特許第6588388号(P6588388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTファシリティーズの特許一覧

<>
  • 特許6588388-発熱体冷却システム 図000002
  • 特許6588388-発熱体冷却システム 図000003
  • 特許6588388-発熱体冷却システム 図000004
  • 特許6588388-発熱体冷却システム 図000005
  • 特許6588388-発熱体冷却システム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588388
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】発熱体冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/00 20060101AFI20191001BHJP
   F25D 16/00 20060101ALI20191001BHJP
   F25D 9/00 20060101ALI20191001BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20191001BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   F28D15/00
   F25D16/00
   F25D9/00 F
   F25B1/00 383
   H05K7/20 M
   H05K7/20 X
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-99841(P2016-99841)
(22)【出願日】2016年5月18日
(65)【公開番号】特開2017-207235(P2017-207235A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2018年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中田 達也
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】三野 洋介
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−82746(JP,U)
【文献】 特開平3−224256(JP,A)
【文献】 特開2002−100891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34 − 23/46
H05K 7/20
F28D 15/00 − 15/06
F25B 1/00
F25D 9/00
F25D 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体が冷却槽内の冷却液に浸漬された液浸方式に適用され、当該冷却液を冷却するための発熱体冷却システムにおいて、
前記冷却液を冷却する冷却装置と、
前記冷却液を撹拌するための撹拌装置と、
少なくとも前記発熱体周囲に存在する前記冷却液が沸騰したとみなすことが可能な状態(以下、局所沸騰状態という。)にあるか否かを判定するための局所沸騰判定装置と、
少なくとも前記撹拌装置の作動を制御する制御部であって、前記局所沸騰判定装置により前記局所沸騰状態にあると判定されている場合に前記撹拌装置を稼働させる制御モードが実行可能な制御部と
を備える発熱体冷却システム。
【請求項2】
冷却液に浸漬された発熱体を当該冷却液と共に収容する冷却槽と、
前記冷却液を冷却する冷却装置と、
前記冷却液を撹拌するための撹拌装置と、
少なくとも前記発熱体周囲に存在する前記冷却液が沸騰したとみなすことが可能な状態(以下、局所沸騰状態という。)にあるか否かを判定するための局所沸騰判定装置と、
少なくとも前記撹拌装置の作動を制御する制御部であって、前記局所沸騰判定装置により前記局所沸騰状態にあると判定されている場合に前記撹拌装置を稼働させる制御モードが実行可能な制御部と
を備える発熱体冷却システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記冷却装置の作動も制御可能であり、
さらに、前記制御部は、前記制御モードの実行開始後、予め設定された時間が経過したときも前記局所沸騰状態にある場合に前記冷却装置で生成する冷熱を増大させる第2の制御モードが実行可能である請求項1又は2に記載の発熱体冷却システム。
【請求項4】
前記冷却装置は、圧縮機を稼働させて冷熱を生成する第1運転モード、及び圧縮機を稼働させることなく室外の熱を利用して冷熱を生成する第2運転モードのうちいずれかの運転モードが実行可能であり、
前記制御部は、前記第2運転モード時に前記第2の制御モードが実行された場合であって、生成可能な冷熱が予め設定された値未満であると判定した場合に前記冷却装置を前記第1運転モードとする第3の制御モードが実行可能である請求項3に記載の発熱体冷却システム。
【請求項5】
前記冷却装置は、吸着式又は吸収式の冷凍サイクルにて冷熱を生成する第1運転モード、及び室外の熱を利用して冷熱を生成する第2運転モードのうちいずれかの運転モードのうちいずれかの運転モードが実行可能であり、
前記制御部は、前記第2運転モード時に前記第2の制御モードが実行された場合であって、生成可能な冷熱が予め設定された値未満であると判定した場合に前記冷却装置を前記第1運転モードとする第3の制御モードが実行可能である請求項3に記載の発熱体冷却システム。
【請求項6】
前記制御部には、前記冷却槽に設けられた開口部が開放されたか否かを示す情報が入力されており、
さらに、前記制御部は、前記情報を利用して前記開口部は開放されたと判定した場合に、前記開口部が開放されていないと判定していた場合に比べて前記冷却装置で生成する冷熱を増大させる第4の制御モードが実行可能である請求項3ないし5のいずれか1項に記載の発熱体冷却システム。
【請求項7】
前記制御部には、前記冷却槽に設けられた開口部が開放される予定を示す情報が入力されており、
さらに、第5の制御モード及びタイミング決定処理が実行可能であり、
前記第5の制御モードは、前記開口部が開放されていない場合に比べて前記冷却装置で生成する冷熱を増大させる制御モードであり、
前記タイミング決定処理は、前記第5の制御モードの実行タイミングを決定する処理である請求項3ないし5のいずれか1項に記載の発熱体冷却システム。
【請求項8】
前記制御部には、前記開口部の開放継続予定時間を示す情報が入力されており、
さらに、前記制御部は、少なくとも前記開放継続予定時間を示す情報を利用して前記第5の制御モード時において増大させる冷熱量を決定する増大量決定処理が実行可能である請求項7に記載の発熱体冷却システム。
【請求項9】
前記制御部には、前記冷却槽外空気の露点温度を決定するための情報が入力されており、
前記制御部は、前記増大量決定処理において、前記冷却液の温度が前記所定温度未満、かつ、前記露点温度より高い温度となる冷熱量を決定する請求項8に記載の発熱体冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸方式の冷却液を介して発熱体を冷却するための発熱体冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発熱体冷却システムは、1つ以上のプロセッサが搭載された複数の電子機器を冷却液に浸漬することにより、それら電子機器を冷却する液浸方式を採用している。そして、当該発明では、特定の物性値を有する冷却液を用いることにより、冷却液が局所的に沸騰することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5853072号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明が採用している冷却液は、価格が高く、かつ、地球温暖化係数(GWP)が大きいので、実用化が難しいという問題がある。特に、地球温暖化係数は、当該冷却液の物性値であるので、地球温暖化係数の小さい他の冷却液に変更しない限り、地球温暖化を抑制することは不可能である。
【0005】
本願は、上記に点に鑑み、特定の物性値を有する冷却液は勿論のこと、その他の冷却液も用いることが可能な発熱体冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願では、冷却液を冷却する冷却装置(5)と、冷却液を攪拌するための攪拌装置(3A)と、少なくとも発熱体(1)周囲に存在する冷却液が沸騰したとみなすことが可能な状態(以下、局所沸騰状態という。)にあるか否かを判定するための局所沸騰判定装置(11)と、少なくとも攪拌装置(3A)の作動を制御する制御部(10)であって、局所沸騰判定装置(11)により局所沸騰状態にあると判定されている場合に攪拌装置(3A)を稼働させる制御モードが実行可能な制御部(10)とを備える。
【0007】
そして、局所沸騰判定装置(11)により局所沸騰状態にあると判定されている場合に攪拌装置(3A)を稼働させれば、冷却装置(5)が生成する冷熱を増大させることなく、局所沸騰状態の多発を抑制できる。
【0008】
つまり、本願に係る発熱体冷却システムによれば、地球温暖化係数の大きい冷却液を用いることなく、発熱体冷却システムの消費動力が増大することを抑制しながら、所沸騰状態の多発を抑制できる。延いては、地球温暖化係数の小さい冷却液を用いることが可能な液浸方式の冷却システムを得ることができる。
【0009】
なお、本願に係る発熱体冷却システムでは、当然に特許文献1に記載された特定の物性値を有する冷却液を用いることも可能である。
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る発熱体冷却システムの概念図である。
図2】本発明の実施形態に係る発熱体冷却システムの概念図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る発熱体冷却システムの制御系を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る発熱体冷却システムの制御を示すフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態に係る発熱体冷却システムの制御系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「複数」や「2つ以上」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。
【0013】
(第1実施形態)
1.発熱体冷却システムの概要
本実施形態に係る発熱体冷却システムは、情報通信技術用装置(以下、ICT装置という。)を冷却するための冷却システムに適用したものである。ICT装置は、発熱体の一例であって、1又は複数のCPU等を備えたコンピュータの集合体である。
【0014】
図1に示すように、ICT装置1は、冷却液が満たされた冷却槽3内に収納されている。そして、ICT装置1は、その全体が当該冷却液に浸漬された状態となっている。つまり、ICT装置1は、空気を介すことなく、冷却液にて直接的に冷却される。
【0015】
冷却装置5は冷却液を冷却するための冷熱を生成する。当該冷却装置5は、第1運転モード及び第2運転モードのうちいずれかの運転モードにて冷熱を生成可能である。第1運転モードは、圧縮機5Aを稼働させて冷熱を生成する運転モードである。
【0016】
第2運転モードは、圧縮機5Aを稼働させることなく室外の熱を利用して冷熱を生成する運転モードである。なお、以下、第1運転モード及び第2運転モードを総称する場合には、「運転モード」と記す。
【0017】
すなわち、冷却装置5は、圧縮機5A、低温側熱交換器5B、高温側熱交換器5C及びポンプ5D等を有して構成されている。圧縮機5Aはフロン等の冷媒を圧縮する。低温側熱交換器5Bは、冷却液と冷媒とを熱交換する。
【0018】
高温側熱交換器5Cは、室外空気等と冷媒とを熱交換することにより、低温側熱交換器5Bにて回収した熱を室外空気等に放出する。室外送風機5Eは、高温側熱交換器5Cに室外空気を送風する。そして、本実施形態に係る第1運転モードでは、蒸気圧縮式冷凍サイクルにて冷熱を生成する。
【0019】
つまり、第1運転モード時においては、冷却装置5は、低温側熱交換器5Bにて減圧された冷媒を蒸発させて冷却液から吸熱し、蒸発した気相冷媒を圧縮機5Aにて圧縮した後、当該気相冷媒を高温側熱交換器5Cにて冷却又は凝縮させる(図1参照)。以下、第1運転モードを「圧縮サイクル」ともいう。
【0020】
第2運転モード時においては、冷却装置5は、圧縮機5Aを停止した状態でポンプ5Dを稼働させる。このため、液相状態の冷媒が低温側熱交換器5Bと高温側熱交換器5Cとの間を循環するため、室外の熱を利用した冷熱が生成される(図2参照)。以下、第2運転モードを「ポンプサイクル」ともいう。
【0021】
冷却槽3内には撹拌装置3Aが設けられている。撹拌装置3Aは、冷却槽3内の冷却液を撹拌するための装置である。なお、本実施形態に係る撹拌装置3Aは、プロペラ状の撹拌羽根により構成されている。
【0022】
2.発熱体冷却システムの概略制御
2.1 制御系の概略構成
図3に示すように、発熱体冷却システムの制御系は、制御部10及び温度判定装置11等により構成されている。制御部10は、温度判定装置11から出力される判定結果を示す信号を利用して冷却装置5及び撹拌装置3Aの作動を制御する。
【0023】
なお、制御部10は、CPU、ROM及びRAM等を有して構成されたコンピュータである。当該制御部10は、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されたプログラムに従って冷却装置5及び撹拌装置3Aの作動を制御する。
【0024】
温度判定装置11は、冷却液の温度が予め設定された所定温度以上の状態であるか否かを判定する。「所定温度」は冷却液の沸点又は当該沸点未満の所定温度である。すなわち、本実施形態に温度判定装置11は、少なくともICT装置1の周囲に存在する冷却液が沸騰したとみなすことが可能な状態にあるときに、冷却液の温度が前記所定温度以上の状態であると判定する。
【0025】
換言すれば、本実施形態に係る温度判定装置11は、ICT装置1の周囲に存在する冷却液が沸騰したとみなすことが可能な状態(以下、局所沸騰状態という。)にあるか否かを判定する。つまり、本実施形態に係る温度判定装置11は、局所沸騰判定装置として作動する。
【0026】
温度判定装置11は、冷却液の温度を検出する温度検出装置11Aを有している。温度検出装置11Aは、ICT装置1を基準とする予め設定された範囲内の位置に存在する冷却液の温度を検出する。
【0027】
なお、ICT装置1は、1つ又は複数のCPUを備えるコンピュータの集合体である。そして、ICT装置1に実装された多数の電子部品等のうちCPUが最も発熱量が大きい発熱体である。
【0028】
このため、「ICT装置1の周囲に存在する冷却液」及び「ICT装置1を基準とする予め設定された範囲内の位置に存在する冷却液」とは、具体的には、「CPUの周囲に存在する冷却液」及び「CPUを基準とする予め設定された範囲内の位置に存在する冷却液」である。
【0029】
通常のICT装置1は、複数のCPUが実装されているので、本実施形態に係る温度判定装置11は、各CPUの周囲に存在する冷却液が局所沸騰状態にあるか否かを判定する。
【0030】
このため、温度判定装置11は、冷却槽3全体が沸騰状態に至らない場合であっても、いずれかのCPU周囲が局所沸騰状態になっている場合には、「冷却液の温度が所定温度以上の状態である」と判定する。
【0031】
因みに、本実施形態に係る温度検出装置11Aは、サーミスタや熱電対等の温度センサにて構成されている。温度センサは、理想的には、各CPUの周囲に配設することが望ましい。
【0032】
制御部10には、外気温センサ12の検出信号が入力されている。外気温センサ12は、外気温度Toutを検出する。本実施形態では、高温側熱交換器5Cの周囲空気温度を外気温度Toutとしている。制御部10には、開放センサ13及びスケジュール情報入力装置14から情報が入力されている。
【0033】
開放センサ13は、冷却槽3に設けられた開口部(図示せず。)が開放されたか否かを示す情報を出力する。スケジュール情報入力装置14は、開口部が開放される予定を示す情報、及び当該開口部の開放継続予定時間を示す情報を入力するための装置である。当該入力は、ICT装置1のメンテナンスを行う作業者等が行う。
【0034】
上記開口部は、ICT装置1のメンテナンスを行う際の作業用開口部である。当該開口部、メンテナンス時以外は、冷却槽3が密閉状態となるように蓋壁部(図示せず。)により閉塞されている。
【0035】
2.2 制御の概要
<通常時制御>
通常時制御とは、温度判定装置11がいずれの箇所においても局所沸騰状態が発生していないと判定した場合に実行される制御モードである。具体的には、制御部10は、冷却液の全体温度が予め設定された判定閾値Th以下となるように、冷却装置5の作動を制御する。
【0036】
なお、本実施形態では、温度検出装置11Aが検出した複数箇所の温度のうち最も高い温度を冷却液の全体温度としている。判定閾値Thの初期値は、第1閾値Tt1(例えば、40℃)である。
【0037】
制御部10は、ポンプサイクルを基本運転モードとして必要に応じて圧縮サイクルを稼働させる。すなわち、制御部10は、冷却液の全体温度が判定閾値Th以下の場合には、冷却装置5をポンプサイクルにて運転する。
【0038】
このとき、制御部10は、ポンプ5D等の回転数を調整することにより、冷却装置5で生成される冷熱量(以下、生成冷熱量という。)を増減させて冷却液の全体温度を判定閾値Th以下に維持する。
【0039】
具体的には、制御部10は、生成冷熱量を増大させる場合には、ポンプ5D等の回転数を増大させて循環冷媒流量を増大させる。制御部10は、生成冷熱量を減少させる場合には、例えばポンプ5Dを停止又はポンプ5Dの回転数を低下させる。
【0040】
制御部10は、冷却液の全体温度が判定閾値Thを越えた場合には、冷却装置5を圧縮サイクルにて運転する。換言すれば、制御部10は、ポンプサイクルが実行されている場合において、ポンプサイクルにて生成可能な冷熱が予め設定された値未満であると判定されたことを条件として、冷却装置5を圧縮サイクルにて運転する。
【0041】
その後、制御部10は、ポンプサイクルにて生成可能な冷熱が予め設定された値以上であると判定した場合には、冷却装置5の運転モードを圧縮サイクルからポンプサイクルに戻す。
【0042】
具体的には、制御部10は、外気温度Toutと現時の判定閾値Thとの温度差(=Th−Tout)が予め設定された第1温度差Td1より大きい場合には、冷却装置5の運転モードを圧縮サイクルからポンプサイクルに戻す。
【0043】
なお、ポンプ5Dに故障が発生した場合には、制御部10は、圧縮サイクルを実行するとともに、メンテナンス管理者にその旨の信号を通達する。ポンプ5Dに故障が発生したか否かは、制御部10は、例えば、以下の手法により判定する。
【0044】
すなわち、ポンプサイクルの実行時に、制御部10がポンプ5Dの回転数を上昇させる指令を発した場合に、冷却液の温度変化が予め設定された変化温度幅より小さいか否か、又はポンプ5Dの回転数を検出する回転センサ(図示せず。)からの信号等を利用して判定する。
【0045】
圧縮機5Aに故障が発生した場合には、制御部10は、ポンプサイクルを実行するとともに、メンテナンス管理者にその旨の信号を通達する。なお、圧縮機5Aに故障が発生したか否かの判定手法は、例えば、上記ポンプ5Dの故障判定手法と同様である。
【0046】
<局所沸騰状態時制御>
局所沸騰状態時制御とは、温度判定装置11がいずれの箇所において局所沸騰状態が発生したと判定した場合に実行される制御モードである。なお、局所沸騰状態時制御は、局所沸騰状態が発生している場合に実行されるので、原理的には、冷却液の全体温度が第1閾値Tt1以下であるか否かは不問である。
【0047】
なお、本実施形態では、冷却液の全体温度が第1閾値Tt1以下に維持しながら局所沸騰状態の発生を抑制することを目的の1つとしている。このため、本実施形態では、後述するように、冷却液の全体温度が第1閾値Tt1以下の場合において、局所沸騰状態が発生したときに局所沸騰状態時制御が実行される。
【0048】
制御部10は、局所沸騰状態時制御時には、先ず、撹拌装置3Aを作動させて冷却槽3内の冷却液を撹拌する撹拌制御を実行する。なお、制御部10は、撹拌制御を実行する前の運転モードを維持した状態で撹拌制御を実行する。
【0049】
つまり、例えば、ポンプサイクルを実行しているときに局所沸騰状態が発生した場合には、制御部10は、ポンプサイクルを維持した状態で撹拌制御を実行する。例えば、圧縮サイクルを実行しているときに局所沸騰状態が発生した場合には、制御部10は、圧縮サイクルを維持した状態で撹拌制御を実行する。
【0050】
次に、制御部10は、撹拌制御の実行開始後、予め設定された時間が経過したときも局所沸騰状態にある場合には、生成冷熱量を増大させる第1増大制御を実行する。このとき、制御部10は、撹拌制御実行時における運転モードを維持したまま、判定閾値Thを第2閾値Tt2に変更することにより第1増大制御を実行する。第2閾値Tt2は第1閾値Tt1より低い温度(例えば、30℃)である。
【0051】
つまり、例えば、ポンプサイクルを実行している場合には、制御部10は、ポンプ5D及び室外送風機5Eのうち少なくとも一方の回転を上昇させて生成熱量を増大させる。圧縮サイクルを実行している場合には、制御部10は、圧縮機5Aや室外送風機5E等の回転数を上昇させて生成熱量を増大させる。
【0052】
また、制御部10は、ポンプサイクルを維持した状態で第1増大制御をした場合において、ポンプサイクルにて生成可能な冷熱が予め設定された値未満であると判定されたことを条件として、運転モードを圧縮サイクルに切り替えて第1増大制御を継続する。
【0053】
具体的には、制御部10は、外気温度Toutと現時の判定閾値Thとの温度差(=Th−Tout)が予め設定された第2温度差Td2未満の場合には、冷却装置5の運転モードをポンプサイクルから圧縮サイクルに移行させる。
【0054】
第1温度差Td1及び第2温度差Td2は、ポンプサイクルにて必要な冷熱を生成可能であるか否かの観点に基づいて予め設定された値である。第2温度差Td2は、第1温度差Td1と同一の値及び異なる値のいずれでもよい。なお、本実施形態では、第2温度差Td2は、第1温度差Td1と同一の値である。
【0055】
制御部10は、圧縮サイクルを維持した状態で第1増大制御をした場合において、圧縮サイクルにて生成可能な冷熱が予め設定された値未満であると判定したときには、ICT装置1のメンテナンス管理者にその旨の信号を通達する。
【0056】
<メンテナンス作業時制御>
メンテナンス作業時制御とは、(a)冷却槽3に設けられた開口部(図示せず。)が現実に開放されているとき、又は(b)現時の時刻が当該開口部が開放される予定時間帯にあるときに実行される制御モードである。なお、上記(a)又は(b)のときを「ICT装置1のメンテナンス時」という。
【0057】
上記(b)においては、開口部が現実に開放されているか否かは不問である。つまり、制御部10は、開口部が現実に開放されていない場合であっても、現時の時刻が当該開口部が開放される予定時間帯であれば、メンテナンス作業時制御を実行する。
【0058】
なお、制御部10は、開放センサ13からの信号を利用して開口部が現実に開放されているか否かを判定する。制御部10は、スケジュール情報入力装置14に入力された情報を利用して、現時の時刻が当該開口部が開放される予定時間帯であるか否かを判定する。
【0059】
メンテナンス作業時制御時には、制御部10は、メンテナンス作業時制御の実行前に比べて生成冷熱量を増大させる第2増大制御を実行する。このとき、制御部10は、原則として、メンテナンス作業時制御の実行前の運転モードを維持した状態で判定閾値Thを第2閾値Tt2に変更することにより第2増大制御を実行する。
【0060】
つまり、例えば、ポンプサイクルを実行している場合には、制御部10は、ポンプ5D及び室外送風機5Eのうち少なくとも一方の回転を上昇させて生成熱量を増大させる。圧縮サイクルを実行している場合には、制御部10は、圧縮機5Aや室外送風機5E等の回転数を上昇させて生成熱量を増大させる。
【0061】
なお、制御部10は、ポンプサイクルを維持した状態で第2増大制御をした場合において、ポンプサイクルにて生成可能な冷熱が予め設定された値未満であると判定されたことを条件として、運転モードを圧縮サイクルに切り替えて第2増大制御を継続する。
【0062】
2.3 制御の詳細
図4は上記「制御の概要」の一例を示すフローチャートであり、上記「制御の概要」の具体例は図4に示す制御フローに限定されるものではない。
【0063】
発熱体冷却システム、つまり制御部10が起動すると、制御部10は、先ず、ポンプサイクルを実行する(S1)。次に、制御部10は、冷却液の全体温度Tinが判定閾値Th以下であるか否かを判定する(S3)。なお、判定閾値Thの初期値は第1閾値Tt1である。
【0064】
制御部10は、冷却液の全体温度Tinが判定閾値Thを越えていると判定した場合には(S3:NO)、運転モードを圧縮サイクルとするとともに、冷却液の全体温度Tinが判定閾値Th以下となるように圧縮機5A等を制御する(S5)。
【0065】
制御部10は、圧縮サイクルの実行時(S5)において、外気温度Toutと判定閾値Thとの温度差(=Th−Tout)が第1温度差Td1より大きいか否かを判定する(S7)。
【0066】
制御部10は、温度差(=Tt1−Tout)が第1温度差Td1以下であると判定した場合には(S7:NO)、圧縮サイクルの実行(S5)を継続する。制御部10は、温度差(=Tt1−Tout)が第1温度差Td1より大きいと判定した場合には(S7:YES)、予め設定された所定時間が経過した後、冷却装置5の運転モードを圧縮サイクルからポンプサイクルに戻す(S9)。
【0067】
制御部10は、冷却液の全体温度Tinが判定閾値Th以下であると判定した場合には(S3:YES)、「ICT装置1のメンテナンス時」であるか否かを判定する(S11)。制御部10は、「ICT装置1のメンテナンス時」であると判定した場合には(S11:YES)、判定閾値Thを第2閾値Tt2に変更して生成冷熱量を増大させる(S13)。
【0068】
次に、制御部10は、「ICT装置1のメンテナンス」が終了したか否か、つまり、(a)冷却槽3に設けられた開口部が現実に閉じられた否か、又は(b)現時の時刻が当該開口部が開放される予定時間帯を越えたか否かを判定する(S15)。
【0069】
制御部10は、「ICT装置1のメンテナンス」が終了していないと判定した場合には(S15:NO)、判定閾値Thを第2閾値Tt2に維持する(S13)。制御部10は、「ICT装置1のメンテナンス」が終了したと判定した場合には(S15:YES)、判定閾値Thを第1閾値Tt1に戻した後、再び、S1を実行する。
【0070】
制御部10は、S11において「ICT装置1のメンテナンス時」でない判定した場合には(S11:NO)、局所沸騰状態が発生したか否かを判定する(S19)。制御部10は、局所沸騰状態が発生したと判定した場合には(S19:YES)、撹拌装置3Aを作動させる(S21)。
【0071】
撹拌装置3Aの作動開始後、所定時間が経過したとき、制御部10は、局所沸騰状態が継続しているか否かを判定する(S23)。制御部10は、局所沸騰状態が消失した判定した場合には(S23:NO)、再び、S1を実行する。
【0072】
制御部10は、局所沸騰状態が継続していると判定した場合には(S23:YES)、判定閾値Thを第2閾値Tt2に変更して生成冷熱量を増大させる(S25)。生成冷熱量を増大させた後、所定時間が経過したとき、制御部10は、外気温度Toutと現時の判定閾値Thとの温度差(=Th−Tout)が第2温度差Td2より大きいか否かを判定する(S27)。
【0073】
制御部10は、温度差(=Th−Tout)が第2温度差Td2以下であると判定した場合には(S27:NO)、運転モードを圧縮サイクルに変更した後(S29)、再び、S7を実行する。制御部10は、温度差(=Th−Tout)が第2温度差Td2より大きいと判定した場合には(S27:YES)、再び、S1を実行する。
【0074】
制御部10は、S19にて局所沸騰状態が発生していないと判定した場合には(S19:NO)、現時の判定閾値Thが第1閾値Tt1以上であるか否かを判定する(S33)。
【0075】
制御部10は、現時の判定閾値Thが第1閾値Tt1以上であると判定した場合には(S33:YES)、撹拌装置3Aの作動を停止させた後(S35)、再び、S1を実行する。
【0076】
制御部10は、現時の判定閾値Thが第1閾値Tt1以上でないと判定した場合には(S33:NO)、判定閾値Thを現時の判定閾値Thにk(例えば、2℃)を加算した値に変更した後(S37)、再び、S1を実行する。
【0077】
3.本実施形態に係る発熱体冷却システムの特徴
ポンプサイクルでは、室外の熱を利用して冷熱を生成する。圧縮サイクルでは、圧縮機5Aを稼働させて冷熱を生成する。このため、圧縮サイクルでは、ポンプサイクルより大きな冷熱を生成できる。
【0078】
したがって、ポンプサイクルにて生成可能な冷熱以下の範囲であれば、ポンプサイクルを実行すれば、圧縮サイクルを実行する場合に比べて小さい消費動力でICT装置1を冷却できる。
【0079】
しかし、ICT装置1の発熱量が上昇し、ポンプサイクルにて生成可能な冷熱を越えると、ICT装置1を十分に冷却することができなくなる。これに対して、本願では、冷却液の温度が所定温度以上であると判定されている場合に冷却装置5を圧縮サイクルとすることができるので、ICT装置1を十分に冷却できる。
【0080】
つまり、本実施形態では、圧縮サイクルとポンプサイクルとを適宜切り替えることが可能であるので、発熱体冷却システムの省動力化を図りつつ、ICT装置1を十分に冷却できる。
【0081】
本実施形態では、制御部10は、局所沸騰判定装置、つまり温度判定装置11により局所沸騰状態にあると判定されている場合に撹拌装置3Aを稼働させるので、冷却装置5が生成する冷熱を増大させることなく、局所沸騰状態の多発を抑制できる。
【0082】
(第2実施形態)
1.本実施形態に係る発熱体冷却システムの概要
上述の実施形態に係るメンテナンス作業時制御では、増大させる生成冷熱量(以下、増大冷熱量という。)が予め設定されていた。つまり、上記のメンテナンス作業時制御は、判定閾値Thを第1閾値Tt1から第2閾値Tt2に変更する第2増大制御を実行した。
【0083】
これに対して、本実施形態では、冷却槽3に設けられた開口部が開放される予定を示す情報、及び当該開口部の開放継続予定時間を示す情報(以下、これらの情報をメンテナンス情報という。)を利用して、第2増大制御の実行タイミング、及び増大冷熱量を決定する。
【0084】
つまり、本実施形態では、制御部10は、メンテナンス情報を利用して増大冷熱量及び冷熱量の増大を開始するタイミング(以下、実行タイミングという。)を決定し、その決定内容を実行する。
【0085】
制御部10は、開放継続予定時間が長い場合には、開放継続予定時間が短い場合に比べて増大冷熱量を大きくする。さらに、制御部10は、増大熱量が大きい場合には、増大熱量が小さい場合に比べて実行タイミングを早くする。
【0086】
すなわち、ROM等の不揮発性記憶部には、開放継続予定時間、第2閾値Tt2の値及び実行タイミングの関係を示す関数式や表(3次元マップ)が予め記憶されている。当該関数式等には、開放継続予定時間が長くなるほど、第2閾値Tt2が連続的又はステップ状(階段状)に低くなるように関係が記憶されている。
【0087】
当該関数式等には、第2閾値Tt2が低くなるほど、実行タイミングが連続的又はステップ状(階段状)に早くなるように関係が記憶されている。なお、「実行タイミングが早くなる」とは、「開放予定時刻より早いタイミングで第2増大制御を実行する」という意味である。
【0088】
制御部10が決定する増大冷熱量は、冷却液の温度が所定温度(本実施形態では、冷却液の沸点)未満、かつ、露点温度より高い温度となる冷熱量である。このため、制御部10には、冷却槽3外空気の露点温度を決定するための情報が入力されている。
【0089】
具体的には、図5に示すように、制御部10には、冷却槽3外空気の絶対湿度を検出する絶対湿度計15Aの検出信号、及び冷却槽3外空気の温度を検出する気温センサ15Bの検出信号が入力されている。
【0090】
なお、本実施形態に係るメンテナンス作業時制御は、図4に示す制御フローとは独立して並列的に稼働する制御である。また、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号を付したので、重複する説明は省略する。
【0091】
2.本実施形態に係る発熱体冷却システムの特徴
増大冷熱量及び実行タイミングが開放継続予定時間を利用して決定されるので、ICT装置1のメンテナンス時に開口部が開放されたことによって冷却液が蒸発して急激に減少してしまうことを抑制できる。
【0092】
増大冷熱量は、冷却液の温度が所定温度(本実施形態では、冷却液の沸点)未満、かつ、露点温度より高い温度となる冷熱量であるので、ICT装置1のメンテナンス時に開口部が開放されたときに、冷却槽3内で結露が発生することを抑制できる。
【0093】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る温度判定装置11は、サーミスタや熱電対等の温度センサを利用して局所沸騰状態を検出する構成であった。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、以下の手法であってもよい。
【0094】
すなわち、(a)気泡の発生に伴う冷却槽3内の圧力上昇変化を利用して局所沸騰状態を検出する手法、(b)気泡の発生をカメラ等にて検出して局所沸騰状態を検出する手法、(c)赤外線カメラ等の温度検出装置を利用して局所沸騰状態を検出する手法、(d)ICT装置1のCPU稼働率等から発熱量を演算して局所沸騰状態を間接的に検出する手法等である。
【0095】
上述の実施形態では、温度検出装置11Aが検出した複数箇所の温度のうち最も高い温度を冷却液の全体温度とした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、平均温度を冷却液の全体温度としてもよい。
【0096】
上述の実施形態では、温度差(=Tt1−Tout)が第1温度差Td1より大きいと判定した場合には(S7:YES)、所定時間が経過した後、冷却装置5の運転モードを圧縮サイクルからポンプサイクルに戻した(S9)。
【0097】
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、冷却液の全体温度Tinが判定閾値Thより低い所定温度以下となった場合に圧縮サイクルからポンプサイクルに戻してもよい。
【0098】
上述の第2実施形態では、開放継続予定時間を利用して増大冷熱量を決定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、開放継続予定時間に加えて、冷却槽3外空気温度、冷却槽3外空気の絶対湿度、及びICT装置1の発熱量等のうち少なくとも1つを加味して増大冷熱量を決定してもよい。
【0099】
上述の実施形態に係る第2運転モードは、低温側熱交換器5Bと高温側熱交換器5Cと間で冷媒を循環させるポンプサイクルであった。しかし、本発明に係る第2運転モードは、ポンプサイクルに限定されるものではなく、例えば、(a)吸着式又は吸収式の冷凍サイクル等の圧縮機5Aを稼働させない冷凍サイクル、(b)地熱を利用した冷熱生成機等であってもよい。
【0100】
上述の実施形態に係る第1運転モードは、圧縮機5Aを稼働させる蒸気圧縮式冷凍サイクルにより冷熱を生成する運転モードであった。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第1運転モードを吸着式又は吸収式の冷凍サイクルにより冷熱を生成する運転モードとしてもよい。
【0101】
なお、第2運転モードは、室外の熱を利用して冷熱を生成するものであれば十分である。したがって、ポンプサイクルは勿論のこと、例えば、地熱を利用した冷熱生成機等であってもよい。
【0102】
本発に係る冷却液は上述の実施形態に示された種類の冷却液に限定されるものではない。つまり、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0103】
したがって、上述した複数の実施形態を組み合わせた実施形態、冷却槽3が発明特定事項に含まれない実施形態、第1運転モードと第2運転モードとを切り替える制御モードを備えていない実施形態も本願発明に含まれる。
【0104】
さらに、第1運転モード及び第2運転モードで生成された冷熱を輸送する手段は不問である。つまり、ヒートパイプを利用した熱の輸送方法又は冷水等の液体を利用した熱の輸送方法など、その手段は不問である。
【符号の説明】
【0105】
1… ICT装置 3… 冷却槽 3A… 撹拌装置 5… 冷却装置
5A… 圧縮機 5B… 低温側熱交換器 5C… 高温側熱交換器
5E… 室外送風機 5D… ポンプ 10… 制御部
11… 温度判定装置 11A… 温度検出装置 12… 外気温センサ
13… 開放センサ 14… スケジュール情報入力装置
15A… 絶対湿度計 15B… 気温センサ
図1
図2
図3
図4
図5