(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における電子制御装置につき、詳細に説明する。
【0021】
<電子制御装置の構成>
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態における電子制御装置の構成につき、詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態における電子制御装置の構成を示すブロック図であり、外部電源2、イグニッションスイッチ3、センサ4及びエンジン5も示す。
【0023】
本実施形態における電子制御装置1は、図示しない鞍乗型車両に搭載される。電子制御装置1は、イグニッションスイッチ3のオンと同時に外部電源2から電源電圧の供給を受けてオンされることにより鞍乗型車両のエンジン5を制御し、イグニッションスイッチ3のオフと同時に外部電源2から電源電圧の供給が停止されてオフされることにより、鞍乗型車両のエンジン5の制御を停止する。
【0024】
外部電源2は、イグニッションスイッチ3を介して電子制御装置1に電源電圧を供給する。外部電源2は、典型的には鞍乗型車両に搭載されているバッテリである。
【0025】
センサ4は、電子制御装置1でエンジン5を制御するためにエンジン5の状態を検出するセンサ、又は鞍乗型車両の状態を検出するセンサであり、エンジン5の状態又は鞍乗型車両の状態に応じた信号を電子制御装置1に出力する。
【0026】
エンジン5は、図示しない鞍乗型車両に搭載され、電子制御装置1の制御により鞍乗型車両を走行させる内燃機関である。
【0027】
電子制御装置1は、CPU10及びEPROM20を備えている。より詳細には、CPU10は、機能ブロックとして、エンジン状態判定部11と、異常判定カウンタ12と、正常判定カウンタ13と、制御部14と、を備えている。エンジン状態判定部11と、異常判定カウンタ12と、正常判定カウンタ13と、制御部14と、は、CPU10が、イグニッションスイッチ3がオンされて外部電源2からの電源電圧の供給を受けた際に、図示を省略するメモリから必要な制御プログラム及び制御データを読み出し、読み出した制御プログラムを実行することによって、実現される。
【0028】
エンジン状態判定部11は、センサ4から入力する信号に基づいてエンジン5の異常状態又は正常状態を検出して、その検出結果を示す電気信号を制御部14に出力する。
【0029】
異常判定カウンタ12は、エンジン状態判定部11によりエンジン5の異常状態を検出した際に、制御部14の制御によりカウント動作を開始する。
【0030】
正常判定カウンタ13は、エンジン状態判定部11によりエンジン5が異常状態から正常状態に復帰したことを検出した際に、制御部14の制御によりカウント動作を開始する。
【0031】
制御部14は、エンジン状態判定部11から入力する電気信号の示すエンジン5の異常状態又は正常状態の検出結果と、異常判定カウンタ12のカウント動作におけるカウント値、及び正常判定カウンタ13のカウント動作におけるカウント値に基づいて、異常履歴情報管理処理を実行する。
【0032】
具体的には、制御部14は、エンジン状態判定部11より所定周期で繰り返し電気信号が入力し、入力した電気信号の示す検出結果がエンジン5の異常状態であるのか正常状態であるのかを判定する。所定周期は、典型的には1ドライビングサイクルである。
【0033】
制御部14は、エンジン状態判定部11より入力した電気信号の示す検出結果がエンジン5の異常状態である場合に、異常判定カウンタ12にカウント動作を開始させる。制御部14は、異常判定カウンタ12にカウント動作を開始させた後において、エンジン状態判定部11より入力した電気信号の示す検出結果が連続してエンジン5の異常状態である場合に、検出結果が異常状態である毎に異常判定カウンタ12にカウントさせると共に異常判定カウンタ12におけるカウント値を異常判定カウント記録部21に順次更新記録する。なお、制御部14は、異常判定カウンタ12にカウント動作を開始させた後において、エンジン状態判定部11より入力した電気信号の示す検出結果がエンジン5の正常状態を示す場合には、異常判定カウンタ12におけるカウント動作を停止させる。
【0034】
制御部14は、異常判定カウント記録部21に記録するカウント値が所定値に達した場合にエンジン5の異常状態が確定したものと判定する。制御部14は、エンジン5の異常状態が確定したものと判定した後、異常履歴情報をEPROM20の異常履歴情報記録部23に記録する。また、制御部14は、エンジン5の異常状態が確定したものと判定した後、エンジン状態判定部11より入力した電気信号の示す検出結果がエンジン5の正常状態である場合に、正常判定カウンタ13にカウント動作を開始させる。
【0035】
制御部14は、正常判定カウンタ13にカウント動作を開始させた後において、エンジン状態判定部11より入力する電気信号の示す検出結果が連続してエンジン5の正常状態である場合に、検出結果が正常状態である毎に正常判定カウンタ13にカウントさせると共に正常判定カウンタ13におけるカウント値を正常判定カウント記録部22に順次更新記録する。なお、制御部14は、正常判定カウンタ13にカウント動作を開始させた後において、エンジン状態判定部11より入力した電気信号の示す検出結果がエンジン5の異常状態を示す場合には、正常判定カウンタ13におけるカウント動作を停止させる。
【0036】
制御部14は、正常判定カウンタ13でカウントするカウント値が所定値になった際に、異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報を消去する。
【0037】
制御部14は、イグニッションスイッチ3のオンと同時に電子制御装置1がオンとなったタイミングで、異常履歴情報記録部23における異常履歴情報の記録の有無と、正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値との関係が、関係記録部24に予め記憶している異常履歴情報の記録の有無とカウント値との正常な関係と一致するか否かを判定する。制御部14は、判定の結果、異常履歴情報記録部23における異常履歴情報の記録の有無と、正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値と、の関係が、関係記録部24に予め記憶している異常履歴情報の記録の有無とカウント値との正常な関係と不一致であると判定したときに、関係記録部24に予め記憶している異常履歴情報の記録の有無とカウント値との正常な関係に基づいて、正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値を正常値に書き換える処理、異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報の消去処理、又は異常履歴情報記録部23への異常履歴情報の記録処理を行って、異常履歴情報の記録の有無とカウント値とを正常な関係にする。
【0038】
EPROM20は、異常判定カウンタ12でカウントするカウント値の記録領域である異常判定カウント記録部21と、正常判定カウンタ13でカウントするカウント値の記録領域である正常判定カウント記録部22と、異常履歴情報の記録領域である異常履歴情報記録部23と、予め設定されている異常履歴情報の記録の有無とカウント値との関係の記録領域である関係記録部24と、を有している。
【0039】
このような構成を有する電子制御装置1は、イグニッションスイッチ3がオンのときに外部電源2からの電源電圧の供給を受けて異常履歴情報管理処理を実行する。以下、
図2から
図4を参照して、異常履歴情報管理処理の流れについて説明する。
【0040】
<異常履歴情報管理処理>
異常履歴情報管理処理は、正常判定カウント記録部22に対するカウント値の記録処理、異常履歴情報記録部23に対する異常履歴情報の記録処理及び異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報の消去処理の各々の処理タイミングに応じて、異なる処理となる。
【0041】
まず、正常判定カウンタ13におけるカウント開始時及びカウント満了時の両方において、異常履歴情報の記録処理又は消去処理よりもカウント値の記録処理を優先する場合の異常履歴情報管理処理について、
図2を参照して説明する。
【0042】
図2は、本発明の実施形態における正常判定カウンタのカウント開始時及びカウント満了時の両方において、異常履歴情報の記録処理又は消去処理よりもカウント値の記録処理を優先する場合の異常履歴情報管理処理の流れを説明する図であり、
図2(a)は、カウント値の記録処理、異常履歴情報の記録処理及び異常履歴情報の消去処理の各タイミングを示し、
図2(b)は、各タイミングでのカウント値と異常履歴情報の記録の有無との関係を示している。
【0043】
なお、
図2(a)の処理タイミングK2において、「カ」はカウント値の記録処理のタイミングを示しており、「履」は異常履歴情報の記録処理又は消去処理のタイミングを示している。また、
図2(a)の処理内容K1において、「カ」に対応する値は記録するカウント値を示しており、「履」に対応する値は「1」が異常履歴情報の記録処理を示し、「0」が異常履歴情報の消去処理を示している。
【0044】
正常判定カウンタ13がカウントを開始するまでは、正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値と異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報の記録の有無との関係は初期状態である。ここで、初期状態は、典型的にはカウント値「40」及び異常履歴情報の記録の有無「0」である。また、異常履歴情報の記録の有無「0」は異常履歴情報記録部23に異常履歴情報が記録されていないことを示し、異常履歴情報の記録の有無「1」は異常履歴情報記録部23に異常履歴情報が記録されていることを示す。
【0045】
なお、本実施の形態における異常履歴情報管理処理において、初期状態におけるカウント値を「40」とした場合を一例として説明するが、初期状態におけるカウント値はこれに限らず、適宜設定可能である。
【0046】
関係記録部24は、
図2(b)に示すカウント値と異常履歴情報の記録の有無との関係を
図2(b)に示す順序でテーブルに予め記憶している。このテーブルにおいて、時刻t=t1、時刻t=t3から時刻t=t5及び時刻t=t7におけるカウント値と異常履歴情報の記録の有無との関係が正常な関係として関係記録部24に予め記録されている。
【0047】
まず、制御部14は、エンジン状態判定部11でN回連続してエンジン5の異常状態を検出した際に、異常判定カウンタ12のカウント値が所定値となり、エンジン5の異常状態が確定したものと判定する。
【0048】
次に、制御部14は、エンジン状態判定部11がエンジン5の正常状態を検出して、エンジン5が異常状態から正常状態に復帰した際に、正常判定カウンタ13のカウント値を「40」から「0」に書き換えて正常判定カウンタ13におけるカウント動作を開始させると共に、正常判定カウンタ13のカウント値「0」を正常判定カウント記録部22に記録する。
【0049】
次に、制御部14は、エンジン5の異常状態を示す異常履歴情報を異常履歴情報記録部23に記録して異常履歴情報の記録の有無「1」となる。
【0050】
次に、正常判定カウンタ13は、エンジン状態判定部11によりエンジン5の正常状態が連続して検出される場合に、エンジン5の正常状態を検出する毎にカウントアップしていく。これにより、正常判定カウント記録部22は、記録するカウント値をカウントアップしていく。なお、この場合、異常履歴情報の記録の有無は、異常履歴情報が消去されないため「1」のままである。
【0051】
そして、制御部14は、正常判定カウンタ13のカウント値が「40」に到達した際に、正常判定カウント記録部22にカウント値「40」を記録させ、その後に異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報を消去して異常履歴情報の記録の有無「0」となる。これにより、正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値及び異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報の記録の有無は初期状態となる。
【0052】
ここで、時刻t=t1において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合に、正常判定カウント記録部22はカウント値「40」を記録していると共に、異常履歴情報記録部23は異常履歴情報の記録の有無「0」となる。この場合において、次にイグニッションスイッチ3がオンされた際に、制御部14は、関係記録部24に記憶されているテーブルを参照した結果、正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値及び異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報の記録の有無は初期状態であるため、カウント値「40」と異常履歴情報の記録の有無「0」とは、正常な関係と一致すると判定する。
【0053】
時刻t=t2において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合に、正常判定カウント記録部22はカウント値「0」を記録していると共に、異常履歴情報記録部23は異常履歴情報の記録の有無「0」となる。この場合において、次にイグニッションスイッチ3がオンされた際に、制御部14は、関係記録部24に記憶されているテーブルを参照した結果、カウント値「0」と異常履歴情報の記録の有無「0」との関係は、正常な関係と不一致であると判定する。従って、制御部14は、関係記録部24に記憶しているテーブルを参照して、次の時刻t=t3におけるカウント値「0」と異常履歴情報の記録の有無「1」との正常な関係になるように、異常履歴情報を記録する。これにより、異常履歴情報の記録の有無とカウント値との関係が正常であるか否かの判定結果に応じて適切な処理を行うことができる。
【0054】
時刻t=t3において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合に、正常判定カウント記録部22はカウント値「0」を記録していると共に、異常履歴情報記録部23は異常履歴情報の記録の有無「1」となる。この場合において、次にイグニッションスイッチ3がオンされた際に、制御部14は、関係記録部24に記憶されているテーブルを参照した結果、カウント値「0」と異常履歴情報の記録の有無「1」とは、正常な関係と一致すると判定する。
【0055】
時刻t=t4において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合に、正常判定カウント記録部22はカウント値「38」を記録していると共に、異常履歴情報記録部23は異常履歴情報の記録の有無「1」となる。この場合において、次にイグニッションスイッチ3がオンされた際に、制御部14は、関係記録部24に記憶されているテーブルを参照した結果、カウント値「38」と異常履歴情報の記録の有無「1」とは、正常な関係と一致すると判定する。
【0056】
時刻t=t5において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合に、正常判定カウント記録部22はカウント値「39」を記録していると共に、異常履歴情報記録部23は異常履歴情報の記録の有無「1」となる。この場合において、次にイグニッションスイッチ3がオンされた際に、制御部14は、関係記録部24に記憶されているテーブルを参照した結果、カウント値「39」と異常履歴情報の記録の有無「1」とは、正常な関係と一致すると判定する。
【0057】
時刻t=t6において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合に、正常判定カウント記録部22はカウント値「40」を記録していると共に、異常履歴情報記録部23は異常履歴情報の記録の有無「1」となる。この場合において、次にイグニッションスイッチ3がオンされた際に、制御部14は、関係記録部24に記憶されているテーブルを参照した結果、カウント値「40」と異常履歴情報の記録の有無「1」との関係は、正常な関係と不一致であると判定する。従って、制御部14は、関係記録部24に記憶しているテーブルを参照して、次の時刻t=t7におけるカウント値「40」と異常履歴情報の記録の有無「0」との正常な関係になるように、異常履歴情報を消去する。これにより、異常履歴情報の記録の有無とカウント値との関係が正常であるか否かの判定結果に応じて適切な処理を行うことができる。
【0058】
時刻t=t7において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合に、正常判定カウント記録部22はカウント値「40」を記録していると共に、異常履歴情報記録部23は異常履歴情報の記録の有無「0」となる。この場合において、次にイグニッションスイッチ3がオンされた際に、制御部14は、関係記録部24に記憶されているテーブルを参照した結果、カウント値「40」と異常履歴情報の記録の有無「0」とは、正常な関係と一致すると判定する。
【0059】
次に、正常判定カウンタ13のカウント開始時において異常履歴情報の記録処理よりもカウント値の記録処理を優先し、正常判定カウンタ13のカウント満了時においてカウント値の記録処理よりも異常履歴情報の消去処理を優先する場合の異常履歴情報管理処理について、
図3を参照して説明する。
【0060】
図3は、本発明の実施形態における正常判定カウンタのカウント開始時において異常履歴情報の記録処理よりもカウント値の記録処理を優先し、正常判定カウンタのカウント満了時においてカウント値の記録処理よりも異常履歴情報の消去処理を優先する場合の異常履歴情報管理処理の流れを説明する図であり、
図3(a)は、カウント値の記録処理、異常履歴情報の記録処理及び異常履歴情報の消去処理の各タイミングを示し、
図3(b)は、各タイミングでのカウント値と異常履歴情報の記録の有無との関係を示している。
【0061】
なお、
図3(a)の処理タイミングK12において、「カ」はカウント値の記録処理のタイミングを示しており、「履」は異常履歴情報の記録処理又は消去処理のタイミングを示している。また、
図3(a)の処理内容K11において、「カ」に対応する値は記録するカウント値を示しており、「履」に対応する値は「1」が異常履歴情報の記録処理を示し、「0」が異常履歴情報の消去処理を示している。
【0062】
関係記録部24は、
図3(b)に示すカウント値と異常履歴情報の記録の有無との関係を
図3(b)に示す順序でテーブルに予め記憶している。このテーブルにおいて、時刻t=t1、時刻t=t3から時刻t=t5及び時刻t=t7におけるカウント値と異常履歴情報の記録の有無との関係が正常な関係として関係記録部24に予め記録されている。
【0063】
なお、
図3における異常履歴情報管理処理において、正常判定カウンタ13のカウント値が「40」に到達するまでの処理は
図2における異常履歴情報管理処理と同一処理であるため、その説明を省略する。
【0064】
制御部14は、正常判定カウンタ13のカウント値が「40」に到達した際に、異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報を消去して異常履歴情報の記録の有無「0」となり、その後に正常判定カウント記録部22にカウント値「40」を記録させる。
【0065】
ここで、時刻t=t6において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合に、正常判定カウント記録部22はカウント値「39」を記録していると共に、異常履歴情報記録部23は異常履歴情報の記録の有無「0」となる。この場合において、次にイグニッションスイッチ3がオンされた際に、制御部14は、関係記録部24に記憶されているテーブルを参照した結果、カウント値「39」と異常履歴情報の記録の有無「0」との関係は、正常な関係と不一致であると判定する。従って、制御部14は、関係記録部24に記憶しているテーブルを参照して、次の時刻t=t7におけるカウント値「40」と異常履歴情報の記録の有無「0」との正常な関係になるように、正常判定カウント記録部22のカウント値を正常値「40」に書き換える。これにより、異常履歴情報の記録の有無とカウント値との関係が正常であるか否かの判定結果に応じて適切な処理を行うことができる。
【0066】
なお、
図3の時刻t=t1から時刻t=t5及び時刻t=t7において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合における異常履歴情報管理処理は、
図2の時刻t=t1から時刻t=t5及び時刻t=t7において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合における異常履歴情報管理処理と同一であるので、その説明を省略する。
【0067】
最後に、正常判定カウンタ13のカウント開始時及びカウント満了時の両方において、カウント値の記録処理よりも異常履歴情報の記録処理又は消去処理を優先する場合の異常履歴情報管理処理について、
図4を参照して説明する。
【0068】
図4は、本発明の実施形態における正常判定カウンタのカウント開始時及びカウント満了時の両方において、カウント値の記録処理よりも異常履歴情報の記録処理又は消去処理を優先する場合の異常履歴情報管理処理の流れを説明する図であり、
図4(a)は、カウント値の記録処理、異常履歴情報の記録処理及び異常履歴情報の消去処理の各タイミングを示し、
図4(b)は、各タイミングでのカウント値と異常履歴情報の記録の有無との関係を示している。
【0069】
なお、
図4(a)の処理タイミングK22において、「カ」はカウント値の記録処理のタイミングを示しており、「履」は異常履歴情報の記録処理又は消去処理のタイミングを示している。また、
図4(a)の処理内容K21において、「カ」に対応する値は記録するカウント値を示しており、「履」に対応する値は「1」が異常履歴情報の記録処理を示し、「0」が異常履歴情報の消去処理を示している。
【0070】
正常判定カウンタ13がカウントを開始するまでは、正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値及び異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報の記録の有無との関係は初期状態である。
【0071】
関係記録部24は、
図4(b)に示すカウント値と異常履歴情報の記録の有無との関係を
図4(b)に示す順序でテーブルに予め記憶している。このテーブルにおいて、時刻t=t1、時刻t=t3から時刻t=t5及び時刻t=t7におけるカウント値と異常履歴情報の記録の有無との関係が正常な関係として関係記録部24に予め記録されている。
【0072】
まず、制御部14は、エンジン状態判定部11でN回連続してエンジン5の異常状態を検出した際に、異常判定カウンタ12のカウント値が所定値となり、エンジン5の異常状態が確定したものと判定する。
【0073】
次に、制御部14は、エンジン状態判定部11がエンジン5の正常状態を検出して、エンジン5が異常状態から正常状態に復帰した際に、エンジン5の異常状態を示す異常履歴情報を異常履歴情報記録部23に記録して異常履歴情報の記録の有無「1」となる。
【0074】
次に、制御部14は、正常判定カウンタ13のカウント値を「40」から「0」に書き換えて正常判定カウンタ13におけるカウント動作を開始させると共に、正常判定カウンタ13のカウント値「0」を正常判定カウント記録部22に記録する。
【0075】
次に、正常判定カウンタ13は、エンジン状態判定部11によりエンジン5の正常状態が連続して検出される場合に、エンジン5の正常状態を検出する毎にカウントアップしていく。これにより、正常判定カウント記録部22は、記録するカウント値をカウントアップしていく。なお、この場合、異常履歴情報の記録の有無は、異常履歴情報が消去されないため「1」のままである。
【0076】
そして、制御部14は、正常判定カウンタ13のカウント値が「40」に到達した際に、異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報を消去して異常履歴情報の記録の有無「0」となり、その後に正常判定カウント記録部22にカウント値「40」を記録させる。これにより、正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値及び異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報の記録の有無との関係は初期状態となる。
【0077】
ここで、時刻t=t2において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合に、正常判定カウント記録部22はカウント値「40」を記録していると共に、異常履歴情報記録部23は異常履歴情報の記録の有無「1」となる。この場合において、次にイグニッションスイッチ3がオンされた際に、制御部14は、関係記録部24に記憶されているテーブルを参照した結果、カウント値「40」と異常履歴情報の記録の有無「1」との関係は、正常な関係と不一致であると判定する。従って、制御部14は、関係記録部24に記憶しているテーブルを参照して、次の時刻t=t3におけるカウント値「0」と異常履歴情報の記録の有無「1」との正常な関係になるように、正常判定カウント記録部22に記録しているカウント値を正常値「0」に書き換える。これにより、異常履歴情報の記録の有無とカウント値との関係が正常であるか否かの判定結果に応じて適切な処理を行うことができる。
【0078】
時刻t=t6において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合に、正常判定カウント記録部22はカウント値「39」を記録していると共に、異常履歴情報の記録の有無「0」となる。この場合において、次にイグニッションスイッチ3がオンされた際に、制御部14は、関係記録部24に記憶されているテーブルを参照した結果、カウント値「39」と異常履歴情報の記録の有無「0」との関係は、正常な関係と不一致であると判定する。従って、制御部14は、関係記録部24に記憶しているテーブルを参照して、次の時刻t=t7におけるカウント値「40」と異常履歴情報の記録の有無「0」との正常な関係になるように、正常判定カウント記録部22に記録しているカウント値を正常値「40」に書き換える。これにより、異常履歴情報の記録の有無とカウント値との関係が正常であるか否かの判定結果に応じて適切な処理を行うことができる。
【0079】
なお、
図4の時刻t=t1、時刻t=t3から時刻t=t5及び時刻t=t7において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合における異常履歴情報管理処理は、
図2の時刻t=t1、時刻t=t3から時刻t=t5及び時刻t=t7において、イグニッションスイッチ3がオフになると同時に電子制御装置1がオフになった場合における異常履歴情報管理処理と同一であるので、その説明を省略する。
【0080】
以上の本発明の実施形態における電子制御装置では、鞍乗型車両のエンジン5を制御する電子制御装置1であって、エンジン5が異常状態であることが確定した際に異常履歴情報を記録する異常履歴情報記録部23と、エンジン5が異常状態から正常状態に復帰した際にカウントを開始する正常判定カウンタ13と、正常判定カウンタ13がカウントを開始した後、エンジン5の正常状態が継続する所定周期毎に正常判定カウンタ13のカウント値を更新記録する正常判定カウント記録部22と、異常履歴情報記録部23における異常履歴情報の記録の有無と正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値との関係が、予め定めた異常履歴情報の記録の有無とカウント値との正常な関係と一致するか否かを判定する制御部14と、を有する電子制御装置1、であるため異常履歴情報の記録の有無とカウント値との関係が正常であるか否かを判定することができ、判定結果に応じて適切な処理を行うことができる。
【0081】
また、本発明の実施形態における電子制御装置では、制御部14が、異常履歴情報記録部23における異常履歴情報の記録の有無と正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値との関係が正常な関係と不一致であると判定したときに、正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値を正常値に書き換える処理を行って異常履歴情報記録部23における異常履歴情報の記録の有無と正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値との関係を正常な関係にするものであるため、異常履歴情報を適切に利用することができる。
【0082】
また、本発明の実施形態における電子制御装置では、制御部14が、正常判定カウンタ13のカウント値が所定値になった際に異常履歴情報記録部23に記録している異常履歴情報を消去すると共に、異常履歴情報記録部23における異常履歴情報の記録の有無と正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値との関係が正常な関係と不一致であると判定したときに、異常履歴情報記録部23に記録されている異常履歴情報の消去処理、又は異常履歴情報記録部23への異常履歴情報の記録処理を行って異常履歴情報記録部23における異常履歴情報の記録の有無と正常判定カウント記録部22に記録されているカウント値との関係を正常な関係にするものであるため、異常履歴情報を適切に利用することができる。
【0083】
また、本発明の実施形態における電子制御装置では、電子制御装置1に供給される外部電源2は、鞍乗型車両のイグニッションスイッチ3のオフと同時にオフされるものであるため、セルフシャット機能を有さず、イグニッションスイッチのオフと同時に電子制御装置に供給される電源がオフされる機構であっても、異常履歴情報の記録の有無とカウント値との関係が正常であるか否かを判定することができ、判定結果に応じて適切な処理を行うことができる。
【0084】
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0085】
具体的には、本実施の形態において、正常判定カウンタ13はカウント値をカウントアップしたが、カウント値をカウントダウンしてもよい。
【0086】
また、本実施の形態において、正常判定カウント記録部22に記録しているカウント値と異常履歴情報記録部23に記録している異常履歴情報の記録の有無との関係が本来の正常な関係と不一致であると判定した場合に、正常判定カウント記録部22に記録しているカウント値を書き換えるか、異常履歴情報記録部23に記録している異常履歴情報を消去するか、又は異常履歴情報記録部23に異常履歴情報を記録したが、上記の判定結果に基づいて正常判定カウント記録部22に記録しているカウント値と異常履歴情報記録部23に記録している異常履歴情報の記録の有無との関係が正常でないことを報知する等の鞍乗型車両に関する他の処理を行うようにしてもよい。
【0087】
また、本実施形態において、カウント値の書き換え処理、異常履歴情報の記録処理及び異常履歴情報の消去処理を行って異常履歴情報の記録の有無とカウント値とを正常な関係にしたが、カウント値の書き換え処理と、異常履歴情報の記録処理及び消去処理と、の何れか一方のみを行って異常履歴情報の記録の有無とカウント値とを正常な関係にしてもよい。