(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588587
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】電磁駆動モジュール
(51)【国際特許分類】
H02K 33/18 20060101AFI20191001BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20191001BHJP
【FI】
H02K33/18 B
H02K11/215
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-30207(P2018-30207)
(22)【出願日】2018年2月22日
(62)【分割の表示】特願2016-206855(P2016-206855)の分割
【原出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2018-88816(P2018-88816A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2018年3月19日
(31)【優先権主張番号】102143717
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505259022
【氏名又は名称】台湾東電化股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 尚▲ゆ▼
(72)【発明者】
【氏名】許 乃文
【審査官】
池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3120599(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0064535(US,A1)
【文献】
特開2002−214504(JP,A)
【文献】
特開2013−097028(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0026611(US,A1)
【文献】
特表2012−505433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/18
H02K 11/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁駆動モジュールであって、
通路と、前記通路を囲む第1の外側面、第2の外側面、第3の外側面及び第4の外側面と、を有しており、前記第1の外側面と前記第3の外側面は対向し、前記第2の外側面と前記第4の外側面は対向するベースと、
前記ベースの側方に配置される第1の磁気素子と、
前記第1の外側面に固定されており前記第1の磁気素子に隣接して対向しており、前記第1の磁気素子に隣接して電流を通過させて前記ベースを第1の方向に沿って移動させるコイルと、
前記ベースの前記第2の外側面に形成された収容溝に設置される基準素子と、
前記基準素子に隣接して対向し、前記ベースの移動を検出するセンサ素子と、
スプリングの弾性により前記ベースが光軸方向に沿って移動できる態様で前記ベースを支持するスプリングシートと、を含み、
前記ベースは前記スプリングシートのみによって光軸方向に移動可能に支持される電磁駆動モジュール。
【請求項2】
前記センサ素子は、磁場の変化を検知する請求項1に記載の電磁駆動モジュール。
【請求項3】
前記コイルは、上半部と下半部とを含み、電流が前記コイルを通過したとき、前記上半部の電流方向は、前記下半部の電流方向とは逆方向である請求項1または請求項2に記載の電磁駆動モジュール。
【請求項4】
前記第1の磁気素子は、前記コイルに面する一方の側に前記コイルの上半部に隣接する上部磁極と、前記コイルの下半部に隣接する下部磁極とを含み、前記上部磁極の極性と、前記下部磁極の極性は逆である請求項3に記載の電磁駆動モジュール。
【請求項5】
前記基準素子は、前記第1の外側面と前記第2の外側面の間の角に配置される請求項1から請求項4までのいずれかに記載の電磁駆動モジュール。
【請求項6】
ハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されており、第1のサイドフレームと、第2のサイドフレームとを有するフレームと、をさらに有し、
前記第1の磁気素子は、前記第1のサイドフレームの開口に配置されており、前記センサ素子は、前記第2のサイドフレームのスルーホールに配置される請求項1に記載の電磁駆動モジュール。
【請求項7】
前記コイルと前記第1の磁気素子に加えて、他のコイルと他の第1の磁気素子とをさらに有し、
前記他のコイルは前記第3の外側面に配置されており、前記他の第1の磁気素子は、前記他のコイルに対向するように配置される請求項1に記載の電磁駆動モジュール。
【請求項8】
ハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されており、第1のサイドフレームと、第2のサイドフレームと、第3のサイドフレームとを有するフレームと、をさらに有し、
前記第1の磁気素子は、前記第1のサイドフレームの開口に配置されており、前記センサ素子は、前記第2のサイドフレームのスルーホールに配置されており、前記他の第1の磁気素子は、前記第3のサイドフレームの開口に配置される請求項1に記載の電磁駆動モジュール。
【請求項9】
回路板を更に含み、前記センサ素子は、前記回路板上に設置および電気的に接続される請求項1に記載の電磁駆動モジュール。
【請求項10】
前記コイルは、前記スプリングシートを介して、前記回路板に対して電気的に接続される請求項1に記載の電磁駆動モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モジュールおよび前記駆動モジュールを用いるレンズ装置に関し、特に、電磁効果を用いて機械エネルギーを生成する電磁駆動モジュールおよび前記電磁駆動モジュールを用いたレンズ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に電子製品は、駆動モジュールを配置して構成要素を駆動し、構成要素の一定距離の移動を行う。例えば、画像撮影機能を有する電子製品には、通常、駆動力を得るための駆動モジュールが含まれており、1つまたは複数の光学レンズユニットを駆動モジュールの駆動力により駆動して、光軸に沿って移動させることにより、オートフォーカスおよび/またはズームの機能を達成する。
【0003】
しかしながら、従来の駆動モジュールは、高コストの精密な駆動部材(例えば、ステップモータ、超音波モータ、または圧電アクチュエータなど)を動力源として含んでおり、その駆動力は多数の伝動素子によって伝えられる。これは機械の構造が複雑であるというだけでなく、組み立てのステップが容易でなく、面積が大きくコストが高く、且つ電力消費量が大きいという欠点を有するため、価格を下げることを困難にする。
【0004】
よって、サイズが小さく、構造が簡単であるという利点を有する駆動装置の研究開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−301700
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑みて、本発明の目的は、動力を提供するように配置されており、電子製品内の構成要素(例えば、レンズアセンブリ)を駆動して移動させる電磁駆動モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る電磁駆動モジュールは、ベース、2つの第1の磁気素子、コイルアセンブリ、基準素子、およびセンサ素子を含む。2つの第1の磁気素子は、第1の基準線に沿って配列するように、または、第1の基準線がそれぞれの中心を通過するように、ベースの両側に配置される。コイルアセンブリは、ベースに接続され、2つの第1の磁気素子に隣接する。コイルアセンブリは、電流を通過させ、磁場を生成してベースを移動させる。基準素子は、ベース上に設置される。センサ素子は、基準素子に隣接する。センサ素子は、基準素子の移動を検出するように配置され、ベースを位置付けする。
2つの第1の磁気素子は、それぞれに対応する第1面と第2面とを有しており、第1面と第2面とは互いに平行であって、ベースの両側に配置されており、第1の基準線が、第1面と第2面のそれぞれに対して傾斜している。
【0008】
上述の実施形態では、電磁駆動モジュールは、2つの第2の磁気素子を更に含み、2つの第2の磁気素子は、第2の基準線に沿って配列するように、第2の基準線がそれぞれの中心を通過するように、ベースの両側に配置される。コイルアセンブリの少なくとも一部分は、2つの第2の磁気素子に面する。
2つの第2の磁気素子は、それぞれに対応する第3面と第4面とを有しており、第3面と第4面とは互いに平行であって、ベースの両側に配置されており、第2の基準線が、第3面と第4面のそれぞれに対して傾斜している。
【0009】
上述の実施形態では、第1の基準線と第2の基準線は、同一面に配置される。
第1の基準線と第2の基準線は、互いに垂直ではない場合がある。
第1の基準線と第2の基準線は、互いに垂直である場合がある。
センサ素子は、2つの第2の磁気素子と同じ側に配置されている場合がある。
センサ素子は、2つの第1の磁気素子とは異なる両側に配置されている場合がある。
センサ素子と基準素子とは、コイルアセンブリを挟んで対向している場合がある。
センサ素子は、コイルアセンブリ及び2つの第1の磁気素子に隣接しない位置に配置されている場合がある。
【0010】
上述の実施形態では、2つの第1の磁気素子は、ベースの実質的な中心に対して点対称であり、且つ2つの第2の磁気素子は、ベースの実質的な中心に対して点対称である。
【0011】
上述の実施形態では、コイルアセンブリは、2つの第1の磁気素子のその中の1つにそれぞれ隣接する2つのコイルを含む。各2つのコイルは、上半部と上半部に電気的接続した下半部を含む。また、2つの第1の磁気素子は、上半部に隣接する上部磁極および下半部に隣接する下部磁極をそれぞれ含み、上部磁極の極性は、下部磁極の極性と逆である。
【0012】
上述の実施形態では、電磁駆動モジュールは、回路板を更に含み、センサ素子は、回路板上に設置される。コイルアセンブリは、回路板に電気的に接続され、回路板によって、外部の電子信号を受信する。
【0013】
上述の実施形態では、センサ素子は、ホール効果センサ(Hall effect sensor)を含み、且つ基準素子は、永久磁石を含む。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、レンズ装置を提供することである。本発明に係るレンズ装置は、上述の任意の実施形態で述べた電磁駆動モジュールおよび電磁駆動モジュール内に設置されたレンズアセンブリを含む。電磁駆動モジュールは、レンズアセンブリの位置を動かし、オートフォーカスおよび/またはズームの機能を達成する。
【0015】
本発明の電磁駆動モジュールは、電流がコイルを通過するときに生成する磁場と磁気素子との間で生成する作用力を用いて素子を移動させることにより、素子を素早く目的の位置に移動させることができる。このため、従来の駆動モジュールと比べ、本発明の電磁駆動モジュールは、小型、低消費電力、高い位置決め精度、低い製造コストという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
実施形態のより完全な理解を助けるために、添付の図面を関連づける以下の記述が参照される。
【
図1】本発明の実施形態の電磁駆動モジュールの構成要素の分解組立図を示している。
【
図2】本発明の実施形態の電磁駆動モジュールの一部の構成要素の上面図を示している。
【
図3】本発明の実施形態のレンズ装置の上面図を示している。
【
図4】本発明の実施形態の電磁駆動モジュールの構成要素の分解組立図を示している。
【
図5】本発明の実施形態の電磁駆動モジュールの一部の構成要素の上面図を示している。
【
図6】本発明の実施形態の電磁駆動モジュールの構成要素の分解組立図を示している。
【
図7】本発明の実施形態の電磁駆動モジュールの一部の構成要素の上面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態の製造および使用が、以下に詳細に論じられる。しかしながら、本実施形態は、さまざまな具体的な状況において適応する形で具現化され得る。論じられる特定の実施形態は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態の電磁駆動モジュールの部材分解組立図を示している。第1の実施形態では、電磁駆動モジュール1は、ボイスコイルモータ(VCM)であり、上ハウジング10、上スプリングシート12、フレーム14、2つの第1の磁気素子16、ベース18、基準素子20、コイルアセンブリ22、回路板24、センサ素子26、下スプリングシート28、および下ハウジング30を含む。電磁駆動モジュール1に含まれる構成要素は、増加または減少させることができ、実施形態に示す態様に限定されるものではない。
【0019】
第1の実施形態では、上スプリングシート12は、フレーム14上に固定され、下スプリングシート28は、下ハウジング30上に固定される。上スプリングシート12と下スプリングシート28は、ベース18を支持するように配置され、ベース18は、垂直方向(Z方向)に沿って移動できる態様で、上ハウジング10と下ハウジング30とによって規定される収容空間(図示せず)内に設置される。第1の実施形態では、下スプリングシート28は、2つの導電性ピン281、283を含み、且つ2つの導電性ピン281、283は、回路板24に電気的に接続される。
【0020】
第1の実施形態では、ベース18は、通路189で貫通され、通路189に、例えばレンズ組立体(
図1に図示されていない)のような構成要素を支持するように構成されている。また、ベース18は、通路189の周囲を囲む1つまたは複数の外側面を含む。第1の実施形態では、ベース18は、複数の外側面、すなわち第1の外側面181、第2の外側面182、第3の外側面183、および第4の外側面184を含む。第1の外側面181は、第3の外側面183とは反対方向を向いており、第2の外側面182は、第4の外側面184とは反対方向を向いている。コイルアセンブリ22は、環状構造を有し、第1の外側面181、第2の外側面182、第3の外側面183、および第4の外側面184に設置される。コイルアセンブリ22は、電流を通過させ、磁場を生成するように配置される。第1の実施形態では、コイルアセンブリ22は、下スプリングシート28に電気的に接続される。外部からの電流は、回路板24と下スプリングシート28を流れ、コイルアセンブリ22に伝えられる。
【0021】
第1の実施形態では、フレーム14は、上ハウジング10または下ハウジング30に固定され、上スプリングシート12と下スプリングシート28の間に配置される。フレーム14は、1つまたは複数のサイドフレームを含む。実施形態では、フレーム14は、4つのサイドフレーム、すなわち第1のサイドフレーム141、第2のサイドフレーム142、第3のサイドフレーム143、および第4のサイドフレーム144を含む。第1の実施形態では、第1のサイドフレーム141、第2のサイドフレーム142、第3のサイドフレーム143、および第4のサイドフレーム144は、ベース18の第1の外側面181、第2の外側面182、第3の外側面183、および第4の外側面184にそれぞれ隣接する。フレーム14のサイドフレームとベース18の外側面との間には間隙が設けられており、フレーム14とベース18は互いに接触しない。
【0022】
第1の実施形態では、第1のサイドフレーム141は、開口1411を有し、第1のサイドフレーム141に対向する第3のサイドフレーム143も開口1431を含む。開口1411、1431の形状は、第1の磁気素子16の形状に対応する。2つの第1の磁気素子16は、コイルアセンブリ22にそれぞれ隣接しており、開口1411、1431内に設置される。また、第2のサイドフレーム142には、センサ素子26を収容するように配置されたスルーホール1421が形成されている。
【0023】
図2は、本発明の第1の実施形態の電磁駆動モジュール1の上面図を示している。なお、
図2では、上ハウジング10や上スプリングシート12のような一部の構成要素については図示していない。
図2に示されるように、電磁駆動モジュール1に含まれる2つの第1の磁気素子16の実質的な中心は、第1の基準線R1に沿って配列される。第1の基準線R1は、第1の外側面181と第3の外側面183に対して垂直であって、ベース18の中心Cを通過する。上述の配置によって、電磁駆動モジュール1が動作されたとき、2つの第1の磁気素子16の磁場とコイルアセンブリ22が生成した磁場は、ベース18を垂直方向(Z方向)に沿って安定して移動させることができる。このため、ベース18の制御精度が向上する。しかしながら、2つの第1の磁気素子16の設置位置は、この実施形態に限定されるものではない。2つの第1の磁気素子16の設置の位置は、ベース18が磁力を受けて安定して動作できれば、任意に変えることができる。
【0024】
第1の実施形態では、ベース18の第2の外側面182と第3の外側面183の間の角186に近接する位置であって、ベース18の第2の外側面182上に、収容溝1821が設けられる。基準素子20は、収容溝1821内に設置される。センサ素子26は、基準素子20に隣接して配置され、ベース18をポジショニングする。1つの実施形態では、基準素子20は、永久磁石であり、センサ素子26は、ホール効果センサである。センサ素子26は、基準素子20の磁場の変化を検知することによって、基準素子20の位置を判断し、ベース18の位置を検出し、ポジショニングする目的を果たす。他の実施形態では、基準素子20は、光送信機を含み、センサ素子26は、位置受信機(position signal receiver)を含む。センサ素子26は、基準素子20からの位置信号を受信し、基準素子20の位置を判断することで、ベース18の位置を検出し、ポジショニングする目的を果たす。
【0025】
第1の実施形態では、回路板24は、第2の外側面182に隣接して設置され、且つセンサ素子26は、回路板24上に設置される。他の実施形態では、センサ素子26は、導電部材によって回路板24に対して電気的に接続され、回路板24上には直接設置されない。回路板24は、上ハウジング10と下ハウジング30の間の開口(図示されていない)を介して、外部回路に電気的に接続される。第1の実施形態では、外部からの電力または電子信号は、回路板24を介して電磁駆動モジュール1の各構成要素に伝えられ、且つセンサ素子26で生成された電子信号も回路板24を介して制御システム(図示されていない)に伝えられる。次いで、その制御システムは、センサ素子26で生成された電子信号に基づいて、コイルアセンブリ22に流れる電流の流量を調整する。これにより、ベース18の位置が補正される。
【0026】
図3は、第1の実施形態の電磁駆動モジュール1を含むレンズ装置100の上面図を示している。第1の実施形態では、レンズ装置100は、電磁駆動モジュール1、レンズアセンブリ50、および光センサ60を含む。レンズアセンブリ50は、電磁駆動モジュール1のベース18(
図1)内に設置され、レンズアセンブリ50の入光側は上ハウジング10に隣接し、レンズアセンブリ50の出光側は光センサ60に隣接する。光センサ60は、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、であり、レンズアセンブリ50を通過する光線を受け、画像信号を生成する。電磁駆動モジュール1は、レンズアセンブリ50と光センサ60の間の距離を制御し、オートフォーカスおよび/またはズームの機能を達成する。
【0027】
図4は、本発明の第2の実施形態の電磁駆動モジュール1’の構成要素の分解組立図を示している。
図4では、電磁駆動モジュール1と同一または類似の構成要素については、同一の符号を付し、それらの構成要素の特徴は、簡略化のためここでは再度説明しない。電磁駆動モジュール1’と電磁駆動モジュール1の相違点として、電磁駆動モジュール1’は、フレーム32、2つの第1の磁気素子34、2つの第2の磁気素子36、および回路板38を含む点が挙げられる。
【0028】
第2の実施形態では、フレーム32は、上ハウジング10または下ハウジング30の上に固定され、上スプリングシート12と下スプリングシート28の間に配置される。フレーム32は、1つまたは複数のサイドフレームを含む。第2の実施形態では、フレーム32は、4つのサイドフレーム、すなわち第1のサイドフレーム321、第2のサイドフレーム322、第3のサイドフレーム323、および第4のサイドフレーム324を含む。第2の実施形態では、第1のサイドフレーム321、第2のサイドフレーム322、第3のサイドフレーム323、および第4のサイドフレーム324は、ベース18の第1の外側面181、第2の外側面182、第3の外側面183、および第4の外側面184にそれぞれ隣接する。フレーム32のサイドフレームとベース18の外側面との間には間隙が設けられており、フレーム32とベース18は互いに接触しない。
【0029】
第2の実施形態では、第1のサイドフレーム321、第2のサイドフレーム322、第3のサイドフレーム323、および第4のサイドフレーム324は、開口3211、3221、3231、3241をそれぞれ含み、開口3211、3231の形状は、第1の磁気素子34の形状に対応している。2つの第1の磁気素子34は、コイルアセンブリ22に隣接して配置され、開口3211、3231内に設置される。開口3221、3241の形状は、第2の磁気素子36の形状に対応している。2つの第2の磁気素子36は、コイルアセンブリ22に隣接して配置され、開口3221、3241内に設置される。また、第2のサイドフレーム322には、センサ素子26をその中に設置するスルーホール3221が形成されている。
【0030】
図5は、本発明の第2の実施形態の電磁駆動モジュール1’の上面図を示している。なお、
図5では、上ハウジング10や上スプリングシート12のような一部の構成要素については図示していない。
図5に示されるように、2つの第1の磁気素子34の実質的な中心は、第1の基準線R1に沿って配列される。第1の基準線R1は、ベース18の中心Cを通過する。また、2つの第2の磁気素子36の実質的な中心は、第2の基準線R2に沿って配列され、第2の基準線R2は、ベース18の中心Cを通過する。第2の実施形態では、第1の基準線R1と第2の基準線R2は、同一面上に配置される。第2の実施形態では、第1の外側面181に隣接する第1の磁気素子34と第2の外側面182に隣接する第2の磁気素子36は、第1の外側面181と第2の外側面182の間の角187に隣接する。また、第3の外側面183に隣接する第1の磁気素子34と第4の外側面184に隣接する第2の磁気素子36は、第3の外側面183と第4の外側面184の間の角188に隣接する。上述の配置によって、電磁駆動モジュール1’が動作したとき、ベース18の安定した移動を実現することができ、ベース18の制御精度を高めることができる。
【0031】
第2の実施形態では、2つの第1の磁気素子34は、同じ磁場の強度を有し、且つ2つの第2の磁気素子36は、同じ磁場の強度を有する。第2の実施形態の一つの例では、2つの第1の磁気素子34が生成する磁場の強度は、2つの第2の磁気素子36が生成する磁場の強度と異なる。第2の実施形態の他の一つの例では、2つの第1の磁気素子34が生成する磁場の強度は、2つの第2の磁気素子36が生成する磁場の強度と同じである。このような構成とすることにより、ベース18の両側より与えられる動力の平衡が保たれ、ベース18の傾斜を防止できる。また、
図5に示すように、第2の実施形態では、2つの第1の磁気素子34は、ベース18の実質的な中心Cに対して点対称であり、且つ2つの第2の磁気素子は、前記ベースの実質的な中心に対して点対称である。このような配置も、ベース18の安定した移動の実現に資する。
【0032】
第2の実施形態では、第2の外側面182に隣接するように回路板38が配置され、センサ素子26は、回路板24の上に設置される。第2の実施形態では、回路板38は、L形の形態を有し、第2の磁気素子36を収容して電磁駆動モジュール1’のサイズを抑制する。
【0033】
図6は、本発明の第3の実施形態の電磁駆動モジュール1”の構成要素の分解組立図を示している。
図6では、電磁駆動モジュール1の同一または類似の構成要素には、同一の符号が付され、その特徴は、簡略化のため、ここでは再度説明しない。電磁駆動モジュール1”と電磁駆動モジュール1の相違点としては、電磁駆動モジュール1”は、ベース40、コイルアセンブリ41、2つのコイル42、およびフレーム46を含む点が挙げられる。
【0034】
第3の実施形態では、ベース40は、通路409で貫通され、通路409に、例えばレンズ組立体(
図6に図示されていない)のような構成要素を支持するように構成されている。また、ベース40は、通路409の周囲を囲む1つまたは複数の外側面を含む。第3の実施形態では、ベース40は、複数の外側面、すなわち第1の外側面401、第2の外側面402、第3の外側面403、および第4の外側面404を含む。第1の外側面401は、第3の外側面403とは反対方向を向いており、第2の外側面402は、第4の外側面404とは反対方向を向いている。また、
図6に示されるように、ベース40は、第1の外側面401と第3の外側面403上に形成され、コイルアセンブリ41を固定する位置決め要素4032を含む。
【0035】
コイルアセンブリ41は、2つのコイル42を含む。2つのコイル42は、ベース40の第1の外側面401と第3の外側面403の上にそれぞれ固定される。各コイル42は、上半部421と上半部421と電気的に接続した下半部423を含む。第3の実施形態では、2つのコイル42は、下スプリングシート28を介して回路板24にそれぞれ電気的に接続される。外部からの電流がコイル42を通過したとき、上半部421の電流方向は、下半部423の電流方向とは逆方向である。即ち、上半部421が生成する磁場の方向は、下半部423が生成する磁場の方向と逆方向である。
【0036】
第3の実施形態では、フレーム46は、上ハウジング10または下ハウジング30内に固定され、上スプリングシート12と下スプリングシート28の間に配置される。フレーム46は、1つまたは複数のサイドフレームを含む。第3の実施形態では、フレーム46は、4つのサイドフレーム、すなわち第1のサイドフレーム461、第2のサイドフレーム462、第3のサイドフレーム463、および第4のサイドフレーム464を含む。第3の実施形態では、第1のサイドフレーム461、第2のサイドフレーム462、第3のサイドフレーム463、および第4のサイドフレーム464は、ベース40の第1の外側面401、第2の外側面402、第3の外側面403、および第4の外側面404にそれぞれ隣接する。フレーム46のサイドフレームとベース40の外側面との間には間隙が設けられており、フレーム46とベース40は互いに接触しない。
【0037】
第3の実施形態では、第1のサイドフレーム461は、開口4611を含み、第1のサイドフレーム461に対応する第3のサイドフレーム463も開口4631を含む。開口4611、4631の形状は、第1の磁気素子48の形状に対応する。2つの第1の磁気素子48は、コイルアセンブリ22に隣接して配置され、開口4611、4631の中に設置される。また、第2のサイドフレーム462は、センサ素子26をその中に設置する貫通孔4621を更に含む。
【0038】
第3の実施形態では、2つの第1の磁気素子48は、上部磁極481と、上部磁極481と接続した下部磁極483とを、それぞれ含む。上部磁極481は、コイル42の上半部421に隣接し、下部磁極483は、コイル42の下半部423に隣接する。第1の磁気素子48がコイル42に面する一方の側では、上部磁極481の極性と下部磁極483の極性は逆である。例えば、第1の磁気素子48がコイル42に面する一方の側では、上部磁極481の極性はNであり、下部磁極483の極性はSである。第3の実施形態では、電磁駆動モジュール1”は、2つのコイル42で環状のコイルアセンブリ22(第1図)に代替するため、電磁駆動モジュール1”の体積は更に抑制され得る。
【0039】
図7は、本発明の第3の実施形態の電磁駆動モジュール1”の上面図を示している。なお、
図7では、上ハウジング10や上スプリングシート12のような一部の構成要素については図示していない。
図7に示されるように、2つの第1の磁気素子48の実質的な中心は、第1の基準線R1に沿って配列される。第1の基準線R1は、ベース40の中心を通過するが、第1の外側面401と第3の外側面403に対しては垂直ではない。即ち、第1の磁気素子48の1つは、第1の外側面401と第4の外側面404の間の角405に隣接し、且つ、第1の磁気素子48の他の1つは、第2の外側面402と第3の外側面403の間の角405に隣接する。上述の配置によって、電磁駆動モジュール1”が動作している時、ベース40を移動させるように駆動する磁力は、安定してベース40を移動させることができ、ベース40の制御精度を高めることができる。しかしながら、2つの第1の磁気素子48の設置位置は、この実施形態に限定されるものではない。2つの第1の磁気素子48の設置の位置は、ベース40が磁力を受けて安定して動作できれば、任意に変えることができる。
【0040】
第3の実施形態では、ベース40の第1の外側面401と第2の外側面402の間の角407に近接する位置であって、ベース40の第2の外側面402上に、収容溝4021が設けられる。基準素子20は、センサ素子26に対応しており、収容溝4021内に設置される。
【0041】
本発明の電磁駆動モジュールは、センサ素子の配置によって、ベースの位置を制御システムに即時にフィードバックさせることができ、ベースの制御精度を更に高めることができる。また、電磁駆動モジュールは、回路板を介して外部回路に接続するため、電磁駆動モジュールは、電子製品のその他の素子(例えば、マザーボード)と直ちに接続することができる。よって、生産効率は上がり、生産コストが減少する。
【0042】
本発明は、実施例の方法及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。逆に、当業者には自明の種々の変更及び同様の配置をカバーするものである。よって、添付の請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0043】
1、1’、1” 電磁駆動モジュール
10 上ハウジング
12 上スプリングシート
14、32、46 フレーム
141、321、461 第1のサイドフレーム
1411、3211、4611 開口
142、322、462 第2のサイドフレーム
1421、3222、4621 貫通孔
143、323、463 第3のサイドフレーム
1431、3231、4631 開口
144、324、464 第4のサイドフレーム
16、34 第1の磁気素子
18、40 ベース
181、401 第1の外側面
182、402 第2の外側面
1821、4021 収容溝
183、403 第3の外側面
184、404 第4の外側面
186、187、188 角
189、409 通路
20 基準素子
22 コイルアセンブリ
24、38 回路板
26 センサ素子
28 下スプリングシート
281、283 導電性ピン
30 下ハウジング
405、406、407 角
41 コイルアセンブリ
42 コイル
421 上半部
423 下半部
48 第1の磁気素子
481 上部磁極
483 下部磁極
60 光センサ
C 実質的な中心
R1 第1の基準線
R2 第2の基準線