(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜10のいずれか一項に記載の1種以上のポリマーと、半導体性、電荷輸送性、正孔/電子輸送性、正孔/電子ブロック性、導電性、光導電性又は発光性を有する1種以上の化合物又はポリマーとを含む、混合物又はポリマーブレンド。
請求項1〜10のいずれか一項に記載の1種以上のポリマーと、1種以上のn型有機半導体化合物とを含むことを特徴とする、請求項11に記載の混合物又はポリマーブレンド。
請求項1〜14のいずれか一項に記載のポリマー、混合物、ポリマーブレンド又は配合物の、電荷輸送材料、半導体材料、導電材料、光導電材料もしくは発光材料としての、光デバイス、電気光学素子、電子デバイス、エレクトロルミネッセンス素子もしくはフォトルミネッセンス素子における、又はこの種のデバイスの構成要素における、又はこの種のデバイスもしくは構成要素を含む集合体における使用。
請求項16に記載の電荷輸送材料、半導体材料、導電材料、光導電材料もしくは発光材料を含むか、又は請求項1〜14のいずれか一項に記載のポリマー、混合物、ポリマーブレンドもしくは配合物を含む、光デバイス、電気光学素子、電子デバイス、エレクトロルミネッセンス素子もしくはフォトルミネッセンス素子、又はその構成要素、又はそれを含む集合体。
請求項17に記載のデバイス、その構成要素、又はそれを含む集合体であって、前記デバイスが、有機電解効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機光電変換素子(OPV)、有機受光素子(OPD)、有機太陽電池、レーザダイオード、ショットキーダイオード及び光導電体から選択され、前記構成要素が、電荷注入層、電荷輸送層、中間層、平坦化層、帯電防止膜、高分子電解質膜(PEM)、導電性基板、導電パターンから選択され、及び前記集合体が、集積回路(IC)、電波方式認識(RFID)タグ又はそれらを含むセキュリティマークもしくはセキュリティデバイス、フラットパネルディスプレイもしくはそのバックライト、電子写真装置、電子写真記録装置、有機メモリ素子、センサー素子、バイオセンサー及びバイオチップから選択される、デバイス、その構成要素、又はそれを含む集合体。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明のポリマーは、合成が容易である上に、有利な特性も示す。これらはデバイス製造プロセスにおいて優れた加工性を示し、有機溶媒への溶解性が高く、溶液プロセス法を用いた大規模生産に特に適している。
【0035】
式Iで表される単位は、n型及びp型の半導体化合物、半導体ポリマー又は半導体コポリマー、特に、供与単位及び受容単位の両方を含むコポリマーにおける(電子)供与単位として特に適しており、また、BHJ型光電変換素子での使用に適したp型半導体及びn型半導体のブレンドの調製にも特に適している。
【0036】
式Iで表される繰り返し単位に含まれる大きな縮合芳香環系は、新規な高機能OSC材料の開発において数多くの利点を提供する。第1に、コア構造の長軸に沿った縮合芳香環の数が多いため、全体としての平面性が高くなり、共役分子骨格に生じ得る捻れの数が低減される。π−π構造又はモノマーが伸長されると共役の度合いが高くなり、それによって、ポリマー骨格に沿った電荷輸送が促進される。第2に、縮合チオフェン環の存在によって分子骨格中の硫黄原子の比率が高くなることにより、より多くの分子間の近接(intermolecular short contact)が促され、分子間の電荷ホッピングに有利となる。第3に、縮合環の数が多いため、OSCポリマー主鎖の梯子型構造の比率が高くなる。このことによって、より幅広くより吸収強度の大きい吸収帯が生じ、その結果として、太陽光集光性が先行技術の材料よりも高くなる。これに加えて(最後の利点ではないが)、芳香環を縮合させることによって、周囲の置換基を利用する場合と比較して、標的のモノマー構造のHOMO及びLUMOのエネルギー準位及びバンドギャップをより効率的に修正することが可能になる。
【0037】
さらに、本発明のポリマーは、次に示す有利な特性を示す:
i)式Iで表されるチエノ[3,2−b]チオフェンをベースとする単位は同一平面構造をとることが期待される。固体状態において高い同一平面性を示す構造は電荷輸送に有利である。
ii)チエノ[3,2−b]チオフェンをベースとする多環に電子豊富なチオフェン単位を導入することにより、このポリマーのHOMO準位はインデノフルオレンポリマーのHOMO準位よりも高くなるであろう。このことにより、本発明のポリマーをトランジスタ素子の有機半導体に使用した場合はポリマーの電荷注入性が改善されることが期待される。さらに、本発明のホモポリマーのHOMO準位は本質的にP3HTや他のポリチオフェン材料よりも低くなることになるため、ポリマーの酸化安定性が改善される。
iii)共役系ポリマーの光電子特性は、各繰り返し単位内の固有の電子密度及び高分子骨格に沿った繰り返し単位間の共役の度合いに基づき大きく変化する。チエノ[3,2−b]チオフェンをベースとする多環構造の長軸に沿ってさらなる芳香環を縮合させることにより、結果として得られるモノマー内の共役、したがってポリマーに沿って共役を拡大することができ、繰り返し単位間に生じ得る「捻れ」による影響を最小限に抑えることができる。
iv)チエノ[3,2−b]チオフェンをベースとする多環をさらに微調整及びさらに修正するか又は適切なコモノマーと共重合させることによって、有機電子材料の候補となる材料が得られるはずである。
【0038】
式Iで表される単位、その機能性誘導体、化合物、単独重合体及び共重合体の合成は、後にさらに例示するように、当業者に知られている方法及び文献に記載されている方法に基づき達成することができる。
【0039】
本明細書において用いられる「ポリマー」という語は、その構造が、分子量が相対的に低い分子から事実上又は概念上誘導された単位の複数の繰り返しを基本的に含む、分子量が相対的に高い分子を意味するものと理解されるであろう(ピュア・アンド・アプライド・ケミストリー(Pure Appl.Chem.)、1996年、第68巻、p.2291)。「オリゴマー」という語は、その構造が、分子量が相対的に低い分子から事実上又は概念上誘導された複数個(少数)の単位を基本的に含む、分子量が相対的に中程度の分子を意味するものと理解されるであろう(ピュア・アンド・アプライド・ケミストリー(Pure Appl.Chem.)、1996年、第68巻、p.2291)。本明細書において本発明に関し用いられる好適な意味においては、ポリマーは、2個以上、すなわち少なくとも2個の繰り返し単位、好適には5個以上の繰り返し単位を有する化合物を意味するものと理解され、オリゴマーは、2個以上であり、かつ10個未満、好適には5個未満の繰り返し単位を有する化合物を意味するものと理解されるであろう。
【0040】
さらに、本明細書において用いられる「ポリマー」という語は、1種以上の異なる種類の繰り返し単位(分子の最小構成単位)からなる骨格(「主鎖」とも称される)を含む分子を意味するものと理解されるであろう。この語は、一般に「オリゴマー」「コポリマー」、「ホモポリマー」等として知られている語も包含する。さらに、ポリマーという語は、ポリマーそのものに加えて、開始剤の残留物、触媒及びこの種のポリマーの合成に付随する他の構成要素も含有するものと理解され、このような残留物はポリマーに共有結合によって組み込まれているものではないと理解される。さらに、このような残留物や他の構成要素は、通常は後段の重合精製プロセスで除去されるが、通常はポリマーと混ざり合っているか又は一体化(co−mingled)しているため、容器間又は溶媒間又は分散媒体間を移動する際も大部分がポリマーと一緒に残留する。
【0041】
本明細書において用いられる、ポリマー又は繰り返し単位を示す式、例えば、式I等で表される単位又は式IIIもしくは式IVもしくはこれらの下位式(subformula)で表されるポリマーにおいて、アスタリスク(
*)は、ポリマー骨格内の隣接する単位又は末端基に繋がる化学結合を意味するものと理解されるであろう。環、例えば、ベンゼン環又はチオフェン環におけるアスタリスク(
*)は、隣接する環と縮合しているC原子を意味するものと理解されるであろう。
【0042】
本明細書において用いられる「繰り返し単位(repeat unit、repeating unit)」及び「モノマー単位」という語は互換的に使用され、これを最小構成単位として繰り返すことにより、規則性巨大分子、規則性オリゴマー分子、規則性ブロック又は規則性鎖を構築する、構成繰り返し単位(CRU:constitutional repeating unit)を意味するものと理解されるであろう(ピュア・アンド・アプライド・ケミストリー(Pure Appl.Chem.)、1996年、第68巻、p.2291)。さらに、本明細書において使用される「単位」という語は、それ自体が繰り返し単位となることもでき、又は他の単位と一緒になって構成繰り返し単位を形成することもできる、構造単位を意味するものと理解されるであろう。
【0043】
本明細書において用いられる「末端基」という語は、ポリマー骨格の末端の基を意味するものと理解されるであろう。「骨格の末端位において」という表現は、一端がこのような末端基に結合しており、他端が他の繰り返し単位に結合している2価の単位又は繰り返し単位を意味するものと理解されるであろう。この種の末端基としては、末端封止基又はポリマー骨格を形成するモノマーに結合しており、重合反応に関与しなかった反応性基(例えば、後に定義するR
5又はR
6の意味を有する基等)が挙げられる。
【0044】
本明細書において用いられる「末端封止基」という語は、ポリマー骨格の末端基に結合
しているか又はこの末端基と置き換わっている基を意味するものと理解されるであろう。末端封止基は末端封止プロセスによってポリマーに導入することができる。末端封止は、例えば、ポリマー骨格の末端基を、例えばハロゲン化アルキル又はハロゲン化アリール、アルキルスタンナン又はアリールスタンナン、ボロン酸アルキル又はボロン酸アリール等の一官能性化合物(「末端封止剤」)と反応させることにより実施することができる。末端封止剤は、例えば、重合反応後に添加することができる。別法として、重合反応の前又は途中で末端封止剤を反応混合物にその場で添加することもできる。末端封止剤をその場で添加することにより、重合反応を停止させ、それによって、形成されるポリマーの分子量を制御することもできる。典型的な末端封止基は、例えば、H、フェニル及び低級アルキルである。
【0045】
本明細書において用いられる「低分子」という語は、通常はポリマーを形成するために反応させることができる反応性基を含まず、単量体形態で使用することが意図されている単量体化合物を意味するものと理解されるであろう。この語とは異なり、「モノマー」という語は、特に断りのない限り、1個以上の反応性官能基を有し、この反応性官能基を介して反応することによりポリマーを形成することができる単量体化合物を意味するものと理解されるであろう。
【0046】
本明細書において用いられる、「供与体」又は「供与性」及び「受容体」又は「受容性」という語は、それぞれ、電子供与体又は電子受容体を意味するものと理解されるであろう。「電子供与体」とは、他の化合物又は同一化合物内の他の原子群に電子を供与する化学的要素(chemical entity)を意味するものと理解されるであろう。「電子受容体」とは、他の化合物又は同一化合物内の他の原子群から移動してきた電子を受容する化学的要素を意味するものと理解されるであろう(アメリカ合衆国環境保護庁(U.S.Environmental Protection Agency)、2009年、専門用語集:http://www.epa.gov/oust/cat/TUMGLOSS.HTMも参照されたい)。
【0047】
本明細書において用いられる「n型」又は「n型半導体」という語は、伝導電子密度が可動正孔密度を上回る不純物半導体を意味するものと理解され、「p型」又は「p型半導体」という語は、可動正孔密度が伝導電子密度を上回る不純物半導体を意味するものと理解されるであろう(J.セウリス(J.Thewlis)著、コンサイス・ディクショナリー・オブ・フィシックス(Concise Dictionary of Physics)、パーガモン・プレス(Pergamon Press)、オックスフォード(Oxford)、1973年も参照されたい)。
【0048】
本明細書において用いられる「脱離基」という語は、特定の反応に参加する分子において、分子の残留部すなわち主要部と見なされる部分の原子から分離する原子又は基(電荷を有していても有していなくてもよい)を意味するものと理解されるであろう(ピュア・アンド・アプライド・ケミストリー(Pure Appl.Chem.)、1994年、第66巻、p.1134も参照されたい)。
【0049】
本明細書において用いられる「共役」という語は、主としてsp
2混成(又は任意選択的にsp混成も)しているC原子を含む化合物(例えば、ポリマー)であって、これらのC原子がヘテロ原子に置き換えられていてもよい化合物を意味するものと理解されるであろう。最も単純な場合においては、これは、例えば、C−C単結合及び二重(又は三重)結合が交互に現れる化合物であるが、例えば、1,4−フェニレン等の芳香族単位を含む化合物も包含される。このことに関連する「主として」という語は、その化合物が、共役を妨げる可能性のある自然に(自発的に)発生する欠陥又は設計に含まれている欠陥を有していても、やはり共役化合物と見なされることを意味するものと理解されるであろう。
【0050】
本明細書において用いられる分子量は、特に断りのない限り、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて、テトラヒドロフラン、トリクロロメタン(TCM、クロロホルム)、クロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の溶出溶媒中で、標準ポリスチレンに対し決定される、数平均分子量M
n又は重量平均分子量M
wとして与えられる。特に断りのない限り、1,2,4−トリクロロベンゼンが溶媒として使用される。重合度n(繰り返し単位の総数とも称される)は、n=M
n/M
u(式中、M
nは数平均分子量であり、M
uは繰り返し単位1個の分子量である)として与えられる重合の度合いの数平均を意味するものと理解されるであろう。J.M.G.コウィー(J.M.G.Cowie)著、高分子:近代材料の化学及び物理(Polymers:Chemistry&Physics of Modern Materials)、ブラッキー(Blackie)、グラスゴー(Glasgow)、1991年を参照されたい。
【0051】
本明細書において用いられる「カルビル基」という語は、少なくとも1個の炭素原子を含み、炭素以外の原子を含まない任意の1価もしくは多価の有機基部分(例えば−C≡C−等)又は任意選択的にB、N、O、S、P、Si、Se、As、Te又はGe等の少なくとも1個の炭素以外の原子が組み合わさった任意の1価もしくは多価の有機基部分(例えばカルボニル等)のいずれかを意味するものと理解されるであろう。
【0052】
本明細書において用いられる「ヒドロカルビル基」という語は、1個以上のさらなるH原子を確実に含み、任意選択的に1個以上のヘテロ原子(例えば、B、N、O、S、P、Si、Se、As、Te又はGe等)も含むカルビル基を意味するものと理解されるであろう。
【0053】
本明細書において用いられる「ヘテロ原子」という語は、有機化合物中のH原子でもC原子でもない原子を意味するものと理解され、好適には、B、N、O、S、P、Si、Se、As、Te又はGeを意味するものと理解されるであろう。
【0054】
3個以上のC原子の鎖を有するカルビル又はヒドロカルビル基は、直鎖、分岐及び/又は環状(スピロ結合した環及び/又は縮合環を含む)であってもよい。
好適なカルビル及びヒドロカルビル基としては、それぞれ、任意選択的に置換されており、1〜40個、好適には1〜25個、非常に好適には1〜18個のC原子を有する、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ及びアルコキシカルボニルオキシ、加えて、任意選択的に置換されており、6〜40個、好適には6〜25個のC原子を有するアリール又はアリールオキシ、加えて、それぞれ任意選択的に置換されており、6〜40個、好適には7〜40個のC原子を有するアルキルアリールオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ及びアリールオキシカルボニルオキシが挙げられ、これらの基はいずれも、やはり、好適にはB、N、O、S、P、Si、Se、As、Te及びGeから選択される1種以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0055】
さらなる好適なカルビル基及びヒドロカルビル基としては、例えば、C
1〜C
40アルキル基、C
1〜C
40フルオロアルキル基、C
1〜C
40アルコキシ又はオキサアルキル基、C
2〜C
40アルケニル基、C
2〜C
40アルキニル基、C
3〜C
40アリル基、C
4〜C
40アルキルジエニル基、C
4〜C
40ポリエニル基、C
2〜C
40ケトン基、C
2〜C
40エステル基、C
6〜C
18アリール基、C
6〜C
40アルキルアリール基、C
6〜C
40アリールアルキル基、C
4〜C
40シクロアルキル基、C
4〜C
40シクロアルケニル基等が挙げられる。上述の基の中でも、それぞれ、C
1〜C
20アルキル基、C
1〜C
20フルオロアルキル基、C
2〜C
20アルケニル基、C
2〜C
20アルキニル基、C
3〜C
20アリル基、C
4〜C
20アルキルジエニル基、C
2〜C
20ケトン基、C
2〜C
20エステル基、C
6〜C
12アリール基及びC
4〜C
20ポリエニル基が好適である。
【0056】
炭素原子を有する基及びヘテロ原子を有する基の組合せ、例えば、シリル基、好適にはトリアルキルシリル基で置換された、アルキニル基、好適にはエチニル基も包含される。
カルビル基又はヒドロカルビル基は非環式基であっても環式基であってもよい。カルビル基又はヒドロカルビル基が非環式基である場合、これは直鎖であっても分岐鎖であってもよい。カルビル基又はヒドロカルビル基が環式基である場合、これは非芳香族炭素環式基又は複素環式基であっても、アリール基又はヘテロアリール基であってもよい。
【0057】
上述及び後述の非芳香族炭素環式基は飽和又は不飽和であり、好適には4〜30個の環C原子を有する。上述及び後述の非芳香族複素環式基は、好適には4〜30個の環C原子を有し、1個以上の環C原子が、任意選択的にヘテロ原子、好適にはN、O、S、Si及びSeから選択されるヘテロ原子又は−S(O)−基もしくは−S(O)
2−基に置き換えられている。非芳香族炭素環式基及び複素環式基は単環又は多環であり、縮合環を含んでいてもよく、好適には、1、2、3又は4個の縮合環又は非縮合環を含み、任意選択的に1個以上のL基で置換されており、
Lは、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR
0R
00、−C(=O)X
0、−C(=O)R
0、−NH
2、−NR
0R
00、−SH、−SR
0、−SO
3H、−SO
2R
0、−OH、−NO
2、−CF
3、−SF
5、任意選択的に置換されたシリル、又は任意選択的に置換されており、任意選択的に1種以上のヘテロ原子を含む、1〜40個のC原子を有するカルビルもしくはヒドロカルビルから選択され、好適には、1〜20個のC原子を有し、任意選択的にフッ素化されているアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル又はアルコキシカルボニルオキシであり、
X
0は、ハロゲン、好適には、F、Cl又はBrであり、
R
0、R
00は、互いに独立に、H又は1〜40個のC原子を有する任意選択的に置換されたカルビル基もしくはヒドロカルビル基を表し、好適には、H又は1〜12個のC原子を有するアルキルを表す。
【0058】
好適な置換基Lは、ハロゲン(最適にはF)、又は1〜16個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、チオアルキル、フルオロアルキル及びフルオロアルコキシ、又は2〜16個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニルから選択される。
【0059】
好適な非芳香族炭素環式基又は複素環式基は、テトラヒドロフラン、インダン、ピラン、ピロリジン、ピペリジン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジヒドロフラン−2−オン、テトラヒドロ−ピラン−2−オン及びオキセパン−2−オンである。
【0060】
上述及び後述のアリール基は、好適には4〜30個の環C原子を有し、単環又は多環であり、縮合環も含んでいてもよく、好適には、1、2、3又は4個の縮合環又は非縮合環を含み、任意選択的に、上に定義した1個以上のL基で置換されている。
【0061】
上述及び後述のヘテロアリール基は、好適には4〜30個の環C原子を有し、環C原子の1個以上が好適にはN、O、S、Si及びSeから選択されるヘテロ原子に置き換えられている単環又は多環であり、縮合環も含んでいてもよく、好適には、1、2、3又は4個の縮合環又は非縮合環を含み、任意選択的に、上に定義した1個以上のL基で置換されている。
【0062】
本明細書において用いられる「アリーレン」は、2価のアリール基を意味すると理解さ
れ、「ヘテロアリーレン」は、2価のヘテロアリール基を意味すると理解され、上述及び後述のアリール及びヘテロアリールの全ての好適な意味を包含する。
【0063】
好適なアリール基及びヘテロアリール基は、加えて、1個以上のCH基が、N、ナフタレン、チオフェン、セレノフェン、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、フルオレン及びオキサゾールに置き換わっていてもよいフェニルであり、これらは全て、無置換であっても上に定義したLで一置換又は多置換されていてもよい。非常に好適な環は、ピロール(好適にはN−ピロール)、フラン、ピリジン(好適には2−又は3−ピリジン)、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、イソチアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チオフェン(好適には2−チオフェン)、セレノフェン(好適には2−セレノフェン)、チエノ[3,2−b]チオフェン、チエノ[2,3−b]チオフェン、フロ[3,2−b]フラン、フロ[2,3−b]フラン、セレノ[3,2−b]セレノフェン、セレノ[2,3−b]セレノフェン、チエノ[3,2−b]セレノフェン、チエノ[3,2−b]フラン、インドール、イソインドール、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン、ベンゾ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン、キノール(quinole)、2−メチルキノール(2−methylquinole)、イソキノール(isoquinole)、キノキサリン、キナゾリン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアジアゾール、4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン、7H−3,4−ジチア−7−シラ−シクロペンタ[a]ペンタレンから選択され、これらは全て、無置換であっても上に定義したLで一置換又は多置換されていてもよい。さらなるアリール基及びヘテロアリール基は、例えば、後に示す群から選択されるものである。
【0064】
アルキル基又はアルコキシ基(すなわち、末端CH
2基が−O−に置き換わっているもの)は、直鎖又は分岐鎖であってもよい。好適には、直鎖は、2、3、4、5、6、7、8、10、12、14、16又は18個の炭素原子を有し、したがって、好適には、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシ、デコキシ、ドデコキシ、テトラデコキシ、ヘキサデコキシ、オクタデコキシであり、さらには、例えば、メチル、ノニル、ウンデシル、トリデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル、ノナデシル、メトキシ、ノノキシ、ウンデコキシ、トリデコキシ、ペンタデコキシ又はヘキサデコキシである。
【0065】
アルケニル基(すなわち、1個以上のCH
2基が−CH=CH−に置き換わっているもの)は、直鎖又は分岐鎖であってもよい。これは好適には直鎖であり、2〜10個のC原子を有し、したがって、好適には、ビニル、プロプ−1−又はプロプ−2−エニル、ブト−1−、2−又はブト−3−エニル、ペント−1−、2−、3−又はペント−4−エニル、ヘキシ−1−、2−、3−、4−又はヘキシ−5−エニル、ヘプト−1−、2−、3−、4−、5−又はヘプト−6−エニル、オクト−1−、2−、3−、4−、5−、6−又はオクト−7−エニル、ノン−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又はノン−8−エニル、デク−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又はデク−9−エニルである。
【0066】
特に好適なアルケニル基は、C
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニル、C
5〜C
7−4−アルケニル、C
6〜C
7−5−アルケニル及びC
7−6−アルケニル、特に、C
2〜C
7−1E−アルケニル、C
4〜C
7−3E−アルケニル及びC
5〜C
7−4−アルケニルである。特に好適なアルケニル基としては、例えば、ビニル、1
E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニル等が挙げられる。5個までのC原子を有する基が一般に好適である。
【0067】
オキサアルキル基(すなわち、1個のCH
2基が−O−に置き換わっているもの)は、好適には、例えば、直鎖2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)もしくは3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−もしくは4−オキサペンチル、2−3−、4−もしくは5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニル又は2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−オキサデシルである。
【0068】
1個のCH
2基が−O−に置き換わっており、かつ1個のCH
2基が−C(O)−に置き換わっているアルキル基においては、これらの基は、好適には隣接している。したがって、これらの基は一緒になって、カルボニルオキシ基−C(O)−O−又はオキシカルボニル基−O−C(O)−を形成する。好適には、この基は直鎖であり、2〜6個のC原子を有する。したがって、これは、好適には、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセチルオキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセチルオキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピル、4−(メトキシカルボニル)−ブチルである。
【0069】
2個以上のCH
2基が−O−及び/又は−C(O)O−に置き換わっているアルキル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。これは好適には直鎖であり、3〜20個のC原子を有する。したがって、これは、好適には、ビスカルボキシ−メチル、2,2−ビス−カルボキシ−エチル、3,3−ビス−カルボキシ−プロピル、4,4−ビス−カルボキシ−ブチル、5,5−ビス−カルボキシ−ペンチル、6,6−ビス−カルボキシ−ヘキシル、7,7−ビス−カルボキシ−ヘプチル、8,8−ビス−カルボキシ−オクチル、9,9−ビス−カルボキシ−ノニル、10,10−ビス−カルボキシ−デシル、ビス−(メトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(メトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(メトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(メトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(メトキシカルボニル)−ペンチル、6,6−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘキシル、7,7−ビス−(メトキシカルボニル)−ヘプチル、8,8−ビス−(メトキシカルボニル)−オクチル、ビス−(エトキシカルボニル)−メチル、2,2−ビス−(エトキシカルボニル)−エチル、3,3−ビス−(エトキシカルボニル)−プロピル、4,4−ビス−(エトキシカルボニル)−ブチル、5,5−ビス−(エトキシカルボニル)−ヘキシルである。
【0070】
チオアルキル基、すなわち1個のCH
2基が−S−に置き換わっているものは、好適には、直鎖チオメチル(−SCH
3)、1−チオエチル(−SCH
2CH
3)、1−チオプロピル(=−SCH
2CH
2CH
3)、1−(チオブチル)、1−(チオペンチル)、1−(チオヘキシル)、1−(チオヘプチル)、1−(チオオクチル)、1−(チオノニル)、1−(チオデシル)、1−(チオウンデシル)、1−(チオドデシル)、1−(チオ
テトラデシル)、1−(チオヘキサデシル)又は1−(チオオクタデシル)であり、好適には、sp
2混成したビニル炭素原子に隣接するCH
2基が置き換わっている。
【0071】
フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキルC
iF
2i+1(式中、iは、1〜15の整数である)、特に、CF
3、C
2F
5、C
3F
7、C
4F
9、C
5F
11、C
6F
13、C
7F
15又はC
8F
17、C
10F
21、C
12F
25、C
14F
29、C
16F
33又はC
18F
35であり、非常に好適にはC
6F
13、又は1〜15個のC原子を有する一部フッ素化されたアルキル、特に、1,1−ジフルオロアルキルであり、これらは全て直鎖又は分岐鎖である。
【0072】
アルキル、アルコキシ、アルケニル、オキサアルキル、チオアルキル、カルボニル及びカルボニルオキシ基は、アキラルな基であってもキラルな基であってもよい。特に好適なキラルな基は、例えば、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、2−ブチルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルドデシル、7−デシルノナデシル、特に、2−メチルブチル、2−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、2−ブチルオクトキシ(butyloctoxyo)、2−ヘキシルデコキシ、2−オクチルドデコキシ、1−メチルヘキソキシ、2−オクチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチル−ペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、6−メトキシオクトキシ、6−メチルオクトキシ、6−メチルオクタノイルオキシ、5−メチルヘプチルオキシ−カルボニル、2−メチルブチリルオキシ、3−メチルバレロイルオキシ、4−メチルヘキサノイルオキシ、2−クロロプロピオニルオキシ、2−クロロ−3−メチルブチリルオキシ、2−クロロ−4−メチル−バレリル−オキシ、2−クロロ−3−メチルバレリルオキシ、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサ−ヘキシル、1−メトキシプロピル−2−オキシ、1−エトキシプロピル−2−オキシ、1−プロポキシプロピル−2−オキシ、1−ブトキシプロピル−2−オキシ、2−フルオロオクチルオキシ、2−フルオロデシルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、2−フルオロメチルオクチルオキシである。非常に好適には、2−エチルヘキシル、2−ブチルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルドデシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−オクチルオキシ、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル及び1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシである。
【0073】
好適なアキラルな分岐基は、イソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)、イソペンチル(=3−メチルブチル)、tert−ブチル、イソプロポキシ、2−メチル−プロポキシ及び3−メチルブトキシである。
【0074】
好適な実施形態において、アルキル基は、互いに独立に、1個以上のH原子が任意選択的にFに置き換わっており、1〜30個のC原子を有する、1級、2級もしくは3級アルキルもしくはアルコキシから選択されるか、又は任意選択的にアルキル化もしくはアルコキシ化されており、4〜30個の環原子を有するアリール、アリールオキシ、ヘテロアリール又はヘテロアリールオキシから選択される。この種の非常に好適な基は、次に示す式
【0075】
【化3】
(式中、「ALK」は、任意選択的にフッ素化されている、好適には直鎖の、1〜20個、好適には1〜12個のC原子を有する(第3級基の場合は、非常に好適には1〜9個のC原子を有する)アルキル又はアルコキシを表し、破線は、これらの基が連結している環への結合を表す)からなる群から選択される。これらの基の中でも特に好適な基は、ALK基が全て同一である基である。
【0076】
本明細書において用いられる「ハロゲン」又は「hal」としては、F、Cl、Br又はI、好適には、F、Cl又はBrが挙げられる。
本明細書において用いられる、−CO−、−C(=O)−及び−C(O)−は、カルボニル基、すなわち
【0077】
【化4】
の構造を有する基を意味するものと理解されるであろう。
【0078】
上述及び後述のY
1及びY
2は、互いに独立に、H、F、Cl又はCNである。
上述及び後述のR
0及びR
00は、互いに独立に、Hであるか又は1〜40個のC原子を有する任意選択的に置換されているカルビル基もしくはヒドロカルビル基であり、好適にはHを表すか又は1〜12個のC原子を有するアルキルを表す。
【0079】
式Iで表される単位において、Rは、好適には、16、18、20、22又は24個のC原子を有する直鎖アルキル、非常に好適には、16又は18個のC原子を有する直鎖アルキルを表す。好適には、式IのRは、フッ素化されていないアルキル基である。
【0080】
本発明による好適なポリマーは、式IIa又はIIb
−[(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]− IIa
−[(U)
b−(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]− IIb(式中、
Uは、式Iで表される単位であり、
Ar
1、Ar
2、Ar
3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、かつ互いに独立に、Uとは異なり、好適には5〜30個の環原子を有し、及び任意選択的に好適には1個以上のR
s基で置換されているアリール又はヘテロアリールであり、
R
sは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、F、Br、Cl、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(O)NR
0R
00、−C(O)X
0、−C(O)R
0、−C(O)OR
0、−NH
2、−NR
0R
00、−SH、−SR
0、−SO
3H、−SO
2R
0、−OH、−NO
2、−CF
3、−SF
5、任意選択的に置換されたシリル、1〜40個のC原子を有し、任意選択的に置換されており、かつ任意選択的に1種以上のヘテロ原子を含むカルビル又はヒドロカルビルであり、
R
0及びR
00は、互いに独立に、Hであるか又は任意選択的に置換されたC
1〜40カルビルもしくはヒドロカルビルであり、好適にはH又は1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
X
0は、ハロゲン、好適には、F、Cl又はBrであり、
a、b、cは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、0、1又は2であり、
dは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、0又は1〜10の整数である)で表される1種以上の繰り返し単位を含み、このポリマーは、bが少なくとも1である式IIa又はIIbで表される少なくとも1個の繰り返し単位を含む。
【0081】
本発明によるさらなる好適なポリマーは、式I、式IIa又はIIbで表される単位に加えて、任意選択的に置換された単環式又は多環式アリール基又はヘテロアリール基から選択される1種以上の繰り返し単位を含む。
【0082】
このさらなる繰り返し単位は、好適には、式IIIa及びIIIb
−[(Ar
1)
a−(A
c)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]− IIIa
−[(A
c)
b−(Ar
1)
a−(A
c)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]− IIIb
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a、b、c及びdは、式IIaにおいて定義される通りであり、かつA
cは、U及びAr
1〜3とは異なり、好適には5〜30個の環原子を有し、上及び下に定義する1種以上のR
s基で任意選択的に置換されており、及び好適には電子受容性を有するアリール又はヘテロアリール基から選択される、アリール又はヘテロアリール基である)から選択され、このポリマーは、bが少なくとも1である式IIIa又はIIIbで表される少なくとも1個の繰り返し単位を含む。
【0083】
R
sは、好適には、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、Hを表すか、又は1〜30個のC原子を有する直鎖、分岐もしくは環状アルキル(これらは、1個以上のCH
2基が、任意選択的にO−、−S−、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NR
0−、−SiR
0R
00−、−CF
2−、−CHR
0=CR
00−、−CY
1=CY
2−又は−C≡C−に(O及び/又はS原子が互いに直接結合しないように)に置き換わっており、1個以上のH原子が、任意選択的に、F、Cl、Br、I又はCNに置き換わっている)を表すか、又は4〜20個の環原子を有し、任意選択的に置換されている(好適にはハロゲンで、又は上述のアルキルもしくは環状アルキル基のうちの1個以上で)、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシを表し、
R
0及びR
00は、互いに独立に、H又は任意選択的に置換されたC
1〜40カルビルもしくはヒドロカルビルを表し、好適には、H又は1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
X
0は、ハロゲン、好適には、F、Cl又はBrを表し、
Y
1及びY
2は、H、F又はCNを表す。
【0084】
本発明による共役系ポリマーは、好適には、式IV:
【0085】
【化5】
(式中、
A、B、Cは、互いに独立に、式I、Ia、IIa、IIb、IIIa、IIIb又はこれらの好適な下位式で表される別々の単位を表し、
xは、>0かつ≦1であり、
yは、≧0かつ<1であり、
zは、≧0かつ<1であり、
x+y+zは、1であり、及び
nは、2以上の整数である)から選択される。
【0086】
式IVで表される好適なポリマーは、次に示す式
*−[(Ar
1−U−Ar
2)
x−(Ar
3)
y]
n−
* IVa
*−[(Ar
1−U−Ar
2)
x−(Ar
3−Ar
3)
y]
n−
* IVb
*−[(Ar
1−U−Ar
2)
x−(Ar
3−Ar
3−Ar
3)
y]
n−
* IVc
*−[(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]
n−
* IVd
*−([(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]
x−[(Ar
1)
a−(Ar
c)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]
y)
n−
* IVe
*−[(U−Ar
1−U)
x−(Ar
2−Ar
3)
y]
n−
* IVf
*−[(U−Ar
1−U)
x−(Ar
2−Ar
3−Ar
2)
y]
n−
* IVg
*−[(U)
b−(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c]
n−
* IVh
*−([(U)
b−(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c]
x−[(A
c)
b−(Ar
1)
a−(A
c)
b−(Ar
2)
d]
y)
n−
* IVi
*−([(U−Ar
1)
x−(U−Ar
2)
y−(U−Ar
3)
z]
n−
* IVk(式中、U、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a、b、c及びdは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、式IIaにおいて与えられた意味の1つを有し、A
cは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、式IIIaにおいて与えられた意味の1つを有し、かつx、y、z及びnは、式IVにおいて定義される通りである)から選択され、これらのポリマーは、交互共重合体又はランダム共重合体であってもよく、式IVd及びIVeでは、繰り返し単位[(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]の少なくとも1つ及び繰り返し単位[(Ar
1)
a−(Ar
c)
b−(Ar
2)
c−(Ar
3)
d]の少なくとも1つにおいて、bは少なくとも1であり、式IVh及びIViでは、繰り返し単位[(U)
b−(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
d]の少なくとも1つ及び繰り返し単位[(U)
b−(Ar
1)
a−(U)
b−(Ar
2)
d]の少なくとも1つにおいて、bは少なくとも1である。
【0087】
式IV及びその下位式IVa〜IVkで表されるポリマーにおいて、好適には、bは、全ての繰り返し単位において1である。
式IV及びその下位式IVa〜IVkで表されるポリマーにおいて、xは、好適には、0.1〜0.9、非常に好適には0.3〜0.7である。
【0088】
本発明の好適な実施形態においては、y及びzの一方は0であり、他方は0を超える。本発明の他の好適な実施形態においては、y及びzは両方共0である。本発明のさらなる他の好適な実施形態においては、y及びzは両方共0を超える。式IV及びその下位式IVa〜IVkで表されるポリマーにおいては、y又はzは0を超え、好適には0.1〜0.9、非常に好適には0.3〜0.7である。
【0089】
本発明によるポリマーにおいて、繰り返し単位の総数nは、好適には2〜10,000である。繰り返し単位の総数nは、好適には≧5、非常に好適には≧10、最適には≧50であり、好適には≦500、非常好適には≦1,000、最適には≦2,000であり、上述のnの下限値及び上限値の任意の組合せが包含される。
【0090】
本発明のポリマーには、単独重合体及び統計共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体等の共重合体に加えてこれらの組合せが含まれる。
特に好適なポリマーは、次に示す群:
− A群:単位U又は(Ar
1−U)又は(Ar
1−U−Ar
2)又は(Ar
1−U−Ar
3)又は(U−Ar
2−Ar
3)又は(Ar
1−U−Ar
2−Ar
3)又は(U−Ar
1−U)の単独重合体、すなわち全ての繰り返し単位が同一である単独重合体からなる群、
− B群:同一の単位(Ar
1−U−Ar
2)又は(U−Ar
1−U)と、同一の単位(Ar
3)とから形成されるランダム共重合体又は交互共重合体からなる群、
− C群:同一の単位(Ar
1−U−Ar
2)又は(U−Ar
1−U)と、同一の単位(Ar
1)とから形成されるランダム共重合体又は交互共重合体からなる群、
− D群:同一の単位(Ar
1−U−Ar
2)又は(U−Ar
1−U)と、同一の単位(Ar
1−A
c−Ar
2)又は(A
c−Ar
1−A
c)とから形成されるランダム共重合体又は交互共重合体からなる群
から選択され、
式中、これらの基U、A
c、Ar
1、Ar
2及びAr
3は全て上及び下に定義される通りであり、A、B及びC群において、Ar
1、Ar
2及びAr
3は、単結合ではなく、D群において、Ar
1及びAr
2のうちの1つは単結合を表していてもよい。
【0092】
【化6】
(式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17及びR
18は、互いに独立に、Hを表すか又は上及び下に定義するR
sの意味の1つを有する)からなる群から選択される、好適には電子供与性を有する、式I、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IV、IVa〜IVk、V、VIa、VIb及びこれらの下位式(式中、Ar
1、Ar
2及びAr
3の1種以上はアリール又はヘテロアリールを表す)で表される繰り返し単位、モノマー及びポリマーが特に好適である。
【0094】
【化7】
(式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15及びR
16は互いに独立に、Hを表すか又は上及び下に定義するR
sの意味の1つを有する)からなる群から選択される、好適には電子受容性を有する、式I、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IV、IVa〜IVk、V、VIa、VIb及びこれらの下位式(式中、A
c及び/又はAr
3はアリー
ル又はヘテロアリールを表す)で表される繰り返し単位、モノマー及びポリマーがさらに好適である。
【0096】
【化8】
(式中、
Rは、式Iの意味を有するか又は上述及び後述の好適な意味の1つを有し、
D
a、D
b、D
c、D
d、D
e及びD
fは、互いに独立に、電子供与性を有し、及び式Iとは異なり、好適には5〜30個の環原子を有し、かつ任意選択的に好適には式IIaにおいて定義した1個以上のR
s基で置換されている、アリール又はヘテロアリールであり、
iは、>0かつ<1であり、及び
m、o、p、q、r及びsは、互いに独立に、≧0かつ<1であり、
但し、m、o、p、q、r及びsのうちの少なくとも1つは>0である)で表されるポリマーがさらに好適である。
【0097】
供与単位D
a、D
b、D
c、D
d、D
e及びD
fは、好適には、上述の式D1〜D116から選択される。
さらに好適には、供与単位D
a、D
b、D
c、D
d、D
e及びD
fは、次式:
【0098】
【化9】
(式中、
X
11及びX
12は、互いに独立に、O、S、Se又はNR
sを表し、R
sは、式IIaにおいて定義される通りであり、及びR
11〜R
21は、互いに独立に、Hを表すか又は上述及び後述のR
sの意味の1つを有する)から選択される。
【0099】
特に好適な式DU1〜DU18で表される単位は、X
11及びX
12がSを表すものである。
さらに好適な式DU1〜DU12で表される単位は、特にX
11及びX
12がSを表すものである。
【0100】
o、p、q、r及びsが0である、式IV1で表されるポリマーがさらに好適である。
m及びoが>0である式IV1で表されるポリマーがさらに好適である。
次式:
【0101】
【化10】
(式中、R、R
11、R
12、i及びmは、式IV1において与えられた意味を有し、好適には、R
11及びR
12はHである)で表されるポリマーが特に好適である。好適には、m及びiは、0.1〜0.9、非常に好適には0.3〜0.7である。
【0102】
好適なポリマーは、式V
R
5−鎖−R
6 V
(式中、「鎖」は、式IV、IV1、IV1a、IV1b又はIVa〜IVkで表される高分子鎖を表し、R
5及びR
6は、互いに独立に、上に定義したR
sの意味の1つを有するか、又は互いに独立に、H、F、Br、Cl、I、−CH
2Cl、−CHO、−CR’=CR’’
2、−SiR’R’’R’’’、−SiR’X’X’’、−SiR’R’’X’、−SnR’R’’R’’’、−BR’R’’、−B(OR’)(OR’’)、−B(OH)
2、−O−SO
2−R’、−C≡CH、−C≡C−SiR’
3、−ZnX’もしくは末端封止基を表し、X’及びX’’はハロゲンを表し、R’、R’’及びR’’’は、互いに独立に、式Iにおいて与えられたR
0の意味の1つを有し、かつR’、R’’及びR’’’のうちの2つが、それらが結合しているヘテロ原子と一緒になって環を形成していてもよい)から選択される。
【0103】
好適な末端封止基R
5及びR
6は、H、C
1〜20アルキル又は任意選択的に置換されたC
6〜12アリールもしくはC
2〜10ヘテロアリールであり、非常に好適には、H又はフェニルである。
【0104】
式IV、IV1、IV1a、IV1b、IVa〜IVk及びVには、ブロック共重合体、ランダム共重合体、統計共重合体及び交互共重合体が包含される。
さらに本発明は、式VIa、VIb及びVIc
R
7−(Ar
1)
a−U−(Ar
2)
c−R
8 VIa
R
7−U−(Ar
1)
a−U−R
8 VIb
R
7−U−(D
a)
a1−(D
b)
b1−(D
c)
c1−(D
d)
d1−(D
e)
e1−(D
f)
f1−R
8 IVc
(式中、U、Ar
1、Ar
2、a及びbは、式IIaの意味を有するか又は上述及び後述
の好適な意味の1つを有し、
D
a、D
b、D
c、D
d、D
e及びD
fは、式IV1の意味を有し、
a1、b1、c1、d1、e1及びf1は、互いに独立に、0又は1であり、但し、a1、b1、c1、d1、e1及びf1のうちの少なくとも1つは1であり、及び
R
7及びR
8は、好適には、互いに独立に、Cl、Br、I、O−トシラート、O−トリフラート、O−メシラート、O−ノナフラート、−SiMe
2F、−SiMeF
2、−O−SO
2Z
1、−B(OZ
2)
2、−CZ
3=C(Z
3)
2、−C≡CH、−C≡CSi(Z
1)
3、−ZnX
0及びSn(Z
4)
3(式中、X
0は、ハロゲン、好適にはCl、Br又はIであり、Z
1〜4は、それぞれ任意選択的に置換されているアルキル及びアリールからなる群から選択され、かつ2個のZ
2基が一緒になって環式基を形成していてもよい)からなる群から選択される)で表されるモノマーに関する。
【0105】
特に好適なモノマーは、次式
R
7−Ar
1−U−Ar
2−R
8 VI1
R
7−U−R
8 VI2
R
7−Ar
1−U−R
8 VI3
R
7−U−Ar
2−R
8 VI4
R
7−U−Ar
1−U−R
8 VI5
R
7−U−D
a−R
8 VI6
(式中、U、D
a、Ar
1、Ar
2、R
7及びR
8は式VIにおいて定義される通りである)で表されるものである。
【0106】
次に示す好適な実施形態の一覧から選択される式I〜VI及びこれらの下位式で表される繰り返し単位、モノマー及びポリマーがさらに好適である。
− yが>0かつ<1であり、zが0である、
− yが>0かつ<1であり、zが>0かつ<1である、
− nが少なくとも5、好適には少なくとも10、非常に好適には少なくとも50、かつ2,000まで、好適には500までである、
− M
wが少なくとも5,000、好適には少なくとも8,000、非常に好適には少なくとも10,000、かつ好適には300,000まで、非常に好適には100,000までである、
− Rが、16、18、20、22又は24個のC原子を有する直鎖アルキル、好適には、16又は18個のC原子を有する直鎖アルキルを表す、
− R
s基が全てHを表す、
− 少なくとも1個のR
s基がHではない、
− R
sが、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、1〜30個のC原子を有する1級アルキル、3〜30個のC原子を有する2級アルキル及び4〜30個のC原子を有する3級アルキル(これらの基は全て、1個以上のH原子が任意選択的にFに置き換わっている)からなる群から選択される、
− R
sが、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、任意選択的にフッ素化、アルキル化又はアルコキシ化されており、4〜30個の環原子を有する、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される、
− R
sが、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、任意選択的にフッ素化又はアルキル化されており、4〜30個の環原子を有する、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される、
− R
sが、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、1〜30個のC原子を有する1級アルコキシ又はスルファニルアルキル、3〜30個のC原子を有する2級アルコキシ又はスルファニルアルキル及び4〜30個のC原子を有する3級アルコキシ又はスルファニルアルキル(これらの基は全て、1個以上のH原子が任意選択的にFに置き換わっている)からなる群から選択される、
− R
sが、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、任意選択的にアルキル化又はアルコキシ化されており、4〜30個の環原子を有する、アリールオキシ及びヘテロアリールオキシからなる群から選択される、
− R
sが、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、全て直鎖又は分岐鎖であり、任意選択的にフッ素化されており、1〜30個のC原子を有する、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル及びアルキルカルボニルオキシからなる群から選択される、
− R
sが、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、F、Cl、Br、I、CN、R
9、−C(O)−R
9、−C(O)−O−R
9又は−O−C(O)−R
9、−SO
2−R
9、−SO
3−R
9(式中、R
9は、隣接していない1個以上のC原子が、任意選択的に、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−SO
2−、−SO
3−、−CR
0=CR
00−もしくは−C≡C−に置き換わっており、1個以上のH原子が、任意選択的に、F、Cl、Br、IもしくはCNに置き換わっている、1〜30個のC原子を有する直鎖、分岐もしくは環状アルキルであるか、又はR
9は、無置換であるかもしくは1個以上のハロゲン原子もしくは1個以上の上に定義したR
1で置換されている、4〜30個の環原子を有するアリールもしくはヘテロアリールである)を表す、
− R
0及びR
00が、H又はC
1〜C
10アルキルから選択される、
− R
5及びR
6が、互いに独立に、H、ハロゲン、−CH
2Cl、−CHO、−CH=CH
2−SiR’R’’R’’’、−SnR’R’’R’’’、−BR’R’’、−B(OR’)(OR’’)、−B(OH)
2、P−Sp、C
1〜C
20−アルキル、C
1〜C
20−アルコキシ、C
2〜C
20−アルケニル、C
1〜C
20−フルオロアルキル及び任意選択的に置換されたアリール又はヘテロアリール、好適にはフェニルから選択される、− R
7及びR
8が、互いに独立に、Cl、Br、I、O−トシラート、O−トリフラート、O−メシラート、O−ノナフラート、−SiMe
2F、−SiMeF
2、−O−SO
2Z
1、−B(OZ
2)
2、−CZ
3=C(Z
4)
2、−C≡CH、C≡CSi(Z
1)
3、−ZnX
0及び−Sn(Z
4)
3(式中、X
0は、ハロゲンであり、Z
1〜4は、アルキル及びアリールからなる群から選択され、それぞれ任意選択的に置換されており、2個のZ
2基が環状基を形成してもよい)からなる群から選択される。
【0107】
本発明の化合物は、文献に記載されている当業者に公知の方法に従うか又は類似の方法で合成することができる。他の調製方法は、実施例から採用することができる。例えば、ポリマーは、好適には、山本カップリング、鈴木カップリング、スティルカップリング、薗頭カップリング、ヘックカップリング、ブッフバルトカップリング等のアリール−アリールカップリング反応により調製することができる。鈴木カップリング、スティルカップリング及び山本カップリングが特に好適である。重合により本発明のポリマーの繰り返し単位を形成する本発明のモノマーは、当業者に公知の方法に従い調製することができる。
【0108】
好適には、本発明のポリマーは、式VIa又はVIb又は上述及び後述のこれらの好適な下位式で表されるモノマーから調製される。
本発明の他の態様は、1種以上の同一又は異なる、式Iで表されるモノマー単位又は式VIaもしくはVIbで表されるモノマーを、互いに、及び/又は1種以上のコモノマーと、重合反応、好適にはアリール−アリールカップリング反応によりカップリングさせることによる、ポリマーを調製するためのプロセスである。
【0109】
好適なコモノマーは、次式
R
7−(Ar
1)
a−A
c−(Ar
2)
c−R
8 VIII
R
7−Ar
1−R
8 IX
R
7−Ar
3−R
8 X
R
7−D
a−R
8 XI
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、a及びcは、式IIaの意味の1つ又は上述及び後述
の好適な意味の1つを有し、A
cは、式IIIaの意味の1つ又は上述及び後述の好適な意味の1つを有し、D
aは、式IV1の意味を有するか又は上述及び後述の好適な意味の1つを有し、R
7及びR
8は、式VIの意味の1つ又は上述及び後述の好適な意味の1つを有する)から選択される。
【0110】
非常に好適なプロセスは、式VIa又はVIbから選択される1種以上のモノマーを、式VIIIで表される1種以上のモノマーと、任意選択的に、式IX、X及びXIから選択される1種以上のモノマーと一緒に、アリール−アリールカップリング反応においてカップリングさせることによりポリマーを調製するためのプロセスであって、好適には、R
7及びR
8は、Cl、Br、I、−B(OZ
2)
2及び−Sn(Z
4)
3から選択される、プロセスである。
【0111】
例えば、本発明の好適な実施形態は、
a)式VI1
R
7−Ar
1−U−Ar
2−R
8 VI1
で表されるモノマーを、式IX
R
7−Ar
1−R
8 IX
で表されるモノマーと、アリール−アリールカップリング反応においてカップリングさせることによる、ポリマーを調製するためのプロセス、
又は
b)式VI2
R
7−U−R
8 VI2
で表されるモノマーを、式VIII1
R
7−Ar
1−A
c−Ar
2−R
8 VIII1
で表されるモノマーと、アリール−アリールカップリング反応においてカップリングさせることによる、ポリマーを調製するためのプロセス、
又は
c)式VI2
R
7−U−R
8 VI2
で表されるモノマーを、式VIII−2
R
7−A
c−R
8 VIII2
で表されるモノマーと、アリール−アリールカップリング反応においてカップリングさせることによる、ポリマーを調製するためのプロセス、
又は
d)式VI2
R
7−U−R
8 VI2
で表されるモノマーを、式VIII2
R
7−A−R
8 VIII2
で表されるモノマー及び式IX
R
7−Ar
1−R
8 IX
で表されるモノマーと、アリール−アリールカップリング反応においてカップリングさせることによる、ポリマーを調製するためのプロセス、
e)式VI1
R
7−U−Ar
1−U−R
8 VI5
で表されるモノマーを、式IX
R
7−Ar
1−R
8 IX
で表されるモノマーと、アリール−アリールカップリング反応においてカップリングさせることによる、ポリマーを調製するためのプロセス、
又は
f)式VI2
R
7−U−R
8 VI2
で表されるモノマーを、式IX
R
7−Ar
1−R
8 IX
で表されるモノマー及び式X
R
7−Ar
3−R
8 X
で表されるモノマーと、アリール−アリールカップリング反応においてカップリングさせることによる、ポリマーを調製するためのプロセス、
又は
g)式VI2
R
7−U−R
8 VI2
で表されるモノマーを、式XI
R
7−D
a−R
8 XI
で表されるモノマーと、アリール−アリールカップリング反応においてカップリングさせることによる、ポリマーを調製するためのプロセス
(式中、R
7、R
8、U、D
a、A
c、Ar
1,2,3は、式IIa、IIIa、VIa及びVI1において定義される通りであり、R
7及びR
8は、好適には、式VIaに関し定義したCl、Br、I、−B(OZ
2)
2及び−Sn(Z
4)
3から選択される)に関する。
【0112】
上述及び後述のプロセスに用いられる好適なアリール−アリールカップリング及び重合方法は、山本カップリング、熊田カップリング、根岸カップリング、鈴木カップリング、スティルカップリング、薗頭カップリング、ヘックカップリング、C−H活性化カップリング、ウルマンカップリング又はブッフバルトカップリングである。鈴木カップリング、根岸カップリング、スティルカップリング及び山本カップリングが特に好適である。鈴木カップリングは、例えば、国際公開第00/53656A1号パンフレットに記載されている。根岸カップリングは、例えば、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサエティー、ケミカル・コミュニケーションズ(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.)、1977年、p.683〜684に記載されている。山本カップリングは、例えば、T.ヤマモト(T.Yamamoto)ら著、プログレス・イン・ポリマー・サイエンス(Prog.Polym.Sci.)、1993年、第17巻、p.1153〜1205又は国際公開第2004/022626A1号パンフレットに記載されている。スティルカップリングは、例えば、Z.バオ(Z.Bao)ら著、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1995年、第117巻、p.12426〜12435に記載されており、C−H活性化は、例えば、M・ルクレール(M.Leclerc)ら著、アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angew.Chem.Int.Ed.)、2012年、第51巻、p.2068〜2071に記載されている。例えば、山本カップリングを用いる場合は、好適には、2個の反応性ハライド基を有するモノマーが使用される。鈴木カップリングを用いる場合は、2個の反応性ボロン酸もしくはボロン酸エステル基又は2個の反応性ハライド基を有する式IIの化合物を使用することが好適である。スティルカップリングを用いる場合は、2個の反応性スタンナン基又は2個の反応性ハライド基を有するモノマーを使用することが好適である。根岸カップリングを用いる場合は、2個の反応性有機亜鉛基又は2個の反応性ハライド基を有するモノマーを使用することが好適である。C−H活性化重合(C−H activation polymerization)により直鎖ポリマーを合成する場合は、少なくとも1個の反応性基が活性化された水素結合である上述のモノマーを使用することが好適である。
【0113】
鈴木、根岸又はスティルカップリングに特に好適な触媒は、Pd(0)錯体又はPd(II)塩から選択される。好適なPd(0)錯体は、少なくとも1個のホスフィン配位子(Pd(Ph
3P)
4等)を有するものである。他の好適なホスフィン配位子は、トリス
(オルト−トリル)ホスフィン、すなわちPd(o−Tol
3P)
4である。好適なPd(II)塩としては、酢酸パラジウムすなわちPd(OAc)
2が挙げられる。あるいは、Pd(0)錯体は、Pd(0)ジベンジリデンアセトン錯体(例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0))又はPd(II)塩(例えば、酢酸パラジウム)を、ホスフィン配位子(例えば、トリフェニルホスフィン、トリス(オルト−トリル)ホスフィン又はトリ(tert−ブチル)ホスフィン)と混合することにより調製することができる。鈴木重合は、塩基(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化リチウム、リン酸カリウム)又は有機塩基(炭酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等)の存在下に行われる。山本重合は、Ni(0)錯体、例えば、ビス(1,5−シクロオクタジエニル)ニッケル(0)を使用する。
【0114】
鈴木重合、スティル重合及びC−H活性化カップリング重合(C−H activation coupling polymerisation)は、単独重合体だけでなく、統計、交互及びブロックランダム共重合体の調製にも用いることができる。統計又はブロック共重合体は、例えば、反応性基のうちの1つがハロゲンであり、他の反応性基が、活性化されたC−H結合、ボロン酸、ボロン酸誘導体基又は及びアルキルスタンナンである、上述の式VI又はその下位式で表されるモノマーから調製することができる。統計、交互又はブロック共重合体の合成は、例えば、国際公開第03/048225A2号パンフレット又は国際公開第2005/014688A2号パンフレットに詳述されている。
【0115】
上述のハロゲンに替えて、式−O−SO
2Z
1で表される脱離基を用いることができる(式中、Z
1は上述の通りである)。この種の脱離基の具体例は、トシラート、メシラート及びトリフラートである。
【0116】
式I〜VI及びこれらの下位式で表される繰り返し単位、モノマー及びポリマーの特に好適な合成方法を以下の合成スキームに例示する。ここでR、a、b、c、d及びnは上記において定義される通りであり、Ar及びAr’は、上述のAr
1、Ar
2、Ar
3及びA
cの意味の1つを有する。
【0117】
臭素化モノマーを合成するための別法をスキーム1及び2に例示する。
スキーム1
【0119】
【化12】
ボロン酸化モノマーの合成をスキーム3に例示する。
スキーム3
【0120】
【化13】
様々な方法を用いた単独重合体の合成をスキーム4に例示する。
スキーム4
【0121】
【化14】
交互共重合体の合成をスキーム5に例示する。
スキーム5
【0122】
【化15】
統計ブロック共重合体の合成をスキーム6に例示する。
スキーム6
【0123】
【化16】
上述及び後述のモノマー及びポリマーを調製する新規な方法は本発明の他の態様である。
【0124】
本発明による化合物及びポリマーは、例えば、モノマー化合物と一緒に、又は電荷輸送性、半導体性、導電性、光導電性及び/もしくは発光半導体性を有する他のポリマーと一緒に、又は例えばOLED素子の中間層もしくは電荷ブロック層として使用するための正孔ブロック性もしくは電子ブロック性を有するポリマーと一緒に、混合物又はポリマーブレンドとして使用することもできる。したがって、本発明の他の態様は、本発明による1種以上のポリマーと、上述の1つ以上の特性を有する1種以上のさらなるポリマーとを含むポリマーブレンドに関する。これらのブレンドは、先行技術において記載されており、当業者に知られている従来法により調製することができる。通常、ポリマーを互いに混合するか又は好適な溶媒中に溶解してその溶液を合一する。
【0125】
本発明の他の態様は、上述及び後述の1種以上の低分子、ポリマー、混合物又はポリマーブレンドと、1種以上の有機溶媒とを含む配合物に関する。
好適な溶媒は、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エーテル及びこれらの混合物である。使用可能な他の溶媒としては、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ペンチルベンゼン、メシチレン、クメン、シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、デカリン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾトリフルオリド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロメチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、3−フルオロベンゾ−ニトリル、2,5−ジメチルアニソー
ル、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチル−アニソール、N,N−ジメチルアニリン、安息香酸エチル、1−フルオロ−3,5−ジメトキシ−ベンゼン、1−メチルナフタレン、N−メチルピロリジノン、3−フルオロベンゾ−トリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ジオキサン、トリフルオロメトキシ−ベンゼン、4−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロピリジン、トルエン、2−フルオロ−トルエン、2−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロトルエン、4−イソプロピルビフェニル、フェニルエーテル、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロ−ベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロ−ベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン又はo−、m−及びp−異性体の混合物が挙げられる。一般に、比較的極性の低い溶媒が好適である。インクジェット印刷には、沸点が高い溶媒及び溶媒混合物が好適である。スピン塗布には、キシレンやトルエン等のアルキル化ベンゼンが好適である。
【0126】
特に好適な溶媒の例としては、これらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、トリクロロメタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、メシチレン及び/又はこれらの混合物が挙げられる。
【0127】
本発明の化合物又はポリマーの溶液中の濃度は、好適には、0.1〜10重量%、より好適には0.5〜5重量%である。任意選択的に、この溶液は、例えば国際公開第2005/055248A1号パンフレットに記載されているように、レオロジー特性を調整するための1種以上のバインダーも含む。
【0128】
溶液を適切な混合及びエージングに付した後、この溶液が、完全溶液、境界線の溶液(borderline solution)又は不溶のいずれの分類に属するかを判定する。溶解度パラメータ−水素結合プロットにおいて可溶領域と不溶領域とを分ける境界に沿っておおまかな区分線(contour line)を描く。可溶領域に含まれる「完全な」溶媒を、「クラウリー,J.D.(Crowley,J.D.)、テグ,G.S.Jr(Teague,G.S.Jr)及びロウェ,J.W.Jr.(Lowe,J.W.Jr.)著、ジャーナル・オブ・ペイント・テクノロジー(Journal of Paint Technology)、1966年、第38巻(496)、p.296」等に報告されている文献値に基づき選択することができる。溶媒のブレンドも使用することができ、「ソルベンツ(Solvents)、W.H.エリス(W.H.Ellis)著、フェデレーション・オブ・ソサエティーズ・フォー・コーティングス・テクノロジー(Federation of Societies for Coatings Technology)、p.9〜10、1986年」に記載されているように探し出すことができる。このような手順により、本発明のポリマーの両方を溶解するであろう「非」溶媒のブレンドを得ることも可能であるが、ブレンド中に少なくとも1種の良溶媒を含むことが望ましい。
【0129】
本発明による化合物及びポリマーは、上述及び後述のように、デバイスのパターン形成されたOSC層に使用することもできる。最近のマイクロエレクトロニクスの用途においては、コスト及び消費電力を抑えるために微細な構造又はパターンを作製する(単位面積当たりの素子数を増加させる)ことが一般に望ましい。本発明によるポリマーを含む薄層
のパターン形成は、例えば、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー又はレーザパターニングにより行うことができる。
【0130】
本発明の化合物、ポリマー、ポリマーブレンド又は配合物を電子デバイス又は電気光学素子の薄層に使用する場合は、任意の好適な方法で堆積させることができる。素子に液体を塗布する方が、真空蒸着法を用いるよりも好適である。化学溶液堆積(solution deposition)法が特に好適である。本発明の配合物によって、多くの液体塗布技法を用いることが可能になる。好適な堆積技法としては、これらに限定されるものではないが、浸漬塗布、スピン塗布、インクジェット印刷、ノズル印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、ドクターブレード塗布、ローラー印刷、リバースロール塗布(reverse−roller printing)、オフセット印刷、ドライオフセット印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、スプレー塗布、カーテン塗布、ブラシ塗布、スロットダイ塗布又はパッド印刷が挙げられる。
【0131】
高精細な層及びデバイスを作製する必要がある場合はインクジェット印刷が特に好適である。本発明の選択された配合物を、予め作製されたデバイスの基板にインクジェット印刷又はマイクロディスペンス法により適用することができる。好適には、工業用圧電プリントヘッド(これらに限定されるものではないが、エイプリオン(Aprion)、日立工機株式会社、インクジェット・テクノロジー(InkJet Technology)、オン・ターゲット・テクノロジー(On Target Technology)、ピコジェット(Picojet)、スペクトラ(Spectra)、トライデント(Trident)、ザール(Xaar)が提供しているもの等)を使用して基板に有機半導体層を適用することができる。さらに、ブラザー工業、エプソン、コニカ、セイコー・インスツル、東芝テック製等の半工業的ヘッド(semi−industrial head)又はマイクロドロップ・アンド・マイクロファブ(Microdrop and Microfab)が製造する単一ノズル式マイクロディスペンサー(single nozzle microdispenser)を使用することもできる。
【0132】
インクジェット印刷又はマイクロディスペンス法で適用できるようにするためには、化合物又はポリマーを最初に好適な溶媒に溶解させることが必要である。溶媒は上述の要件を満たさなければならず、選択された印刷ヘッドに悪影響を及ぼしてはならない。さらに、印刷ヘッド内で溶液が乾き切ってしまうことにより生じる操作性の問題を回避するために、溶媒の沸点は、100℃超、好適には140℃超、より好適には150℃超とすべきである。上述の溶媒とは別に、好適な溶媒としては、置換及び無置換キシレン誘導体、ジ−C
1〜2−アルキルホルムアミド、置換及び無置換アニソール及び他のフェノール−エーテル誘導体、置換ヘテロ環(置換ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジノン等)、置換及び無置換N,N−ジ−C
1〜2−アルキルアニリンならびに他のフッ素化又は塩素化された芳香族化合物が挙げられる。
【0133】
本発明による化合物又はポリマーをインクジェット印刷により堆積させるのに好適な溶媒には、1個以上の置換基で置換されており、この1個以上の置換基の炭素原子の総数が少なくとも3個であるベンゼン環を有するベンゼン誘導体が含まれる。例えば、このベンゼン誘導体は、プロピル基又は3個のメチル基で置換されていてもよく、どちらの場合においても、全体で少なくとも3個の炭素原子が存在する。この種の溶媒を用いることにより、溶媒及び本発明の化合物又はポリマーを含むインクジェット流体を生成し、噴流の閉塞及び噴霧時の成分分離を低減又は防止することが可能になる。溶媒としては、次に例示する一覧から選択されるものを挙げることができる:ドデシルベンゼン、1−メチル−4−tert−ブチルベンゼン、テルピネオール、リモネン、イソデュレン、テルピノレン、シメン、ジエチルベンゼン。溶媒は、2種以上の溶媒を組み合わせた溶媒混合物とすることができ、各溶媒は、好適には沸点が100℃を超え、より好適には140℃を超える
。この種の溶媒により、堆積させた層の皮膜形成が促されると共に、層の欠陥が低減される。
【0134】
インクジェット流体(溶媒、バインダー及び半導体化合物の混合物)は、好適には、20℃における粘度が1〜100mPas、より好適には1〜50mPas、最適には1〜30mPasである。
【0135】
本発明によるポリマーブレンド及び配合物は、例えば、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱泡剤、希釈剤(反応性を有していても有していなくてもよい)、助剤、着色剤、染料又は顔料、増感剤、安定剤、ナノ粒子又は阻害剤から選択される1種以上のさらなる成分又は添加剤をさらに含むことができる。
【0136】
本発明の化合物及びポリマーは、光学、電気光学、電子、エレクトロルミネッセンス又はフォトルミネッセンス構成要素又はデバイスにおける、電荷輸送材料、半導体材料、導電材料、光導電材料又は発光材料として有用である。これらのデバイスにおいて、本発明のポリマーは、通常は薄層又は薄膜として適用される。
【0137】
したがって、本発明はまた、半導体化合物、半導体ポリマー、半導体ポリマーブレンド、半導体配合物又は半導体層の、電子デバイスにおける使用を提供する。本発明の配合物は、様々なデバイス及び装置における高移動度半導体材料として使用することができる。本発明の配合物は、例えば、半導体層又は薄膜の形態で使用することができる。したがって、他の態様においては、本発明は、電子デバイスに使用するための半導体層であって、本発明による化合物、ポリマー、ポリマーブレンド又は配合物を含む層を提供する。この層又は薄膜は、約30ミクロン未満とすることができる。様々な電子デバイス用途に用いるために、厚みを約1ミクロン未満とすることもできる。この層は、例えば、電子デバイス表面の一部に、上述した任意の溶液塗布又は印刷技法を用いて堆積させることができる。
【0138】
さらに本発明は、本発明による化合物、ポリマー、ポリマーブレンド、配合物又は有機半導体層を含む電子デバイスを提供する。特に好適なデバイスは、OFET、TFT、IC、論理回路、コンデンサ、RFIDタグ、OLED、OLET、OPED、OPV、OPD、太陽電池、レーザダイオード、光導電体、受光素子、電子写真装置、電子写真記録装置、有機メモリ素子、センサー素子、電荷注入層、ショットキーバリアダイオード、平坦化層、帯電防止膜、導電性基板及び導電パターンである。
【0139】
特に好適な電子デバイスは、OFET、OLED、OPV及びOPDデバイス、特に、バルクヘテロジャンクション(BHJ:bulk heterojunction)型OPVデバイスである。OFETにおいては、例えば、ドレイン及びソース間の活性半導体チャネルは本発明の層を含むことができる。他の例として、OLEDデバイスにおいて、電荷(正孔又は電子)注入層又は輸送層は本発明の層を含むことができる。
【0140】
OPVデバイス又はOPDデバイスに使用する場合、本発明によるポリマーは、好適には、p型(電子供与性)半導体及びn型(電子受容性)半導体を含むか又はp型(電子供与性)半導体及びn型(電子受容性)半導体を含有し、より好適には、p型(電子供与性)半導体及びn型(電子受容性)半導体から基本的になり、非常に好適には、p型(電子供与性)半導体及びn型(電子受容性)半導体のみからなる配合物に使用される。このp型半導体は、本発明によるポリマーから構成される。n型半導体は、酸化亜鉛(ZnO
x)、亜鉛スズ酸化物(ZTO)、酸化チタン(TiO
x)、酸化モリブデン(MoO
x)、酸化ニッケル(NiO
x)、セレン化カドミウム(CdSe)等の無機材料であっても
よい。あるいは、n型半導体は、有機材料、例えば、グラフェン、又はフラーレンもしくは置換フラーレン、例えば、ICBA等のインデン−C
60−フラーレンビス付加体や、「PCBM−C
60」もしくは「C
60PCBM」としても知られる(6,6)−フェニル酪酸メチルエステルで誘導体化されたメタノC
60フラーレン、例えば、G.ユー(G.Yu)、J.ガオ(J.Gao)、J.C.ヒュメレン(J.C.Hummelen)、F.ウドゥル(F.Wudl)、A.J.ヒーガ(A.J.Heeger)著、サイエンス(Science)、1995年、第270巻、p.1789ffに開示されている、次に示す構造
【0141】
【化17】
を有するもの、又は例えば、C
61フラーレン基、C
70フラーレン基もしくはC
71フラーレン基を有する構造類似化合物、又は有機ポリマー(例えば、コークリー,K.M.(Coakley,K.M.)及びマクギー,M.D.(McGehee,M.D.)著、ケミストリー・オブ・マテリアルズ(Chem.Mater.)、2004年、第16巻、p.4533参照)であってもよい。
【0142】
好適には、本発明によるポリマーは、OPVデバイス又はOPDデバイスの活性層を形成するために、フラーレン又は置換フラーレン(例えば、PCBM−C
60、PCBM−C
70、PCBM−C
61、PCBM−C
71、ビス−PCBM−C
61、ビス−PCBM−C
71、ICBA(1’,1’’,4’,4’’−テトラヒドロ−ジ[1,4]メタノナフタレノ[1,2:2’,3’;56,60:2’’,3’’][5,6]フラーレン−C
60−Ih)等)、グラフェン又は金属酸化物(例えば、ZnO
x、TiO
x、ZTO、MoO
x、NiO
x等)等のn型半導体とブレンドされる。このデバイスは、好適には、活性層の一方の面側の透明又は半透明基板上の第1透明電極又は第1半透明電極と、活性層の対向する面側の第2金属電極又は第2半透明電極とをさらに含む。
【0143】
さらに好適には、OPVデバイス又はOPDデバイスは、活性層と第1又は第2電極との間に、金属酸化物(例えば、ZTO、MoO
x、Ni
x等)、共役系高分子電解質(例えば、PEDOT:PSS等)、共役系ポリマー(例えば、ポリトリアリールアミン(PTAA)等)、有機化合物(例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)(1,1’−ビフェニル)−4,4’ジアミン(NPB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)等)等の材料を含む、正孔輸送層及び/又は電子ブロック層として作用する1つ以上のさらなるバッファ層、あるいは金属酸化物(例えば、ZnO
x、TiO
x等)、塩(例えば、LiF、NaF、CsF等)、共役系高分子電解質(例えば、ポリ[3−(6−トリメチルアンモニウムヘキシル)チオフェン]、ポリ(9,9−ビス(2−エチルヘキシル)−フルオレン]−b−ポリ[3−(6−トリメチルアンモニウムヘキシル)チオフェン]、又はポリ[(9,9−ビス(3’−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)−2
,7−フルオレン)−alt−2,7−(9,9−ジオクチルフルオレン)]等)又は有機化合物(例えば、トリス(8−キノリノラト)−アルミニウム(III)(Alq
3)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン等)等の材料を含む、正孔ブロック層及び/又は電子輸送層として作用する1つ以上のさらなるバッファ層を含む。
【0144】
本発明によるポリマーとフラーレン又は修飾フラーレンとのブレンド又は混合物において、ポリマー:フラーレンの重量比は、好適には、5:1〜1:5、より好適には、1:1〜1:3、最適には、1:1〜1:2である。高分子バインダーも5〜95重量%含有していてもよい。バインダーの例としては、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)が挙げられる。
【0145】
BHJ型OPV(有機太陽電池)素子の薄層を作製するために、本発明の化合物、ポリマー、ポリマーブレンド又は配合物を任意の好適な方法により堆積させることができる。デバイスに液体塗布を行う方が、真空蒸着技法を用いるよりも望ましい。化学溶液堆積法が特に好適である。本発明の配合物により、多くの液体塗布技法を用いることが可能になる。好適な堆積技法としては、これらに限定されるものではないが、浸漬塗布、スピン塗布、インクジェット印刷、ノズル印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、ドクターブレード塗布、ローラー印刷、リバースロール塗布、オフセット印刷、ドライオフセット印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、スプレー塗布、カーテン塗布、ブラシ塗布、スロットダイ塗布又はパッド印刷が挙げられる。OPV素子及びOPVモジュールの作製には、フレキシブル基板に適合する大面積印刷(area printing)法、例えば、スロットダイ塗布やスプレー塗布等が好適である。
【0146】
本発明によるポリマーとC
60又はC
70フラーレン又は修飾フラーレン(PCBM等)とのブレンド又は混合物を含む適切な溶液又は配合物を調製しなければならない。この配合物の調製においては、両方の成分すなわちp型成分及びn型成分を確実に完全に溶解させるのに適した溶媒を、選択された印刷法に応じて導入される境界条件(例えば、レオロジー特性)を考慮して選ぶことが必要である。
【0147】
この目的には、一般に、有機溶媒が使用される。通常、溶媒として、芳香族溶媒、ハロゲン化溶媒又は塩素化溶媒(塩素化芳香族溶媒を含む)を用いることができる。その例として、これらに限定されるものではないが、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、四塩化炭素、トルエン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダン、安息香メチル、安息香酸エチル、メシチレン及びこれらの組合せが挙げられる。
【0148】
OPV素子は、例えば文献公知の任意の種類のものとすることができる(例えば、ワルドウフ(Waldauf)ら著、アプライド・フィシックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)、2006年、第89巻、p.233517参照)。
【0149】
本発明による第1の好適なOPV素子は、次に示す層(最下層から最上層に向かって順に):
− 任意選択的に、基板、
− アノードの役割を果たす、好適には金属酸化物(例えばITO等)を含む、仕事関数の高い電極、
− 任意的な導電性ポリマー層又は正孔輸送層、好適には、有機ポリマー又はポリマーブ
レンド、例えば、PEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)又はTBD(N,N’−ダイフェニル(dyphenyl)−N−N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’ビフェニル−4,4’−ジアミン)又はNBD(N,N’−ダイフェニル(dyphenyl)−N−N’−ビス(1−ナフチルフェニル)−1,1’ビフェニル−4,4’−ジアミン)を含む導電性ポリマー層又は正孔輸送層、
− 例えばp型/n型二重層として、又は別々のp型層及びn型層として、又はブレンド又はp型及びn型半導体(BHJを形成する)として存在することができる、p型及びn型有機半導体を含む、「活性層」とも称される層、
− 任意的な、電子輸送性を有する、例えばLiFを含む層、
− カソードの役割を果たす、好適には金属(例えばアルミニウム等)を含む、仕事関数の低い電極を含み、電極の少なくとも1つ、好適にはアノードは、可視光に対し透明であり、及びp型半導体が本発明によるポリマーである。
【0150】
本発明による第2の好適なOPV素子は、次に示す層(最下層から最上層に向かって順に):
− 任意選択的に、基板、
− カソードの役割を果たす、仕事関数の高い金属電極又は金属酸化物電極(例えばITOを含む)、
− 正孔ブロック性を有する、好適には金属酸化物(TiO
x等)又はZn
xを含む層、− 電極間に配置された、例えば、p型/n型二重層として、又は別々のp型層及びn型層として、又はブレンド又はp型半導体及びn型半導体(BHJを形成する)として存在することができる、p型及びn型有機半導体を含む活性層、
− 好適には有機ポリマー又はポリマーブレンド、例えば、PEDOT:PSS又はTBD又はNBDを含む、任意的な導電性ポリマー層又は正孔輸送層、
− アノードの役割を果たす、仕事関数の高い金属(例えば銀等)を含む電極
を含む逆型OPVデバイスであって、電極の少なくとも1つ、好適にはカソードは、可視光に対し透明であり、及びp型半導体が本発明によるポリマーである。
【0151】
本発明のOPVデバイスにおいて、p型及びn型半導体材料は、好適には、上述のポリマー/フラーレン系等の材料から選択される。
活性層を基板上に堆積させる場合、ナノレベルで相分離しているBHJが形成される。ナノレベルの相分離に関する検討については、デンラー(Dennler)ら著、IEEE予稿集(Proceedings of the IEEE)、2005年、第93巻(8)、p.1429又はホップ(Hoppe)ら著、アドバンスト・ファンクショナル・マテリアルズ(Adv.Func.Mater)、2004年、第14巻(10)、p.1005を参照されたい。次いで、ブレンドの形態、したがってOPVデバイスの性能を最適化するために任意的な焼鈍ステップを行うことが必要となる場合がある。
【0152】
デバイスの性能を最適化するための他の方法は、相分離を適切な方向へと促す高沸点添加剤を含み得る、OPV(BHJ)デバイスを作製するための配合物を調製する方法である。高効率太陽電池を得るために、1,8−オクタンジチオール、1,8−ジヨードオクタン、ニトロベンゼン、クロロナフタレン、及びその他の添加剤が使用されてきた。その例が、J.ピート(J.Peet)ら著、ネイチャー・マテリアルズ(Nat.Mater.)、2007年、第6巻、p.497又はフレシェ(Frechet)ら著、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、2010年、第132巻、p.7595〜7597に開示されている。
【0153】
本発明の化合物、ポリマー、配合物及び層はまた、半導体チャネルとしてOFETに使用するのにも適している。したがって、本発明はまた、ゲート電極、絶縁(又はゲート絶
縁)層、ソース電極、ドレイン電極ならびにソース電極及びドレイン電極を接続する有機半導体チャネルを備えるOFETであって、この有機半導体チャネルが、本発明による化合物、ポリマー、ポリマーブレンド、配合物又は有機半導体層を含む、OFETも提供する。OFETの他の特徴は当業者に知られている。
【0154】
OSC材料がゲート誘電体とドレイン電極及びソース電極との間の薄膜として配置されているOFETは一般に知られている。例えば、米国特許第5,892,244号明細書、米国特許第5,998,804号明細書、米国特許第6,723,394号明細書及び背景項に引用されている参考文献に記載されている。本発明による化合物の溶解性、したがって大面積に対応できる加工性を利用することによって、生産が低コストで行える等の利点が得られるため、これらのFETは、集積回路、TFTディスプレイ及びセキュリティ用途等の用途に用いることが好適である。
【0155】
OFET素子のゲート電極、ソース電極及びドレイン電極ならびに絶縁層及び半導体層は、ソース電極及びドレイン電極が絶縁層によりゲート電極から分離されており、ゲート電極及び半導体層がどちらも絶縁層と接しており、かつソース電極及びドレイン電極がどちらも半導体層と接しているのであれば、任意の順序で配置することができる。
【0156】
本発明によるOFET素子は、好適には:
− ソース電極、
− ドレイン電極、
− ゲート電極、
− 半導体層、
− 1つ以上のゲート絶縁層、
− 任意選択的に、基板
を含み、半導体層は、好適には、上述及び後述の化合物、ポリマー、ポリマーブレンド又は配合物を含む。
【0157】
OFET素子は、トップゲート型素子又はボトムゲート型素子であってもよい。OFET素子の好適な構造及び製造方法は当業者に知られており、文献、例えば、米国特許出願公開第2007/0102696A1号明細書に記載されている。
【0158】
ゲート絶縁層は、好適には、含フッ素ポリマー、例えば、市販のサイトップ(Cytop)809M(登録商標)又はサイトップ(Cytop)107M(登録商標)(旭硝子から)等を含む。好適には、ゲート絶縁層は、例えば、スピン塗布、ドクターブレード塗布、ワイヤーバー塗布、スプレー塗布、浸漬塗布又は他の公知の方法により、絶縁材料と、1個以上のフッ素原子を有する1種以上の溶媒(含フッ素溶媒)、好適にはパーフルオロ溶媒とを含む配合物から堆積される。好適なパーフルオロ溶媒は、例えば、FC75(登録商標)(アクロス(Acros)より入手可能、カタログ番号12380)である。他の好適な含フッ素ポリマー及び含フッ素溶媒は先行技術において周知であり、例えば、パーフルオロポリマーであるテフロン(Teflon)AF(登録商標)1600又は2400(デュポンから)又はフルオロペル(Fluoropel)(登録商標)(サイトニックス(Cytonix)から)又はパーフルオロ溶媒FC43(登録商標)(アクロス(Acros)、No.12377)である。特に好適な有機誘電材料は、例えば、米国特許出願公開第2007/0102696A1号明細書又は米国特許第7,095,044号明細書に開示されているように、誘電率(又は比誘電率)が低く、1.0〜5.0、非常に好適には1.8〜4.0(「低k材料」)である。
【0159】
セキュリティ用途においては、本発明による半導体材料を含むOFET及び他の素子(トランジスタやダイオード等)を真贋判定のためのRFIDタグ又はセキュリティマーク
や、紙幣、クレジットカード又はIDカード、国民ID証(national ID document)、免許証又はモネトリー(monetry)価値のある任意の製造物(切手、切符、株券、小切手等)等の重要文書の偽造防止に使用することができる。
【0160】
別法として、本発明による材料をOLEDに、例えば、フラットパネルディスプレイ用途におけるアクティブディスプレイ材料として、又はフラットパネルディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイのバックライト等として使用することができる。一般的なOLEDは、多層構造を用いることにより実現される。発光層は、一般に、1つ以上の電子輸送層及び/又は正孔輸送層に挟持されている。電圧を印加すると、電荷担体としての電子及び正孔が発光層に向けて移動し、発光層でこれらが再結合することにより励起状態となり、したがって、発光層に含まれるルモフォ(lumophor)単位が発光する。本発明の化合物、材料及び薄膜は、その電気特性及び/又は光学特性に対応して、1つ以上の電荷輸送層及び/又は発光層に用いることができる。さらに、本発明による化合物、材料及び薄膜がそれ自体電界発光特性を有するか又は電界発光基もしくは電界発光化合物を含む場合、これらを発光層に使用すると特に有利である。OLEDに使用するのに適したモノマー、オリゴマーもしくはポリマー化合物又は材料の選択、特性及び加工は、当業者に一般に知られている。例えば、ミュラー(Mueller)ら著、シンセティック・メタルズ(Synth.Metals)、2000年、第111〜112巻、p.31〜34、アルカラ(Alcala)、ジャーナル・オブ・アプライド・フィシックス(J.Appl.Phys.)、2000年、第88巻、p.7124〜7128及びそこに引用されている文献を参照されたい。
【0161】
他の使用によれば、本発明による材料、特に電界発光特性を示すものは、欧州特許出願公開第0889350A1号明細書又はC.ウェダー(C.Weder)ら著、サイエンス(Science)、1998年、第279巻、p.835〜837に記載されているように、光源、例えばディスプレイデバイスの材料として用いることができる。
【0162】
本発明のさらなる態様は、本発明による化合物の酸化形態及び還元形態の両方に関する。電子を失うか又は得ることにより高度に非局在化したイオン形態が生成し、この形態は非常に高い導電性を示す。これは、一般的なドーパントに曝露させることにより行われる。好適なドーパント及びドーピングの方法は、例えば、欧州特許第0528662号明細書、米国特許第5,198,153号明細書又は国際公開第96/21659号パンフレットから当業者に知られている。
【0163】
ドーピングプロセスとは、通常、半導体材料を酸化還元反応において酸化剤又は還元剤で処理することにより、この材料中に非局在化したイオン中心を形成することを意味し、対応する対イオンは適用されたドーパントから誘導されたものとなる。好適なドーピング方法は、例えば、大気圧又は減圧下にドーパントの蒸気に曝露すること、ドーパントを含む溶液中で電気化学的にドーピングすること、ドーパントを半導体材料と接触させることにより熱的に拡散させること、及び半導体材料中にドーパントをイオン注入することを含む。
【0164】
電子をキャリアとして用いる場合、好適なドーパントは、例えば、ハロゲン(例えば、I
2、Cl
2、Br
2、ICl、ICl
3、IBr及びIF)、ルイス酸(例えば、PF
5、AsF
5、SbF
5、BF
3、BCl
3、SbCl
5、BBr
3及びSO
3)、プロトン酸、有機酸、又はアミノ酸(例えば、HF、HCl、HNO
3、H
2SO
4、HClO
4、FSO
3H及びClSO
3H)、遷移金属化合物(例えば、FeCl
3、FeOCl、Fe(ClO
4)
3、Fe(4−CH
3C
6H
4SO
3)
3、TiCl
4、ZrCl
4、HfCl
4、NbF
5、NbCl
5、TaCl
5、MoF
5、MoCl
5、WF
5、WCl
6、UF
6及びLnCl
3(ここでLnはランタノイドである)、陰イオン(例え
ば、Cl
−、Br
−、I
−、I
3−、HSO
4−、SO
42−、NO
3−、ClO
4−、BF
−、PF
6−、AsF
6−、SbF
6−、FeCl
4−、Fe(CN)
63−及び様々なスルホン酸の陰イオン(アリール−SO
3−)等)である。正孔をキャリアとして用いる場合、ドーパントの例は、陽イオン(例えば、H
+、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+及びCs
+)、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb及びCs)、アルカリ土類金属(例えば、Ca、Sr、及びBa)、O
2、XeOF
4、(NO
2+)(SbFe
6−)、(NO
2+)(SbCl
6−)、(NO
2+)(BF
4−)、AgClO
4、H
2IrCl
6、La(NO
3)
3・6H
2O、FSO
2OOSO
2F、Eu、アセチルコリン、R
4N
+(Rはアルキル基)、R
4P
+(Rはアルキル基)、R
6As
+(Rはアルキル基)、及びR
3S
+(Rはアルキル基)である。
【0165】
本発明の化合物の導電形態は、これらに限定されるものではないが、OLED用途における電荷注入層及びITO平坦化層、フラットパネルディスプレイ用及びタッチスクリーン用薄膜、帯電防止膜、印刷された導電性基板、エレクトロニクス用途(プリント基板やコンデンサ等)におけるパターン又はトラクト(tract)を含む用途において、有機「金属」として使用することができる。
【0166】
本発明による化合物及び配合物は、例えば、コラー(Koller)ら著、ネイチャー・フォトニクス(Nat.Photonics)、2008年、第2巻、p.684に記載されている有機プラズモン放出ダイオード(OPED:organic plasmon−emitting diode)にも適している可能性がある。
【0167】
他の使用によれば、本発明による材料は、例えば、米国特許出願公開第2003/002913号明細書に記載されているように、LCDデバイス又はOLEDデバイスのアライメント層中に又はアライメント層として、単独で又は他の材料と一緒に使用することができる。本発明による電荷輸送化合物を使用することにより、アライメント層の導電性を増大させることができる。LCDに使用した場合は、このように導電性が増大することによって、切り替え表示可能なLCDセルの残留dcによる悪影響を低減し、残像を抑制することができる。あるいは、例えば、強誘電性LCDにおいては、強誘電性LCの自発分極による電荷が反転することにより生じる残留電荷を低減することができる。アライメント層上に設けられる発光材料を含むOLED素子に使用した場合は、導電性が増大することによって発光材料の電界発光特性を向上させることができる。メソゲン性又は液晶性を有する本発明による化合物又は材料は、上に述べたような配向異方性膜を形成することができ、これは、上記異方性膜上に設けられた液晶媒体の整列を誘発又は向上するためのアライメント層として特に有用である。本発明による材料はまた、米国特許出願公開第2003/0021913A1号明細書に記載されているように、光異性化化合物及び/又は発色団と組み合わせて、光配向層中に、又は光配向層として使用することもできる。
【0168】
本発明による材料の他の使用によれば、特にこれらの水溶性誘導体(例えば、極性側基又はイオン性側基を有するもの)又はイオンドープ形態を、化学的センサーとして、又はDNA配列を検出及び識別するための材料として使用することができる。この種の使用は、例えば、L.チェン(L.Chen)、D.W.マクブランチ(D.W.McBranch)、H.ワン(H.Wang)、R.ヘルゲソン(R.Helgeson)、F.ウドゥル(F.Wudl)及びD.G.ホイッテン(D.G.Whitten)、ナショナル・アカデミー・サイエンシーズ・U.S.A.予稿集(Natl.Acad.Sci.U.S.A.)、1999年、第96巻、p.12287;D.ワン(D.Wang)、X.ゴン(X.Gong)、P.S.ヒーガ(P.S.Heeger)、F.リニスランド(F.Rininsland)、G.C.ベーゼン(G.C.Bazan)及びA.J.ヒーガ(A.J.Heeger)、ナショナル・アカデミー・サイエンシーズU.S.A.予稿集(Natl.Acad.Sci.U.S.A.)、2002年、第99巻、p
.49;N.ディセサーレ(N.DiCesare)、M.R.ピノット(M.R.Pinot)、K.S.シャンツェ(K.S.Schanze)及びJ.R.ラコウィクツ(J.R.Lakowicz)、ラングミュアー(Langmuir)、2002年、第18巻、p.7785;D.T.マッケード(D.T.McQuade)、A.E.プレン(A.E.Pullen)、T.M.スウェーガ(T.M.Swager)、ケミカル・リビューズ(Chem.Rev.)、2000年、第100巻、p.2537に記載されている。
【0169】
特に明記しない限り、本明細書において用いられる用語の複数形は単数形も含むものと解釈され、その逆も同様である。
本明細書の記載内容及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」及び「含有する(contain)」という語及びその変化形(例えば、「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含む(include)が、これらに限定されるものではない」ことを意味し、他の構成要素を排除することを意図しない(排除しない)。
【0170】
本発明の範囲を逸脱することなく上述の本発明の実施形態を変形できることが理解されるであろう。本明細書に開示した各特徴は、特段の指定がない限り、同一の目的、均等な目的又は類似の目的を果たす代替的な特徴と置き換えることができる。したがって、特段の指定がない限り、開示された各特徴は、包括的な一連の均等又は類似の特徴の一例に過ぎない。
【0171】
本明細書に開示した全ての特徴は、このような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が互いに矛盾する組合せでない限り、任意の組合せで組み合わせることができる。特に、本発明の好適な特徴は、本発明の全ての態様に適用可能であり、任意の組合せで用いることができる。同様に、必須でない組合せとして記載されている特徴は、別々に(組み合わせずに)用いることができる。
【0172】
上述及び後述の百分率は、特段の指定がない限り、重量パーセントであり、温度は摂氏度で与える。比誘電率ε(「誘電率」)の値は、20℃、1,000Hzで測定した値を指す。
【0173】
ここで以下に示す実施例を参照しながら本発明をより詳細に説明するが、これらは例示のみを目的とするものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0174】
実施例1
5,5’−ジブロモ−1,1’−ジメチルエステル2,2’−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイルビス安息香酸
【0175】
【化18】
5−ブロモ−2−ヨード−安息香酸メチルエステル(97.5g、286mmol)、2,5−ビス−トリブチルスタンニル−チエノ[3,2−b]チオフェン(79.0g、110mmol)、トリ−o−トリル−ホスフィン(804mg、2.6mmol)及び無水トルエン(1000cm
3)の混合物を窒素で25分間脱気する。この混合物にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(990mg、1.4mmol)を加え、混合物をさらに15分間脱気する。混合物を23℃で96時間撹拌することにより濃厚な懸濁液を得る。反応混合物を濾過することにより固体を単離する。濾過ケークをイソプロピルアルコール(200cm
3)、アセトニトリル(100cm
3)及びジエチルエーテル(100cm
3)で洗浄する。生成物を回収し、真空下で乾燥させることにより、5,5’−ジブロモ−1,1’−ジメチルエステル2,2’−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイルビス安息香酸をクリーム状固体として得る(39.5g、63%)。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3)3.82(6H,s),7.23(2H,s),7.42(2H,d,J8.3),7.67(2H,dd,J8.3,2.2),7.85−7.99(2H,m)。
[2−(5−{2−[ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−4−ブロモ−フェニル}−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル)−5−ブロモ−フェニル]−ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−メタノール
【0176】
【化19】
1−ブロモ−4−ヘキサデシルベンゼン(7.2g、19mmol)を無水テトラヒドロフラン(300cm
3)に懸濁させた懸濁液に、tert−ブチルリチウム(22.4cm
3、38.0mmol、1.7M、ペンタン中)を−40℃で45分間かけて滴下する。添加終了後、反応混合物を−78℃で20分間撹拌した後、−20℃に加温し40分間撹拌する。混合物を−78℃に冷却し、5,5’−ジブロモ−1,1’−ジメチルエステル2,2’−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイルビス安息香酸(2.2g、3.8mmol)を一度に加える。次いでこの混合物を17時間かけて23℃まで温める。ジエチルエーテル(200cm
3)及び水(200cm
3)を加えて混合物を23℃で30分間撹拌する。生成物をジエチルエーテル(3×100cm
3)で抽出する。有機物を合一して無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して溶媒を減圧下に除去する。粗生成物をアセトンでトリチュレートすることにより懸濁液を得る。生成物を濾過し、回収して、真空乾燥させることにより、[2−(5−{2−[ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−4−ブロモ−フェニル}−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル)−5−ブロモ−フェニル]−ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−メタノールを淡褐色固体として得る(4.9g、76%)。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3)0.86−0.99(12H,m),1.19−1.41(104H,m),1.57−1.73(8H,m),2.58−2.71(8H,m),3.29(2H,s),6.05(2H,s),7.02−7.16(18H,m),7.20(2H,d,J8.2),7.41−7.50(2H,m)。
2,9−ジブロモ−6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(ヘキサデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン
【0177】
【化20】
[2−(5−{2−[ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−4−ブロモ−フェニル}−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル)−5−ブロモ−フェニル]−ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−メタノール(4.8g、2.8mmol)のジクロロメタン(150cm
3)溶液にp−トルエンスルホン酸(1.0g、5.6mmol)を加える。得られた懸濁液を40℃で5時間撹拌する。反応混合物を23℃に冷却し、溶媒を減圧下に除去する。粗生成物を40−60石油エーテル(200cm
3)に溶解し、シリカプラグで濾過する。濾液を23℃に冷却することにより濃厚なクリーム状懸濁液を得る。濾過して固体を回収し、メチルエチルケトンから再結晶させることにより、2,9−ジブロモ−6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(ヘキサデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェンをクリーム状固体として得る(2.6g、55%)。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3)0.83−0.97(12H,m),1.17−1.42(104H,m),1.54−1.66(8H,m),2.57(8H,m),7.12(16H,d,J3.20),7.22(2H,d,J8.1),7.41(2H,dd,J8.1,1.7),7.53(2H,d,J1.7)。
ポリ{2,9−[6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(ヘキサデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン−alt−[2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン]}(ポリマー1)
【0178】
【化21】
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(300.0mg、0.179mmol)、2,5−ビス−トリメチルスタンニル−チエノ[3,2−b]チオフェン(83.4mg、0.179mmol)、トリ−o−トリル−ホスフィン(18.0mg、0.059mmol)を無水トルエン(5.7cm
3)中で混合した混合物中に窒素ガスを30分間バブリングする。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(11.3mg、0.016mmol)を加えた後、反応混合物を、予め加熱しておいた100℃の油浴で120分間加熱する。ブロモベンゼン(0.004cm
3)を加えて混合物を100℃で30分間加熱した後、トリブチル−フェニル−スタンナン(0.02cm
3)を加える。混合物を100℃で1時間加熱する。混合物をわずかに放冷した後、メタノール(300cm
3)を撹拌しながらこの中に混合物を注ぎ込み、析出したポリマーを濾取する。粗生成ポリマーを、アセトン、40−60石油エーテル、80−100石油エーテル、シクロヘキサン及びクロロホルムの順でソックスレー抽出に付す。クロロホルム抽出液をメタノール(400cm
3)に注ぎ込み、析出したポリマーを濾取することにより、ポリ{2,9−[6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(ヘキサデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン]−alt−[2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン]}を淡褐色固体として得る(239mg、74%)。GPC(クロロベンゼン,50℃)M
n=97,000g/mol、M
w=238,000g/mol。
実施例2
ポリ{2,9−[6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(ヘキサデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン]−alt−[5,5’−[2,2’]ビチオフェン]}(ポリマー2)
【0179】
【化22】
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(171mg、0.100mmol)、5,5’−ビス−トリメチルスタンニル−[2,2’]ビチオフェン(50.0mg、0.100mmol)、トリ−o−トリル−ホスフィン(1.9mg、0.006mmol)を無水トルエン(3cm
3)中で混合した混合物中に窒素ガスを30分間バブリングする。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.1mg、0.002mmol)を加えた後、反応混合物を、予め加熱しておいた100℃の油浴で30分間加熱する。ブロモベンゼン(0.02cm
3)を加えて、混合物を100℃で30分間加熱した後、トリブチル−フェニル−スタンナン(0.08cm
3)を加える。混合物を100℃で1時間加熱する。混合物をわずかに放冷し、メタノール(200cm
3)を撹拌しながらこの中に混合物を注ぎ込み、析出したポリマーを濾取する。粗生成ポリマーを、アセトン、40−60石油エーテル、シクロヘキサン及びクロロホルムの順でソックスレー抽出に付す。クロロホルム抽出液をメタノール(400cm
3)に注ぎ込み、析出したポリマーを濾取することにより、ポリ{2,9−[6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(ヘキサデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン]−alt−[5,5’−[2,2’]ビチオフェン]}を淡褐色固体として得る(196mg、84%)。GPC(クロロベンゼン,50℃)M
n=90,000g/mol、M
w=208,000g/mol。
実施例3
ポリ{2,9−[6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(ヘキサデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン]−alt−[2,5−(4,7−ビス(チオフェン−2−イル)ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール)]}(ポリマー3)
【0180】
【化23】
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−ヘキサデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(134.0mg、0.080mmol)、4,7−ビス(5−トリメチルスタンニル−チオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール(50.0mg、0.080mmol)、トリ−o−トリル−ホスフィン(1.5mg、0.005mmol)を無水トルエン(2.5cm
3)中で混合した混合物に窒素ガスを35分間バブリングする。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.9mg、0.001mmol)を加えた後、反応混合物を、予め加熱しておいた100℃の油浴で190分間加熱する。ブロモベンゼン(0.017cm
3)を加えて混合物を100℃で15分間加熱した後、トリブチル−フェニル−スタンナン(0.08cm
3)を加える。混合物を100℃で15分間加熱する。混合物をわずかに放冷し、アセトン(200cm
3)を撹拌しながらこの中に混合物を注ぎ込み、析出したポリマーを濾取する。粗生成ポリマーを、メタノール、40−60石油エーテル、80−100石油エーテル、シクロヘキサン及びクロロホルムの順にソックスレー抽出に付す。クロロホルム抽出液をメタノール(300cm
3)に注ぎ込み、析出したポリマーを濾取することにより、ポリ{2,9−[6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(ヘキサデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン]−alt−[2,5−(4,7−ビス(チオフェン−2−イル)ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール)]}を紫色固体として得る(134mg、85%)。GPC(クロロベンゼン,50℃)M
n=38,000g/mol、M
w=82,000g/mol。
実施例4
[2−(5−{2−[ビス−(4−オクタデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−4−ブロモ−フェニル}−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル)−5−ブロモ−フェニル]−ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−メタノール
【0181】
【化24】
1−ブロモ−4−オクタデシルベンゼン(7.8g、19.0mmol)を無水テトラヒドロフラン(300cm
3)に懸濁させた懸濁液にtert−ブチルリチウム(22.4cm
3、38.0mmol、1.7M、ペンタン中)を−40℃で45分間かけて滴下する。添加終了後、反応混合物を−78℃で20分間撹拌し、次いで−20℃まで温めて、40分間撹拌する。混合物を−78℃に冷却し、5,5’−ジブロモ−1,1’−ジメチルエステル2,2’−チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイルビス安息香酸(2.2g、3.8mmol)を一度に加える。次いで混合物を17時間かけて23℃まで温める。水(150cm
3)を加えて混合物を室温で2時間撹拌する。有機溶媒を減圧下に除去することにより多量の析出物が生成する。得られた析出物を濾過してアセトン(50cm
3)及び40−60石油エーテル(50cm
3)で洗浄する。生成物を回収して真空乾燥することにより、[2−(5−{2−[ビス−(4−オクタデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−4−ブロモ−フェニル}−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル)−5−ブロモ−フェニル]−ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−メタノールを黄色/クリーム状固体として得る(4.2g、60%)。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3)0.85−0.95(12H,m),1.17−1.42(112H,m),1.64(8H,m),2.64(8H,t,J7.6),3.29(2H,s),6.05(2H,s),7.02−7.16(18H,m),7.19(2H,d,J8.2),7.45(2H,dd,J8.2,2.0)。
2,9−ジブロモ−6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(オクタデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン
【0182】
【化25】
[2−(5−{2−[ビス−(4−オクタデシル−フェニル)−ヒドロキシ−メチル]−4−ブロモ−フェニル}−チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル)−5−ブロモ−フェニル]−ビス−(4−ヘキサデシル−フェニル)−メタノール(4.0g、2.2mmol)のジクロロメタン(150cm
3)溶液にp−トルエンスルホン酸(0.8g、4.4mmol)を加える。得られた懸濁液を40℃で5時間撹拌する。反応混合物を23℃に放冷し、溶媒を減圧下に除去する。粗生成物を、40−60石油エーテル(200cm
3)及びジクロロメタン(40cm
3)の混合物を加温(35℃)してこの中に溶解し、シリカプラグで濾過する。シリカプラグをさらに同じ混合物(300cm
3)で洗浄する。濾液を0℃で1時間冷却することにより多量のクリーム状析出物を得る。得られた固体を濾取する。粗生成物をメチルエチルケトンから結晶化することにより、2,9−ジブロモ−6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(オクタデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェンを黄色固体として得る(2.4g、62%)。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3),0.83−0.97(12H,m),1.20−1.39(112H,m),1.56−1.67(8H,m),2.52−2.62(8H,m),7.06−7.17(16H,m),7.22(2H,d,J8.1),7.37−7.44(2H,m),7.51−7.56(2H,m)。
ポリ{2,9−[6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(オクタデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン]−alt−[2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン]}(ポリマー4)
【0183】
【化26】
ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジ−(2−ブロモ[4,4−ビス−(4−オクタデシルフェニル)−4H−シクロペンタ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン−2−イル])(300mg、0.170mmol)、2,5−ビス−トリメチルスタンニル−チエノ[3,2−b]チオフェン(78.0mg、0.170mmol)、トリ−o−トリル−ホスフィン(16.8mg、0.06mmol)を無水トルエン(5cm
3)中で混合した混合物に窒素ガスを30分間バブリングする。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(10.6mg、0.02mmol)を加えた後、反応混合物を、予め加熱しておいた100℃の油浴で10分間加熱する。得られた粘性の高い反応混合物にさらなる無水トルエン(2.7cm
3)を加え、さらに10分間加熱する。ブロモベンゼン(0.02cm
3)を加えて混合物を100℃で30分間加熱した後、トリブチル−フェニル−スタンナン(0.08cm
3)を加える。混合物を100℃で1時間加熱する。混合物をわずかに放冷し、メタノール(200cm
3)を撹拌しながらこの中に混合物を注ぎ込み、析出したポリマーを濾取する。粗生成ポリマーを、アセトン、40−60石油エーテル、シクロヘキサン及びクロロホルムの順でソックスレー抽出に付す。クロロホルム抽出液をメタノール(400cm
3)に注ぎ込み、析出したポリマーを濾取することにより、ポリ{2,9−[6,12−ジヒドロ−6,6,12,12−テトラキス[4−(オクタデシル)フェニル]−インデノ[1,2−b]インデノ[2’,1’:4,5]チエノ[2,3−d]チオフェン]−alt−[2,5−チエノ[3,2−b]チオフェン]}を淡褐色固体として得る(196mg、84%)。GPC(クロロベンゼン,50℃)M
n=101,000g/mol、M
w=334,000g/mol。
実施例5
トランジスタの作製及び測定
フォトリソグラフィーにより画定したAuソース−ドレイン電極を有するトップゲート型薄膜有機電解効果トランジスタ(OFET)をガラス基板上に作製した。有機半導体のジクロロベンゼン溶液(7mg/cm
3)を上面にスピン塗布(薄膜の焼鈍を、任意的に、100℃、150℃又は200℃で1〜5分間行った)した後、フルオロポリマー誘電体材料(独国メルク(Merck,Germany)からのリシコン(Lisicon)(登録商標)D39)をスピン塗布した。最後に、フォトリソグラフィーにより画定したAuゲート電極を堆積させた。このトランジスタ素子の電気特性評価を、周囲条件の空気中で、コンピュータ制御されたアジレント(Agilent)4155C セミコンダクター・パラメータ・アナライザー(Semiconductor Parameter Analyser)を用いて行った。飽和領域における化合物の電荷キャリア移動度(μ
sat)を求めた。式(1)を用いて飽和領域(V
d>(V
g−V
0))における電界効果移動度を求めた:
【0184】
【数1】
(式中、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、C
iは絶縁層の容量、V
gはゲート電圧、V
0は立ち上がり電圧、μ
satは飽和領域における電荷キャリア移動度である)。立ち上がり電圧(V
0)は、ソース−ドレイン電流が流れ始める電圧として求めた。
【0185】
トップゲート型OFETにおけるポリマー1、2、3及び4の移動度(μ
sat)を表1にまとめる。
【0186】
【表1】
図1は、上述したように作製したトップゲート型OFET(ポリマー1を有機半導体として使用)の伝達特性及び電荷キャリア移動度を示すものである。