特許第6588424号(P6588424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6588424液体オート麦ベースを調製する方法および方法によって調製される製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588424
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】液体オート麦ベースを調製する方法および方法によって調製される製品
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/38 20060101AFI20191001BHJP
   A23L 7/104 20160101ALI20191001BHJP
   A23C 9/12 20060101ALI20191001BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20191001BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   A23L2/38 J
   A23L7/104
   A23C9/12
   A23L2/00 A
   A23L2/02 A
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-510967(P2016-510967)
(86)(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公表番号】特表2016-516438(P2016-516438A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】EP2014054083
(87)【国際公開番号】WO2014177304
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2017年2月9日
(31)【優先権主張番号】1300314-0
(32)【優先日】2013年4月30日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】515298143
【氏名又は名称】グルサノヴァ アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】GLUCANOVA AB
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】アナ ラスコン
【審査官】 田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2000/030457(WO,A1)
【文献】 特表2012−514989(JP,A)
【文献】 特表2006−521828(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0034341(US,A1)
【文献】 特表2003−526355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00ー2/40
A23C 1/00−23/00
A23L 7/00−7/104
A01J 1/00−99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
WPIDS/WPIX(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトが消費するための食品の製造で使用するための液体オート麦ベースを調製する方法であって、
(a)1重量%〜50重量%のβ−グルカンを含んでなるオート麦ふすまを含んでなる材料を提供するステップと;
(b)前記オート麦ふすまを含んでなる材料を水性媒体、特に水に懸濁して、水性懸濁液を形成するステップと;
(c)前記水性懸濁液をα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、β−グルカナーゼ、キシラナーゼに接触させて、前記懸濁液中の可溶性アラビノキシランの濃度を5倍以上に上昇させて、液体オート麦ベースを提供するステップと;
(d)ステップ(c)の前記液体オート麦ベースを任意選択的に均質化して、均質化液体オート麦ベースを提供するステップと;
(e)ステップ(c)の前記液体オート麦ベースまたはステップ(d)の前記均質化液体オート麦ベース中の酵素活性を任意選択的に破壊して、酵素的に不活性な液体オート麦ベースを提供するステップと;
(f)ステップ(c)の前記液体オート麦ベース、またはステップ(d)の前記均質化液体オート麦ベース、またはステップ(e)の前記酵素的に不活性な液体オート麦ベースを任意選択的に容器内に無菌的にパッケージングするステップと
を含んでなり、
ステップ(c)が、ステップ(b)の前記水性懸濁液を最初にα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、β−グルカナーゼに接触させて、デンプンおよびβ−グルカンを部分的に加水分解し、次にキシラナーゼに接触させて前記懸濁液中の前記可溶性アラビノキシランの濃度を5倍以上に上昇させて、液体オート麦ベースを提供するステップを含んでなる、
方法。
【請求項2】
α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、β−グルカナーゼ接触の温度が、30℃〜70℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
キシラナーゼ接触の温度が、40℃〜70℃である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記オート麦ふすまを含んでなる材料が、オート麦ふすま、ひき割り全粒オート麦(全オート麦)、押しひき割りオート麦、およびオート麦内胚乳からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記オート麦ふすまを含んでなる材料が、サイズが25μm以上のオート麦ふすま粒子を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記キシラナーゼが、エンド−1,4−β−キシラナーゼである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記水性懸濁液に溶解したβ−グルカンの80%以上が、β−グルカナーゼによって、20,000D〜400,000Dの分子量のβ−グルカンに分解される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって入手される、または入手可能である、ヒト消費に適する液体オート麦ベース。
【請求項9】
キシラナーゼ不在下で調製された対応するオート麦ベースと比較して、4℃で、20%以上改善された物理安定度指数を示す、請求項8に記載の液体オート麦ベース。
【請求項10】
高圧で均質化される、請求項8または9に記載の液体オート麦ベース。
【請求項11】
アルギン酸塩またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの添加された懸濁安定剤を含まない、請求項8〜10のいずれか一項に記載の液体オート麦ベース。
【請求項12】
噴霧乾燥またはその他の適切な乾燥方法によって、請求項8〜11のいずれか一項に記載の液体オート麦ベースから調製される、粉末状オート麦ベース。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の液体オート麦ベースまたは請求項12に記載の粉末状オート麦ベースの食品添加物としての使用。
【請求項14】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の液体オート麦ベースを再構成するための請求項12に記載の粉末状オート麦ベースの使用。
【請求項15】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の液体オート麦ベースと、果実濃縮物とを含んでなる、果実フレーバー飲料。
【請求項16】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の液体オート麦ベースと、細菌培養で発酵させた牛乳とを含んでなる、高繊維飲用ヨーグルト。
【請求項17】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の液体オート麦ベースおよび/または請求項12に記載の粉末状オート麦ベースを含んでなる、食品。
【請求項18】
ヒトが消費するための食品の製造で使用するための液体オート麦ベースを調製する方法であって、
(a)オート麦ふすまを含んでなる材料を提供するステップと;
(b)前記オート麦ふすまを含んでなる材料を水性媒体、特に水に懸濁して、水性懸濁液を形成するステップと;
(c)十分な時間にわたり、前記水性懸濁液の温度を40℃〜70℃に上昇させて、デンプン、β−グルカン、およびキシランを分解して、液体オート麦ベースを形成するステップと;
(d)ステップ(c)の前記液体オート麦ベースを任意選択的に均質化して、均質化液体オート麦ベースを提供するステップと;
(e)ステップ(c)の前記液体オート麦ベースまたはステップ(d)の前記均質化液体オート麦ベース中の酵素活性を任意選択的に破壊して、酵素的に不活性な液体オート麦ベースを提供するステップと;
(f)ステップ(c)の前記液体オート麦ベース、またはステップ(d)の前記均質化液体オート麦ベース、またはステップ(e)の前記酵素的に不活性な液体オート麦ベースを任意選択的に無菌的に容器内にパッケージングするステップと
を含んでなり、
ステップ(c)が、ステップ(b)の前記水性懸濁液を最初にα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、β−グルカナーゼに接触させて、デンプンおよびβ−グルカンを部分的に加水分解し、次にキシラナーゼに接触させて、液体オート麦ベースを提供するステップを含んでなる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトが消費するための食品の製造で使用するための液体オート麦ベースを調製する方法、方法によって調製される製品、およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オート麦ふすまは、オート麦内胚乳と胚芽とを封入している細胞壁層であり、製粉技術によってそれらから分離され得る。オート麦ふすまは、セルロース、デンプン、およびペクチンに加えて、β−グルカンおよびアラビノキシランの2種類の細胞壁多糖類に富む。
【0003】
β−グルカンは、約70%の1−4−Oおよび30%の1−3−O結合β−D−グルコピラノシル単位を含んでなる、高分子量直鎖多糖類である。天然β−グルカンは、ほぼ1〜2×10ダルトン程度の分子量を有する。天然オート麦グルカンの大部分は、60℃での水処理によって可溶化し得る。水溶液中では、β−グルカンは、1−3−Oグルコシド結合を加水分解するβ−D−グルカナーゼでの処理によって分解し得る。β−グルカン水溶液の重要な特性は、それらの粘度である。
【0004】
ペントサンアラビノキシランは、オート麦ふすまの構成物である。それは、それにα−L−アラビノフラノシル(アラビノース)およびその他の残基が付着する、(1−4)−β−D−キシロピラノシル鎖(キシロース鎖)を含んでなる、複雑な構造を有するヘミセルロースである。水溶性アラビノキシランもまた、水相に粘度を与える。しかし、天然オート麦ふすまのアラビノキシランのごく一部のみが、水溶性である。上記およびその他の理由から、アラビノキシランは、酵素加水分解に耐性がある。キシラン中の内部(エンド−β−1,4−キシロピラノシル)結合は、キシラナーゼ(エンド−β−1,4−キシラナーゼ)によって加水分解され得る。
【0005】
オート麦ふすま、ひき割り全粒オート麦(全オート麦)、押しオート麦、ひき割りオート麦またはオート麦内胚乳粉が、オート麦繊維飲料などの健康食品のための原料として使用される。そのβ−グルカン含有量と関連がある、それらの好ましい健康効果は、腸管流体粘度の増大、胃内容排出の遅延、腸管輸送の減速、そしてグルコースおよびステロール吸収に起因すると思われる(Johansson et al.,Structural characterization of water soluble β−glucan of oat bran.Carbohydr Polym 42(2002)143−148)。オート麦繊維飲料は、粒子状物質を含有する。
【0006】
飲料中のオート麦ふすま粉粒子のサイズおよびその他の特性は、美味性および物理的懸濁安定性の少なくとも2つの理由から重要である。それらの物理的および化学的性質次第で、懸濁液は、より緩慢にまたはより迅速に沈降し、すなわち、それらの水性および微粒子成分は経時的に分離して、上部水相と下部微粒子相とを形成する。懸濁液の物理的安定性は、可溶性β−グルカンなどの懸濁安定剤によって引き起こされる、沈殿の遅延と定義され得る。物理的安定性は、相分離として視覚化される。それは、相分離境界位置を記録することでモニターし得る。
【0007】
美味性または摂取時の滑らかさの感覚は、粒度の低下と共に改善するが、懸濁媒体の粘度、粒子の硬度と形状、およびそれらの濃度によってもまた影響を受ける。美味性および/または滑らかさの感覚は、粘度の増大と共に改善して、粒子の硬度/角張りおよび濃度の増大と共に悪化する。懸濁状態粒子の平均臨界サイズは、約25μmである(Tyle P.Effect of size,shape and hardness of particles in suspension on oral texture and palatability.Acta Physiologica 84(1993)111−118)。平均的消費者は、このサイズ以上の粒子、特に硬質および/または角張った粒子を含んでなる食品を滑らかと感じない。
【0008】
しかしサイズ以外の特性が、美味性にもはや影響しない粒度、すなわち飲料を粒子の性質から独立して、摂取時に完璧に滑らかに感じられるようにするサイズに、オート麦ふすまを粉砕することは、困難かつ高価である。
【0009】
既知のオート麦飲料の別の問題は、貯蔵時に物理的に分解するそれらの傾向であり、貯蔵中に粒子が、飲料を収容する容器の底に沈降し、粒子を欠く上清水相が形成する。粒子は激しい撹拌によって水相に再懸濁し得るものの、消費者によってはこれを面倒と感じ、飲料のパッケージングのための適切な容器の選択が狭まり、飲料によって占有されていない容器の上部に空隙を設けることが必要になる。
【0010】
したがって、前述の種類のオート麦飲料を改善する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、オート麦ふすま、ひき割り全粒オート麦、押しひき割りオート麦またはオート麦内胚乳粉などのアラビノキシランを含んでなるオート麦原料から、滑らかさが改善された液体オート麦ベースを調製する方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、滑らかさに関する改善が、サイズ以外の特性がもはや美味性に影響しない粒度に粉砕された、アラビノキシランを含んでなるオート麦原料、特にオート麦ふすままたはオート麦ふすまに富んだ材料に依存せずに得られることである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、対応する液体オート麦ベースを提供することである。
【0014】
本発明のなおもさらなる目的は、対応する改善されていない液体オート麦ベースと同一のまたはそれと同様の粘度などの所望の粘度がある、本発明の液体オート麦ベースを提供することである。
【0015】
本発明の追加的な目的は、続く発明の概要、図示されるその好ましい実施形態の説明、および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本出願では、「β−グルカン、β−グルカナーゼ、アラビノキシラン、キシラナーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、タンパク質」は、「複数のβ−グルカン、複数のβ−グルカナーゼ、複数のアラビノキシラン、複数のキシラナーゼ、複数のα−アミラーゼ、複数のβ−アミラーゼ、複数のタンパク質」と区別されない。本出願では、「液体」は水性液体を指し、それはその中に懸濁された粒子を含有してもよい。
【0017】
本発明によって、ヒトが消費するための食品の製造で使用するための液体オート麦ベースを調製する方法が提供され、方法は、
(a)1重量%〜50重量%のβ−グルカンを含んでなるオート麦ふすまを含んでなる材料を提供するステップと;
(b)オート麦ふすまを含んでなる材料を水性媒体、特に水に懸濁して、水性懸濁液を形成するステップと;
(c)前記水性懸濁液をα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、β−グルカナーゼ、キシラナーゼに特定の順序でなく接触させて、懸濁液中の可溶性アラビノキシランの濃度を5倍以上に上昇させて、液体オート麦ベースを提供するステップと;
(d)ステップ(c)の液体オート麦ベースを任意選択的に均質化して、均質化液体オート麦ベースを提供するステップと;
(e)ステップ(c)の液体オート麦ベースまたはステップ(d)の均質化液体オート麦ベース中の酵素活性を任意選択的に破壊して、酵素的に不活性な液体オート麦ベースを提供するステップと;
(f)ステップ(c)の液体オート麦ベース、またはステップ(d)の均質化液体オート麦ベース、またはステップ(e)の酵素的に不活性な液体オート麦ベースを任意選択的に容器内に無菌的にパッケージングするステップと
を含んでなる。
【0018】
本発明の第1の好ましい態様によれば、ステップ(c)は、ステップ(b)の水性懸濁液を最初にα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、β−グルカナーゼに接触させて、デンプンおよびβ−グルカンを部分的に加水分解し、次にキシラナーゼに接触させて懸濁液中の可溶性アラビノキシランの濃度を5倍以上に上昇させて、液体オート麦ベースを提供するステップを含んでなる。
【0019】
α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、β−グルカナーゼ接触の好ましい温度は、30℃〜70℃である。
【0020】
キシラナーゼ接触の好ましい温度は、40℃〜70℃、特に40℃〜65℃、最も好ましくは約60℃である。
【0021】
好ましい材料は、1重量%〜25重量%のβ−グルカンを含んでなるオート麦ふすまを含んでなる。
【0022】
オート麦ふすまを含んでなる材料が、オート麦ふすま、ひき割り全粒オート麦(全オート麦)、押しひき割りオート麦、およびオート麦内胚乳からなる群から選択されることが好ましい。
【0023】
オート麦ふすまを含んでなる材料が、サイズが25μm以上のオート麦ふすま粒子を含んでなり、または実質的にそれからなることがさらに好ましい。
【0024】
本発明の第2の好ましい態様によれば、オート麦ふすまを含んでなる材料から、本発明の液体オート麦ベースを製造するための粉末状組成物が提供され、粉末状組成物は、オート麦ふすまを含んでなる材料、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、β−グルカナーゼ、キシラナーゼを含んでなり、またはそれからなる。
【0025】
オート麦ふすまを含んでなる材料、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、β−グルカナーゼ、キシラナーゼを含んでなり、または実質的にそれからなる粉末状組成物は、ヒトが消費するための食品の製造で使用するための本発明の液体オート麦ベースを調製する方法で使用し得、方法は、
(a)前記粉末状組成物を提供するステップと;
(b)粉末状組成物を水性媒体、特に水に懸濁して、水性懸濁液を形成するステップと;
(c)十分な時間にわたり、水性懸濁液の温度を40℃〜70℃に上昇させて、デンプン、β−グルカン、およびキシランを分解して、液体オート麦ベースを形成するステップと;
(d)ステップ(c)の液体オート麦ベースを任意選択的に均質化して、均質化液体オート麦ベースを提供するステップと;
(d)ステップ(b)の液体オート麦ベースまたはステップ(c)の均質化液体オート麦ベース中の酵素活性を任意選択的に破壊して、酵素的に不活性な液体オート麦ベースを提供するステップと;
(e)ステップ(b)の液体オート麦ベース、またはステップ(c)の均質化液体オート麦ベース、またはステップ(d)の酵素的に不活性な液体オート麦ベースを任意選択的に容器内に無菌的にパッケージングするステップと
を含んでなる。
【0026】
ステップ(a)で出発原料として提供される、オート麦ふすま、ひき割り全粒オート麦(全オート麦)、押しひき割りオート麦またはオート麦内胚乳などのオート麦ふすま粒子を含んでなる材料は、サイズが25μm以上の粒子を含んでなり、または実質的にそれからなり、すなわち、80重量%以上、特に90重量%または95重量%以上がそれからなる。「サイズが25μm以上の」粒子は、25μm以上の平均径を有する。
【0027】
本発明の方法では、水性懸濁液に溶解したβ−グルカンの80%以上が、β−グルカナーゼによって、20,000D〜400,000Dの分子量のβ−グルカンに分解される。
【0028】
本発明の液体オート麦ベースは、それ自体がヒトによる消費が意図され、またはその他の食品の添加剤または成分として意図される。それは、そのまま、またはその乾燥粉末の形態で、特に噴霧乾燥粉末、すなわち、粉末状オート麦ベースの形態で、その他の食品に添加し得る。
【0029】
第1の好ましい態様によれば、本発明の方法は、可溶性β−グルカンの含有量に影響を及ぼさず、すなわちそれを維持する。可溶性β−グルカンの維持は、キシラナーゼ濃度と無関係である。本発明の方法はまた、SDS−PAGEゲル電気泳動によって証明されるように、可溶性タンパク質の組成にも影響を及ぼさない。
【0030】
本発明の好ましいキシラナーゼは、エンド−1,4−β−キシラナーゼである。好ましいキシラナーゼ濃度は、100gの床あたり1250FXUであるが、100gの粉末あたり100FXU〜100gの粉末あたり5000FXU以上などのその他の濃度もまた用い得る。1FXUは、pH6.0および50℃で、アゾ−小麦アラビノキシランから、1分間に7.8mMの還元糖(キシロース均等物)を遊離させる、エンド−1,4−β−キシラナーゼの量である。
【0031】
オート麦ふすま粒子を含んでなる材料の水性懸濁液を、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、β−グルカナーゼのいずれかと接触させる好ましい温度は、30℃〜70℃、特に55℃〜65℃、最も好ましくは約60℃の温度である。
【0032】
本発明のさらに好ましい態様によれば、オート麦ふすま粒子を含んでなる材料の水性懸濁液をキシラナーゼに接触させるステップは、その粘度に影響を及ぼさず、または最大で5%または最大で10%または最大で20%の粘度増大など、中程度の影響のみを及ぼす。キシラナーゼ接触の好ましい温度は、40℃〜70℃、特に40℃〜65℃、最も好ましくは約60℃の温度などの室温を超える温度である。
【0033】
別の好ましい態様によれば、本発明の方法は、オート麦ふすまに富んだ材料の水性懸濁液の官能特性を維持し、またはそれらを中程度に改善しさえする。
【0034】
なおも別の好ましい態様によれば、本発明の方法は、オート麦ふすまを含んでなる材料の出発原料水性懸濁液について、最大20%または最大50%または最大90%および最大100%以上にさえ至って遅延した、20℃(室温)における相分離を示す製品などの、優れた物理的安定性がある製品を与える本発明の液体オート麦ベースは、室温貯蔵時に、物理的に完全に安定してはいないものの、対応する先行技術の液体オート麦ベースよりも、実質的により緩慢に、上部水相と下部微粒子相とに分解しまたは沈降する。「対応する先行技術液体オート麦ベース」は、少なくともキシラナーゼと共にインキュベートされないことで、本発明の液体オート麦ベースとは異なる既知のオート麦ベースである。本発明による安定化は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはアルギン酸塩などの懸濁安定剤の添加によって得られるのでなく、それから独立している。
【0035】
本発明の製品の物理安定度は、均質化によって、特に150/30バール以上の圧力での高圧均質化によってさらに改善され得る。
【0036】
追加的な好ましい態様によれば、本発明の好ましい製品は、約140〜225μm、特に約170μm、すなわち、25μmのざらつき感閾値を優に上回る平均粒度を有する一方で、ざらつきが感じられない。これは、ざらつき感の知覚に影響する、酵素処理の「球体化」または湾曲効果のため、および/または粒子のより低い硬度または強度のためであると思われる。「ざらつき感閾値」は、摂取時に、微粒子水性懸濁液が口内でざらつくと感じられる粒度閾値である。
【0037】
本発明によれば、改善された液体オート麦ベースが開示され、改善は、改善された物理安定度、改善された官能特性、ざらつき感の知覚の低下または不在の1つまたは複数からなる。さらに本発明の液体オート麦ベースの噴霧乾燥によって、またはあらゆるその他の適切な乾燥方法によって、調製される乾燥粉末状オート麦ベースが開示される。本発明の液体オート麦ベースは、粉末状オート麦ベースを水または水性溶媒に懸濁することで、再構成し得る。粉末状オート麦ベースはまた、食品添加物として使用し得る。液体および/または粉末状オート麦ベースを含んでなる食品もまた、開示される。
【0038】
特に、本発明のオート麦ベースを含んでなる様々な種類の一連の食品が、提供される。これらの製品は、オート麦ふすまベースの飲料、全粒オート麦ベースの飲料、本発明のオート麦ベースと果実濃縮物とを含んでなる果実フレーバー飲料、および本発明のオート麦ベースと細菌培養で発酵された牛乳とを含んでなる高繊維飲用ヨーグルトを含んでなるが、これに限定されるものではない。
【0039】
出発原料の水溶性β−グルカン含有量が実質的に維持される一方で、本発明の方法による改善、および対応する製品が得られる。これに関連して、「実質的に」は、例えば80重量%以上もしくは90重量%または95重量%以上にさえ至る、75重量%以上の維持を意味する。
【0040】
いくつかの好ましい実施形態、および3つの図を含んでなる図面を参照して、本発明をここでより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】出発原料内に存在する全ての繊維を含有する、本発明の液体オート麦ふすまベースに対する、およびデカンテーションによってこのような不溶性繊維が除去された、先行技術のデカントされたオート麦ふすまベースに対する、高圧均質化の影響を例証するグラフである。
図2】本発明の全粒オート麦液体オート麦ベースに対する、およびデカンテーションによってこのような不溶性繊維が除去された、先行技術のデカントされたオート麦ふすまベースに対する、高圧均質化の影響を例証するグラフである。
図3】本発明の均質化および非均質化オート麦ふすまベース、ならびに先行技術対照の粒度分布を例証するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
材料および方法
オート麦原料。1重量%〜50重量%のβ−グルカン、約8重量%〜26重量%の全食物繊維、10重量%〜22重量%のタンパク質、および5重量%〜15重量%の脂肪を含有する、オート麦ふすま、ひき割り全粒オート麦(全オート麦)、押しひき割りオート麦、およびオート麦内胚乳粉。
【0043】
エンド(1−4)β−キシラナーゼ。キシラナーゼPentopan Mono BGは、Novozymes A/S,Denmarkから調達された。分析によって、酵素はβ−グルカナーゼ活性を有しないことが確立された。酵素(UB No.3.2.1.8;CAS 9025−57−4)は、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)中のサーモシテス・ラヌギノスス(Thermocytes lanuginosus)の異種性発現によって生成される。これは40℃において、2500 XU/W−g〜>60000 XU/W−gの報告された活性がある、GH−11ファミリーキシラナーゼである。
【0044】
β−グルカナーゼ活性の判定。供給業者によって提供される手順に従って、Megazyme International Ireland Ltd.製のβ−グルカザイム錠剤を使用して、アッセイを実施した。錠剤を40℃でナトリウム酢酸緩衝液(25mM、pH4.5)中の酵素溶液に添加して、溶液をこの温度に10分間保った。6mlのTrizma緩衝液(2%w/w、pH8.5)を添加して、反応を停止させた。分析のためのサンプルを2250rpmで10分間遠心分離した。上清の吸光度を590nmで読み取った。
【0045】
到達技術水準液体オート麦ベース(オート麦飲料)。到達技術水準オート麦ベース飲料は、デンプンをマルトースとマルトデキストリンに分解するのに十分な量で、α−アミラーゼおよびβ−アミラーゼの乾燥市販調製物を添加して調製した。飲料は、比較のために実施した実験で、出発原料として使用された。
【0046】
発明の液体オート麦ベース。本発明の液体オート麦ベースの調製におけるα−アミラーゼおよびβ−アミラーゼの使用に加えて、約1,000,000D〜約2,000,000Dの分子量を有する、出発原料の水溶性β−グルカンの大部分または少なくとも75重量%、80重量%以上または90重量%を、約20,000Dの分子量、特に約50,000D〜約400,000Dを有する水溶性β−グルカンに分解するために、β−グルカナーゼを使用する。出発原料の懸濁液は、約60℃の水中でオート麦ふすまに富んだ約10重量%の材料を含有した。この温度で撹拌しながら1時間のインキュベーション後、このように作成された液体オート麦ふすまベースは、22℃で6.4〜6.6のpHおよび約25cP〜250cPの粘度を有した。必要に応じて、方法を修正して、より高いまたはより低い粘度の生成物が得られ得る。本発明のこのオート麦ふすまベースを以下の実験で使用した。
【0047】
可溶性アラビノキシラン放出の推定。Rose and Inglett,J Food Anal Meth 2;1(2010)66−72のフロログルシノール法に従って、可溶性アラビノキシラン含有量を判定した。オート麦懸濁液上清の200μlのアリコートを1mlの試薬と混合した。試薬は、110:2:5:1の比率の、氷酢酸、濃塩酸、エタノール中の20%(w/v)フロログルシノール、および1.75%(w/v)グルコースからなる。サンプルは、100℃で25分間インキュベートした。室温に冷却後、吸光度を552nmおよび510nmで読み取った。測定された吸光度と、D(+)キシロースを使用して構築された検量線とを関連づけることで、可溶性アラビノキシラン含有量の定量化を得た。結果は、キシロース均等物(XE)のmMとして表される。
【0048】
β−グルカン含有量の判定。Megazyme International Ireland Ltd.製のMixed−Linkage β−グルカンアッセイキットを使用して、方法を開発した。供給業者によって説明される手順をわずかに修正した。1グラムのオート麦ふすまベースの飲料、200μlのエタノール(50%v/v)、および4mlのリン酸緩衝液(20mM、pH6.5)を各試験管に入れた。試験管をボルテックス混合し、沸騰水に2分間入れて、次に50℃の水浴中に移し入れ、5分間保持した。200μlのリケナーゼ酵素(10U)水溶液を各試験管に添加した後に、サンプルを水浴内で1時間保存した。ナトリウム酢酸緩衝液(5ml、200mM、pH4)を各試験管に添加した。試験管を1000rpmで15分間遠心分離した。100μlの上清を100μlのβ−グルコシダーゼ酵素(0.2U)溶液と混合した。各サンプルについて空試験を調製した(β−グルコシダーゼの添加なし;100μlのナトリウム酢酸緩衝液(50mM、pH4)の添加)。サンプルを50℃の水浴内で15分間インキュベートした。グルコース標準もまた分析した。3mlのGODOP試薬(カリウムリン酸緩衝液(1mM、pH7.4)、p−ヒドロキシ安息香酸(0.22M)、およびアジ化ナトリウム(0.4%w/w)を各管に添加した。次に試験管を50℃でさらに20分間インキュベートした。1時間以内に、510nmで吸光度を読み取った。
【0049】
SDS−PAGEゲル電気泳動。酵素適用後に、抽出されたタンパク質が最初のタンパク質と異なるかどうかを確立するために、3つの異なるキシラナーゼ濃度で、ゲル電気泳動を実施した。キシラナーゼ処理は、分子量分布またタンパク質組成のどちらにも影響を及ぼさないことが示された。
【0050】
粒度測定。粒度測定は、Mastersizer 2000,Hydro 2000SM装置(Malvern Instruments,Worcestershire,UK)を使用して、レーザー光線回析によって実施した。この技術によって記録された粒度分布は容積に基づき、所与のサイズの粒子の容積百分率を示すグラフで報告される。粒度測定は、粒子が球状かつ均質であり、媒体の光学特性が既知であるという仮説に基づく。本文脈のものなどの同種の粒子では、提示方法は、信頼できる結果を与えると考えられる。
【0051】
実施例1.製造で使用されたキシラナーゼの量に関する本発明のオート麦ふすまベースのβ−グルカン含有量。異なる量のキシラナーゼと共に、上述の到達技術水準オート麦ふすまベースの飲料を40℃で15分間インキュベートした。製品をβ−グルカン濃度について分析した。結果は、表1に示される。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例2.本発明の改善された液体オート麦ベースの物理安定度。物理安定度は、改善された液体オート麦ベースのサンプルを、所与の時間にわたり選択された温度で、ガラスバイアル内に貯蔵した際の相分離を測定することで判定された。貯蔵中に、上部透明液相が出現した。それは、下部微粒子相の高さが安定したままの安定終点状態に達するまで、高さが増大した。この時点ttsにおける物理安定度指標Iphsは、好都合には、沈殿平衡に達する終点(無期限貯蔵)における上部相高さと、tにおける上部相高さとの比率に100を乗じたものとして表される。
【0054】
分離速度の低下は、改善された物理安定度を示唆する。本発明の水性オート麦ベースの均質化サンプル、およびキシラナーゼで処理されていない先行技術の水性オート麦ベースを、試験管内に4℃で貯蔵した。均質化から2、24、36、および48時間目に、相分離(上部水相;下部微粒子相)を測定した(表2)。物理安定度
【0055】
実施例2.本発明の改善された液体オート麦ベースの物理安定度。物理安定度は、改善された液体オート麦ベースのサンプルを、所与の時間にわたり選択された温度で、ガラスバイアル内に貯蔵した際の相分離を測定することで判定された。貯蔵中に、上部透明液相が出現した。それは、下部微粒子相の高さが安定したままの安定終点状態に達するまで、高さが増大した。時点ttsにおける物理安定度指数phsは、好都合には、tsにおける上部相高さと、沈殿平衡に達する終点(無期限貯蔵)における上部相高さとの比率に100を乗じたものとして表される。
【0056】
わずか5分間の反応時間後に、物理安定度の約50%の増大が達成される(表3)。
【0057】
【表3】
【0058】
実施例3.可溶性アラビノキシラン含有量に対するキシラナーゼ濃度の影響。異なるキシラナーゼ濃度で40℃でのサンプルインキュベーション後に、可溶性アラビノキシラン含有量を測定した。結果は、キシロース均等物として表されて、表4に示される。
【0059】
【表4】
【0060】
実施例4.粒度測定。酵素が、細胞壁を分解し、ひいては粒度を低下させるかどうかを確立するために、異なるキシラナーゼ濃度で製造された、本発明の液体オート麦ふすまベース粒子のサイズを測定した。対照サンプルは、キシラナーゼと共にインキュベートされなかった。キシラナーゼ処理(40℃で1時間)に際して、有意な粒度低下が観察された。表5は、キシラナーゼ処理サンプルの粒子容積重から判定された、平均粒径を示す。
【0061】
【表5】
【0062】
実施例5.可溶性アラビノキシラン含有量に対する反応時間の影響。異なる時間にわたるサンプルのインキュベーション後に、可溶性アラビノキシラン含有量を測定した。このアッセイは、反応中のアラビノキシラン分解産物の濃度変化を評価するために実施した。表6は、5分間の反応時間後にアラビノキシラン濃度の有意な増大があったことを示す。さらに、より長い反応時間でわずかな増大が観察された。
【0063】
【表6】
【0064】
実施例6.反応物温度の影響。優れた物理安定度と可溶性アラビノキシランの実質的増大とを提供することが上で示されたため、15分間のインキュベーション時間を選択した。キシラナーゼによる酵素分解に対する温度変動の影響を分析して、最適反応温度を見出した。オート麦ふすまベースの飲料をキシラナーゼ1000FXU/100g OBFと共に、40℃、50℃、および60℃で、15分間にわたりインキュベートした(表7)。
【0065】
【表7】
【0066】
実施例7.均質化。本発明の液体オート麦ベースの物理的貯蔵安定性は、均質化によってさらに改善し得る。少なくとも150/30バールの圧力を提供する二段階ホモジナイザー内で均質化を実施すると、製品は、不溶性繊維の存在下、すなわち、不溶性繊維を除去するデカンテーション前であってさえも、改善された物理安定度を示す。全粒オート麦から(図1)およびオート麦ふすまから(図2)製造される、本発明の液体オート麦ベースの改善された安定性は、商業的オート麦ベース(オート麦飲料)に優ることが図面で実証される。
【0067】
実施例8.様々な温度においてキシラナーゼで処理されたオート麦ふすまベース飲料中の可溶性アラビノキシラン含有量。上述した既知のオート麦ふすまベース(オート麦飲料)を1000FXU/100g OBFのキシラナーゼと共に40℃、50℃、および60℃で15分間にわたりインキュベートした。可溶性アラビノキシラン含有量は、全ての温度で5倍以上増大したことが分かった(表8)。
【0068】
【表8】
【0069】
実施例9.粒度分布。図3は、本発明の均質化および非均質化オート麦ふすまベースの粒度分布を示す。表10には、以下のサンプルに対応する容積重直径データが示される:均質化の影響を評価するために、5個のサンプルを調製した:
対照:キシラナーゼ非処理非均質化オート麦ふすまベース;
サンプルA:非均質化;100gのOBFあたり1000FXUのキシラナーゼ;60℃で15分間のキシラナーゼ;
サンプルB:2分間の均質化;100gのOBFあたり1000FXUのキシラナーゼ;60℃で15分間のキシラナーゼ;
サンプルC:非均質化、100gのOBFあたり500FXUのキシラナーゼ;60℃で30分間のキシラナーゼ;
サンプルD:2分間にわたる均質化、100gのOBFあたり500FXUのキシラナーゼ;60℃で30分間のキシラナーゼ。
【0070】
【表9】
【0071】
表9から明らかなように、粒度の低下は、より高い酵素濃度でより明白である。
【0072】
実施例10.オート麦ふすま飲料の調製。本発明によるβ−グルカンに富む(15%w/w)オート麦ふすま飲料は、7重量%〜15重量%のオート麦ふすま粉末/酵素混合物を水に懸濁することで調製された。懸濁液を撹拌しながら30分〜約2時間にわたり、55℃〜65℃でインキュベートした。特に少なくとも80℃または100℃以上にさえ至る加熱によって、インキュベーションを停止させた。懸濁液をUHT処理し、150/30バールの圧力で均質化して、4℃に冷却した。4℃で20日間貯蔵した後、調製物は、有意な(5%以上の)相分離を示さなかった。このように調製された本発明のオート麦ふすま飲料には、相分離に対して安定化するための添加剤を添加しなかった。代案としては、このようにして調製された本発明のオート麦ふすま飲料は、低温殺菌し得る。
【0073】
実施例11.乾燥オート麦ふすま飲料。牛乳を噴霧乾燥するための装置を使用した噴霧乾燥によって、実施例11のオート麦ふすま飲料を乾燥させて白色粉末にした。粉末は、水に懸濁することで飲料を再構成するために、または食品添加物として、利用し得る。
【0074】
実施例12.全粒オート麦飲料の調製。出発原料として全粒オート麦粉末を使用したこと以外は、続く処置は、実施例10と本質的に同じであった。
【0075】
実施例13.乾燥全粒オート麦飲料。牛乳を噴霧乾燥するための装置を使用した噴霧乾燥によって、実施例12の全粒オート麦飲料を乾燥させて白色粉末にした。粉末は、水に懸濁することで飲料を再構成するために、または食品添加物として、利用し得る。
【0076】
実施例14.オート麦ふすま飲料を含んでなる果実フレーバー飲料の調製。いくつかのサンプルは、25%(w/w)〜95%(w/w)の実施例10のオート麦ふすま飲料、または実施例11の再構成飲料と、所望の風味の果実濃縮物とを混合することで調製された。混合物を4℃に冷却し、無菌条件下で瓶詰した。飲料は、あらゆる安定化食品添加剤の不在下で、この温度で3週間にわたり安定していることが立証された。
【0077】
実施例15.全粒オート麦飲料を含んでなる果実フレーバー飲料の調製。いくつかのサンプルは、25%(w/w)〜95%(w/w)の実施例12の全粒オート麦飲料、または実施例13の再構成飲料と、所望の風味の果実濃縮物とを混合することで調製された。混合物を4℃に冷却し、無菌条件下で瓶詰した。飲料は、あらゆる安定化食品添加剤の不在下で、この温度で3週間にわたり安定していることが立証された。
【0078】
実施例16.発酵オート麦ふすま飲料および牛乳ベースの栄養価が高い高繊維飲用ヨーグルト調製。50重量%〜95重量%以上(いくつかのサンプルが調製された)の実施例10のオート麦ふすま飲料、または実施例11によって再構成されたこのような飲料と、標準牛乳とを混合した。混合物を熱交換器に通過させた。混合物を低温殺菌して、引き続いて約40℃〜約50℃に冷却し、必要量の所望の細菌培養物の接種がそれに続いた。培養物は、任意選択的に、プロバイオティック株を含んでなってもよい。配合物を完全に混合し、それが約4.5のpHに達するまで発酵させた。発酵製品は、香辛料で風味付けして、セイボリータイプの飲用ヨーグルトを提供し、または無菌条件下で所望の風味の果実濃縮物を添加することで、果実フレーバー飲用ヨーグルトを提供し得る。次に飲用ヨーグルトを無菌条件下で瓶詰し、+4℃で貯蔵する。飲用ヨーグルトは、あらゆる安定化食品添加剤の不在下で、この温度で3週間にわたり安定していることが立証された。
図1
図2
図3