(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リン吸着剤が、セベラマー、セベラマー炭酸塩、セベラマー塩酸塩、炭酸ランタン、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸マグネシウム、MCI−196、クエン酸第二鉄、ヒドロキシ炭酸マグネシウム鉄、水酸化アルミニウム、APS1585、SBR−759、およびPA−21から成る群から選択される、請求項3記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0057】
次の説明では、特定の具体的詳細を、本発明の様々な実施形態を十分に理解するため明記する。しかしながら、当業者は、これらの詳細がなくとも、本発明を実施し得ることを理解するだろう。
【0058】
文脈上、他の意味に解すべき場合を除き、本明細書および請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という用語および「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのその変化形は、開かれた、包括的な意味、すなわち、「含むが、これに限定されない」として、解釈されるべきである。
【0059】
本明細書を通して、「1つの実施形態(one embodiment)」または「1つの実施形態(an embodiment)」という言及は、該実施形態と関連する特定の特徴、構造または特性を、本発明の少なくとも1つの実施形態に含めることを意味する。従って、本明細書を通して、様々な場所での「1つの実施形態では(in one embodiment)」または「1つの実施形態では(in an embodiment)」という言い回しの出現は、必ずしも、全てが同じ実施形態を表していない。さらに、該特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施形態で、いずれかの適切な方法で、組み合わせ得る。
【0060】
特定の実施形態は、リン酸塩血清値上昇の対象の腸からリン酸塩吸収が、限定され、好ましくは、腸内のリン酸塩摂取を媒介する腸管輸送系を阻害するため、NHE3結合剤および/またはNHE3調節剤の使用により、実質的に妨げられ得ることの予期外の発見に関する。かかるNHE3結合剤および/またはNHE3調節剤が、腎臓内のリン酸塩摂取を媒介する腎輸送系を阻害し得ることも、予想外に発見された。
【0061】
いくつかの態様では、胃腸管内のリン酸塩摂取の阻害は、特定の化合物、および/またはそれらを含む医薬組成物の投与により達成され得、該化合物が、血流中に、ほとんど、または実質的に全く吸収されないように、有利に設計され得る(すなわち、非全身的または実質的に非全身的であるように設計される)。この点で、該化合物は、経口投与を含む経腸投与で、ほとんどまたは実質的に全く有効性を生じない特徴を有する。言い換えれば、該化合物は、有意なレベルで、血流中に吸収されず、従って、そこで、活性を有しないが、代わりに、実質的に、胃腸管内に局在するそれらの活性を有する。
【0062】
従って、さらに本明細書に記載の特定の例示的実施形態では、本発明の化合物は、一般に、胃腸管内でのそれらの活性に関連または寄与する構造的および/または機能的特徴の組み合わせ、および/またはそれらの実質的非先進的バイオアベイラビリティを必要とする。かかる特徴としては、例えば、1つ以上の(i)特定のtPSAおよび/またはMW値(例えば、それぞれ、少なくとも約190Å
2および/または少なくとも約736ダルトン)、(ii)投与後の該化合物の糞便回収および/またはその代謝物の特異的レベル(例えば、72時間で50%より大きい);(iii)NHおよび/またはOHおよび/または潜在的水素結合供与体部分の特異的な数(例えば、約5より大きい);(iv)回転可能な結合の特異的な数(例えば、約5より大きい);(iv)特異的透過特性(例えば、約100x10
−6cm/s未満のP
app);および/または明細書に記載の多数の他特徴および特性のいずれかが挙げられ得る。
【0063】
本明細書に記載の実質的に非全身的な化合物は、胃腸管および他の障害の治療で多数の利点を提供する。例えば、該化合物は、腸内の頂端に存在するリン酸トランスポーターに対して活性であり、事実上、他組織および臓器内で発現される他のリン酸トランスポーターに及ばない。NHE3は、細胞、多くの全身的組織または臓器上で発現されるので、NHE3結合または調節剤の使用は、全身的効果について、オンターゲットかオフターゲットかどうか懸念し得る。これらの特定の化合物は、それらの全身的有効性の制限の理由で、そのような懸念を生じない。
【0064】
上述の通り、特定の実施形態は、腎臓内のリン酸塩摂取を媒介する腎尿細管輸送系の阻害により、リン酸塩血清値上昇の患者の腎臓内の糸球体濾液からのリン酸塩吸収が限定され得、好ましくは、実質的に妨げられ得ることの発見に関する。いくつかの態様では、腎臓内のリン酸塩摂取の阻害は、経腸または腸内投与を除いても良い経路、すなわち、胃腸管を経る投与を除いても良い経路により、本明細書に記載の他の実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物の投与により達成され得る。限定されない例としては、本明細書に記載および当分野で公知の数ある中でも、静脈内、動脈内、筋肉内、および皮下投与など、非経口投与が挙げられる。
【0065】
いくつかの態様では、腎臓内のリン酸塩摂取の阻害は、特定の化合物、および/またはそれらを含む医薬組成物の投与により達成され得、該化合物の大部分が、血流中に吸収されるように、有利に設計され得る(すなわち、全身的または実質的に全身的になるように設計される)。この点で、該化合物は、経口アベイラビリティを含む全身的有効性を生じる特徴を有する。言い換えれば、該化合物は、有意なレベルで、血流中に吸収され、従って、胃腸管内に実質的に存在するそれらの活性を有することと比較して、例えば、腎臓などの臓器内の、全身的にそれらの活性の全てではないにせよ、ほとんどを有する。従って、特定の実施形態では、特に、経腸投与の経口または他法により全身的組織を標的にするため、本明細書に記載の化合物は、それらの実質的全身的バイオアベイラビリティに関連または寄与する構造的および/または機能的特徴の組み合わせを有し得る。機能的特徴については、例えば、該化合物が、口、食道、胃、腸上部、腸下部、他を含む胃腸管の上皮に実質的に透過性である場合が挙げられる。
【0066】
さらに下記に詳述するように、腸上部のリン酸塩吸収は、少なくとも部分的に、リン酸塩吸収とナトリウム吸収とを共役する担体媒介機構により媒介される。腎リン酸輸送は、少なくとも部分的に、近位尿細管の尖端ブラシ縁膜内に存在する、ナトリウム依存リン酸トランスポーター、Npt2a、Npt2c、およびPiT−2の活性により媒介される。従って、腸管または腎リン酸輸送の阻害は、身体リン過負荷を減少させるだろう。
【0067】
進行腎疾患(例えば、ステージ4および5)の患者では、身体リン過負荷は、正常なレベルより上の血清リン酸塩濃度、すなわち、高リン血症により明らかになる。高リン血症は、死亡率および罹患率に直接的に関連する。腸管または腎リン酸輸送の阻害は、血清リン酸塩濃度を減少させ、従って、それらの患者の結果を改善するだろう。ステージ2および3の慢性腎疾患患者では、身体リン過負荷は、必ずしも、高リン血症に至らず、すなわち、患者は、正常リン血症のままであるが、関連する骨および血管障害を回避、および最終的に死亡率を改善するため、それらの初期ステージでさえ、身体リン過負荷を減少させる必要がある。
【0068】
腸管リン酸輸送の阻害は、腸からのリン酸塩摂取の阻害により治療可能な疾病を有する患者で、特に有利であろう。同様に、腎臓内の糸球体濾液からのリン酸塩吸収の阻害も、慢性腎不全および他の痔疾患状態の治療または予防に対して有利でなはずである。さらに、リン酸輸送の阻害は、腎不全の進行を遅延させ、リン酸塩低下させる必要性と関連する他の疾病または状態の中で、心血管イベントのリスクを減少させ得る。
【0069】
I. リン酸輸送を阻害する化合物
本発明の実施形態は、一般に、NHE3結合および/またはNHE3調節化合物が、胃腸管および/または腎臓などの組織内のリン酸イオン(Pi)の輸送または摂取を阻害することの発見に関する。所与の組織内の化合物のPi輸送阻害活性は、一般に、例えば、該化合物の全身的バイオアベイラビリティもしくは全身的バイオアベイラブルでないこと、投与経路、またはそのいずれかの組み合わせに依存するだろう。
【0070】
従って、本発明の実施形態としては、NHE3と結合および/または調節する化合物(例えば、NHE阻害剤)が挙げられ、例えば、ヒト対象、動物モデル、および/または細胞系または生化学アッセイのPiの輸送または摂取を阻害する実質的に活性がある。
【0071】
いくつかの実施形態では、化合物は、NHE3と結合する。これらおよび関係する実施形態では、もし、検出可能なレベルで、タンパク質と反応するならば、化合物は、該NHE3タンパク質と「結合」または「特異的に結合」すると言われ、統計的に有意な方法で検出可能に、同様な条件下、関係しないタンパク質と反応しなくてもよい。特定の例示的実施形態では、化合物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000nM以下のNHE3タンパク質に対して、結合「親和性」(例えば、解離定数、またはK
dにより測定)を有し得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象に、単独あるいは1つ以上の追加の医薬活性な化合物もしくは薬剤と併用のいずれかで投与されるとき、または動物モデルもしくは細胞系アッセイで測定されるとき、1つ以上の本明細書に記載の化合物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000nM以下のPi輸送または摂取の阻害のIC
50を有し得る。特定の実施形態では、それを必要とする対象に、単独あるいは1つ以上の追加の医薬活性な化合物もしくは薬剤と併用のいずれかで投与されるとき、または動物モデルもしくは細胞系アッセイで測定されるとき、1つ以上の本明細書に記載の化合物は、約6.0、6.05、6.1、6.15、6.2、6.25、6.3、6.35、6.4、6.45、6.5、6.55、6.6、6.65、6.7、6.75、6.8、6.85、6.9、6.95、7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65. 7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8.0、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、8.5、8.55、8.6、8.65、8.7、8.75、8.8、8.85、8.9、8.95、または9.0以上のPi輸送または摂取の阻害のpIC
50を有し得る。
【0073】
本明細書で使用されるとき、IC
50は、例えば、ヒト対象、動物モデル、および/または細胞系または生化学アッセイで、その最大阻害効果の50%が観察される化合物濃度を示す定量的測度として定義される。pIC
50は、IC
50の逆対数(または、pIC
50=−log(IC
50))を表す(Selvaraj et al., Current Trends in Biotechnology and Pharmacy. 5: 1 104-1 109, 2011参照)。リン酸輸送または摂取の阻害剤の活性測定アッセイを、不随の実施例に記載する。
【0074】
胃腸管内のPiの輸送または摂取の阻害、およびリン酸塩低下を必要とする対象の関連状態の治療のため、本発明の実施形態は、一般に、実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物を使用するだろう。かかる化合物は、好ましく処方され、または経口投与を含む経腸投与に適切である。実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物の例およびそれらの関連する特徴を、本明細書中の他で提供する。これらおよび関連する実施形態では、それを必要とする対象への該化合物の投与は、いずれか1つ以上の血清リン酸塩濃度もしくは値、食事性リン、および/または尿中リン酸塩濃度もしくは値を低下させる。いくつかの実施形態では、高リン血症対象の血清リン酸塩濃度もしくは値は、正常血清リン酸塩値(健康な対象の、例えば、成人について、2.5〜4.5mg/dLまたは0.81〜1.45mmol/L)の約150%、145%、140%、135%、130%、125%、120%、115%、110%、105%、または100%以下(正規化)まで低下する。いくつかの実施形態では、食事性リンの摂取は、未処置状態と比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%以上低下する。いくつかの実施形態では、尿中リン酸塩濃度もしくは値は、未処置状態と比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%以上、好ましくは、約20%、30%、40%、50%、または60%低下する。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象への該化合物の投与は、未処置状態と比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%以上糞便排泄のリン酸塩値を増加させる。
【0075】
腎臓内のPiの輸送または摂取の阻害、およびリン酸塩低下を必要とする対象の関連状態の治療のため、本発明の実施形態は、一般に、随意にいずれかの投与経路により、実質的に全身的バイオアベイラブルな化合物を、または好ましくは経腸投与を除く投与経路により、本明細書に記載の実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物を使用するだろう。これらおよび関連する実施形態では、化合物の投与は、約150%、145%、140%、135%、130%、125%、120%、115%、110%、105%、または100%未満(正規化)の正常血清リン酸塩値(健康な対象の、例えば、成人について、2.5〜4.5mg/dLまたは0.81〜1.45mmol/L)まで、高リン血症対象の血清リン酸塩濃度または値を低下させる。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象への化合物の投与は、未処置状態と比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%以上、尿中リン酸塩濃度もしくは値を増加させる。
【0076】
特定の実施形態では、本発明のNHE3結合化合物は、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートに対するそれらの活性により、さらに特徴付けられる。例えば、特定の実施形態は、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを阻害する実質的に活性がある。従って、かかる「二重活性」化合物は、胃腸管および/または腎臓内のリン酸塩およびナトリウム輸送または摂取の両方を阻害するため使用され得る。他の実施形態では、該化合物は、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを阻害するには実質的に不活性である。かかる「単一活性」化合物は、それらまたは他組織内のナトリウム輸送または摂取を有意に調節することなく、胃腸管および/または腎臓内のリン酸塩摂取を阻害するため使用され得る。
【0077】
いかなる1つの理論にも縛られることを望むものではないが、「持続性」NHE3阻害剤化合物(例えば、NHE3と結合して、「促進」および「持続」の両条件下、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを阻害する化合物)は、組織内で、Piの輸送ならびにナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの両方を阻害する実施的に活性である。対照的に、非持続NHE3リガンド(例えば、NHE3と結合またはさもなければ相互作用して、「促進」条件下、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを阻害し得るが、「持続」条件下では阻害しない化合物)は、組織内で、Pi輸送を阻害する活性があるが、組織内で、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを阻害する実質的に活性がない。これらの化合物の特定の特性を、下記に記載する。
【0078】
A.二重活性化合物
特定の実施形態は、リン酸イオン(Pi)の輸送およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの両方を阻害するNHE3結合および/またはNHE3調節化合物に関する。これらおよび関連する実施形態としては、例えば、胃腸管および/または腎臓内で、それを必要とする対象に投与するとき、Pi輸送およびその中のナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを阻害する実質的に活性がある化合物が挙げられる。特定の実施形態では、該化合物は、胃腸管のアピカル側(例えば、経腸投与のとき)で、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを阻害する実質的に活性がある。大腸内(例えば、盲腸、上行結腸、下行結腸、S字結腸)で、それを必要とする対象に投与するとき、その中のナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを阻害する実質的に活性がある化合物も含まれる。
【0079】
いくつかの態様は、二重活性化合物は、NHE3との結合およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害に対するそれらの「持続性」、すなわち、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE媒介アンチポートのそれらの「持続阻害」により特徴付けられる。特定の態様では、持続阻害は、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの生体外阻害アッセイで、例えば、「促進」条件と比較してもよく、「持続」条件下で測定するとき、該化合物の時間依存性阻害活性により特徴付けられる(PNAS USA. (1984) 81(23): 7436-7440;および実施例1〜2参照)。
【0080】
持続条件としては、例えば、試験化合物を、細胞と一緒に前インキュベートする場合、例えば、約10、20、30、40、50、60、80、100、120分間以上、細胞内pHを下げ、中性細胞内pHのNHE3媒介回収についてテストする前に洗い出す。インキュベート後洗い出しは、細胞間pHを下げ、中性細胞内pHのNHE3媒介回収についてテストする前に、例えば、約10,20、30、40、50、60、80、100、120分以上実施され得る。いくつかの持続条件では、試験化合物を、所望の時間、細胞と一緒に、前インキュベートし、それから、細胞培地から洗い出して、細胞内pHを下げるために緩衝剤を添加して(例えば、約10,20、30、40、50、または60分間以上、インキュベートする)、中性細胞内pHのNHE3媒介回収を、いかなる試験化合物なしで、適切な緩衝剤の添加により開始する。
【0081】
促進条件としては、例えば、試験化合物を、中性細胞内pHのNHE3媒介回復についてのテスト中、細胞と一緒にインキュベートする、すなわち、該化合物を、細胞内pHの回復開始前または開始中、洗い出さない。特定の促進条件下、緩衝剤を、より低い細胞内pH(例えば、約10、20、30、40、50、または60分間以上インキュベート)に添加して、中性細胞内pHのNHE3媒介回復を、該試験化合物を含む適切な緩衝剤の添加により開始する。1つの実例となる細胞系アッセイでは、細胞内pHの回復を、例えば、マーカーのpH非感受性蛍光に対して正規化した該マーカーの蛍光のpH感受性変化をモニターすることにより測定し得る。実例となるマーカーとしては、ビス(アセトキシメチル)3,3’−(3’,6’−ビス(アセトキシメトキシ)−5−((アセトキシメトキシ)カルボニル)−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−1,9’−キサンテン]−2’,7’−ジイル)ジプロパノエート(BCECF)が挙げられる。
【0082】
特定の態様では、二重活性化合物は、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの生体外阻害アッセイでの該化合物の時間依存性阻害活性により特徴付けられ、促進条件下の該化合物のpIC
50(pIC
50promp)は、持続条件下の該化合物のpIC
50(pIC
50pers)と実質的に匹敵する。実質的に匹敵としては、例えば、該pIC
50promp値およびpIC
50pers値が、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%以内である場合が挙げられる。特定の態様では、該pIC
50prompおよびpIC
50persは、約または少なくとも約7.0であり、約または少なくとも約6.5、6.55、6.6、6.65、6.7、6.75、6.8、6.85、6.9、6.95、7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8.0、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、8.5、8.55、8.6、8.65、8.7、8.75、8.8、8.85、8.9、8.95、または9.0を含む。いくつかの態様では、促進条件下の該化合物のpIC
50(pIC
50promp)は、持続条件下の該化合物のpIC
50(pIC
50pers)と実質的に匹敵する。実質的に匹敵としては、例えば、該pIC
50promp値およびpIC
50pers値が、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%以内である場合が挙げられる。特定の態様では、該pIC
50prompおよびpIC
50persは、約0.3、0.2、0.1、.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002、または0.001μM以下、または約0.001〜0.3、0.001〜0.2、0.001〜0.1、0.001〜0.05、0.001〜0.01、0.001〜0.005μMの範囲、または約0.005〜0.3、0.005〜0.2、0.005〜0.1、0.005〜0.05、0.005〜0.01の範囲、または約0.01〜0.3、0.01〜0.2、0.01〜0.1、または0.01〜0.05μMの範囲、または約0.1〜0.3または0.1〜0.2μMの範囲である。
【0083】
いくつかの態様では、該二重活性化合物は、リン酸輸送の阻害およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害に対するそれらの相対的活性により特徴付けられる。例えば、リン酸塩低下を必要とする対象への経腸投与のとき、特定の化合物は、式EC
50P
f=(r)EC
50Na(式中、rは、約0.6〜約1.5であり、好ましくは、約0.7〜約1.3であり、または約0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5であり、中間の全範囲も含む)と定義される、リン酸イオンの糞中排泄の増加のEC
50(EC
50P
f)およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害のEC
50(EC
50Na)を有し得る。いくつかの実施形態では、例えば、リン酸塩低下を必要とする対象への経腸投与のとき、特定の化合物は、式EC
50P
u=(r)EC
50Na(式中、rは、約0.6〜約1.5であり、好ましくは、約0.7〜約1.3であり、または約0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5であり、中間の全範囲も含む)と定義される、リン酸イオンの尿中排泄の減少のEC
50(EC
50P
u)およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害のEC
50(EC
50Na)を有し得る。いくつかの実施形態では、例えば、全身アベイラビリティを達成する投与のとき(例えば、腎臓内の活性をもたらす)、特定の化合物は、式EC
50P
u=(r)EC
50Na(式中、rは、約0.6〜約1.5であり、好ましくは、約0.7〜約1.3であり、または約0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5であり、中間の全範囲も含む)と定義される、リン酸イオンの尿中排泄の増加のEC
50(EC
50P
u)およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害のEC
50(EC
50Na)を有し得る。特定の実施形態では、例えば、リン酸塩低下を必要とする対象への経腸投与するときまたは細胞系アッセイのとき、特定の化合物は、式EC
50P=(r)EC
50Na(式中、rは、約0.6〜約1.5であり、好ましくは、約0.7〜約1.3であり、または約0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、または1.5であり、中間の全範囲も含む)と定義される、リン酸イオン輸送阻害のEC
50(EC
50P)およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害のEC
50(EC
50Na)を有し得る。
【0084】
いくつかの実施形態で、およびPi値に対するその効果に付け加えて、それを必要とする対象への二重活性化合物(または二重活性を可能とする投薬において)の投与(例えば、経腸投与により)は、ナトリウムおよび/または体液の該対象の毎日の糞便排泄を増加させる。場合によっては、ナトリウムの糞便排泄を、未処置状態と比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%、1100%、1200%、1300%、1400%、1500%、1600%、1700%、1800%、1900%、または2000%以上増加する。場合によっては、該体液の排泄または該糞便中の含水量を、未処置状態と比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%、1100%、1200%、1300%、1400%、1500%、1600%、1700%、1800%、1900%、または2000%以上増加する。
【0085】
B. 単一活性化合物
特定の実施形態は、リン酸イオン(Pi)の輸送を阻害するが、例えば、所与の投薬において、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを、実質的に阻害しないNHE3結合化合物に関する。これらおよび関連する実施形態としては、例えば、それを必要とする対象に投与するとき、Pi輸送を阻害する実質的に活性があるが、胃腸管および/または腎臓内で、その中のナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを阻害するには実質的に不活性であるNHE3の非持続性リガンドが挙げられる。いくつかの実施形態では、該NHE3の非持続性リガンドは、大腸内(例えば、経腸投与のとき)で、その中のナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートを阻害するには実質的に不活性である。
【0086】
いくつかの態様では、非持続性NHE3リガンドは、例えば、細胞系アッセイまたは他の生体外アッセイで、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートに対するその最大阻害活性により特徴付けられる。1つの例では、非持続性NHE3リガンドは、約50%、40%、30%、35%、20%、15%、10%、または5%未満のナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの最大阻害を有し、最大阻害は、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの生体外阻害アッセイでの該化合物の阻害活性により特徴付けられ、ナトリウムフリー条件に関連している。これらおよび関連する実施形態では、ナトリウムフリー条件は、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートに対するゼロ活性を本質的に表し、従って、100%または最大阻害の値を設定するために使用され得る。
【0087】
いくつかの態様では、該非持続性NHE3リガンドは、NHE3との結合およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害に対するそれらの「非持続性」、すなわち、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE媒介アンチポートのそれらの相対的欠如または「持続性阻害」低下により特徴付けられる。特定の態様では、持続性阻害は、例えば、「促進」条件と比較してもよく、「持続」条件下で測定したとき、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの生体外阻害アッセイで、該化合物の時間依存性阻害活性により特徴付けられる(例えば、PNAS USA. (1984) 81(23): 7436-7440;および実施例1〜2参照)。持続および促進条件の例は、上記に記載されている。
【0088】
特定の態様では、該非持続性NHE3リガンドは、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの生体外阻害アッセイで、該化合物の時間依存性阻害活性により特徴付けられ、促進条件下の該化合物のpIC
50(pIC
50promp)は、持続性条件下の該化合物のpIC
50(pIC
50pers)より大きいまたは実質的に大きい。実質的に大きいとは、例えば、pIC
50prompが、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%以上、pIC
50persより大きい場合が挙げられる。特定の態様では、pIC
50prompは、約または少なくとも約7.0であり、約または少なくとも約6.5、6.55、6.6、6.65、6.7、6.75、6.8、6.85、6.9、6.95、7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8.0、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、8.5、8.55、8.6、8.65、8.7、8.75、8.8、8.85、8.9、8.95、または9.0を含み、pIC
50persは、約または少なくとも約6.0であり、約6.4、6.35、6.3、6.25、6.2、6.15、6.1、6.05、6.0、5.95、5.9、5.85、5.7、5.75、5.6、5.65、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0、4.95、4.9、4.85、4.8、4.75、4.7、4.65、4.6、4.55、4.5、4.45、4.4、4.35、4.3、4.25、4.2、4.15、4.1、4.05、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、または3.0以下を含む。
【0089】
いくつかの態様では、促進条件下の該非持続性NHE3リガンドのpIC
50(pIC
50promp)は、持続性条件下の該化合物のpIC
50(pIC
50pers)より実質的に小さい。実質的に小さいとは、例えば、pIC
50prompが、約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、または1000%、pIC
50persより小さい場合が挙げられる。例えば、いくつかの態様では、pIC
50prompは、約0.3、0.2、0.1、.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002、または0.001μM以下、または約0.001〜0.3、0.001〜0.2、0.001〜0.1、0.001〜0.05、0.001〜0.01、0.001〜0.005μMの範囲、または約0.005〜0.3、0.005〜0.2、0.005〜0.1、0.005〜0.05、0.005〜0.01の範囲、または約0.01〜0.3、0.01〜0.2、0.01〜0.1、または0.01〜0.05μMの範囲、または約0.1〜0.3または0.1〜0.2μMの範囲にあり、pIC
50persは、約または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000μM以上より大きく、または約1〜10、1〜20、1〜30、1〜40、1〜50、1〜100、1〜500、1〜1000μMの範囲、または約2〜10、2〜20、2〜30、2〜40、2〜50、2〜100、2〜500、2〜1000μMの範囲、または約5〜10、5〜20、5〜30、5〜40、5〜50、5〜100、5〜500、5〜1000μMの範囲、または約10〜20、10〜30、10〜40、10〜50、10〜100、10〜500、10〜1000μMの範囲、または約20〜30、20〜40、20〜50、20〜100、20〜500、20〜1000μMの範囲、または約50〜100、50〜500、50〜1000μMの範囲、または約100〜500または100〜1000μMの範囲にある。
【0090】
いくつかの態様では、該非持続性NHE3リガンドは、リン酸輸送阻害およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害に対するそれらの相対的活性により特徴付けられる。例えば、リン酸塩低下を必要とする対象に経腸投与するとき、特定の化合物は、式EC
50P
f=(r)EC
50Na(式中、rは、約0.1〜約0.5であり、または約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、または0.55であり、中間の全範囲を含む)と定義される、リン酸イオンの糞便排泄の増加のEC
50(EC
50P
f)およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害のEC
50(EC
50Na)を有し得る。いくつかの実施形態では、リン酸塩低下を必要とする対象に経腸投与するとき、特定の化合物は、式EC
50P
u=(r)EC
50Na(式中、rは、約0.1〜約0.5であり、または約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、または0.55であり、中間の全範囲を含む)と定義される、リン酸イオンの尿中排泄の減少のEC
50(EC
50P
u)およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害のEC
50(EC
50Na)を有し得る。特定の実施形態では、例えば、リン酸塩低下を必要とする対象に経腸投与するときまたは細胞系アッセイで、特定の化合物は、式EC
50P=(r)EC
50Na(式中、rは、約0.05または0.1〜約0.5または0.55かそこらであり、または約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、または0.55であり、中間の全範囲を含む)と定義される、リン酸イオンの輸送阻害のEC
50(EC
50P)およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害のEC
50(EC
50Na)を有し得る。いくつかの実施形態では、例えば、全身アベイラビリティを達成する(例えば、腎臓内の有意な活性をもたらす)投与のとき、特定の非持続性NHE3リガンド化合物は、、式EC
50P
u=(r)EC
50Na(式中、rは、約0.1〜約0.5であり、または約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、または0.55であり、中間の全範囲を含む)と定義される、リン酸イオンの尿中排泄の増加のEC
50(EC
50P
u)およびナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの阻害のEC
50(EC
50Na)を有し得る。
【0091】
特定の実施形態では、それを必要とする対象への非持続性NHE3リガンドの投与(例えば、経腸投与により)は、未処置状態と比較して、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%以上、糞便排泄のリン酸塩/ナトリウムの比を増加させる。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象への投与(例えば、経腸投与により)は、便の形状または糞便中の含水量を実質的に調整することなく、リン酸塩の毎日の糞便排泄を増加させる。例えば、これらおよび関連する実施形態では、糞便の便形状は、未処置状態と比較して、約または約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、または20%以内の糞便の便形状であり得る。いくつかの態様では、ブリストル便形状スケール(タイプ1、2、3、4、5、6、および7;タイプ1は硬く、タイプ7は水様である)下の糞便形状は、未処理状態と比較して、同じまたは約1〜2単位以内であり得る(例えば、Rao et al., Neurogastroenterol Motil. 23:8-23, 2011 ; and Lewis and Heaton, Scand. J. Gastroenterol. 32:920-4, 1997参照)。特異的態様では、ブリストル便形状スケール下の糞便形状は、タイプ3またはタイプ4である。いくつかの実施形態では、げっ歯類(例えば、ラット、マウス)への投与は、未処理状態と比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%以上、小腸(Na
SI)/盲腸(Na
C)内のナトリウム比を増加させる。
【0092】
II. 実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物
A.胃腸管に局在可能な化合物の物理的および性能特性
本明細書に記載の特定の化合物は、ヒトまたは動物対象の胃腸管腔中、実質的に活性または局在するように設計される。「胃腸管腔」とうい語は、本明細書中、該対象の胃腸上皮細胞の頂端膜により区切られた、胃腸管(胃腸管(GI tract)、腸(gut)とも呼ばれる)内の空間または腔を表すため、「管腔」という語と互換的に使用される。いくつかの実施形態では、該化合物は、胃腸管の上皮細胞の層(胃腸上皮(GI epithelium)としても公知)を通して吸収されない。「胃腸粘膜」は、身体の他の部位の胃腸管腔を分離する細胞の層を表し、小腸の粘膜など、胃および腸の粘膜を含む。本明細書で使用されるとき、「胃腸上皮細胞」または「腸(gut)上皮細胞」は、例えば、胃の上皮細胞、腸上皮細胞、結腸上皮細胞などを含む胃腸管の管腔と直面する胃腸粘膜表面上のいずれもの上皮細胞を表す。
【0093】
本明細書で使用されるとき、(その変化形だけでなく)、「実質的に全身的バイオアベイラブルでない」および/または「実質的に不透過性」は、一般に、統計的に有意な量での状況を表し、いくつかの実施形態では、本質的に全ての該化合物は、胃腸管腔内に残る。例えば、本開示の1つ以上の実施形態に従えば、好ましくは、該化合物の少なくとも約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99.5%でさえ、胃腸管腔内に残る。このような場合には、胃腸管腔への局在化は、例えば、積極的および/または受動的輸送によるだけでなく、経細胞および傍細胞輸送の両方を経由して、上皮細胞の胃腸管層を横切る化合物の正味運動の減少を表す。かかる実施形態での該化合物は、例えば、小腸の上皮細胞の頂端膜を通って、経細胞輸送の胃腸上皮細胞層の正味の透過性を妨げられる。これらの実施形態での該化合物は、管腔を裏打ちする胃腸上皮細胞間の傍細胞輸送の「密着結合」を通した正味の透過性も妨げられる。
【0094】
なお、この点において、1つの特定の実施形態では、該化合物は、胃腸管または胃腸管腔による全てにおいて、本質的に吸収されない。本明細書で使用されるとき、「実質的に不透過性」または「実質的に全身的バイオアベイラブルでない」という語は、当分野で一般に公知の手段を用いて、該化合物の検出可能な量の吸収または透過性または全身的曝露が検出されない場合の実施形態を含む。
【0095】
しかしながら、なお、この点において、さらに、別の実施形態では、「実質的に不透過性」または「実質的に全身的バイオアベイラブルでない」は、胃腸管内の、より特に、腸上皮のいくつかの限定された吸収をすることをもたらすまたは可能にする(例えば、例えば、少なくとも約0.1%、0.5%、1%以上および約30%、20%、10%、5%、他未満など、いくつかの検出可能な量の吸収、吸収範囲は、例えば、約1%および30%、または5%および20%、他の間である);つまり、「実質的に不透過性」または「実質的に全身的バイオアベイラブルでない」は、投与された化合物の約20%未満(例えば、約15%、約10%未満、または約5%、4%、3%、または2%でさえ、および例えば、約0.5%または1%より大きい)の胃腸管内の細胞の上皮層にいくらかの検出可能な透過性を示し、それから、肝臓(すなわち、肝抽出)および/または腎臓(すなわち、腎抽出)によりきれいにされる化合物を表し得る。
【0096】
なお、この点において、さらに、特定の実施形態では、本発明の化合物、約50%、60%、70%、80%、90%、または95%より多くの本発明の化合物の実質的な不透過性および/または実施的な全身的バイオアベイラブルでないことは、それを必要とする対象への投与後、例えば、24、36、48、60、72、84、または96時間の期間に渡って、糞便から回収可能である。この態様では、回収した化合物は、親化合物および、例えば、加水分解、抱合、還元、酸化、N−アルキル化、グルクロン酸抱合、アセチル化、メチル化、硫酸化、リン酸化、または該親化合物に原子を追加または原子を除去するいかなる他の修飾の手段によるその該親化合物由来代謝物の総和を含み得、該代謝物は、それらが、いずれかの酵素作用または、消化環境中に存在するとき、pH、温度、圧、または食糧との相互作用を含むいずれかの生理環境への曝露により生成される。
【0097】
化合物および代謝物の糞便回収の測定は、標準的方法を用いて実施され得る。例えば、化合物は、適切な用量(例えば、10mg/kg)で、経口投与され得、それから、糞便を、投与後所定の時間(例えば、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、96時間)において収集される。親化合物および代謝物は、有機溶媒で抽出され、質量分析法で、定量的に分析され得る。該親化合物および代謝物(親=M、代謝物1[M+16]、および代謝物2[M+32]を含む)の物質収支解析が、糞便中の回収パーセントを決定するために使用され得る。
【0098】
(i)透過性
なお、この点において、様々な実施形態では、実質的に全身的バイオアベイラブルでない該化合物の性能は、該化合物投入量、サイズ、および/または他の物理化学的パラメーター(例えば、極性表面積、その水素結合供与体および/または受容体の数、自由回転可能な結合数、他)に基づく。なお、より具体的には、化合物の吸収特性は、例えば、「ルールオブファイブ」としても公知のリピンスキーの法則の適用により、薬物動態の原理を適用することにより選択され得る。法則ではなく、むしろ一連のガイドラインであるが、リピンスキーは、(i)分子量、(ii)水素結合供与体数、(iii)水素結合受容体数、および/または(iv)特定の閾値より大きい、水/オクタノール分配係数(MoriguchiLogP)を有する小分子薬物は、一般に、有意な全身濃度を示さない(すなわち、一般に、いかなる有意な程度でも吸収されない)ことを示している。(例えば、Lipinski et al, Advanced Drug Delivery Reviews, 46:3-26, 2001(参照により本明細書に組み入れられるものとする)参照。)従って、実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物は、1つ以上リピンスキーの閾値を超える分子構造を有するように設計され得る(Lipinski et al., Experimental and Computational Approaches to Estimate Solubility and Permeability in Drug Discovery and Development Settings, Adv. Drug Delivery Reviews, 46:3-26 (2001); and Lipinski, Drug-like Properties and the Causes of Poor Solubility and Poor Permeability, J. Pharm. & Toxicol. Methods, 44:235-249 (2000)(参照により本明細書に組み入れられるものとする)も参照)。
【0099】
いくつかの実施形態では、例えば、本開示の実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物は、1つ以上の次の特性を特徴として有すると解釈され得る:(i)約約500Da、約600Da、約700Da、約800Da、約900Da、約1000Da、約1200Da、約1300Da、約1400Da、約1500Da、約1600Da、約1800Da、約2000Da、約2500Da、約3000Da、約4000Da、約5000Da、約7500Da、約10,000Da以上(該化合物の非塩形態)より大きいMW;(ii)約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20以上より多いNHおよび/またはOHおよび/または他の潜在的水素結合供与体の総数;(iii)約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20以上より多いO原子および/またはN原子および/または他の潜在的水素結合受容体の総数;(iv)約10
5より大きいMoriguchi分配係数(すなわち、約5、約6、約7、約8、約9、約10、他より大きいLogP)、また、あるいは約10未満(すなわち、1未満、または0でさえのLogP);(v)約5、約10または約15より多い回転可能な結合の総数。特定の実施形態では、該化合物は、14未満であるLogP、例えば、約6〜7、6〜8、6〜9、6〜10、6〜11、6〜12、6〜13、7〜8、7〜9、7〜10、7〜11、7〜12、7〜13、8〜9、8〜10、8〜11、8〜12、8〜13、9〜10、9〜11、9〜12、9〜13、10〜11、10〜12、10〜13、11〜12、11〜13、または12〜13の範囲にあるLogPを有する。
【0100】
上記パラメーターに加えて、極性原子に属する表面として特徴付けら得る分子極性表面積(すなわち「PSA」)は、膜経由受動輸送とよい相関があり、従って、薬物の輸送特性の予測を可能とすることも示されたディスクリプタである。それは、腸内吸収およびCaco2細胞単層透過の予測について、首尾良く適用された。実例となるCaco2細胞単層透過試験詳細(例えば、米国特許第6,737,423号(参照により本明細書に組み入れられるものとする)中、提供されるCaco2モデルの説明、特に、例えば、本発明の化合物の評価または試験に適用され得るCaco2モデルを説明する文章参照)。PSAは、Å
2(平方オングストローム)で表され、3次元分子表示からコンピューター計算される。速い計算方法も、デスクトップコンピューターおよびChemDrawなどの市販化学グラフィックツールパッケージを用いて、利用可能である(例えば、Ertl et al, Journal of Medicinal Chemistry, 2000, 43,3714-3717(その全文を、全ての関連および一貫性の目的のため、参照することにより、本明細書に組み入れられるものとする)参照)。「トポロジーPSA」(tPSA)という語は、この速い計算方法のため、作られたものである。tPSAは、共通の薬物で、ヒト吸収データとよい相関がある(表1参照、Ertl et al, J. Med. Chem., 2000, 43:3714-3717から):
【表1】
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【0101】
従って、いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、該化合物が、実質的に不透過性(例えば、細胞不透過性)であり、または実質的に全身的バイオアベイラブルでない(本明細書中他で定義されたように)ように、約100Å
2、約116Å
2、約120Å
2、約130Å
2、または約140Å
2、および場合によっては、約150Å
2、約160Å
2、約170Å
2、約180Å
2、約190Å
2、約200Å
2、約225Å
2、約250Å
2、約270Å
2、約300Å
2、約350Å
2、約400Å
2、約450Å
2、約500Å
2、約750Å
2、またはたとえ約1000Å
2より大きい、または約100〜120Å
2、100〜130Å
2、100〜140Å
2、100〜150Å
2、100〜160Å
2、100〜170Å
2、100〜170Å
2、100〜190Å
2、100〜200Å
2、100〜225Å
2、100〜250Å
2、100〜300Å
2、100〜400Å
2、100〜500Å
2、100〜750Å
2、100〜1000Å
2、116〜120Å
2、116〜130Å
2、116〜140Å
2、116〜150Å
2、116〜160Å
2、116〜170Å
2、116〜170Å
2、116〜190Å
2、116〜200Å
2、116〜225Å
2、116〜250Å
2、116〜300Å
2、116〜400Å
2、116〜500Å
2、116〜750Å
2、116〜1000Å
2、120〜130Å
2、120〜140Å
2、120〜150Å
2、120〜160Å
2、120〜170Å
2、120〜170Å
2、120〜190Å
2、120〜200Å
2、120〜225Å
2、120〜250Å
2、120〜300Å
2、120〜400Å
2、120〜500Å
2、120〜750Å
2、120〜1000Å
2、130〜140Å
2、130〜150Å
2、130〜160Å
2、130〜170Å
2、130〜170Å
2、130〜190Å
2、130〜200Å
2、130〜225Å
2、130〜250Å
2、130〜300Å
2、130〜400Å
2、130〜500Å
2、130〜750Å
2、130〜1000Å
2、140〜150Å
2、140〜160Å
2、140〜170Å
2、140〜170Å
2、140〜190Å
2、140〜200Å
2、140〜225Å
2、140〜250Å
2、140〜300Å
2、140〜400Å
2、140〜500Å
2、140〜750Å
2、140〜1000Å
2、150〜160Å
2、150〜170Å
2、150〜170Å
2、150〜190Å
2、150〜200Å2、150〜225Å
2、または150〜250Å
2、150〜300Å
2、150〜400Å
2、150〜500Å
2、150〜750Å
2、150〜1000Å
2、200〜250Å
2、200〜300Å
2、200〜400Å
2、200〜500Å
2、200〜750Å
2、200〜1000Å
2、250〜250Å
2の範囲で、tPSA値を示すと解釈され得る。
【0102】
リピンスキーの法則、またはtPSAモデルに対する例外があるので、本開示の化合物の透過特性は、実験的にスクリーニングされ得る。透過係数は、Caco2細胞透過性アッセイおよび/または胃腸管上皮細胞のモデルとして人工膜の使用による実施例のものを含む、当業者に公知の方法により決定され得る。例えば、胃腸管粘膜の正味透過特性を模倣するため、レクチンおよび/またはドデカンで含浸された合成膜は、胃腸管粘膜モデルとして利用され得る。該膜は、本開示の化合物を含むコンパートメントを、透過度をモニターするコンパートメントと分離するため使用され得る。また、平衡人工膜透過性アッセイ(PAMPA)も実施し得る。かかる生体外測定は、生体内の実際の透過性を、合理的に示し得る(Wohnsland et al, J. Med. Chem. 44:923-930, 2001 ; Schmidt et al, Millipore Corp. Application Note, 2002, n AN 1725EN00, and n AN 1728EN00(参照により本明細書に組み入れられるものとする)参照)。
【0103】
従って、いくつかの実施形態では、本開示の方法で利用される化合物は、当分野で公知の手段で測定したとき、透過係数、約100x10
−6cm/s未満、または約10x10
−6cm/s未満、または約1x10
−6cm/s未満、または約0.1x10
−6cm/s未満のP
appを有し得る(例えば、上記Wohnsland et al, 2001に記載の透過性実験など)。
【0104】
前記のように、本開示に従えば、化合物は、腸上皮細胞層を経由してそれらの正味の吸収を妨げるため修飾され得、それらを、実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにする。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、分子全体を、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにする、オリゴマー部分、ポリマー部分、疎水性部分、親水性部分、および/または荷電部分であり得る、吸収可能でない部分と連結、共役さもなければ結合する化合物を含む。いくつかの好ましい実施形態では、該化合物は、えられた分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、多量体またはポリマーの一部または部分と共役する。該多量体またはポリマーの一部または部分は、約500ダルトン(Da)、約1000Da、約2500Da、約5000Da、約10,000Da以上より大きい分子量のものであり得、特に、約1000ダルトンDa〜約500,000Daの範囲、好ましくは、約5000〜約200,000Daの範囲の分子量を有し得、より好ましくは、該化合物の腸上皮細胞層経由のいかなる正味吸収を本質的に妨げるのに十分高い分子量を有し得る。これらまたは他の特定の実施形態では、該化合物は、腸上皮細胞層経由のその正味吸収を実質的に妨げるため修飾される。
【0105】
(ii)C
maxおよびIC
50またはEC
50
いくつかの実施形態では、本明細書で詳述された実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物は、それを必要とする対象に、単独または1つ以上の追加の医薬活性な化合物または薬剤と併用のいずれかで投与(例えば、経腸的に)されるとき、該化合物のリン酸イオン(Pi)輸送または摂取阻害濃度IC
50とおおよそ同じまたは低い、C
maxと定義される血清中で検出される最大濃度を示す。いくつかの実施形態では、例えば、該C
maxは、Pi輸送または摂取の阻害に対するIC
50より、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%低い。いくつかの実施形態では、該C
maxは、Pi輸送または摂取の阻害に対するIC
50X約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9(0,9倍)である。
【0106】
特定の実施形態では、1つ以上の本明細書で詳述された実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物は、それを必要とする対象に、投与(例えば、経腸的に)されるとき、C
max:IC
50の比(Pi輸送または摂取の阻害に対する)を有し得、C
maxおよびIC
50は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0以下、または約0.01〜1.0、0.01〜0.9、0.01〜0.8、0.01〜0.7、0.01〜0.6、0.01〜0.5、0.01〜0.4、0.01〜0.3、0.01〜0.2、または0.01〜0.1の間の範囲、または約0.1〜1.0、0.1〜0.9、0.1〜0.8、0.1〜0.7、0.1〜0.6、0.1〜0.5、0.1〜0.4、0.1〜0.3、または0.1〜0.2の間の範囲の同じ単位で表される。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書で詳述された実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物は、それを必要とする対象に、単独または1つ以上の追加の医薬活性な化合物または薬剤と併用のいずれかで投与(例えば、経腸的に)されるとき、糞便排泄が、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%増加する、リン酸塩の糞便排泄を増加させるための該化合物のEC
50より、おおよそ同じまたは小さい、C
maxと定義される血清中で検出される最大濃度を示す。いくつかの実施形態では、該C
maxは、リン酸塩の糞便排泄の増加のEC
50より、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%小さい。いくつかの実施形態では、、該C
maxは、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9X(0,9倍)リン酸塩の糞便排泄の増加のEC
50である。
【0108】
いくつかの実施形態では、1つ以上の本明細書で詳述された実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物は、それを必要とする対象に、投与(例えば、経腸的に)されるとき、または動物モデルもしくは細胞系アッセイで測定されるとき、約または少なくとも約10μΜ、9μΜ、8μΜ、7μΜ、7.5μΜ、6μΜ、5μΜ、4μΜ、3μΜ、2.5μΜ、2μΜ、1μΜ、0.5μΜ、0.1μΜ、0.05μΜ、または0.01μΜ以下のリン酸塩の糞便排泄の増加のIC
50を有し得、例えば、IC
50は、約0.01μM〜約10μM、または約0.01μM〜約7.5μM、または約0.01μM〜約5μM、または約0.01μM〜約2.5μM、または約0.01μM〜約1.0μM、または約0.1μM〜約10μM、または約0.1μM〜約7.5μM、または約0.1μM〜約5μM、または約0.1μM〜約2.5μM、または約0.1μM〜約1.0、または約0.5μM〜約10μM、または約0.5μM〜約0.5μM、または約0.5μM〜約7.5μM、または約0.5μM〜約5μM、または約0.5μM〜約2.5μM、または約0.5μM〜約1.0μMの範囲内である。
【0109】
特定の実施形態では、該本明細書で詳述された実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物は、それを必要とする対象に、単独または1つ以上の追加の医薬活性な化合物または薬剤と併用のいずれかで投与(例えば、経腸的に)されるとき、尿中排泄が、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%減少する、リン酸塩の尿中排泄を減少させるための該化合物のEC
50とほぼ同じまたはより小さい、C
maxと定義される血清中で検出される最大濃度を示す。いくつかの実施形態では、例えば、該C
maxは、リン酸塩の尿中排泄の減少のEC
50より、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%小さい。いくつかの実施形態では、該C
maxは、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9X(0,9倍)リン酸塩の尿中排泄の減少のEC
50である。
【0110】
いくつかの実施形態では、1つ以上の該本明細書で詳述された実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物は、それを必要とする対象に、単独または1つ以上の追加的医薬に活性な化合物または薬剤と併用のいずれかで投与(例えば、経腸的に)されるとき、または動物モデルもしくは細胞系アッセイで測定されるとき、約または少なくとも約10μΜ、9μΜ、8μΜ、7μΜ、7.5μΜ、6μΜ、5μΜ、4μΜ、3μΜ、2.5μΜ、2μΜ、1μΜ、0.5μΜ、0.1μΜ、0.05μΜ、または0.01μΜ以下のリン酸塩の尿中排泄の増加のEC
50を有し得、例えば、IC
50は、約0.01μM〜約10μM、または約0.01μM〜約7.5μM、または約0.01μM〜約5μM、または約0.01μM〜約2.5μM、または約0.01μM〜約1.0μM、または約0.1μM〜約10μM、または約0.1μM〜約7.5μM、または約0.1μM〜約5μM、または約0.1μM〜約2.5μM、または約0.1μM〜約1.0、または約0.5μM〜約10μM、または約0.5μM〜約0.5μM、または約0.5μM〜約7.5μM、または約0.5μM〜約5μM、または約0.5μM〜約2.5μM、または約0.5μM〜約1.0μMの範囲内である。
【0111】
特定の実施形態では、1つ以上の該本明細書で詳述された実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物は、それを必要とする対象に、投与(例えば、経腸的に)されるとき、C
max:EC
50の比(例えば、リン酸塩の糞便排泄の増加、リン酸塩の尿中排泄の減少)を有し得、C
maxおよびEC
50は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0以下、または約0.01〜1.0、0.01〜0.9、0.01〜0.8、0.01〜0.7、0.01〜0.6、0.01〜0.5、0.01〜0.4、0.01〜0.3、0.01〜0.2、または0.01〜0.1の範囲、または約0.1〜1.0、0.1〜0.9、0.1〜0.8、0.1〜0.7、0.1〜0.6、0.1〜0.5、0.1〜0.4、0.1〜0.3、または0.1〜0.2の範囲の同じ単位で表される。
【0112】
加えて、またはあるいは、1つ以上の該本明細書で詳述された実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物は、それを必要とする対象に、単独または1つ以上の追加の医薬活性な化合物または薬剤と併用のいずれかで投与(例えば、経腸的に)されるとき、約10ng/ml、約7.5ng/ml、約5ng/ml、約2.5ng/ml、約1ng/ml、または約0.5ng/ml以下のC
maxを有し得、該C
maxは、例えば、約1ng/ml〜約10ng/ml、または約2.5ng/ml〜約7.5ng/mlの範囲内である。
【0113】
B. 実例となる構造
一般的に言えば、本開示は、NHE3と結合および/または調節して、リン酸輸送阻害剤として活性を有する一価または多価であり得る本質的にいかなる小分子も包含し、胃腸管内で実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでない小分子を含み、化合物全体を、胃腸管内で、実質的に活性にするため、その物理化学的特性を変えるため、本開示に従って修飾または官能性をもたせられ得る公知のNHE結合化合物を含む。
【0114】
従って、本開示の化合物は、一般に、式(I):
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
により表され得る。
式中:(i)NHEは、NHE結合小分子であり、(ii)Zは、NHE結合小分子と結合するためのその少なくとも1つの部位を有する部分であり、得られたNHE−Z分子は、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにする全体の物理化学的特性を有する。該NHE結合小分子は、一般に、ヘテロ原子含有部分および環式もしくは複素環式骨格またはそれに直接的もしくは間接的に結合した支持部分を含む。特に、NHE結合剤または阻害剤であることを、現在まで報告された小分子の構造試験は、下記本明細書中、さらに例示のように、ほとんどのものが、置換グアニジニル部分および置換複素環式部分(例えば、窒素含有複素環式部分)から、典型的に選択される、ナトリウム原子またはナトリウムイオン擬態として作用可能なヘテロ原子含有部分と直接的もしくは間接的に(例えば、アシル部分または、アルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、またはヘテロアルケニル部分など、ヒドロカルビルもしくはヘテロヒドロカルビル部分により)結合した環式もしくは複素環式支持体または骨格を含む。随意に、該ヘテロ原子含有部分は、該骨格または支持部分と縮合して、縮合二環式構造を形成してもよく、および/または生理的pHにおいて、正電荷を形成可能であってもよい。
【0115】
なお、この点において、ナトリウム原子またはイオン擬態として作用可能なヘテロ原子含有部分が、正電荷を生成してもよい一方、このことは、該化合物全体が、正味の正電荷、またはその中の単一正電気を帯びた部分のみを有することを必要とすると理解または解釈すべきでない。むしろ、様々な実施形態では、該化合物は、荷電部分を有しなくてもよく、またはその中に多価荷電部分を有してもよい(正荷電、負荷電、またはその組み合わせを有しても良く、例えば、該化合物が、双性イオンである)。加えて、該化合物全体が、正味中性荷電、正味正荷電(例えば、+1、+2、+3、他)、または正味負荷電(例えば、−1、−2、−3、他)を有してもよいことを理解するべきである。
【0116】
該Z部分は、該NHE小分子上、または内の本質的にいかなる位置で結合してもよく、特に:(i)骨格または支持部分と結合、(ii)ヘテロ原子含有部分上、または内の位置で結合、および/または(iii)該骨格をヘテロ含有部分と連結するスペーサー部分上、または内の位置で結合してもよいが、但し、Z部分の導入は、NHE結合活性に、有意に悪影響を与えない。1つの特定の実施形態では、Zは、NHE小分子と結合したオリゴマー、デンドリマーまたはポリマー(例えば、該骨格または該スペーサー部分と結合した)の形態であってもよく、あるいは、Zは、複数のNHE小分子と一緒に連結して、従って、該NHE結合化合物全体(すなわち、該NHE−Z化合物)が、実質的に不透過性でありまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、(i)該NHE−Z分子の全体分子量および/または極性表面積;および/または、(ii)該NHE−Z分子の自由回転可能な結合数;および/または、(iii)該NHE−Z分子の水素結合供与体および/または受容体の数;および/または、(iv)少なくとも約5(あるいは、1未満、または約0でさえ)の値になる該NHE−Z分子のLogP値;本明細書に定義された全てを増加させるように作用するリンカーの形態であり得る。
【0117】
本開示は、より具体的には、かかる実質的に不透過性であり、または実質的に全身的バイオアベイラブルでない、NHE結合化合物、またはその医薬品の塩を対象とし、該化合物は、式(II)の構造を有する:
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
式中:(i)Zは、上記定義の通り、得られたNHE−Zが、実質的に不透過性でありまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないようにする全体の物理化学的特性を有するように、該NHE結合小分子と結合または組み込まれた部分であり;(ii)Bは、該NHE結合小分子のヘテロ原子含有部分であり、1つの特定の実施形態では、該骨格部分と縮合して、縮合二環式構造を形成してもよい、置換グアニジニル部分および置換複素環式部分から選択され;(iii)骨格は、該ヘテロ原子含有部分(例えば、該置換グアニジニル部分または置換複素環式部分)が、直接または間接的に結合している該環式または複素環式部分であり、B、およびこれは、1つ以上の追加のヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビル部分により置換されていてもよく;(iv)Xは、結合または、置換もしくは非置換ヒドロカルビルもしくはヘテロヒドロカルビル部分から成る群から選択されるスペーサー部分であり、特に、Bおよび該骨格を連結する、置換または非置換C
1〜C
7ヒドロカルビルもしくはヘテロヒドロカルビル(例えば、C
1〜C
7アルキル、アルケニル、ヘテロアルキルまたはヘテロアルケニル)、および置換または非置換、飽和または非飽和、環式または複素環式部分(例えば、C
4〜C
7環式または複素環式部分)であり;および(v)DおよびEは、整数であり、各々は、独立して、1、2以上の値を有する。
【0118】
1つ以上の特定の実施形態では、下記本明細書にさらに例示のように、Bは、グアニジニル部分または、置換シクロブテンジオン、置換イミダゾール、置換チアゾール、置換オキサジアゾール、置換ピラゾール、または置換アミンから成る群から選択されるグアニジニルバイオイソスターである部分から選択され得る。より具体的には、Bは、グアニジニル、アシルグアニジニル、スルホニルグアニジニル、またはシクロブテンジオンなどのグアニジンバイオイソスター、置換もしくは非置換イミダゾール、アミノイミダゾール、アルキルイミダゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、アルキルチオイミダゾール、または、生理的pHにおいて、正荷電になってもよい、もしくはアミン類(例えば、三級アミン類)、アルキルアミン類などを含むナトリウム擬態として機能し得る他の官能性などの置換もしくは非置換5員もしくは6員複素環から選択され得る。1つの特に好ましい実施形態では、Bは、置換グアニジニル部分または生理的pHにおいて、正荷電になって、ナトリウム擬態として機能してもよい置換複素環部分である。1つの例証的実施形態では、本開示の化合物(またはより具体的には、その薬剤的に許容可能なHCl塩、図示)は、式(III)の構造を有し得る:
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Zは、該NHE結合小分子上の多数の部位のいずれか1つと結合していてもよく、さらに、芳香族環のR
1、R
2およびR
3置換基は、本明細書中、他および/または米国特許第6,399,824号(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に詳述の通りである。
【0119】
しかしながら、なお、この点で、本開示の実質的に不透過性であり、または実質的に全身的バイオアベイラブルでないNHE結合化合物は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記に図示したもの以外の構造を有し得る。例えば、様々な別の実施形態では、該グアニジン部分の末端窒素原子の1つまたは両方が、1つ以上の置換基、および/または修飾もしくは官能性をもたせた部分により置換され得、Zは、一般に、以下に示された構造でさらに図示されるように、(i)該骨格、(ii)該スペーサーX、または(iii)ヘテロ原子含有部分、Bの手段により、該NHE結合化合物と結合し得る:
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
【0120】
なお、この点で、さらに、本明細書で使用されるとき、「バイオイソスター」は、一般に、グアニジン部分と類似の物理的および化学的特性を有する部分を表し、この場合、再び、グアニジン部分と類似のその所与の部分に、生物学的特性を、次に付与する。(例えば、Ahmad, S. et al., Aminoimidazoles as Bioisosteres of Acylguanidines: Novel, Potent, Selective and Orally Bioavailable Inhibitors of the Sodium Hydrogen Exchanger Isoform-1 , Boorganic & Med. Chem. Lett., pp. 177-180 (2004)(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)参照)
【0121】
以下にさらに詳述するように、適切な出発物質として役立ち得る公知のNHE結合小分子または化学型(該小分子を、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにするため、および/または医薬製剤で使用されるようにするために、修飾または官能化するため)は、一般に、例:
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
など、多数のサブセットにまとめられ得る:
式中:末端環(または、非アシルグアニジン類の場合、「R」)は、該骨格または支持部分であり;グアニジン部分(または置換複素環、およびより具体的には、非グアニジン阻害剤の場合、ピペリジン環)は、Bであり;およびXは、アシル部分、または−A−B−アシル−部分(または非アシルグアニジン類および非グアニジン阻害剤の場合、結合)である(例えば、Lang, H. J., "Chemistry of NHE Inhibitors " in The Sodium-Hydrogen Exchanger, Harmazyn, M., Avkiran, M. and Fliegel, L., Eds., Kluwer Academic Publishers 2003. See also B. Masereel et al., An Overview of Inhibitors of Na+ / H+ Exchanger, European J. of Med. Chem., 38, pp. 547-554 (2003)(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)参照)。いかなる特定の理論に縛られることなく、生理的pHにおいて、グアニジン基、またはアシルグアニジン基、または荷電グアニジンもしくはアシルグアニジン基(または、非グアニジン阻害剤の場合、これに限定されないが、ピペリジン環のプロトン化窒素原子を含む、グアニジニル官能性の分子相互作用を再現できる複素環または他官能基)は、該エクスチェンジャーまたはアンチポートの結合部位において、ナトリウムイオンを模倣し得る(例えば、Vigne et al., J. Biol. Chem. 1982, 257, 9394参照)。
【0122】
ヘテロ原子含有部分は、正荷電を生成可能であり得るが、これは、該化合物全体が、正味の正電荷、またはその中に単一正電荷に帯電している部分のみを有し、またはその中に該ヘテロ原子含有部分が、全ての場合で、正電荷を生成可能であると理解または解釈されるべきでない。むしろ、様々な別の実施形態では、該化合物は、その中に電荷部分を有しなくてもよく、またはその中に多価電荷部分を有してもよい(正電荷、負電荷、またはその組み合わせを有し得る)。加えて、該化合物全体は、正味中性電荷、正味正電荷、または正味負電荷を有し得ると理解されるべきである。
【0123】
なお、この点で、上記または本明細書中他で引用の米国特許および米国出版物は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、その全文を参照することにより、本明細書中に組み入れられるものとする。
【0124】
なお、上記および本明細書中他で図示の構造に加えて、グアニジンまたはアシルグアニジンに対する生物学的等価置換体も使用され得る。潜在的に、現在までに同定された実行可能な生物学的等価性「グアニジン置換体」は、グアニジンまたはアシルグアニジンと類似の供与体/受容体およびpKaパターンを有する5員または6員複素環式環を有し(例えば、Ahmad, S. et al., Aminoimidazoles as Bioisosteres of Acylguanidines: Novel, Potent, Selective and Orally Bioavailable Inhibitors of the Sodium Hydrogen Exchanger Isoform-1 , Boorganic & Med. Chem. Lett., pp. 177-180 (2004)(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)参照)、以下に図示するものを含む:
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【0125】
上記生物学的等価性実施形態(すなわち、上記構造の基)は、式(II)の構造中、「B」に相当し、その中の中断された結合は、此処に示していない式(III)のZとの結合を有する「X」(例えば、該アシル部分、あるいは、該バイオイソスターを該骨格に連結している結合)と結合する。
【0126】
なお、本明細書に図示の多くの構造で、全ての様々な連結または結合は、いかなる場合でも示されるわけではないだろう。例えば、1つ以上の上記図示された構造では、該NHE結合小分子および該修飾または官能性をもたせた部分Zの間の結合または接続は、いつも示されるわけではない。しかしながら、これは、限定的な意味で、見られるべきでない。むしろ、該NHE結合小分子は、得られたNHE−Z分子が、使用に適切である(すなわち、胃腸管内で、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでない)ように、何らかの方法(例えば、結合またはある種のリンカーにより)で、Zと結合または接続していると理解されるべきである。あるいは、Zは、例えば、該グアニジン部分および骨格間に位置することによるなど、該NHE結合小分子中に組み込まれ得る。
【0127】
なお、さらに、多数の構造は、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないNHE結合化合物、および/または、それらを実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにするため、本開示に従って、修飾または官能基化に適切なNHE結合小分子について、本明細書に提供される。該大多数の構造のため、様々な識別名(例えば、鎖または環の原子識別名、環または鎖上の置換基の識別名、他)が、二回以上使用され得る。従って、1つの構造の識別名は、特に言及されない限り、種々の構造で同じ意味を有すると考えるべきでない(例えば、ある構造中の「R
1」が、もう1つの構造中の「R
1」と同じであっても、同じでなくてもよい)。なお、加えて、下記本明細書にさらに図示された1つ以上の構造では、その1つ以上の該識別名を含む、該構造の具体的詳細は、引用文献中に提供され得、その内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に、具体的に組み入れられるものとする。
【0128】
C. 例示的小分子実施形態
本開示の実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないNHE3結合化合物は、一般に、NHE3活性をと結合および/または調節すると既に報告または確認されたが、不透過性(すなわち、実質的に不透過性でない)を欠く小分子を含む、NHE3と結合および/または調節する能力を有する本質的にいかなる小分子からも誘導または合成され得る。1つの特に好ましい実施形態では、本開示の様々な方法で利用される該化合物は、該NHE3、−2、および/または−8アイソフォームと結合する小分子から、誘導または合成される。本開示は、一般に、NHE3結合化合物に関するが、NHE2および/または−8結合または阻害を示す化合物も対象となる。しかしながら、適切な出発点は、公知のNHE3、−2、および/または−8結合または阻害小分子であり得るが、NHE1を含む他のNHEサブタイプの結合または阻害について確認された小分子も対象となり、選択性および該NHE3サブタイプアンチポーターと結合について最適化され得る。
【0129】
使用に適切な小分子(すなわち、実質的にバイオアベイラブル化合物としての使用に適切、実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物を生成するための修飾または官能基化に適切)としては、下記例示のものが挙げられる。なお、この点で、Zとの結合または連結(すなわち、該小分子を、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにする該修飾または官能基化)は、具体的に示されていない。述べたように、該Z部分は、対象の該NHEアンチポートと効果的に結合する得られた化合物の能力を妨げない(例えば、立体的干渉)本質的にいかなる部位または位置においても、該小分子と結合、または該小分子内に含まれ得る。より具体的には、Zは、該NHE結合小分子上の本質的にいかなる部位と結合し得、例えば、Zは、その上に最初または本来存在する置換基の全部または一部に置換し、下記に例示のように、但し、該Z部分の導入部位は、そのNHE結合活性に実質的に悪影響を及ぼさない。しかしながら、1つの特定の実施形態では、結合または連結は、Zから、原子または該ナトリウムイオン擬態(例えば、該原子または生理的pH条件下、正イオンを生成可能な原子)として、効果的に作用する得られた化合物中に存在する原子から遠く離れた(例えば、介在する該原子または結合数に基づく)結合点を効果的に位置づける小分子上に部位まで延長する。好ましい実施形態では、該結合または連結は、Zから、環、好ましくは、該骨格としての役割をする小分子内の芳香環内の部位まで延長する。
【0130】
前述の観点で、1つの特定の実施形態では、米国特許出願第2005/0054705号(その全内容(および特に、その中の1〜2頁の文章)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化32】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。1つの特に好ましい実施形態では、R
6およびR
7は、ハロゲン(例えば、Cl)であり、R
5は、低級アルキル(例えば、CH
3)であり、R
1〜R
4は、Hであり、該化合物は、例えば、構造;
【化33】
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を有する。
【0131】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の1〜2頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0132】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の49頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0133】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の118〜120および175〜177頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化36】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0134】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の129〜131頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化37】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。(なお、この点で、上記図示された該構造内の置換基Zは、本開示に従って、得られた「NHE−Z」分子を、実質的に不透過性にするために、該NHE結合小分子と結合する該部分Zと混同してはならない。)
【0135】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の127〜129頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化38】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。(なお、この点で、上記図示された該構造内の置換基Zは、本開示に従って、得られた「NHE−Z」分子を、実質的に不透過性にするために、該NHE結合小分子と結合する該部分Zと混同してはならない。)
【0136】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の134〜137頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化39】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0137】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の31〜32および137〜139頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化40】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0138】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の37〜45頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化41】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。(なお、この点で、上記図示された該構造内の置換基Zは、本開示に従って、得られた「NHE−Z」分子を、実質的に不透過性にするために、該NHE結合小分子と結合する該部分Zと混同してはならない。)
【0139】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の100〜102頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化42】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする(特に、その波線の結合は、可変の長さまたは可変の原子数を示す)。
【0140】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の90〜91頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化43】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0141】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許第5,900,436号(またはEP0822182B1)(その全内容(および特に、その中の第1段落目10〜55行目)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化44】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0142】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の35〜47頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化45】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0143】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の154〜155頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化46】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0144】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の132〜133頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化47】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0145】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の58〜65および141〜148頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化48】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。(なお、この点で、上記図示された該構造内の置換基Zは、本開示に従って、得られた「NHE−Z」分子を、実質的に不透過性にするために、該NHE結合小分子と結合する該部分Zと混同してはならない。)
【0146】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許第6,911,453号および同第6,703,405号(その全内容(および特に、第6,911,453号の第1〜7段落目および第46段落目および第6,703,405号の第14〜15段落目)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化49】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。上記構造に含まれる特に好ましい小分子は、さらに以下に例示される(例えば、第6,911,453号特許の実施例1、その全内容は、参照により、本明細書に具体的に組み入れられるものとする):
【化50】
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【0147】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許公開第2004/0039001号、同第2004/0224965号、同第2005/0113396号および同第2005/0020612号(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化51】
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該構造中の変数は、上記および/または1つ以上の該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により、および/または上記例示のとおり本明細書中に組み入れられる(中断された結合は、縮合複素環式環との該Y部分の結合点を示す)。特に、様々な実施形態では、XおよびYの組み合わせは、次のものであり得る:
【化52】
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【0148】
上記構造の特に好ましい実施形態では、該小分子は、一般構造:
【化53】
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を有する。
式中、R
1、R
2およびR
3は、同じでも異なっていてもよいが、好ましくは、異なっており、独立して、H、NR’R’’(式中、R’およびR’’は、本明細書の他で定義されたように、独立して、Hおよび低級アルキルなどのヒドロカルビル)および該構造:
【化54】
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から選択される。
【0149】
上記構造のより特に好ましい実施形態では、上述の構造に含まれる小分子は、下記にさらに図示される(例えば、第2005/0020612号特許出願(その全内容は、参照により、本明細書に具体的に組み入れられるものとする)の5頁の化合物I1参照):
【化55】
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【0150】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許第6,399,824号(その全内容(および、特に、その実施例1の文章)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化56】
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該構造中、Rは、好ましくは、Hおよび(CH
3)
2NCH
2CH
2−から選択され得、Hが、様々な実施形態で、特に好ましい。
【0151】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許第6,005,010号(および、特に、その第1〜3段落目)、および/または米国特許第6,166,002号(および、特に、その第1〜3段落目)(その全内容(および、特に、その実施例1の文章)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化57】
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該構造中の変数(「R」)は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により、本明細書中に組み入れられるものとする。
【0152】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許出願第2008/0194621号(その全内容(および、特に、その実施例1の文章)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化58】
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該構造中の変数(「R
1」、「R
2」および「R
3」)は、上記定義通りであり、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により、本明細書中に組み入れられるものとする。
【0153】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許出願第2007/0225323号(その全内容(および、特に、その実施例36の文章)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化59】
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【0154】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許第6,911,453号(その全内容(および、特に、その実施例35の文章)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、本開示に従って、使用または修飾するのに適切であり得る(例えば、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないように、Zと結合または含むために修飾された)。
【化60】
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【0155】
本開示の1つの特に好ましい実施形態では、該小分子は:
【化61】
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から成る群から選択され得る。
【0156】
これらの構造で、結合または連結(示さず)は、例えば、該コアおよびアミン置換芳香環(1番目構造)、該複素環式環またはそれが結合している該芳香環、あるいは、該クロロ置換芳香環(2番目構造)、またはジフルオロ置換芳香環または該スルホンアミド置換芳香環(3番目構造)の間で延長し得る。
【0157】
D. 実例となる小分子選択性
様々なNHE結合小分子の例およびNHE1、−2および−3アイソフォームにわたってそれらの選択性を、下記に示す。(例えば、B. Masereel et al., An Overview of Inhibitors of Na+ / H+ Exchanger, European J. of Med. Chem., 38, pp. 547-554 (2003)(関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)参照)。ほとんどのこれらの小分子は、NHE1阻害剤として最適化され、これは、それに関してそれらの選択性に反映している(サブタイプ1のIC50は、サブタイプ3より、有意により強力(数値的により低い)である)。しかしながら、表2中のデータは、NHE3結合活性を、異なるアイソフォームに対して最初に最適化した化合物系列に設計し得ることを示している。例えば、アミロライドは、NHE3結合剤/阻害剤として不十分であり、試験された最高濃度において、このアンチポートに対して不活性であった(IC50>100μM);しかしながら、DMAおよびEIPAなど、この化合物の類似体は、それぞれ、14および2.4μMのNHE3 IC50を有する。シンナモイルグアニジンS−2120は、NHE3よりNHE1に対して、500倍以上の活性がある;しかしながら、この選択性は、位置異性体S−3226では、逆転する。従って、NHE3結合選択性を、別のアンチポートアイソフォームに対する作用強度を最適化された化学系列に設計することは可能である;すなわち、当分野で例証された阻害剤分類は、実質的に不透過性である、または実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにするように修飾されてもよいだけでなく、NHE3(あるいは、NHE2および/またはNHE8)に対する活性および選択性を適切に修飾され得る。
【化62】
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【表2】
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【0158】
上記前述の通り、上記のものを含む本明細書に開示のNHE結合小分子は、それらを、実質的に不透過性である、または実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにするため、有利に、修飾され得る。従って、本明細書に記載の化合物は、胃腸管または管腔、1つの特定の実施形態では、結腸内に効果的に局在化する。様々なNHEアイソフォームは、多くの異なる内臓器官(例えば、脳、心臓、肝臓、他)内で発見され得るので、腸管腔内の該NHE結合化合物の局在化は、全身作用を最小限化または排除する(すなわち、かかる器官をこれらの化合物に曝露することを防止または有意に制限する)ために望ましい。従って、本開示は、胃腸管内で、実質的に全身的バイオアベイラブルでない、より具体的には、本明細書でさらに記載のように、腸上皮に実質的に全身的に不透過性である、NHE結合化合物、特に、NHE3、−2および/または−8阻害剤を提供する。
【0159】
E. 実例となる実施形態
本開示の1つ以上の特に好ましい実施形態では、該「NHE−Z」分子は、一価である;すなわち、該分子は、NHE3と効果的に結合および/または調節する1つの部分を含み、胃腸管または腎臓内のリン酸輸送も阻害する。かかる実施形態では、該NHE−Z分子は、例えば、式(IV)、(V)、(VI)または(VII)の次の構造の1つから選択され得る:
【化63】
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式中、各R
1、R
2、R
3、R
5およびR
9は、独立して、H、ハロゲン(例えば、Cl)、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、HまたはZから選択され、Zは、その置換基が、ヒドロキシル類、アミン類、アミジン類、カルボキシレート類、ホスホネート類、スルホネート類、およびグアニジン類から選択される置換または非置換、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ポリアルキレングリコールおよびポリオールから選択され;R
4は、H、C
1〜C
7アルキルまたはZから選択され、Zは、その置換基が、ヒドロキシル類、アミン類、アミジン類、カルボキシレート類、ホスホネート類、スルホネート類、およびグアニジン類から選択される置換または非置換、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ポリアルキレングリコールおよびポリオールであり;R
6は、存在しないかまたはHおよびC
1〜C
7アルキルから選択され;およびAr1およびAr2は、独立して、芳香族環、あるいはその1つ以上の炭素原子が、N、OまたはS原子により置換されているヘテロ芳香族環である;
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
式中、各R
1、R
2、R
3、およびR
5は、独立して、H、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、HまたはZから選択され、Zは、その置換基が、ヒドロキシル類、アミン類、アミジン類、カルボキシレート類、ホスホネート類、スルホネート類、およびグアニジン類から選択される置換または非置換、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ポリアルキレングリコールおよびポリオールから選択され、複素環式リンカーにより環Ar1と連結していてもよく;R
4およびR
12は、独立して、HおよびR
7から選択され、R
7は、上記定義の通りであり;R
10およびR
11は、存在する場合、独立して、HおよびC
1〜C
7アルキルから選択され;およびAr1およびAr2は、独立して、芳香族環、あるいはその1つ以上の炭素原子が、N、OまたはS原子により置換されているヘテロ芳香族環である;
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
式中、各Xは、同じでも異なっていてもよいハロゲンであり;R
1は、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、HまたはZから選択され、Zは、その置換基が、ヒドロキシル類、アミン類、アミジン類、カルボキシレート類、ホスホネート類、スルホネート類、およびグアニジン類から選択される置換または非置換、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ポリアルキレングリコールおよびポリオールから選択され;R
3は、HまたはR
7から選択され、R
7は、上記定義の通りであり;R
13は、置換または非置換C
1〜C
8アルキルから選択され;R
2およびR
12は、独立して、HまたはR
7から選択され、R
7は、上記定義の通りであり;R
10およびR
11は、存在する場合、独立して、HおよびC
1〜C
7アルキルから選択され;Ar1は、芳香族環、あるいはその1つ以上の炭素原子が、N、OまたはS原子により置換されているヘテロ芳香族環であり;およびAr2は、芳香族環あるいはその1つ以上の炭素原子が、N、OまたはS原子により置換されているヘテロ芳香族環である。
【0160】
式(V)の構造について、1つの特定の実施形態では、R
1、R
2およびR
3の1つは、構造:
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、Rは、それに結合したR
1、R
2、R
3、またはR
5である)
を有する複素環式リンカーにより、環Ar2と連結する。
【0161】
別の特定の実施形態では、本開示のNHE−Z分子は、式(IV)の構造を有し得る:
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
式中:各R
1、R
2、R
3、R
5およびR
9は、独立して、H、ハロゲン、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、HまたはZから選択され、Zは、その置換基が、ホスフィネート類、ホスホネート類、ホスホンアミデート類、ホスフェート類、ホンスホンチオエート類およびホスホンジチオエート類から選択される置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、またはポリオールおよび/または置換もしくは非置換ポリアルキレングリコールから選択され;R
4は、HまたはZから選択され、Zは、その置換基が、ヒドロキシル類、アミン類、アミジン類、カルボキシレート類、ホスホネート類、スルホネート類、およびグアニジン類から選択される置換または非置換、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ポリアルキレングリコールおよびポリオールであり;R
6は、−HおよびC
1〜C
7アルキルから選択され;およびAr1およびAr2は、独立して、芳香族環、あるいはその1つ以上の炭素原子が、N、OまたはS原子により置換されているヘテロ芳香族環である。
【0162】
加えて、またはあるいは、上記例示の化合物の1つ以上の実施形態では、該化合物は、少なくとも約100Å
2、約150Å
2、約200Å
2、約250Å
2、約270Å
2以上のtPSAおよび/または少なくとも約710Daの分子量を有してもよい。
【0163】
F. 多価構造:巨大分子およびオリゴマー
(i).一般構造
上記のように、特定の実施形態は、その物理化学的特性(部分Zとの結合または包接により)、より具体的には、該NHE−Z分子の物理化学的特性を変えて、従って、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにするため、構造的に修飾または官能基化されたNHE結合小分子に関する。1つの特定の実施形態では、および本明細書の他でさらに詳述されたように、該NHE−Z化合物は、多価(すなわち、オリゴマー、デンドリマーまたはポリマー部分)であり得、Zは、この実施形態では、一般に、「コア」部分と呼ばれ得、該NHE結合小分子は、それに直接的または間接的に(連結部分の手段により)結合し得、該多価化合物は、例えば、次の一般構造式(VIII)、(IX)および(X)の1つを有する:
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
式中:コア(またはZ)およびNHEは、上記定義の通りであり;Lは、下記本明細書中、他でさらに定義されるように、結合またはリンカーであり;Eおよびnは、両方、2以上の整数である。様々な別の実施形態では、しかしながら、該NHE結合小分子は、同じでも異なっていてもよく、やっぱり、同じでも異なっていてもよい一連のリンカー、Lにより連結または結合した複数のNHE結合小分子からポリマー構造により、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにされ得、該化合物は、例えば、式(XI)の構造を有する:
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
式中:コア(またはZ)およびNHEは、上記定義の通りであり;Lは、下記本明細書中、他でさらに定義されるように、結合またはリンカーであり、mは、0または1以上の整数である。この実施形態では、該物理化学的特性、特に、該NHE結合小分子の分子量または極性表面積は、それらを、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにするために、一緒に連結された一連のNHE結合小分子を有することにより、修飾(例えば、増加)される。これらまたはさらに追加の別の実施形態では、該多価化合物は、二量体、オリゴマーまたはポリマーの形態であり得、例えば、Zまたは該コアは、複数のNHE結合小分子が、(例えば、リンカーの手段により)結合する骨格である。かかる化合物は、例えば、式(XIIA)または(XIIB)の構造を有し得る:
【化70】
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式中:Lは、連結部分であり;NHEは、NHE結合小分子、上記および以下さらに詳述の各NHEであり;およびnは、0でない整数(すなわち、1以上の整数)である。
【0164】
該コア部分は、NHE結合小分子が結合、好ましくは、結合またはリンカーにより共有結合的に結合する1つ以上の結合部位を有する。該コア部分は、一般に、該化合物を、実質的に不透過性である、または実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにすることを可能にする役割をする何かであり得る(例えば、原子、小分子、他)が、1つ以上の好ましい実施形態は、Lの2つ以上の結合部位を有する各場合において、オリゴマー、デンドリマーまたはポリマー部分である。該コアおよびNHE結合小分子の組み合わせ(すなわち、該「NHE−Z」分子)は、該化合物全体を、実質的に不透過性である、または実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにすることが可能な物理化学的特性を有し得る。
【0165】
なお、この点で、式(XIIA)および(XIIB)の繰り返し単位は、一般に、本明細書で参照された方法により製造されてもよい、様々なポリマーの実施形態の繰り返し単位を包含する。なお、各ポリマーの、またはより一般的多価の実施形態では、各繰り返し単位は、同じでも異なっていてもよく、存在する場合、順に、同じでも異なっていてもよいリンカーにより、該NHE結合小分子と連結されてもされなくてもよい。なお、この点で、本明細書で使用されるとき、「多価」は、その中に、複数(例えば、2、4、6、8、10以上)のNHE結合部分を有する分子を表す。
【0166】
上記実施形態は、下記本明細書中で、さらに例示される。例えば、式(X)の構造に相当する化合物の様々な部分が同定されている、実例となるオリゴマー化合物の下記に示すのは、本明細書で提供される本開示の幅広い視点を提供することを目的としている。なお、下記構造中の各「NHE」部分(すなわち、該NHE小分子)は同じであるが、各々が独立して選択され、同じでも異なっていてもよい、本開示の範囲内である。下記図では、該リンカー部分は、ポリエチレングリコール(PEG)モチーフである。PEG誘導体は、疎水性崩壊(疎水性分子が水性環境にさらされるとき、起こり得る疎水性モチーフの分子内相互作用)を回避する助けになり得るそれらの水溶性も手伝って、有利である(例えば、Wiley, R. A.; Rich, D. H. Medical Research Reviews 1993, 13(3), 327-384参照)。下図のコア部分も、回転自由度を最小限に増加しながら、該NHE結合化合物間の距離の増大を可能にする、該コア−(L−NHE)
n分子に対していくらかの剛性を提供するので、有利である。
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
【0167】
別の実施形態(例えば、式中、m=0である式(XI)では、該構造は、例えば:
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
であり得る。
【0168】
本開示に従った治療のため利用される多価化合物の中で、nおよびm(mが、0でないとき)は、独立して、約1〜約10、より好ましくは、約1〜約5、さらにより好ましくは、約1〜約2の範囲から選択され得る。しかしながら、別の実施形態では、nおよびmは、独立して、約1〜約500、好ましくは、約1〜約300、より好ましくは、約1〜約100、もっとも好ましくは、約1〜約50の範囲から選択され得る。これらまたは他の特定の実施形態では、nおよびmは、両方とも、約1〜約50、または約1〜約20の範囲であり得る。
【0169】
上記提供された構造は、吸収が、該NHE結合小分子の分子量増大の手段により制限される(すなわち、該化合物が、実質的に不透過性である、または実質的に全身的バイオアベイラブルでないようにされる)、投与に利用される化合物の1つの実施形態の図である。別のアプローチでは、本明細書の他で述べられているように、該NHE結合小分子は、置換芳香族環が、該NHE結合小分子の「骨格」と結合する、次の構造によりさらに図示されるように、トポロジカルな極性表面積を変える、より具体的には増大させる手段により、実質的に不透過性である、または実質的に全身的バイオアベイラブルでないようにされ得る。ホスホネート類、スルホネート類、グアニジン類および同様のものんど、イオン化可能な基の選択は、傍細胞透過性を防ぐことにおいて、特に有利であり得る。炭化水素類も、有利であり、荷電されていないことにより、分子量を最小限に増加する一方、tPSAを有意に増加させる。
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
【0170】
なお、本明細書で図示された1つ以上の様々な実施形態の中で、使用に適切な(すなわち、それらを、実質的に不透過性である、または実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにするために、修飾または官能基化に適切な実質的にバイオアベイラブルな化合物としての使用に適切な)NHE結合小分子は、特に、独立して、上記、および以下さらに詳細に述べるように、ベンゾイルグアニジン類、ヘテロアロイルグアニジン類、「スペーサー延伸」アロイルグアニジン類、非アシルグアニジン類およびアシルグアニジンイソスターとして記載された該1つ以上の小分子、および/または、例えば:US5866610;US6399824;US6911453;US6703405;US6005010;US6887870;US6737423;US7326705;US55824691(WO94/026709);US6399824(WO02/024637);US2004/0339001(WO02/020496);US2005/0020612(WO03/055490);WO01/072742;CA2387529(WO01021582);CA02241531(WO97/024113);US2005/0113396(WO03/051866);US2005/0020612;US2005/0054705;US2008/0194621;US2007/0225323;US2004/0039001;US2004/0224965;US2005/0113396;US2007/0135383;US2007/0135385;US2005/0244367;US2007/0270414;およびCA2177007(EP0744397)(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に詳述された小分子から選択され得る。なお、再び、該NHE結合小分子が、独立して、選択されると言及されるとき、例えば、上記の式(X)および(XI)で表されるオリゴマー構造は、同じオリゴマーまたはポリマー内に、異なる構造のNHE結合小分子を含み得ることを意図される。言い換えれば、所与の多価実施形態内の各「NHE」は、独立して、同じ多価実施形態内の他の「NHE」部分と同じでも異なっていてもよい。
【0171】
本開示に詳述された治療に利用され得る該実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないNHE結合化合物の設計および製造では、場合によって、一連の候補多価(multivalent)または多価(polyvalent)化合物を製造する前に、コアまたはリンカーが、導入または結合されることになり得る小分子NHE結合化合物とのありそうな結合点を最初に決定するため、有利であり得る。これは、該NHE結合小分子の様々な位置に、官能基、または所望のコアまたはリンカーのフラグメントを示す官能基を体系的に導入することによる公知の方法により、当業者により成され得、それから、該修飾化合物が、所望の生理特性(例えば、NHE3結合および/または調節、リン酸輸送阻害)を、まだ保持しているかどうかを、決定するため、これらの付加体を試験する。該化合物のSARの理解は、得られた化合物の活性に対して、積極的に寄与するコアおよび/またはリンカーの設計も可能とする。例えば、NHE結合化合物系のSARは、N−アルキル化ピペラジンが、生化学活性(作用強度増大)または医薬特性(溶解性増加)に対して、積極的に寄与することを示し得;それから、該ピペラジン部分は、N−アルキル化経由の該所望のコアまたはリンカーの結合点として利用され得る。このように、それにより得られた化合物は、親小分子の好ましい生化学または医薬特性を保持する。別の例では、NHE結合化合物系のSARは、水素結合供与体が、活性または選択性に重要であることを示し得るはずである。それから、コアまたはリンカー部分は、このH結合供与体が保持されるのを、保証するように設計され得る。これらのコアおよび/またはリンカーは、H結合供与体のpKaを減弱または増強するように、さらに設計され得、作用強度および選択性の改良を強力に可能とする。別のシナリオでは、化合物中の芳香族環は、πスタッキング効果またはπカチオン相互作用による生物学的標的と相互作用する重要なファルマコフォアであり得るはずである。リンカーおよびコアモチーフは、同様に、イソスターである、さもなければ、該小分子の芳香族の特徴と協力するように設計され得る。従って、一旦、分子系内の構造活性関係性が理解されると、対象の分子は、本質的分子認識要素として作用する主要ファルマコフォアに分類され得る。コアまたはリンカーモチーフの導入を考慮するとき、前記モチーフは、このSARを活用するように設計され得、これらのモチーフを有する等配電子および等電子であるように導入され得、生物活性を保持するが、有意に透過性を低下させる化合物を得られる。
【0172】
化合物系のSARが、コアまたはリンカー基の導入に活用され得る別の方法は、該分子の領域が、構造変化に反応しにくい場合と理解することである。例えば、タンパク質に結合した化合物のX線共晶構造は、溶媒曝露であり、標的との生産的相互作用に関連しない該化合物のこれらの部分を明らかにし得る。これらの領域の化学修飾が、「フラットSAR」(すなわち、修飾が、生化学活性に対して最小限の寄与を有するように思われる)をもたらすとき、かかる領域は、実験的にも確認され得る。当業者は、しばしば、例えば、溶解性の改良またはADME特性の強化し得るモチーフの導入により、化合物に、医薬特性で設計するため、かかる領域を活用してきた。同じ方法で、かかる領域は、本開示に記載の化合物を作成するため、コアまたはリンカー基を導入する有利な場所であると期待される。これらの領域は、例えば、tPSAを大きく増加させるために、カルボン酸、ホスホン酸スルホン酸、および同様のものなど、高極性官能性を付加するための部位であるとも期待される。
【0173】
NHE結合活性を示すコアおよびリンカーの設計で考慮される別の態様は、疎水性崩壊の制限または防止である。延伸した炭化水素官能性を有する化合物は、所望の生物学的標的との相互作用に対するエンタルピーバリアの増大を引き起こす分子内で崩壊し得る。従って、コアおよびリンカーを設計するとき、これらは、好ましくは、疎水性崩壊に耐性を示すように設計される。例えば、剛性単環式、二環式または多環式環などの構造制約は、該構造の剛性を増大するため、コアまたはリンカー中に導入され得る。アルケンおよびアルキンなどの不飽和結合も、または代替的に導入され得る。かかる修飾は、該NHE結合化合物が、その標的との生産的結合に利用できることを保証し得る。さらに、該リンカーの親水性は、胃腸内でプロトン化されるアミン類、または脱プロトン化される酸類など、水素結合供与体もしくは受容体モチーフ、またはイオン性モチーフの添加により改善され得る。かかる修飾は、該コアまたはリンカーの親水性を増大して、疎水性崩壊を防止する助けになるだろう。さらに、かかる修飾は、tPSAの増大により、得られた化合物の不透過性にも寄与するだろう。
【0174】
上記詳述の原理で一貫した、修飾されたNHE結合小分子の具体例は、以下に図示される。これらの部分は、「Z}(例えば、コア基、コア、または連結基L)へのそれらの付加物を促進する官能基を示す。これらの官能基は、求核性コアまたはリンカーと反応し得る求電子剤、および求電子性コアまたはリンカーと反応し得る求核剤を含み得る。小分子NHE結合化合物は、同様に、例えば、それから、パラジウム媒介クロスカップリング反応により、適切なコアまたはリンカーと反応し得るボロン酸を用いて、誘導され得る。該NHE結合化合物は、それから、オレフィンメタセシス化学により、適切なコアもしくはリンカーと反応し得るオレフィン類、または、それから、[2+3]環化付加反応により、適切なコアもしくはリンカーと反応し得るアルキン類もしくはアジド類も含み得る。当業者は、所望のコアまたはリンカーと、NHE結合小分子との容易で特異的結合を可能にするだろう様々な官能基を考え得る。NHEの実例となる官能基を有する誘導体としては、次のものが挙げられるが、これに限定されない:
スキーム1
コアおよびリンカーとの反応を促進する求電子性または求核性基を示す官能基を有するシンナモイルグアニジンNHE結合部分
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
式中、上記構造中の変数(例えば、R、他)は、米国特許第6,399,824号(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に定義の通りである。
スキーム2
コアおよびリンカーとの反応を促進する求電子性または求核性基を示す官能基を有するシテトラヒドロイソキノリンNHE結合部分
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
式中、上記構造中の変数(例えば、R
7〜9、他)は、米国特許第6,911,453号(その全内容(および、特に、その第1〜4段落目)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に定義の通りである。Linz et al., Hypertension. 60: 1560-7, 2012も参照。
スキーム3
コアおよびリンカーとの反応を促進する求電子性または求核性基を示す官能基を有するキナゾリンNHE結合部分
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
式中、上記構造中の変数(例えば、R
7〜9、他)は、米国特許出願第2005/0020612号および米国特許第6,911,453号(その全内容(および、特に、その第1〜4段落目)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に定義の通りである。
【0175】
なお、当業者は、適切な求電子剤または求核剤を用いた官能基化され得る、多数のコアまたはリンカー部分に直面し得る。溶解性、立体的効果、および好ましい構造活性関係性を与える、または一貫しているその能力を含む、いくつかの設計検討に基づいて選択される一連のかかる化合物は、以下に示される。しかしながら、なお、この点で、さらに、以下、および上記提供される構造は、例示する目的のためのみであり、従って、限定する意味で考えるべきでない。
【0176】
実例となる求電子性および求核性リンカー部分としては、次により図示されるリンカー部分が挙げられるが、これに限定されない:
求核性リンカー(求電子性NHE阻害性誘導体と使用のため)
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
求電子性リンカー(求核性NHE阻害性誘導体と使用のため)
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0177】
該記載の実施形態の各々(NHE結合小分子が、原子、別の小分子、ポリマー部分、オリゴマー部分、または非繰り返し部分などのコアと連結している実施形態を含む)では、該連結部分、Lは、親水性および/または疎水性であり得る、例えば、約1〜約200原子、または約1〜約100原子、または約1〜約50原子を含む、結合または他の部分など、化学リンカーであり得る。1つの実施形態では、該連結部分は、例えば、当分野で公知のリビングフリーラジカル重合手法を用いた、ポリマー骨格上にグラフトされたポリマー部分であり得る。好ましいL構造または部分は、例えば、オリゴエチレングリコール、オリゴペプチド、オリゴエチレンイミン、オリゴテトラメチレングリコールおよびオリゴカプロラクトンからも選択され得る。
【0178】
述べたように、該コア部分は、Lに対する1つ以上の結合部位を有する各場合に、原子、小分子、オリゴマー、デンドリマーまたはポリマー部分であり得る。例えば、該コア部分は、例えば、アルキル、フェニル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環式、アミン、エーテル、スルフィド、ジスルフィド、ヒドラジン、ならびに、酸素、硫黄、スルホニル、ホスホニル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミン、チオール、エーテル、カルボニル、カルボキシル、エステル、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環式、およびその組み合わせを含む部分(各順列で)により置換されたいずれかの前述のものから成る群から選択される非繰り返し部分(該化合物との連結点を含む全体として見なされた)であり得る。非繰り返し部分は、全体として(例えば、ポリマーまたはオリゴマーの意味で)該部分を構成する別々の繰り返し単位(例えば、メチレン)を含み得る。
【0179】
実例となるコア部分としては、例えば、次のものなど、実施例で図示される該コア部分およびエーテル部分、エステル部分、スルフィド部分、ジスルフィド部分、アミン部分、アリール部分、アルコキシル部分、その他が挙げられるが、これに限定されない:
【化79】
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式中、中断した結合(すなわち、それらを通して、波状結合
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
を有するもの)は、MHE結合化合物あるいはNHE結合化合物を示すリンカー部分のいずれかとの連結点であり、前記連結点は、医薬化学分野で公知の化学品および官能基を用いて作成され得、さらに、各p、q、rおよびsは、独立して、約0〜約48、好ましくは、約0〜約36、または約0〜約24、または約0〜約16の範囲から選択される整数である。場合によっては、各p、q、rおよびsは、独立して、約0〜12の範囲から選択される整数であり得る。加えて、Rは、一般に、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アミン、チオール、エーテル、カルボニル、カルボキシル、エステル、アミド、炭素環式、複素環式、およびその組み合わせを含む部分から選択され得る。
【0180】
別の手法では、該コア部分は、繰り返し分岐した分子として定義されるデンドリマーであり(例えば、J. M. J. Frechet, D. A. Tomalia, Dendrimers and Other Dendritic Polymers, John Wiley & Sons, Ltd. NY, NY, 2001参照)、
図17で表される。
【0181】
この手法では、該NHE結合小分子は、デンドリマーの周辺に位置する、1つ、いくつかまたは全てであってもよい末端と、Lを通して結合する。別の手法では、デンドロンと呼ばれるブロックを構築している、および上記図示のデンドリマーは、該NHE結合基が、デンドリマーの周辺に位置する、1つ、いくつかまたは全てであってもよい末端と結合している、コアとして使用される。本明細書で、世代数は、通常、約0と約6の間、好ましくは、約0と約3の間である。(世代は、例えば、J. M. J. Frechet, D. A. Tomalia, Dendrimers and Other Dendritic Polymers, John Wiley & Sons, Ltd. NY, NYで定義されている。)デンドリマーおよび/またはデンドロン構造は、当分野で周知であり、例えば、(i)J. M. J. Frechet, D. A. Tomalia, Dendrimers and Other Dendritic Polymers, John Wiley & Sons, Ltd. NY, NY;(ii)George R Newkome, Charles N. Moorefield and Fritz Vogtle, Dendrimers and Dendrons: Concepts, Syntheses, Applications, VCH Verlagsgesellschaft Mbh;および(iii)Boas, U., Christensen, J.B., Heegaard, P.M.H., Dendrimers in Medicine and Biotechnology: New Molecular Tools , Springer, 2006により示されたまたは図示されたものが挙げられる。
【0182】
さらに別の手法では、該コア部分は、ポリマー部分またはオリゴマー部分であり得る。いずれの場合にも、該ポリマーまたはオリゴマーは、独立して、見なされ、アルキル(例えば、−CH
2−)、置換アルキル(例えば、−CHR−(式中、例えば、Rは、ヒドロキシである))、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、アリール、複素環式、アミン、エーテル、スルフィド、ジスルフィド、ヒドラジン、ならびに、酸素、硫黄、スルホニル、ホスホニル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミン、チオール、エーテル、カルボニル、カルボキシル、エステル、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環式、その組み合わせを含む部分でも置換されたいずれかの前述のものから選択される繰り返し部分から成る繰り返し単位を含む。さらに別の手法では、該コア部分は、エチレン性モノマー(例えば、下記本明細書の他で列挙するエチレン性モノマーなど)の重合から得られる繰り返し単位を含む。
【0183】
本明細書に開示の様々な治療方法での治療で使用の多価である実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないNHE結合化合物を構築するのに有用なポリマー部分のための好ましいポリマーは、フリーラジカル重合、縮合重合、付加重合、開環重合によるなど、いずれかの適切な技術により合成され得、および/またはサッカリド重合体など、天然ポリマーから誘導され得る。さらに、いくつかの実施形態では、、いずれかのこれらのポリマー部分は、官能基化され得る。
【0184】
かかる化合物の合成に有用なポリサッカライドの例としては、セルロース材料、ヘミセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スルホエチルセルロース、デンプン、キシラン、アミロペクチン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ガウア、キサンタン、マンナン、ガラクトマンナン、キチン、および/またはキトサンを含む植物または動物源からの物質が挙げられるが、これに限定されない。少なくとも場合によって、胃腸管の生理条件下、分解しない、または有意に分解しないポリマー部分(例えば、カルボキシメチルセルロース、キトサン、およびスルホエチルセルロースなど)がより好ましい。
【0185】
フリーラジカル重合が使用されるとき、該ポリマー部分は、例えば、アクリル、メタクリル、スチレン、ビニル、およびジエンを含む様々な分類のモノマー類から合成され得、その典型例を、この後に示す:スチレン、置換スチレン、アルキルアクリレート、置換アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、置換アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル、およびその組み合わせ。これらのモノマーの官能基化バージョンも使用され得、これらのモノマーのいずれかは、コモノマーとして、他のモノマーと一緒に使用され得る。例えば、本開示中で使用され得る具体的モノマーまたはコモノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル(全異性体)、メタクリル酸ブチル(全異性体)、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリロニトリル、a−メチルスチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(全異性体)、アクリル酸ブチル(全異性体)、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アクリロニトリル、スチレン、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(全異性体)、メタクリル酸ヒドロキシブチル(全異性体)、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸トリエチレングリコール、イタコン酸無水物、イタコン酸、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル(全異性体)、アクリル酸ヒドロキシブチル(全異性体)、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸トリエチレングリコール、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールメタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン、安息香酸ビニル(全異性体)、ジエチルアミノスチレン(全異性体)、α−安息香酸メチルビニル(全異性体)、ジエチルアミノα−メチルスチレン(全異性体)、スルホン酸p−ビニルベンゼン、スルホン酸p−ビニルベンゼンナトリウム塩、アルコキシおよびアルキルシラン官能性モノマー類、マレイン酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−ブチルマレイミド、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、エチレン、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、アリルアミン、ビニルピリジン類(全異性体)、フッ素化アクリレート、メタクリレート類、およびその組み合わせ。主鎖ヘテロ原子ポリマー部分も使用され得、ポリエチレンイミンおよびポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル類も、そのコモノマーも挙げられる。
【0186】
1つの特定の実施形態では、該NHE結合小分子、NHEが、結合、さもなければその一部である該ポリマーは、ポリオールである(例えば、−CH(OH)−など、ヒドロキシル置換アルキルの繰り返し単位を有するポリマーなど)。その還元または還元可能な末端基のありなしで、モノ−およびジサッカライドなど、ポリオール類は、例えば、該化合物を、実質的に不透過性にし得る追加の官能性を導入するための良好な候補であり得る。
【0187】
1つの特定の実施形態では、該NHE結合小分子、NHEは、該ポリマー鎖の一端または両端と結合する。より具体的には、本開示の多価実施形態に対するさらに別の代替手法では、次の実例となる構造の1つを有する巨大分子(例えば、ポリマーまたはオリゴマー)は、本明細書に記載のように、設計および構築され得る:
【化81】
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【0188】
なお、さらに、式(XIIA)または(XIIB)の繰り返し部分は、一般に、上記本明細書中で参照の方法により製造されるポリマーおよびコポリマーの繰り返し単位を包含する。
【0189】
なお、上記本明細書に開示のコア部分を形成するオリゴマーおよびポリマーの様々な特性は、当分野で一般に公知の実験的手段および原理を用いて、所与の使用または応用のため最適化され得る。例えば、上記本明細書に提示の化合物または構造の全体分子量は、非吸収性、阻害持続および/または作用強度を達成するため選択され得る。
【0190】
加えて、本明細書中の式(I)の構造により一般に表される化合物を包含または含むこれらのポリマーの実施形態、および/または、これらの化合物または構造が、ポリマー骨格または鎖からペンダント鎖が垂れ下がっているものなど、本明細書で引用の多くの特許および特許出願(例えば、US5866610;US6399824;US6911453;US6703405;US6005010;US6887870;US6737423;US7326705;US55824691(WO94/026709);US6399824(WO02/024637);US2004/0339001(WO02/020496);US2005/0020612(WO03/055490);WO01/072742;CA2387529(WO01021582);CA02241531(WO97/024113);US2005/0113396(WO03/051866);US2005/0020612;US2005/0054705;US2008/0194621;US2007/0225323;US2004/0039001;US2004/0224965;US2005/0113396;US2007/0135383;US2007/0135385;US2005/0244367;US2007/0270414;およびCA2177007(EP0744397)(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)参照)中の実施例に開示のものに関して、該ポリマーの全体サイズまたは分子量、および/またはそれに存在するペンダント分子数だけでなく、該ポリマー骨格の組成は、意図する用途または使用の観点から、当分野で公知の様々な原理に従って選択され得る。
【0191】
なお、該NHE結合化合物のポリマー組成に関して、例えば、合成および/または天然脂肪族、脂環式、および/または芳香族ポリマーを含む、多数のポリマーが使用され得る。好ましい実施形態では、該ポリマー部分は、胃腸管の生理条件下、安定である。「安定性」とは、該ポリマー部分が、胃腸管の生理条件下、分解しないまたは有意に分解しないまたは本質的に分解しないことを意味する。例えば、少なくとも約90%、好ましくは、少なくとも約95%、より好ましくは約98%、さらにより好ましくは約99%の該ポリマー部分が、胃腸管内に、少なくとも約5時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、または少なくとも約48時間の滞留後、未分解または未変化のままである。胃腸管内での安定性は、胃腸の擬態、例えば、その1つ以上の位置において、該生理条件をほぼモデル化する小腸の胃の擬態または腸の擬態を用いて評価され得る。
【0192】
該コア部分として使用のための、本明細書に詳述のポリマー部分は、親水性、疎水性、両親媒性、無電荷もしくは非イオン性、負電荷もしくは正電荷、またはその組み合わせであり得る。加えて、該ポリマー部分のポリマー構造は、好ましくは、上記の所望の溶解性および/または安定性特性を得るように選択される、直鎖、グラフト、櫛型、ブロック、星型および/または樹状であり得る。
【0193】
加えてまたはあるいは、修飾は、tPSAを増加するNHE結合小分子になるように成され、従って、得られた化合物の不透過性に寄与し得る。かかる修飾としては、好ましくは、ホスホネート類、マロネート類、スルホネート類および同様のものなど、ジアニオン類、および炭化水素および同様のものなど、ポリオール類の付加が挙げられる。tPSAが増加するNHEの実例となる誘導体としては、次のものが挙げられるが、これに限定されない:
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【0194】
(ii). 実例となる実施形態
本開示の1つ以上の特に好ましい実施形態では、該「NHE−Z」分子は多価である;すなわち、該分子は、NHE3と結合および/または調節する効果的に作用する2つ以上の部分を含み、胃腸管または腎臓内のリン酸輸送も阻害する。かかる実施形態では、該NHE−Z分子は、例えば、次式(IV)、(V)、(VI)または(VII)の1つから選択され得る:
【化83】
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式中:各R
1、R
2、R
3、R
5およびR
9は、独立して、H、ハロゲン(例えば、Cl)、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、HまたはZから選択され、Zは、その置換基が、ヒドロキシル類、アミン類、アミジン類、カルボキシレート類、ホスホネート類、スルホネート類、およびグアニジン類から選択される置換または非置換、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ポリアルキレングリコールおよびポリオールから選択され;R
4は、H、C
1〜C
7アルキルまたはZから選択され、Zは、その置換基が、ヒドロキシル類、アミン類、アミジン類、カルボキシレート類、ホスホネート類、スルホネート類、およびグアニジン類から選択される置換または非置換、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ポリアルキレングリコールおよびポリオールであり;R
6は、存在しないかまたはHおよびC
1〜C
7アルキルから選択され;およびAr1およびAr2は、独立して、芳香族環、あるいはその1つ以上の炭素原子が、N、OまたはS原子により置換されているヘテロ芳香族環である;
【化84】
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式中:各R
1、R
2、R
3、およびR
5は、独立して、H、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、HまたはZから選択され、Zは、その置換基が、ヒドロキシル類、アミン類、アミジン類、カルボキシレート類、ホスホネート類、スルホネート類、およびグアニジン類から選択される置換または非置換、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ポリアルキレングリコールおよびポリオールから選択され、複素環式リンカーにより環Ar1と連結していてもよく;R
4およびR
12は、独立して、HおよびR
7から選択され、R
7は、上記定義の通りであり;R
10およびR
11は、存在する場合、独立して、HおよびC
1〜C
7アルキルから選択され;およびAr1およびAr2は、独立して、芳香族環、あるいはその1つ以上の炭素原子が、N、OまたはS原子により置換されているヘテロ芳香族環である;
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
式中、各Xは、同じでも異なっていてもよいハロゲンであり;R
1は、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、HまたはZから選択され、Zは、その置換基が、ヒドロキシル類、アミン類、アミジン類、カルボキシレート類、ホスホネート類、スルホネート類、およびグアニジン類から選択される置換または非置換、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ポリアルキレングリコールおよびポリオールから選択され;R
3は、HまたはR
7から選択され、R
7は、上記定義の通りであり;R
13は、置換または非置換C
1〜C
8アルキルから選択され;R
2およびR
12は、独立して、HまたはR
7から選択され、R
7は、上記定義の通りであり;R
10およびR
11は、存在する場合、独立して、HおよびC
1〜C
7アルキルから選択され;Ar1は、芳香族環、あるいはその1つ以上の炭素原子が、N、OまたはS原子により置換されているヘテロ芳香族環であり;およびAr2は、芳香族環あるいはその1つ以上の炭素原子が、N、OまたはS原子により置換されているヘテロ芳香族環である。
【0195】
式(V)の構造について、1つの特定の実施形態では、R
1、R
2およびR
3は、該環Ar1と連結し、および/またはR
5は、構造:
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、Rは、それに結合したR
1、R
2、R
3、またはR
5である)
を有する複素環式リンカーにより、Ar2と連結する。
【0196】
1つの特定の実施形態では、該NHE結合小分子は、式(IV)の構造を有する:
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬剤的に許容可能な塩(式中:各R
1,R
2、R
3、R
5およびR
9は、独立して、H、ハロゲン、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、Hまたは前記NHE結合小分子とLとを連結する結合から選択されるが、但し、少なくとも1つは、前記NHE結合小分子とLとを連結する結合であり;R
4は、H、C
1〜C
7アルキル、または前記NHE結合小分子とLとを連結する結合から選択され;R
6は、存在しないか、またはHおよびC
1〜C
7アルキルから選択され;およびAr1およびAr2は、独立して、芳香族環または複素環式芳香族環である)。
【0197】
上記実施形態のさらに特定の実施形態では、該NHE結合小分子は、次構造:
【化88】
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またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬剤的に許容可能な塩(式中:各R
1,R
2およびR
3は、独立して、H、ハロゲン、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、Hまたは前記NHE結合小分子とLとを連結する結合から選択されるが、但し、少なくとも1つは、前記NHE結合小分子とLとを連結する結合である)
を有する。
【0198】
1つの実施形態では、該化合物は、式(X)の構造を有する:
【化89】
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【0199】
上記実施形態のさらに特定の実施形態では、該NHE結合小分子は、次構造:
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
の1つ、またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬剤的に許容可能な塩を有する。
【0200】
上記実施形態のさらに特定の実施形態では、Lは、ポリエチレングリコールリンカーなど、ポリアルキレングリコールリンカーである。
【0201】
上記実施形態のさらに特定の実施形態では、nは、2である。
【0202】
上記実施形態のさらに特定の実施形態では、該コアは、次構造:
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
(式中:Xは、結合、−O−、−NH−、−S−、C
1〜6アルキレン、−NHC(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−、−SO
2NH−、および−NHSO
2−から成る群から選択され;Yは、結合、置換されていてもよいC
1〜8アルキレン、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、ポリエチレングリコールリンカー、−(CH
2)
1〜6O(CH
2)
1〜6−および−(CH
2)
1〜6NY
1(CH
2)
1〜6−から成る群から選択され;およびY
1は、水素、置換されていてもよいC
1〜8アルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールから成る群から選択される)
を有する。
【0203】
上記実施形態のさらに特定の実施形態では、該コアは:
【化92】
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から成る群から選択される。
【0204】
H. 追加の実例となる化合物の一般構造
1つの実施形態では、本開示の化合物は、一般に、式(I−H)により表される:
【化93】
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またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬剤的に許容可能な塩(式中:(i)NHEは、以下に記載のNHE結合および/または調節小分子であり、(ii)nは、2以上の整数であり、(iii)コアは、2つ以上のNHE結合小分子部分と結合するためのその2つ以上の部位を有するコア部分であり、および(iv)Lは、結合または、2つ以上のNHE結合小分子部分と該コアとを連結するリンカーであり、得られたNHE結合化合物(すなわち、式(I)の化合物)は、実質的に不透過性でありまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないようにする全体的物理化学的特性を有する。該コア部分は、該NHE結合小分子部分上または内の本質的にいずれかの位置と結合し得るが、但し、その導入は、NHE結合活性を、有意に悪影響を及ぼさない。
【0205】
なお、本明細書に図示の多くの構造で、全ての様々な連結または結合は、いかなる場合でも、見られるわけではないだろう。例えば、上記図示の1つ以上の該構造で、該NHE結合小分子部分および該コア部分間の結合または連結は、必ずしも見られるとは限らない。しかしながら、これは、限定的な意味と考えるべきではない。むしろ、該NHE結合小分子部分は、得られたNHE結合化合物が、使用に適切である(すなわち、胃腸管内で、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでない)ように、何らかの方法により(例えば、何らかの結合またはリンカーにより)、該コア部分と結合または連結される。
【0206】
本開示の実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないNHE結合化合物の合成での使用に適切な(すなわち、本開示に従って、修飾または官能基化するのに適切な)NHE結合小分子部分は、WO2010/025856(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示されており、式(X−H)の次の構造を有する:
【化94】
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該構造中の変数は、WO2010/025856で定義されており、その詳細は、参照することにより、本明細書中に組み入れられるものとする。
【0207】
より具体的な実施形態では、該NHE結合小分子部分は、式(XI−H)の次構造を有する:
【化95】
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式中:Bは、アリールおよびヘテロシクリルから成る群から選択され;各R
5は、独立して、水素、置換されていてもよいC
1〜4アルキル、置換されていてもよいC
1〜4アルコキシ、置換されていてもよいC
1〜4チオアルキル、置換されていてもよいC
1〜4ヘテロシクリル、置換されていてもよいヘテロシクリルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、ニトロ、−NR
7R
8、−NR
7C(=O)R
8、−NR
7C(=O)OR
8、−NR
7C(=O)NR
8R
9、−NR
7SO
2R
8、−NR
7S(O)
2NR
8R
9、−C(=O)OR
7、−C(=O)R
7、−C(=O)NR
7R
8、−S(O)
1〜2R
7、および−SO
2NR
7R
8から成る群から選択され、R
7、R
8、およびR
9は、独立して、水素、C
1〜4アルキル、または該NHE結合小分子部分をLと連結する結合から成る群から選択されるが、但し、少なくとも1つは、該NHE結合小分子部分をLと連結する結合であり;R
3およびR
4は、独立して、水素、置換されていてもよいC
1〜4アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロシクリルおよび置換されていてもよいヘテロアリールから成る群から選択され;またはR
3およびR
4は、それらが結合する窒素と一緒になって、置換されていてもよい4〜8員ヘテロシクリルを形成し;および各R
1は、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC
1〜6アルキルおよび置換されていてもよいC
1〜6アルコキシから成る群から選択される。
【0208】
さらにより具体的実施形態では、該NHE結合小分子部分は、式(XII−H)の次構造を有する:
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
式中:各R
3およびR
4は、独立して、水素および置換されていてもよいC
1〜4アルキルから成る群から選択され、またはそれらが結合する窒素と一緒になったR
3およびR
4が、置換されていてもよい4〜8員ヘテロシクリルを形成してもよく;各R
1は、独立して、水素、ハロゲン、C
1〜4アルキル、およびC
1〜4ハロアルキルから成る群から選択され;およびR
5は、式中、R
7が、水素またはC
1〜4アルキルである、−SO
2−NR
7−および−NHC(=O)NH−から成る群から選択される。
【0209】
様々な別の実施形態では、該NHE結合小分子部分は、同じでも異なっていてもよく、やっぱり、同じでも異なっていてもよい一連のリンカーLと連結または結合された複数のNHE結合小分子部分からポリマー構造を形成することにより、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないものにされ得、該化合物は、例えば、式(II−H)の構造を有する:
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
式中:NHEは、上記定義の通りであり;Lは、本明細書中、他でさらに定義されたように、結合またはリンカーであり;およびmは、0または1以上の整数である。この実施形態では、該NHE結合小分子部分の物理化学的特性、および、特に、分子量または極性表面積は、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないようにするために、一連のNHE結合小分子部分を、数珠つなぎにすることにより修飾(例えば、増加)される。
【0210】
さらに追加の別の実施形態では、該多価NHE結合化合物は、オリゴマーまたはポリマー形態であり得、骨格は、複数のNHE結合小分子部分と結合(例えば、リンカーの手段により)する。かかる化合物は、例えば、式(IIIA−H)または(IIIB−H)の構造を有し得る:
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
式中:NHEは、上記定義の通りであり;Lは、本明細書中、他でさらに定義されたように、結合またはリンカーであり;およびnは、0でない整数(すなわち、1以上の整数)である。なお、式(IIIA−H)または(IIIB−H)の繰り返し単位は、一般に、直鎖、分岐鎖および、本明細書中に参照される方法により製造されてもよい樹状構造を含む、様々なポリマーの実施形態の繰り返し単位を包含する。なお、各ポリマー、またはより一般的多価の実施形態では、各繰り返し単位は、同じでも異なっていてもよく、存在するとき、順に同じでも異なっていてもよいリンカーにより、該NHE結合小分子部分と連結されていてもよく、連結されていなくてもよい。なお、この点で、本明細書で使用されるとき、「多価」は、その中にに、複数(例えば、2、4、6、8、10以上)のNHE結合小分子部分を有する分子を表す。
【0211】
前述の多価の実施形態では、Lは、ポリエチレングリコールリンカーなどのポリアルキレングリコールリンカーであり得;および/または該コアは、次構造:
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
(式中:Xは、結合、−O−、−NH−、−S−、C
1〜6アルキレン、−NHC(=O)−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−、−SO
2NH−、および−NHSO
2−から成る群から選択され;Yは、結合、置換されていてもよいC
1〜8アルキレン、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、ポリエチレングリコールリンカー、−(CH
2)
1〜6O(CH
2)
1〜6−および−(CH
2)
1〜6NY
1(CH
2)
1〜6−から成る群から選択され;およびY
1は、水素、置換されていてもよいC
1〜8アルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールから成る群から選択される)
を有し得る。例えば、より具体的実施形態では、該コアは、例えば:
【化100】
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から成る群から選択され得る。
【0212】
他のより具体的実施形態では、該コアは、例えば:
【化101】
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から成る群から選択され得る。
【0213】
上記実施形態を、以下本明細書で、さらに図示する。例えば、該化合物の様々な部分が同定されている実例となるオリゴマー化合物の下記最初の表現は、本明細書で提供される開示のため、幅広い視点を提供するように意図されている。なお、以下の構造中の各NHE結合小分子部分は同じであるが、各々が、独立して選択され、同じでも異なっていてもよいことは、本開示の範囲内である。下図で、該リンカー部分は、ポリエチレングリコール(PEG)モチーフである。PEG誘導体は、疎水性崩壊(疎水性分子が水性環境にさらされるとき、起こり得る疎水性モチーフの分子内相互作用(例えば、Wiley, R. A.; Rich, D. H. Medical Research Reviews 1993, 13(3), 327-384参照))を回避する助けとなり得るその水溶性も手伝って有利である。下図の該コア部分は、該分子に対していくらか剛性があるので、また有利であり、回転自由度を最小限に増加しながら、該NHE結合小分子部分間の距離の増大を可能とする。
【化102】
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【0214】
別の実施形態では、式中、m=0である場合、該構造は、例えば:
【化103】
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であり得る。
【0215】
本開示に従った治療に利用される該多価化合物内で、nおよびm(mが、0でないとき)は、独立して、約1〜約10、より好ましくは、約1〜約5、さらにより好ましくは、約1〜約2の範囲から選択され得る。しかしながら、別の実施形態では、nおよびmは、独立して、約1〜約500、より好ましくは、約1〜約300、さらにより好ましくは、約1〜約100、最も好ましくは、約1〜約50の範囲から選択され得る。これらのまたは他の特定の実施形態では、E、nおよびmは、約1〜約50、または約1〜約20の範囲内であり得る。
【0216】
本開示に詳述された治療に利用され得る実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないNHE結合化合物を設計および製造するとき、コアまたはリンカーが、一連の候補の多価(multivalent)または多価(polyvalent)化合物の製造前に、導入または結合され得るNHE結合小分子部分のありそうな結合点を、最初に決定するため、場合によって、有利であり得る。これは、官能基または該所望のコアもしくはリンカーのフラグメントを示す官能基を、該NHE結合小分子部分の様々な位置へ系統的に導入して、それから、該修飾された化合物が、所望の生物学的特性(例えば、NHE結合活性)をまだ保持しているかどうかを決定するため、これらの付加体を試験することによる公知な方法により、当業者によって実施され得る。該化合物のSARの理解は、得られた化合物の活性に、積極的に寄与するコアおよび/またはリンカーの設計も可能にする。
【0217】
コアおよびリンカーの設計で考慮される別の態様は、疎水性崩壊の制限または防止である。延長した炭化水素官能性を有する化合物は、分子内で崩壊し得、所望の生物学的標的との相互作用に対するエンタルピーバリアの増加の一因となる。従って、コアおよびリンカーを設計するとき、これらは、疎水性崩壊に対して抵抗性があるように、好ましく設計される。例えば、剛性な単環式、二環式または多環式環など構造制約は、該構造の剛性を増大するため、コアまたはリンカーに導入され得る。アルケン類およびアルキン類などの不飽和結合も、または代わりに導入され得る。かかる修飾は、該NHE結合化合物が、その標的との生産的結合に到達できることを保証し得る。さらに、該リンカーの親水性は、水素結合供与体もしくは受容体モチーフ、または胃腸内でプロトン化されるアミンもしくは脱プロトン化される酸などのイオン性モチーフの添加により改善され得る。かかる修飾は、該コアまたはリンカーの親水性を増大させて、疎水性崩壊の防止の助けとなるだろう。さらに、かかる修飾は、tPSAの増加により、得られた化合物の不透過性にも寄与するだろう。
【0218】
当業者は、コアまたはリンカーと、NHE結合小分子部分との容易で特異的結合を可能にするだろう様々な官能基を考え得る。これらの官能基としては、求核性コアまたはリンカーと反応し得る求電子剤、および求電子性コアまたはリンカーと反応し得る求核剤が挙げられ得る。NHE結合小分子部分は、同様に、例えば、パラジウム媒介クロスカップリング反応により、適切なコアまたはリンカーと、それから反応し得るボロン酸基を用いて誘導され得る。該NHE結合小分子部分は、それから、オレフィンメタセシス化学により、適切なコアもしくはリンカーと反応し得るオレフィン類、または、それから、[2+3]環化付加反応により、適切なコアもしくはリンカーと反応し得るアルキン類もしくはアジド類も含み得る。
【0219】
なお、当業者は、適切な求電子剤または求核剤で官能基化され得る多数のコアまたはリンカー部分を考え得る。溶解性、立体効果、および、好ましい構造活性関係性を与える、または合ったそれらの能力を含む、いくつかの設計検討に基づいて選択された一連のかかる化合物を以下に示す。しかしながら、なお、この点で、さらに、以下、および上記の構造は、例示する目的でのみ提供されたものであり、従って、限定的な意味と見なすべきでない。
【0220】
実例となる求電子性および求核性リンカー部分としては、次に図示したリンカー部分が挙げられるが、これに限定されない:
求核性リンカー(求電子性NHEと使用のため)
【化104】
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【0221】
求電子性リンカー(求核性NHEと使用のため)
【化105】
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【0222】
記載された実施形態の各々の連結部分L(NHE結合小分子部分が、原子、別の小分子、ポリマー部分、オリゴマー部分、または非繰り返し部分などのコアと連結する実施形態を含む)は、例えば、約1〜約200個の原子、または約1〜約100個の原子、または約1〜約50個の原子を含み、親水性および/または疎水性であり得る結合または他の部分などの化学リンカーであり得る。1つの実施形態では、該連結部分は、例えば、当分野で公知のリビングフリーラジカル重合手法を用いて、ポリマー骨格上にグラフトされたポリマー部分であり得る。好ましいL構造または部分は、例えば、オリゴエチレングリコール、オリゴペプチド、オリゴエチレンイミン、オリゴテトラメチレングリコールおよびオリゴカプロラクトンからも選択され得る。
【0223】
記載した通り、該コア部分は、各場合に、Lとの1つ以上の結合部位を有する原子、小分子、オリゴマー、デンドリマーまたはポリマー部分であり得る。例えば、該コア部分は、例えば、アルキル、フェニル、アリール、アルケニル、アルキニル、複素環式、アミン、エーテル、スルフィド、ジスルフィド、ヒドラジン、ならびに、酸素、硫黄、スルホニル、ホスホニル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミン、チオール、エーテル、カルボニル、カルボキシル、エステル、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環式、およびその組み合わせを含む部分(各順列で)により置換されたいずれかの前述のものから成る群から選択される非繰り返し部分(該NHE結合小分子部分との連結点を含む全体として見なされた)であり得る。非繰り返し部分は、全体として(例えば、ポリマーまたはオリゴマーの意味で)該部分を構成する別々の繰り返し単位を有しないで、その一部またはセグメント内(例えば、アルキルセグメント内)で、繰り返し単位(例えば、メチレン)を含み得る。
【0224】
実例となるコア部分としては、実施例で図示されるコア部分および、例えば、次のものなどのエーテル部分、エステル部分、スルフィド部分、ジスルフィド部分、アミン部分、アリール部分、アルコキシル部分、他が挙げられるが、これに限定されない:
【化106】
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式中、中断した結合(すなわち、それらを通して、波状結合
【化107】
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を有するもの)は、MHE結合小分子部分あるいはNHE結合小分子部分を示すリンカー部分のいずれかとの連結点であり、前記連結点は、医薬化学分野で公知の化学品および官能基を用いて作成され得;さらに、各p、q、rおよびsは、独立して、約0〜約48、好ましくは、約0〜約36、または約0〜約24、または約0〜約16の範囲から選択される整数である。場合によっては、各p、q、rおよびsは、独立して、約0〜12の範囲から選択される整数であり得る。加えて、Rは、一般に、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アミン、チオール、エーテル、カルボニル、カルボキシル、エステル、アミド、炭素環式、複素環式、およびその組み合わせを含む部分から選択され得る。
【0225】
別の手法では、該コア部分は、繰り返し分岐した分子と定義されるデンドリマーであり得(例えば、J. M. J. Frechet, D. A. Tomalia, Dendrimers and Other Dendritic Polymers, John Wiley & Sons, Ltd. NY, NY, 2001参照)、
図17に模式的に示した。
【0226】
この手法では、該NHE結合小分子部分は、該デンドリマーの周辺に位置する、1つ、いくつかまたは全てであってもよい末端と、Lにより結合する。別の手法では、デンドロンと呼ばれるブロックを構築している、および上記図示のデンドリマーは、該NHE結合小分子部分が、該デンドリマーの周辺に位置する、1つ、いくつかまたは全てであってもよい末端と結合している、コアとして使用される。本明細書で、世代数は、通常、約0と約6の間、好ましくは、約0と約3の間である。(世代は、例えば、J. M. J. Frechet, D. A. Tomalia, Dendrimers and Other Dendritic Polymers, John Wiley & Sons, Ltd. NY, NYで定義されている。)デンドリマーおよび/またはデンドロン構造は、当分野で周知であり、例えば、(i)J. M. J. Frechet, D. A. Tomalia, Dendrimers and Other Dendritic Polymers, John Wiley & Sons, Ltd. NY, NY;(ii)George R Newkome, Charles N. Moorefield and Fritz Vogtle, Dendrimers and Dendrons: Concepts, Syntheses, Applications, VCH Verlagsgesellschaft Mbh;および(iii)Boas, U., Christensen, J.B., Heegaard, P.M.H., Dendrimers in Medicine and Biotechnology: New Molecular Tools , Springer, 2006により示されたまたは図示されたものが挙げられる。
【0227】
さらに別の手法では、該コア部分は、ポリマー部分またはオリゴマー部分であり得る。いずれの場合にも、該ポリマーまたはオリゴマーは、独立して、見なされ、アルキル(例えば、−CH
2−)、置換アルキル(例えば、−CHR−(式中、例えば、Rは、ヒドロキシである))、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、アリール、複素環式、アミン、エーテル、スルフィド、ジスルフィド、ヒドラジン、ならびに、酸素、硫黄、スルホニル、ホスホニル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミン、チオール、エーテル、カルボニル、カルボキシル、エステル、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環式、その組み合わせを含む部分でも置換されたいずれかの前述のものから選択される繰り返し部分から成る繰り返し単位を含む。さらに別の手法では、該コア部分は、エチレン性モノマー(例えば、下記本明細書の他で列挙するエチレン性モノマーなど)の重合から得られる繰り返し単位を含む。
【0228】
本明細書に開示の様々な治療方法での治療で使用の多価である実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないNHE結合化合物を構築するのに有用なポリマー部分のための好ましいポリマーは、フリーラジカル重合、縮合重合、付加重合、開環重合によるなど、いずれかの適切な技術により合成され得、および/またはサッカリド重合体など、天然ポリマーから誘導され得る。さらに、いくつかの実施形態では、、いずれかのこれらのポリマー部分は、官能基化され得る。
【0229】
かかる化合物の合成に有用なポリサッカライドの例としては、セルロース材料、ヘミセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スルホエチルセルロース、デンプン、キシラン、アミロペクチン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ガウア、キサンタン、マンナン、ガラクトマンナン、キチン、および/またはキトサンを含む植物または動物源からの物質が挙げられるが、これに限定されない。少なくとも場合によって、胃腸管の生理条件下、分解しない、または有意に分解しないポリマー部分(例えば、カルボキシメチルセルロース、キトサン、およびスルホエチルセルロースなど)がより好ましい。
【0230】
フリーラジカル重合が使用されるとき、該ポリマー部分は、例えば、アクリル、メタクリル、スチレン、ビニル、およびジエンを含む様々な分類のモノマー類から合成され得、その典型例を、この後に示す:スチレン、置換スチレン、アルキルアクリレート、置換アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、置換アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル、およびその組み合わせ。これらのモノマーの官能基化バージョンも使用され得、これらのモノマーのいずれかは、コモノマーとして、他のモノマーと一緒に使用され得る。例えば、本開示中で使用され得る具体的モノマーまたはコモノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル(全異性体)、メタクリル酸ブチル(全異性体)、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリロニトリル、a−メチルスチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(全異性体)、アクリル酸ブチル(全異性体)、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アクリロニトリル、スチレン、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(全異性体)、メタクリル酸ヒドロキシブチル(全異性体)、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸トリエチレングリコール、イタコン酸無水物、イタコン酸、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル(全異性体)、アクリル酸ヒドロキシブチル(全異性体)、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸トリエチレングリコール、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールメタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン、安息香酸ビニル(全異性体)、ジエチルアミノスチレン(全異性体)、α−安息香酸メチルビニル(全異性体)、ジエチルアミノα−メチルスチレン(全異性体)、スルホン酸p−ビニルベンゼン、スルホン酸p−ビニルベンゼンナトリウム塩、アルコキシおよびアルキルシラン官能性モノマー類、マレイン酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−ブチルマレイミド、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、エチレン、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、アリルアミン、ビニルピリジン類(全異性体)、フッ素化アクリレート、メタクリレート類、およびその組み合わせ。主鎖ヘテロ原子ポリマー部分も使用され得、ポリエチレンイミンおよびポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル類も、そのコモノマーも挙げられる。
【0231】
1つの特定の実施形態では、該NHE結合小分子部分が、結合、さもなければその一部である該ポリマーは、ポリオールである(例えば、−CH(OH)−など、ヒドロキシル置換アルキルの繰り返し単位を有するポリマー)。その還元または還元可能な末端基のありなしで、モノ−およびジサッカライドなど、ポリオール類は、例えば、該化合物を、実質的に不透過性にし得る追加の官能性を導入するための良好な候補であり得る。
【0232】
1つの特定の実施形態では、該NHE結合小分子部分は、該ポリマー鎖の一端または両端と結合する。より具体的には、本開示の多価実施形態に対するさらに別の代替手法では、次の実例となる構造の1つを有する巨大分子(例えば、ポリマーまたはオリゴマー)は、本明細書に記載のように、設計および構築され得る:
【化108】
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【0233】
I.追加の実例となる化合物の一般構造
1つの実施形態では、化合物は、式(I−I)の構造を有して、提供される:
【化109】
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またはその立体異性体、プロドラッグまたは薬剤的に許容可能な塩、式中:(a)NHEは、式(A−I)の次構造を有するNHE結合小分子部分である:
【化110】
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式中:各R
1、R
2、R
3、R
5およびR
9は、独立して、H、ハロゲン、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、H、C
1〜6アルキル、−C
1〜6アルキル−OHまたは該NHE結合小分子とLとを連結する結合から成る群から選択されるが、但し、少なくとも1つは、該NHE結合小分子とLとを連結する結合であり;R
4は、H、C
1〜C
7アルキル、または該NHE結合小分子とLとを連結する結合から成る群から選択され;R
6は、存在しないか、またはHおよびC
1〜C
7アルキルから選択され;およびAr1およびAr2は、独立して、芳香族環または複素環式芳香族環であり;(b)コアは、式(B−I)の次構造を有するコア部分である:
【化111】
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式中:Xは、C(X
1)、NおよびN(C
1〜6アルキル)から選択され;X
1は、水素、置換されていてもよいアルキル、−NX
aX
b、−NO
2、−NX
c−C(=O)−NX
c−X
a、−C(=O)NX
c−X
a、−NX
c−C(=O)−X
a、−NX
c−SO
2−X
a、−C(=O)−X
aおよび−OX
aから選択され、各X
aおよびX
bは、独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいヘテロシクリルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールアルキルから選択され;Yは、C
1〜6アルキレンであり;Zは、XがCX
1であるとき、−NZ
a−C(=O)−NZ
a−、−C(=O)NZ
a−、−NZ
a−C(=O)−およびヘテロアリールから選択され;Zは、XがNまたはN(C
1〜6アルキル)であるとき、−NZ
a−C(=O)−NZ
a−、−NZ
a−C(=O)−およびヘテロアリールから選択され;および各X
cおよびZ
aは、独立して、水素およびC
1〜6アルキルから選択され;および(c)Lは、該コア部分と該NHE結合小分子部分とを連結する結合またはリンカーであり、得られたNHE結合化合物(すなわち、式(I)の化合物)は、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないようにする全体的物理化学的特性を有する。該コア部分は、該NHE結合小分子部分の本質的にいずれかの位置、または内と結合し得るが、但し、その導入は、有意に、活性に悪影響を及ぼさない。
【0234】
別の実施形態では、化合物は、式(II−I)の構造を有して提供される:
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
またはその立体異性体、プロドラッグまたは薬剤的に許容可能な塩、式中:(a)NHEは、式(A−I)の次構造を有するNHE結合小分子部分である:
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
式中:各R
1、R
2、R
3、R
5およびR
9は、独立して、H、ハロゲン、−NR
7(CO)R
8、−(CO)NR
7R
8、−SO
2−NR
7R
8、−NR
7SO
2R
8、−NR
7R
8、−OR
7、−SR
7、−O(CO)NR
7R
8、−NR
7(CO)OR
8、および−NR
7SO
2NR
8から選択され、R
7およびR
8は、独立して、H、C
1〜6アルキル、−C
1〜6アルキル−OHまたは該NHE結合小分子とLとを連結する結合から成る群から選択されるが、但し、少なくとも1つは、該NHE結合小分子とLとを連結する結合であり;R
4は、H、C
1〜C
7アルキル、または該NHE結合小分子とLとを連結する結合から成る群から選択され;R
6は、存在しないか、またはHおよびC
1〜C
7アルキルから選択され;およびAr1およびAr2は、独立して、芳香族環または複素環式芳香族環であり;(b)コアは、式(C−I)の次構造を有するコア部分である:
【化114】
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式中:Wは、アルキレン、ポリアルキレングリコール、−C(=O)−NH−(アルキレン)−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−(ポリアルキレングリコール)−NH−C(=O)−、−C(=O)−(アルキレン)−C(=O)−、−C(=O)−(ポリアルキレングリコール)−C(=O)−およびシクロアルキルから選択され;Xは、Nであり;Yは、C
1〜6アルキレンであり;Zは、−NZ
a−C(=O)−NZ
a−、−C(=O)NZ
a−、−NZ
a−C(=O)−およびヘテロアリールから選択され;各Z
aは、独立して、水素およびC
1〜6アルキルから選択され;および(c)Lは、結合または該コア部分と該NHE結合小分子とを連結するリンカーであり、得られたNHE結合化合物(すなわち、式(I)の化合物)は、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないようにする全体的物理化学的特性を有する。該コア部分は、該NHE結合小分子部分の本質的にいずれかの位置、または内と結合し得るが、但し、その導入は、有意に、活性に悪影響を及ぼさない。
【0235】
なお、本明細書に図示された構造では、該様々な連結または結合の全ては、必ずしも、全ての場合に示されるとは限らないだろう。例えば、上記図示された1つ以上の構造では、該NHE結合小分子部分および該コア部分間の結合または連結は、必ずしもいつも示されるわけではない。しかしながら、これは、限定的な意味で考えるべきではない。むしろ、該NHE結合小分子部分は、得られたNHE結合化合物が、使用に適切である(すなわち、胃腸管内で、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでない)ように、何らかの方法(例えば、結合またはある種のリンカーにより)で、該コア部分と結合または接続していると理解されるべきである。
【0236】
上記の実施形態を、以下本明細書中にさらに図示する。例えば、該化合物の様々な部分が同定されている実例となるオリゴマー化合物の下記最初の表現は、本明細書で提供される開示のため、幅広い視点を提供するように意図されている。なお、以下の構造中の各NHE結合小分子部分は同じであるが、各々が、独立して選択され、同じでも異なっていてもよいことは、本開示の範囲内である。下図で、該リンカー部分は、ポリエチレングリコール(PEG)モチーフである。PEG誘導体は、疎水性崩壊(疎水性分子が水性環境にさらされるとき、起こり得る疎水性モチーフの分子内相互作用(例えば、Wiley, R. A.; Rich, D. H. Medical Research Reviews 1993, 13(3), 327-384参照))を回避する助けとなり得るその水溶性も手伝って有利である。下図の該コア部分は、該分子に対していくらか剛性があるので、また有利であり、回転自由度を最小限に増加しながら、該NHE結合小分子部分間の距離の増大を可能とする。
【化115】
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【0237】
本開示で詳述した治療に利用され得る実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでないNHE結合化合物を設計および製造するとき、コアまたはリンカーが、一連の候補の多価(multivalent)または多価(polyvalent)化合物の製造前に、導入または結合され得るNHE結合小分子部分のありそうな結合点を、最初に決定するため、場合によって、有利であり得る。これは、官能基または該所望のコアもしくはリンカーのフラグメントを示す官能基を、該NHE結合小分子部分の様々な位置へ系統的に導入して、それから、該修飾された化合物が、所望の生物学的特性(例えば、リン酸輸送の阻害)をまだ保持しているかどうかを決定するため、これらの付加体を試験することによる公知な方法により、当業者によって実施され得る。該化合物のSARの理解は、得られた化合物の活性に、積極的に寄与するコアおよび/またはリンカーの設計も可能にする。
【0238】
コアおよびリンカーの設計で考慮される別の態様は、疎水性崩壊の制限または防止である。延長した炭化水素官能性を有する化合物は、分子内で崩壊し得、所望の生物学的標的との相互作用に対するエンタルピーバリアの増加の一因となる。従って、コアおよびリンカーを設計するとき、これらは、疎水性崩壊に対して抵抗性があるように、好ましく設計される。例えば、剛性な単環式、二環式または多環式環など構造制約は、該構造の剛性を増大するため、コアまたはリンカーに導入され得る。アルケン類およびアルキン類などの不飽和結合も、または代わりに導入され得る。かかる修飾は、該NHE結合化合物が、その標的との生産的結合に到達できることを保証し得る。さらに、該リンカーの親水性は、水素結合供与体もしくは受容体モチーフ、または胃腸内でプロトン化されるアミンもしくは脱プロトン化される酸などのイオン性モチーフの添加により改善され得る。かかる修飾は、該コアまたはリンカーの親水性を増大させて、疎水性崩壊の防止の助けとなるだろう。さらに、かかる修飾は、tPSAの増加により、得られた化合物の不透過性にも寄与するだろう。
【0239】
上記の本発明の化合物のいずれもの実施形態、および上記かかる化合物の本明細書に記載のいずれもの特定の置換基は、独立して、上記に具体的に記載されていない本発明の実施形態を形成するかかる化合物の他の実施形態および/または置換基と組み合わされ得る。加えて、置換基リストが、特定の実施形態および/または請求の範囲に、いずれもの特定の置換基について列挙されている場合では、各個々の置換基は、該特定の実施形態および/または請求の範囲から削除され得、および残った置換基リストは、本発明の範囲内であると見なされるだろうと理解される。さらに、本明細書では、置換基の組み合わせおよび/または描写された式の変数は、かかる寄与が安定な化合物をもたらす場合に限り、許容されると理解される。
【0240】
III. 実質的に全身的バイオアベイラブルな化合物
A. 化合物の物理的および性能特性
本明細書に記載の特定の化合物は、経腸投与を含むいずれかの経路による投与のとき、腎臓の組織を含む全身組織内で実質的に活性であるように設計される。経口送達を含む経腸投与のため、特定のこれらの化合物は、口腔、食道、胃、小腸、および/または大腸の上皮を含む胃腸管の上皮に対して、実質的に透過性である。「胃腸管腔」という語は、本明細書中、「管腔」という語と互換的に使用され、該対象の胃腸管上皮細胞の頂端膜により区切られた胃腸管(GI管、腸(gut)とも呼ばれる得る)内の空間または腔を表す。いくつかの実施形態では、該化合物は、胃腸管の上皮細胞層(GI上皮としても公知)経由で、実質的に吸収される。「胃腸粘膜」は、他の身体から胃腸管腔を分離する細胞層を表し、小腸の粘膜など、胃および腸の粘膜を含む。本明細書で使用されるとき、「胃腸上皮細胞」または「管腔上皮細胞」は、例えば、胃の上皮細胞、腸上皮細胞、結腸上皮細胞などを含む胃腸管の管腔に対向する胃腸粘膜表面上のいずれもの上皮細胞を表す。
【0241】
本明細書で使用されるとき、「実質的に全身的バイオアベイラブルな」および/または「実質的に透過性」(ならびに、その変化形)は、一般に、統計的に相当量、およびいくつかの実施形態で、本開示の本質的に全ての化合物が、胃腸管腔経由で血流または全身組織に入る状態を含む。例えば、本開示の1つ以上の実施形態に従えば、好ましくは、該化合物の少なくとも約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99.5%でさえが、胃腸管腔経由で血流または全身組織に入る。かかる場合、血流または全身組織への局在化は、例えば、活性および/または積極的輸送によるだけでなく、経細胞および傍細胞輸送の両方の方法により、上皮細胞の胃腸管層を横切って、化合物の正味運動を増加することを表す。かかる実施形態での該化合物は、例えば、小腸の上皮細胞の頂端膜経由で、経細胞輸送で、胃腸上皮細胞層を透過する。これらの実施形態での該化合物は、管腔を内張りする胃腸上皮細胞間の経細胞輸送で、「密着結合」経由でも透過し得る。
【0242】
しかしながら、なお、この点で、さらに、別の実施形態では、「実質的に透過性」または「実質的に全身的バイオアベイラブルな」は、胃腸管内のいくつかの限定された保持が起こることを提供または可能とする(例えば、約0.1%、0.5%、1%未満または約30%、20%、10%、5%未満、他などのいくらかの検出可能な吸収量、例えば、約1%と30%、または5%と20%、他の間である保持の範囲)。
【0243】
なお、この点で、さらに、特定の実施形態では、本発明の化合物の該実質的な透過性および/または実質的全身的なバイオアベイラビリティのため、本発明の化合物の約50%、60%、70%、80%、90%、または95%以下が、例えば、それを必要とする対象への(例えば、経腸)投与後の24、36、48、60、72、84、または96時間の期間にわたって、糞便から回収可能である。いくつかの実施形態では、投与された化合物量の約40%、30%、20%未満、または約10%未満、または約5%未満が、該対象の糞便中に存在し、回収可能である。この点で、回収された化合物は、親化合物および、例えば、加水分解、抱合、還元、酸化、N−アルキル化、グルクロン酸抱合、アセチル化、メチル化、硫酸化、リン酸化、または該親化合物に原子を追加またはから原子を除去するいずれかの他の修飾による該親化合物由来のその代謝物の総計を含み得、該代謝物は、それらが、初夏環境中に存在するとき、いずれかの酵素作用または、pH、温度、圧、または食糧との相互作用を含むいずれかの生理環境への曝露により生成される。
【0244】
化合物および代謝物の糞便回収の測定は、標準的方法を用いて実行され得る。例えば、化合物は、適切な用量(例えば、10mg/kg)で経腸的に(例えば、経口的に)投与され得、それから、糞便を投与後所定時間(例えば、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、96時間)で、収集される。親化合物および代謝物は、有機溶媒で抽出され、質量分析法を用いて、定量的に分析される。該親化合物および代謝物(親=M、代謝物1[M+16]、および代謝物2[M+32]を含む)の物質収支解析が、該糞便中の回収パーセントを決定するために使用され得る。
【0245】
(i)C
maxおよびIC
50
いくつかの実施形態では、本明細書に詳述された実質的に全身的バイオアベイラブルな化合物は、それを必要とする対象に、単独または1つ以上の追加の医薬活性化合物または薬剤と併用で投与されるとき、該化合物のリン酸イオン(Pi)輸送または摂取阻害濃度IC
50とほぼ同じまたはより大きい、C
maxと定義される、血清中で検出された最大濃度を示す。いくつかの実施形態では、該C
maxは、Pi輸送または摂取の阻害のIC
50より、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%以上大きい。いくつかの実施形態では、該C
maxは、Pi輸送または摂取の阻害のIC
50の約1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100X(100倍)である。
【0246】
なお、加えて、またはあるいは、本開示の様々な実施形態で、本明細書で詳述された1つ以上の化合物は、それを必要とする対象に投与されるとき、C
max:IC
50(Pi輸送または摂取の阻害の)の比を有し得、C
maxおよびIC
50は、同じ単位で、約または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100、または約1〜100、もしくは1〜10の範囲で表される。
【0247】
なお、加えて、またはあるいは、本開示の様々な実施形態で、本明細書で詳述された1つ以上の化合物は、それを必要とする対象に、単独または1つ以上の追加の医薬活性化合物または薬剤と併用で投与(例えば、経腸的に)されるとき、約10ng/ml、約12.5ng/ml、約15ng/ml、約17.5ng/ml、約20ng/ml、約30ng/ml、約40ng/ml、約50ng/ml、約60ng/ml、約70ng/ml、約80ng/ml、約90ng/ml、約100ng/ml、または約200ng/mlより、約または大きいC
maxを有し得、該C
maxは、例えば、約10ng/ml〜約200ng/ml、10ng/ml〜約100ng/ml、または約10ng/ml〜約50ng/mlの範囲内である。
【0248】
B. 実例となる実質的に全身的バイオアベイラブルな化合物
一般に、本開示は、NHE3と結合、と相互作用、および/またはを調節し、リン酸輸送阻害剤としての活性を有する一価または多価であり得る本質的にいずれかの小分子を包含し、胃腸管または他経路経由の投与のとき、実質的に透過性または実質的に全身的バイオアベイラブルである小分子を含み、公知のNHE結合およびNHE阻害剤化合物を含む。従って、特定の実施形態としては、NHEが、NHE結合小分子である、本明細書の他(例えば、上記)で記載の「NHE」部分により表される化合物が挙げられる。
【0249】
使用に適切な(すなわち、実質的にバイオアベイラブルな化合物としての使用に適切な)小分子としては、以下に図示のものが挙げられる。
【0250】
前述の観点で、1つの特定の実施形態では、米国特許出願第2005/0054705号(その全文(および特にその中の1〜2頁の文章)を、全ての関連および一貫性の目的のため、参照することにより、本明細書に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。1つの特に好ましい実施形態では、R
6およびR
7は、ハロゲン(例えば、Cl)であり、R
5は、低級アルキル(例えば、CH
3)であり、R
1〜R
4は、Hであり、該化合物は、例えば、構造;
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
を有する。
【0251】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の1〜2頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0252】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の49頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0253】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の118〜120および175〜177頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化120】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0254】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の129〜131頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化121】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。(なお、この点で、上記図示された該構造内の置換基Zは、本開示に従って、得られた「NHE−Z」分子を、実質的に不透過性にするために、該NHE結合小分子と結合し得る該部分Zと混同してはならない。)
【0255】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の127〜129頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。(なお、この点で、上記図示された該構造内の置換基Zは、本開示に従って、得られた「NHE−Z」分子を、実質的に不透過性にするために、該NHE結合小分子と結合し得る該部分Zと混同してはならない。)
【0256】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の134〜137頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0257】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の31〜32および137〜139頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化124】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0258】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の37〜45頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化125】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。(なお、この点で、上記図示された該構造内の置換基Zは、本開示に従って、得られた「NHE−Z」分子を、実質的に不透過性にするために、該NHE結合小分子と結合し得る該部分Zと混同してはならない。)
【0259】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の100〜102頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化126】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする(特に、その波線の結合は、可変の長さまたは可変の原子数を示す)。
【0260】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の90〜91頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化127】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0261】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許第5,900,436号(またはEP0822182B1)(その全内容(および特に、その中の第1段落目10〜55行目)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化128】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0262】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の35〜47頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化129】
[この文献は図面を表示できません]
該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0263】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の154〜155頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化130】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0264】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の132〜133頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化131】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。
【0265】
さらに別の特定の実施形態では、カナダ国特許出願第2,241,531号(または国際特許公開第WO97/24113号)(その全内容(および特に、その中の58〜65および141〜148頁)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化132】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。(なお、この点で、上記図示された該構造内の置換基Zは、本開示に従って、得られた「NHE−Z」分子を、実質的に不透過性にするために、該NHE結合小分子と結合し得る該部分Zと混同してはならない。)
【0266】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許第6,911,453号および同第6,703,405号(その全内容(および特に、第6,911,453号の第1〜7段落目および第46段落目および第6,703,405号の第14〜15段落目)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化133】
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該構造中の変数は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により本明細書中に組み入れられるものとする。上記構造に含まれる特に好ましい小分子は、さらに以下に例示される(例えば、第6,911,453号特許の実施例1、その全内容は、参照により、本明細書に具体的に組み入れられるものとする):
【化134】
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【0267】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許公開第2004/0039001号、同第2004/0224965号、同第2005/0113396号および同第2005/0020612号(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化135】
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該構造中の変数は、上記および/または1つ以上の該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により、および/または上記例示のとおり本明細書中に組み入れられる(中断された結合は、縮合複素環式環との該Y部分の結合点を示す)。特に、様々な実施形態では、XおよびYの組み合わせは、次のものであり得る:
【化136】
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【0268】
上記構造の特に好ましい実施形態では、該小分子は、一般構造:
【化137】
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を有する。
式中、R
1、R
2およびR
3は、同じでも異なっていてもよいが、好ましくは、異なっており、独立して、H、NR’R’’(式中、R’およびR’’は、本明細書の他で定義されたように、独立して、Hおよび低級アルキルなどのヒドロカルビル)および該構造:
【化138】
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から選択される。
【0269】
上記構造のより特に好ましい実施形態では、上述の構造に含まれる小分子は、下記にさらに図示される(例えば、第2005/0020612号特許出願(その全内容は、参照により、本明細書に具体的に組み入れられるものとする)の5頁の化合物I1参照):
【化139】
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【0270】
別の特に実施形態では、米国特許第6,399,824号(その全内容(および、特に、その実施例1の文章)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化140】
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該構造中、Rは、好ましくは、Hおよび(CH
3)
2NCH
2CH
2−から選択され得、Hが、様々な実施形態で、特に好ましい。
【0271】
さらに別の特定の実施形態では、米国特許第6,005,010号(および、特に、その第1〜3段落目)、および/または米国特許第6,166,002号(および、特に、その第1〜3段落目)(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化141】
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該構造中の変数(「R」)は、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により、本明細書中に組み入れられるものとする。
【0272】
別の実施形態では、実質的に全身的バイオアベイラブルな化合物としての使用に適切な該NHE結合小分子は、WO2010/025856(その全内容は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示されており、次の構造を有する。
【化142】
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該構造中の変数は、WO2010/025856(その詳細は、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に定義されている。
【0273】
さらに別の特に好ましい実施形態では、米国特許出願第2008/0194621号(その全内容(および、特に、その実施例1の文章)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化143】
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該構造中の変数(「R
1」、「R
2」および「R
3」)は、上記定義通りであり、該引用特許出願中に定義されており、その詳細は、参照により、本明細書中に組み入れられるものとする。
【0274】
さらに別の特に好ましい実施形態では、米国特許出願第2007/0225323号(その全内容(および、特に、その実施例36の文章)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
【0275】
さらに別の特に好ましい実施形態では、米国特許第6,911,453号(その全内容(および、特に、その実施例35の文章)は、関連性のある一貫性を持った全ての目的で、参照することにより本明細書中に組み入れられるものとする)に開示の次の小分子は、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合化合物としての使用に適切であり得る。
【化145】
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【0276】
本開示の1つの特に好ましい実施形態では、該小分子は:
【化146】
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から成る群から選択され得る。
【0277】
いくつかの実施形態では、実質的に全身的バイオアベイラブルなNHE結合および/または調節化合物は、次のものの1つ以上から選択される:
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
【0278】
IV. 医薬組成物および治療方法
投与の目的のため、本発明の化合物は、化学薬品原体として、患者または対象に投与または医薬組成物として、処方され得る。本発明の医薬組成物は、一般に、本発明の化合物および薬剤的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む。該化合物は、本明細書に記載の対象の特定の疾病または状態を治療するために効果的な量で、該組成物中に存在する。化合物の活性は、例えば、下記実施例で記載するように、当業者により決定され得る。適切な濃度および投与量は、当業者により、容易に決定され得る。
【0279】
本発明の化合物または組成物は、胃腸管および/または腎臓内でリン酸塩摂取阻害から利益を受けるだろう対象のいずれかの疾病または他の状態を本質的に治療するための方法で使用され得る。
【0280】
例えば、説明として、しかし限定するものではなく、腎障害は、腎臓の1αヒドロキシラーゼの産生および活性を減少して、1,25−ジヒドロキシビタミンDの低下をもたらす。ビタミンD値の減少は、血清カルシウム値の低下の原因となる胃腸カルシウム吸収を制限する。低1,25−ジヒドロキシビタミンDおよび低血清カルシウム値の併発は、PTHを産生および分泌する副甲状腺組織を相乗的に刺激する。ネフロン欠乏も、Pi排泄を損なうが、血清P値は、PTHおよびFGF−23の作用により、および尿中PO
4排泄を著しく増大する高血清P値により、活発に防御される。しかしながら、PTHおよびFGF−23の尿細管作用は、連続的ネフロン欠乏に対抗して、血清P値を維持できない。一旦、腎機能の約40〜50%の低下まで、腎不全が進行すると、機能している腎組織量の減少により、ホメオスタシス維持に要する摂取リン酸塩全量の排泄ができなくなる。結果として、高リン血症を発症する。加えて、血清P値上昇は、腎臓の1αヒドロキシラーゼ活性を妨害し、活性化ビタミンDレベルをさらに抑制し、PTHをさらに刺激して、続発性副甲状腺機能亢進症(sHPTH)に至る。
【0281】
しかしながら、リンインバランスは、必ずしも、高リン血症と同じとは限らない。むしろ、未だ透析をしていないCKD患者の大多数は、正常リン血症であるが、そのリンバランスは、異所性石灰化、例えば、内膜局在性血管石灰化の形態で、脈管構造内に溜まる過剰のリンに対して陽性である。臨床的に、CKDを罹患している患者は、腎機能低下およびカルシトリオール値低下と有意に関連するFGF−23値が上昇し、FGF−23の合成が、腎不全が継続している体内の過剰Pの存在により誘発されると仮定されている。
【0282】
さらに、循環器疾患に対する認識されていない影響は、食後リン血症、すなわち、食事摂取に続発する血清P可動域である。さらに、生体外および生体内で、内皮機能に負荷をかけるリンの急性効果について研究された。ウシ大動脈内皮細胞を、リン負荷に曝すと、反応性酸素種の産生を増加させ、公知の血管拡張剤である一酸化窒素を減少させた。上記の健康なボランティアの該急性P負荷試験で、流量依存性拡張は、食後血清Pと逆相関であることが発見された(Shuto et al., 2009b, J.Am.Soc.Nephrol, v. 20, no. 7, p. 1504- 1512)。
【0283】
従って、特定の実施形態では、本発明の化合物または組成物は、次のものの1つ以上から選択される方法で使用され得る:食後高リン血症でもよい、高リン血症の治療方法;腎疾患の治療方法(例えば、慢性腎疾患(CKD)、末期腎疾患(ESRD));血清クレアチニン値の低下方法;タンパク尿の治療方法;透析など、腎移植治療(RRT)タイミングの遅延方法;FGF23値の低下方法;活性ビタミンDの高リン血症の影響の低減方法;続発性副甲状腺機能亢進症など、副甲状腺機能亢進症の減弱方法;血清副甲状腺ホルモン(PTHまたはiPTH)の減少方法;透析間体重増加(IDWG)の減少方法;食後血清リン酸塩による誘発でもよい、内皮細胞機能不全の改善方法;血管石灰化または内膜局在性血管石灰化の減少方法;尿中リンの減少方法(例えば、胃腸作用性実質的全身的にバイオアベイラブルでない化合物の経腸投与);尿中リンの増加方法(例えば、実質的に全身的バイオアベイラブルな化合物の投与、経腸投与以外の経路による実質的全身的にバイオアベイラブルでない化合物の投与);血清リン酸塩値の正常化方法;高齢患者のリン酸負荷の減少方法;食事性リン酸塩摂取の減少方法;食後カルシウム吸収の減少方法;腎肥大の低減方法;心肥大の低減方法;および閉塞型睡眠時無呼吸の治療方法。
【0284】
いくつかの実施形態では、本発明は、食後高リン血症でもよい、高リン血症の治療;腎疾患の治療(例えば、慢性腎疾患(CKD)、末期腎疾患(ESRD));血清クレアチニン値の低下;タンパク尿の治療;透析など、腎移植治療(RRT)タイミングの遅延;FGF23値の低下;活性ビタミンDの高リン血症の影響の低減;続発性副甲状腺機能亢進症など、副甲状腺機能亢進症の減弱;血清副甲状腺ホルモン(PTHまたはiPTH)の減少;透析間体重増加(IDWG)の減少;食後血清リン酸塩による誘発でもよい、内皮細胞機能不全の改善;血管石灰化または内膜局在性血管石灰化の減少;尿中リンの減少(例えば、胃腸作用性実質的全身的にバイオアベイラブルでない化合物の経腸投与);尿中リンの増加(例えば、実質的に全身的バイオアベイラブルな化合物の投与、経腸投与以外の経路による実質的全身的にバイオアベイラブルでない化合物の投与);血清リン酸塩値の正常化;高齢患者のリン酸負荷の減少;食事性リン酸塩摂取の減少;食後カルシウム吸収の減少;腎肥大の低減;心肥大の低減;および閉塞型睡眠時無呼吸の治療のための化合物または組成物の使用を提供する。
【0285】
いくつかの実施形態では、本発明は:食後高リン血症でもよい、高リン血症の治療;腎疾患の治療(例えば、慢性腎疾患(CKD)、末期腎疾患(ESRD));血清クレアチニン値の低下;タンパク尿の治療;透析など、腎移植治療(RRT)タイミングの遅延;FGF23値の低下;活性ビタミンDの高リン血症の影響の低減;続発性副甲状腺機能亢進症など、副甲状腺機能亢進症の減弱;血清副甲状腺ホルモン(PTHまたはiPTH)の減少;透析間体重増加(IDWG)の減少;食後血清リン酸塩による誘発でもよい、内皮細胞機能不全の改善;血管石灰化または内膜局在性血管石灰化の減少;尿中リンの減少(例えば、胃腸作用性実質的全身的にバイオアベイラブルでない化合物の経腸投与);尿中リンの増加(例えば、実質的に全身的バイオアベイラブルな化合物の投与、経腸投与以外の経路による実質的全身的にバイオアベイラブルでない化合物の投与);血清リン酸塩値の正常化;高齢患者のリン酸負荷の減少;食事性リン酸塩摂取の減少;食後カルシウム吸収の減少;腎肥大の低減;心肥大の低減;および閉塞型睡眠時無呼吸の治療のための医薬製造での化合物または組成物の使用を提供する。
【0286】
いくつかの実施形態では、本発明は:食後高リン血症でもよい、高リン血症の治療;腎疾患の治療(例えば、慢性腎疾患(CKD)、末期腎疾患(ESRD));血清クレアチニン値の低下;タンパク尿の治療;透析など、腎移植治療(RRT)タイミングの遅延;FGF23値の低下;活性ビタミンDの高リン血症の影響の低減;続発性副甲状腺機能亢進症など、副甲状腺機能亢進症の減弱;血清副甲状腺ホルモン(PTHまたはiPTH)の減少;透析間体重増加(IDWG)の減少;食後血清リン酸塩による誘発でもよい、内皮細胞機能不全の改善;血管石灰化または内膜局在性血管石灰化の減少;尿中リンの減少(例えば、胃腸作用性実質的全身的にバイオアベイラブルでない化合物の経腸投与);尿中リンの増加(例えば、実質的に全身的バイオアベイラブルな化合物の投与、経腸投与以外の経路による実質的全身的にバイオアベイラブルでない化合物の投与);血清リン酸塩値の正常化;高齢患者のリン酸負荷の減少;食事性リン酸塩摂取の減少;食後カルシウム吸収の減少;腎肥大の低減;心肥大の低減;および閉塞型睡眠時無呼吸の治療のための化合物または組成物を含む医薬組成物を提供する。
【0287】
高リン血症は、血中のリン酸塩値が上昇している状態を表す。ヒト成人の平均血清リン質量は、通常、約2.5〜4.5mg/dL(約0.81〜1.45mmol/L)の範囲である。成長ホルモンの影響により、乳児では、値はしばしば、約50%高く、子供では、約30%高い。それ故、特定の方法は、高リン血症を有する成人ヒト患者の治療を含み、該患者は、約または少なくとも約4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、または5.5mg/dLの血清リン質量を有する。いくつかの態様では、該治療は、高リン血症対象の血清リン酸塩濃度または値を、正常血清リン酸塩値(例えば、成人で、2.5〜4.5mg/dLまたは0.81〜1.45mmol/L)の約150%、145%、140%、135%、130%、125%、120%、115%、110%、105%、または100%(正規)まで低下させる。いくつかの態様では、治療レジメンは、それらが、約2.5〜4.5mg/dL(約0.81〜1.45mmol/L)の範囲内を保持するように、リン酸塩値をモニターすることをもたらすおよび/または含む。子供または青年ヒト患者の治療方法も含まれ、該患者は、約または少なくとも約6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0mg/dLの血清リン質量を有する。本明細書で述べた通り、これらおよび関連する実施形態では、本明細書に記載の化合物または組成物の投与は、該対象の血清リン質量を、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、120%以上低下させ得る。
【0288】
特定の実施形態は、慢性腎疾患(CKD)、腎機能の進行性喪失により特徴付けられる状態の治療方法に関する。CKDの共通原因としては、糖尿病、高血圧、および糸球体腎炎が挙げられる。それ故、特定の方法は、CKDを罹患している対象の治療を含み、該対象は、1つ以上の前述の状態も有していてもよい。
【0289】
いくつかの態様では、対象は、もし、それらが、約3ヶ月間で、60mL/分/1.73m
2未満の糸球体濾過(GFR)を有するならば、腎臓障害も存在するかどうかで、分類される。従って、特定の方法は、約または少なくとも約60、55、50、45、40、30、35、20、25、20、15、または10mL/分/1.73m
2かそこらのGFR(例えば、治療前の初期GFR)を有する対象の治療を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物または組成物の投与は、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%以上のGFRの増加をもたらし得る。
【0290】
CKDは、最もしばしば、疾病のステージ:ステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4、およびステージ5に従って特徴付けられる。ステージ1CKDは、腎障害および正常または約90mL/分/1.73m
2以上の相対的に高いGFRを有する対象を含む。ステージ2CKDは、腎障害および約60〜89mL/分/1.73m
2のGFRを有する対象を含む。ステージ3CKDは、腎障害および約30〜59mL/分/1.73m
2のGFRを有する対象を含む。ステージ4CKDは、腎障害および約15〜29mL/分/1.73m
2のGFRを有する対象を含む。ステージ5CKDは、罹患している腎不全および約15mL/分/1.73m
2未満のGFRを有する対象を含む。ステージ5CKDは、末期腎疾患(ESRD)も表す。従って、特定の方法では、対象は、ステージ1、2、3、4、または5、CKDおよび1つ以上のその関連する臨床的特徴(例えば、定義されたGFR,腎障害)を有する。いくつかの実施形態では、該対象は、ESRDおよび本明細書に記載および当分野で公知のいずれかの1つ以上のその関連する臨床的特徴を有する。
【0291】
CKDは、腎臓の患部に従って特徴付けられ得る。例えば、特定の態様では、CKDとしては、両側腎動脈狭窄などの大血管疾患、および虚血性腎症、溶血性尿毒症症候群および血管炎などの小血管疾患を含む血管関連性CKDが挙げられる。特定の態様では、CKDとしては、巣状分節性糸球体硬化症およびIgA腎炎などの原発性糸球体疾患および糖尿病性腎症およびループス腎炎などの続発性糸球体疾患を含む糸球体関連性CKDが挙げられる。多発性嚢胞腎、薬物および毒素誘発性慢性尿細管間質性腎炎、および逆流性腎症を含む尿管間質性関連CKDも挙げられる。従って、CKDを治療される特定の対象は、1つ以上の前述のCKDに関連した特徴を有し得る。
【0292】
特定の態様は、腎障害または腎障害の1つ以上の症状/臨床徴候を有する対象の治療方法に関する。腎障害(例えば、CKD関連腎障害)およびその関連症状の例としては、血液検査(例えば、クレアチニンの高い血中または血清値、クレアチニンクリアランス)、尿検査(例えば、タンパク尿)、および/または画像診断で確認される異常を含む病理学的異常および障害のマーカーが挙げられる。
【0293】
クレアチニンは、筋肉内のリン酸クレアチンの分解生成物であり、腎健康の簡単に測定される有用な指標を提供する。血中または血清クレアチニンの正常なヒト基準範囲は、女性で、約0.5〜1.0mg/dL(約45〜90μmol/l)、男性で、約0.7〜1.2mg/dL(約60〜110μmol/l)の範囲にある。それ故、本明細書に記載の方法に従った治療の特定の対象は(例えば、治療前、初期)、約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0mg/dL以上である血中または血清クレアチン値を有し得る。これらおよび関連する実施形態では、本明細書に記載の化合物または組成物の投与は、対象の全体的血中または血清クレアチニン値を、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上低下させ得る。
【0294】
クレアチニンクリアランス率(C
CrまたはCrCl)は、単位時間当たりのクレアチニンの排泄される血漿量を表す;ある期間(例えば、24時間)にわたって、尿中に対して、血中クレアチニン値を比較することにより測定される。クレアチニンクリアランスは、しばしば、ミリリットル/分(ml/分)または体重の関数(ml/分/kg)として測定される。実施試験に依存して、正常値は、男で、約97〜137ml/分、女で、約88〜128ml/分の範囲である。クレアチニンクリアランス低下は、腎障害の有用な徴候を提供する。それ故、本明細書に記載の方法に従った治療の特定の男性対象は(例えば、治療前、初期)、約または約97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50以下より小さいC
Crを有し得る。本明細書に記載の方法に従った治療の特定の女性対象は(例えば、治療前、初期)、約または約88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、47、46、45、44、43、42、41、40以下より小さいC
Crを有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物または組成物の投与は、対象の該C
Crを、維持または約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上増加させ得る。
【0295】
タンパク尿は、尿中の過剰なタンパク質の状態を表す。それは、腎障害を含む様々な疾病と関連している。タンパク尿は、しばしば、約45mg/mmolより大きい尿中タンパク質/クレアチニン比として、または特異的試験で、約30mg/mmolより大きいアルブミン/クレアチン比として特徴付けられる。本明細書で提供される方法に従った治療の特定の対象(例えば、治療前)は、単独またはCKDもしくは他の腎障害を併発して、タンパク尿症を有し、約45,50、55,60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、または120mg/mmol以上の尿中タンパク質/クレアチニン比および/または約30、35、40、50、55,60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、または120mg/mmol以上の尿中アルブミン/クレアチニン比を有する対象を含む。これらおよび関連する実施形態では、本明細書に記載の化合物または組成物の投与は、例えば、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上、該尿中タンパク質/クレアチニン比および/または尿中アルブミン/クレアチニン比を低下させることにより、タンパク尿症を治療し得る。
【0296】
CKDは、様々な臨床症状と関連している。例としては、高血圧(高血圧症)、尿素蓄積、高カリウム血症、貧血症、高リン血症、低カルシウム血症、代謝性アシドーシス、および粥状動脈硬化が挙げられる。従って、特定の方法で、CKDを有する対象は、1つ以上の前述の臨床症状も有し得るまたは有するリスクがあり得る。特定の態様では、該CKDを有する対象は、本明細書に記載のように、高リン血症を有するまたは有するリスクがある。
【0297】
腎移植治療(RRT)は、CKDおよびESRDの後期ステージで開始されるものを含む腎不全に対する様々な生命維持治療に関する。RRTの例としては、透析、血液透析、血液濾過、および腎移植が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従った治療の対象は、1つ以上の種類のRRTをまさに経験しようとしている、経験している、または経験したことがある。いくつかの実施形態では、該対象は、RRTを未だ経験しておらず、本明細書で記載の化合物の投与は、約または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週間、または約または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月、または約または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12年以上RRTを開始するタイミングを遅延させる(例えば、未治療の場合と比較して)。
【0298】
線維芽細胞成長因子23(FGF23)は、リンおよびビタミンD代謝を調節する。それは、高リン酸尿症を促進し、カルシトリオールの産生も減少させる。FGF23値の上昇は、死亡率、左室肥大(または左室心筋重量係数)、心筋作用、内皮細胞機能不全、およびCKDの進行と関連する。実際、FGF23値は、正常リン酸塩値または正常リンバランスを維持するため、おそらく、生理的適応として、早期CKDにおいて、進行性に増加する。FGF23値は、心臓、血管、および腎臓の組織障害に対して、直接的に寄与もするはずである。従って、特定の実施形態は、CKDを罹患している対象および透析/血液透析を経験している対象を含む、血中または血清のFGF23値上昇を有する対象の治療に関する(例えば、Kirkpantur et al., Nephrol Dial Transplant. 26: 1346-54, 2011参照)。いくつかの態様では、本明細書で記載の化合物または組成物の投与は、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上、血中または血清中のFGF23値の対数を減少させる。
【0299】
ビタミンDは、とりわけ、小腸内のリン酸イオンの吸収を刺激する。それ故、ビタミンDの過剰値または活性は、リン酸塩値上昇および高リン血症の原因となり得る。従って、特定の実施形態は、例えば、ビタミンDの値または活性の上昇している対象の活性ビタミンDの該高リン血症の効果を減少させる方法に関する。いくつかの態様では、該対象は、ビタミンDの過剰摂取によるビタミンD毒性を有する。
【0300】
副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺が、副甲状腺ホルモン(PTH)を産生し過ぎる障害である。続発性副甲状腺機能亢進症は、低カルシウム血症および関連する副甲状腺肥大に応じた、PTHの過剰分泌により特徴付けられる。CKDは、一般に、腎臓が、十分なビタミンDを、その活性型に転換し損なって、十分なリン酸塩を排泄するので、続発性副甲状腺機能亢進症の最も共通な原因である。不溶性リン酸カルシウムは、体内で生成され、従って、循環からカルシウムを除去して、低カルシウム血症をもたらす。それから、副甲状腺は、血清カルシウム値を増加させようとして、PTHの分泌をさらに増加する。従って、本明細書で提供される方法に従った治療の特定の対象は、CKD、高リン血症、低カルシウム血症、または本明細書で記載の他の状態もしくは症状を合併していてもよく、副甲状腺機能亢進症および/またはPTH値上昇を(例えば、治療前、初期に)発症し得る。いくつかの態様では、本明細書で記載の化合物または組成物の投与は、それを必要とする対象の続発性副甲状腺機能亢進症を含む副甲状腺機能亢進症を低減させ得る。いくつかの態様では、本明細書で記載の化合物または組成物の投与は、例えば、血清リン酸塩値および不溶性リン酸カルシウムの関連した生成の低減、有効カルシウムの増加、およびそれによるPTHの低カルシウム血症誘発性産生の減少により、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上、PTH値を低下させ得る。
【0301】
特定の実施形態では、本明細書で記載の化合物、例えば、Piの輸送ならびにナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの両方を阻害する二重活性化合物の投与は、CKDを罹患している対象に対して、複数の治療効果を提供し得る。場合によって、該二重活性化合物の投与は、未治療状態と比較して、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上FGF23値の対数および血清副甲状腺ホルモン(PTH)を低下させ、血圧を低下させて、未治療状態と比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上タンパク尿を低下させる。
【0302】
特定の実施形態では、本明細書で記載の化合物、例えば、Piの輸送ならびにナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの両方を阻害する二重活性化合物の投与は、ESRD(またはステージ5のCKD)を罹患している対象に対して、複数の治療効果を提供し得る。具体的事例では、二重活性化合物の投与は、未治療状態と比較して、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上、血清リン酸塩濃度または値を低下させ、未治療状態と比較して、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上、透析間体重増加(IDWG)を減少させる。IDWGは、透析前、透析中、または透析後、日常的に評価される容易に測定可能なパラメーターである(Sarkar et al., Semin Dial. 19:429-33, 2006参照)。
【0303】
高リン血症は、血管石灰化とは無関係に、健康な対象および腎疾患を有するものの両方の内皮細胞機能不全をもたらし得る(例えば、Di Marco et al., Kidney International. 83:213-222, 2013参照)。食事性リン酸塩制限またはリン吸着薬による血清リン酸塩値の管理は、かかる対象が、循環器疾患に罹ることを予防し得る。研究により、食事性リン酸塩制限は、内皮一酸化窒素合成酵素およびAktの活性型リン酸化の増加により、大動脈内皮細胞機能不全(例えば、高リン血症を合併しているCKDで)を改善し得ることも示した(例えば、Van et al., J Clin Biochem Nutr. 51 :27-32, 2012参照)。本明細書で提供される方法に従った治療の特定の対象は、高リン血症、腎疾患、または本明細書で記載のいずれか他の状態を合併してもよく、内皮細胞機能不全を有し得るまたは有するリスクがあり得る。単独または食事性リン酸塩制限と組み合わせて、食後または食事性リン酸塩摂取を減少することにより、本明細書で記載の化合物または組成物の投与は、内皮細胞機能不全に罹るリスクを低減し得る、または食後血清リン酸塩により誘発される内皮細胞機能不全を含む、既に罹っている内皮細胞機能不全を改善し得る。
【0304】
高リン血症は、血管石灰化の主要な誘導因子である(Giachelli, Kidney Int. 75:890-897, 2009参照)。リン酸カルシウム沈着は、ほとんどは、アパタイトの形態で、血管石灰化の特徴であり、血管、心筋、および心臓弁で起こり得る。骨外性組織のリン酸カルシウムの消極的沈着と一緒に、無機リン酸塩は、脈管構造中の中膜の「骨形成」により、直接的に動脈石灰化も誘発し得る。さらに、血管平滑筋細胞は、骨軟骨形成原表現型変化を起こすおよびナトリウム依存性リン酸塩共トランスポーターを要する機構によるそれらの細胞外マトリックスを石灰化することにより、リン酸塩値上昇に対して応答する。
【0305】
内膜石灰化は、通常、動脈硬化病変内で見られる。中膜石灰化は、通常、加齢粥状動脈硬化および糖尿病で観察され、ESRDで観察される石灰化の主要形態である。実際、動脈壁および軟部組織の広範な石灰化は、ESRDを罹患しているものを含む、CKDを罹患している患者の高頻度の特徴である。弁では、石灰化は、大動脈弁狭窄の定義的特徴であり、炎症および機械的負荷の部位で優性に、小葉状および環状の両方で起こる。これらの機械的変化は、動脈拍動波速度および脈圧上昇と関連し、障害性動脈伸展性をもたらし、左室肥大を起こす後負荷を増大して、冠灌流を損なう(Guerin et al., Circulation. 103:987-992, 2001参照)。従って、内膜および中膜石灰化の両方は、循環器疾患と関連する罹患率および死亡率に寄与し得、CKDおよびESRD患者で観察される心血管死亡率リスクの有意な増加に対する主要な寄与体である傾向にある。従って、血清リン酸塩の制御は、カルシウム/リン酸塩産生物の生成を減少し、それにより、血管石灰化を減少し得る。従って、本明細書で提供される方法に従った治療の特定の対象は、高リン血症、CKD、およびESRDのいずれかを合併してもよく、内膜および/または中膜石灰化を含む血管石灰化に罹っているまたは罹るリスクがあり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の化合物または組成物の投与は、それを必要とする対象の血管石灰化に罹るリスクを減少またはその生成もしくはレベルを減少する。特定の実施形態では、本明細書で記載の化合物または組成物の投与は、例えば、未治療状態と比較して、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上、血管石灰化を減少させ得る。
【0306】
高齢患者は、特に、リン酸塩上昇に罹り易い。例えば、食事性および遺伝子操作研究は、リン酸塩毒素が、老化過程を加速する生体内エビデンスを提供し、哺乳類老化でのリン酸塩の新規な役割を示唆している(例えば、Ohnishi and Razzaque, FASEB J. 24:3562-71, 2010参照)。これらの研究は、過剰なリン酸塩が、脊柱後弯症、非強調運動、性腺機能低下症、不妊症、骨格筋喪失、肺気腫および骨減少症、ならびに皮膚、腸、胸腺、および脾臓の全身性萎縮症を含む早期老化の多くの徴候と関連する。従って、特定の実施形態は、本明細書に記載の化合物を、高齢患者に投与することを含む、例えば、早期老化の1つ以上の徴候を減少するため、該高齢患者のリン酸塩負荷の減少に関する。場合によっては、高齢患者は、約または少なくとも約60、61、62、63,64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100以上の年齢である。
【0307】
肥大は、その構成細胞の拡大のため、臓器または組織の体積の増大を表す。高リン血症は、左室肥大を含む心筋肥大(Neves et al., Kidney Int. 66:2237-44, 2004; and Achinger and Ayus, Am Soc Nephrol. 17(12 Suppl 3):S255-61, 2006参照)および糸球体肥大を含む代償性腎肥大と関連し、後者は、CKDにおいて、しばしば観察される。本明細書で提供される方法に従った治療の特定の対象は、単独またはCKDもしくは腎障害と合併して、心筋肥大、腎肥大、または両方を有し得る(例えば、治療前、初期)。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の化合物の投与は、未治療状態と比較して、約または少なくとも約5%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%以上、心筋肥大および/または腎肥大を減少させ得る。
【0308】
睡眠時無呼吸は、睡眠中の呼吸または異常に低い呼吸の異常な休止により特徴付けられる睡眠障害である。呼吸の休止は、無呼吸と呼ばれ、低い呼吸イベントは、減呼吸と呼ばれる。これらのイベントは、秒スケールから分スケールまで持続し得、1時間内に何度も(例えば、1時間に、>30回)起こり得る。無呼吸−減呼吸指数(AHI)は、無呼吸または減呼吸の総数を睡眠時間数で割って、算出される。軽度、中度、および重度睡眠時無呼吸は、それぞれ、AHI5〜14、15〜29および≧30イベント/時と定義される。閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠時無呼吸の最も一般的なタイプである。OSAでは、呼吸が、気道中の軟部組織壁の虚脱時に妨げられ、身体の筋緊張が、睡眠中、通常に弛緩するときに起こる。慢性重度OSAは、低酸素血症(低血中酸素)、睡眠遮断、および心血管系合併症を含む他の合併症をもたらし得る。さらに、高血圧または糖尿病でないものを含む重度OSA患者では、CKDが高率発生する。有意な正相関も、OSAの重症度および腎機能障害の間で見られる(Chou et al., Nephrol. Dial. Transplant. 0: 1-6, 2011参照)。さらに、急性低酸素症は、タンパク尿、腎障害または機能障害の徴候と関連する(Luks et al., J Am Soc Nephrol. 19:2262-2271, 2008参照)。従って、OSAおよび低酸素症は、腎機能障害と関連し、OSAは、CKDの独立型のリスク因子と見なされる(Chou et al.、上記)。従って、本明細書で提供される方法に従った治療の特定の対象は、単独またはCKDもしくは腎障害の他症状を合併して、OSAを有し得る。OSAを有する対象への本明細書に記載の化合物または組成物の投与は、約または少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%以上、AHIを減少させ得る。
【0309】
純粋な形態または適切な医薬組成物での、本発明の化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩の投与は、同様な有用性に役立てるため、薬剤の許容されるいずれかの投与方法により実行され得る。本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を、適切な薬剤的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせることにより調製され得、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、ミクロスフェア剤、およびエアロゾル剤など、固体、半固体、液体またはガス状の形態で製薬に処方され得る。かかる医薬組成物を投与する通常の経路としては、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、口腔、直腸、腟内、および鼻腔内が挙げられるが、これに限定されない。本明細書で使用されるとき、非経口という語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または点滴技術が挙げられるが、これに限定されない。本発明の医薬組成物は、それに含まれる活性成分を、患者への該化合物の投与のとき、バイオアベイラブルであるように処方される。対象または患者へ投与されるだろう組成物は、1つ以上の投薬単位の形態を取り、例えば、錠剤が、単一投薬単位であり得、エアロゾル体の本発明の化合物の容器には、複数の投薬単位が入り得る。かかる投薬形態を製薬する実際の方法は、公知である、または当業者には明らかであろう;例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition(Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000)。投与される該組成物は、いずれにしても、本発明の教示に従って、対象の疾病または状態の治療のため、本発明の化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩の医薬効果量を含むだろう。
【0310】
本発明の医薬組成物は、固体または液体の形態であり得る。1つの態様では、該担体は、該組成物が、例えば、錠剤または散剤の形態であるように、微粒子である。該担体は、例えば、経口シロップ剤、注射可能な液剤または、例えば、吸入投与で有用であるエアロゾル剤である該組成物を含む液剤であり得る。
【0311】
経口投与用に意図されるとき、該医薬組成物は、好ましくは、個体または液体のいずれかであり、半固体、半液体、懸濁液およびゲルの形態は、固体または液体のいずれかとして、本明細書で考慮される形態内に含まれる。
【0312】
経口投与用固体組成物として、該医薬組成物は、散剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューイングガム剤、ウエハー剤または同様の形態に処方され得る。かかる固体組成物は、通常、1つ以上の不活性な希釈剤または食用担体を含むだろう。加えて、次のものの1つ以上が存在し得る:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなどの充填剤;デンプン、ラクトースまたはデキストリンなどの賦形剤、アルギニン酸、アルギニン酸ナトリウム、プリモゲル(Primogel)、トウモロコシデンプンおよび同様のものなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロテックス(Sterotex)などの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料などの香味料;および着色剤。
【0313】
該医薬組成物が、カプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態であるとき、上記型の物質に加えて、ポリエチレングリコールまたは油などの液体担体を含み得る。
【0314】
該医薬組成物は、液剤、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、乳剤または懸濁剤の形態であり得る。該液剤は、2例として、経口投与用または注射による送達用であり得る。経口投与用に意図されるとき、好ましい組成物は、本化合物に加えて、1つ以上の甘味料、保存料、色素/着色剤および調味料を含む。注射による投与されることを意図される組成物では、1つ以上の界面活性剤、保存料、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤および等張剤が含まれ得る。
【0315】
本発明の該液剤医薬組成物は、それらが、液剤、懸濁剤または他の同様の形態であるかどうかにかかわらず、1つ以上のアジュバントを含み得る:注射用水、食塩水、好ましくは、生理食塩水、リンゲル溶液、等張食塩水などの無菌希釈剤、溶媒または懸濁媒として役立ち得る合成モノもしくはジグリセリド類などの固定油、ポリエチレングリコール類、グリセリン、プロピレングリコールまたは他溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性調節剤。非経口製剤は、アンプル剤、ディスポーザブル注射器またはガラスもしくはプラスチック製複数回投与バイアル中に封入され得る。生理食塩水は、好ましいアジュバントである。注射可能な医薬組成物は、好ましくは無菌である。
【0316】
非経口または経口投与のいずれか用に意図された本発明の液剤医薬組成物は、適切な投薬量が得られるように、本発明の化合物量を含むべきである。
【0317】
本発明の医薬組成物は、局所投与用に意図され得、その場合、該担体は、液剤、乳剤、軟膏剤またはゲル剤ベースを適切に含み得る。該基剤は、例えば、1つ以上の次のものを含み得る:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール類、蜜蝋、鉱油、水およびアルコールなどの希釈剤、ならびに乳剤および安定剤。増粘剤は、局所投与用医薬組成物中に存在し得る。もし、経皮投与用に意図されるならば、該組成物は、経皮貼布またはイオン泳動装置を含み得る。
【0318】
本発明の医薬組成物は、例えば、直腸内で融解して薬物を放出する坐剤の形態で、直腸投与用に意図され得る。直腸用組成物は、適切な非刺激性賦形剤として油性基剤を含み得る。かかる基剤としては、ラノリン、カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられるがこれに限定されない。
【0319】
本発明の医薬組成物は、固体または液体投薬単位の物理的形態を修飾する様々な物質を含み得る。例えば、該組成物は、該活性成分の周りにコーティング殻を形成する物質を含み得る。コーティング殻を形成する物質は、通常、不活性であり、例えば、糖、セラック、および他の腸溶コーティング剤から選択され得る。あるいは、該活性成分は、ゼラチンカプセル内に封入され得る。
【0320】
固体または液体の本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と結合して、それにより、該化合物の送達を援助する薬剤を含み得る。この能力で作用し得る適切な薬剤としては、モノクロナールまたはポリクロナール抗体、タンパク質またはリポソームが挙げられる。
【0321】
本発明の医薬組成物は、エアロゾル剤として投与され得る投薬単位から成り得る。エアロゾルという語は、コロイド的性質のものから加圧包装から成る系の範囲の様々なシステムを示すために使用される。送達は、液化性もしくは圧縮ガスまたは該活性成分を分注する適切なポンプシステムによるものであり得る。本発明の化合物のエアロゾル剤は、該活性成分を送達するため、単相、二相、または三相系で送達され得る。該エアロゾル剤の送達は、必要な容器、活性化剤、バルブ、サブ容器、および同様のものを含み、それらは、一緒に、キットを形成し得る。当業者は、過度の実験なしで、好ましいエアロゾル剤を決定し得る。
【0322】
本発明の医薬組成物は、医薬分野で周知の方法により、製剤され得る。例えば、注射により投与されることを意図された医薬組成物は、液剤を生成するために、本発明の化合物を、無菌蒸留水と混合することにより製剤され得る。界面活性剤は、均一な液剤または懸濁剤の生成を促進するため、添加され得る。界面活性剤は、該水性送達系中、該化合物の溶解または均一な懸濁を促進するために、本発明の化合物と、非共有結合で相互作用する化合物である。
【0323】
本発明の化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩は、使用される具体的化合物の活性;該化合物の代謝安定性および作用の長さ;患者の年齢、体重、一般健康状態、性別、および食事;投与の方法および回数;排泄速度;薬物の併用;特定の障害または状態の重症度;および対象の治療歴を含む様々な因子に依存して異なるだろう治療効果量で、投与される。
【0324】
特定の実施形態では、該実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物の通常の投薬量は、約0.2mg/日および約2g/日の間、または約1mg/日および約1g/日の間、または約5mgおよび約500mgの間、または約10mgおよび約250mg/日の間であり得、治療を必要とする対象に投与される。
【0325】
本明細書に記載の化合物および組成物の投与頻度は、1日1回(QD)〜1日2回(BID)または1日3回(TID)、他で変わり得、投与の正確な頻度は、例えば、患者の状態、投薬量、他で変わる。
【0326】
本発明の化合物、またはその薬剤的に許容可能な誘導体は、1つ以上の他の治療薬または生物活性剤、栄養補助食品、またはそのいずれかの組み合わせの投与と同時に、前に、または後にも投与され得る。かかる併用療法としては、本発明の化合物および1つ以上の追加の活性剤を含む単一医薬用量処方物の投与、ならびに、本発明の該化合物およびその独自の個別の医薬用量処方物中の各活性剤の投与が挙げられる。例えば、本発明の化合物および他の活性剤は、錠剤もしくはカプセル剤、または別々の経口用量処方物で投与される各薬剤など、単一経口用量組成物で、一緒に、該患者に投与され得る。別々の用量処方物が使用される場合、本発明の化合物および1つ以上の追加の活性剤は、本質的に同じタイミング、すなわち、同時に、または別々にずれたタイミング、すなわち、引き続いて投与され得;併用療法は、全てのこれらのレジメンを含むと考えられる。
【0327】
例えば、特定の実施形態では、本発明の医薬組成物(または方法)に含まれる該追加の生物活性剤は、例えば、ビタミンD
2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD
3(コレカルシフェロール)、活性ビタミンD(カルシトリオール)および活性ビタミンD類似体(例えば、ドキセルカルシフェロール、パリカルシトール)から選択される。
【0328】
他の特定の実施形態では、本発明の医薬組成物(または方法)に含まれる該追加の生物活性剤は、セベラマー(例えば、Renvela(登録商標)(セベラマー炭酸塩)、Renagel(登録商標)(セベラマー塩酸塩)、炭酸ランタン(例えば、Fosrenol(登録商標))、炭酸カルシウム(例えば、Calcichew(登録商標)、Titralac(登録商標))、酢酸カルシウム(例えば、PhosLo(登録商標)、Phosex(登録商標))、酢酸カルシウム/炭酸マグネシウム(例えば、Renepho(登録商標)、OsvaRen(登録商標))、MCI−196、クエン酸第二鉄(例えば、Zerenex(商標))、ヒドロキシ炭酸マグネシウム鉄(例えば、Fermagate(商標))、水酸化アルミニウム(例えば、Alucaps(登録商標)、Basaljel(登録商標))、APS1585、SBR−759、およびPA−21および同様のものなどのリン吸着薬である。
【0329】
いくつかの態様では、該化合物は、輸送阻害剤の有効性および単独で投与されるリン吸着薬の有効性の総和より高い有効性を得ることにより、リン吸着薬と相乗的に作用し得る。理論に縛られることを望むものではないが、該相乗性は、リン酸輸送阻害剤およびリン吸着薬の作用の異なる機序からもたらされると思われる。より具体的には、リン吸着薬が、腸管腔内の遊離リン酸イオンを隔離するのに対して、リン酸輸送阻害剤は、リン酸塩の上皮内部輸送を遮断する。
【0330】
リン吸着薬の有効性は、その生体内結合能力より測定されるとき(吸着薬のグラム当たりの結合リン酸イオンのモル数)は:i)結合部位の密度(すなわち、ポリマー性アミン物質であるRenvela(登録商標)(セベラマー)のアミン基;またはフォスロ(登録商標)(酢酸カルシウム)またはホスレノール(炭酸ランタン)のカルシウムもしくはランタンなどの多価カチオン);およびii)リン酸イオンに対する前記結合部位の親和性により、本質的に表される。特に、該結合部位の画分のみが、胆汁酸および脂肪酸など、他アニオンとして、生体内で結合するリン酸塩に使用可能であり、該結合部位を得るために競合し、それ故、有効性はより低い。結合したリン酸イオンは、腸管腔内で、遊離リン酸塩と平衡状態にあり、それ自体、上皮を並べるリン酸輸送タンパク質から激しいポンピングを受ける。実験により、リン酸塩腸吸収の有効性は、上皮に提示されるリン酸塩の95%を超えて、著しく高い。リン酸塩の活性輸送は、管腔の遊離リン酸塩濃度を低下させ、それ故、リン吸着薬の結合平衡を、より低い結合能力に至らせるのに寄与していると考えられる。リン酸輸送阻害剤を用いた、リン酸塩腸管輸送の減少により、リン酸塩隔離剤のより高い生体内結合能力を回復するとも考えられる。活性リン酸輸送の寄与が、例えば、NaPi2b発現を促進する薬剤、ビタミンD治療の結果として、増加するとき、該相乗効果が、なおさら明白であると思われる。
【0331】
いくつかの実施形態では、該追加の生物活性剤は、腸管ナトリウム依存性リン酸トランスポーターの阻害剤(NaPi2b阻害剤)である。NaPi2b阻害剤の例は、例えば、国際出願第PCT/US2011/043267号;同第PCT/US2011/043261号;同第PCT/US2011/043232号;同第PCT/US2011/043266号;および同第PCT/US2011/043263号;および米国特許第8,134,015号(その各々は、その全文を参照することにより、組み入れられるものとする)中に、見られ得る。
【0332】
特定の実施形態では、該追加の生物活性剤は、ナイアシンまたはニコチンアミドである。
【0333】
本明細書では、図示された式の置換基および/または変数の組み合わせは、かかる寄与が、安定または合理的に安定な化合物を結果として得られるときに限って、許容される。
【0334】
本明細書に記載の方法で、中間体化合物の官能基は、適切な保護基により保護される必要があり得ることも、当業者により理解されるだろう。かかる官能基としては、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、およびカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシの適切な保護基としては、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが挙げられる。アミノ、アミジノおよびグアニジノの適切な保護基としては、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。メルカプトの適切な保護基としては、−C(O)−R’’’(式中、R’’は、アルキル、アリールまたはアリールアルキルである)、p−メトキシベンジル、トリチルなどが挙げられる。カルボン酸の適切な保護基としては、アルキル、アリールまたはアリールアルキルエステルが挙げられる。保護基は、当業者に公知および本明細書に記載の標準的技術に従って、添加または除去され得る。保護基の使用は、Green, T.W. and P.G.M. Wutz, Protective Groups in Organic Synthesis (1999), 3rd Ed., Wileyに詳細に記載されている。当業者が理解するはずであるように、該保護基は、Wang樹脂、Rink樹脂または2−クロロトリチルクロリド樹脂など、ポリマーでもあり得る。
【0335】
本発明の化合物のかかる保護誘導体は、それ自体、医薬活性を有しなくてもよいが、それらは、哺乳類に投与され得、その後に、体内で代謝されて、医薬活性である本発明の化合物を生成することも、当業者により、理解されるだろう。従って、かかる誘導体は、「プロドラッグ」として、説明され得る。本発明の全プロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
【0336】
さらに、遊離塩基または酸形態で存在する本発明の全化合物は、当業者に公知の方法により、適切な無機または有機塩基または酸での処理により、その薬剤的に許容可能な塩に転換され得る。本発明の化合物の塩は、標準的技術により、その遊離塩基または酸の形態に転換され得る。
定義および用語
【0337】
「アミノ」は、−NH
2ラジカルを表す。
【0338】
「アミノカルボニル」は、−C(=O)NH
2ラジカルを表す。
【0339】
「カルボキシ」は、−CO
2Hラジカルを表す。「カルボキシレート」は、その塩またはエステルを表す。
【0340】
「シアノ」は、−CNラジカルを表す。
【0341】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OHラジカルを表す。
【0342】
「イミノ」は、=NHラジカルを表す。
【0344】
「オキソ」または「カルボニル」は、=Oラジカルを表す。
【0345】
「チオキソ」は、=Sラジカルを表す。
【0346】
「グアニジニル」(または「グアニジン」)は、−NHC(=NH)NH
2ラジカルを表す。
【0347】
「アミジニル」(または「アミジン」)は、−C(=NH)NH
2ラジカルを表す。
【0348】
「ホスフェート」は、−OP(=O)(OH)
2ラジカルを表す。
【0349】
「ホスホネート」は、−P(=O)(OH)
2ラジカルを表す。
【0350】
「ホスフィネート」は、−PH(=O)OHラジカルを表し、R
aは、独立して、本明細書に定義されたアルキル基である。
【0351】
「スルフェート」は、−OS(=O)
2OHラジカルを表す。
【0352】
「スルホネート」または「ヒドロキシスルホニル」は、−S(=O)
2OHラジカルを表す。
【0353】
「スルフィネート」は、−S(=O)OHラジカルを表す。
【0354】
「スルホニル」は、−SO
2−基を含む部分を表す。例えば、「アルキルスルホニル」または「アルキルスルホン」は、−SO
2−R
a基(式中、R
aは、本明細書で定義されたアルキル基である)を表す。
【0355】
「アルキル」は、1〜12個の炭素原子(C
1〜12アルキル)、好ましくは、1〜8個の炭素原子(C
1〜8アルキル)または1〜6個の炭素原子(C
1〜6アルキル)を有し、飽和または不飽和(すなわち、1つ以上の二重および/または三重結合を含む)であり、および一重結合により、分子の残部と結合している、単に、炭素および水素原子から成る直鎖または分岐鎖炭化水素鎖ラジカルを表す(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(iso−プロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、エテニル、プロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ペンタ−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなど)。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、アルキル基は、置換されていてもよい。
【0356】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」は、飽和または不飽和(すなわち、1つ以上の二重および/または三重結合を含む)であり、1〜12個の炭素原子を有する、単に、炭素および水素から成り、ラジカル基と分子残部とを連結する直鎖または分岐鎖二価炭化水素鎖を表す(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n−ブテニレン、プロピニレン、n−ブチニレンなど)。該アルキレン鎖は、一重または二重結合により該分子残部と、および一重または二重結合により該ラジカル基と結合する。該アルキレン鎖と、該分子残部および該ラジカル基との結合点は、該鎖内の1個の炭素またはいずれかの2個の炭素経由であり得る。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、アルキレン鎖は、置換されていてもよい。
【0357】
「アルコキシ」は、式−OR
a(式中、R
aは、1〜12個の炭素原子を含む、上記定義されたアルキルラジカルである)のラジカルを表す。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、アルコキシ基は、置換されていてもよい。
【0358】
「アルキルアミノ」は、式−NHR
aまたは−NR
aR
a(式中、R
aは、独立して、1〜12個の炭素原子を含む、上記定義されたアルキルラジカルである)のラジカルを表す。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、アルキルアミノ基は、置換されていてもよい。
【0359】
「チオアルキル」は、式−SR
a(式中、R
aは、1〜12個の炭素原子を含む、上記定義されたアルキルラジカルである)のラジカルを表す。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、チオアルキル基は、置換されていてもよい。
【0360】
「アリール」は、水素、6〜18個の炭素原子および少なくとも1つの芳香族環を含む炭素環構造ラジカルを表す。本発明の目的のため、該アリールラジカルは、縮合または架橋環構造を含んでもよい単環式、二環式、三環式または四環式環構造であり得る。アリールラジカルとしては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレンおよびトリフェニレン由来のアリールラジカルが挙げられるが、これに限定されない。特に、別段の定めをした場合を除き、「アリール」という語または接頭辞「ar−」(「アラルキル」中など)は、置換されていてもよいアリールラジカルを含むものとする。
【0361】
「アラルキル」は、式−R
b−R
c(式中、R
bは、上記定義されたアルキレン鎖であり、R
cは、上記定義された1つ以上のアリールラジカル、例えば、ベンジル、ジフェニルメチルなどである)のラジカルを表す。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、アラルキル基は、置換されていてもよい。
【0362】
「シクロアルキル」または「単環式環」は、単に、炭素および水素から成り、3〜15個の炭素原子、好ましくは、3〜10個の炭素原子を有する、縮合または架橋環構造を含んでもよい、飽和または不飽和であり、一重結合により分子残部と結合している、安定な非芳香族単環式または多環式炭化水素ラジカルを表す。単環式ラジカルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。多環式ラジカルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、シクロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0363】
「シクロアルキルアルキル」は、式−R
b−R
d(式中、R
dは、上記定義されたアルキレン鎖であり、R
gは、上記定義されたシクロアルキルラジカルである)のラジカルを表す。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、シクロアルキルアルキル基は、置換されていてもよい。
【0364】
「縮合」は、本発明の化合物の現在の環構造に縮合される本明細書に記載のいずれかの環構造を表す。該縮合環が、ヘテロシクリル環またはヘテロアリール環であるとき、該縮合ヘテロシクリル環または該縮合ヘテロアリール環の一部となる該現在の環構造上のいずれかの炭素原子は、窒素原子により置換され得る。
【0365】
「ハロ」または「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードを表す。
【0366】
「ハロアルキル」は、上記定義された1つ以上のハロラジカルにより置換される、上記定義されたアルキルラジカルを表す(例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、3−ブロモ−2−フルオロプロピル、1,2−ジブロモエチルなど)。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、ハロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0367】
「ヘテロシクリル」または「複素環」は、2〜12個の炭素原子および窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される1〜6個のヘテロ原子から成る安定な3員〜18員非芳香族環ラジカルを表す。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、該ヘテロシクリルラジカルは、縮合または架橋環構造を含んでもよい単環式、二環式、三環式または四環式環構造であり得;および該ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、酸化されていてもよく;該窒素原子は、四級化していてもよく;および該ヘテロシクリルラジカルは、部分的または完全に飽和していてもよい。かかるヘテロシクリルラジカルの例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、および1,1−ジオキソ−チオモルホリニルが挙げられるが、これに限定されない。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、ヘテロシクリル基は、置換されていてもよい。
【0368】
「N−ヘテロシクリル」は、少なくとも1つの窒素を含む上記定義されたヘテロシクリルラジカルを表し、該ヘテロシクリルラジカルと該分子残部との結合点は、該ヘテロシクリルラジカル中の窒素原子によるものである。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、N−ヘテロシクリル基は、置換されていてもよい。
【0369】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式−R
b−R
e(式中、R
bは、上記定義されたアルキレン鎖であり、R
eは、上記定義されたヘテロシクリルラジカルである)のラジカルを表し、もし、該ヘテロシクリルが、窒素含有ヘテロシクリルならば、該ヘテロシクリルは、該窒素原子において、該アルキルラジカルと結合し得る。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、ヘテロシクリルアルキル基は、置換されていてもよい。
【0370】
「ヘテロアリール」は、水素原子、1〜13個の炭素原子、窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される1〜6個のヘテロ原子、および少なくとも1つの芳香族環を含む5員〜14員環構造ラジカルを表す。本発明の目的のため、該ヘテロアリールラジカルは、縮合または架橋環構造を含んでもよい単環式、二環式、三環式または四環式環構造であり得;および該ヘテロアリールラジカル中の該窒素、炭素または硫黄原子は、酸化されていてもよく;該窒素原子は、四級化されていてもよい。例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1−オキシドピリジニル、1−オキシドピリミジニル、1−オキシドピラジニル、1−オキシドピリダジニル、1 −フェニル−1H−ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、およびチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられるが、これに限定されない。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。
【0371】
「N−ヘテロアリール」は、少なくとも1つの窒素を含む上記定義されたヘテロアリールラジカルを表し、該ヘテロアリールラジカルと該分子残部との結合点は、該ヘテロアリールラジカル中の窒素原子によるものである。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、N−ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。
【0372】
「ヘテロアリールアルキル」は、式−R
b−R
f(式中、R
bは、上記定義されたアルキレン鎖であり、R
fは、上記定義されたヘテロアリールラジカルである)のラジカルを表す。明細書中で、特に、別段の定めをした場合を除き、ヘテロアリールアルキル基は、置換されていてもよい。
【0373】
本明細書で使用されるとき、「置換」という語は、少なくとも1つの水素原子が、これに限定されないが:F、Cl、Br、およぼIなどのハロゲン原子;ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、硫酸基、アルコキシ基、およびエステル基などの基の酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルフィネート基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホキシド基などの基の硫黄原子;ホスフィネート基およびホスホン酸基などの基のリン原子;グアニジン基、アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミド、およびエナミンなどの基の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、およびトリアリールシリル基などの基のケイ素原子;および様々な他の基の他のヘテロ原子などの非水素原子との結合により置換される、いずれかの上記基(すなわち、アルキル、アルキレン、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキル)を意味する。「置換」は、1つ以上の水素原子が、オキソ、カルボニル、およびエステル基の酸素;およびイミン、オキシム、ヒドラゾン、およびニトリルなどの基の窒素などのヘテロ原子に、高次結合(例えば、二重または三重結合)により置換される、いずれかの上記基も意味する。例えば、「置換」としては、1つ以上の水素原子が、−NR
gR
h、−NR
gC(=0)R
h、−NR
gC(=0)NR
gR
h、−NR
gC(=0)OR
h、−NR
gS0
2R
h、−OC(=0)NR
gR
h、−OR
g、−SR
g、−SOR
g、−S0
2R
g、−OS0
2R
g、−S0
2OR
g、=NS0
2R
g、および−S0
2NR
gR
hにより置換される、いずれかの上記基が挙げられる。「置換」は、1つ以上の水素原子が、−C(=O)R
g、−C(=O)OR
g、−C(=O)NR
gR
h、−CH
2S0
2R
g、−CH
2S0
2NR
gR
h、−(CH
2CH
2O)
1〜10R
g、−(CH
2CH
2O)
2〜10R
g、−(OCH
2CH
2)
1〜10R
gおよび−(OCH
2CH
2)
2〜10R
gにより置換される、いずれかの上記基も意味する。前述のものでは、R
gおよびR
hは、同じでも異なっていてもよく、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキルである。「置換」は、1つ以上の水素原子が、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N−ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N−ヘテロアリールおよび/またはヘテロアリールアルキル基との結合により置換される、いずれかの上記基をさらに意味する。上記非水素基は、一般に、本明細書で、「置換基」または「非水素置換基」と呼ばれる。加えて、前述の置換基の各々は、また、1つ以上の上記置換基により置換されていてもよい。
【0374】
冠詞「1つ(a)」および「1つ(an)」は、1つのまたは1つより多い(すなわち、少なくとも1つの)文法的対象の物を表すために、本明細書で使用される。例として、「1つの要素(an element)」は、1つの要素または1つより多い要素を意味する。
【0375】
「約」は、基準の数、レベル、値、頻度、パーセンテージ、寸法、大きさ、量、重さ、長さまたは本明細書の記載の他の単位に対して、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%ほど変わる数、レベル、値、頻度、パーセンテージ、寸法、大きさ、量、重さまたは長さを意味する。
【0376】
「活性化する」という語は、受容体(例えば、ポア受容体)が、イオン、分子、または他の物質の通過を可能とする方法で、構造的に変化する、物理的、化学的、または生化学的状態、物質または過程を表す。
【0377】
「活性状態」という語は、その静止状態でない受容体の状態または状態を表す。
【0378】
「流出」は、イオン、分子または他物質が、細胞内空間から細胞外空間への移動または流動を表す。
【0379】
「経腸」または「腸内」投与は、経口、舌下、唇下、口腔、および直腸投与を含み、および胃または十二指腸栄養管経由の投与を含む、胃腸管経由の投与を表す。
【0380】
「不活性状態」という語は、その最初の内在性状態、すなわち静止状態の受容体の状態を表す。
【0381】
「調節」という語は、対照と比較したとき、通常、統計的に有意または生理学的に有意な量での「増加」または「増強」、ならびに、「減少(decreasing)」または「減少(reducing)」を含む。「増加した」または「増強した」量は、通常、「統計的に有意な」量であり、対照(例えば、存在しないまたはより少ない量の化合物、異なる化合物または治療)により得られる量、またはより早い時点の量(例えば、化合物を用いた治療前)の約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.3、4.4、4.6、4.8、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50倍以上(例えば、100、200、500、1000倍)(全整数および小数点ならびに1の間の範囲および1以上、例えば、5.5、5.6、5.7、5.8、他を含む)である増加を含み得る。「減少した(decreased)」または「減少した(reduced)」量は、通常、「統計的に有意な」量であり、対照(例えば、存在しないまたはより少ない量の化合物、異なる化合物または治療)により得られる量または活性、またはより早い時点の量(例えば、化合物を用いた治療前)の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の減少(全整数および小数点ならびに間の範囲を含む)を含み得る。
【0382】
「プロドラッグ」は、生理条件下または本発明の生理活性化合物への加溶媒分解により転換される化合物を示すことを意図されている。従って、「プロドラッグ」という語は、薬剤的に許容可能である本発明の化合物の代謝前駆体を表す。プロドラッグは、それを必要とする対象に投与されるとき、不活性であり得るが、生体内で、本発明の活性化合物に転換される。プロドラッグは、通常、例えば、血中で加水分解により、生体内で急速に形質転換して、本発明の親化合物を産生する。プロドラッグ化合物は、しばしば、哺乳類生物体内で、溶解性、組織適合性または遅延放出の利点を提供する(Bundgard, H., Design of Prodrugs (1985), pp. 7-9, 21-24 (Elsevier, Amsterdam)参照)。プロドラッグの考察は、Higuchi, T., et ah, A.C.S. Symposium Series, Vol. 14、およびBioreversible Carriers in Drug Design, Ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に提供されている。
【0383】
「プロドラッグ」という語は、かかるプロドラッグが、哺乳類対象に投与されるとき、本発明の活性化合物を、生体内で放出するいずれかの共有結合的に結合された担体を含むことも意図される。本発明の化合物のプロドラッグは、本発明の親化合物へ、日常的操作または生体内のいずれかで、修飾が切断されるような方法で、本発明の化合物中に存在する官能基を修飾することにより合成され得る。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノまたはメルカプト基が、本発明の化合物のプロドラッグが、哺乳類対象に投与されるとき、せん断して、それぞれ、遊離ヒドロキシ、遊離アミノまたは遊離メルカプト基を生成するいずれかの基と結合している、本発明の化合物を含む。プロドラッグの例としては、本発明の化合物のアルコールの酢酸、ギ酸および安息香酸誘導体またはアミン官能基のアミド誘導体などが挙げられるが、これに限定されない。
【0384】
本明細書に開示の本発明は、開示の化合物の生体内代謝産生物を包含することも意図される。かかる産生物は、例えば、主に酵素過程による、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などの結果として生成し得る。従って、本発明は、その代謝産物を得るために十分な期間、哺乳類に、本発明の化合物を投与することを含む過程により産生する化合物を含む。かかる産生物は、通常、本発明の放射標識した本発明の化合物を、検出可能な用量で、ラット、マウス、モルモット、サル、またはヒトなどの動物に投与し、代謝するのに十分な時間を置いて尿、血液または他の生物試料からその転換産生物を単離することにより同定される。
【0385】
「哺乳類」は、ヒトおよび実験動物およびペット(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラビット)の両方の家畜、および野生生物などの非家畜を含む。
【0386】
「随意」または「随意に」は、引き続き記載されるイベントまたは状況が、起こっても起こらなくてもよく、および該明細が、前記イベントまたは状況が起こる場合および起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「置換されていてもよいアリール」は、該アリールラジカルが、置換されていてもされていなくてもよく、該明細は、置換されたアリールラジカルおよび置換していないアリールラジカルの両方を含むことを意味する。
【0387】
「薬剤的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤」としては、米国食品医薬品局により、ヒトまたは家畜での使用に許容されると認可されている、いずれものアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味料、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、調味料、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、または乳化剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0388】
「薬剤的に許容可能な塩」は、酸および塩基付加塩の両方を含む。
【0389】
「薬剤的に許容可能な酸付加塩」は、生物学的にまたはその他の点で望ましくないものではなく、これに限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、および、これに限定されないが、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、粘液酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2−オキソグルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などの有機酸と一緒に生成される遊離塩基の生物有効性および特性を保持するそれらの塩を表す。
【0390】
「薬剤的に許容可能な塩基付加塩」は、生物学的にまたはその他の点で望ましくないものではない、遊離酸の生物有効性および特性を保持するそれらの塩を表す。これらの塩は、無機塩基または有機塩基を、遊離酸に付加することから合成される。無機塩基から誘導される塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩が挙げられるが、これに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩である。有機塩基から誘導される塩としては、第一級、第二級、および第三級アミン類の塩、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジクロロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの天然置換アミン類、環式アミン類および塩基性イオン交換樹脂を含む置換アミン類が挙げられるが、これに限定されない。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
【0391】
しばしば、結晶は、本発明の化合物の溶媒和物を生成する。本明細書で使用されるとき、「溶媒和物」という語は、1つ以上の溶媒分子と一緒に、1つ以上の本発明の化合物分子を含む凝集体を表す。該溶媒和物が、水和物であり得るとき、該溶媒は、水であり得る。あるいは、該溶媒は、有機溶媒であり得る。従って、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水化物、セスキ水和物、三水和物、四水和物など、ならびに相当する溶媒和形態を含む水和物として存在し得る。本発明の化合物は、真の溶媒和物であり得、別の場合では、本発明の化合物は、外来性の水を単に保持、または水といくつかの外来性の水の混合物であり得る。
【0392】
「医薬組成物」は、本発明の化合物および哺乳類、例えば、ヒトに、該生物活性化合物の送達のため、当分野で一般に認められている媒体の処方物を表す。かかる媒体としては、それ用の全ての薬剤的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤が挙げられる。
【0393】
本発明の化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩は、1つ以上の不斉中心を含み得、従って、鏡像異性体、ジアステレオマー、および(R)−もしくは(S)−またはアミノ酸について(D)−もしくは(L)−として、絶対立体化学に関して定義され得る他の立体異性体を生じ得る。本発明は、そのラセミおよび光学的に純粋な形態だけでなく、全てのかかる可能な異性体を含むものとする。光学的に活性名(+)および(−)、(R)−および(S)−、または(D)−および(L)−異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を用いて合成、または従来技術、例えば、クロマトグラフィーおよび分別再結晶を用いて分割され得る。個々の鏡像異性体の合成/単離の従来技術としては、適切な光学的純粋前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたラセミ化合物(または塩もしくは誘導体のラセミ化合物)の分割が挙げられる。本明細書に記載の化合物が、オレフィン性二重結合または幾何学的非対称の他の中心を含むとき、および別段の定めがない限り、該化合物は、EおよびZ幾何異性体の両方を含むものとする。同様に、全ての互変異性体も含まれるものとする。
【0394】
「安定な化合物」および「安定構造」は、反応混合物、および効果的治療薬への処方物から有用な純度への単離を切り抜けて残るほど十分に頑強である化合物を示すものとする。
【0395】
「統計的に有意」は、結果が、偶然に起こったとは考えにくいことを意味する。統計的有意は、当分野で公知の方法により決定され得る。有意の通常使用される測度は、もし、帰無仮説が真であったならば、観察されたイベントが起こる頻度または確率であるp値を含む。もし、得られたp値が、有意水準より小さいならば、帰無仮説は、棄却される。単純な場合、有意水準は、0.05以下のp値において定義される。
【0396】
「実質的に」または「本質的に」は、ほとんど全部または完全に、例えば、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の何らかの所与の量を含む。
【0397】
「続発性」という語は、別の疾病状態、状況、または治療と一緒に起こり得、別の疾病状態、状況、または治療に続いて起こり得、または別の疾病状態、状況、または治療のに起因し得る状況または状態を表す。該用語は、疾病状態、状況、または治療が、起こっている症状または患者の最終疾病状態、症状または状況の応答において、小さい役割しか果たし得ない状況も表す。
【0398】
本開示の化合物を用いた治療を必要とする「対象」または「患者」(該用語は、本明細書中、互換的に使用される)は、例えば、「リン酸塩低下を必要とする」対象を含む。本明細書に記載の疾病および/または状態、特に、有益な治療および/または予防結果を達成するため、他の活性剤のあるなしで、本発明の化合物を用いて治療され得る疾病および/または状態を有する哺乳類が含まれる。有益な結果は、症状の重症度の低減または症状の発症遅延、本明細書に記載の1つ以上の指標の調節(例えば、高リン血症を有するまたはリスクがある患者の血清または血中リン酸イオン値低下、高リン血症を有するまたはリスクがある患者のリン酸イオンの糞便排泄上昇)、寿命増加、および/または該疾病または状態のより早いまたはより完全な回復を含む。
【0399】
「立体異性体」は、同じ結合により結合しているが、互換性のない異なる3次元構造を有する同じ原子からから成る化合物を表す。本発明は、様々な立体異性体およびその混合物を予想し、その分子が、重ね合わせることができない互いの鏡像である2つの立体異性体を表す「鏡像異性体」を含む。
【0400】
「互変異性体」は、分子の1つの原子から、同分子の別原子へのプロトンシフトを表す。本発明は、いずれもの前記化合物の互変異性体を含む。
【0401】
「治療効果量」または「効果量」は、哺乳類、好ましくはヒトに投与されるとき、胃腸管腔からリン酸イオン輸送を阻害、さもないと減少するため、リン酸イオンの糞便排泄を増加するため、リン酸イオンの血清値を減少するため、哺乳類、好ましくは、ヒトの高リン血症を治療するため、および/または本明細書に記載のいずれかの1つ以上の他の状態を治療するために十分である本発明の化合物の量を含む。「治療効果量」を構成する本発明の化合物量は、該化合物、状態およびその重症度、投与方法、および被治療哺乳類の年齢に依存して異なるだろうが、当業者により、その自身の知見および本開示を考慮して、日常的に決定され得る。
【0402】
本明細書で使用されるとき、「治療すること」または「治療」は、対象の疾病または状態を有する、哺乳類、好ましくは、ヒトの対象の疾病または状態の治療を包含し:
(i)該疾病または状態が、哺乳類で起こるのを予防すること、特に、かかる哺乳類が、該状態に罹り易いが、まだ、それに罹っていると診断されていないとき;
(ii)該疾病または状態を阻害すること、すなわち、その発症を抑止すること;
(iii)該疾病または状態を軽減すること、すなわち、該疾病または状態の退行を引き起こすこと;
または
(iv)該疾病または状態が原因である症状を軽減すること、すなわち、根底にある疾病または状態に立ち向かうことなく、痛みを軽減することを含む。本明細書で使用されるとき、「疾病」および「状態」という語は、互換的に使用され得、または特定の疾患または状態が、公知の原因物質を有しなくてもよい(つまり、原因が、まだ解明されていない)ことと異なり得、従って、それは、まだ、疾病と認められていないが、望ましくない状態または症状でのみあり、より多くのまたはより少ない症状が、臨床医により同定された。
【0403】
実施例
限定ではなく、例示の目的で提供される以下の実施例は、本発明の化合物を作る様々な方法を示す。当業者は類似の方法または当業者に公知の他の方法を組み合わせることにより、これらの化合物を作製することができ得ることが理解されよう。また、当業者は適切な出発成分を用い、必要に応じて合成のパラメータを修正することにより、具体的に以下に示されない本発明の他の化合物を作製できるであろうことも理解されよう。一般に、出発成分はSigma Aldrich、Lancaster Synthesis、Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCI、及びFluorochem USA等の供給源から得られるか、当業者に公知の情報源(例えば、Advanced Organic Chemistry: Reactions、Mechanisms、及びStructure、第5版(Wiley, December 2000)を参照されたい)により合成されるか、本明細書に記載の通り調製することができる。
【0404】
また、中間体化合物の官能基は、本明細書に記載された方法で適切な保護基によって保護される必要があり得ることも理解されよう。このような官能基として、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト及びカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシの適切な保護基として、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルもしくはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジル等が挙げられる。アミノ、アミジノ、及びグアニジノの適切な保護基として、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。メルカプトの適切な保護基として、−C(0)−R"(ここでR"はアルキル、アリール、またはアリールアルキル)、p−メトキシベンジル、トリチル等が挙げられる。カルボン酸の適切な保護基として、アルキル、アリール、またはアリールアルキルエステルが挙げられる。保護基は、当業者に公知であり、本明細書に記載される標準技術に従い除去され得る。保護基の使用はOrganic Synthesis (1999)中Green、T.W.及びP.G.M. Wutz、Protective Groups、第3版、Wileyに詳細に記載されている。当業者が理解するであろうように、保護基はまた、Wang樹脂、Rink樹脂または2−クロロトリチル−クロリド樹脂などのポリマー樹脂であってもよい。
【0405】
さらに、当業者に知られている方法により、適切な無機または有機塩基または酸で処理することにより、遊離塩基または酸の形態に存在する本発明の全ての化合物はそれらの薬剤的に許容可能な塩に変換することができる。標準技術により、本発明の化合物の塩はその遊離塩基または酸の形態に変換することができる。
【0406】
実施例1
NHE3阻害の細胞ベースの活性及びナトリウム及びナトリウム及びリン酸の吸収の腸の阻害
以下の表E1の化合物またはその薬剤的に許容可能な塩を、プロンプトの条件(プロンプト阻害)下でNHE3阻害の細胞ベースアッセイで試験した。これらの化合物をまた、ラットの腸管腔におけるナトリウム及びリン酸の吸収を阻害する能力について試験した。
【表3】
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【0407】
プロンプト条件下の細胞に基づく。Paradiso(PNAS USA. 81 :7436-7440, 1984)により当初報告されたpH感応染料法の修正を用い、ラットまたはヒト媒介Na依存性H
+逆輸送を測定した。オポッサム腎(OK)細胞をATCCから入手し、その指示に従い増殖させた。ラットNHE3遺伝子(GenBank M85300)またはヒトNHE3遺伝子(GenBank NM 004174.1)エレクトロポレーションによりOK細胞に導入し、細胞を96ウェルプレートに播種し、一晩増殖させた。培地をウェルから吸引し、細胞をNaCl−HEPES緩衝液(100mMNaCl、50mMHEPES、10mMグルコース、5mMKCl、2mMCaCl
2、1mMMgCl
2、pH7.4)で2回洗浄し、次いで室温で30分間、5μΜのbis(アセトキシメチル)3,3'−(3',6'−bis(アセトキシメトキシ)−5−((アセトキシメトキシ)カルボニル)−3−オキソ−3H−スピロ[イソベンゾフラン−l,9'−キサンテン]−2',7'−ジイル)ジプロピオネート(BCECF−AM)を含有するNH
4CI−HEPES緩衝液(20mMNH
4C1、80mMNaCl、50mMHEPES、5mMKCl、2mMCaCl
2、1mMMgCl
2、pH7.4)でインキュベートした。
【0408】
アンモニウムを含まず、Na
+−を含まないHEPES(100mMコリン、50mMHEPES、10mMグルコース、5mMKCl、2mMCaCl
2、1mMMgCl
2、pH7.4)で細胞を2回洗浄し、室温で10分間同じ緩衝液中でインキュベートし、細胞内pHを低下させた。中性細胞内pHのNHE3媒介回収を0.4μΜエチルイソプロピルアミロライド(EIPA、NHE3を阻害しないNHE−1活性の選択的アゴニスト)および0〜30μΜ試験化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩を含有するNa−HEPES緩衝液の添加およびpHの鈍感なBCECF蛍光(λ
ex439nm、λ
em538nm)に標準化されるBCECF蛍光(λ
ex505nm、λ
em538nm)におけるpHの敏感な変化をモニターすることにより開始した。
【0409】
初期レートを平均2以上の反復としてプロットし、pIC
50値をグラフパッドプリズムを用い推定した。結果を以下の表E3に要約する。
【0410】
腸ナトリウム及びリン酸吸収の阻害。選択された例の化合物のナトリウムが腸内腔からのナトリウムの吸収を阻害する能力を評価するために、尿中ナトリウム濃度及び糞便の形状を測定した。8週齢のSprague-DawleyラットをCharles River Laboratories (Hollister, CA)から購入し、ケージあたり2匹収容し、研究開始の前に少なくとも3日間順応させた。研究の間中動物にHarlan Teklad Global 2018げっ歯類飼料(Indianapolis, IN)及び水を任意に与え、午前6時から午後6時の標準の明/暗サイクルで維持した。研究の日、午後4時から5時の間、ラットの群(n=6)に10mL/kgの重量の試験化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩、または媒体(水)での強制経口投与を行った。
【0411】
用量投与後、動物を個々の代謝ケージに入れ、また、食事の形式の同じ固形飼料及び水を任意に与えた。投与の16時間後、尿試料を回収し、糞便の形状を、2つの独立した観察により評価した。糞便の形状をケージの集合ファンネルで最も湿った観測に糞便水を増やすことと関連する共通の尺度に従い採点した(1、正常ペレット;2、水分による集合ファンネルの側面に付着したペレット;3、正常なペレットの形状の喪失;4、ブロッティングパターンの形状の完全な喪失;5、明確な液体糞便の流れ)。ラットの糞便の形状スコア(FFS)を群(n=6)内の全てのラットにつき両方の観察スコアを平均して決定した。媒体群の平均は1であった。
【0412】
尿試料については、体積を重量測定により決定し、3,600×gで遠心分離した。上清を脱イオンMilli-Q水で100倍に希釈し、次いでイオンクロマトグラフィーによる分析の前に0.2μmのGHP Pall AcroPrep濾過板(Pall Life Sciences, Ann Arbor, MI)で濾過した。10μLの濾過した各抽出物をDionex ICS-3000イオンクロマトグラフ装置(Dionex, Sunnyvale, CA)に注入した。IonPac CS12A 2 mm i.d.×250mm、8μm粒径のカチオン交換カラム(Dionex)の溶離液として25mMのメタンスルホン酸を用いたイソクラティック法により、カチオンを分離した。ナトリウムを、Li
+、Na
+、NH
4+、K
+、Mg
2+及びCa
2+(Dionex)を含むカチオン標準混合から調製された標準を用いて定量化した。16時間の全てのグループの排尿ナトリウムの平均質量を、通常約21mgのナトリウムを排尿する媒体群で決定した。試験群におけるラットの尿中Na(uNa)は媒体の平均の割合として発現し、平均をDunnettのpost hocテストと結びついた一元配置ANOVAを用い媒体群のそれと比較した。結果を以下の表E3に示す。
【表4】
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【0413】
実施例2
プロンプト及び持続性条件下の細胞に基づくNHE3活性のアッセイ
以下の表E4の化合物またはその薬剤的に許容可能な塩を、プロンプト条件(プロンプト阻害)及び持続性条件(持続性阻害)下でNHE3阻害の細胞に基づくアッセイにおいて試験した。これらの化合物をまた、NaP2b活性の細胞ベースのアッセイで試験した。
【表5】
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【0414】
「プロンプト」条件下でのNHE3活性の細胞に基づく活性。このアッセイを実施例1(前出)に記載の通りに行った。
【0415】
「持続性」条件下でのNHE3活性の細胞に基づく活性。適用およびウォッシュアウト後ラットNHE3媒介性Na
+依存性H
+逆輸送を阻害する化合物の能力を上記のpH感応染料法を用い測定した。オポッサム腎(OK)細胞をATCCから入手し、その指示に従い増殖させた。ラットNHE3遺伝子をエレクトロポレーションによりOK細胞に導入し、細胞を96ウェルプレートに播種し、一晩増殖させた。
【0416】
培地をウェルから吸引し、細胞をNaCl−HEPES緩衝液(100mMNaCl、50mMHEPES、10mMグルコース、5mMKCl、2mMCaCl
2、1mMMgCl
2、pH7.4)で2回洗浄し、次いで0〜30μMの試験化合物を含むNaCl−HEPES緩衝液をかぶせた。
【0417】
60分間のインキュベーション後、緩衝液を含有する試験薬を細胞から吸収し、細胞を薬剤なしのNaCl−HEPES緩衝液で2回洗浄し、次いで30分間室温で、5uMBCECF−AMを含有するNH
4C1−HEPES緩衝液(20mMNH
4C1、80mMNaCl、50mMHEPES、5mMKC1、2mMCaCl
2、1mMMgCl
2、pH7.4)でインキュベートした。アンモニウムを含まず、Na
+−を含まないHEPES(100mMコリン、50mMHEPES、10mMグルコース、5mMKCl、2mMCaCl
2、1mMMgCl
2、pH7.4)で細胞を2回洗浄し、室温で10分間同じ緩衝液中でインキュベートし、細胞内pHを低下させた。中性細胞内pHのNHE3媒介回収を0.4μΜエチルイソプロピルアミロライド(EIPA、NHE3を阻害しないNHE−1活性の選択的アゴニスト)に標準化されるBCECF蛍光(λ
ex505nm、λ
em538nm)におけるpHの敏感な変化をモニターすることにより開始した(化合物のウォッシュアウトの40分後)。初期レートを平均2以上の反復としてプロットし、pIC
50値をグラフパッドプリズムを用い推定した。
【0418】
NaP2b活性の細胞に基づくアッセイ。細胞内へのリン酸の取り込み(Pi)のレートを文献の方法(Mohrmann et al. Am. J. Phys. 250(3 pt l):G323-30, 1986を参照されたい)の修正を用いて測定した。手短に言えば、HEK293細胞をラットまたはヒトNaP2bのいずれかをコードするラットまたはヒトNaP2bで一時的にトランスフェクトした。翌日、残っているナトリウム依存性リン酸輸送活性のみがNaP2b遺伝子を導入することにより与えられたものであるように、内因性のPiT媒介性リン酸輸送活性を最小化するためにトランスフェクト細胞を薬剤で処置した。放射性無機リン酸存在下または種々の濃度の試験化合物の非存在下でインキュベートした。短時間後、細胞を洗浄し、回収し、細胞に取り上げた熱いリン酸の量を液体シンチレーション計数により決定した。
【0419】
HEK293細胞をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)から入手し、その指示に従って増殖させた。ラットおよびヒトNaP2b(SLC34A2)についての発現クローンをOpen Biosystems から入手した(それぞれ、カタログ番号MRN1768-9510282、及びMHS 1010-99823026)。アイソフォームaおよびアイソフォームb(NCBI参照配列:それぞれ、NP 006415.2およびNP 001 171470.1)として指定されたヒトNaP2bの2つの推定上のスプライスバリアントがある。MHS1010−99823026中からのオープンリーディングの配列はアイソフォームbに対応する;この構築物を伴うトランスフェクションは、非内因性のPi輸送活性の非常に低いレベルのみを与えることが見出された。従って、cDNAをアイソフォームaに対応するように変異させた;この配列を伴うトランスフェクションは背景に関しPi輸送を著しく与えた。このように、ヒトNaP2bの阻害の研究はもっぱらアイソフォームを使用した。
【0420】
細胞を25,000細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種し、一晩培養した。Lipofectamine 2000(Invitrogen)を使用してNaP2bcDNAを誘導し、第2の一晩中のインキュベーションの間細胞をコンフルエンスに接近させた。培地を培養物から吸引し、細胞をコリン取り込み緩衝液(14mMTris、137mM塩化コリン、5.4mMKCl、2.8mMCaC12、1.2mMMgS04、100uMKH2P04、1mg/mLウシ血清アルブミン、pH7.4)で1度洗浄した。次いで、細胞を6〜9uCi/mL
33Pオルトリン酸(Perkin Elmer)および試験化合物を含有するコリン取り込み緩衝液またはナトリウム取り込み緩衝液(14mMTris、137mM塩化ナトリウム、5.4mMKCl、2.8mMCaC12、1.2mMMgS04、100uMKH2P04、PiT−サイレンシング剤、1mg/mLウシ血清アルブミン、pH7.4)のいずれかでオーバーレイした。各化合物を、0.1nMから30uMの範囲の12の濃度で試験した。アッセイを重複して行い、目的の化合物を複数回試験した。室温での23分間のインキュベーション後、アッセイ混合物を除去し、細胞を氷冷停止溶液で2回洗浄した。(137mM塩化ナトリウム、14mMTris、pH7.4)。細胞を100μLのシンチレーション液に続き、20μLのTween80を添加することにより溶解し、TopCount (Perkin Elmer)を用いて計数した。pIC50(IC50の負の対数)試験化合物の値をグラフパッドプリズムを用い計算した。予備研究は、これらの条件下で、ナトリウム−依存性Pi取り込みが少なくとも30分間線形であり、有害な影響なしで0.6%(v/v)DMSOを許容したことを示した。結果を以下の表E5に要約する。
【表6】
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【0421】
上記の持続性およびプロンプト条件下で化合物を試験するために、およびラットにおけるナトリウムの尿中排出におけるそれらの効果を試験するために、さらなる実験を行った。後者をラットにおいて化合物を経口投与し(単回投与)、および尿中ナトリウム排泄量を測定することにより(媒体の%として)行った。結果を尿中ナトリウムの割合(UNa%)として示す;低い値は相対的に活性な化合物を示す。結果を以下の表6に示す。
【表7】
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【0422】
これらの結果は、化合物002及び003をNHE3媒介Na
+−依存性H
+逆輸送の持続性阻害剤として、及び化合物004をNHE3媒介Na
+−依存性H
+逆輸送の非持続性阻害剤として同定した。化合物005は不活性であると考えられた。
【0423】
実施例3
正常機能ラットにおける
33P経口試験を伴う薬力学的研究
化合物003、004、及び005(表E4から、それらの二塩酸塩として)同定された化合物を、ラットにおける腸のリン吸収を遮断する能力について試験した。ラットに
33Pを有する5ml/kg(−1.3ml)の8mMのPiおよび+/−10mg/kgの試験化合物から成る投与溶液で経口負荷を行った。(i)75mMグルコース+4mMCaまたは(ii)4mMCaのいずれかからさらに成る投与溶液をも含まれた。
【0424】
結果を
図1〜1Cに示す。
図1Aは、化合物004、非持続性NHE3阻害剤(つまり、尿中Naおよび糞便の形状に有意な影響を持たない)は、化合物003(つまり、Unaにおける有意な減少、および糞便の形状における変化を誘導する)のような持続性阻害剤としてPi取り込みを減少させることに高効力を発揮したことを示す。化合物005はこのアッセイにおいて不活性であった。
図1B〜Cは、化合物003がグルコース/Ca(IB)およびCa(1C)の存在下でPi取り込みを有意に減少させたことを示す。
【0425】
実施例4
尿毒症関連血管石灰化のラットモデルにおける効果
慢性腎疾患(CKD)は複数の病原性のメカニズムを有し、進行したCKDはしばしばミネラル代謝障害(例えば、高リン血症、高カルシウム血症)及び血管石灰化により特徴付けられる。従って、血管石灰化を特徴とするCKDの尿毒症ラットモデルにおける化合物002(二塩酸塩として表E4から)の二塩酸塩の有効性を試験するために研究を行った。このモデルは腎不全及び高リン血症及び血管石灰化を促進する活性型ビタミンD
3投与により特徴付けられる(Lopez et al., J. Am. Soc. Nephrol. 17:795-804, 2006を参照されたい)。研究は、以下のように処置したSpraque−Dawleyラットを利用した:第5/6切除による腎摘出;通常のカルシトリオール投与(活性型ビタミンD
3)、80ng/kgを腹腔内投与で週に3回;及び精製された0.9%P食を与えた(無機リン)。
【0426】
ラットを0.8〜1.5mg/dlの血清中クレアチニンレベルおよび体重によって2つの実験群へ階層化し、粉末媒体食事または化合物002(0.065mg/gの飼料)を混合した同じ食事を伴う薬物含有飼料を与え、毎週体重および選択された血清パラメータ、毎日の臨床的観察およびエンドポイントの石灰化についてモニターした。研究デザインを
図2に示す。
【0427】
選択された実験群に、登録時(0日目)に媒体(n=12)または化合物002(n=12)を与えた。
図3A〜Fに示すように、初期体重及び血清リン、血清カルシウム、血清クレアチニン及び血中尿素窒素等の選択された血清パラメータは両群で同等であった。
【0428】
27日目から選択されたエンドポイントプラズマパラメータを
図4A〜Fに示す。これらのデータは減少した血漿クレアチニン、減少した血漿リン、及び減少した血漿FGF−23を示す。
【0429】
エンドポイントの心臓及び腎臓の残りの重量を
図5に示す。これらのデータは化合物002で処置したラットにおいて心臓肥大及び腎臓の残りが減少したことを示す。減少した血漿クレアチニンを考慮すると、これらの結果は化合物002で処置したラットにおける腎臓の残りが少ない質量のより多くの機能性を有することを示唆する。
【0430】
エンドポイントクレアチニンクリアランス(Co)及び血漿アルドステロンレベルを
図6A〜Bに示す。これらの結果は、化合物002での処置は腎機能の喪失から保護することを示唆し、アルドステロンの増加は、低Na摂取量と一致するいくつかの容量減少を示唆する。
【0431】
エンドポイント血管及び軟組織の石灰化を
図7A〜Bに示す。これらのデータは、化合物002での処置は、特に石灰化に敏感である胃の中のカルシウム及びリンを減少し、大動脈のミネラル含有量によって測定されるような血管石灰化をも減少させることを示す。
【0432】
概して、化合物002は腎機能を改善し、心肥大及び腎肥大の両方を減少し、抗高リン酸血症効果を示し、及び関連する血管石灰化を減少することを示した。これらの効果及び減少した瀕死が、改善された死亡率の結果に向かう経口を伴い処置群で観察された。化合物002での処理からの利点が水分過負荷及び血行動態に対するその影響に部分的に起因する場合がある一方、このモデルにおける血管石灰化が食物性リン酸に非常に敏感であるので、異所性石灰化の減少はリン酸吸収の減少を指す。
【0433】
実施例5
アデニン誘発性尿毒症ラットモデルにおける効果
化合物002(表E4から、二塩酸塩として)の効果をアデニン誘発性尿毒症ラットモデルで試験した。ラットに、腎炎の誘導期の間に0.75%のアデニン及び1.2%のリンを含む食餌を与えた。治療期中の基礎飼料は2週間、0.3%アデニンおよび0.6%のリンを含む通常の飼料であった。ラットを最初の5日間はペアフィードし(群1および2から群3、4日間隔)その後は任意に供給した。処置群は以下の通りであった:媒体、n=10;化合物002、2mg/kg/日の薬物含有飼料、n=10;および化合物002、5mg/kg/日の薬物含有飼料、n=12。毎週の測定を、血清マーカーおよび腎機能について取った。研究デザインを
図8Aに示す。
【0434】
図8B〜Cに示すように、初期の時点で化合物002は血清リン及び血清クレアチニンを減少させた。ここでは、このアデニン誘発モデルは腎機能の進行性の回復を特徴とする急性腎障害と考えられる。従って、初期の時点で効果が顕著である。
【0435】
週3回からの臓器重量の収集データを
図9A〜Bに示し、週3回からの組織の石灰化データを
図10A〜Bに示す。これらのデータは、このモデルにおける化合物での処理は、より少ない心臓および腎臓のリモデリングへの傾向および最高用量での縮小された心臓および腎臓の石灰化への傾向を示したことを示す。
【0436】
実施例6
腎摘出を受けたラットにおける高塩飼料を伴う腎不全に及ぼす影響
化合物002の効果(表E4から、二塩酸塩として)をCKDの食塩により誘発される切除モデルにおいて試験した。研究デザインを
図11Aに示す(群あたり12匹のラット)。
図11Bはリンの尿中排泄における化合物002の効果を示す。この研究において、化合物002は血圧、水分過負荷、アルブミン尿、および心臓および腎臓の肥大を改善し、リンの尿中排泄をも有意に減少させた。これらのデータは腎臓および欠陥機能の改善における化合物002の効果を低下させるリンについての付加的な貢献を示唆する。
【0437】
実施例7
ラットにおけるリンおよびカルシウムの尿排泄における影響
化合物002の活性(表E4から、二塩酸塩として)をラットの尿中のリンとカルシウムのレベルに対する効果について試験した。ラットを表E7のスケジュールに従い投与した。
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
個々の代謝ケージで一晩16時間保持し(暗所で、典型的な給餌時期にて)、尿は、リン酸とカルシウムレベルの分析のために、翌朝採取した。研究デザインを
図12に示す。結果を
図13A〜Dに示す。これらの結果は、化合物002は、媒体のみの対照と比較して、尿中リン質量および尿中カルシウム質量の両方を減少させたことを示す。試験化合物の投薬量の増加は、48mg/kgのRenvela(登録商標)と比較して、尿中リン質量も有意に減少させた。
【0438】
実施例8
健康なボランティアにおける7日間反復投与試験での15、30、および60mgビッドでの投与における食餌性リンの減少での活性の評価
フェーズ1、単一施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対象試験を、健康な男性および女性における、二塩三塩として(表E4を参照されたい)化合物002の異なる投与計画のナトリウムおよびリン排泄の安全性、忍容性、および薬力学的活性(PD)化合物002を評価するように設計した。
対象を登録前3週間以内にスクリーニングし、スクリーニング評価を完了した順にコホートに連続して割り当てた。15人の対象の各コホートは、−5日目夕食前に臨床薬理ユニット(CPU)にチェックインした。対象をCPUに拘束し、Na+が標準化された食事(−1500mg/食事)を与えた。
各コホートにおいて、12人の対象が化合物002を、3人の対象がプラセボを受け取るように無作為化した。対象は1から7日目に、約240mLの非炭酸水を伴う化合物002の投与を受けた(適切な食事の直前、1日2回による[ビッド、朝食、夕食]。対象に標準化された食事を投与後10分以内に与えた。
【0439】
試験集団の選択−試験対象基準。以下の基準を全て満たした場合、対象は研究へ含めるのに適格であった:
1.19から65歳までの健康な男性または女性
2.18から29.9kg/m
2までの肥満度指数(BMI)
3.病歴、身体検査、またはスクリーニングにおける臨床検査評価において臨床的に著しい異常がない
4.プロトコルを理解し、応じることができる
5.インフォームドコンセントに署名することに意欲的であり、署名できる
6.女性は非妊娠、非授乳、および卵胞刺激ホルモン(FSH)試験で確認されるように閉経後少なくとも12ヶ月、少なくとも90日間外科的に不妊(例えば、適切な文書を伴う卵管結紮術、子宮摘出、両側卵巣摘出)、またはインフォームドコンセントに署名した時点から研究1の終了後45日目まで次の避妊の形式を使用することに同意したかのいずれかであった:殺精子剤を伴う子宮内避妊器具、殺精子剤を伴う女性用コンドーム、殺精子剤を伴う避妊スポンジ、殺精子剤を伴うペッサリー、殺精子剤を伴う子宮頸管キャップ、殺精子剤を伴う男性用のコンドームを使用することに同意する男性の性的パートナー、不妊のセックスパートナー、禁欲、殺精子剤を伴う膣内システム(例えば、NuvaRing(登録商標))、もしくは殺精子剤を伴う経口、移植、経皮、または注射避妊。
7.男性は無菌、禁欲、またはチェックインから、最終試験来院から45日目まで次のうちの1つの避妊の方法を使用することに合意した:殺精子剤を伴う男性用コンドーム;不妊の性的パートナー;女性パートナーによる殺精子剤を伴う子宮内避妊器具、殺精子剤を伴う女性用コンドーム、殺精子剤を伴う避妊スポンジ、膣内システム(例えば、NuvaRing)、殺精子剤を伴うペッサリー、殺精子剤を伴う子宮頸管キャップもしくは殺精子剤を伴う経口、移植、経皮、または注射避妊)の使用。
【0440】
試験集団の選択−除外基準。以下の基準のいずれかを満たした場合、対象を研究から除外した:
1.胃腸の任意の臨床的に兆候的な生化学的もしくは構造的異常の診断または治療。
2.虫垂切除または胆嚢摘出を除く、小腸または結腸における任意の手術。
3.重大な心血管、呼吸器、腎臓、肝臓、胃腸、血液学的、代謝、内分泌、神経学、精神疾患、または対象が正常にトライアルを完了するのを妨害し得るいかなる状態の臨床的エビデンス。
4.過去7日間にける2日間を超える軟便(BSFS6または7)。
5.肝機能障害(正常な[ULN]の上限の1.5倍より多いアラニンアミントランスアミナーゼ[ALT]もしくはアスパラギン酸塩アミントランスアミナーゼ[AST])または腎機能障害(血清クレアチニン>ULN)。
6.治験責任医師によって決定されるようなスクリーニングでの臨床的に有意な検査結果。
7.皮膚の非黒色腫の悪性腫瘍を除く、悪性腫瘍の治療の任意の証拠。
8.治験責任医師の意見で、対象がプロトコルの要件を満たすことができないまたは不本意である、または結果を解釈不可能にする状態を有していた場合。
9.治験責任医師の意見で、研究の結果に影響を与えている可能性があるダイエット。
10.CPUチェックイン(−5日目)からCPUチェックアウト(9日目)における利尿薬の使用;繊維のサプリメント(研究で必要とされる場合を除く)、止痢薬、下剤、制酸剤、アヘン剤、麻薬、運動促進剤、浣腸剤、抗生物質、生菌薬またはサプリメントを含む、便の硬さおよび/または胃腸運動に影響を与えることで知られた薬;または塩またはNa+、カリウム、塩化物、重炭酸塩製剤を含む電解質サプリメント。
11.−5日目から30日以内の治験薬の使用。
12.スクリーニング中の陽性のウィルス学(活性B型肝炎感染 [HBsAg]、C型肝炎感染[HCV]、もしくはヒト免疫不全ウィルス[HIV])、アルコールまたは薬物の乱用試験。
13.閉経後の女性およびホルモン避妊のためのホルモン補充療法を除く、CPUへの入院前7日以内の任意の処方箋医薬品の使用、または任意の処方箋または非処方箋医薬品の慢性使用。
14.タバコの使用、アルコール乱用、違法薬物の使用、重大な精神疾患、任意のオピオイドへの身体的依存の既往歴、または研究登録の12ヶ月以内の薬物乱用または依存の任意の既往歴。
15.研究にエントリーする前8週間以内に重大な失血(>450mL)または1単位以上の血液もしくは血漿を寄与した。
治療や評価からの対象の除去。対象は何らかの理由で、さらに処置を損なうことなく、任意の時点で研究を中止することが自由であった。治験担当者の判断で、継続的な参加は、対象または研究データの整合性に容認できないリスクを提起する場合、治験担当者は対象を除去することができた。早期に撤退した対象は、スポンサーとの議論を保留し、交換された可能性があった。
有効性評価−人口統計学的および他のベースラインの特性。研究に登録された全ての対象が試験治療を受け、少なくとも1ベースライン後のPD評価を有した。
【0441】
全体的な研究およびコホートにる登録対象の人口統計的特性の概要を以下の表E8に示す。いくつかの変動が(特に性別や人種において)コホート全体で観察された;しかしながら、ほとんどのコホートのベースライン特性は、総人口のそれを反映した。
【0442】
スクリーニングで行われた身体検査の間、臨床的に有意な異常所見は、いかなる任意の対象について認められなかった。
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0443】
スクリーニングおよび処置期間のイベントのスケジュールを、以下の表E9に示す。
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0444】
試験薬。化合物002カプセルまたは対応するプラセボカプセルを約240mLの15mgの倍数での非炭酸水またはプラセボで投与した。化合物002は非晶質、灰白色の粉末であり、白色、サイズ0、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルとして供給した。各カプセルは15mgの化合物002を含有した。カプセルを白色不透明の高密度ポリエチレン(HDPE)ボトル(10/ボトル)でパッケージした。製剤を賦形剤無しで配合した。
【0445】
プラセボを白色、サイズ0、メチルセルロースで充填したHPMCカプセルとして供給した。カプセルを白色不透明のHDPEボトル(10/ボトル)でパッケージした。
【0446】
対象を処置群に割り当てる方法。臨床研究機関の統計学者は、その標準操作手順書(SOP)および無作為化計画に従い、GCP基準を反映させた無作為化スキームを用意した。
【0447】
インフォームドコンセントを得られた後、対象をスクリーニング評価を完了した順にコホートに連続して割り当てた。
【0448】
各コホート内では、コンピューターに生成された無作為化スケジュールを無作為に活性の化合物002またはプラセボに4:1の比率で対象を割り当てるために使用した。
【0449】
一旦対象が無作為化の対象とみなされたら、次の利用可能なランダム化番号が順番に割り当てられた被験者は無作為化スケジュールに記載されている治療を受けた。早期に撤退した対象は、スポンサーとの議論を保留し、交換された可能性がある。代替の対象は元々の対象と同じ盲治療を受けた。
対象をスクリーニング評価を完了した順にそれぞれ15人の対象から成るコホートに連続して割り当て、無作為な割り当てに基づき002またはプラセボを受け取った。
【0450】
表E10は各コホートについての実際の投与計画を示す。これは適応性のある設計プロトコルであったので、各コホートの投与計画は、前のコホートからの盲目の結果に基づいていた。
【表11】
[この文献は図面を表示できません]
投薬を朝食及び夕食の直前に行った。対象は、2時間前までの水を除き、朝食時の投与の8時間前からいかなる物を飲食することが許可されなかった。対象に投薬の約10分後に標準化された食事を与えた。
標準化された食事は、各食事につき約1500mgのNa+分を含んだ。食餌性リンは測定されず、また、それを所定の値に設定した。それは典型的な値の範囲内、例えば、1日あたり750mg〜1250mgであると予想された。
対象は、食事に追加できる塩を持っていなかった。薬剤投与前に指定された場合を除き、水分摂取量は任意であった(および記録された)。対象は試験参加時に激しい身体活動(例えば、接触スポーツ)を控えるようにした。
盲検法。治療を、二重盲検法で行った。生成物の分配に責任を負う現場の薬剤師および血漿化合物002の生物分析を行うことに責任を負う生物分析の検査技師だけが割り当てられた治療の知識を持っていた。
【0451】
研究はコホート間の安全審査のために非盲検化されなかった。
【0452】
第三者は無許可のアクセスを防ぐために、適切なコントロールを備えた安全な場所で無作為化スケジュールを維持した。
【0453】
非盲検の封筒の1セット(個々の被験者の治療の割り当てを含む密封された封筒)をCPUで保存した。
【0454】
一旦最後のコホートから全てのデータを収集し、データーベースをロックしたら、研究を単に非盲検化した。
【0455】
事前および付随する治療。これは、健康な対象における研究であった。除外基準で指定された先の治療を受けた対象は研究に入る資格を有さなかった。
試験中、閉経後の女性やホルモン避妊のためのHRTを除き、AEを治療するのに必要でない限り、併用薬の使用は禁止された。
【0456】
過去30日間に参加者により摂取された以前の全ての薬(処方および店頭)、ビタミンおよびミネラルのサプリメント、およびハーブを、開始および停止の日付、投与の用量および経路、頻度および効能を含め、CRFに記録した。手順に要した医薬品も含まれた。
【0457】
治療コンプライアンス。試験薬の全ての用量は、時間および投与された用量をCRFに記録しながら、診療所のスタッフの監督下で与えられた。臨床スタッフは、カプセルが飲み込まれたことを確認するために、薬剤投与後に被験者の口腔と手を検査した。
【0458】
有効性変数。研究は2日間の安全性およびPD評価のための追跡調査を伴い、3週間のスクリーニング期間、続いて5日間のベースライン評価、7日間の二重盲検処置期間から成った。処置期間の14日後、安全性の追跡調査のために電話で連絡を取った。
【0459】
対象は試験薬の最初の投与の投与5日前にCPUに入院し、処置期間の間ユニットに拘束し、9日目に解放した。
【0460】
安全性評価を−5日目から始めて行ったが、身体検査を含んだ;生命徴候;12誘導ECG;日常の血液生化学検査、血液学、および尿検査;およびAE報告。薬力学的評価を−4日目から9日目まで毎日行ったが、尿および便のNa+の排泄、最初の排便までの時間、および便のパラメータ(一貫性、重量、および頻度)を含んだ。薬力学的実験室評価(血漿レニン、アルドステロン、およびNT−pro BNP)を−4日目、−1日目、3日目、6日目、および9日目に採取した。
【0461】
実験室評価。臨床検査(血液学、化学、尿検査)のための血液および尿試料を、スクリーニング(試験対象/除外基準に合う)中、および−4日目、および9日目に、起きた後朝食前に採取した。
加えて、アルコール/薬物スクリーニング、FSH試験(閉経後の女性のみ)、および妊娠検査(全ての女性)のために、血液をスクリーニングおよび−5日目に採取した。HbsAg、HCV、およびHIVについてのウイルス学スクリーニングをスクリーニングで行った。
【0462】
薬力学的変数。以下のPDパラメータを、潜在的な薬物活性の信号としてモニターした:
・便中Na+排泄
・便中リン排泄
【0463】
排便。研究参加者は、排便の直前に研究担当者に知らせるように指示された。研究担当者は毎回排便の時間を記録し、便のパラメータ(例えば、一貫性、重量)を評価した。トイレを去る前に生じた排便を1つの排便としてみなした。全ての排便を採取し、秤量し、総Na+およびP分析のためにCPUにより保存した;採取を24時間間隔で行った。
【0464】
薬力学的分析−便中ナトリウムおよびリン分析法。ヒト糞便試料を硝酸処理し、ナトリウムおよびリン含有量の実験的決定の前に前消化試料(「前消化物」)を得た。前消化物を100℃の硝酸、続いて100℃の塩酸でさらに消化し、脱イオン水で希釈した。イットリウムを内部基準として消化に加えた。較正標準および品質管理試料を、同じ手順を用いて消化した。ナトリウムおよびリン濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)法により決定した。被検質およびイットリウムの光強度をSCD(アレイ)検出器で測定した。被検質対イットリウムの強度比を機器のソフトウェアを介して溶液濃度に変換した。前消化工程中に得られた試料料および測定した濃度を用い、各試料中の総ナトリウムおよびリン含有量を計算した。
【0465】
結果。データの非盲検の際、糞便および尿中PおよびNaの薬力学測定をプラセボ群(各コホートに埋め込まれた3人の対象×3つのコホート=9人の対象)および3つの処置群にそれぞれ割り当てた。データを
図14A〜Bに示す。
図14AはNa(+/−SE)の平均1日糞便排泄の平均を示し、7日間処置期間(1日目〜7日目)にわたって平均化して、mEq/日として報告した。
図14Bはリン(+/−SE)の平均1日糞便排泄の平均を示し、7日間処置期間(1日目〜7日目)にわたって平均化して、mEq/日として報告した。一元配置ANOVAにより、統計解析した;(*);p<0.05、(**);p<0.01、(***);p<0.001。
【0466】
実施例9
健康なボランティアにおける7日間反復投与のクロスオーバー試験の用量15mgビッドでの食餌性リンの減少における活性の評価
フェーズ1、単一施設、無作為化、3wayクロスオーバー、非盲検研究を設計し、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール)を取り、3wayクロスオーバーデザインを用いながら、4日間、健康な男性および女性の対象において1日2回経口投与された化合物002の3つの異なる製剤について化合物002の薬力学を評価した。多くの潜在的な患者は、胃食道逆流疾患(GERD)の治療のためにPPIsまたはH2アンタゴニストのいずれかを取る。しかしながら、化合物002製剤のin vitro溶解プロファイルは高いpHにより影響を受け得るが、ここでより遅いおよび/または不完全な溶解が時々観察される。上昇した胃内pHの状況における薬剤の薬力学的活性を評価するために、本研究の対象は−5日目に始まり処置期間中オメプラゾールを取ることを要求された。
【0467】
対象を登録前3週間以内にスクリーニングした。各対象は−5日目に始まり、1日2回20mgのオメプラゾールを取った。対象は−2日目夕食前に臨床薬理ユニット(CPU)にチェックインした。CPU内にいる間、各対象はNa+含有量が標準化された食事を受け取った。対象は1から4日目、7から10日目、および13から16日目に化合物002ビッドの3つの製剤のうちの1つを約240mLの非炭酸水と共に受け取った(毎回異なる製剤)。対象に投与後5分以内に朝食および/または夕食を与えた。各処置期間中に2日間のウォッシュアウト期間があった。
CPUに拘束している間、Na+を標準化した食事をCPU手順ごとに提供した。
【0468】
薬力学的評価は24時間の糞便ナトリウム及びリンの測定値を含む。
少なくとも18人の健康な男性と女性の対象をこの研究において無作為化した。
試験集団の選択−試験対象基準。
1.19から65歳までの健康な男性または女性
2.18から29.9kg/m
2までの肥満度指数(BMI)
3.病歴、身体検査、またはスクリーニングにおける臨床検査評価において臨床的に著しい異常がない
4.プロトコルを理解し、応じることができる
5.インフォームドコンセントに署名することに意欲的であり、署名できる;いずれの研究の具体的な手順に先立つ署名と日付、書面によるインフォームドコンセント。
6.妊娠の可能性のある女性はユニットへの入院時スクリーニングで陰性の妊娠検査を持たねばならず、授乳してはならない。
7.スクリーニングからフォローアップ訪問まで、研究に含まれる妊娠の可能性のある女性は妊娠を回避する2つの効果的な方法を用いらなければならない(経口、経皮または移植避妊、子宮内避妊器具、殺精子剤を伴う女性用コンドーム、殺精子剤を伴うペッサリー、子宮頸管キャップまたは性的パートナーによる殺精子剤を伴うコンドームの使用が挙げられる)
8.妊娠の可能性がないとスクリーニングで確認された女性は以下の基準のいずれかを満たす必要がある:
a.少なくとも12ヶ月以上無月経であると定義される閉経後;閉経後の範囲内における外因性ホルモン療法およびLHおよびFSHレベルの停止に続くこと;または
b.子宮摘出、両側卵巣摘出または卵管結紮術ではなく両側卵管切除による不可逆的な外科的不妊手術の文書。
9.男性は無菌、禁欲、またはチェックインから、最終試験来院から45日目まで次のうちの1つの避妊の方法を使用することに合意した:殺精子剤を伴う男性用コンドーム;不妊の性的パートナー;女性パートナーによる殺精子剤を伴う子宮内避妊器具(IUD)、殺精子剤を伴う女性用コンドーム、殺精子剤を伴う避妊スポンジ、膣内システム(例えば、NuvaRing)、殺精子剤を伴うペッサリー、殺精子剤を伴う子宮頸管キャップもしくは殺精子剤を伴う経口、移植、経皮、または注射避妊)の使用。
10.任意の遺伝子研究に含めるために、患者は全ての試験対象基準を満たし、インフォームドコンセントのための遺伝的サンプリングと分析を提供しなければならない。
【0469】
除外基準。以下の基準のいずれかを満たした場合、対象を研究から除外した:
1.胃腸(GI)管の任意の臨床的に兆候的な生化学的もしくは構造的異常の診断または治療。
2.虫垂切除または胆嚢摘出、または吸収、分布、代謝もしくは薬物の排泄を妨害することで知られる条件を除く、小腸または結腸における任意の手術。
3.重大な心血管、呼吸器、腎臓、肝臓、胃腸、血液学的、代謝、内分泌、神経学、精神疾患、または対象が正常にトライアルを完了するのを妨害し得るもしくは対象に安全上のリスクを提示いかなる状態の臨床的エビデンス。
4.重度のアレルギー/過敏症の既往歴もしくは治験責任医師により判断されるような進行中の重度のアレルギー/過敏症、または化合物002と類似の化学構造またはクラスを有する薬剤に対する過敏症の既往歴。
5.過去7日間にける2日間を超える軟便(ブリストル便形状スコア6または7)。
6.肝機能障害(正常な[ULN]の上限の1.5倍より多いアラニンアミントランスアミナーゼ[ALT]もしくはアスパラギン酸塩アミントランスアミナーゼ[AST])または腎機能障害(血清クレアチニン>ULN)。
7.治験責任医師によって決定されるようなスクリーニングでの臨床的に有意な検査結果。
8.皮膚の非黒色腫の悪性腫瘍を除く、悪性腫瘍の治療の任意の証拠。
9.治験責任医師の意見で、対象がプロトコルの要件を満たすことができないまたは不本意である、または結果を解釈不可能にする状態を有し得る場合。
10.CPUチェックイン(−2日目)からCPUチェックアウト(17日目)における利尿薬の使用;繊維のサプリメント(研究で必要とされる場合を除く)、止痢薬、下剤、制酸剤、アヘン剤、麻薬、運動促進剤、浣腸剤、抗生物質、生菌薬またはサプリメントを含む、便の硬さおよび/または胃腸運動に影響を与えることで知られた薬;または塩またはNa+、カリウム、塩化物、重炭酸塩製剤を含む電解質サプリメント。
11.−2日目から30日以内の治験薬の使用。
12.スクリーニング中の陽性のウィルス学(活性B型肝炎感染、C型肝炎感染、もしくはヒト免疫不全ウィルス)、アルコールまたは薬物の乱用試験。
13.閉経後の女性およびホルモン避妊のためのホルモン補充療法を除く、CPUへの入院前7日以内の任意の処方箋医薬品の使用、または任意の処方箋または非処方箋医薬品の慢性使用。
14.タバコの使用、アルコール乱用、違法薬物の使用、重大な精神疾患、任意のオピオイドへの身体的依存の既往歴、または研究登録の12ヶ月以内の薬物乱用または依存の任意の既往歴。
15.研究にエントリーする前8週間以内に重大な失血(>450mL)または1単位以上の血液もしくは血漿を寄与した。
【0470】
試験薬。化合物002bis−HCl(例えば、化合物002の二塩酸塩)カプセル、化合物002bis−HCl錠剤および化合物002遊離塩基錠剤。化合物002bis−HCl塩は非晶質、灰白色の粉末である。化合物002遊離塩基は白色の、結晶性固体である。化合物002は白色のサイズ0のHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセル、またはラウンド型の、白い錠剤のいずれかとして提示される。14mgの化合物002遊離塩基のに相当する化合物002二塩化水素化物式量に基づく15mgの有効性成分含量でカプセルは製造された。この研究全体で同程度の用量強度を確保するために、二塩酸塩および遊離塩基の両方の錠剤を遊離塩基に基づき14mgの投与量を反映した強度で製造した。カプセルおよび錠剤を白色HDPE(高密度ポリエチレン)ボトルでカバーした。化合物002のカプセルおよび錠剤を使用するまで、元のパッケージ中で冷蔵保存した(2〜8℃)。錠剤の成分を以下の表E11に記載する。
【表12】
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【0471】
用量および投与経路。化合物002カプセルまたは錠剤、15mg(14mg遊離塩基当量)を、治療の間に2日間のウォッシュアウト期間を伴い、処置期間ごとに4日間連続で朝食および夕食の前に1日2回約240mLの非炭酸水と共に経口投与した。オメプラゾール20mgビッドを−5日目にはじめにスクリーニングされた対象に投与した。全ての対象は16日目のそれらの最後の試験薬の投与まで、毎日1日2回化合物002の摂取の前にオメプラゾール20mgを取った。以下の表E12を参照されたい。
【表13】
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【0472】
一旦対象が無作為化の対象とみなされたら次の利用可能なランダム化番号が順番に割り当てられた被験者は無作為化スケジュールに記載されている治療の順序を受けた。試験薬の全ての用量は、時間および投与された用量を症例報告書(CRF)に記録しながら、診療所のスタッフの監督下で与えられた。臨床スタッフは、カプセルが飲み込まれたことを確認するために、薬剤投与後に被験者の口腔と手を検査した。
【0473】
水分および食物の摂取量。研究に参加した被験者は、おおよそのナトリウム含有量(各食事のために約1500ミリグラム)で標準化された飼料を与えられました。食餌性リンを測定せず、またそれを所定の値に設定した。それは典型的な値の範囲内、例えば、1日あたり750mg〜1250mgであると予想された。対象は、食事に追加できるスパイスやソースを含む塩やその他のいかなるナトリウムを持っていなかった。
【0474】
水分摂取量は薬物投与前に指定された場合を除き任意であった。日々の献立(食べ物と液体)は各処置期間中に類似していた。
【0475】
薬力学的変数。以下のパラメータを、潜在的な薬物活性の信号としてモニターした。
・尿ナトリウム排泄(1日)
・糞便ナトリウム排泄(1日)
排便及び尿の採取を前述(実施例8)の通りに行った;3つの剤形の薬力学活性を以下の通りに評価した。ベースラインを最初のウォッシュアウト期間、つまり、6日目と7日目にベースラインを成立させた1人の対象を除き、−1日目から0日目の間にリンまたはナトリウムのベースライン糞便排泄をリンまたはナトリウムの平均1日糞便排泄として成立させた。治療の際のリンまたはナトリウムの平均1日糞便排泄を4日間の治療機関にわたる糞便リンまたはナトリウム排泄を平均することにより測定した。同様の方法を尿についても使用した。
【0476】
結果。結果を
図15A〜Cに示す。統計分析を一元配置ANOVAにより行った;(*);p<0.05、(**);p<0.01、(***);p<0.001。
【0477】
図15Aはリン(+/−SE)の平均1日糞便排泄の平均を示す。ベースラインを最初のウォッシュアウト期間、つまり、6日目と7日目にベースラインを成立させた1人の対象を除き(「前投与」と呼ばれる)、−1日目から0日目の間にリンまたはナトリウムのベースライン糞便排泄をリンまたはナトリウムの平均1日糞便排泄として成立させた。治療の際のリンまたはナトリウムの平均1日糞便排泄を4日間の治療機関にわたる糞便リンまたはナトリウム排泄を平均することにより測定した。
【0478】
図15Bはナトリウム(+/−SE)の平均1日尿中排泄を示す。ベースラインを最初のウォッシュアウト期間、つまり、6日目と7日目にベースラインを成立させた1人の対象を除き(「前投与」と呼ばれる)、−1日目から0日目の間にナトリウムのベースライン糞便排泄をナトリウムの平均1日尿中排泄として成立させた。3つの製剤の形態を伴う治療の際のナトリウムの1日排泄量を、4日間の処置期間にわたる尿中ナトリウム排泄を平均することにより測定した。
【0479】
図15Cはリン(+/−)の平均1日尿中排泄を示す。ベースラインを最初のウォッシュアウト期間、つまり、6日目と7日目にベースラインを成立させた1人の対象を除き(「前投与」と呼ばれる)、−1日目から0日目の間にリンのベースライン糞便排泄をリンの平均1日尿中排泄として成立させた。3つの製剤の形態を伴う治療の際のリンの1日排泄量を、4日間の処置期間にわたる尿中ナトリウム排泄を平均することにより測定した。
【0480】
実施例10
化合物002の薬力学に関するRENVELA(登録商標)の効果
フェーズ1、単一施設、無作為化、非盲検研究を設計し、4日間、健康な男性および女性の対象において1日2回経口投与された二塩酸塩(表E4を参照されたい)として、化合物002の薬力学に関するRENVELA(登録商標)の効果を評価した。
【0481】
対象を登録の3週間以内にスクリーニングした。18の対象が−2日目に夕食前にCPUにチェックインした。各対象は、CPU内でNa
+含有量について標準化された食事を受け取った。対象は1〜4日目、及び7〜10日目に15mgのCP002ビッドを受け取った。対象に投与後5分以内に朝食および/または夕食を与えた。2つの処置期間のうちの1つの間(ランダムに割り当てられた)、対象は朝食、昼食、夕食でRenvela(登録商標)の800mgの錠剤を受け取った(1から4日目または7から10日目のいずれか)。各処置期間の間に2日間のウォッシュアウト期間があった。CPUに拘束している間、Na+を標準化した食事をCPU手順ごとに提供した。薬力学的評価は24時間の糞便ナトリウム及びリンの測定値を含む。
【0482】
対象の選択基準及び試験薬の詳細は実施例9(前出)に記載のものと同様であった。評価及び手順のスケジュールを以下の表E13に示す。
【表14】
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【0483】
薬力学的変数。リンまたはナトリウムのベースライン糞便排泄を、−1日目から0日目の間、リンまたはナトリウムの平均1日糞便排泄として成立させた。治療の際のリンまたナトリウムの平均1日糞便排泄を、4日間の処置期間にわたる糞便中リンまたはナトリウム排泄を平均することにより測定した。実施例8(前出)に記載の通り、ナトリウム及びリンの分析法を行った。
【0484】
結果。データを
図16A〜Bに示す。一元配置ANOVA、次いで、Turkey多重比較試験により、統計解析した;(*);p<0.05、(**);p<0.01、(***);p<0.001。対プレ用量。
【0485】
ナトリウム(+/−SE)の平均1日糞便排泄の平均を
図16Aに示す。ここでは、ナトリウムのベースライン糞便排泄を、−1日目から0日目の間、リンまたはナトリウムの平均1日糞便排泄として成立させた(「前投与」と呼ばれる)。15mgビッド bis−HCl錠剤を伴う治療の際のナトリウムの平均1日糞便排泄を、4日間の処置期間にわたる糞便中ナトリウム排泄を平均することにより測定した。
【0486】
リン(+/−SE)の平均1日糞便排泄の平均を
図16Bに示す。リンのベースライン糞便排泄を、−1日目から0日目の間、リンの平均1日糞便排泄として成立させた(「前投与」と呼ばれる)。15mgビッドbis−HCl錠剤を伴う治療の際のリンの平均1日糞便排泄を、4日間の処置期間にわたる糞便中リン排泄を平均することにより測定した。
本発明の実施形態として、例えば以下を挙げることができる。
(1)それを必要とする患者に投与したとき、NHE3と結合して、胃腸内で、その中のリン酸イオン(Pi)の輸送を阻害する実質的に活性であり、実質的に全身的バイオアベイラブルでない化合物を、前記患者に、経腸的に投与することを含む、リン酸低下を必要とする前記患者の胃腸管内でのリン酸摂取の阻害方法。
(2)前記化合物が、式(X)の構造:
【化148】
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(式中、
NHEは、
【化149】
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であり;
Lは、ポリアルキレングリコールリンカーであり;
nは、2であり;および
コアは、
【化150】
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から選択される)
を有するもの、またはその薬剤的に許容可能な塩である、(1)記載の方法。
(3)前記ポリアルキレングリコールリンカーが、ポリエチレングリコールである、(2)記載の方法。
(4)前記化合物が、
【化151】
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またはその薬剤的に許容可能な塩である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記薬剤的に許容可能な塩が、
【化152】
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である、(4)記載の方法。
(6)前記化合物が、表E3または表E4の化合物、またはその薬剤的に許容可能な塩である、(1)記載の方法。
(7)前記化合物が、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの持続性阻害剤である、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)持続性阻害が、ナトリウムイオンおよび水素イオンのNHE3媒介アンチポートの生体外阻害アッセイにおいて、前記化合物の時間依存性阻害活性により特徴付けられ、促進条件(pIC50promp)下の前記化合物のpIC50が、持続条件(pIC50pers)下の前記化合物のpIC50と実質的に匹敵する、(7)記載の方法。
(9)下記化合物
【化153】
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またはその薬剤的に許容可能な塩の効果量を、対象に投与することを含む、それを必要とする前記対象の高リン血症の治療方法。
(10)前記薬剤的に許容可能な塩が、
【化154】
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である、(9)記載の方法。
(11)前記方法が、食後高リン血症でもよい、高リン血症の治療方法;慢性腎疾患(CKD)または末期腎疾患(ESRD)でもよい、腎疾患の治療方法;血清クレアチニン値の低下方法;タンパク尿の治療方法;透析でもよい、腎移植治療(RRT)タイミングの遅延方法;FGF23値の低下方法;活性ビタミンDの高リン血症の影響の低減方法;続発性副甲状腺機能亢進症でもよい、副甲状腺機能亢進症の減弱方法;血清副甲状腺ホルモン(PTH)の減少方法;透析間体重増加(IDWG)の減少方法;食後血清リン酸塩による誘発でもよい、内皮細胞機能不全の改善方法;内膜局在性血管石灰化でもよい、血管石灰化の減少方法;尿中亜リン酸の減少方法;血清リン酸塩値の正常化方法;高齢患者のリン酸負荷の減少方法;食事性リン酸塩摂取の減少方法;腎肥大の低減方法;心肥大の低減方法;および閉塞型睡眠時無呼吸の治療方法から選択される、(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12)前記化合物が、式(I)または(IX):
【化155】
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(式中、
NHEは、(i)ヘテロ原子含有部分、(ii)それに直接的または間接的に結合した環式または複素環式骨格または支持部分を含むNHE結合小分子であり、前記ヘテロ原子含有部分が、置換グアニジニル部分および、前記骨格または支持部分と縮合して縮合二環式構造を形成してもよい、置換複素環式部分から選択され;および、
Zは、NHE結合小分子と結合するためのその少なくとも1つの部位を有する部分であり、得られたNHE−Z分子が、実質的に不透過性であるまたは実質的に全身的バイオアベイラブルでなくする全体の物理化学的特性を有し;および
Eは、1以上の値を有する整数である)
の構造を有する、(1)、(7)、(8)、または(11)のいずれかに記載の方法。
(13)前記化合物が、オリゴマー、デンドリマーまたはポリマーであり、さらに、Zが、連結部分Lにより直接的または間接的のいずれかで、複数のNHE結合小分子と結合するその2つ以上の部位を有するコア部分であり、前記化合物が、式(X):
【化156】
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(式中、Lは、前記コアとNHE結合小分子とを連結する結合またはリンカーであり、nは、2以上の整数であり、さらに、各NHE結合小分子は、互いに同じでも異なっていてもよい)
の構造を有する、(12)記載の方法。
(14)前記NHE結合小分子が、式(IV):
【化157】
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またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬剤的に許容可能な塩
(式中:
各R1、R2、R3、R5およびR9は、独立して、H、ハロゲン、−NR7(CO)R8、−(CO)NR7R8、−SO2−NR7R8、−NR7SO2R8、−NR7R8、−OR7、−SR7、−O(CO)NR7R8、−NR7(CO)OR8、および−NR7SO2NR8から選択され、R7およびR8は、独立して、Hまたは前記NHE結合小分子とLとを連結する結合から選択されるが、但し、少なくとも1つは、前記NHE結合小分子とLとを連結する結合であり;
R4は、H、C1〜C7アルキル、または前記NHE結合小分子とLとを連結する結合から選択され;
R6は、存在しないか、またはHおよびC1〜C7アルキルから選択され;および
Ar1およびAr2は、独立して、芳香族環または複素環式芳香族環である)
の構造を有する、(13)記載の方法。
(15)前記化合物が、次の構造式(I−H):
【化158】
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またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬剤的に許容可能な塩
(式中:
(a)nは、2以上の整数であり;
(b)コアは、2つ以上のNHE結合小分子部分と結合するその2つ以上の部位を有するコア部分であり;
(c)Lは、前記コア部分と2つ以上のNHE結合小分子部分とを連結する結合またはリンカーであり;および
(d)NHEは、次の構造式(XI−H):
【化159】
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(式中:
Bは、アリールおよびヘテロシクリルから成る群から選択され;
各R5は、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC1〜4アルキル、置換されていてもよいC1〜4アルコキシ、置換されていてもよいC1〜4チオアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいヘテロシクリルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、ニトロ、−NR7R8、−NR7C(=O)R8、−NR7C(=O)OR8、−NR7C(=O)NR8R9、−NR7SO2R8、−NR7S(O)2NR8R9、−C(=O)OR7、−C(=O)R7、−C(=O)NR7R8、−S(O)1〜2R7、および−SO2NR7R8から成る群から選択され、R7、R8、およびR9は、独立して、水素、C1〜4アルキル、または前記NHE結合小分子部分とLとを連結する結合から成る群から選択されるが、但し、少なくとも1つは、前記NHE結合小分子部分とLとを連結する結合であり;
R3およびR4は、独立して、水素、置換されていてもよいC1〜4アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロシクリルおよび置換されていてもよいヘテロアリールから成る群から選択され;または R3およびR4は、それらが結合する窒素と一緒になって、置換されていてもよい4〜8員ヘテロシクリルを形成し;および
各R1は、独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC1〜6アルキルおよび置換されていてもよいC1〜6アルコキシから成る群から選択される)
を有するNHE結合小分子部分である)
を有する、(1)、(7)、(8)、または(11)のいずれかに記載の方法。
(16)前記NHE結合小分子部分が、次の構造式(XII−H):
【化160】
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(式中:
各R3およびR4は、独立して、水素および置換されていてもよいC1〜4アルキルから成る群から選択され、またはそれらが結合する窒素と一緒になったR3およびR4が、置換されていてもよい4〜8員ヘテロシクリルを形成し;
各R1は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜6アルキル、およびC1〜6ハロアルキルから成る群から選択され;および
R5は、−SO2−NR7−および−NHC(=O)NH−から成る群から選択され、R7は、水素またはC1〜4アルキルである)
を有する、(15)記載の方法。
(17)前記化合物が、次の構造式(I−I):
【化161】
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またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬剤的に許容可能な塩
(式中:
(a)NHEは、次の構造式(A−I):
【化162】
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(式中:
各R1、R2、R3、R5およびR9は、独立して、H、ハロゲン、−NR7(CO)R8、−(CO)NR7R8、−SO2−NR7R8、−NR7SO2R8、−NR7R8、−OR7、−SR7、−O(CO)NR7R8、−NR7(CO)OR8、および−NR7SO2NR8から選択され、R7およびR8は、独立して、H、C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−OHまたは前記NHE結合小分子とLとを連結する結合から成る群から選択されるが、但し、少なくとも1つは、前記NHE結合小分子とLとを連結する結合であり;
R4は、H、C1〜C7アルキル、または前記NHE結合小分子とLとを連結する結合から成る群から選択され;
R6は、存在しないか、またはHおよびC1〜C7アルキルから選択され;および
Ar1およびAr2は、独立して、芳香族環または複素環式芳香族環である)
を有するNHE結合小分子部分であり;
(b)コアは、次の構造式(B−I):
【化163】
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(式中:
Xは、C(X1)、NおよびN(C1〜6アルキル)から選択され;
X1は、水素、置換されていてもよいアルキル、−NXaXb、−NO2、−NXc−C(=O)−NXc−Xa、−C(=O)NXc−Xa、−NXc−C(=O)−Xa、−NXc−SO2−Xa、−C(=O)−Xaおよび−OXaから選択され、
各XaおよびXbは、独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいヘテロシクリルアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールアルキルから選択され;
Yは、C1〜6アルキレンであり;
Zは、XがCX1であるとき、−NZa−C(=O)−NZa−、−C(=O)NZa−、−NZa−C(=O)−およびヘテロアリールから選択され;
Zは、XがNまたはN(C1〜6アルキル)であるとき、−NZa−C(=O)−NZa−、−NZa−C(=O)−およびヘテロアリールから選択され;および
各XcおよびZaは、独立して、水素およびC1〜6アルキルから選択される)
を有するコア部分であり;および
(c)Lは、前記コア部分と前記NHE結合小分子部分とを連結する結合またはリンカーである)
を有する、(1)、(7)、(8)、または(11)のいずれかに記載の方法。
(18)前記化合物が、次の構造式(II):
【化164】
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またはその立体異性体、プロドラッグもしくは薬剤的に許容可能な塩
(式中:
(a)NHEは、次の構造式(A−I):
【化165】
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(式中:
各R1、R2、R3、R5およびR9は、独立して、H、ハロゲン、−NR7(CO)R8、−(CO)NR7R8、−SO2−NR7R8、−NR7SO2R8、−NR7R8、−OR7、−SR7、−O(CO)NR7R8、−NR7(CO)OR8、および−NR7SO2NR8から選択され、R7およびR8は、独立して、H、C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−OHまたは前記NHE結合小分子とLとを連結する結合から成る群から選択されるが、但し、少なくとも1つは、前記NHE結合小分子とLとを連結する結合であり;
R4は、H、C1〜C7アルキル、または前記NHE結合小分子とLとを連結する結合から成る群から選択され;
R6は、存在しないか、またはHおよびC1〜C7アルキルから選択され;および
Ar1およびAr2は、独立して、芳香族環または複素環式芳香族環である)
を有するNHE結合小分子部分であり;
(b)コアは、次の構造式(C−I):
【化166】
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(式中:
Wは、アルキレン、ポリアルキレングリコール、−C(=O)−NH−(アルキレン)−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−(ポリアルキレングリコール)−NH−C(=O)−、−C(=O)−(アルキレン)−C(=O)−、−C(=O)−(ポリアルキレングリコール)−C(=O)−およびシクロアルキルから選択され、
Xは、Nであり;
Yは、C1〜6アルキレンであり;
Zは、−NZa−C(=O)−NZa−、−C(=O)NZa−、−NZa−C(=O)−およびヘテロアリールから選択され;
各Zaは、独立して、水素およびC1〜6アルキルから選択される)
を有するコア部分であり;および
(c)Lは、前記コア部分と前記NHE結合小分子とを連結する結合またはリンカーである)
を有する、(1)、(7)、(8)、または(11)のいずれかに記載の方法。