(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588463
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】点火装置の構成
(51)【国際特許分類】
H05B 41/18 20060101AFI20191001BHJP
H05B 41/24 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
H05B41/18
H05B41/24
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-560926(P2016-560926)
(86)(22)【出願日】2015年4月7日
(65)【公表番号】特表2017-510957(P2017-510957A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】EP2015057453
(87)【国際公開番号】WO2015155156
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2018年4月5日
(31)【優先権主張番号】14163652.2
(32)【優先日】2014年4月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】トシャゼ,ゲンナジー
【審査官】
山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−132087(JP,A)
【文献】
特開2001−155888(JP,A)
【文献】
特開2010−044980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 41/18 − 41/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高輝度放電ランプのための点火装置構成であって、
前記点火装置構成に対して点火電圧を適用するための入力端子の第1ペアと、
前記点火装置構成に対して入力駆動電圧を適用するための入力端子の第2ペアと、
前記点火装置構成の内部に配置され、かつ、入力端子の前記第1ペアを横切り接続された放電抵抗と、を含み、
前記放電抵抗は、温度依存性抵抗として具現化され、かつ、
前記放電抵抗の抵抗は、前記点火装置構成の内部における温度に関連する、
点火装置構成。
【請求項2】
温度依存性の前記放電抵抗は、負の温度係数サーミスタ、正の温度係数サーミスタ、シリスタ(silistor)のうちいずれかである、
請求項1に記載の点火装置構成。
【請求項3】
温度依存性の前記放電抵抗は、定格ランプ電力における点火装置内部の温度に基づいて選択される、
請求項1に記載の点火装置構成。
【請求項4】
前記点火装置構成は、
点火回路の電気コンポーネントを包含するハウジング、を含み、
前記ハウジングは、前記高輝度放電ランプに接続するためのランプインターフェイスと、前記入力端子をランプドライバへ接続するためのドライバインターフェイスと、を含む、
請求項1または2に記載の点火装置構成。
【請求項5】
請求項1または2に記載の点火装置構成を介して、前記高輝度放電ランプを駆動するためのランプドライバであって、
前記点火装置構成の入力端子の前記第1ペアを横切り点火電圧を適用する点火回路と、
前記点火装置構成の入力端子の前記第2ペアを横切り入力駆動電圧を適用する駆動置回路と、
前記点火装置構成の内部における温度を決定する温度評価ユニットと、
前記点火装置構成の内部における前記温度に基づいて、前記高輝度放電ランプの動作電力を調整するコントロールユニットと、
を含む、ランプドライバ。
【請求項6】
前記温度評価ユニットは、前記点火装置構成の温度依存性の前記放電抵抗を通じて電流を測定し、かつ、測定された電流に基づいて前記点火装置構成の内部における温度を決定する、
請求項5に記載のランプドライバ。
【請求項7】
前記温度評価ユニットは、前記点火装置構成の温度依存性の前記放電抵抗を横切る電圧を測定し、かつ、測定された電圧に基づいて前記点火装置構成の内部における温度を決定する、
請求項5に記載のランプドライバ。
【請求項8】
前記コントロールユニットは、前記点火装置構成の内部における温度を継続的にモニタする、
請求項5または6に記載のランプドライバ。
【請求項9】
照明構成であって、
ハウジングの中に配置された、請求項1または2に記載の点火装置構成と、
前記ハウジング上にマウントされた前記高輝度放電ランプと、
を含む、照明構成。
【請求項10】
請求項1または2に記載の点火装置構成を介して、前記高輝度放電ランプを駆動する方法であって、
前記高輝度放電ランプを前記点火装置構成に接続するステップと、
前記高輝度放電ランプに点火するために、前記点火装置構成の入力端子の前記第1ペアを横切り点火電圧を適用するステップと、
点火の後で、前記点火装置構成の入力端子の前記第2ペアを横切り入力駆動電圧を適用するステップと、
前記点火装置構成の入力端子の前記第1ペアを横切る温度依存性の前記放電抵抗の変化した抵抗に基づいて、前記点火装置構成の内部における温度を決定するステップと、
前記点火装置構成の内部における前記温度に基づいて、前記高輝度放電ランプの動作電力を調整するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記高輝度放電ランプの定常状態オペレーションの最中に、前記点火装置構成の温度依存性の前記放電抵抗を通じて電流を測定するステップ、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、
前記高輝度放電ランプの定常状態オペレーションの最中に、前記点火装置構成の温度依存性の前記放電抵抗を横切る電圧を測定するステップ、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記入力駆動電圧は、低周波数の方形波電圧を含み、
前記点火装置構成の内部における温度を決定するステップは、前記入力駆動電圧の半分サイクルの最中に実行される、
請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記動作電力を調整するステップは、
前記点火装置構成の内部における前記温度が、温度の上限より下に維持されるように、実行される、
請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高輝度放電ランプ、ランプドライバ、照明構成のための点火装置構成、および、高輝度放電ランプを駆動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フロントビームのための自動車用キセノン(Xenon)ランプといった、高輝度放電ランプ(HIDランプ)は、点火装置(ignaitor)を一緒に用いて具現化され得る。つまり、ランプは点火装置ハウジングにマウントされており、点火装置ハウジングの中のコンポーネントに対して電気的に接続されている。ランプと点火装置は、一つの製品として具現化され得るものであり、点火装置コンポーネントを含んでいるハウジングに対して直接的にマウントされたランプを使用する。点火装置ハウジングは、一般的に、数多くの電線(electrical lead)を電気的ランプドライバに対して接続するための接続インターフェイスを有している。点火装置は、一般的に、変圧器(transformer)、点火キャパシタ、クリッピングダイオードといった電圧リミッタ、放電抵抗、および、スパークギャップ(spark gap)を含んでいる。点火装置の目的は、標準又は定常状態のオペレーションが開始され得るように、ランプの放電チャンバ(「バーナー(”burner”)」としても参照される)の中の電極のチップ間を横切る放電アーク(arc)を確立することである。非対称点火装置といった既知のタイプの点火装置は、点火電圧を適用するための入力端子のペア、および、定常状態オペレーションの最中にランプに対して駆動電圧を適用するための端子のペア、を含んでいる。
【0003】
ランプドライバは、ランプ電力(power)を調節するために使用される。いくつかの状況において、例えば、市街地区の外側での夜間ドライブにおいては、安全上の理由のために道路上でより多くの照明が望まれる。この目的のために、自動車用HIDランプのためのいくつかの電気的ランプドライバは、そうした状況において、ランプ電力を増加することができるように、デザインおよび製造されている。さらに、ランプは、例えば、適切な規制によって許容される電力の上限において、より多くの電力を消費するようにデザインされてよい。どんな理由のためであれ、ランプ電力を増加させることは、点火装置ハウジングの中の温度の増加を導き、そして、点火装置のコンポーネントが、結果として損傷され得る。例えば、ランプの定格電力より大きくブーストされた又はより大きな電力においてランプが駆動されるとすれば、点火装置のコンポーネントは、増加した熱応力(thermal stress)の対象となる。バーナーから熱を発し、バーナーは点火装置ハウジングに非常に近い。点火装置コンポーネントについて150°Cに近い温度に達することはまれではない。150°Cは、そうしたコンポーネントに対する通常の仕様(specification)の限度である。上記の全てのコンポーネントは、オーバーヒートのせいで故障し得る。明らかに、コンポーネント、そして、従って点火装置の寿命は、点火装置が熱くなり過ぎる場合に、著しく減少される。熱すぎる点火装置に関連する他の問題は、オーバーヒートした点火装置の再点火(ホット再ストライク(”hot re−strike”))が失敗し得ること、もしくは、点火装置の高電圧分離(high−voltage isolation)が減少され、そして、再点火の失敗を生じ得ることである。点火装置における高温の進展を助長する別の要因は、よりコンパクトなヘッドライトアセンブリへと向かうトレンドである。
【0004】
この問題を取り扱う一つのアプローチにおいては、点火装置における温度を下げるために、ランプに適用された電力が低減される。しかしながら、電力を調整するためには、点火装置の温度についていくつかの情報が必要とされる。従って、一つの既知のアプローチ
、米国特許出願公開第20050067979号明細書、欧州特許出願公開第2244537号明細書、米国特許第6072283号明細書、および国際公開第2010136918号を参照、においては、温度センサが点火装置ハウジングに中に配置され、そして、温度の進展をモニタし、かつ、それに従ってランプ電力を調節する外部モジュールに対して電線によって接続され得る。しかしながら、このソリューションは、追加の電線に適合するために点火装置とランプドライバとの間の既存のインターフェイスへの変更を要するものであり、そして、従って、商業的な観点から魅力的ではない。代替的なアプローチにおいては、点火装置及びそのコンポーネントからいくらかの熱を引き離すために、点火装置ハウジングの外側に放熱エレメントがマウントされてよく、及び/又は、点火装置の上に冷たい空気を吹き付けるためにベンチレータ(ventilator)が使用されてよい。しかしながら、そうしたエレメントはかさばり、そして、従って魅力的ではなく、かつ、そうした点火装置を用いた照明構成の全体的なコストも追加するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、上記に概説された問題を回避する高輝度放電ランプの改善された動作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、請求項1による点火装置の構成によって、請求項5のランプドライバによって、請求項9の照明構成によって、そして、高輝度放電ランプの駆動に係る請求項10の方法によって達成される。
【0007】
本発明に従って、高輝度放電ランプのための点火装置構成は、点火装置構成に対して点火電圧を適用するための入力端子の第1ペア、点火装置構成に対して入力駆動電圧を適用するための入力端子の第2ペア、および、点火装置構成のハウジングの内部に配置され、入力端子の第1ペアを横切り接続された放電抵抗を含み、放電抵抗は温度依存性抵抗として具現化されることで特徴付けられる。
【0008】
本発明に関連する点火装置構成のエレメントだけが上記にリストされてきたが、点火装置構成は、ランプを点火するためのさらなるエレメントを含むことが理解されよう。ランプに対して出力駆動電圧を適用するための出力端子のペア、も同様である。
【0009】
本発明に従った点火装置構成の利点は、点火装置構成の内部における温度に関する情報を直接的に獲得するために、温度依存性抵抗が使用され得ることである。温度依存性抵抗の抵抗は温度が増加または減少するにつれて変化し、かつ、抵抗は比較的に容易に測定され得るので、点火装置における温度を決定するために温度依存性抵抗が使用され、そして、それに応じてランプの動作電力が調節され得る。例えば、ランプ電力は、入力端子の第2ペアを介してランプに対して供給される電流を調整することによって調節され得る。
【0010】
HIDランプのための非対称点火装置といった点火装置は、放電抵抗を包含しており、スパークギャップを横切りスパークを生成するために使用されるキャパシタに対する放電パス(path)を提供する目的を果たす。本発明に従った点火装置構成において、放電抵抗のこの機能は変わらずに保持され、そして、今やこの放電抵抗は、また、追加の機能を満たしている。つまり、点火装置の内側の温度に関して順調に正確なフィードバックを提供する機能である。このようにして、既存の点火装置/ドライバのインターフェイスまたは実際の点火装置デザインを変更もしくは適合する必要なく、点火装置構成の内部における温度の調節が達成され得る。温度関連のフィードバックを獲得するために、本発明に従った点火装置構成は、点火端子を順調に利用する。ランプの定常状態オペレーションの最中においてあらゆる特定の目的のためには、もはや必要とされないものである。追加的に点火装置の中に設けられることを要し、かつ、コントロールユニットに対する追加の電気的接続を必要とする温度センサをしばしば利用する従来技術のソリューションとは対照的に、本発明に従った点火装置構成は、あらゆる追加のコンポーネントまたは検出構成を必要とせず、そして、点火装置とドライバとの間のインターフェイスに対して何の変更も必要とされない。従って、本発明に従った点火装置構成は、製造者にとって好ましく経済的である。さらに、本発明に従った点火装置構成は、延長された寿命によって特徴付けられる。以下に説明されるように、点火装置ハウジングの内側のコンポーネントが、熱障害から保護され得るからである。
【0011】
本発明に従って、ランプドライバは、高輝度放電ランプ、望ましくは自動車用ランプを駆動する。そして、本発明に従った点火装置構成、点火装置構成の入力端子の第1ペアを横切り点火電圧を適用する点火回路、点火装置構成の入力端子の第2ペアを横切り駆動電圧を適用する駆動回路、点火装置構成の温度を決定する温度評価ユニット、および、決定された温度に基づいてランプの動作電力を調整するコントロールユニットを含む。
【0012】
本発明に従ったランプドライバの利点は、適切に対応できるように、点火装置の内側の瞬間的な温度状況に関する情報が容易に提供され得ることである。例えば、あまりに熱い内部状態の場合に、ランプドライバは、ランプ電力を低下させることによって対応し得る。一方で、点火装置の内側の温度がいくらかの「頭上スペース(”headroom”)」を有することがわかり、かつ、追加のランプ電力が有利であろう場合に、ランプドライバは、点火装置コンポーネントに対する熱障害のリスクなくランプ電力を増加することができる。
【0013】
本発明に従って、照明構成(lighting arrangement)は、ハウジングの中に配置された本発明に従った点火装置構成、および、ハウジング上にマウントされた高輝度放電ランプを含み、それによって、ランプの端子ペアが、点火装置構成の出力端子ペアに対して接続されている。
【0014】
本発明に従った照明構成の利点は、そうした点火装置内部に包含された温度依存性抵抗がない同等な照明構成よりも著しく長い寿命を有し得ることであり、そして、この追加の寿命が、照明構成とランプドライバとの間のインターフェイスについてあらゆる変更をする必要なく獲得され得ることである。
【0015】
本発明に従って、高輝度放電ランプを駆動する方法は、本発明に従ったランプドライバにランプを接続するステップ、ランプに点火するために点火装置構成の入力端子の第1ペアを横切り点火電圧を適用するステップ、ランプの点火後に点火装置構成の入力端子の第2ペアを横切り駆動電圧を適用するステップ、点火装置構成の内部における温度を決定するステップ、および、決定された温度に基づいてランプの動作電力を調整するステップ、を含む。
【0016】
本発明に従った方法の利点は、点火装置の内側に温度センサを配置する必要なく、非常に簡素で便利なやり方で、点火装置構成の内部における温度が確立され、または、決定され得ることである。ランプドライバは、いつでも、点火装置の内側の温度を決定することができ、そして、必要であれば、それに応じてランプ電力を調節することができる。さらに、本発明に従った方法により、ランプドライバは、より高い電力でランプを駆動することが安全であるか否か、これが望まれるものであるかを判断することができる。点火装置内部温度が、増加されたバーナー温度を取り扱うことができるよう十分に低いか否かを判断することは容易だからである。
【0017】
従属請求項および以降の説明は、本発明の有利な実施例および特徴を特定的に開示するものである。実施例の特徴は適切に組み合わされてよい。一つの請求項のカテゴリーに係るコンテクストにおいて記述された特徴は、別の請求項のカテゴリーに対して同様に適用することができる。
【0018】
以降においては、あらゆる方法においても本発明を限定することなく、ランプまたはバーナーが、フロントヘッドランプといった、自動車用アプリケーションにおいて使用されるタイプの高輝度放電(HID)ランプであること、そして、「ランプ(”lamp”)」と「バーナー(”burner”)」は、以降において相互に交換可能に使用され得ることが仮定されてよい。そうしたバーナーの一つの例は、キセノンHIDランプであってよく、点火装置に対して直接的にマウントされ得る。そうしたHIDランプと点火装置を含んでいる照明構成は、一般的に、ランプドライバのコネクタと結合するためのコネクタを伴い定義されたインターフェイスを有している。ヘッドランプの中で定義された向きまたは位置にバーナーが置かれることを確実にする一方で、照明構成全体が容易に置き換えられ得るようにである。本発明のコンテクストにおいて、用語「温度依存性放電抵抗(”temperature−dependent discharge resisotr”)」、「温度依存性抵抗(”temperature−dependent resisotr”)」、および「サーミスタ(”thermistor”)」は、以降において相互に交換可能に使用されてよい。
【0019】
温度依存性放電抵抗に対して数多くの可能な代替が存在する。例えば、負の温度係数(NTC)サーミスタといった温度依存性抵抗が使用され得るものであり、正の温度係数(PTC)サーミスタ、または、たいていシリスタ(silistor)として参照される、温度感受性シリコン抵抗が使用され得る。
【0020】
温度依存性抵抗の抵抗は、抵抗の温度の増加とともに変化する、例えば、NTCサーミスタの抵抗は、温度の増加とともに減少する、温度と抵抗との間の関係は、一般的に非線形(non−linear)であり、もしくは、非常に小さな温度範囲においてだけ線形であり得る。たいてい、抵抗と温度との間の関係は、3次の近似を使用して記述される。しかしながら、どのタイプの温度依存性放電抵抗が使用されているかにかかわらず、定格電力におけるランプのオペレーションの最中に典型的である温度範囲にわたり所定の抵抗値を有するものである。従って、本発明の望ましい実施例において、温度依存性放電抵抗は、ランプの標準的動作条件の最中の点火装置内部における既知の温度に基づいて選択される。「標準的動作条件(”normal operating condition”)」は、所定の環境温度範囲の中でノミナル(nominal)または定格のランプ電力におけるオペレーションを意味するものと理解されてよい。サーミスタの抵抗値は、それを置き換える抵抗の値と同一であり得る。例えば、6MΩの抵抗がNTCサーミスタによって置き換えられ、そして、ランプの定格動作電力が35Wである場合に、サーミスタは、その電力レベルにおけるオペレーションについて典型的である温度において同様な抵抗を有するものである。さらに、サーミスタの抵抗は、ランプがより高い電力において駆動されるにつれて点火装置の中の温度が増加するときに、明らかに変化する。そうした変化が検出可能であり、そして、点火装置内部における温度を推測または見積りするために使用され得るようにである。望ましくは、少なくとも25°Cから150°Cの温度範囲にわたり抵抗と温度との間の定義された関係を有するサーミスタが使用される。
【0021】
温度評価ユニットは、温度依存性放電抵抗を横切る電圧、及び/又は、温度依存性放電抵抗を通じた電流を評価することができるように、望ましくは、温度依存性放電抵抗を横切り接続されている。温度依存性放電抵抗によって適用される情報−つまり、点火装置内部における温度の変化に従う抵抗における変化−が、評価され、もしくは、数多くのやり方で使用され得る。例えば、既知の電圧がサーミスタを横切り提供され、そして、サーミスタを通じた結果として生じる電流が測定されて、そこから、サーミスタの抵抗が計算され得る。あらゆる場合においても定常状態のランプオペレーションの最中には、実質的に一定の電圧が、共有される端子および点火端子を横切り一般的に適用されているので、この事実は、本発明に従ったランプドライバによって上手く利用される。例えば、本発明に係る特定の望ましい実施例においては、サーミスタを通じる電流が測定され得る。抵抗におけるあらゆる変化は、測定された電流における変化を結果として生じる。例えば、サーミスタがNTCサーミスタであるとすれば、抵抗が温度と共に減少する。従って、より高い測定された電流は、抵抗における減少、そして、従って、温度における増加をも示すものである。サーミスタの変化した抵抗は、オームの法則と、既知の電圧値と、測定された電流を使用して決定され得る。そして、点火装置の内側の温度が、続いて、適切なアルゴリズムを用いて見積りされ得る。例えば、ランプドライバは、測定された電流に基づいてサーミスタの抵抗を計算することができるプロセッサを備えてよく、そして、次に、温度に対する抵抗に関する3次の近似を解くために使用することができる。瞬間的な温度を計算するためである。本発明のさらなる望ましい実施例においては、しかしながら、温度の値に対する測定された電流値に関する情報が、温度評価ユニットに提供される。情報は、ドライバ/点火装置の組み合わせのための較正または試験セットアップの最中に、あらかじめ収集され得る。この情報は、ランプドライバの温度評価ユニットに対して利用可能にされる一つまたはそれ以上のルックアップテーブルの形式において提供されてよい。
【0022】
さらなる実施例において、共有される端子および点火端子を横切り適用される電流は実質的に一定であってよく、そして、温度評価ユニットは、サーミスタを横切る電圧を測定することができる。再び、サーミスタの抵抗におけるあらゆる変化は、オームの法則と、測定された電圧値と、既知の電流を使用して決定され得る。点火装置の内側の温度が、続いて見積りされ得るようにである。この場合にも、また、所定の一定電流について温度に対する電圧に関する情報が、ドライバ/点火装置の組み合わせのための較正段階の最中に、特定のサーミスタのために収集され得る。そして、ランプドライバの温度評価ユニットに対して利用可能にされる一つまたはそれ以上のルックアップテーブルの形式において提供され得る。
【0023】
代替的、または、加えて、温度評価ユニットは、分圧器に基づいて動作してよい。この目的のために、点火装置構成の温度依存性放電抵抗と温度評価ユニットにおける固定値抵抗が、分圧器として接続され得る。既知の電圧が分圧器を横切り適用されてよく、そして、点火端子を使用して出力電圧が測定され得る。
【0024】
点火装置の内部における温度は、あらゆる適切な形式において、コントロールユニットによってモニタされ得る。例えば、コンポーネントユニットは、10分間毎に、または、あらゆる他の適切なインターバルで、温度見積りを実行してよい。本発明の望ましい実施例において、コントロールユニットは、点火装置構成の温度を実質的に継続的にモニタする。このようにして、ドライバは、ランプ電力を調節することによって、点火装置の内部空間における温度の急激な増加に対して迅速に対応することができる。同様に、コントロールユニットとドライバは、点火装置のコンポーネントが、あらゆる長さの時間について過度な高温に曝されることを防ぐように動作することができる。
【0025】
見積りされ、または、計算された点火装置の内部の温度は、ランプの駆動の仕方においてなんらかの調整がされるべきか否かを判断するために使用され得る。望ましくは、点火装置構成の内部における温度が温度の上限より下に維持されるように、ランプの動作電力を調整するステップが実行される。例えば、点火装置の内部温度がこの温度の上限に近いことがわかったとすれば、ランプ電力は、温度が満足のいくレベルに低下するまで低減され得る。同様に、見積りされた温度が、温度の上限より下に望ましい量の「頭上スペース」を示しているとすれば、ランプドライバは、望むのであれば、ランプの動作電力を増加してよく、一方で、点火装置の内部温度のモニタを継続している。
【0026】
本発明に係る他の対象および特徴は、添付の図面と併せて考慮される以降の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、図面は説明目的のためだけにデザインされたものであって、本発明の範囲に係る定義としてのものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明に従って、照明構成の一つの実施例を示している。
【
図2】
図2は、本発明に従って、ランプドライバの一つ実施例を示している。
【
図3】
図3は、
図2のランプドライバにおける温度評価ユニットの第1実施例を示している。
【
図4】
図4は、
図2のランプドライバにおける温度評価ユニットの第2実施例を示している。
【
図5】
図5は、異なる環境温度について、点火装置温度に対するランプ電力のグラフを示している。
【
図6】
図6は、非対称点火装置を組み込んでいるランプドライバおよび照明構成を用いた従来技術の構成を示している。
【0028】
図面において、類似の数字は全体を通じて類似のオブジェクトを参照するものである。ダイヤグラムにおけるオブジェクトは、必ずしも縮尺どおりに描かれることを要しない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明に従って、照明構成(lighting arrangement)4の一つの実施例を示している。本発明に従って、点火装置構成(ignitor arrangement)1に対してマウントされ、かつ、電気的に接続されたHIDランプバーナー2を伴うものである。点火装置構成1は、非対称(asymmetrical)自動車用点火装置1として具現化され、そして、ランプ2は、フロント照明アプリケーションのためのHIDバーナー2であり得る。照明構成4は、例えば、D1またはD3アプリケーションとして、具現化され得る。点火装置構成1は、(ここでは図示されていない、ランプドライバによって)点火電圧が適用される入力端子のペア101、102、および、駆動電圧が適用される別の入力端子のペア101、103を有している。第1端子101は共有されており、そして、点火端子102は、ランプ2の点火の最中だけしか必要とされない。HIDランプは、電極チップ間に放電アークを確立するために、短く強烈な電圧パルス(breif intense voltage pulse)を必要とする。チップは、バーナー2の放電容器20の中で短いギャップを横切りお互いに直面している。点火装置構成1は、そうした短く強烈なパルスをランプ2に対して生成するための種々の電気的コンポーネントを含んでおり、ランプは、電線200、201を用いて点火装置構成に対して接続されている。ここで、コンポーネントは、変圧器12、スパークギャップ13、点火キャパシタ11、および放電抵抗10、を含んでいる。点火電圧は、最初に、共有される点火端子101、102を横切り提供される。点火キャパシタ11にわたり、そして、従って、スパークギャップ13にわたり、電圧が蓄えられる。スパークギャップ13にわたる破壊を生じるレベルに電圧が達するまでである。電流が、(たとえ短くだけでも)変圧器12の1次巻線を通じて、かつ、スパークギャップ13を横切り流れるとすぐに、電流は、または、変圧器12の2次巻線を通じて流れる。ランプ2の電極を横切り高電圧点火パルスが現れ、そして、放電アークが確立されるようにである。この点において、点火端子はもはや必要とされない。スパークギャップは、再び非導電性になり、そして、点火キャパシタ11は、点火装置1がランプドライバから切断された場合に、放電抵抗10を通じて放電し得る。ダイヤグラムは、また、ランプドライバを保護するために入力端子の第2のペア間における高電圧をクリップするように働くクリッピングダイオード構成14も示している。
【0030】
点火装置構成1のコンポーネントは、一般的に、ランプ2がマウントされるコンパクトなハウジングの中に包含される。キセノンHIDランプのバーナーは、定格電力でのオペレーションの最中に700°Cの範囲の温度に容易に達し得る。そして、この温度は、定格電力を越えてランプが駆動される場合(例えば、所定の駆動状況においてより多い照明が望まれる場合に)、さらに増加し得る。バーナー20は、点火装置ハウジングの物理的な近傍に近く存在するので、点火装置の内部100の温度は、それに応じて増加し、そして、コンポーネント10、11、12、13、14は、高温に曝されることになり、熱障害の結果として、最終的には故障し得るものである。150°Cに達している又は越えている点火装置内部100における温度は、ここにおいて説明されるタイプの点火装置にとって危機的である。
【0031】
本発明者は、サーミスタ(thermistor)10が放電抵抗10として使用され得ることを具現化した。その放電機能が未だに実行され得るようにであり、一方で、サーミスタの抵抗の温度依存性は、点火装置ハウジングの内部100における温度を判断するために上手く効くように使用され得る。ランプドライバは、端子101、102、103を介して点火装置構成1に対して接続されており、そして、ランプ2の正常な定常状態オペレーションの最中でさえも、第1端子ペア101、102を横切る適切な電圧を適用することによって、サーミスタ抵抗を測定することができる。第1端子101は共有されており、かつ、定常状態オペレーションの最中に、点火装置端子102は必要とされないからである。
図2は、
図1の点火装置構成1に接続されている、本発明に従った、ランプドライバ3の一つ実施例を示している。ランプインターフェイス151を使用して、HIDランプ2は、点火装置構成にしっかりとマウントされている。ダイヤグラムは、点火装置構成1とランプドライバ3との間の既知の接続インターフェイス152が、どのようにしても変更される必要がないことを示している。ランプドライバ3は、端子301、302を使用して、外部電源(図示なし)に対して接続されてよく、そして、機能性ユニットの普通の構成を含んでいる。つまり、ランプドライバの保護およびDC−DCコンバータによって生成される高い周波数をフィルタリングするための入力回路30、入力電圧を適切なレベルまで変換するためのDC−DCコンバータ31、200−1000Hzの範囲において低周波数の方形波を生成するためのDC−ACコンバータ32、および、点火装置構成1に対して入力端子101、102の第1ペアを横切る適切なDC電圧を適用するための補助点火モジュール33、である。ランプドライバ3は、また、定常状態オペレーションの最中に、ランプに対して適用される電力を調整するためのコントロール回路34も含んでいる。この典型的な実施例において、コントロールユニット34は、追加のコントロール入力340を備えており、ランプ電力が、外部モジュール(図示なし)によって望むように調節され得る。ランプドライバ3に係るこの典型的な実施例においては、本発明に従って、追加モジュール35が、温度評価ユニット35として具現化される。その機能は、点火装置ハウジング15の内部100における温度を判断、または、見積ることである。定常状態オペレーションの最中に、スパークギャップは非導電性なので、第1端子101と点火装置端子102との間で利用可能な電流パスは、放電抵抗を通過するものだけである。点火装置端子102は、ランプ2の定常状態オペレーションの最中には必要とされない。温度評価ユニット35が、既知の電圧が適用される評価回路の中にサーミスタ10を包含することができ、かつ、点火装置端子102と別の適切なノードとの間で結果として生じる電圧が測定され得るようにである。温度評価ユニット35は、次に、サーミスタの瞬間的な抵抗を測定し、点火装置内部100における瞬間的な温度T
100を見積り、そして、見積りされた温度T
100をコントロールユニットに提供することができる。
【0032】
図3は、
図2に示されたランプドライバのための温度評価ユニット35の一つの実施例を示している。簡素化されたダイヤグラムは、ランプドライバ3の関連性のあるエレメントだけを示しており、そして、点火装置構成1のサーミスタ10だけが示されている。定常状態オペレーションの最中には、低周波数方形波が、
図1に示されるように、点火装置のドライブ端子101、103を横切り適用される。数ミリ秒持続し得る、半分波(one half−wave)の最中に、共有の端子101における電圧は実質的に一定である。この時間の最中には、サーミスタ10を通る電流I
10が、ランプのオペレーションと干渉することなく、測定され得る。
【0033】
ここで、温度評価ユニット35は、DC−ACコンバータ32と補助点火モジュール33によって端子101、102に対して既知の電圧が適用されるという事実を利用する。この典型的な実施例において、温度評価ユニット35は、サーミスタ10を通る電流I
10を測定することができる電流モニタリングユニット350を含んでいる。温度の値に対する電流値に関連するルックアップテーブルを保管しているメモリ351が、温度評価ユニット35の中に含まれている。このようにして、見積りされた温度の値T
100が迅速に獲得され、そして、ランプドライバのコントロール回路へフォワードされ得る。
【0034】
図4は、
図2のランプドライバのための温度評価ユニット35の別の実施例を示している。再び、この簡素化されたダイヤグラムは、ランプドライバ3の関連性のあるエレメントだけを示しており、そして、点火装置構成1のサーミスタ10だけが示されている。この典型的な実施例において、温度評価ユニット35は、サーミスタ10を横切る電圧V
10を測定することができる電圧モニタリングユニット352を含んでいる。ここでも、また、ルックアップテーブルを保管しているメモリ351が使用される。この場合に、ルックアップテーブルは温度の値に対する電圧値に関連している。見積りされた温度の値T
100は、再び、ランプドライバのコントロール回路へフォワードされる。
【0035】
上述のように、点火装置ハウジングにおける温度は、環境温度によってある程度は影響される。このことは、次に、ランプが駆動され得る電力レベルに影響し得るものである。
図5は、異なる環境温度T
amb1、T
amb2、T
amb3について、点火装置温度(ケルビン度)に対するランプ電力(ワット)のグラフを示している。最低の環境温度T
amb1は、最高の最大ランプ電力P
max3と関連し、一方で、最高の環境温度T
amb3は、最低の最大ランプ電力P
max1と関連している。最大点火装置温度T
maxは実質的に一定である。これ以上の温度では点火装置コントロールが損傷し得るからである。典型的な最大点火装置温度は約150°Cである。本発明に従って、ランプドライバのコントロールユニットは、点火装置ハウジングの中の温度がこの最大点火装置温度T
maxを超えないように、ランプ電力を調整する。点火装置ハウジングにおける温度が、ある程度は、環境温度に依存するので、たとえランプ電力が同一であっても、それぞれの事例において、点火装置における温度は、異なる環境温度について異なり得る。ここで、典型的な電力レベルP
xは、3つの異なる点火装置温度T
1、T
2、T
3と関連している。これらの異なる温度は、比較的に寒い環境、「標準的(”normal”)」環境、および比較的に暑い環境、において使用される場合において、点火装置の内部において観察され得るものである。従って、ランプが駆動され得る最大電力P
max1、P
max2、P
max3は、また、環境温度T
amb1、T
amb2、T
amb3にも依存するものであり、そして、本発明に従ってランプドライバは、上述のように、見積りされた点火装置の内部温度に応じてランプ電力を調節することによって、これを考慮に入れることができる。
【0036】
図6は、ランプドライバ61に対して接続するための非対称点火装置60を伴う従来技術の構成を示している。ランプドライバ61は、既に上述したモジュール30、31,32、33、34の大部分を含んでいる。ここで、温度センサ603は、点火装置60のコンポーネントに対する近傍に近く在るように、非対称点火装置60の内側に配置されている。例えば、従来の固定値の放電抵抗または点火装置キャパシタの近くである。温度センサ603からのフィードバックにアクセスするためには、電気的接続601、602が必要とされる。ドライバ61は、また、いくつかの適切な温度評価モジュール610がフィードバックを獲得して、評価することができるように、対応する接続611、612を必要とする。温度センサ603と電気的接続601、602、611、612に適合するように既知のドライバと点火装置のデザインを変更する必要性は、全体的なコストの増加とコンパチビリティの減少を結果として生じるものである。
【0037】
本発明は、望ましい実施例およびそれらの変形の形式において開示されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、数多くの追加的な変更および変形がそれらに対してなされ得ることが理解されよう。
【0038】
明確化のために、この特許申請の全体を通じた「一つの(”a“または”an“)」の使用は、複数を除外するものではなく、そして、「含む(“comprising“」は、他のステップまたはエレメントを除外するものではないことが理解されるべきである。「ユニット(a ”unit”)」または「モジュール(a ”module”)」に係る言及は、一つ以上のユニットまたはモジュールの使用を排除するものではない。