(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チャネル設定部は、前記空き回数が最も大きい前記チャネルの前記空き回数と使用中の前記プライマリチャネルの前記空き回数との差が所定差以上のとき、前記プライマリチャネルの前記変更を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信装置。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)には主な周波数帯として2.4GHz帯、5GHz帯が割り当てられている。5GHz帯は2.4GHz帯と比較してほぼ干渉しないチャネル配置である、また、干渉源が少ない等の点から、良好な通信ができることが知られている。
【0003】
5GHz帯を使用する無線LAN規格にはIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11a、IEEE802.11n、IEEE802.ac等がある。この中で理論上最も通信速度が速いのはIEEE802.acであり、その最大通信速度は6.93Gbpsである。
【0004】
高速通信を実現するための代表的な技術の一つに、チャネルボンディングがある。チャネルボンディングは、隣りあう帯域を束ねて使用することで通信を高速化する技術である。チャネルボンディングによる最大帯域幅は、IEEE802.11nでは40MHzであったが、IEEE802.11acでは80MHz(オプションで最大160MHz)へ拡張されている。
【0005】
図10に5GHz帯の無線LANで使用可能な周波数帯を示す。使用可能な周波数帯にはW52帯、W53帯、W56帯がある。W52帯は5150MHz〜5250MHz(36CH〜48CH)、W53帯は5250MHz〜5350MHz(52CH〜64CH)、W56帯は5470MHz〜5725MHz(100CH〜140CH)である。
【0006】
図11および
図12に、チャネルボンディングを使用する場合の使用可能周波数帯を示す。
図11はW52帯およびW53帯、
図12はW56帯の使用可能周波数帯である。このように、使用可能周波数帯のパターンは、帯域幅が40MHzの場合は9パターン、80MHzの場合は4パターン、160MHzの場合は2パターンと、帯域幅を大きくするほど少なくなる。
【0007】
IEEE802.11acでは、使用周波数帯に、プライマリチャネル、セカンダリチャネルという概念を取り入れている。プライマリチャネルは、制御フレームの伝送やIEEE802.11a等の旧規格の端末とのデータフレームの伝送に使用される20MHz幅のチャネルである。セカンダリチャネルは、40MHz以上の帯域幅を使って通信を行う際に拡張されるチャネルである。
【0008】
IEEE802.11acでは、40MHz以上の帯域幅を使って通信を行う場合、その帯域幅が使用可能かどうかをキャリアセンスによって確認する。また、通信開始時に、送信側装置がRTS(Request-to-Send)という送信要求のフレームを使用したい帯域内の各チャネルに送信する。そして、RTSを受信した受信側装置は、そのチャネルが空きチャネルであれば、CTS(Clear-to-Send)という送信許可のフレームを送信する。これにより、送信側装置と受信側装置でキャリアセンスの結果を共有することができる。
【0009】
送信側/受信側装置では、RTS/CTSの結果により、どの帯域幅で通信するかを以下の(1)〜(4)のように決定している。
(1)プライマリチャネル(20MHz)のみを使用可能な場合は20MHzの帯域幅で送信。
(2)プライマリチャネル(20MHz)、セカンダリチャネル(20MHz)の両方を使用可能な場合は40MHzの帯域幅で送信。
(3)プライマリチャネル(40MHz)(プライマリチャネル(20MHz)+セカンダリチャネル(20MHz))、セカンダリチャネル(40MHz)の両方を使用可能な場合は80MHzの帯域幅で送信。
(4)プライマリチャネル(80MHz)(プライマリチャネル(40MHz)+セカンダリチャネル(40MHz))、セカンダリチャネル(80MHz)の両方を使用可能な場合は160MHzの帯域幅で送信。
【0010】
図13に80MHzの帯域幅で通信を行う場合の、RTS/CTSのやりとりから実際の通信に至るまでの流れの例を示す。この例は、送信側はプライマリチャネルを含めて80MHzの帯域幅を使用可能、受信側も80MHzの帯域幅を使用可能な場合の例である。また、プライマリチャネルは36CHであるとする。
【0011】
まず送信側は80MHzの帯域幅で通信するにあたって、希望の帯域幅が80MHzであることを示す情報を格納したRTSをプライマリチャネルの36CHおよび使用を希望する各チャネル(40CH、42CH、44CH)に送信する。RTSを受信した受信側は、80MHz幅分の各チャネルでRTSを受信できたため、使用可能な帯域幅が80MHzであることを示す情報を格納したCTSを各チャネル(36CH、40CH、44CH、48CH)へ送信する。
【0012】
送信側は、RTSを送信した36CH、40CH、44CH、48CHのすべてでCTSを受信できたため、80MHzの帯域幅での通信が可能と判断し、80MHzの帯域幅でのデータ送信を開始する。
【0013】
また、別の例として、
図14に受信側が40MHzの帯域幅しか使用可能でない場合の例を示す。このケースは、他の装置が44CHおよび48CHを使用して通信中で、障害物等により受信側でのみ44CHおよび48CHが使用されていることを検知できるような状況で起こり得る。
【0014】
まず、送信側は36CH、40CH、44CH、48CHのすべてが使用可能な状況と判断し、それらのチャネル上にRTSを送信する。一方受信側はキャリアセンスの結果44CHおよび48CHは他の装置が使用中であると判断し、36CHおよび40CHにのみCTSを送信する。そして、送信側は、CTSにより許可された36CHおよび40CHを使用して40MHzの帯域幅でデータ送信を開始する。
【0015】
このように使用帯域幅を決定することにより、80MHzの帯域幅で通信できないときでも、40MHzあるいは20MHzの帯域幅での通信が可能となっている。しかし、いずれの帯域幅でもプライマリチャネル(20MHz)を使用するため、プライマリチャネルを他の装置が使用している場合は、通信を行うことができない。
【0016】
一方、IEEE802.11ac対応のアクセスポイント(以降APと呼ぶ)は、DFS(Dynamic Frequency Selection)機能を持つ。DFS機能は、W53帯やW56帯を使用する場合、気象レーダ等を検知したとき、使用周波数をレーダ波の周波数と異なる周波数のチャネルへ自動的に切り替える機能である。この際、特に、帯域幅を80MHzとした場合、使用可能周波数帯のパターンは4パターンしかないため、近接するAPで重複しないように使用周波数帯を確保するのは難しい。そのため、チャネルの切り替えの結果、他のAPと使用周波数帯が重複し、さらに、プライマリチャネルが近接、あるいは、重複する可能性がある。プライマリチャネルが近接/重複すると、他のAPが通信している間、通信効率の悪化や通信不能状態が発生する可能性がある。
【0017】
使用周波数帯の決定方法としては、たとえば、特許文献1から特許文献4に記載の方法がある。
【0018】
特許文献1に記載の方法では、RTS/CTSで使用したい周波数が空きチャネルかどうかを確認する。特許文献2に記載の方法では、各チャネルの電界強度を測定し、電界強度がしきい値未満の回数が多いチャネルを使用周波数として選択する。特許文献3に記載の方法では、通信失敗回数を加算し、通信失敗回数がしきい値以上となったチャネルを空きチャネルから除外する。特許文献4に記載の方法では、キャリアが検出された回数に応じた評価値により、より混雑していないチャネルを優先的に使用周波数として選択する。
【0019】
しかし、いずれの方法で使用周波数を決定しても、上述のように、他のAPと使用周波数帯が重複し、さらに、プライマリチャネルが近接、あるいは、重複する可能性がある。そして、プライマリチャネルが近接/重複することによって、他のAPが通信している間、通信効率の悪化や通信不能状態が発生する可能性がある。
【0020】
これに対して、特許文献5に記載の方法では、通信不能時にRTS/CTSをやりとりし、空きチャネルと確認できたセカンダリチャネルへ一時的にプライマリチャネルを変更する。これにより、通信不能状態が発生する可能性を低減し、通信効率を改善している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施の形態について説明する。
【0031】
図1に本実施形態の無線通信装置10の構成例を示す。
【0032】
本実施形態の無線通信装置10は、無線通信部11、カウント部12およびチャネル設定部13により構成される。
【0033】
無線通信部11は、複数のチャネルを含む所定の周波数帯で無線通信を行う部分である。カウント部12は、周波数帯の各々のチャネルについて、所定の期間の無線通信において当該チャネルが空きチャネルであった回数である空き回数をカウントする部分である。チャネル設定部13は、所定のタイミングで、空き回数が最も大きいチャネルに無線通信のプライマリチャネルを設定する部分である。
【0034】
このように無線通信装置10を構成することによって、無線通信装置10は、使用周波数帯の各々のチャネルの空き回数をカウントし、空き回数が最も大きいチャネルにプライマリチャネルを設定する。これにより、その時点で最も通信不能となる可能性が低い、つまり、最も通信効率が高いチャネルをプライマリチャネルに設定することができる。また、環境変化がない限りは以降の通信でも同じチャネルが空き回数が最も大きいチャネルとなる可能性が高いため、プライマリチャネルの変更による通信効率の悪化を抑制できる。そのため、チャネルボンディングを使用する際の通信効率を向上することが可能になる。
【0035】
次に、
図2に本実施形態の無線通信装置10の動作の例を示す。
【0036】
カウント部12は、周波数帯の各々のチャネルの空き回数をカウントする(ステップS101)。チャネル設定部13は、所定のタイミングで(ステップS102でYES)、空き回数が最も大きいチャネルに無線通信のプライマリチャネルを設定する(ステップS103)。
【0037】
このように動作することによって、無線通信装置10は、使用周波数帯の各々のチャネルの空き回数をカウントし、空き回数が最も大きいチャネルにプライマリチャネルを設定する。そのため、チャネルボンディングを使用する際の通信効率を向上することが可能になる。
【0038】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、無線通信装置10は、使用周波数帯の各々のチャネルの空き回数をカウントし、空き回数が最も大きいチャネルにプライマリチャネルを設定する。これにより、その時点で最も通信不能となる可能性が低い、つまり、最も通信効率が高いチャネルをプライマリチャネルに設定することができる。また、環境変化がない限りは以降の通信でも同じチャネルが空き回数が最も大きいチャネルとなる可能性が高いため、プライマリチャネルの変更による通信効率の悪化を抑制できる。そのため、チャネルボンディングを使用する際の通信効率を向上することが可能になる。
【0039】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施の形態について説明する。本実施形態では、無線通信装置10についてより具体的に説明する。
【0040】
図3に本実施形態の無線通信システムの構成例を示す。本実施形態の無線通信システムは、無線通信装置10およびSTA(Station)40を備える。なお、無線通信システム内の無線通信装置10の数およびSTA40の数は任意である。
【0041】
無線通信装置10は、無線通信を行う装置であり、たとえば、無線LANのAPである。STA40は、無線通信装置10と通信を行う装置であり、たとえば、無線LANの無線子機である。
【0042】
次に、
図1を用いて本実施形態の無線通信装置10について説明する。
【0043】
無線通信部11は、STA40と無線通信を行う部分である。無線通信部11では、チャネルボンディングを使用して無線通信を行う。
【0044】
カウント部12は、無線通信部11が無線通信で使用する周波数帯の各チャネルについて、空きチャネルだった回数(空き回数)をカウントする部分である。本実施形態のカウント部12は、無線通信部11が受信するCTSフレームを監視し、CTSフレームを受信すると、CTSフレームを受信したチャネルの空き回数に所定値(本実施形態の場合1)を加算する。また、DFS等で使用周波数帯が変わった場合や所定時間おきなどの所定のリセットタイミングで空き回数をリセットする。
【0045】
なお、空き回数は、CTSフレームの受信回数以外に、自装置でのキャリアセンスで空きチャネルと判断した回数や、データの送受信に成功した回数などを使用することも可能である。また、空き回数は、空きチャネルか否かを確認した回数(たとえばRTSフレームの送信回数)に対する空きチャネルであった回数(たとえばCTSフレームの受信回数)の割合であっても良い。
【0046】
チャネル設定部13は、所定のタイミングで、空き回数が最大のチャネルにプライマリチャネルを設定する部分である。チャネル設定部13では、プライマリチャネルの設定の際、使用中のプライマリチャネルと空き回数が最大のチャネルが異なるときに、プライマリチャネルを空き回数が最大のチャネルへ変更する。また、プライマリチャネルの変更は、使用中のプライマリチャネルの空き回数と空き回数が最大のチャネルの空き回数との間の差が所定差以上のときにのみ行うことにしても良い。
【0047】
なお、所定のタイミングには、DFS等で使用周波数帯が変わってから所定時間後、所定時間おき、使用中のプライマリチャネルと空き回数が最大のチャネルの間の空き回数の差が所定の値以上となったとき、などが考えられる。
【0048】
このように無線通信装置10を構成することによって、無線通信装置10は、使用周波数帯の各々のチャネルの空き回数をカウントし、空き回数が最も大きいチャネルにプライマリチャネルを設定する。これにより、その時点で最も通信不能となる可能性が低い、つまり、最も通信効率が高いチャネルをプライマリチャネルに設定することができる。また、環境変化がない限りは以降の通信でも同じチャネルが空き回数が最も大きいチャネルとなる可能性が高いため、プライマリチャネルの変更による通信効率の悪化を抑制できる。そのため、チャネルボンディングを使用する際の通信効率を向上することが可能になる。
【0049】
また、本実施形態の無線通信装置10は、空きチャネルの判断にCTSフレームの受信有無を使用している。無線通信装置10がキャリアセンスにより空きチャネルと判断しても、受信側では通信不能な場合がある。そのため、CTSフレームの受信有無で空きチャネルを判断することにより、受信側と送信側の双方から見て空きチャネルだった、通信可能なチャネルを空き回数にカウントすることができる。
【0050】
次に、
図4に本実施形態の無線通信装置10の動作例を示す。
【0051】
まず、カウント部12は、起動時やDFSによる使用周波数帯の変更時などに各チャネルの空き回数を0にリセットする。
【0052】
カウント部12は、無線通信部11が受信したCTSフレームを監視し、CTSフレームをどのチャネルで受信したかを検出する(ステップS201でYES)。そして、CTSフレームを受信したチャネルの空き回数に所定値(本実施形態の場合1)を加算する(ステップS202)。
【0053】
チャネル設定部13は、現在のプライマリチャネルのチャネル情報を保持し、所定時間おきなどの所定のタイミングで(ステップS203でYES)、空き回数が最大のチャネルと現在のプライマリチャネルとを比較する。そして、現在のプライマリチャネルと空き回数が最大のチャネルが異なる場合に、プライマリチャネルを空き回数が最大のチャネルに変更する(ステップS204)。また、本実施形態では、ステップS204で空き回数を比較した後、空き回数をリセットする(ステップS205)。
【0054】
次に、本実施形態の無線通信装置10のより詳細な動作例について説明する。
【0055】
図5は、以下で説明する動作例における、本実施形態の無線通信システムおよびその周辺環境の構成例である。STA40Aは無線通信装置10Aに帰属する無線子機、STA40Bは無線通信装置10Bに帰属する無線子機である。障害物51があるため、無線通信装置10Aの電波は無線通信装置10Bへ届かず、無線通信装置10Bの電波も無線通信装置10Aへ届かない。しかし、STA40Aには無線通信装置10Bの電波とSTA40Bの電波が届くものとする。
【0056】
また、無線通信装置10Aのプライマリチャネルは60CHで通信可能な帯域幅は最大80MHz、無線通信装置10Bのプライマリチャネルは104CHで通信可能な帯域幅は最大40MHzに設定されているものとする。
【0057】
この状態で無線通信装置10Aが気象レーダ50の信号を検出し、DFS機能によりプライマリチャネルを60CHから空きチャネルの100CHへ切り替えたとする。すると、無線通信装置10Aと無線通信装置10Bはプライマリチャネルが隣接した状態になる。
【0058】
まず、無線通信装置10BとSTA40Bが通信していない状態で、無線通信装置10AがSTA40Aに対してデータ送信を行うとする。
【0059】
このとき、無線通信装置10Aはプライマリチャネルを含む80MHz幅(100CH、104CH、108CH、112CH)をすべて使用可能な状態である。そのため、無線通信装置10Aはこれらの各チャネルにRTSフレームを送信する。STA40Aも、これらの各チャネルをすべて使用可能な状態であるため、各チャネルにCTSフレームを送信する。
【0060】
そして、無線通信装置10Aは100CH、104CH、108CH、112CHの各チャネルでCTSフレームを受信し(
図4のステップS201でYES)、各チャネルの空き回数に所定値(本実施形態の場合1)を加算する(ステップS202)。
【0061】
次に、無線通信装置10Bが100CHおよび104CHを使用して40MHz幅で通信している状態で、無線通信装置10AがSTA40Aへデータ送信を行うとする。
【0062】
このとき、無線通信装置10BやSTA40Bの電波は無線通信装置10Aに届かないため、無線通信装置10Aにとっては、100CH、104CH、108CH、112CHをすべて使用可能な状態である。そのため、無線通信装置10Aはこれらの各チャネルにRTSフレームを送信する。
【0063】
しかし、STA40Aにとっては、無線通信装置10BやSTA40Bの電波が届くため、100CH、104CHは使用不能な状態である。そのため、STA40Aは108CH、112CHへCTSフレームを送信する。
【0064】
そして、無線通信装置10Aは108CH、112CHでCTSフレームを受信し(
図4のステップS201でYES)、108CH、112CHの空き回数に所定値(本実施形態の場合1)を加算する(ステップS202)。このとき、無線通信装置10Aはプライマリチャネルの100CHでCTSフレームを受信できなかったため、STA40Aと通信できない状態となる。
【0065】
このように、無線通信装置10BとSTA40Bが通信しているか否かによって、無線通信装置10AとSTA40Aは通信可能と通信不能を繰り返す。そして、各チャネルの空き回数はたとえば
図6のようになる。
【0066】
無線通信装置10Aは所定のタイミングになると(ステップS203でYES)、
図6の空き回数から、108CH、112CHの空き回数が最大と判断する。このように空き回数が最大のチャネルが複数ある場合には、任意の方法でどちらかをプライマリチャネルとして選択する。選択方法には、たとえば、より高い(低い)周波数のチャネルを選択する、現在設定されているプライマリチャネルを優先する、等の方法が考えられる。
【0067】
ここでは、無線通信装置10Aは112CHをプライマリチャネルとして選択したとする。そして、無線通信装置10Aは、現在のプライマリチャネルの100CHと選択した112CHが異なるため、プライマリチャネルを112CHへ変更する(ステップS204)。また、各チャネルの空き回数をリセットする(ステップS205)。
【0068】
これ以降も、無線通信装置10Aは、STA40Aと通信するとき、100CH、104CH、108CH、112CHへRTSフレームを送信する。そして、無線通信装置10BとSTA40Bが通信しているときは、STA40AからのCTSフレームを108CHと112CHで受信する。
【0069】
しかし、プライマリチャネルは112CHとなっているため、無線通信装置10AとSTA40Aは108CHと112CHを使用して40MHz幅で通信することが可能になる。また、無線通信装置10BとSTA40Bが通信していないときは80MHz幅での通信が可能である。そのため、プライマリチャネルを変更することにより、通信できない時間が減り、通信効率が向上する。
【0070】
このように動作することによって、無線通信装置10は、使用周波数帯の各々のチャネルの空き回数をカウントし、空き回数が最も大きいチャネルにプライマリチャネルを設定する。そのため、チャネルボンディングを使用する際の通信効率を向上することが可能になる。
【0071】
以上で説明したように、本発明の第二の実施形態では、第一の実施形態と同様に、無線通信装置10は、使用周波数帯の各々のチャネルの空き回数をカウントし、空き回数が最も大きいチャネルにプライマリチャネルを設定する。これにより、その時点で最も通信不能となる可能性が低い、つまり、最も通信効率が高いチャネルをプライマリチャネルに設定することができる。また、環境変化がない限りは以降の通信でも同じチャネルが空き回数が最も大きいチャネルとなる可能性が高いため、プライマリチャネルの変更による通信効率の悪化を抑制できる。そのため、チャネルボンディングを使用する際の通信効率を向上することが可能になる。
【0072】
また、本実施形態の無線通信装置10は、空きチャネルの判断にCTSフレームの受信有無を使用している。そのため、CTSフレームの受信有無で空きチャネルを判断することにより、受信側と送信側の双方から見て空きチャネルだった、通信可能なチャネルを空き回数にカウントすることができる。
【0073】
[第三の実施形態]
次に、本発明の第三の実施の形態について説明する。本実施形態は、さらに、空き回数のカウントの際、使用可能な帯域幅によって重みづけした値を加算する形態である。
【0074】
本実施形態の無線通信装置10の構成例は、第二の実施形態(
図1)と同様である。
【0075】
カウント部12は各チャネルの空き回数をカウントする部分であるが、本実施形態では、空き回数に所定値を加算する際に、使用可能な帯域幅によって重みづけした値を加算する。たとえば、
図7のように、1チャネル分の幅(20MHz幅)を使用可能なときは1を(
図7の(a))、2チャネル分の幅(40MHz幅)を使用可能なときは2を(
図7の(b))を空き回数に加算する。また、4チャネル分の幅(80MHz幅)を使用可能なときは4を(
図7の(c))、8チャネル分の幅(160MHz幅)を使用可能なときは8を(
図7の(d))空き回数に加算する。
【0076】
他の部分については第二の実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0077】
このように無線通信装置10を構成することによって、無線通信装置10は、使用周波数帯の各々のチャネルの空き回数をカウントし、空き回数が最も大きいチャネルにプライマリチャネルを設定する。これにより、その時点で最も通信不能となる可能性が低い、つまり、最も通信効率が高いチャネルをプライマリチャネルに設定することができる。また、環境変化がない限りは以降の通信でも同じチャネルが空き回数が最も大きいチャネルとなる可能性が高いため、プライマリチャネルの変更による通信効率の悪化を抑制できる。そのため、チャネルボンディングを使用する際の通信効率を向上することが可能になる。
【0078】
また、本実施形態の無線通信装置10は、使用可能な帯域幅によって空き回数の加算値に重みづけを行う。そのため、より広い帯域幅で通信できる可能性が高いチャネルをプライマリチャネルに設定できる。また、空き回数が最大のチャネルと現在のプライマリチャネルの間の空き回数の差が所定差以上となったときにプライマリチャネルを変更する場合に、空きチャネルの可能性が高いチャネルにより早く切り替えることができる効果もある。
【0079】
次に、
図4を用いて本実施形態の無線通信装置10の動作例について説明する。
【0080】
本実施形態では、無線通信装置10がCTSフレームを受信したとき(ステップS201でYES)、CTSフレームを受信したチャネルの空き回数に、使用可能な帯域幅に応じた所定値を加算する(ステップS202)。
【0081】
たとえば、CTSフレームを1つのチャネルのみで受信した場合や、複数チャネルでCTSフレームを受信してもチャネルボンディングを行うことができないチャネルだった場合には、CTSフレームを受信したチャネルの空き回数に1を加算する。また、CTSフレームを複数チャネルで受信し、CTSフレームを受信したチャネルが2つ連続していて40MHz幅のチャネルボンディングに使用可能な場合は、CTSフレームを受信したチャネルの空き回数に2を加算する。また、CTSフレームを受信したチャネルが4つ連続していて80MHz幅のチャネルボンディングに使用可能な場合は、CTSフレームを受信したチャネルの空き回数に4を加算する。また、CTSフレームを受信したチャネルが8つ連続していて160MHz幅のチャネルボンディングに使用可能な場合は、CTSフレームを受信したチャネルの空き回数に8を加算する。
【0082】
たとえば、
図7の例を左から順に加算すると、100CHの空き回数は1+2+4+8=15回となり、100CHが空き回数が最大のチャネルとなる。また、第二の実施形態の
図6の例の場合、本実施形態のように使用可能な帯域幅によって加算値に重みづけをすると、
図8のような、各チャネル間の空き回数の差が大きい結果が得られる。
【0083】
他の動作については第二の実施と同様のため説明を省略する。
【0084】
このように動作することによって、無線通信装置10は、使用周波数帯の各々のチャネルの空き回数をカウントし、空き回数が最も大きいチャネルにプライマリチャネルを設定する。そのため、チャネルボンディングを使用する際の通信効率を向上することが可能になる。
【0085】
以上で説明したように、本発明の第三の実施形態では、第一および第二の実施形態と同様に、無線通信装置10は、使用周波数帯の各々のチャネルの空き回数をカウントし、空き回数が最も大きいチャネルにプライマリチャネルを設定する。これにより、その時点で最も通信不能となる可能性が低い、つまり、最も通信効率が高いチャネルをプライマリチャネルに設定することができる。また、環境変化がない限りは以降の通信でも同じチャネルが空き回数が最も大きいチャネルとなる可能性が高いため、プライマリチャネルの変更による通信効率の悪化を抑制できる。そのため、チャネルボンディングを使用する際の通信効率を向上することが可能になる。
【0086】
また、本実施形態の無線通信装置10は、使用可能な帯域幅によって空き回数の加算値に重みづけを行う。そのため、より広い帯域幅で通信できる可能性が高いチャネルをプライマリチャネルに設定できる。また、空き回数が最大のチャネルと現在のプライマリチャネルの間の空き回数の差が所定差以上となったときにプライマリチャネルを変更する場合に、空きチャネルの可能性が高いチャネルにより早く切り替えることができる効果もある。
【0087】
[ハードウェア構成例]
上述した本発明の各実施形態における無線通信装置10を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、無線通信装置は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現してもよい。また、無線通信装置は、専用の装置として実現してもよい。また、無線通信装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現しても良い。
【0088】
図9は、本発明の各実施形態の無線通信装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を備える。
【0089】
通信インタフェース91は、各実施形態の無線通信装置が、有線あるいは/および無線で外部装置と通信するための通信手段である。なお、無線通信装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続しても良い。
【0090】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0091】
演算装置93は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置である。演算装置93は、たとえば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0092】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であっても良い。
【0093】
不揮発性記憶装置95は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0094】
ドライブ装置96は、たとえば、後述する記録媒体97に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。
【0095】
記録媒体97は、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0096】
本発明の各実施形態は、たとえば、
図9に例示した情報処理装置90により無線通信装置を構成し、この無線通信装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0097】
この場合、無線通信装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、無線通信装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0098】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、無線通信装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して無線通信装置内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0099】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。
【0100】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0101】
(付記1)
複数のチャネルを含む所定の周波数帯で無線通信を行う無線通信部と、
前記周波数帯の各々の前記チャネルについて、所定の期間の前記無線通信において当該チャネルが空きチャネルであった回数である空き回数をカウントするカウント部と、
所定のタイミングで、前記空き回数が最も大きい前記チャネルに前記無線通信のプライマリチャネルを設定するチャネル設定部と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【0102】
(付記2)
前記カウント部は、前記カウントにおいて、送信許可のフレームを受信したとき、前記空き回数に所定値を加算する
ことを特徴とする付記1に記載の無線通信装置。
【0103】
(付記3)
前記所定値は、使用可能な帯域幅に応じた値である
ことを特徴とする付記2に記載の無線通信装置。
【0104】
(付記4)
前記チャネル設定部は、使用中の前記プライマリチャネルと前記空き回数が最も大きい前記チャネルが異なるとき、前記プライマリチャネルを変更する
ことを特徴とする付記1から付記3のいずれかに記載の無線通信装置。
【0105】
(付記5)
前記チャネル設定部は、前記空き回数が最も大きい前記チャネルの前記空き回数と使用中の前記プライマリチャネルの前記空き回数との差が所定差以上のとき、前記プライマリチャネルの前記変更を行う
ことを特徴とする付記4に記載の無線通信装置。
【0106】
(付記6)
前記チャネル設定部は、前記空き回数が最も大きい前記チャネルが複数あるとき、使用中の前記プライマリチャネルを優先して前記プライマリチャネルに前記設定する
ことを特徴とする付記1から付記5のいずれかに記載の無線通信装置。
【0107】
(付記7)
前記カウント部は、前記所定のタイミングで前記空き回数をリセットする
ことを特徴とする付記1から付記6のいずれかに記載の無線通信装置。
【0108】
(付記8)
複数のチャネルを含む所定の周波数帯で無線通信を行い、
前記周波数帯の各々の前記チャネルについて、所定の期間の前記無線通信において当該チャネルが空きチャネルであった回数である空き回数をカウントし、
所定のタイミングで、前記空き回数が最も大きい前記チャネルに前記無線通信のプライマリチャネルを設定する
ことを特徴とする無線通信方法。
【0109】
(付記9)
前記カウントにおいて、送信許可のフレームを受信したとき、前記空き回数に所定値を加算する
ことを特徴とする付記8に記載の無線通信方法。
【0110】
(付記10)
前記所定値は、使用可能な帯域幅に応じた値である
ことを特徴とする付記9に記載の無線通信方法。
【0111】
(付記11)
使用中の前記プライマリチャネルと前記空き回数が最も大きい前記チャネルが異なるとき、前記プライマリチャネルを変更する
ことを特徴とする付記8から付記10のいずれかに記載の無線通信方法。
【0112】
(付記12)
前記空き回数が最も大きい前記チャネルの前記空き回数と使用中の前記プライマリチャネルの前記空き回数との差が所定差以上のとき、前記プライマリチャネルの前記変更を行う
ことを特徴とする付記11に記載の無線通信方法。
【0113】
(付記13)
前記空き回数が最も大きい前記チャネルが複数あるとき、使用中の前記プライマリチャネルを優先して前記プライマリチャネルに前記設定する
ことを特徴とする付記8から付記12のいずれかに記載の無線通信方法。
【0114】
(付記14)
前記所定のタイミングで前記空き回数をリセットする
ことを特徴とする付記8から付記13のいずれかに記載の無線通信方法。
【0115】
(付記15)
コンピュータに、
複数のチャネルを含む所定の周波数帯で無線通信を行う無線通信機能と、
前記周波数帯の各々の前記チャネルについて、所定の期間の前記無線通信において当該チャネルが空きチャネルであった回数である空き回数をカウントするカウント機能と、
所定のタイミングで、前記空き回数が最も大きい前記チャネルに前記無線通信のプライマリチャネルを設定するチャネル設定機能と
を実現させることを特徴とする無線通信プログラム。
【0116】
(付記16)
前記カウント機能は、前記カウントにおいて、送信許可のフレームを受信したとき、前記空き回数に所定値を加算する
ことを特徴とする付記15に記載の無線通信プログラム。
【0117】
(付記17)
前記所定値は、使用可能な帯域幅に応じた値である
ことを特徴とする付記16に記載の無線通信プログラム。
【0118】
(付記18)
前記チャネル設定機能は、使用中の前記プライマリチャネルと前記空き回数が最も大きい前記チャネルが異なるとき、前記プライマリチャネルを変更する
ことを特徴とする付記15から付記17のいずれかに記載の無線通信プログラム。
【0119】
(付記19)
前記チャネル設定機能は、前記空き回数が最も大きい前記チャネルの前記空き回数と使用中の前記プライマリチャネルの前記空き回数との差が所定差以上のとき、前記プライマリチャネルの前記変更を行う
ことを特徴とする付記18に記載の無線通信プログラム。
【0120】
(付記20)
前記チャネル設定機能は、前記空き回数が最も大きい前記チャネルが複数あるとき、使用中の前記プライマリチャネルを優先して前記プライマリチャネルに前記設定する
ことを特徴とする付記15から付記19のいずれかに記載の無線通信プログラム。
【0121】
(付記21)
前記カウント機能は、前記所定のタイミングで前記空き回数をリセットする
ことを特徴とする付記15から付記20のいずれかに記載の無線通信プログラム。