付きリベットの張出部は、上記大径部とで上記ルーフパネルの取付孔周縁部を狭持した状態で上記ルーフパネルに接合されているとともに、上記大径部は、上記リンクの挿通孔に挿通されて当該リンクを回動可能に軸支し、
上記段付きネジのネジ部は、上記段付きリベットの締結孔に締め付けられている一方、上記基端部は、上記カバーの貫通孔に挿通されて当該カバーを回動可能に軸支していることを特徴とするカバーの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンカーの車室の上側を開閉するルーフパネルに回動可能に連結されたリンクに当該リンクを覆うようにカバーを取り付けたカバーの取付構造として有用である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、オープンカーの車室の上側を開閉するルーフパネルに回動可能に連結されたリンクに当該リンクを覆うようにカバーを取り付けることで、美観を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−261412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような取付構造において、リンクのルーフパネルとの連結箇所から離れた箇所に、締結や爪嵌合等によるカバーのリンクへの取付箇所を設けることが考えられる。しかし、ルーフパネルを開閉させる過程でリンクが他の部材に接近する場合等、締結具や爪の配設スペースを確保できず、カバーをリンクに安定して取り付けることが困難となる場合がある。
【0005】
また、締結具や爪が車室側に露出して目立ち、カバー周りの見栄えの悪化を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カバーをリンクに安定して取り付けやすくするともに、カバー周りの見栄えを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、オープンカーの車室の上側を開閉するルーフパネルに回動可能に連結されたリンクに当該リンクを覆うようにカバーを取り付けたカバーの取付構造であって、上記ルーフパネルには、取付孔が貫通形成され、上記リンクの端部には、挿通孔が貫通形成され、上記カバーの端部には、貫通孔が貫通形成され、上記ルーフパネルには、上記リンクが段付きリベットを用いて回動可能に連結され、上記段付きリベットには、上記カバーが段付きネジを用いて回動可能に連結され、上記段付きリベットの胴部は、大径部と、該大径部の反頭部側に該大径部よりも小径に形成された小径部と、該小径部の先端部に張出形成された張出部とを有し、当該段付きリベットの頭部の反胴部側の面には、締結孔が形成され、上記段付きネジの胴部は、基端部と、該基端部の反頭部側に該基端部よりも小径に形成されたネジ部とを有し、上記段付きリベットの張出部は、上記大径部とで上記ルーフパネルの取付孔周縁部を狭持した状態で上記ルーフパネルに接合されているとともに、上記大径部は、上記リンクの挿通孔に挿通されて当該リンクを回動可能に軸支し、上記段付きネジのネジ部は、上記段付きリベットの締結孔に締め付けられている一方、上記基端部は、上記カバーの貫通孔に挿通されて当該カバーを回動可能に軸支していることを特徴とする。
【0008】
上記構成の場合、リンクのルーフパネルとの連結箇所でカバーがリンクに連結されるので、リンクのルーフパネルとの連結箇所から離れた箇所だけにカバーのリンクへの取付箇所を設ける場合に比べ、カバーをリンクに安定して取り付けやすい。
【0009】
また、リンクのルーフパネルとの連結箇所以外に設けるカバーのリンクへの取付箇所を減らし、車室側に露出する締結具の個数を削減できるので、カバー周りの見栄えを改善できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カバーをリンクに安定して取り付けやすくなるとともに、カバー周りの見栄えを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係るカバーの取付構造が適用された車両の全体構成を示す概略の側面図であり、車室の閉鎖状態を示す。
図2図2は、本実施形態に係るカバーの取付構造が適用された車両の全体構成を示す概略の側面図であり、リトラクタブルルーフが使用位置と格納位置の間に位置し、デッキカバーが退避位置である状態を示す。
図3図3は、本実施形態に係るカバーの取付構造が適用された車両の全体構成を示す概略の側面図であり、車室の開放状態を示す。
図4図4は、ルーフ部材の右側後端部周りの斜視図である。
図5図5は、カバーを取り外した状態における図4相当図である。
図6図6は、図4のVI−VI線における断面図である。
図7図7は、カバーを表側から見た斜視図である。
図8図8は、カバーを裏側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
図1図3に示す本実施形態に係る車両1はオープンカーであり、当該車両1には開閉装置10が搭載される。開閉装置10は、車室2の上側がルーフ部材12で覆われる閉状態と、車室2の上側が開放される開状態とを切り換えるように構成される。開閉装置10は、リトラクタブルルーフ11、デッキカバー18、及びロック機構20を有している。まず、これらの構成について、原則として車室2が閉鎖された状態(図1の状態)を基準に説明する。
【0014】
〈リトラクタブルルーフ〉
リトラクタブルルーフ11は、ルーフ部材12と、該ルーフ部材12の後側に位置するバックウインドウ15とを有する。ルーフ部材12は、車両1のフロントヘッダ3の上縁部からデッキカバー18の上縁部に亘って前後に延びている。ルーフ部材12は、フロントルーフパネル13と、該フロントルーフパネル13の後方に配置されるミドルルーフパネル14とを有する。バックウインドウ15は、透明性の部材で構成され、車両1の後方に形成される格納室4の上側に配置される。
【0015】
リトラクタブルルーフ11は、ルーフ駆動機構(図示省略)によって駆動される。具体的には、ルーフ駆動機構は、第1駆動モータと、該第1駆動モータとリトラクタブルルーフ11を連結する第1リンク機構とを有する。第1リンク機構は、第1駆動モータの回転動力をフロントルーフパネル13、ミドルルーフパネル14、及びバックウインドウ15に伝達させる。これにより、リトラクタブルルーフ11は、使用位置(図1に示す位置)と、格納位置(図3に示す位置)とに変位可能に構成される。使用位置のリトラクタブルルーフ11は、格納室4の外部に位置し、車室2を覆う状態となる。格納位置のリトラクタブルルーフ11は、車室2を開放し、格納室4に格納される状態となる。
【0016】
上記フロントルーフパネル13は、図4及び図5に示すように、その主体をなすパネル本体部21と、該パネル本体部21の後端部における車幅方向両端部に締結された連結ブラケット23とを備えている。連結ブラケット23は、その板面をパネル本体部21に対向させた状態でパネル本体部21に裏側から締結された締結板部23aと、該締結板部23aの車幅方向外側端縁から反パネル本体部21側に突設され、板面を車幅方向に向けた連結板部23bとを備えている。上記連結板部23bの前端部には、前側取付孔(図6参照)23cが貫通形成されている一方、後端部には、車幅方向外側に開放する有底の後側取付孔(図示せず)が形成されている。
【0017】
〈デッキカバー〉
図1に示すように、デッキカバー18は、ルーフ部材12の後方で且つ格納室4の上方に配置される。つまり、デッキカバー18は、車室2の後側を覆うとともに、格納室4の上端開口を閉鎖する。デッキカバー18には、バックウインドウ15が嵌合する窓枠(図示省略)が形成される。
【0018】
デッキカバー18は、デッキ駆動機構(図示省略)によって駆動される。具体的には、デッキ駆動機構は、第2駆動モータと、該第2駆動モータとデッキカバー18とを連結する第2リンク機構とを有する。第2リンク機構は、第2駆動モータの回転動力をデッキカバー18に伝達させる。これにより、デッキカバー18は、定位置(図1図3に示す位置)と、退避位置(例えば図2に示す位置)とに変位可能に構成される。
【0019】
定位置のデッキカバー18は、格納室4の上端開口を覆うとともに、その内部の窓枠にバックウインドウ15が嵌合可能な状態となる。退避位置のデッキカバー18は、定位置よりも後方斜め上方に位置し、格納室4の上端開口を開放する状態となる。このように、デッキカバー18が退避位置になることで、使用位置と格納位置との間でのリトラクタブルルーフ11の移動が許容される。
【0020】
〈ロック機構〉
ロック機構20は、フロントルーフパネル13の下面(車室内方側の面)の前端部に取り付けられる。ロック機構20は、車両1の本体(フロントヘッダ3)に固定されたストライカ(図示省略)に係合可能なフック部材(図示省略)を有している。リトラクタブルルーフ11が使用位置であるときに、フック部材がストライカに係合することで、ルーフ部材12がフロントヘッダ3にロックされる。ロック機構20は、ハーネス24を介して車両1の本体の後部に搭載されたロック駆動装置に連結されている。
【0021】
−ルーフ部材の後端部周りの詳細な構成−
上記連結ブラケット23の前端部には、図6にも示すように、上記第1リンク機構を構成する長尺板状の金属製の第1リンク25が、段付きリベット27、及びメタルブッシュ29を用いて車幅方向内側からその板面を車幅方向に向けて回動可能に連結されている。上記第1リンク25の連結ブラケット23側の端部には、挿通孔25aが貫通形成されている。また、第1リンク25の長手方向中途部には、カバー取付孔25bが形成されている。また、第1リンク25の幅方向一端縁の長手方向中途部には、取付片部25cが車幅方向内側に向けて略直角に突設され、該取付片部25cは、ミドルルーフパネル14の車幅方向端部に締結されている。したがって、第1リンク25は、ルーフ部材12に裏側から沿うように配設されている。
【0022】
上記段付きリベット27は、頭部27a及び胴部27bを備え、上記胴部27bは、大径部27cと、該大径部27cの反頭部27a側に該大径部27cよりも小径に形成された小径部27dと、該小径部27dの先端部に張出形成された張出部27eとを有している。上記頭部27aの反胴部27b側の面には、締結孔27fが上記大径部27cの軸方向中途部まで連続するように形成されている。
【0023】
上記メタルブッシュ29は、円筒状の筒部29aと、該筒部29aの両端部から張り出す1対の円形板状の環状部29bとを備えている。
【0024】
上記段付きリベット27の張出部27eは、大径部27cとで上記連結ブラケット23の前側取付孔23c周縁部を狭持した状態で上記連結ブラケット23の車幅方向外側の面に接合(かしめ固定)されて、段付きリベット27の小径部27dは、連結ブラケット23の前側取付孔23cを挿通している。
【0025】
また、段付きリベット27の大径部27cは第1リンク25の挿通孔25aに挿通されて、第1リンク25を回動可能に軸支している。第1リンク25の挿通孔25aの周縁部は、段付きリベット27の頭部27aと連結ブラケット23の前側取付孔23c周縁部とで挟まれている。また、第1リンク25には、上記メタルブッシュ29がその筒部29aを挿通孔25aに挿通させるとともにその両環状部29bで挿通孔25aの周縁部を厚さ方向両側から狭持した状態でかしめ固定されて段付きリベット27と第1リンク25との間に介在している。
【0026】
上記段付きリベット27には、樹脂製のカバー31が、上記第1リンク25の反挿通孔25a側端部を除く部分を車幅方向内側及び反ルーフ部材12側(車室2側)から覆うように第1段付きネジ33を用いて回動可能に連結されている。上記カバー31は、図7及び図8にも示すように、板面を略車幅方向に向けた長尺板状の主面部31aを備えている。該主面部31aにおける連結ブラケット23側の端部には、円形の第1貫通孔31bが貫通形成され、主面部31aの第1貫通孔31b側端縁は、該第1貫通孔31bの縁に沿うようにU字状に湾曲している。また、第1貫通孔31bの周縁部には、車幅方向外側に膨出する第1膨出面部31cが形成されている。さらに、主面部31aの第1貫通孔31bと、主面部31aの長手方向略中央部との間には、車幅方向内側に膨出する膨出部31dが形成され、該膨出部31dの第1貫通孔31b側の側面には、ハーネス挿通孔31eが貫通形成されている。上記ハーネス挿通孔31eには、上記ハーネス24が挿通し、上記膨出部31dと第1リンク25との間には、ハーネス24の一部が収容されている。また、主面部31aの長手方向中央部より第1貫通孔31b側におけるルーフ部材12側端縁の近傍には、爪部31fが車幅方向外側に向けて突設され、上記第1リンク25のルーフ部材12側縁部に係止されている。また、主面部31aの長手方向中央部より反第1貫通孔31b側には、主面部31aの長手方向に長い長孔状の第2貫通孔31gが貫通形成され、当該第2貫通孔31gにネジ35を挿通することで、カバー31が第1リンク25に締結されている。当該第2貫通孔31gの周縁部にも、車幅方向外側に膨出する第2膨出面部31hが形成されている。また、主面部31aの長手方向両端縁全幅、反ルーフ部材12側の端縁全長、及びルーフ部材12側の端縁の第1貫通孔31b側端部には、連続する周壁部31iが車幅方向外側に向けて突設され、上記第1リンク25の端面を覆っている。
【0027】
上記第1段付きネジ33は、頭部33a及び胴部33bを備え、上記胴部33bは、基端部33cと、該基端部33cの反頭部33a側に該基端部33cよりも小径に形成されたネジ部33dとを有している。
【0028】
そして、上記第1段付きネジ33のネジ部33dは、上記段付きリベット27の締結孔27fに車幅方向内側から挿入されて締め付けられている一方、基端部33cは、上記カバー31の第1貫通孔31bに挿通されてカバー31を回動可能に軸支している。
【0029】
また、上記連結ブラケット23の後端部には、該第1リンク機構を構成する金属製の第2リンク37が車幅方向外側から回動可能に連結されている。該第2リンク37の連結ブラケット23側の端部には、第2挿通孔(図示せず)が形成されている。当該第2挿通孔及び上記連結ブラケット23の後側取付孔には、第2段付きネジ(図示せず)が車幅方向外側から挿通されて連結ブラケット23の後側取付孔に締め付けられているとともに、第2リンク37を回動可能に軸支している。
【0030】
−第1リンク及びカバーの連結ブラケットへの取付方法−
上記連結ブラケット23に第1リンク25及びカバー31を取り付けるには、まず、連結ブラケット23、第1リンク25及びカバー31に加え、段付きリベット27、メタルブッシュ29、第1段付きネジ33、及びネジ35を準備する。このとき、段付きリベット27には、張出部27eが形成されておらず、張出部27e相当箇所が小径部27dと連続する円筒状に形成されている。また、メタルブッシュ29の一方の環状部29bが形成されておらず、当該一方の環状部29b相当箇所が筒部29aと連続する円筒状に形成されている。
【0031】
そして、メタルブッシュ29の筒部29aを上記一方の環状部29b相当箇所側から第1リンク25の挿通孔25aに挿入し、当該一方の環状部29b相当箇所を外側に張り出すように塑性変形させて第1リンク25の挿通孔25a周縁部に接合する。次いで、メタルブッシュ29の筒部29a(第1リンク25の挿通孔25a)が連結ブラケット23の前側取付孔23cに対応するように第1リンク25を連結ブラケット23の連結板部23bに重ね、メタルブッシュ29の筒部29a及び連結ブラケット23の前側取付孔23cに段付きリベット27の胴部27bを第1リンク25側から挿通させる。そして、段付きリベット27の胴部27bの先端部、すなわち上記張出部27e相当箇所を外側に張り出すように塑性変形させて上記連結ブラケット23の前側取付孔23c周縁部に接合する。
【0032】
その後、上記カバー31の第1貫通孔31bが上記段付きリベット27の締結孔27fに対応するように上記カバー31の第1膨出面部31cを上記段付きリベット27の頭部27aに当接させる。また、これと同時に、カバー31の第2貫通孔31gを第1リンク25のカバー取付孔25bが対応するようにカバー31の第2膨出面部31hを上記第1リンク25に当接させるとともに、カバー31の爪部31fを第1リンク25の縁部に係止させる。そして、上記第1貫通孔31b及び締結孔27fに上記第1段付きネジ33の胴部33bをカバー31側から挿入してネジ部33dを締結孔27fに締め付ける。また、上記第2貫通孔31g及びカバー取付孔25bにも、ネジ35を挿通することで、カバー31を第1リンク25に締結する。これにより、カバー31が、第1段付きネジ33の基端部33cに回動可能に軸支された状態で、第1リンク25に取り付けられる。
【0033】
−開閉装置の動作−
開閉装置10の開動作及び閉動作について、図1図3を参照しながら説明する。「開動作」は、使用位置のリトラクタブルルーフ11が格納位置に至るまでの動作をいう。「閉動作」は、格納位置のリトラクタブルルーフ11が使用位置に至るまでの動作をいう。
【0034】
開動作では、ロック機構20のフロントヘッダ3に対するロックが解除される。また、定位置のデッキカバー18が退避位置に向かって移動する。次いで、使用位置のリトラクタブルルーフ11が、格納位置に向かって移動する。
【0035】
具体的には、フロントルーフパネル13、ミドルルーフパネル14、及びバックウインドウ15は、複数のリンク部材(図示省略)を介して各々が独立して回動するとともに、全体として格納室4に近づくように移動する(例えば図2を参照)。この過程で、第1リンク25と、第2リンク37とがすれ違う。そして、フロントルーフパネル13、ミドルルーフパネル14、及びバックウインドウ15が全体として折り畳まれた状態で格納室4へ格納されると、退避位置のデッキカバー18が定位置へ戻る(図3を参照)。これにより、車室2が開状態となる。
【0036】
開状態の車室2を閉鎖する動作では、まず、定位置のデッキカバー18が退避位置に向かって移動する。次いで、格納位置のリトラクタブルルーフ11が、使用位置に向かって移動する。
【0037】
具体的には、フロントルーフパネル13、ミドルルーフパネル14、及びバックウインドウ15は、複数のリンク部材を介して各々が独立して回動するとともに、全体として車室2に近づくように移動する(例えば図2を参照)。この過程でも、第1リンク25と、第2リンク37とがすれ違う。その後、リトラクタブルルーフ11が使用位置に至るとともに、退避位置のデッキカバー18が定位置へ戻る(図1を参照)。これにより、車室2が閉状態となる。その後、ロック機構20がフロントヘッダ3にロックされる。
【0038】
したがって、本実施形態によれば、第1リンク25の連結ブラケット23(フロントルーフパネル13)との連結箇所でカバー31が第1リンク25に連結されるので、第1リンク25の連結ブラケット23との連結箇所から離れた箇所だけにカバー31の第1リンク25への取付箇所を設ける場合に比べ、カバー31を第1リンク25に安定して取り付けやすい。
【0039】
また、第1リンク25の連結ブラケット23との連結箇所以外に設けるカバー31の第1リンク25への取付箇所を減らし、車室側に露出するネジ35の個数を削減できるので、カバー31周りの見栄えを改善できる。
【0040】
また、第1リンク25が樹脂製のカバー31で覆われ、乗員の頭部が金属製の第1リンク25に衝突しにくくなっているので、乗員の安全性がより確実に確保される。
【0041】
また、カバー31が、ハーネス24の一部を覆って車室側に露出させないので、ハーネス24配設箇所の見栄えを向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、オープンカーの車室の上側を開閉するルーフパネルに回動可能に連結されたリンクに当該リンクを覆うようにカバーを取り付けたカバーの取付構造として有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 車両(オープンカー)
13 フロントルーフパネル
23c 前側取付孔
25 第1リンク
25a 挿通孔
27 段付きリベット
27a 頭部
27b 胴部
27c 大径部
27d 小径部
27e 張出部
27f 締結孔
31 カバー
31b 第1貫通孔
33 第1段付きネジ
33a 頭部
33b 胴部
33c 基端部
33d ネジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8