特許第6588435号(P6588435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6588435水又は大気中の水分の存在下で硬化できるシリコーン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588435
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】水又は大気中の水分の存在下で硬化できるシリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/06 20060101AFI20191001BHJP
   C07C 49/12 20060101ALI20191001BHJP
   C07F 3/02 20060101ALI20191001BHJP
   C07F 5/06 20060101ALI20191001BHJP
   C07F 7/28 20060101ALI20191001BHJP
   C07F 19/00 20060101ALI20191001BHJP
   C08K 5/057 20060101ALI20191001BHJP
   C08K 5/07 20060101ALI20191001BHJP
   C08K 5/11 20060101ALI20191001BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   C08L83/06
   C07C49/12
   C07F3/02 Z
   C07F5/06 D
   C07F7/28 B
   C07F19/00
   C08K5/057
   C08K5/07
   C08K5/11
   C08K5/54
【請求項の数】18
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2016-536120(P2016-536120)
(86)(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公表番号】特表2016-539233(P2016-539233A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】FR2014053141
(87)【国際公開番号】WO2015082837
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年8月2日
【審判番号】不服2018-4186(P2018-4186/J1)
【審判請求日】2018年3月27日
(31)【優先権主張番号】1362008
(32)【優先日】2013年12月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507421304
【氏名又は名称】エルケム・シリコーンズ・フランス・エスアエス
【氏名又は名称原語表記】ELKEM SILICONES France SAS
(73)【特許権者】
【識別番号】596096180
【氏名又は名称】ユニベルシテ・クロード・ベルナール・リヨン・プルミエ
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・モンテーユ
(72)【発明者】
【氏名】ロジェ・スピッツ
(72)【発明者】
【氏名】オーレリー・モンディエル
(72)【発明者】
【氏名】タニア・イルランド
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ・セギオ
【合議体】
【審判長】 近野 光知
【審判官】 岡崎 美穂
【審判官】 井上 猛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−196913(JP,A)
【文献】 特開平7−106065(JP,A)
【文献】 特表2012−532213(JP,A)
【文献】 特表2007−515499(JP,A)
【文献】 特開平07−166135(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0295298(US,A1)
【文献】 特開平11−246661(JP,A)
【文献】 特開平2018−150535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L83
C08G77
C08G79
C07F19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水及び大気中の水分の存在下で硬化できる組成物であって、
(A)1個以上の縮合性基又は加水分解性で縮合性の基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、及び
(B)ポリオルガノシロキサンAの縮合性基又は加水分解性で縮合性の基の縮合反応を触媒することができ、かつ、次の一般式:
[MmM’n(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z] (II)
(式中、
・記号Mはアルミニウム又はマグネシウムであり、
・記号M’はチタン、ジルコニウム又はハフニウムであり、
・記号Lig1はアルコキシド配位子を表し;
・記号Lig2はキレート配位子を表し;
・記号Lig3は、ヒドロキシ配位子、アルコール配位子及び中性配位子よりなる群から選択される配位子を表し;及び
・m、n、x、y及びzは、m>0、n>0、x≧0、y≧0、z≧0及び(x+y)>0となる数である。)
で表されるヘテロ金属錯体である少なくとも1種の化合物C
を含む組成物。
【請求項2】
前記化合物Cは、前記一般式(II)(式中、記号Mはマグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)の原子であり、記号M’はチタン(Ti)又はジルコニウム(Zr)の原子であり、x≧1又はy≧1である。)によって表されるヘテロ金属錯体であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物Cは、
・前記一般式(II)
(式中、記号Mはアルミニウムであり、記号M’はジルコニウムであり、モル比Al/Zr=0.5、1又は2であり、x≧1又はy≧1である。)
によって表されるヘテロ金属錯体;並びに
・前記一般式(II)
(式中、記号Mはアルミニウムであり、記号M’はチタンであり、モル比Al/Ti=1又は2であり、x≧1又はy≧1である。)
によって表されるヘテロ金属錯体
よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物Cは、前記一般式(II)(式中、記号Mはマグネシウム又はアルミニウムであり、記号M’はチタン又はジルコニウムであり、x≧1である。)
によって表されるヘテロ金属アルコキシド錯体であり;
該ヘテロ金属アルコキシド錯体は、次のものよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物:
・前記一般式(II)(式中、記号Mはアルミニウムであり、記号M’はジルコニウムであり、前記アルコキシド配位子が化学式:O−(直鎖又は分岐C3〜C12アルキル)によって表され、モル比Al/Zrは0.5、1又は2の値を有する。)
によって表されるヘテロ金属アルコキシド錯体;
・前記一般式(II)(式中、記号Mはマグネシウムであり、記号M’はジルコニウムであり、前記アルコキシド配位子が化学式:O−(直鎖又は分岐C2〜C12アルキル)によって表され、モル比Mg/Zrは0.5、1、2、3又は4の値を有する。)
によって表されるヘテロ金属アルコキシド錯体;及び
・前記一般式(II)(式中、記号Mはアルミニウムであり、記号M’はチタンであり、前記アルコキシド配位子が化学式:O−(直鎖又は分岐C3〜C12アルキル)によって表され、モル比Al/Tiは1又は2の値を有する。)
によって表されるヘテロ金属アルコキシド錯体。
【請求項5】
前記ヘテロ金属アルコキシド錯体が、AlZr(OBu)4(OsBu)3、Al2Zr(OnBu)4(OsBu)6、AlZr2(OnBu)11、AlTi(OsBu)3(OnBu)4及びAl2Ti(OnBu)10よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物Cは、前記一般式(II)(式中、記号Mはマグネシウム又はアルミニウムであり、記号M’はチタン又はジルコニウムであり、y≧1である。)
によって表されるヘテロ金属キレート化錯体であり、
該ヘテロ金属キレート化錯体は、次のものよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物:
・前記一般式(II)(式中、記号Mはアルミニウムであり、記号M’はジルコニウムであり、y≧1であり、モル比Al/Zr=1又は2を有する。)
によって表されるヘテロ金属キレート化錯体;
・前記一般式(II)(式中、記号Mはアルミニウムであり、記号M’はジルコニウムであり、y≧1であり、モル比Al/Zr=1又は2を有し、x=0である。)
によって表されるヘテロ金属キレート化錯体;
・前記一般式(II)(式中、記号Mはマグネシウムであり、記号M’はジルコニウムであり、y≧1であり、モル比Mg/Zr=1を有する。)
によって表されるヘテロ金属キレート化錯体;
・前記一般式(II)(式中、記号Mはアルミニウムであり、記号M’はチタンであり、y≧1であり、モル比Al/Ti=1を有する。)
によって表されるヘテロ金属キレート化錯体;
・前記一般式(II)(式中、記号Mはマグネシウムであり、記号M’はチタンであり、y≧1であり、モル比Mg/Ti=1を有する。)
によって表されるヘテロ金属キレート化錯体。
【請求項7】
前記ヘテロ金属キレート化錯体が、AlZr(EAA)3(OnPr)4、Al2Zr(EAA)6(OnPr)4、AlZr(EAA)7、Al2Zr(EAA)10及びAlTi(EAA)3(OnBu)4よりなる群から選択され、ここで、該EAAはエチルアセトアセテートを表すことを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリオルガノシロキサンAが、
(i)次式(V)の少なくとも2個のシロキシル単位:
【化1】
(式中、
・記号R4は、同一又は異なっていてもよく、一価のC1〜C30炭化水素基を表し、
・記号Zは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ加水分解性で縮合性の基又はヒドロキシル基を表し、該加水分解性で縮合性の基は、アルコキシ、アルコキシ−アルキレン−オキシ、アミノ、アミド、アシルアミノ、アミノオキシ、イミノキシ、ケチミノキシ、アシルオキシ、イミノキシ、ケチミノキシ及びエノキシ基よりなる群から選択され、
・aは0、1又は2に等しく、bは1、2又は3であり、合計a+bは1、2又は3である。)
を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリオルガノシロキサンAが、
(ii)次式(VI)の1個以上のシロキシル単位:
【化2】
(式中、
・記号R5は、同一又は異なっていてもよく、1個以上のハロゲン原子又はアミノ、エーテル、エステル、エポキシ、メルカプト若しくはシアノ基で置換されていてよい一価のC1〜C30炭化水素基を表し、
・記号cは0、1、2又は3である。)
をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
架橋剤Bをさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記架橋剤Bは、それぞれの分子が少なくとも3個の加水分解性で縮合性の基Yを含むケイ素化合物であり、該架橋剤Bは、次式(XIII)を有する:
20(4-j)SiYj (XIII)
(式中、
・記号R20は、1〜30個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、
・記号Yは、同一又は異なっていてよく、アルコキシ、アルコキシ−アルキレン−オキシ、アミノ、アミド、アシルアミノ、アミノオキシ、イミノキシ、ケチミノキシ、アシルオキシ又はエノキシ基よりなる群から選択され、
・記号j=3又は4である。)
請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
付着促進剤Eをさらに含有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
単一気密パッケージP内にあり、かつ、次のものを含む単一成分組成物RTV−1:
(a)請求項1、8又は9に記載の少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、
(b)請求項11に記載の少なくとも1種の架橋剤B、及び
(c)請求項1〜7のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物Cの触媒有効量。
【請求項14】
2つの別々のパッケージP1及びP2内にある、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物の前駆体である2成分組成物RTV−2であって、
(c)パッケージP1は気密性であり、かつ、
・請求項1〜7のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物Cの触媒有効量、及び
・請求項11に記載の少なくとも1種の架橋剤B
を含み、しかも、
(d)パッケージP2は、該化合物Cも該架橋剤Bも含まず、かつ、
・請求項1、8又は9に記載の少なくとも1種のポリオルガノシロキサンAの100重量部当たり、
・0〜10重量部の水
を含むことを特徴とする2成分組成物RTV−2。
【請求項15】
・請求項8に記載の組成物が水及び大気中の水分の存在下で硬化した後;又は
・請求項8を引用する請求項13に記載の単一成分組成物RTV−1のパッケージPの内容物が大気中の水分と接触し、そして該内容物が硬化した後;又は
・請求項8を引用する請求項14に記載の2成分組成物RTV−2のパッケージP1及びP2の内容物が混合し、そして該混合物が硬化した後
のシリコーンエラストマー。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物Cの、1個以上の縮合性基又は加水分解で縮合性の基を有するポリオルガノシロキサンの縮合反応の触媒としての使用。
【請求項17】
一般式(II)のヘテロ金属キレート化錯体:
[MmM’n(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z] (II)
式中、
・記号Mはアルミニウム又はマグネシウムであり;
・記号M’はチタン、ジルコニウム又はハフニウムであり;
・記号Lig1はアルコキシド配位子を表し;
・記号Lig2は一般式(I)のキレート配位子:
【化3】
(式中:
・それぞれのXは、互いに独立して、酸素原子又はNR’基(ここで、R’は、ハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルキル基を表す)を表し;
・R1及びR2は、互いに独立して次のものを表し:
・ハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルキル又はシクロアルキル基、
・ハロゲン原子で1回以上置換されていてよいアリール基、
・ハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルコキシド基、
・−OH、
・−NR”2(ここで、それぞれのR”は、互いに独立して、水素原子或いはハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルキル基を表す);
・R3は水素原子及びC1〜C4アルキル基から選択される一価基を表す。)
を表し;
・記号Lig3は、ヒドロキシ配位子、アルコール配位子及び中性配位子よりなる群から選択される配位子を表し;及び
・m、n、x、y及びzは、m>0、n>0、x≧0、y>0、z≧0及び(x+y)>0の数である。
【請求項18】
本発明に係る組成物を可撓性基材S上に塗布する方法であって、次の工程(a)、(b)及び(c)を含む方法:
(a)請求項1〜12のいずれかに記載の組成物を準備し、
(b)次いで該組成物を可撓性基材S上に連続的に又は非連続的に付着させ、及び
(c)該シリコーン組成物を周囲空気によって又は予め水を添加することによって供給された水分の存在下で硬化させてシリコーンエラストマーを形成させること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、水又は大気中の水分の存在下で、好ましくは室温で硬化できる、一般にRTVシリコーン(「室温加硫性」(Room Temperature Vulcanizable))と呼ばれる新規組成物に関する。特に、本発明は、1個以上の縮合性又は加水分解性及び縮合性基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサンAと、スズ系触媒を使用することを不要にするヘテロ金属触媒である少なくとも1種の化合物Cとを含む、水又は大気中の水分の存在下で硬化できる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
好ましくは室温で硬化可能なシリコーンの配合物(又はRTVシリコーン)は、かなりのトン数で製造され、かつ、マスチック、シール、成形品、接着剤、発泡体などを製造するために使用されている。従来、これらの配合物は、加水分解性及び縮合性末端を有するようにシランで予め官能化されていてよいヒドロキシル末端シリコーンオイル、例えばα,ω−(ヒドロキシジメチルシリル)ポリジメチルシロキサンと、架橋剤と、重縮合触媒と、従来のスズ塩又はアルキルチタネートと、任意に目的の最終用途に応じて様々な充填剤及び添加剤とを含有している。
【0003】
周囲温度(地域によっては5℃〜30℃の間で変化する場合がある)での重合及び/又は架橋により硬化するこれらのシリコーン組成物は、当業者によく知られており、2つの別々のグループに分類される:
・気密パッケージ内の単一部分(又は成分)の形態にある「単一成分」組成物(RTV−1)としてパッケージ化される組成物、及び
・2つの別個の部分(したがって「2成分」と示される)の形態にある「2成分」組成物(RTV−2)としてパッケージ化される組成物であって、触媒を含むパッケージが気密であるもの。
【0004】
気密パッケージングの目的は、触媒を含むシリコーン組成物が使用前の貯蔵の間に大気中の水分と接触しないようにすることである。これらのシリコーン組成物の重合及び/又は架橋によって行われる硬化中に、RTV−1の場合には、水は大気中の水分によって供給される。RTV−2の場合には、一般に触媒としてジメチルジカルボキシレートが使用されるが、これらのものは、2つの部分の内容物を周囲の空気と混合して、組成物の硬化につながるエラストマーネットワークを形成させるときに触媒を活性化しかつ重縮合反応を可能にするために、いくらかの水をそれらの部分の一つに添加することが必要な場合がある。
【0005】
例えば、マスチック又は接着剤として使用される単一成分シリコーン組成物(RTV−1)は、連続的又は同時であってよい所定数の反応を伴う機構によって低温架橋を受ける:
・シラノール官能基を有するシリコーンオイル、例えば、ヒドロキシル末端シリコーンオイル、例えばα,ω-(ヒドロキシジメチルシリル)ポリジメチルシロキサンと、SiX4型のシラン(例えばシリケート)又は次の官能基−SiX3を有する化合物(ここで、Xは、ほとんどの場合、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アミド、エノキシ、アミノオキシ、ケチミノキシ又はオキシム官能基である)などの架橋剤とを接触させることによって生じる官能化反応。これらの官能基がシラノール官能基と反応性であることはよく知られている。得られた生成物は、「官能化オイル」と呼ばれる場合が多い。この反応は、組成物(その場で官能化)の製造中に直接又は任意に組成物の他の成分を添加する前に予備段階として望まれる場合が多い。この予備工程では、単一成分組成物に良好な貯蔵安定性を付与するためにリチア(又は水酸化リチウム)又はカリなどの官能化触媒を使用することが一般的である。この目的で、当業者であれば、特定の官能化触媒を選択することができ、かつ、官能化されるシラノール官能基に対してモル過剰の架橋剤となるように反応物質の量を調節するであろう。
・一般に大気に露出した表面から材料に拡散する水蒸気に起因する官能化オイルの加水分解による架橋及び形成されたシラノール基と他の残留反応性官能基との縮合。
【0006】
2成分組成物の形態でパッケージ化された組成物(RTV−2)に関して、第1成分(又は部分)は、重縮合性ポリオルガノシロキサンを含み、気密である第2成分は、触媒及び1種以上の架橋剤を含む。これら2つの成分(又は部分)は使用時に混合され、そしてこの混合物は、特に組成物が補強充填剤を含む場合には架橋反応によって比較的硬質のエラストマーの形態に硬化する。2成分系でパッケージ化されるこれらの組成物は周知であり、特にWalter Noll「Chemistry and Technology of Silicones」,1968年、第2版、第395〜398に記載されている。これらの組成物は、次の成分を含む場合が多い:
・鎖内において、鎖の末端に又は鎖の末端及び鎖内の両方においてシラノール基を有する反応性ポリオルガノシロキサン(例えばα,ω−ジ(ヒドロキシジメチルシリル)(ポリジメチルシロキサン));
・架橋剤;
・縮合触媒;及び
・任意に、ジブチルスズジカルボキシレートを触媒として使用するときに存在する場合の多い水(この水は、該触媒のための活性化剤として機能する)。
【0007】
単一成分及び2成分組成物の両方において数十年にわたって使用されている最もよく知られている触媒は、スズ誘導体である。本発明者は、特に、良好な架橋触媒であると共に、液体で、シリコーンオイルに可溶で、しかも無色であるジブチルスズジラウレートなどのアルキルスズをベースとする化合物、(DBTDL)を挙げることができる。しかし、これらのものには、毒性があり、かつ、生殖に対する毒性であるCMRIIに分類されるという欠点がある。今のところ、スズ系触媒の代替がこの技術分野における行為者にとっての大きな課題である。
【0008】
代替の触媒、特にチタン系触媒が既に従来技術で提案されている(例えば国際特許出願公開WO2013/036546号を参照されたい)。非常に多くの他の触媒、例えば亜鉛、スカンジウム、イッテルビウム、銅、銀、セリウム、モリブデン、ビスマス、ハフニウム又はグアニジン誘導体をベースとする触媒が列挙されている。ジルコニウム又はチタンのキレートを使用することが特に国際特許出願WO01/49789号に記載されている。また、仏国特許出願FR2856694号には、少なくとも2種の金属誘導体の組合せからなる混合触媒を使用することが提案されており、ここで、第1のものは、チタン又はジルコニウム誘導体であり、第2のものは、亜鉛、アルミニウム、ホウ素又はビスマス誘導体である。これらの混合触媒は、単に配合時に数種の単一金属触媒を組み合わせることにより得られる。特に黄変及び付着の観点から興味深い効果が得られるにしても、これらの金属触媒では、スズ系触媒を用いて得られたエラストマーの架橋反応速度及び硬度を得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2013/036546号
【特許文献2】国際公開第01/49789号
【特許文献3】仏国特許第2856694号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この状況において、本発明の目的の一つは、スズ系触媒を置換するために新規な非毒性縮合触媒を提案することである。これらの触媒は、有利には、次の特性の1つ以上を有することができる:
・反応速度の観点から、スズ系触媒と同等又はそれよりも優れた性能を有すること;
・スズ系触媒を用いて得られるものと同等又はそれよりも良好なエラストマーの硬化を可能にすること;
・時間の経過とともに黄変しない半透明の材料をもたらすこと;
・接着促進剤の非存在下又は存在下でその性能を維持すること。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の簡単な説明
本発明者は、これらの目的が縮合性基又は加水分解性で縮合性の基を有するポリオルガノシロキサンの縮合反応の触媒としてヘテロ金属錯体を使用して達成できることを見出した。
【0012】
第1の態様によれば、本発明は、水及び大気中の水分の存在下で硬化できる組成物であって、
(A)1個以上の縮合性基又は加水分解性で縮合性の基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、及び
(B)ポリオルガノシロキサンAの縮合性基又は加水分解性で縮合性の基の縮合反応を触媒することができ、かつ、化学式が
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mは、周期律表の第2及び13族原子よりなる群から選択される原子であり、M’は周期律表の第4族原子よりなる群から選択される原子である)、及び
・少なくとも1種のアルコキシド配位子及びキレート配位子
を有するヘテロ金属錯体である少なくとも1種の化合物C
を含む組成物に関する。
【0013】
他の態様によれば、本発明は、本明細書において上記定義した化合物Cの、1個以上の縮合性基又は加水分解で縮合性の基を有するポリオルガノシロキサンの縮合反応の触媒としての使用に関する。
【0014】
特に、本発明は、本明細書に記載される本発明に係るヘテロ金属錯体の、重縮合反応により硬化してシリコーンエラストマーを形成することのできるポリオルガノシロキサンの重縮合触媒としての使用に関するものでもある。
【0015】
さらに、本発明は、化学式が
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mは、周期律表の第2及び13族原子よりなる群から選択される原子であり、M’は周期律表の第4族原子よりなる群から選択される原子である)、及び
・一般式(I)の少なくとも1種のキレート配位子:
【化1】
(式中:
・それぞれのXは、互いに独立して、酸素原子又はNR’基(ここで、R’は、ハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルキル基を表す)を表し;
・R1及びR2は、互いに独立して次のものを表し:
・ハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルキル又はシクロアルキル基、
・ハロゲン原子で1回以上置換されていてよいアリール基、
・ハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルコキシド基、
・−OH、
・−NR”2(ここで、それぞれのR”は、互いに独立して、水素原子或いはハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルキル基を表し);
・R3は一価基、好ましくは水素原子又はC1〜C4アルキル基を表す。)
を有するヘテロ金属キレート化錯体に関するものでもある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本明細書において、用語「の間」は、示された限界値を含むものと解釈しなければならないものとする。
【0017】
本発明に係る組成物は、水又は大気中の水分の存在下で硬化できる(「加硫性」ともいう)、一般にRTVシリコーンと呼ばれる組成物である。従来、このものは、
・1個以上の縮合性基又は加水分解性で縮合性の基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、
・ポリオルガノシロキサンAの縮合性基又は加水分解性で縮合性の基の縮合反応を触媒することのできる本発明に係る少なくとも1種の化合物C
を含む。
【0018】
該組成物は、好ましくは室温で水又は大気中の水分の存在下で硬化可能である。「室温」とは、好ましくは約20℃を意味する。
【0019】
化合物Cは、その化学式が次のものを有するヘテロ金属錯体である:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mは、周期律表の第2及び13族原子よりなる群から選択される原子であり、M’は周期律表の第4族原子よりなる群から選択される原子である)、及び
・少なくとも1種のアルコキシド配位子及びキレート配位子。
【0020】
本発明では、周期律表の第2族及び第13族の原子は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)及びタリウム(Tl)である。好ましくは、Mは、マグネシウム又はアルミニウム原子である。周期律表の第4族の原子は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)及びラザホージウム(Rf)である。好ましくは、M’はチタン又はジルコニウム原子である。
【0021】
本発明において、表現「ヘテロ金属錯体」とは、その化学式が少なくとも2個の異なる金属原子を含む多核錯体をいう。
【0022】
好ましい実施形態によれば、化合物Cは、その化学式が次のものを含むヘテロ金属錯体である:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)、好ましくはアルミニウム(Al)原子であり、M’はチタン(Ti)又はジルコニウム(Zr)原子である。)、及び
・少なくとも1種のアルコキシド配位子及びキレート配位子。
【0023】
したがって、このものは、好ましくは、その化学式が少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子及び次のペアから選択される少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’を含むヘテロ金属錯体よりなる群から選択できる:
・Mがマグネシウム原子(Mg)であり、M’がチタン原子(Ti)である、
・Mがマグネシウム原子(Mg)であり、M’がジルコニウム原子(Zr)である、
・Mがアルミニウム原子(Al)であり、M’がチタン原子(Ti)である、又は
・Mがアルミニウム原子(Al)であり、M’がジルコニウム原子(Zr)である。
【0024】
さらに好ましくは、このものは、その化学式が少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子及び次のペアから選択される少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’を含むヘテロ金属錯体よりなる群から選択される:
・Mがアルミニウム原子(Al)であり、M’がチタン原子(Ti)である、又は
・Mがアルミニウム原子(Al)であり、M’がジルコニウム原子(Zr)である。
【0025】
さらに好ましくは、本発明の化合物Cは、化学式が少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子と少なくとも2個の金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウム原子(Al)であり、M’はジルコニウム原子(Zr)である)とを含むヘテロ金属錯体よりなる群から選択される。
【0026】
金属M’に対する金属Mのモル比は、0.1〜10の間、好ましくは0.25〜4の間であることができる。
【0027】
非常に好ましい実施形態によれば、本発明に係る化合物Cは、次のものよりなる群から選択される:
・化学式が少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子と少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウム原子であり、M’はジルコニウム原子である。)を含み、モル比Al/Zrが1の値を有するヘテロ金属錯体;
・化学式が少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子と少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウム原子であり、M’はジルコニウム原子である。)を含み、モル比Al/Zrが2の値を有するヘテロ金属錯体;
・化学式が少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子と少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウム原子であり、M’はチタン原子である。)を含み、モル比Al/Tiが1の値を有するヘテロ金属錯体;
・化学式が少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子と少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウム原子であり、M’はチタン原子である。)を含み、モル比Al/Tiが2の値を有するヘテロ金属錯体;
・化学式が少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子と少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウム原子であり、M’はジルコニウム原子である。)を含み、モル比Mg/Zrが1の値を有するヘテロ金属錯体;
・化学式が少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子と少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウム原子であり、M’はチタン原子である。)を含み、モル比Mg/Tiが1の値を有するヘテロ金属錯体。
【0028】
さらに好ましい実施形態によれば、化合物Cは、次のものよりなる群から選択される:
・化学式が
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウム原子であり、M’はジルコニウム原子であり、モル比Al/Zr=0.5、1又は2である);及び
・少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子
を含むヘテロ金属錯体;並びに
・化学式が
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウム原子であり、M’はチタン原子であり、モル比Al/Ti=1又は2である);及び
・少なくとも1個のアルコキシド配位子又はキレート配位子
を含むヘテロ金属錯体。
【0029】
1個以上の配位子は金属原子を錯化することになる。本発明に係るヘテロ金属錯体は、アルコキシド配位子又はキレート配位子から選択される少なくとも1個の配位子を含む。
【0030】
表現「アルコキシド配位子」とは、化学式ORの配位子をいい、ここで、Rは、C1〜C24アルキル基を表す。好ましくは、アルコキシド配位子は、化学式ORの配位子であり、ここで、Rは、C2〜C12アルキル基を表し、より好ましくは、Rはエチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル及び2−ブチルオクチルよりなる群から選択される。
【0031】
表現「キレート配位子」とは、1個以上の金属原子に少なくとも2回結合した配位子を表す。キレート配位子は、二座、三座又は四座キレート配位子、好ましくは二座配位子から選択できる。多数のキレート配位子が当業者に知られている。
【0032】
以下、キレート配位子は、それらの中性の遊離形態で説明する。これらのものが錯体中における中心元素に結合する場合には、これらのキレート配位子は、プロトンを失っており又は互変異性体形態であることが可能である。
【0033】
好ましくは、キレート配位子は、一般式(I)の配位子である:
【化2】
(式中:
・それぞれのXは、互いに独立して、酸素原子又はNR’基(ここで、R’は、ハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルキル基を表す)を表し;
・R1及びR2は、互いに独立して次のものを表し:
・ハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルキル又はシクロアルキル基、
・ハロゲン原子で1回以上置換されていてよいアリール基、
・ハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルコキシド基、
・−OH、
・−NR”2(ここで、それぞれのR”は、互いに独立して、水素原子或いはハロゲン原子及び/又はアリール基で1回以上置換されていてよいC1〜C8アルキル基を表す);
・R3は一価基、好ましくは水素原子又はC1〜C4アルキル基を表す。)。
【0034】
好ましくは、キレート配位子は、β−ケトエステル型の配位子、β−ジエステル型の配位子、β−ジケトン型の配位子、β−二酸型の配位子、β−ケトアミド型の配位子及びβ−ジイミド型の配位子よりなる群から選択される。
【0035】
さらにより好ましくは、キレート配位子は、エチルアセトアセテート、エチルエチルアセテート、プロピオニルエチルアセテート、2−エチルエチルアセトアセテート、トリフルオロエチルアセトアセテート、t−ブチルエチルアセトアセテート、シクロプロピルエチルアセトアセテート、プロピルアセトアセトネート、アセトケトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、4,4,4−トリフルオロ−1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、ジイソプロピルマロネート、アセトアセトアミド、ビス−N,N’−(2−フェニルエチル)−2,4−ジイミノペンタン、メチルアクリレート、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデカン及びピバロイルメチルアセテートよりなる群から選択される。
【0036】
ヘテロ金属錯体は、単一の配位子又は数個の配位子を含むことができる。配位子の数及び性質は、金属原子の配位数に適合する。ヘテロ金属錯体が単一の配位子を含む場合には、後者のものは、上で定義したアルコキシド配位子及びキレート配位子から選択される。ヘテロ金属錯体が数個の配位子を含む場合には、後者のものは、同一でも異なっていてもよい。例えば、数個の同一の又は異なるアルコキシド配位子、数個の同一の又は異なるキレート配位子、又はアルコキシド配位子とキレート配位子との混合物が存在することができる。
【0037】
さらに、他のタイプの配位子も存在することができる。
【0038】
非常に具体的には、ヘテロ金属錯体は、1個以上のオキソ配位子(O)、1個以上のヒドロキシル配位子(OH)及び/又は1個以上のアルコール配位子を含むことができる。これらの配位子は、特に、オリゴマー化及びアルコキシド配位子との金属錯体の加水分解の現象により存在する可能性がある。表現「アルコール配位子」とは、化学式(C1〜C24アルキル)−OHの配位子をいう。
【0039】
さらに、ヘテロ金属錯体は、他の中性配位子を含むことができる。本発明において、表現「中性配位子」とは、電子対を金属に供給することにより金属を配位する配位子をいう。当業者であれば、問題の金属に好適な任意の種類の中性配位子を使用するであろう。中性配位子は、少なくとも一対の自由電子を有する中性配位子、例えばアミン、ホスフィン、エーテル及び水から選択でき、これらの配位子は、エチレンなどの1個以上のπ結合を介して配位され、また、これらの配位子は、H2などのσ結合を介して配位される。好ましくは、本発明に係るヘテロ金属錯体は、任意の他の中性配位子を含まない。
【0040】
本発明の化合物Cは、一般式(II)のヘテロ金属錯体であることができる:
[MmM’n(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z] (II)
式中、
・記号Mはアルミニウム(Al)又はマグネシウム(Mg)の原子を表し;
・記号M’はジルコニウム(Zr)又はチタン(Ti)の原子を表し;
・記号Lig1はアルコキシド配位子を表し;
・記号Lig2はキレート配位子を表し;
・記号Lig3は、オキソ配位子、ヒドロキシ配位子、アルコール配位子及び中性配位子よりなる群から選択される配位子を表し;及び
・m、n、x、y及びzは、m>0、n>0、x≧0、y≧0、z≧0及び(x+y)>0のような数である。
【0041】
上記表記法では、数m、n、x、y及びzは、整数であっても整数でなくてもよい。これらのものが整数でない場合には、当業者であれば、式(II)が錯体の組成及び異なる原子間又は原子の基間のモル比に基づく一般式であることが分かるであろう。さらに、この式において、xがゼロ以外の場合には、同一又は異なっていてもよい1個以上の配位子Lig1が存在していてよく、yがゼロである場合、同一又は異なっていてもよい1個以上の配位子Lig2が存在していてよく、zがゼロである場合には、同一又は異なっていてよい1個以上の配位子Lig3が存在していてもよい。
【0042】
数m及びnは、独立して、0〜20の間(0は除外される)選択でき、比m/nは0.1〜10の間であることができる。好ましくは、m及びnは、独立して、1、2、3又は4に等しくてもよい。さらに、比m/nは、0.25〜4の間であることが好ましい。
【0043】
本発明の化合物Cは、特に、次式(IIa)〜(IIf)のヘテロ金属錯体よりなる群から選択できる:
[AlZr(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z] (IIa)
[Al2Zr(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z] (IIb)
[AlTi(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z] (IIc)
[Al2Ti(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z] (IId)
[MgZr(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z] (IIe)
[MgTi(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z] (IIf)
(式中、Lig1、Lig2、Lig3、x、y及びzは上で定義したとおりである。)。
【0044】
本発明のヘテロ金属錯体は、少なくとも1個のアルコキシド配位子Lig1又はキレート配位子Lig2を含む。一般式(II)において、x、y及びzは、x≧0、y≧0、z≧0及び(x+y)>0となるような数字である。したがって、x及びyは同時にゼロに等しくすることはできない。xは、好ましくは0〜20の間、より好ましくは0.1〜12の間であることができる。yは、好ましくは、0〜20の間、より好ましくは2〜10の間であることができる。zは、好ましくは、0〜2の間であることができる。Lig1は、好ましくは上記のようなアルコキシド配位子であり、Lig2は、好ましくは上記のようなキレート配位子であり、Lig3は、好ましくは上記のような中性配位子である。
【0045】
特に好ましい2つの実施形態を以下に示す。
【0046】
本発明の第1の特に好ましい実施形態によれば、化合物Cは、化学式が少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウム又はアルミニウム原子であり、M’はチタン又はジルコニウム原子である。)を含むヘテロ金属アルコキシド錯体である。この錯体は上で定義したような少なくとも1個のアルコキシド錯体を含む。
【0047】
この錯体の配位子は、オキソ配位子、水酸化配位子及びアルコール配位子よりなる群から選択される1個以上の配位子と混合されていてよい、同一又は異なっていてもよいアルコキシドのみであることができる。
【0048】
この実施形態に係る化合物Cは、一般式(II)(式中、「y」は、ゼロの値であり、「x」はゼロとは異なる。)のヘテロ金属錯体である。好ましくは、このものは、一般式(III)のヘテロ金属アルコキシド錯体である:
[MmM’n(Lig1)x(Lig3)z] (III)
式中、
・記号Mはマグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)の原子を表し;
・記号M’はチタン(Ti)又はジルコニウム(Zr)の原子を表し;
・記号Lig1はアルコキシド配位子を表し;
・記号Lig3は、オキソ配位子、ヒドロキシド配位子及びアルコール配位子よりなる群から選択される配位子を表し;及び
・m、n、x、y及びzは、m>0、n>0、x>0及びz≧0のような数である。
【0049】
特に、化合物Cは、化学式が次のものを含むヘテロ金属アルコキシド錯体であり:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウム又はアルミニウムであり、M’はチタン又はジルコニウムである。)、及び
・少なくとも1個のアルコキシド配位子;
好ましくは、該ヘテロ金属アルコキシド錯体は、次のものよりなる群から選択され:
・化学式が次のものを含むヘテロ金属アルコキシド錯体:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウムであり、M’はジルコニウムである。)、及び
・化学式:O−(直鎖又は分岐C3〜C12アルキル)の少なくとも1個のアルコキシド配位子、
・ここで、モル比Al/Zrは0.5、1又は2の値を有する;
・化学式が次のものを含むヘテロ金属アルコキシド錯体:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウムであり、M’はジルコニウムである。)、及び
・化学式:O−(直鎖又は分岐C2〜C12アルキル)の少なくとも1個のアルコキシド配位子、
・ここで、モル比Mg/Zrは0.5、1、2、3又は4の値を有する;及び
・化学式が次のものを含むヘテロ金属アルコキシド錯体:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウムであり、M’はチタンである。)、及び
・化学式:O−(直鎖又は分岐C3〜C12アルキル)の少なくとも1個のアルコキシド配位子、
・ここで、モル比Al/Tiは1又は2の値を有する;
さらに好ましくは、該ヘテロ金属アルコキシド錯体は、AlZr(OBu)4(OsBu)3、Al2Zr(OnBu)4(OsBu)6、AlZr2(OnBu)11、AlTi(OsBu)3(OnBu)4及びAl2Ti(OnBu)10よりなる群から選択される。
【0050】
この実施形態に係る所定のヘテロ金属アルコキシド錯体は市販されている。例えば、Gelest社がアルミニウム・チタン、アルミニウム・ジルコニウム、マグネシウム・ ジルコニウムヘテロ金属アルコキシド錯体を供給する。
【0051】
さらに、この実施形態に係るヘテロ金属アルコキシド錯体は、対応するモノアルコキシドから製造できる。可能な合成経路は、モノアルコキシドを一緒に撹拌しながら好ましくは溶媒なしで及び好ましくは室温で会合反応が生じるのに十分な時間にわたって反応させることからなる。この反応は一般に発熱性である。
【0052】
所望のヘテロ金属アルコキシド錯体は、配位子交換により従来通り得ることができる。アルコキシド配位子の交換は、第1錯体と、所望のアルコキシド配位子に対応する、第1錯体の配位子に相当するアルコールよりも揮発性が低いアルコールとを必要に応じて好適な溶媒中において加熱しながら好ましくは減圧下で反応させることによって従来通り実施できる。
【0053】
本発明の第2の特に好ましい実施形態によれば、化合物Cは、ヘテロ金属キレート錯体である。化学式が少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウム又はアルミニウム原子であり、M’はチタン又はジルコニウム原子である。)を含む。この錯体は、上で定義した少なくとも1個のキレート配位子を含む。
【0054】
この錯体の配位子は、同一又は異なっていてもよいキレートのみ、或いはアルコキシド配位子、オキソ配位子、ヒドロキシド配位子及びアルコール配位子よりなる群から選択される1個以上の配位子と混合された1種以上のキレートであることができる。
【0055】
この実施形態に係る化合物Cは、一般式(II)(式中、「y」はゼロとは異なる。)のヘテロ金属錯体であることができる。好ましくは、このものは、一般式(IV)のヘテロ金属キレート錯体である:
[MmM’n(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z] (IV)
式中、
・記号Mはマグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)の原子を表し;
・記号M’はチタン(Ti)又はジルコニウム(Zr)の原子を表し;
・記号Lig1はアルコキシド配位子を表し;
・記号Lig2はキレート配位子を表し;
・記号Lig3は、オキソ配位子、ヒドロキシド配位子及びアルコール配位子よりなる群から選択される配位子を表し;及び
・m、n、x、y及びzは、m>0、n>0、x≧0、y>0及びz≧0のような数である。
【0056】
特に、化合物Cは、化学式が次のものを含むヘテロ金属キレート化錯体であり:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウム又はアルミニウムであり、M’はチタン又はジルコニウムである。)、及び
・少なくとも1個のキレート配位子;
好ましくは、該ヘテロ金属キレート化錯体は、次のものよりなる群から選択され:
・化学式が次のものを含むヘテロ金属キレート化錯体:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウムであり、M’はジルコニウムである。)、及び
・好ましくはエチルアセトアセテート、プロピルアセトアセテート及びジイソプロピルマロネートよりなる群から選択される少なくとも1種のキレート配位子
・任意に化学式:O−(直鎖又は分岐C3又はC4アルキル)の少なくとも1個のアルコキシド配位子、
・モル比Al/Zr=1又は2を有する;
・化学式が次のものを含むヘテロ金属キレート化錯体:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウムであり、M’はジルコニウムである。)、
・好ましくはエチルアセトアセテート、プロピルアセトアセテート及びジイソプロピルマロネートよりなる群から選択される少なくとも1種のキレート配位子、
・モル比Al/Zr=1又は2を有し;及び
・アルコキシド配位子を含まない;
・化学式が次のものを含むヘテロ金属キレート化錯体:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウムであり、M’はジルコニウムである。)、
・少なくとも1個のキレート配位子、好ましくはエチルアセトアセテート、及び
・モル比Mg/Zr=1を有する;
・化学式が次のものを含むヘテロ金属キレート化錯体:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはアルミニウムであり、M’はチタンである。)、
・好ましくはエチルアセトアセテート及びプロピルアセトアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種のキレート配位子
・任意に化学式:O−(直鎖又は分岐C3又はC4アルキル)の少なくとも1個のアルコキシド配位子、
・モル比Al/Ti=1を有する;
・化学式が次のものを含むヘテロ金属キレート化錯体:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウムであり、M’はチタンである。)、
・少なくとも1種のキレート配位子、好ましくはエチルアセトアセテート、
・任意に化学式:O−(直鎖又は分岐C3アルキル)の少なくとも1個のアルコキシド配位子、
・モル比Mg/Ti=1を有する;
さらに好ましくは、該ヘテロ金属キレート化錯体は、AlZr(EAA)3(OnPr)4、Al2Zr(EAA)6(OnPr)4、AlZr(EAA)7、Al2Zr(EAA)10及びAlTi(EAA)3(OnBu)4よりなる群から選択される。
【0057】
所定の一金属原子性キレート化錯体は市販されている。例えば、デュポン社は、Tyzor(登録商標)という商品名でチタン又はジルコニウムのキレート化錯体を提供している。
【0058】
所望の配位子を有する他の一金属原子性キレート化錯体は、配位子交換により従来通り得ることができる。配位子交換は、第1錯体と所望の配位子に相当する先駆物質とを任意に好適な溶媒中において加熱しながら好ましくは減圧下で反応させることにより従来通り実施できる。
【0059】
ヘテロ金属キレート錯体の合成は、3つの方法により実施できる:
・1種以上のアルコキシド錯体及び/又は一金属原子性キレートを、好ましくは室温でかつ溶媒なしで、会合反応が生じるのに十分な時間にわたって、好ましくは次の反応スキームに従って接触させることによるルイス酸−塩基反応:
nM(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z+mM’(Lig1’)x’
nM’m(Lig1)x(Lig1’)x’(Lig2)y(Lig3)z
(ここで、M、M’、Lig1、Lig2、Lig3、n、m、x、y及びzは上記意味を有し、Lig1’は、Lig1と同一又は異なるアルコキシド配位子を示し、x’は、x’>0となる数である。);
・例えば次の反応スキームに従う、キレート配位子によるヘテロ金属アルコキシド錯体上の1個以上のアルコキシド配位子の置換:
nM’m(Lig1)x(Lig3)z+yLig2→MnM’m(Lig1)x-y(Lig2)y(Lig3)z+yLig1
(ここで、M、M’、Lig1、Lig2、Lig3、n、m、x、y及びzは上記意味を有する。);
・次の2段階の合成:
(a)一金属原子性アルコキシド錯体から出発する、例えば次の反応スキームに従うキレートとの配位子交換による一金属原子性キレート化錯体の合成:
n(Lig1)x(Lig3)z+yLig2→Mn(Lig1)x-y(Lig2)y(Lig3)z+yLig1
(b)続いて、例えば次の反応スキームに従う、一金属原子性キレート化錯体と異なる金属をベースとする一金属原子性アルコキシド錯体との会合:
n(Lig1)x(Lig2)y(Lig3)z+mM’(Lig1’)x’→MnM’m(Lig1)x(Lig1’)x’(Lig2)y(Lig3)z
【0060】
この2段階合成経路は、有利には、中間体を単離しないワンポットであることができる。
【0061】
本発明者が知る限りにおいて、本発明に記載されるようなヘテロ金属キレート化錯体は、過去に全く提案されていない。
【0062】
そのため、本発明は、次のものを含むヘテロ金属キレート化錯体に関するものでもある:
・少なくとも2個の異なる金属原子M及びM’(ここで、Mはマグネシウム又はアルミニウム原子であり、M’はチタン又はジルコニウム原子である。)、及び
・少なくとも1個のキレート配位子。
【0063】
本発明者は、全く予想外に、本発明のヘテロ金属錯体が、一金属原子性錯体の単純な混合物よりも、ポリオルガノシロキサンの縮合性基又は加水分解性で縮合性の基の縮合反応、特にシリコーンの重縮合反応の良好な触媒であったことを見出した。
【0064】
化合物Cは、本発明に従って水又は大気中の水分の存在下で硬化できる組成物中において触媒として触媒量で存在する。本発明の組成物中における触媒の濃度は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜6重量%の間、好ましくは1重量%〜3重量%の間とすることができる。
【0065】
好ましくは、本発明のポリオルガノシロキサンAは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシ−アルキレン−オキシ、アミノ、アミド、アシルアミノ、アミノオキシ、イミノキシ、ケチミノキシ、アシルオキシ及びエノキシ基よりなる群から選択される少なくとも2個の基を有する。
【0066】
好ましい実施形態によれば、ポリオルガノシロキサンAは、
(i)次式(V)の少なくとも2個のシロキシル単位:
【化3】
(式中、
・記号R4は、同一又は異なっていてもよく、一価のC1〜C30炭化水素基を表し、
・記号Zは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ加水分解性で縮合性の基又はヒドロキシル基を表し、好ましくはヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシ−アルキレン−オキシ、アミノ、アミド、アシルアミノ、アミノオキシ、イミノキシ、ケチミノキシ、アシルオキシ、イミノキシ、ケチミノキシ及びエノキシ基よりなる群から選択され、
・aは0、1又は2に等しく、bは1、2又は3であり、合計a+bは1、2又は3である。)及び
(ii)任意に次式(VI)の1個以上のシロキシル単位:
【化4】
(式中、
・記号R5は、同一又は異なっていてもよく、1個以上のハロゲン原子又はアミノ、エーテル、エステル、エポキシ、メルカプト若しくはシアノ基で置換されていてよい一価のC1〜C30炭化水素基を表し、
・記号cは0、1、2又は3である。)
を含む。
【0067】
好ましくは、ポリオルガノシロキサンAは、一般式(VII)を有する:
d63-dSi−O−(SiR62−O)p−SiR63-dd (VII)
(式中、
・記号Zは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ加水分解性で縮合性の基又はヒドロキシル基を表し、好ましくはヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシ−アルキレン−オキシ、アミノ、アミド、アシルアミノ、アミノオキシ、イミノキシ、ケチミノキシ、アシルオキシ及びエノキシ基よりなる群から選択され、
・記号R6は、同一又は異なっていてもよく、1個以上のハロゲン原子又はアミノ、エーテル、エステル、エポキシ、メルカプト若しくはシアノ基で置換されていてよい一価のC1〜C30炭化水素基を表し、
・dは1、2又は3に等しく、好ましくは2又は3に等しく、Zがヒドロキシル基である場合には、d=1であり、
・ポリオルガノシロキサンAがシリコーンオイルである場合には、記号pは1〜2000の間、好ましくは1〜1000の間であり、また、ポリオルガノシロキサンAがシリコーンガムである場合には、記号pは、好ましくは2000よりも大きく、その値は、ガムの稠度が本明細書に記載された一以上の基準に従って200〜2000の間とするような方法で決定される。)。
【0068】
式(V)、(VI)及び(VII)において、記号R4、R5及びR6は、好ましくは次のとおりである:
・1個以上のアリール若しくはシクロアルキル基、1個以上のハロゲン原子又はアミノ、エーテル、エステル、エポキシ、メルカプト、シアノ若しくは(ポリ)グリコール基で置換されていてよい1〜20個の炭素原子を有するアルキル基。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、エチル−2−ヘキシル、オクチル、デシル、フルオロ−3,3,3−プロピル、トリフルオロ−4,4,4−トリブチル、ペンタフルオロ−4,4,4,3,3−ブチル基が挙げられる;
・5〜13個の炭素原子を有するシクロアルキル及びハロシクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、プロピルシクロヘキシル、ジフルオロ−2,3−シクロブチル、ジフルオロ−3,4−メチル−5−シクロヘプチル基;
・6〜13個の炭素原子を有する単核アリール及びハロアリール基、例えばフェニル、トリル、キシリル、クロロフェニル、クロロフェニル、トリクロロフェニル基;
又は
・2〜8個の炭素原子を有するアルキル基、例えばビニル、アリル及びブテン−2−イル。
【0069】
ポリオルガノシロキサンAの粘度は、一般に、25℃で50mPa.s〜1000000mPa.sの間である。シリコーンゴムの場合には、ポリオルガノシロキサンAの粘度は、25℃で1000000mPa.sを上回り、そしてこのガムの稠度は、好ましくは200〜2000の間である。
【0070】
稠度は、例えばAFNOR規格の一つのNFT60119又はNFT60123に従って、針入度計を使用して針入度を測定することによって決定できる。規格NFT60 123は、この説明のために特に好適である。
【0071】
ポリオルガノシロキサンAがヒドロキシルタイプの記号Zを有する一般式(VII)のポリオルガノシロキサンである特定の場合には、記号dは、好ましくは1に等しくなる。この場合には、末端位(「α−ω」位)にシラノール官能基を有し、かつ、一般に粘度が例えば成形用について25℃で100mPa.s〜25℃で20000mPa.sまで変動するオイルであるポリ(ジメチルシロキサン)を使用することが好ましい。R4及びR5基(式(V)及び(VI)において)又はR6基(式(VII)において)の少なくとも60%がメチル基であるもの使用することが有利である(他の基は一般にフェニル及び/又はビニル基である)。
【0072】
本発明によれば、記号Zは、それぞれヒドロキシル基又は加水分解性で縮合性の基を表し、好ましくはアルコキシ、アルコキシ−アルキレン−オキシ、アミノ、アミド、アシルアミノ、アミノオキシ、イミノキシ、ケチミノキシ、アシルオキシ及びエノキシ基よりなる群から選択される。
【0073】
ポリオルガノシロキサンAが本発明の加水分解性で縮合性の基Zを有しかつポリオルガノシロキサン、好ましくは加水分解で縮合性の基Zを有するポリジメチルシロキサンである場合には、多くの場合、このものは官能化重合体として記載され、湿気の不存在下で安定な形態に相当し、このものは、単一成分組成物に使用できるため、密封されたカートリッジ内にパッケージ化でき、これは、硬化後に硬化エラストマーを形成するために使用時に操作者によって開封される。
【0074】
アルコキシ型の加水分解性で縮合性の基Zの例としては、1〜8個の炭素原子を有する基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソ −ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メトキシエトキシ、ヘキシルオキシ又はオクチルオキシ基が挙げられる。
【0075】
アルコキシ−アルキレンジオキシ型の加水分解性で縮合性の基Zの例としては、メトキシエチレン−オキシ基が挙げられる。
【0076】
アミノ型の加水分解性で縮合性の基Zの例として、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジメチルアミノ、n−ブチルアミノ、s−ブチルアミノ又はシクロヘキシルアミノ基が挙げられる。
【0077】
アミド型の加水分解性で縮合性の基Zの例としては、N−メチル−アセトアミド基が挙げられる。
【0078】
アシルアミノ型の加水分解性で縮合性の基Zの例としては、ベンゾイルアミノ基が挙げられる。
【0079】
アミノオキシ型の加水分解性で縮合性の基Zの例としては、ジメチルアミノオキシ、ジエチルアミノオキシ、ジオクチルアミノオキシ又はジフェニルアミノオキシ基が挙げられる。
【0080】
イミノキシ、特にケチミノキシ型の加水分解性で縮合性の基Zの例としては、次のオキシムから誘導される基が挙げられる:アセトフェノンオキシム、アセトンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジイソプロピルケトオキシム又はメチルイソブチルケトオキシム。
【0081】
アシルオキシ型の加水分解性で縮合性の基Zの例としては、アセトキシ基が挙げられる。
【0082】
エノキシ型の加水分解性で縮合性の基Zの例としては、2−プロペニル基が挙げられる。
【0083】
ポリオルガノシロキサンAがヒドロキシル型の基Zを有する場合には、これらのものを官能化触媒により単一成分組成物においてその場で官能化して、これらのもの保存し、そしてこれらのものを密封されたカートリッジ内にパッケージ化することができるようにする。好ましくは、官能化触媒は、リチア(又は水酸化リチウム)又はカリである。リチアは広く市販されている。好ましくは、このものは、アルコール、例えばメタノール又はエタノール溶液中で使用される。官能化によってアルコキシル化された基を有するポリオルガノシロキサンAの製造は、例えば仏国特許出願FR2638752号に記載されている。
【0084】
好ましくは、ポリオルガノシロキサンAは、次式(VIII)を有する:
【化5】
(式中、
・置換基R7は、同一又は異なっていてもよく、それぞれ一価のC1〜C13飽和炭化水素基又は不飽和、置換若しくは非置換脂肪族シクロアルカン若しくは芳香族を表し;
・置換基R8は、同一又は異なっていてよく、それぞれ一価の飽和又は不飽和C1〜C13炭化水素基、置換又は非置換脂肪族シクロアルカン又は芳香族を表し;
・置換基R9は、同一又は異なってよく、それぞれ直鎖又は分岐C1〜C6アルキル基を表し;
・qは、ポリオルガノシロキサンAに、それがシリコーンオイルの場合には25℃で50mPa.s〜1000000mPa.sの範囲内にある又はそれがガムの場合には1000000mPa.sを超える動的粘度を付与するのに十分な値を有し、好ましくはそれがシリコーンオイルの場合には、記号qは、1〜2000の間、好ましくは1〜1000の間であり、また、それがシリコーンガムの場合に、qは、好ましくは2000を超え、その値は、ガムの稠度が本明細書に記載された一以上の基準に従って200〜2000の間となるように決定され;及び
・下付き文字eはゼロ又は1に等しく、下付き文字fはゼロ又は1に等しい。
【0085】
別の好ましい実施形態によれば、少なくとも1個のアルコキシル化基を含むポリオルガノシロキサンAは、任意にその場で、少なくとも1種の官能化触媒の触媒有効量の存在下で、
(a)次式(IX)のシロキシ単位を含む少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA’:
【化6】
(式中:
・x+y=0、1、2又は3であり;
・置換基R10は、同一又は異なっていてよく、それぞれ、好ましくはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキル基よりなる群から選択される一価のC1〜C30炭化水素基を表し、
・基≡SiOHを含む少なくとも2個のシロキシル単位がポリオルガノシロキサンA’中に存在する。)と、
(b)次式(X)の少なくとも1種のポリアルコキシルシランH:
(R11iSi(OR12(4-i) (X)
(式中:
・i=0又は1であり、
・記号R11は一価のC1〜C13炭化水素基を表し、
・記号R12は、同一又は異なっていてよく、それぞれエステル官能基を有していてよい一価炭化水素C1〜C6基又はアルコキシアルキル基を表す。)
とを反応させることによって得られる。
【0086】
好ましい成分として、ポリオルガノシロキサンAは、次のシロキシル単位を含む:M=[(OH)(R132SiO1/2]及びD=[R1415SiO2/2]を含む;これらの式において、R13、R14及びR15は、直鎖又は分岐C1〜C6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル)、C3〜C8シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、C6〜C10アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)及びC6〜C15アルカリーレン基(例えば、トリル、キシリル)よりなる群から選択される、同一又は異なっていてもよい基である。
【0087】
ポリオルガノシロキサンAは、1分子当たり少なくとも2個のシラノール基SiOHを有し、かつ、25℃での動的粘度が50mPa.s〜50×106mPa.sの間、好ましくはシリコーンオイルの場合には50mPa.s〜106mPa.sの間であり又はシリコーンガムの場合には106mPa.sを超える直鎖ポリジオルガノシロキサンであることができる。本明細書で考慮される全ての粘度は、25℃で、それ自体知られている方法で測定される所定のレベルの動粘度に相当する。シリコーンガムの場合には、稠度は200〜2000の間である。
【0088】
好ましくは、ポリオルガノシロキサンAは、次式(XI)のポリオルガノシロキサンよりなる群から選択される:
【化7】
(式中、
・rは、式(XI)のポリオルガノシロキサンに、それがシリコーンオイルである場合に50mPa.s〜1000000mPa.sの範囲内にある又はそれがシリコーンゴムである場合には1000000mPa.sを超える25℃での動的粘度を付与するのに十分な値を有し、好ましくは、記号rは、それがシリコーンオイルの場合には1〜2000の間であり、好ましくは1〜1000の間であり、それがシリコーンガムの場合には、rは、好ましくは2000よりも大きく、その値は、ガムの稠度が本明細書に記載された一以上の基準に従って200〜2000の間となるように決定され;
・R17及びR18は、同一又は異なっていてよく、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、アリール、アルケン又はアルキレンを表す。)。
【0089】
ポリオルガノシロキサンAの最も有用な例は、それらの産業上の入手容易性のため、R17及びR18が独立にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル及び3,3,3−トリフルオロプロピルよりなる基の群から選択されるものである。非常に好ましくは、これらの基の数基準の少なくとも約80%はメチル基である。
【0090】
さらにより好ましくは、ポリオルガノシロキサンAは、次式(VII)のポリオルガノシロキサンである:
【化8】
ここで、1≦s≦4200であり、好ましくは2≦s≦1500である。
【0091】
ポリオルガノシロキサンAの構造内に一般に存在する同一又は異なる有機基は、メチル、エチル、フェニル又はトリフルオロプロピル基である。好ましくは、前記有機基の数を基準にして少なくとも80%がケイ素原子に直接結合したメチル基である。本発明において、α,ω−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ポリジメチルシロキサンがとりわけ好ましい。
【0092】
本発明において、特に、米国特許第2891920号及び同3294725号に記載された陰イオン重合方法により製造されたα,ω−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ポリジメチルシロキサンを使用することができる。
【0093】
また、ポリオルガノシロキサンAは、少なくとも1個のヒドロキシル基又はアルコキシ基を有する有機ケイ素樹脂から選択でき、該基は、凝縮性若しくは加水分解性又は凝縮性のいずれかであり、かつ、次式M、D、T及びQのものから選択される少なくとも2個の異なるシロキシル単位を含む:
ここで、
・シロキシル単位M=(R03SiO1/2
・シロキシル単位D=(R02SiO2/2
・シロキシル単位T=R0SiO3/2、及び
・シロキシル単位Q=SiO4/2であり;
式中、R0は、1〜40個の炭素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する一価炭化水素含有基又は基−ORe’’’(ここでR’’’=H又は1〜40個の炭素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基である)を表し;
ただし、該樹脂は、少なくとも1個のT又はQ単位を含むものとする。
【0094】
樹脂は、樹脂の重量に対して0.1〜10重量%の間のヒドロキシ又はアルコキシ置換基の重量含有量、好ましくは樹脂の重量に対して0.2〜5重量%の間のヒドロキシ又はアルコキシ置換基の重量含有量を有する。
【0095】
有機ケイ素樹脂は、一般に、ケイ素原子当たり約0.001〜1.5個のOH及び/又はアルコキシ基を有する。これらの有機ケイ素樹脂は、一般に、(R193SiCl、(R192Si(Cl)2、R19Si(Cl)3又はSi(Cl)4などのクロロシランの共加水分解及び共縮合することにより製造され、ここで、基R19は、同一又は異なるものであり、一般に直鎖又は分岐C1〜C6アルキル、フェニル及びトリフルオロ−3,3,3−プロピル基から選択される。ここで、アルキル型のR19基の例としては、特にメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル及びn−ヘキシルが挙げられる。
【0096】
樹脂の例としては、T(OH)、DT(OH)、DQ(OH)、DT(OH)、MQ(OH)、MDT(OH)、MDQ(OH)型のケイ素樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。
【0097】
本発明に係る組成物は、架橋剤Bをさらに含有することができる。この架橋剤は、好ましくは、ケイ素原子に結合した分子当たり2個以上の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物である。このような架橋剤は当業者に周知であり、市販されている。
【0098】
架橋剤Bは、好ましくは、それぞれの分子が少なくとも3個の加水分解性で縮合性の基Yを含むケイ素化合物であり、該架橋剤Bは、次式(XIII)を有する:
20(4-j)SiYj (XIII)
式中、
・記号R20は、1〜30個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、
・記号Yは、同一又は異なっていてよく、アルコキシ、アルコキシ−アルキレン−オキシ、アミノ、アミド、アシルアミノ、アミノオキシ、イミノキシ、ケチミノキシ、アシルオキシ又はエノキシ基よりなる群から選択され、好ましくは、Yはアルコキシ、アシルオキシ、エノキシ、ケチミノキシ又はオキシム基であり、
・記号j=2、3又は4、好ましくはj=3又は4である。
【0099】
基Yの例は、記号Zが加水分解性で縮合性の基である場合には、すなわちヒドロキシル基とは異なる場合には上記のものと同じある。
【0100】
架橋剤Bは、シリコーン市場で入手可能な製品である。さらに、これらを室温加硫性組成物において使用することが知られている。特に、次の仏国特許で言及されている:FR1126411、FR1179969、FR1189216、FR1198749、FR1248826、FR1314649、FR1423477、FR1432799及びFR2067636。
【0101】
架橋剤Bは、次のような少なくとも1個の加水分解性基を有する:
・式−O−CO−R’’’’のアシルオキシ、
・式−O−R’’’’のアルコキシ、
・式−NR2122のアミノ、
・式−NR21COR22のアミド、
・式−O−CR21=CHR22のアルケニルオキシ
・式−O−NR2122のアミノオキシ、
・式−O−N=CR2122のケチミノキシ又は
【化9】
ここで、R’’’’は、1〜15個の炭素原子を有するアルキル基又はアリール基を表し、R21及びR22は、同一又は異なっていてよく、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基又はアリール基を表し、Tは4〜8個の炭素原子を含むアルキレン基を表す。基R’’’’、R21及びR22のなかでは、特にメチル、シクロヘキシル及びフェニル基を挙げることができる。ラジカルTのなかでは、特に次式:−(CH24 −、−(CH25−及び−(CH26−のものを挙げることができる。
【0102】
架橋剤Bの他の例として、アルコキシシラン及び次の一般式(XIV)のシランの部分加水分解生成物を挙げることができる:
23k Si(OR24(4-k) (XIV)
式中、
・記号R23は、同一又は異なっていてよく、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、エチル−2−ヘキシル、オクチル及びデシル基、C3〜C6オキシアルキレン基を表し、
・記号R24は、飽和又は不飽和直鎖又は分岐脂肪族炭化水素基、飽和又は不飽和及び/又は芳香族単環式又は多環式炭素環基を表し、
・kは0、1又は2に等しい。
【0103】
3〜C6オキシアルキレン基の例としては、次の基を挙げることができる:
・CH3OCH2CH2
・CH3OCH2CH(CH3)−
・CH3OCH(CH3)CH2
・C25OCH2CH2CH2−。
【0104】
アシルオキシシラン架橋剤は、以前からよく知られている。これらのものは次の特許に特に記載されている:US3077465、US3382205、US3701753、US3957714、US4115356、US4273698、FR2429811及びFR2459820。
【0105】
アルコキシシランの例としては、次式のものを挙げることができる:
・Si(OCH34
・Si(OCH2CH34
・Si(OCH2CH2CH34
・(CH3O)3SiCH3
・(C25O)3SiCH3
・(CH3O)3Si(CH=CH2
・(C25O)3Si(CH=CH2
・(CH3O)3Si(CH2−CH=CH2
・(CH3O)3Si[CH2−(CH3)C=CH2
・(C25O)3Si(OCH3
・Si(OCH2−CH2−OCH34
・CH3Si(OCH2−CH2−OCH33
・(CH2=CH)Si(OCH2CH2OCH33
・C65Si(OCH33
・C65Si(OCH2−CH2−OCH33
【0106】
ケチミノキシシラン架橋剤は以前からよく知られている。これらのものは、例えば仏国特許のFR1314649及びFR1371250、米国特許のUS3678003及びUS3986999、英国特許のGB1468467、ベルギー国特許のBE901479及び欧州特許のEP157580に記載されている。
【0107】
ケチミノキシシランの例としては、次式のものを挙げることができる:
・CH3Si[−O−N=C(CH323
・CH3Si[−O−N=C(CH3)C253
・CH2=CHSi[−O−N=C(CH3)C253
・C65Si[−O−N=C(CH323
・CH3Si[−O−N =C(C25)(CH23CH33
・[(CH32C = N−O−] Si[−O−N=C(CH3)C253
・CH3Si[−O−N =C(CH3CH(C25)(CH23CH33
・CH3Si[−O−N =C(CH3CH(C25)(CH23CH33

【化10】

【化11】
【0108】
アルコキシシランの例としては、次式のものを挙げることができる:
・CH3Si(OCOCH33
・C25Si(OCOCH33
・CH2=CHSi(OCOCH33
・C65Si(OCOCH33
・CH3Si[OCOCH(C25)−(CH23−CH3
・CF3CH2CH2Si(OCOC653
・CH3Si(OCOCH32[OCOH(C25)−(CH23−CH3
・CH3COOSi[OCOCH(C25)−(CH23−CH3]。
【0109】
架橋剤Bの他の例としては、エチルポリシリケート又はn−プロピルポリシリケートを挙げることができる。
【0110】
架橋剤Bのうち、特に好ましいものは、アルコキシシラン、ケチミノキシシラン、アルキルシリケート及びアルキルポリシリケートであり、これらにおいて、有機基は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0111】
次の架橋剤Bが好ましく、これらのものは、単独で又は混合して使用できる:
・エチルポリシリケート及びn−プロピルポリシリケート;
・ジアルコキシシランなどのアルコキシシラン、例えばジアルキルジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、例えばアルキルトリアルコキシシラン、及びテトラアルコキシシラン、好ましくはプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、テトライソプロポキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及び次式のもの:
CH2=CHSi(OCH2CH2OCH33、[CH3][OCH(CH3)CH2OCH3]Si[OCH32、Si(OC24OCH34及びCH3Si(OC24OCH33
・次のアセトキシシランなどのアシルオキシシラン:テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、ブチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、オクチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、フェニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン及びテトラアセトキシシラン、
・次のようなアルコキシ及びアセトキシ基を含むシラン:メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン及びメチルアセトキシジエトキシシラン、
・メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−(グリシジルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、テトラキス(メチルエチルケトキシモ)シラン。
【0112】
一般に、架橋剤Bの重量0.1〜60重量部をポリオルガノシロキサンAの100重量部当たりに使用する。好ましくは、0.5〜15重量部をポリオルガノシロキサンAの100重量部当たりに使用する。
【0113】
本発明の組成物は、少なくとも1種の充填剤Dをさらに含むことができる。任意に想定される充填剤は、好ましくは鉱物充填剤である。これらのものは、特にケイ質であることができる。ケイ質材料に関して、これらのものは、補強又は半補強充填剤の役割を果たすことができる。ケイ質補強充填剤は、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ粉末及び沈降シリカ又はそれらの混合物から選択される。これらの粉末は、一般に0.1μm(マイクロメートル)未満の平均粒径及び30m2/gを超える、好ましくは、30〜350m2/gの間のBET比表面積を有する。また、珪藻土又は粉砕石英などの半補強ケイ質充填剤を使用することもできる。非ケイ質鉱物材料に関して、これらのものは、半補強用無機充填剤として又は単に増量剤として使用できる。単独で又は混合して使用できるこれらの非ケイ質充填剤の例としては、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水和アルミナ、膨張バーミキュライト、非膨張バーミキュライト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マイカ、タルク、酸化鉄、硫酸バリウム及び消石灰である。これらの充填剤は、一般に0.001〜300μm(マイクロメートル)の粒度及び100m2/g未満のBET表面積を有する。使用される充填剤は、好都合には、石英とシリカとの混合物とすることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。充填剤は、任意の好適な生成物で処理できる。重量に関して、このものは、組成物の全成分に対して1〜50重量%の充填剤量を使用することが好ましく、好ましくは1〜40重量%の間である。
【0114】
炭酸カルシウムの場合には、この充填剤は、「沈降炭酸カルシウム」という用語によってよく知られている、化学的に得られた合成炭酸カルシウム又は例えばチョーク、方解石、大理石若しくはこれらの混合物から製造される粉砕天然炭酸カルシウムであることができる。炭酸カルシウムのこれら2つの部類は、非反応性表面処理を受けていてもよい。このタイプの処理は、充填材の表面を有機物質で被覆することからなる。使用できるこの種の有機化合物のなかでは、脂肪酸、主としてステアリン酸又はその塩が好ましい。また、有用な炭酸カルシウムは、カップリング剤として広く使用されているオルガノトリアルコキシシランなどのカップリング剤を用いて実施される反応性表面処理により得ることもできる。
【0115】
好ましくは、粉砕天然炭酸カルシウムは、BET法により測定される、厳密に3m2/g未満の比表面積を有し、かつ、10〜24個の炭素原子を含有する少なくとも1種の脂肪酸又はカルシウム、マグネシウム若しくは亜鉛塩又はこれらの混合物から選択されるそのそれぞれの塩で表面処理されており、好ましくは、ステアリン酸又はそれぞれのカルシウム、マグネシウム又は亜鉛塩で表面処理されている。好ましくは、組成物に添加される粉砕天然炭酸カルシウムの量は、本発明の組成物の総重量に対して1〜100重量部の間である。
【0116】
これらの充填剤と組み合わせて、無機及び/又は有機顔料並びに耐熱性を改善するための薬剤(希土類元素の塩及び酸化物、例えば酸化セリウム並びに水酸化物)及び/又はエラストマーの難燃性を向上させるための薬剤を使用することが可能である。例えば、国際出願公開WO98/29488号に記載された酸化物のカクテルを使用することができる。難燃性を向上させるための薬剤のなかでは、ハロゲン化有機誘導体、リンの有機誘導体、白金誘導体、例えば塩化白金酸(アルカノール、エーテルオキシドとの反応生成物)、塩化白金−オレフィン錯体が挙げられる。これらの顔料及び薬剤は共に充填剤の重量の多くとも20%を占める。
【0117】
また、本発明の組成物は、少なくとも1種の接着促進剤E、例えば次のものを同時に有する有機ケイ素化合物を含むこともできる:
・ケイ素原子に結合した1個以上の加水分解性基、
・窒素原子を含む基で置換された又は(メタ)アクリレート、エポキシ、及びアルケニル基よりなる群、さらに好ましくは、次の化合物よりなる群から単独で又は混合として選択される1個以上の有機基:
・ビニルトリメトキシシラン(VTMO)、
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)、
・メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、
・[H2N(CH23]Si(OCH2CH2CH33
・[H2N(CH23]Si(OCH33
・[H2N(CH23]Si(OC253
・[H2N(CH24]Si(OCH33
・[H2NCH2CH(CH3)CH2CH2]SiCH3(OCH32
・[H2NCH2]Si(OCH33
・[n−C49−HN−CH2]Si(OCH33
・[H2N(CH22NH(CH23]Si(OCH33
・[H2N(CH22NH(CH23]Si(OCH2CH2OCH33
・[CH3NH(CH22NH(CH23]Si(OCH33
・[H(NHCH2CH22NH(CH23]Si(OCH33

【化12】

【化13】
【0118】
付着促進剤Eは、ポリオルガノシロキサンAの重量に対して0〜20重量%の間、好ましくは1〜20重量%の間の量で本発明のシリコーン組成物中に存在することができる。
【0119】
これらの主成分の他に、非反応性直鎖状ポリオルガノシロキサン重合体Fを、本発明の組成物の物理的特性及び/又はこれらの組成物の硬化により生じるエラストマーの機械的性質に作用させることを目的として導入できる。
【0120】
これらの非反応性直鎖ポリオルガノシロキサン重合体Fは周知である;特に、これらのものは、ジオルガノシロキシ単位と1%までのモノオルガノシロキシ及び/又はシロキシ単位とから本質的に形成される、25℃で少なくとも10mPa.sの粘度を有するα,ω−ビス(トリオルガノシロキシ)ジオルガノポリシロキサン重合体(ケイ素原子に結合した有機基は、メチル、ビニル及びフェニル基から選択される。)を含む。好ましくは、これらの有機基の少なくとも60%がメチル基であり、多くとも10%がビニル基である。これらの重合体の粘度は、25℃で10mPa.s〜106mPa.sの間であることができる;これらのものは、そのときに、多かれ少なかれ粘性のシリコーンオイルである。粘度が106mPa.sを超える場合には、これらのものはシリコーンガムとして記載される。稠度が200〜2000の間にあるものを好適に選択することができる。したがって、これらのものは、流体〜粘性の外観のオイル及び軟質〜硬質ガムを含む。これらのものは、仏国特許のFR978058、FR1025150、FR1108764、FR1370884により正確に記載された従来技術により製造される。25℃で10mPa.s〜1000mPa.sの範囲の粘度のα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ジメチルポリシロキサンオイルを使用することが好ましい。可塑剤の役割を果たすこれらの重合体は、ポリオルガノシロキサンAの100重量部当たり多くとも70重量部、好ましくは5〜20重量部の割合で導入できる。
【0121】
他の通常の助剤及び添加剤を本発明の組成物に配合できる。後者のものは、組成物が使用される用途に応じて選択される。
【0122】
本発明に係る組成物は、次の量を含むことができる:
・上記少なくとも1種のポリオルガノシロキサンAの100重量部当たり、
・少なくとも1種の架橋剤Bの0.1〜60重量部、好ましくは1〜15重量部、
・上記本発明に係る少なくとも1種の化合物Cの触媒として有効な量、
・少なくとも1種の充填剤Dの0〜150重量部、好ましくは0.1〜150重量部、
・少なくとも1種の接着促進剤Eの0〜20重量部、好ましくは0.1〜20重量部、及び
・少なくとも1種の非反応性直鎖ポリオルガノシロキサン重合体Fの0〜150重量部、好ましくは1〜150重量部。
【0123】
本発明の組成物は、通常の機能性添加剤をさらに含むことができる。通常の機能性添加剤群としては、次のものが挙げられる:
・粘着調節剤、
・稠度を増大させるための添加剤、
・顔料、
・耐熱性のための添加剤、オイルに対する耐性のための添加剤又は耐火性のための添加剤、例えば金属酸化物。
【0124】
より一般的には、定量的に、本発明の組成物は、当該技術分野における標準的な比率を有することができ、目的の用途を考慮することも必要であることも知られている。
【0125】
別の実施形態によれば、本発明に係る組成物は、その構造内に少なくとも1個のスズ原子を有する触媒を含有しない。
【0126】
本発明の別の変形例によれば、化合物Cは、少なくとも1種の官能化触媒を含有していてもよい該組成物に存在する唯一の重縮合触媒である。
【0127】
別の実施形態によれば、本発明は、単一気密パッケージP内にあり、かつ、次のものを含む単一成分組成RTV−1に関する:
(a)上で定義した少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、
(b)上で定義した少なくとも1種の架橋剤B、
(c)上で定義した少なくとも1種の化合物Cの触媒有効量、及び
(d)任意に少なくとも1種の充填剤D。
【0128】
単一成分組成物RTV−1は、単一部分として供給される。このものは、水の非存在下では貯蔵中に安定であり、水の存在下では硬化してエラストマーを形成する。このものは、加熱しながら又は加熱することなく、様々な成分を湿気から遠ざけて混合させることによって製造できる。触媒は、好ましくは、末端に取り込まれる。好ましくは、混合は、揮発性物質が逃げるのを促進させるために減圧下で実施される。
【0129】
このような方法で閉じ込められた環境内で保存されかつ水及び大気中の水分から保護されるので、単一成分組成物RTV−1は、数ヶ月間にわたる貯蔵中に安定である。
【0130】
単一成分組成物RTV−1は、本発明によれば、そのものとして使用され、すなわち希釈されず、又は希釈剤への分散液の形態で使用され、かつ、水分又は水の不存在下では貯蔵中に安定であり、また、水の存在下(分散液の場合には溶剤を除去した後)では低温であっても硬化してエラストマーを形成する。単一成分組成物RTV−1は、例えば次の特許:EP141685、EP147323、EP102268、EP21859、FR2121289及びFR2121631に詳細に記載されている。
【0131】
単一成分組成物RTV−1から製造された本発明に係る組成物を湿潤大気中において固体基材上に付着させた後に、エラストマーへの硬化プロセスが開始することが分かる。これは、付着物の外側から内側に生じる。最初に表面上に薄膜(スキン)が形成し、その後架橋が深いところにまで継続し、そしてシリコーンエラストマーの硬化をもたらす。表面の非粘着感に反映されるスキンの完全な形成は数分かかり、ここで、この時間は、組成物を取り巻く雰囲気の相対湿度のレベル及び後者の架橋の容易さに依存する。付着した層は、様々な厚さ、一般には0.15mm〜数cmの間、好ましくは1mm〜1cmの間のものであることができる。
【0132】
さらに、離型及び形成されたエラストマーの取り扱いを可能にするのに十分なものでなければならない付着層の深いところまでの硬化は時間がかかる。実際には、時間の長さは、非粘着感を生じさせるための上記要因のみならず、付着した層の厚さにも依存し、ここで、該厚さは、一般に0.5mm〜数cmの間である。単一成分組成物は、多くの用途、例えば建築業界での目的、材料(金属、プラスチック、天然及び合成ゴム、木材、厚紙、施釉陶器、レンガ、セラミック、ガラス、石、コンクリート、組積材料)の様々な組立、電気伝導体の絶縁、電子回路のカプセル化、樹脂又は合成フォーム内に物体を作製するための金型の製造に使用できる。
【0133】
さらに、本発明は、2つの別々のパッケージP1及びP2である、上で定義した本発明の組成物の前駆体である2成分組成物RTV−2であって、
(a)パッケージP1は気密性であり、かつ、
・上で定義した本発明に係る少なくとも1種の化合物Cの触媒有効量、及び
・上で定義した少なくとも1種の架橋剤B
を含み、しかも、
(b)パッケージP2は、該化合物Cも該架橋剤Bも含まず、かつ、
・上で定義した少なくとも1種のポリオルガノシロキサンAの100重量部当たり、
・0〜10重量部の水
を含むことを特徴とする組成物に関する。
【0134】
2成分組成物RTV−2は、2つの別々のパッケージで供給される:触媒を含有しかつ気密のP1及びP2。これらのものは、2つの別々の部分で触媒の配合後にパッケージ化され、ここで、該部分の一つは、例えば本発明に係る触媒又は架橋剤との混合物のみを含むことができる。RTV−2は、本発明の2成分組成物は、好適な装置内で様々な成分を混合させることによって製造される。2成分組成物RTV−2は、参考として引用される次の特許EP184966、EP50358、EP10478、EP117772、EP118325並びにUS3801572及びUS3888815に詳しく記載されている。
【0135】
2成分組成物RTV−2は、2つの部分P1及びP2を混合した後に本発明の組成物を得ることを可能にする。このものは、本発明の組成物の「前駆体」組成物である。2成分組成物RTV−2の各部分は、様々な成分を混合することによって製造できる。2つの部分を保存し、そしてキットの形態で販売することができる。使用時に、2つの部分を混合し、そしてこの混合物を固体基材上に付着させることができる。付着した層は、様々な厚さ、一般には0.15mm〜数cmの間、好ましくは1mm〜1cmの間であることができる。ポリオルガノシロキサンAと、水と、触媒の役割を果たす化合物Cとを接触させることで、完全に硬質のエラストマーが得られるまで組成物を硬化させる反応を開始させる。
【0136】
本発明の組成物は、有利には、スキン形成の速度及び深部硬化速度の両方の観点で、スズ系触媒を含む今のところ市場で入手可能な組成物に匹敵する硬化速度を有する。さらに、有利には、この組成物の性能は、粘着促進剤の存在によっては変化しない。
【0137】
本発明の組成物は、2成分型のRTV−2である場合には特に、成形用途に特に有用である。本願発明の組成物の使用については、キャスティング又はブラシ、スパチュラ若しくは噴霧による塗布の技術を使用することができる。
【0138】
成形技術の例としては、次のものが挙げられる:
・1つ以上の部分において、液状のRTV−2の2つの部分を最初のパターンで混合した後に組成物の単純なキャスティングによって自立金型を製造することを目的とする「ブロック成形」。この方法は、大きなアンダーカットのない比較的単純な形状に好ましい。
・「1つ又は2つの部分における被覆下成形」及び
・一般には大きな寸法の傾斜、垂直又はオーバーハングパターンの空洞を作製するために好ましい又はパターンを移動させることが不可能な場合に好ましい「スタンピングによる成形」。
【0139】
さらに、本発明は、
・上記のように水及び大気中の水分の存在下で本発明に係る組成物を硬化させた後;又は
・上記のように、本発明のRTV−1単一成分組成物のパッケージPの内容物を大気中の水分と接触させ、そして該内容物を硬化させた後;
・上記のように本発明の2成分組成物RTV−2のパッケージP1及びP2の内容物を混合し、そして該混合物を硬化させた後
に得られたシリコーンエラストマーに関する
【0140】
得られたシリコーンエラストマーは、有利には、スズ系触媒を含む組成物から得られたエラストマーと少なくとも同等の硬度を有する。さらに、これらのものは、半透明で、かつ、経時的に黄変を受けない場合がある。
【0141】
さらに、本発明は、上で定義した本発明の組成物を可撓性基材S上に塗布する方法であって、次の工程(a)、(b)及び(c)を含む方法に関する:
(a)上で定義した本発明に係る組成物を準備し、
(b)次いで該組成物を可撓性基材S上に連続的に又は非連続的に付着させ、及び
(c)本発明に係るシリコーン組成物を周囲空気によって又は予め水を添加することによって供給された水分の存在下で硬化させてシリコーンエラストマーを形成させること。
【0142】
本発明の方法の変形例によれば、組成物は、工程(a)において、上で定義されたような本発明の2成分組成物RTV−2のパッケージP1及びP2の内容物を混合した後に又は上で定義した本発明の一成分組成RTV−1のパッケージPの内容物から出発した後に製造される。
【0143】
本発明のシリコーン組成物の可撓性基材上への被覆は、多くの用途のために意図される。例えば、可撓性基材が織物である場合には、その目的は防水性を付与することであり、又は基材が紙又はPVC、PETなどの重合体である場合には、抗付着性が必要される場合が多い。
【0144】
したがって、本発明のシリコーンは、基材に塗布されたら、大気中の水分により及び/又は組成物中の水の存在により硬化してシリコーンエラストマーの固体被膜を形成する。これらの液体シリコーン被覆用組成物において、シリコーン相は、溶媒で希釈できる。
【0145】
架橋により硬化した付着防止シリコーンフィルム又はシリコーン層が被覆された可撓性基材Sは、好ましくは、織物、紙、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリウレタン又はポリエチレンテレフタレートの基材よりなる群から選択される。
【0146】
本発明の意味において、テキスタイルとは、全てのテキスタイル構造を含む一般的な用語である。テキスタイルは、糸、繊維、フィラメント及び/又は他の材料からなることができる。これらのものは、これらのものが織られ、接着され、編まれ、組まれ、フェルトから作製され、ニードルパンチされ、ステッチされ又は他の製造方法によって製造されるかどうかを問わず、特に可撓性の生地を含む。
【0147】
これらのテキスタイルは、オープンワークとすることができる、すなわち、繊維から構成されない空間を備えることができる。本発明のシリコーン組成物の被覆を効果的にするために、これらの空間の寸法の最小は5mm未満、好ましく特に1mm未満であることが好ましい。
【0148】
本発明によれば、テキスタイルから構成される可撓性基材Sの任意のタイプを使用することができる。ガイドとしては、次のものが挙げられる:
・天然テキスタイル、例えば綿、亜麻、麻、ジュート、ココヤシ、紙のセルロース繊維などの植物由来のテキスタイル;ウール、毛、皮革及び絹などの動物由来のテキスタイル;
・人工テキスタイル、例えばセルロース又はその誘導体などのセルローステキスタイル;動物又は植物由来のタンパク質性テキスタイル;
・合成テキスタイル、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、アクリロニトリル、(メタ)アクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体及びポリウレタン。
【0149】
重合又は重縮合により得られる合成テキスタイルは、特に、それらのマトリックス中に顔料、光沢防止剤、艶消し剤、触媒、熱安定剤及び/又は光安定剤、帯電防止剤、防火剤、抗菌剤、抗真菌剤及び/又は抗ダニ剤といった様々な添加剤を含むことができる。
【0150】
可撓性テキスタイル基材の種類としては、特にスレッド又は生地の直線的より合わせによって得られた基材、糸又は編物の曲線的交絡により得られた基材、混合織物又はチュール、不織布基材及び複合基材を挙げることができる。本発明の方法で使用できるテキスタイル基材の多数の種類のなかでは、フェルト、デニム、織りジャカード、ニードルボンド生地、ステッチ生地、かぎ針編み生地、グレナディン、レース及び鋸歯状のもの、ダマスク織り、ボイル、アルパカ、バラセア、浮きじま綿布、ブークレ織物、ブロケード、カリシェ、ベロア、キャンバス、シフォン、フロック、貼り合わせ生地、旗布、編組生地、ファイユ、スカーフ、ガーゼ、ジオテキスタイル、ヤスパー、マトラッセ、タフテッド生地、オーガンザ、プリーツ生地、リボン及びトワレが挙げられる。
【0151】
本発明の方法で使用される可撓性テキスタイル基材Sは、様々な方法で構築された、同一又は異なっていてよい1種以上のテキスタイルからなることができる。テキスタイルは、単層又は多層とすることができる。テキスタイル基材は、例えば、様々な組立手段、例えば縫製、接合又はスポット若しくは連続接着といった機械的手段によって製造できる多層構造からなることができる。
【0152】
可撓性テキスタイル基材Sは、本発明に係る被覆プロセスの他に、仕上げ処理とも呼ばれる1回以上の他の処理を受けることができる。これらの他の処理は、本発明の被覆プロセス前、その後及び/又はその間に実施できる。他の処理としては、染色、印刷、積層、被覆、他の材料又はテキスタイル表面との組立、洗浄、脱脂、予備成形又は固定が挙げられる。
【0153】
本発明の好ましい実施形態によれば、可撓性テキスタイル基材は、レース又は弾性包帯である。
【0154】
このようにして得られたテキスタイルは、そのまま又はテキスタイル物品に変換して、例えば、衣類の領域、特にランジェリー、例えばストッキングトップス又はブラジャーのレース、及び衛生用品、例えば圧縮包帯又はドレッシングなどの多くの用途に使用できる。これらのテキスタイル製品は、例えばシリコーンエラストマーにより与えられた密着力のため、身体や衣服の異なる位置に再配置できる。
【0155】
実際には、可撓性基材S上への本発明の組成物の付着速度は、0.1g/m2〜1g/m2の間、好ましくは0.3g/m2〜0.5g/m2の間であり、これはマイクロメートル程度の厚さに相当する。
【0156】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、単に説明のために与えられかつ決して限定ではない次の実施例から明らかになるであろう。
【実施例】
【0157】

表記法:
・OsBu:s−ブタノレート
・OnBu:n−ブタノレート
・OtBu:t−ブタノレート
・OBO:2−ブチルオクタノレート
・OC49:ブタノレート(直鎖及び分岐化合物の混合物)
・OEH:2−エチルヘキサノレート
・OEt:エタノレート
・OiPr:イソプロパノレート
・OnPr:n−プロパノレート
・OPr2Me:2−メチル−1−プロパノレート
・EAA:エチルアセトアセテート
・EEA:エチルエチルアセテート
・EPA:プロピオニルエチルアセテート
・E2EA:2−エチルエチルアセトアセテート
・F.EEA:トリフルオロ−エチルアセトアセテート
・t.EAA:t−ブチルエチルアセトアセテート
・C4EA:シクロプロピルエチルアセトアセテート
・PrOH:プロパノール
・PAA:プロピルアセトアセテート
・EPAA:プロピオニルエチルアセトアセテート
・acac:アセチルアセトン
・F.acac.F:ヘキサフルオロアセチルアセトン
・Ph.acac.F:4,4,4−トリフルオロ−1−フェニル−1,3−ブタンジオン
・Ph.acac.Ph:1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン
・t.acac:2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン
・diPrm:ジイソプロピルマロネート
・Aamid:アセトアセトアミド
・NacNac:ビス−N、N’−(2−フェニルエチル)−2,4−ジアミノペンタン
・MA:アクリル酸メチル
・DBU:1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセン。
【0158】
例1:ヘテロ金属アルコキシド錯体AlTi(OsBu)3(OnBu)4の合成及び分析
一金属原子性アルコキシドAl(OsBu)3及びTi(OnBu)4は、Sigma−Aldrich社から注文されたものであり、これを受け取り時に使用した。
【0159】
Al(OsBu)3とTi(OnBu)4とは、1モル当たり1モルのモル比で混合し、そして室温で2時間撹拌した。その後、定量的に得られたオイルを赤外線によって特性分析した。
【0160】
ヘテロ金属錯体のスペクトルにおいて、2つの新たな非常に強いバンドの出現が1035.8cm-1及び996.2cm-1で見出されたが、これは、Al−C−O−C−Ti鎖内におけるC−O結合の振動に相当する。611.7cm-1及び515.2cm-1での非常に強いバンドは、Al−O−Ti鎖内における金属−O結合の振動に相当する。中程度の強度又は低強度の他のバンドは、出発生成物で見られるバンドに相当するが、ただし異なる共振周波数を有する。これらの変化は、金属Al及びTiの周囲の新たな化学的環境、すなわち新規な化学種の生成を明らかに示す。
【0161】
例2:ヘテロ金属アルコキシド錯体の合成
一連のヘテロ金属アルコキシド錯体を次の方法によって製造した:
アルミニウムの一金属原子性アルコキシドAl(OnBu)3、Al(OsBu)3、Al(OBO)3、Al(OiPr)3、Al(OEH)3、マグネシウムの一金属原子性アルコキシドMg(OEt)2、Mg(OBO)2、ジルコニウムの一金属原子性アルコキシドZr(OnBu)4、Zr(OBO)4、Zr(OnBu)4、Zr(OnPr)4、Zr(OEH)4、Zr(OEt)4及びチタンの一金属原子性アルコキシドTi(OBO)4、Ti(OnBu)4、Ti(OiPr)4及びTi(OEH)4をSigma−Aldrich社から入手し、そして受領時に使用し又は減圧下で濃縮した。
【0162】
所望の錯体に応じて選択された一金属原子性アルコキシド種を所望のモル比で混合し、そして室温で2時間にわたって撹拌した。オイルを定量的に得た。
【0163】
合成されたヘテロ金属錯体を以下に列挙する。示される一般式は、錯体の組成及び様々な原子又は原子の群との間のモル比を表す。これらのものは、反応混合物の組成に従うべきであり、かつ、反応が完了することを仮定すべきだからである。もちろん、当業者であれば、得られた反応生成物がこれらの一般式とは異なっていてもよいことを理解するであろう。
【0164】
アルミニウム・ジルコニウム錯体:
・AlZr(OnBu)7
・AlZr(OBO)7
・AlZr(OsBu)3(OnBu)4
・Al0.1Zr(OsBu)0.3(OnBu)4
・Al0.2Zr(OsBu)0.6(OnBu)4
・Al0.3Zr(OsBu)0.9(OnBu)4
・Al0.4Zr(OsBu)1.2(OnBu)4
・Al0.5Zr(OsBu)1.5(OnBu)4
・Al0.6Zr(OsBu)1.8(OnBu)4
・Al0.7Zr(OsBu)2.1(OnBu)4
・Al0.8Zr(OsBu)2.4(OnBu)4
・Al0.9Zr(OsBu)2.7(OnBu)4
・Al1.1Zr(OsBu)3.3(OnBu)4
・Al1.2Zr(OsBu)3.6(OnBu)4
・Al1.3Zr(OsBu)3.9(OnBu)4
・Al1.4Zr(OsBu)4.2(OnBu)4
・Al1.5Zr(OsBu)4.5(OnBu)4
・Al1.6Zr(OsBu)4.8(OnBu)4
・Al1.7Zr(OsBu)5.1(OnBu)4
・Al1.8Zr(OsBu)5.4(OnBu)4
・Al1.9Zr(OsBu)5.7(OnBu)4
・AlZr0.1(OsBu)3(OnBu)0.4
・AlZr0.2(OsBu)3(OnBu)0.8
・AlZr0.3(OsBu)3(OnBu)1.2
・AlZr0.4(OsBu)3(OnBu)1.6
・AlZr0.5(OsBu)3(OnBu)2
・AlZr0.6(OsBu)3(OnBu)2.4
・AlZr0.7(OsBu)3(OnBu)2.8
・AlZr0.8(OsBu)3(OnBu)3.2
・AlZr0.9(OsBu)3(OnBu)3.6
・Al2Zr(OnPr)4(OiPr)6
・Al2Zr(OnBu)10
・Al2Zr(OnBu)4(OsBu)6
・Al2Zr(OEH)10
・AlZr2(OnBu)11
【0165】
マグネシウム・ジルコニウム錯体:
・MgZr(OEt)6
・MgZr(OBO)6
・Mg2Zr(OEt)8
・Mg3Zr(OEt)10
・Mg4Zr(OEt)12
・MgZr2(OEt)11
【0166】
アルミニウム・チタン錯体:
・AlTi(OBO)7
・AlTi(OsBu)3(OnBu)4
・Al0.1Ti(OsBu)0.3(OnBu)4
・Al0.2Ti(OsBu)0.6(OnBu)4
・Al0.3Ti(OsBu)0.9(OnBu)4
・Al0.4Ti(OsBu)1.2(OnBu)4
・Al0.5Ti(OsBu)1.5(OnBu)4
・Al0.6Ti(OsBu)1.8(OnBu)4
・Al0.7Ti(OsBu)2.1(OnBu)4
・Al0.8Ti(OsBu)2.4(OnBu)4
・Al0.9Ti(OsBu)2.7(OnBu)4
・Al1.1Ti(OsBu)3.3(OnBu)4
・Al1.2Ti(OsBu)3.6(OnBu)4
・Al1.3Ti(OsBu)3.9(OnBu)4
・Al1.4Ti(OsBu)4.2(OnBu)4
・Al1.5Ti(OsBu)4.5(OnBu)4
・Al1.6Ti(OsBu)4.8(OnBu)4
・Al1.7Ti(OsBu)5.1(OnBu)4
・Al1.8Ti(OsBu)5.4(OnBu)4
・Al1.9Ti(OsBu)5.7(OnBu)4
・AlTi0.1(OsBu)3(OnBu)0.4
・AlTi0.2(OsBu)3(OnBu)0.8
・AlTi0.3(OsBu)3(OnBu)1.2
・AlTi0.4(OsBu)3(OnBu)1.6
・AlTi0.5(OsBu)3(OnBu)2.0
・AlTi0.6(OsBu)3(OnBu)2.4
・AlTi0.7(OsBu)3(OnBu)2.8
・AlTi0.8(OsBu)3(OnBu)3.2
・AlTi0.9(OsBu)3(OnBu)3.6
・Al2Ti(OiPr)10
・Al2Ti(OnBu)10
・Al2Ti(OEH)10
【0167】
さらに、以下の市販の錯体を使用した:
・アルミニウム−ジルコニウム錯体:Al2Zr(OC4910
・マグネシウム−ジルコニウム錯体:MgZr(OC496
・アルミニウム−チタン錯体:Al2Ti(OC4910
・マグネシウム−チタン錯体:MgTi(OC496
【0168】
例3:ヘテロ金属キレート化錯体の合成
一金属原子性アルコキシドMg(OEt)、Al(OiPr)3、Al(OsBu)3、Zr(OnPr)4、Zr(OnBu)4、Zr(OnBu)2(acac)2、Zr(acac)4、Ti(OiPr)4、Ti(OnBu)4及びTi(EAA)2(OPr2Me)2をSigma−Aldrich社から入手し、受領時に使用し又は減圧下で濃縮した。
【0169】
一金属原子性キレート化錯体Mg(EAA)2、Al(OsBu)2(EAA)2、Al(EAA)3、Zr(OnPr)2(EAA)2、Zr(OnPr)2(EEA)2、Al(OnPr)2(EEA)2、Al(OnPr)2(EPA)2、Zr(OnPr)2(E2EA)2、Zr(OnPr)2(F.EEA)2、Zr(OnPr)2(t.EAA)2、Zr(OnPr)2(C4EA)2、Zr(OnPr)(EAA)3、Zr(OnPr)(EPAA)3、Zr(EAA)4.PrOH、Zr(PAA)4.PrOH、Zr(EPAA)4.EPAA、Zr(OnPr)2(acac)2、Zr(OnPr)2(F.acac.F)2、Zr(OnPr)2(Ph.acac.F)2、Zr(OnPr)2(Ph.acac.Ph)2、Zr(OnPr)2(t.acac)2、Zr(OnPr)2(diPrm)2、Zr(diPrm)4、Zr(OnPr)2(Aamid)2、Zr(OnPr)2(NacNac)2、Zr(OnPr)2(MA)2、Zr(OnPr)2(DBU)2.PrOH及びTi(EAA)2(OiPr)2を次の方法によって製造した:
【0170】
対応する一金属原子性アルコキシド錯体の1当量をトルエンで希釈した。続いて、対応する配位子の1、2、3又は4当量を上記混合物に添加した。その後、この溶液を、放出されたアルコール及びトルエンにより形成された共沸混合物を蒸留するように140℃で加熱した。残留溶媒を蒸発させた。
【0171】
ヘテロ金属キレート化錯体を、3経路の合成に従って製造した。
【0172】
・経路1:一金属原子性アルコキシド錯体と一金属原子性キレート錯体との混合
AlTi(EAA)3(OnBu)4を、1モルのAl(EAA)4と1モルのTi(OnBu)3とを混合させることによって製造した。この混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。溶解性の困難性が持続する場合には、混合物を65℃に加熱した。
【0173】
錯体AlZr(EAA)3(OnPr)4、AlZr(EAA)7、AlZr0.5(EAA)5、Al2Zr(EAA)10、AlZr(OsBu)3(OnPr)4(diPrm)2、MgZr(EAA)6、MgTi(EAA)4(OiPr)2を対応する出発錯体と同様の方法で対応する割合で製造した。
【0174】
・経路2:配位子交換
AlZr(EAA)7をトルエン15mLで希釈した4gのAlZr(OnBu)7をから製造した。その後、7当量のエチルアセトアセトネートを上記混合物に添加し、これを130℃に加熱した。そして、放出されたブタノールとトルエンによって形成される共沸混合物を蒸留し、残留溶剤を蒸発させた。
【0175】
・経路3:ワンポット合成
AlZr(EAA)3(OnPr)4、AlZr(EAA)3(OnBu)4、AlZr(OiPr)5(PAA)2、AlTi(EAA)3(OnBu)4及びAlTi(PAA)2(OiPr)5及びAl2Zr(EAA)6(OnPr)4をワンポットで合成した。このために、2又は3当量のエチルアセトアセトネート又はプロピルアセトアセトネートを1当量のZr(OnBu)4、Ti(OnBu)4又はAl(OiPr)3に添加した。混合物を均質な混合物が得られるまで70℃に直ちに加熱し、これを減圧下で濃縮してn−ブタノール又はイソプロパノールを放出させた。この後、1当量のAl(OiPr)3、Zr(OnBu)4、Ti(OnBu)4又はZr(OnPr)4を直接添加し、室温で2時間撹拌した後、所望のヘテロ金属錯体を淡黄色オイルの形態で得た。
【0176】
例4:ヘテロ金属錯体の触媒特性
金属錯体の触媒特性を試験するために、ペースト組成物を調製した。このために、粘度20,000mPa.sのα,ω−ヒドロキシポリジメチルシロキサンオイル3464gをビニルトリメトキシシラン(VTMO)120gと混合した。次いで、メタノールで0.4重量%にまで希釈されたリチア16gを、得られた混合物に添加した。5分間撹拌した後に、AE55焼成シリカ400gを添加した。混合物を減圧下で濃縮し、次いで湿気から保護された閉鎖カートリッジ内に保管した。
【0177】
各試験のために、このペーストの25g及び触媒の所定量を高速ミキサー(2000回転/分で2×20秒)で混合した。その後、各組成物の触媒活性を、温度及び湿度の一定の条件で複数回の測定を行うことによって評価した(50%で23℃):
【0178】
・スキン形成時間(SFT):終了時に表面架橋が観察された時間。これは、ブナ材を用いて2mmの厚さを有するフィルムで行われる。
【0179】
・硬度(ショアA):これは、三次元ネットワークの形成を反映する。これを、一方では厚さ2mmの3つのコードの重ね合わせで測定し、他方では6mmの厚さの単一のコードで、回数を増やして(5時間、1及び7日)測定した。2つの測定値は6mmの厚さのコードについて得た。「>」は、コードの上部に硬度に相当し、「<」はコードの下部又は限られた部分に相当する。「NC」は架橋されていないことを意味し、「NS」は剥離可能でないことを意味し、「S」は剥離可能であることを意味し、「C」は粘着性を意味する。これらの文字は、硬度が5未満であったときに使用した。
【0180】
決定されなかったデータは、「n.d」で示される。
【0181】
試験を、本発明のヘテロ金属触媒及び次の従来技術の触媒について実施した:
・ジブチルスズジラウレート(DBTDL)
・テトラブチルチタネートTi(OnBu)4
・トリ(s−ブチル)アルミニウムAl(OsBu)3
・テトラプロピルジルコニウムZr(OnPr)4
【0182】
等モル量でのアルコキシド型の触媒の結果を表1に示す。
【0183】
【表1】
【0184】
等モル量での混合キレート型の触媒の結果を表2に示す。
【0185】
【表2】
【0186】
これらのヘテロ金属錯体は、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)及びテトラブトキシチタンTi(OnBu)4などの基準触媒で得られたのと同程度に硬質のエラストマーを15分以内に迅速にもたらす。
【0187】
例5:一金属原子性錯体/ヘテロ金属錯体の比較
本発明に係るヘテロ金属錯体の触媒活性を、一金属原子性錯体の混合物の触媒活性と比較した。
【0188】
このために、ペーストを例4に記載されるとおりに製造した後に、一方では本発明のヘテロ金属錯体と混合させ、他方では2種の一金属原子性錯体の対応するその場の混合物と混合させた。
【0189】
結果を表3に示す。
【0190】
【表3】
【0191】
予め形成されたヘテロ金属触媒は、試験中にその場で添加された一金属原子性アルコキシドよりも良好な反応性を有することが認められる。錯体をその場で接触させる場合には、錯体の会合反応は可能ではないと考えられる。というのは、これらのものは非常に希釈された媒体中にあるからである。また、硬度差は、一金属原子性種に対する新たな反応性をもたらす新たな種の形成によって説明することもできる。したがって、シリコーン組成物に添加する前にヘテロ金属錯体を予備形成させることが必要である。
【0192】
さらに、ジルコニア系触媒、特にAl−Zr錯体を含む組成物は、加速老化(7日間にわたって100℃で保持された2mmのフィルム)後であっても半透明のままであることが分かる。
【0193】
また、ヘテロ金属キレート化触媒を含む組成物は、ヘテロ金属アルコキシド触媒を含有するものよりも、加速老化(3週間にわたって50℃で保持されたカートリッジ)後に安定であることにも留意すべきである。
【0194】
例6:付着促進剤の存在下での挙動
ペーストを例4に記載した通りに製造したが、ただし、付着促進剤として従来から使用されているアミノ化シラン(3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン)を1重量%添加した。これらのペーストを触媒と混合し、その後、各組成物の触媒活性を例3と同様に評価した。
【0195】
付着促進剤の存在下でのアルコキシド触媒の試験結果を表4に示す。
【0196】
【表4】
【0197】
付着促進剤の存在下での混合キレート化触媒の試験結果を表5に示す。
【0198】
【表5】
【0199】
付着促進剤の存在下では、スズ触媒(DLDBE)を用いて重縮合を実施することが可能である。これに対し、アミノ化シランの存在は、従来技術のスズを有しない触媒の反応性を完全に阻害する。
【0200】
スズを含有しない本発明のヘテロ金属錯体は、付着促進剤の存在下であっても触媒活性を有する。モル比Al/Zr又はAl/Tiが2のときに触媒反応がより速いことが分かった。
【0201】
例7:付着試験
定性的付着試験を行うために、生成物コードを例4に記載の配合物から製造し、試験触媒を予め洗浄しかつブラシがけしたガラス、コンクリート(粗面)及びアルマイト上に付着させた。7日間の架橋(23℃及び50%相対湿度)後に、手作業による剥離を基材/接合部境界面から分離を開始させた後に行った。結果を、生成物コードの破壊のタイプに応じて示す:
・AF:接着破壊(コードが基材から脱離する);
・AF+:接着傾向に障害が発生するが、ただしコードを脱離するために力を加えることが必要;
・AF++:接着傾向に障害が発生するが、コードを脱離するために強力な力を加えることが必要;
・CF:凝集破壊(コードが部分的ではあっても基材から脱離することなく非常に強い力を加えることで破壊する);この場合、基材への最適な付着が存在する。
【0202】
結果を表6に与える。
【表6】
【0203】
ジルコニウムアルコキシドは、ガラス及びアルミニウムについて凝集破壊並びにコンクリートについて接着破壊を得ることが可能である。チタンキレート基準触媒のみは、3つの基材全てに対して付着を与える。アルコキシド触媒の含有量にかかわらず、アルミニウム及びジルコニウムをベースとする触媒は、ガラス及びアルミニウムに対して凝集破壊を、コンクリートに対して接着破壊を可能にする。キレート基を含む触媒は、3つの基材全てについて凝集破壊を得ることを可能にする。一金属原子性触媒の混合を配合時に実施する場合には、接着性が失われる。キレート基の存在は、基材に対するエラストマーの接着を与える。したがって、スズ系基準物と同様に付着促進剤を添加する必要はない。また、最適な結果のためには触媒の予備成形が不可欠である。
【0204】
例8:比色試験
定性的比色試験を実施するために、2mmの厚さの生成物フィルムを前の配合物及び試験触媒から製造した。7日間の架橋(23℃及び50%相対湿度)後、白色シートを通したフィルムの不透明度及び黄色を定性的に評価した。定性的結果を基準触媒に応じて与える。
−−は無色透明のエラストマーに相当し、
−は不透明な傾向を有するフィルムに相当し、
+はわずかに黄色のフィルムに相当し、
++は黄色のフィルムに相当する。
NHは、オイルに不溶の触媒片の外観によりエラストマーが均一でないことを示す。
【0205】
結果を表7に示す。
【表7】
【0206】
チタン系触媒を含有するフィルムは、わずかに又は完全に黄色である。一金属原子性種の混合物によって触媒されたものは、均質ではない。これに対し、アルミニウム及びジルコニウムをベースとするエラストマーは、完全に半透明である。