特許第6588467号(P6588467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6588467音響レンズ及び超音波トランスデューサプローブ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588467
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】音響レンズ及び超音波トランスデューサプローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   A61B8/00
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-567192(P2016-567192)
(86)(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公表番号】特表2017-518797(P2017-518797A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】EP2015059439
(87)【国際公開番号】WO2015173027
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2018年4月25日
(31)【優先権主張番号】14168372.2
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ベッケルス,リュカス ヨハンネス アンナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ディルクセン,ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】デ ウィルト,ニコ マリス アドリアーン
(72)【発明者】
【氏名】ハッケンス,フランシスキュス ヨハンネス ヘラルデュス
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/139400(WO,A1)
【文献】 特開昭59−225044(JP,A)
【文献】 特開昭61−118094(JP,A)
【文献】 特開平07−150114(JP,A)
【文献】 特開平08−000612(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0130709(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波トランスデューサの放射面に面し、前記超音波トランスデューサからの超音波を受ける内面と、
前記内面で受けられた超音波を放射する外面とを有し、
前記内面は前記外面の曲率と反対の曲率を有する凸状に曲がった面として形成され、
少なくとも1つのくぼみがモールド材料を捉えるため前記内面の端に関連付けられ、
側壁が前記内面に付随して設けられ、前記内面と共に、前記超音波トランスデューサを受け入れるキャビティを形成し、
前記くぼみは前記側壁と前記内面との間に形成される、
超音波プローブのための音響レンズ。
【請求項2】
前記内面は凸状に曲がった部分として形成されている、
請求項1に記載の音響レンズ。
【請求項3】
前記くぼみは凹状を有する、
請求項1に記載の音響レンズ。
【請求項4】
前記くぼみは少なくとも部分的に前記内面を囲むノッチとして形成される、
請求項1に記載の音響レンズ。
【請求項5】
前記くぼみは前記内面を、前記側壁の内面から分離するノッチとして形成される、
請求項1に記載の音響レンズ。
【請求項6】
前記内面は水分バリアを形成するコーティングにより覆われている、
請求項1に記載の音響レンズ。
【請求項7】
側壁の内面と、前記くぼみの表面とは、前記水分バリアを形成するコーティングにより覆われている、
請求項6に記載の音響レンズ。
【請求項8】
前記コーティングは金属層として形成される、
請求項6に記載の音響レンズ。
【請求項9】
超音波を放射する放射面を含む超音波トランスデューサと、
音響レンズであって、前記超音波トランスデューサの放射面に面し、前記放射面からの超音波を受ける内面と、前記内面で受けられた超音波を放射する外面とを有し、前記内面は前記外面の曲率と反対の曲率を有する凸状に曲がった面として形成され、少なくとも1つのくぼみがモールド材料を捉えるため前記内面の端に関連付けられ、側壁が前記内面に付随して設けられ、前記内面と共に、前記超音波トランスデューサを受け入れるキャビティを形成し、前記くぼみは前記側壁と前記内面との間に形成される、音響レンズとを有する、
超音波トランスデューサプローブ。
【請求項10】
前記放射面は接続モールドにより前記内面に接続されている、
請求項9に記載の超音波トランスデューサプローブ。
【請求項11】
前記放射面は平面である、
請求項9に記載の超音波トランスデューサプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を放射する超音波トランスデューサを含む超音波プローブの音響レンズに関する。本発明は、さらに、超音波を放射する超音波トランスデューサを含む超音波トランスデューサプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブは、一般的に、一以上のトランスデューサ要素を含む超音波トランスデューサと、例えば超音波検査のために人体と接触され得る外部凹面にトランスデューサから超音波を供給する音響レンズとにより構成されている。超音波トランスデューサは、通常、トランスデューサ要素と音響レンズの外面との間の音響的接触をよくするため、接続モールドでモールドされ、又は音響レンズに接着剤で接着される。しかし、接続モールドは、通常、超音波トランスデューサを音響レンズにマウントする時に気泡を含み、トランスデューサから放射された超音波の音響的反射及び減衰が生じ、超音波プローブの効率が下がる。
【0003】
さらに、一般的に使われる接続モールド又は接着剤は、流体インクラスト(fluid incrust)に敏感であり、そのため音響スタック、特に接続モールドが音響レンズの外部からの水分に対して保護されなければならない。
【0004】
特許文献1は、トランスデューサと音響レンズとの間の音響的反射を減らすため、散乱面により異なる空間的方向に音波を散乱することを提案している。しかし、接続モールドに含まれる気泡により、放射される超音波を減衰してしまうことがある。
【0005】
特許文献2は、音波が放射される一面を有するトランスデューサ要素を含む、医療診断検査のための超音波トランスデューサと、音響インピーダンスマッチング器と、検査される被験者と接触される、超音波トランスデューサ要素の前記一面に形成された接触部材とを開示している。
【0006】
特許文献3は、非破壊的評価と材料特性評価のためのコンパウンドフォーカス超音波トランスデューサを開示し、これは第1の曲率半径を有するピエゾ電気セラミック要素と、コンビネーションレンズと、その前に設けられた、前記ピエゾ電気セラミック要素の第1の曲率半径より小さい第2の曲率半径を有するカバー層とを含む。
【0007】
さらに超音波トランスデューサは、特許文献4、5、及び6により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際出願公開第WO2013/046080
【特許文献2】米国特許第4,699,150A号
【特許文献3】米国特許第4,659,956A
【特許文献4】特許出願公開第JP2004−105741A号
【特許文献5】米国特許第5,976,091A号
【特許文献6】欧州特許出願公開第EP2289419A1
【発明の概要】
【0009】
本発明の一目的は、超音波プローブのための音響レンズと、超音波放射を改良した音響レンズを含む超音波プローブとを提供することである。
【0010】
本発明の第1の態様では、超音波プローブのための音響レンズを提供する。該音響レンズは、
− 超音波トランスデューサの放射面に面し、前記超音波トランスデューサからの超音波を受ける内面と、
− 前記内面で受けられた超音波を放射する外面とを有し、
前記内面は凸状に曲がった面として形成され、
少なくとも1つの凹部がモールド材料を捉えるため前記内面の端に関連付けられる。
【0011】
本発明の別の一態様では、超音波トランスデューサプローブを提供する。該超音波トランスデューサプローブは、
− 超音波を放射する放射面を含む超音波トランスデューサと、
− 音響レンズであって、前記超音波トランスデューサの放射面に面し、前記放射面からの超音波を受ける内面と、前記内面で受けられた超音波を放射する外面とを有し、前記内面は凸状に曲がった面として形成され、少なくとも1つの凹部がモールド材料を捉えるため前記内面の端に関連付けられる、音響レンズとを有する。
【0012】
本発明の好ましい実施形態は従属項に規定した。言うまでもなく、請求項に係る超音波トランスデューサプローブは、請求項に係る音響レンズと同様の及び/又は同一の、及び従属項に規定した好ましい実施形態を有する。
【0013】
本発明は、超音波トランスデューサの放射面と、音響レンズの内面との間の気泡の無いモールド接続を実現し、超音波の主放射方向における放射面と内面との間の音響的接続を改善するというアイデアに基づく。内面は凸状に曲がった面として形成され、接続モールド層の厚さは、超音波の主方向に対応する中心部で薄くなる。接続モールドは、超音波トランスデューサを内面に接続しつつ、凸状に曲がった面により内面の周辺部に動かされ又は押し出され(moved or driven)、接続モールドに含まれた気泡も周辺部に押し出され(driven)、超音波の主方向に対応する接続モールドの中心部には気泡が無くなり、モールドの厚みが周辺部と比較して薄くなる。さらに、放射面が内面と接触したとき、くぼみは余分な接続モールドを捉え、接続モールド内の気泡と空隙を捉えるキャビティとして機能できる。それゆえ、超音波の主方向における気泡による音響反射と、それに対応する超音波の減衰を減らして、超音波効率を高くすることができる。
【0014】
好ましい一実施形態では、前記内面は凸状に曲がった部分として形成される。これにより、超音波の主方向に対応する内面の中心部における接触モールドの厚みを薄くでき、主放射方向における超音波の減衰が減り、超音波放射の効率が改善する。さらに、単一の凸状に曲がった部分により、複数の反射が生じ、超音波トランスデューサにより生じる超音波の主方向が乱されない。
【0015】
好ましい一実施形態では、前記くぼみは凹状を有する。これにより、少ない技術的努力により音響レンズ内にくぼみを設けることができる。
【0016】
好ましい一実施形態では、前記くぼみは少なくとも部分的に前記内面を囲むノッチとして形成される。これにより、高い効率で、接続モールド中の気泡を捉えられ、余分な材料を受け取ることができる。放射面を内面に向けて押すことにより、余分な材料を、凸状に曲がった面のサイドに向けて押すことができるからである。
【0017】
壁が前記内面に付随して設けられ、前記内面と共に、前記超音波トランスデューサを受け入れるキャビティを形成する。これにより、超音波トランスデューサと音響レンズとの間に信頼できる接続を形成することができる。音響レンズは、超音波トランスデューサを受けるキャビティを形成し、超音波トランスデューサを横方向に支持するからである。
【0018】
好ましい一実施形態では、前記くぼみは、前記内面を、前記側壁の内面から分離するノッチとして形成される。これにより、余分な接続モールドを容易に受け入れることができる、接続モールドの余分な材料のためのキャビティを提供することができる。くぼみは側壁と内面との間のエッジとして形成される。
【0019】
好ましい一実施形態では、前記内面は水分バリアを形成するコーティングにより覆われている。これにより、水分に対して接続モールドを保護することができ、濡れる環境でプローブを使え、超音波トランスデューサと音響レンズとの間の機械的接続の信頼性を高くすることができる。
【0020】
好ましい一実施形態では、側壁の内面と、前記くぼみの表面とは、前記水分バリアを形成するコーティングにより覆われている。これにより、機械的接続の信頼性をさらに改善できる。接続モールドが全体的に覆われ、水分に対して保護されるからである。
【0021】
好ましい一実施形態では、前記コーティングは金属層として形成される。これにより、効率が高い水分バリア(moisture barrier)を技術的に容易に提供できる。
【0022】
好ましい一実施形態では、くぼみは止め穴(blind hole)又はブラインドノッチ(blind notch)として形成される。
【0023】
超音波プローブの好ましい一実施形態において、前記放射面は接続モールドにより前記内面に接続されている。これにより、超音波トランスデューサと音響レンズとの間の機械的接続が改善され、超音波放射の効率を改善できる。接続モールドにより、音響レンズの内面における超音波反射が減少するからである。
【0024】
好ましい一実施形態では、前記放射面は平面である。これにより、超音波トランスデューサを少ない技術的努力で生産できる。トランスデューサは、例えば、シリコンウェハー上の容量性微少超音波トランスデューサとして形成し、高い超音波放射効率で音響レンズと接続できる。
【0025】
上記の通り、本発明は、放射面と、音響レンズの内面との間のインターフェースにおける超音波の反射を低減することができる。接続モールドにより放射面と内面とが接続され、2つの面が互いに押される時に、内面のミドル部分から内面の周辺部分に気泡をおしやる(driven)することができるからである。超音波の主放射方向である放射面の中心部分から気泡が動かされ、この就寝部分において接続モールドの厚みを薄くできるので、超音波の反射と減衰が減り、超音波放射の効率が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の上記その他の態様を、以下に説明する実施形態を参照して明らかにし、説明する。
図1】患者の身体のボリュームをスキャンするのに用いる超音波イメージングシステムを表す模式図である。
図2】超音波プローブの音響レンズを示す断面図である。
図3図2に示した音響レンズを含む超音波プローブを示す断面図である。
図4図3に示した超音波プローブを構成するために、超音波トランスデューサを図2に示した音響レンズに接続するステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、一実施形態による超音波システムの一例、特に医療用3次元(3D)超音波イメージングシステムを示す。超音波イメージングシステム10は、ボリュームの人体構造サイド、特に患者12の人体構造サイドを調べるのに用いられる。超音波システムは、超音波を送受信する少なくとも1つの超音波トランスデューサ、特に複数のトランスデューサアレイを有する超音波トランスデューサアレイを有する超音波プローブ14を含む。超音波プローブ14は、超音波プローブ14を患者12に接触させる超音波プローブ14の接触面を構成する、超音波トランスデューサに接続された音響レンズを含む。
【0028】
さらに、超音波システム10は、超音波システム10を介した3D画像の提供を制御する制御部16を含んでいても良い。制御部16は、超音波プローブ14のトランスデューサアレイを介したデータの取得のみでなく、超音波プローブのトランスデューサアレイにより受信される超音波ビームのエコーから3D画像を構成する信号及び画像の処理も制御する。
【0029】
超音波システムは、3D画像をユーザに表示するディスプレイ18をさらに含んでいてもよく、ユーザインターフェースとしてキー又はキーボードを含む入力デバイスを含んでいてもよい。
【0030】
図2は、超音波プローブ14の音響レンズ(20で示す)を示す模式的断面図である。音響レンズ20は、熱可塑性エラストマーにより構成されていてもよい本体22を含む、これは超音波を発することができる。本体は、外面24と内面26とを含む。内面26は、概して、超音波トランスデューサの放射面に面し、超音波トランスデューサからの超音波を受けるように適応されている。外面24は、概して、内面で受け本体22を介して伝えられた(submitted)超音波を放射するように適応されている。また、外面24は、超音波を受けて、受けた超音波を超音波トランスデューサに提供するように適応されている。外面24は、ラジアル方向に超音波を放射するため、凸状に曲がった形状をしている。内面26は、外面の曲率と反対の曲率を有する凸状に曲がった面として構成されている。
【0031】
本体22は、さらに、外面24に対向する方向で、この断面に延在する1つ又は複数の側壁28を含む。側壁28は内面30を含み、これは以下に説明するように、超音波トランスデューサを受けるキャビティ32を形成する。本体22は一体として構成されている。
【0032】
内面26と側壁28の内面との間には、過剰な接続モールドを捉える一以上のくぼみ34が形成されている。これは、以下に説明するように、超音波トランスデューサを音響レンズ20に接続するために用いられる。 くぼみ34は、内面26と側壁28の内面30との間で別のくぼみとして形成されてもよく、内面26と側壁28の内面30との間のエッジにある連続的ノッチであってもよい。くぼみ34はキャビティまたは止まり穴またはブラインドノッチ(blind notch)として形成される。
【0033】
本体22は、円形であってもよく、対称軸36に対して対象である。図2の断面図から分かることは、内面26と外面24とが、両方とも紙面から垂直に延在する2次元平面であることである。それゆえ、両方の面24、26は本体22の逆側に構成されている。側壁28は、好ましくは、対称軸36の方向に同軸に延在する円筒部分として構成される。
【0034】
内面26、側壁28の内面30、及びキャビティ34の内面は、水分バリア層38により覆われている。水分バリア層38は、一般的に、外部からの水分に対して、キャビティ32を保護するように設けられている。水分バリア層38は、好ましくは金属層として形成されている。
【0035】
本体22は、好ましくは、ポリエステルブロックアミドPEBAX2533により構成される。これは熱可塑性エラストマーであり、柔軟なポリエステルとライズドポリアミド(writhed polyamide)よりできている。
【0036】
図3は、音響レンズ20と(40で示す)超音波トランスデューサとを含む超音波プローブ14を示す模式的断面図である。超音波トランスデューサ40は、超音波を送受する超音波トランスデューサ要素42または超音波トランスデューサアレイ42を含む。超音波トランスデューサ要素42または超音波トランスデューサアレイ42は、ウェハーレベルのセラミックの微少超音波トランスデューサとして構成され、トランスデューサ要素又はアレイ42を機械的に支持し、トランスデューサ要素42に電気的に接続されるように設けられた支持部44に取り付けられている。支持部44は、トランスデューサ要素42又はトランスデューサアレイ42のアンダーフィル(underfill)を有するフレキシブルマウント構造(flexible mount structure)であってもよい。トランスデューサ要素42又はトランスデューサアレイ42は、超音波を送受する放射面46を含む。
【0037】
超音波トランスデューサ40は、少なくとも部分的にキャビティ32内に配置され、接続モールド又はグルー48により、キャビティ32の内面26、30に取り付けられている。グルー48は、キャビティ32において超音波トランスデューサ40を固定し、内面26との音響的接続を良くするために、PDMS(Polydimethylsiloxan)又はPolybutadineとして構成される。
【0038】
超音波トランスデューサ40は、キャビティ32内に配置され、放射面46が内面26に面し、側壁28が超音波トランスデューサ40を横方向に支持するようになっている。.この位置において、放射面46から放射された超音波は、内面26に供給され、本体22を介してさらに外面24に送られる(submit)。内面26の凸状に曲がった形状のため、放射面46の中心部は、対称軸36に沿って超音波トランスデューサ要素42又はトランスデューサアレイ42の主放射方向を構成するが、内面26と密に接触しており、この中心部における減衰と反射が低減するようになっている。生産プロセスにおいて、超音波トランスデューサ40は、キャビティ32に押し込まれ、グルー48が放射面46の中心部から周辺部に押しやられ(driven)、モールド48に含まれた空隙や気泡も以下に説明するように周辺部に押しやられる。
【0039】
水分バリア層38は、親水性のグルー32を外部から保護し、超音波プローブ14が、濡れる環境でも水分が進入してグルー48を損なうことなく使えるようにする。
【0040】
くぼみ34は過剰なグルー48に対するキャビティとして機能する。過剰なグルー48は、生産プロセスにおいて、脇に押され、凹部34に入り、放射面46が内面26に密に接触させられる。
【0041】
図4a−4dは、音響レンズ20と超音波トランスデューサ40とを含む超音波プローブ14を生産するプロセスステップを示す。言い換えると、図4a−4dは、超音波トランスデューサ40を音響レンズ20のキャビティ32に接続するプロセスステップを示す。
【0042】
超音波トランスデューサ40は、上記の通り、支持部44に取り付けられ、放射面46を有するトランスデューサ要素42又はトランスデューサアレイ42を含む。トランスデューサ要素42は、犠牲層エッチングやウェハーボンディングなどの利用可能な微細加工技術により生産された容量型微少超音波トランスデューサ(CMUTs)であり得る。トランスデューサ要素42は、ピエゾ電気ベースの超音波トランスデューサ(PZTs)であってもよい。
【0043】
支持部40の上部は、トランスデューサ要素42又はトランスデューサアレイ42を含み、図4bに示すように、ディップコーティング又はスプレーコーティングにより、グルー48でコーティングされる。
【0044】
図4cに示したように、超音波トランスデューサ40と、取り付けられたグルー48とは、矢印50で示すようにキャビティ32に入れられる。超音波トランスデューサ40はキャビティ32に入れられ、放射面46が内面26に面し、超音波トランスデューサ40が対称軸36と同軸にキャビティ32に入れられる。放射面46がキャビティ32に入れられ(introduced)、まだ内面26まで距離があるとき、超音波トランスデューサ40は、図4dに矢印52で示すように、キャビティ32に押し入れられる。このステップにおいて、放射面46と内面26との間にあるグルー48は、矢印54で示したように、放射面46の周辺部に動かされ又は押しやられ(moved or driven)、くぼみ34に入る。これは、内面26の凹状の曲がりにより実現され、余分なグルー48が気泡も含めくぼみ34に押しやられ(driven)、放射面26の中心部において、最終的に放射面46と内面26との間の距離が短くなり、グルー48中の気泡が周辺部に、特に凹部34に排出される(removed)。そのため、放射面46の中心部における超音波の反射と減衰が減少し、プローブ14の超音波放射の効率が向上する。
【0045】
本発明を、図面と上記の説明に詳しく示し説明したが、かかる例示と説明は例であり限定ではなく、本発明は開示した実施形態には限定されない。請求項に記載した発明を実施する際、図面、本開示、及び添付した特許請求の範囲を研究して、開示した実施形態のその他のバリエーションを、当業者は理解して実施することができるであろう。
【0046】
請求項において、「有する(comprising)」という用語は他の要素やステップを排除するものではなく、「1つの(「a」又は「an」)」という表現は複数ある場合を排除するものではない。単一の要素またはその他のアイテムが請求項に記載した複数のユニットの機能を満たすこともできる。相異なる従属クレームに手段が記載されているからといって、その手段を組み合わせて有利に使用することができないということではない。
【0047】
請求項に含まれる参照符号は、その請求項の範囲を限定するものと解してはならない。
図1
図2
図3
図4a)】
図4b)】
図4c)】
図4d)】