(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変換回路は、共振式の変換回路であり、かつ前記第1インダクタンスおよび前記第2インダクタンスは、それぞれ共振インダクタンスである、請求項6に記載の磁性モジュール。
前記第1巻線は、前記電源変換装置の第1変圧器の第1一次巻線であり、前記第2巻線は、前記電源変換装置の第2変圧器の第2一次巻線である、請求項1に記載の磁性モジュール。
前記第1巻線は、前記電源変換装置の第1変圧器の第1二次巻線であり、前記第2巻線は、前記電源変換装置の第2変圧器の第2二次巻線である、請求項1に記載の磁性モジュール。
各コア柱は、上柱と下柱とを備え、前記上柱は、前記上コア部の第1設置面から下へ垂直に伸び、前記下柱は、前記下コア部における前記第1設置面と対向する第2設置面から上へ垂直に伸び、かつ各下柱の位置は、各上柱の位置と対応する、請求項1に記載の磁性モジュール。
前記第1変換回路は、第1共振インダクタンスをさらに備え、前記第2変換回路は、第2共振インダクタンスをさらに備え、前記第1共振インダクタンスおよび前記第2共振インダクタンスは、第2磁性モジュールで形成され、
前記第2磁性モジュールは、
第2上コア部、第2下コア部、および前記第2上コア部および前記第2下コア部を共有しかつ前記第2上コア部と該第2下コア部の間にずれて配置される4つの第2コア柱を備える第2コアと、
前記4つの前記第2コア柱のうち任意の2つの前記第2コア柱に巻回され、巻回された2つの前記第2コア柱と前記第2上コア部および前記第2下コア部との間で第3閉磁路を形成する前記第1共振インダクタンスの第1巻線と、
前記4つの前記第2コア柱のうち残りの2つの前記第2コア柱に巻回され、巻回された2つの前記第2コア柱と前記第2上コア部および前記第2下コア部との間に第4閉磁路を形成する前記第2共振インダクタンスの第2巻線とを備え、
前記第3閉磁路における単独の前記第2コア柱内の交流フラックスのピーク値と、前記第4閉磁路における単独の前記第2コア柱内の交流フラックスのピーク値との合計値が前記第2上コア部内の交流フラックスのピーク値を超え、かつ前記第2下コア部内の交流フラックスのピーク値を超える、請求項14に記載の電源変換装置。
前記第1変換回路および前記第2変換回路は、それぞれ入力フィルタ回路および該入力フィルタ回路に電気的に接続されるインバータを備え、かつ前記インバータは、ハーフブリッジ回路を形成する2つのスイッチングユニットを備え、
電源変換装置の負入力端子に対して、前記第1変換回路のハーフブリッジ回路のブリッジ中点の電位ホッピングと前記第2変換回路のハーフブリッジ回路のブリッジ中点の電位ホッピングは逆向きであり、あるいは位相が180°ずれる、請求項11に記載の電源変換装置。
前記第1磁性モジュールおよび前記第2磁性モジュールは、それぞれ変圧器であり、かつ前記第1巻線および前記第2巻線は、それぞれ対応する前記変圧器の一次巻線である、請求項18に記載の電源変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および
図2を参照すると、
図1は、本発明の一好適な実施形態に係る電源変換装置の回路構造を示す概略図であり、
図2は、
図1に示す磁性モジュールの分解構造を示す概略図である。
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る電源変換装置1は、共振型の直流/直流コンバータであってもよいが、特に制限がなく、入力電気エネルギーを出力電気エネルギーに変換して負荷に供給し、正入力端子10、負入力端子11、正出力端子12、負出力端子13および変換回路14を備える。入力電気エネルギーは、正入力端子10および負入力端子11を介して電源変換装置1に供給され、負荷に電気的に接続される正出力端子12および負出力端子13を介して出力電気エネルギーを出力する。なお、変換回路14は共振式である。
【0016】
変換回路14の入力端子は、それぞれ正入力端子10および負入力端子11に電気的に接続され、変換回路14の出力端子は、それぞれ正出力端子12および負出力端子13に接続され、変換回路14は、入力電気エネルギーを出力電気エネルギーに変換し、入力フィルタ回路15、インバータ回路16、共振回路17、変圧器T1およびT2で構成される磁性モジュールM、複数の整流回路18および複数の出力フィルタ回路19を備える。
【0017】
入力フィルタ回路15は、正入力端子10と負入力端子11との間に電気的に接続され、入力電気エネルギーをフィルタ処理するために用いられる。本発明の実施形態において、入力フィルタ回路15は、直列接続される2つの入力キャパシタを備えることができる。
【0018】
インバータ回路16は、入力フィルタ回路15の出力端子に電気的に接続され、フィルタ処理後の入力電気エネルギーを移行交流エネルギーに変換するために用いられる。本発明の実施形態において、インバータ回路16は、直列接続される2つのスイッチングユニットを備えてもよく、2つのスイッチングユニットは、ハーフブリッジ式の回路構造を形成する。
【0019】
共振回路17は、入力フィルタ回路15の出力端子およびインバータ回路16の出力端子に電気的に接続される。本発明の実施形態において、共振回路17は、直列接続される共振キャパシタCrおよび共振インダクタンスLrで構成されてもよく、共振キャパシタCrは、入力フィルタ回路15と共振インダクタンスLrとの間に電気的に接続され、共振インダクタンスLrは、共振キャパシタCrと変圧器T1の一次側および変圧器T2の一次側との間に電気的に接続される。
【0020】
磁性モジュールMにおける変圧器T1は、第1一次巻線N1および2つの第1二次巻線S1を備える。第1一次巻線N1の2つのワイヤ端部は、それぞれ共振回路17に電気的に接続され、かつ第1一次巻線N1は、第1コイルN11と第2コイルN12(
図2に示す)が直列接続される構成になっているが、直列接続に限らず、第1コイルN11と第2コイルN12が並列接続されてもよい。2つの第1二次巻線S1は、それぞれセンタータップ構造である。インバータ回路16からの移行交流エネルギーが変圧器T1の第1一次巻線N1に流されると、移行交流エネルギーを電磁結合の方法で2つの第1二次巻線S1に供給し、2つの第1二次巻線S1は、それぞれ出力交流エネルギーを生成する。
【0021】
磁性モジュールMの変圧器T2は、第2一次巻線N2および2つの第2二次巻線S2を備える。第2一次巻線N2の2つのワイヤ端部は、それぞれ共振回路17に電気的に接続され、かつ第1一次巻線N1と第2一次巻線N2は並列接続される。また、第2一次巻線N2は、第3コイルN21と第4コイルN22(
図2に示す)とが直列接続される構成になっているが、直列接続に限らず、第3コイルN21と第4コイルN22が並列接続されてもよい。2つの第2二次巻線S2は、それぞれセンタータップ構造である。インバータ回路16からの移行交流エネルギーが変圧器T2の第2一次巻線N2に流されると、移行交流エネルギーを電磁結合の方法で2つの第2二次巻線S2に供給し、2つの第2二次巻線S2は、それぞれ出力交流エネルギーを生成する。
【0022】
本発明の実施形態において、変圧器T1および変圧器T2がPCB変圧器であり、すなわち変圧器T1の第1一次巻線N1および2つの第1二次巻線S1、変圧器T2の第2一次巻線N2および2つの第2二次巻線S2は、それぞれPCBコイルで構成されてもよいが、特に制限がない。また、本発明の実施形態において、変圧器T1の第1一次巻線N1および2つの第1二次巻線S1、変圧器T2の第2一次巻線N2および2つの第2二次巻線S2は、それぞれ導線で構成されてもよい。さらに、本発明の実施形態において、第1一次巻線N1と第2一次巻線N2が並列接続されるため、第1一次巻線N1と第2一次巻線N2が並列接続された後のコイル巻数は、奇数回であってもよく、たとえば、5であってもよいが、特に制限がなく、偶数回であってもよい。
【0023】
整流回路18の数は、磁性モジュールMが備える二次巻線(第1二次巻線S1と第2二次巻線S2)の数に対応するため、
図1に示すように、変換回路14は4つの整流回路18を備え、各整流回路18は、対応する二次巻線と電気的に接続され、対応する二次巻線からの出力交流エネルギーを整流し、直流エネルギーを生成するために用いられる。
【0024】
出力フィルタ回路19の数は整流回路18の数に対応するため、
図1に示すように、変換回路14は、4つの出力フィルタ回路19を備え、各出力フィルタ回路19の入力端子は、それぞれ対応する整流回路18の出力端子に接続され、各出力フィルタ回路19の出力端子は、他の全ての出力フィルタ回路19の出力端子に並列接続され、さらに正出力端子12および負出力端子13に電気的に接続される。各出力フィルタ回路19は、整流回路18からの直流エネルギーをフィルタ処理し、複数の出力フィルタ回路19の出力端子が並列接続されるため、負荷に供給される出力電気エネルギーは、複数の出力フィルタ回路19が出力するフィルタ処理後の直流エネルギーの重ね合わせである。
【0025】
本発明の実施形態において、変圧器T1と変圧器T2の電流共有を実現するために、変圧器T1の第1一次巻線N1のコイル巻数を変圧器T2の第2一次巻線N2のコイル巻数に一致させ、変圧器T1の2つの第1二次巻線S1のコイル巻数も変圧器T2の2つの第2二次巻線S2のコイル巻数に一致させる。
【0026】
以下、磁性モジュールMの細部構造を説明する。
図2に示すように、上記実施形態において、磁性モジュールMは、コア、第1一次巻線N1、2つの第1二次巻線S1、第2一次巻線N2および2つの第2二次巻線S2を備える。コアは、上コア部M11と、下コア部M12と、上コア部M11および下コア部M12を共有する4つのコア柱M13とを備える(説明の便宜上、以下において4つのコア柱を第1コア柱、第2コア柱、第3コア柱および第4コア柱と称する)。本発明の実施形態において、4つのコア柱M13は、上コア部M11と下コア部M12の間にずれて設けられるため一本の直線に位置せず、さらに、各コア柱M13は、上柱M130と下柱M131とを備え、上柱M130は、上コア部M11における矩形の第1設置面から下へ垂直に伸び、かつ4つのコア柱M13における4つの上柱M130は、上コア部M11の第1設置面の4つの角に位置されてもよい。下柱M131は、下コア部M12における上コア部M11の第1設置面と対向する矩形の第2設置面から上へ垂直に伸び、かつ各下柱M131の位置が上柱M130の位置に対応するため、4つのコア柱M13における下柱M131は、下コア部M12の第2設置面の4つの角に位置する。
【0027】
第1一次巻線N1は、コアの任意の2つのコア柱M13(たとえば、第1コア柱および第2コア柱)に巻回されているため、第1一次巻線N1によって巻回される2つのコア柱M13は、上コア部M11および下コア部M12と第1閉磁路を形成する。第2一次巻線N2は、残りの2つのコア柱M13(たとえば、第3コア柱および第4コア柱)に巻回されているため、第2一次巻線N2によって巻回されるコア柱M13は、上コア部M11および下コア部M12と第2閉磁路を形成する。また、第1一次巻線N1および第2一次巻線N2は、それぞれコアの対応する2つのコア柱M13に巻回される際、直接接続される直列接続の関係でなく、たとえば、間接的に直列接続され、または、並列接続される構成である。換言すれば、第1一次巻線N1の任意の1つのワイヤ端部が第2一次巻線N2の任意の1つのワイヤ端部のみに接続されることはない。第1一次巻線N1および第2一次巻線N2には、それぞれ独立してインバータ回路16からの移行交流エネルギーが流される。
【0028】
2つの第1二次巻線S1は、それぞれ対応するコア柱M13(たとえば、1つの第1二次巻線S1は、第1コア柱に巻回され、もう1つの第1二次巻線S1は、第2コア柱に巻回される)に巻回され、2つの第2二次巻線S2は、それぞれ対応する残りのコア柱M13(たとえば、1つの第2二次巻線S2は、第3コア柱に巻回され、もう1つの第2二次巻線S2は、第4コア柱に巻回される)に巻回される。また、
図3Aおよび
図3Bを参照すると、
図3Aは、
図2に示す磁性モジュールの任意の2つの隣接するコア柱における交流フラックスが逆向きであるとき、上コア部または下コア部で交流フラックスの相殺があった場合の交流フラックスの波形を示す図であり、
図3Bは、本発明に係る磁性モジュールの任意の2つの隣接するコア柱における交流フラックスが同じ方向であるとき、上コア部または下コア部で交流フラックスの相殺がなかった場合の交流フラックスの波形を、
図3Aと対比しながら模式的に示す図である。本発明の実施形態において、第1一次巻線N1の印加ボルト秒が第1閉磁路のコア柱内の交流フラックスを決め、第2一次巻線N2の印加ボルト秒が第2閉磁路のコア柱内の交流フラックスを決め、第1一次巻線N1および第2一次巻線N2の巻回方法によって任意の2つの隣接するコア柱M13の交流フラックスが逆向きになり(すなわち、4つのコア柱M13のうち一本の対角線に位置する2つのコア柱M13の交流フラックスの方向が第1方向であり、もう一本の対角線に位置する2つのコア柱M13の交流フラックスの方向が第2方向であり、第1方向と第2方向は、
図2における下コア部M12の上にある矢印が示すように逆向きである)、上コア部M11の交流フラックスと下コア部M12の交流フラックスが相殺するため、上コア部M11および下コア部M12の交流フラックスを低減することができる。すなわち、
図3Aに示すように、任意のコア柱M13(
図3Aおよび
図3Bにおいて、1つのコア柱M13をAコア柱と称する)と該コア柱に隣接するコア柱M13(
図3Aおよび
図3Bにおいて、Aコア柱と隣接するコア柱M13をBコア柱およびCコア柱と称する)の交流フラックスが逆向きである場合、
図3Aから分かるように、本発明の上コア部M11のフラックスと下コア部M12の交流フラックスとは相殺できるため、上コア部M11と下コア部M12のコア損失が低下するというメリットがある。
図3Bに示すように、Aコア柱とBコア柱およびCコア柱の交流フラックス方向が同じであり、かつ上コア部M11のフラックスおよび下コア部M12の交流フラックスが重ね合わせ、相殺でない場合に比べ、上コア部M11と下コア部M12のコア損失が低下するというメリットが得られない。本発明の実施形態において、任意の2つの隣接するコア柱M13の交流フラックスが逆向きであるため、上コア部M11および下コア部M12の交流フラックスを確実に減少することができる。その結果、第1閉磁路における1つの第1コア柱内の交流フラックスのピーク値と第2閉磁路における1つの第1コア柱内の交流フラックスのピーク値との合計値が、上コア部M11内の交流フラックスのピーク値を超え、かつ下コア部M12内の交流フラックスのピーク値を越え、上コア部M11および下コア部M12のコアの損失を低減することができる。そして、第1一次巻線N1、2つの第1二次巻線S1およびコアは変圧器T1を構成し、第2一次巻線N2、2つの第2二次巻線S2およびコアは変圧器T2を構成する。
【0029】
上記の実施形態において、変圧器T1の第1一次巻線N1および変圧器T2の第2一次巻線N2はPCBコイル20で形成され、PCBコイル20は複数の第1挿通孔21を備え、各第1挿通孔21の設置位置は、対応するコア柱M13に対応し、各第1挿通孔21は、対応するコア柱M13によって挿通される。また、変圧器T1の2つの第1二次巻線S1および変圧器T2の2つの第2二次巻線S2はPCBコイル22で形成され、PCBコイル22は複数の第2挿通孔23を備え、各第2挿通孔23の設置位置は、対応するコア柱M13に対応し、各第2挿通孔23は、対応するコア柱M13によって挿通される。
【0030】
本発明の実施形態において、電源変換装置1が入力電気エネルギーを出力電気エネルギーに変換する際、変換回路14における変圧器T1およびT2を利用して一部の電気エネルギーを変換し、変圧器T1の第1一次巻線N1と変圧器T2の第2一次巻線N2とのインダクタンス値の誤差は、下記条件式を満たす。
【0031】
│Lm1−Lm2│/(Lm1+Lm2)≦30%
ゆえに、変圧器T1、T2で生成した磁化電流差および磁化電流損失差を制御可能な範囲に抑えることができ、そのうち、Lm1は、第1一次巻線N1のインダクタンス値であり、Lm2は、第2一次巻線N2のインダクタンス値である。このようにして、各変圧器T1、T2の許容電力を半分程度に減らすことができ、さらに、変圧器T1、T2の第1一次巻線N1、第2一次巻線N2、第1二次巻線S1および第2二次巻線S2におけるコイルの幅および厚さも適切な範囲に抑えることができるため、第1一次巻線N1、第2一次巻線N2、第1二次巻線S1および第2二次巻線S2の寄生抵抗および熱抵抗を効果的に減少させることができる。なお、本発明に係る磁性モジュールMにおいて、2つのコア柱M13が上コア部M11および下コア部M12とU型コアに類似する構造になっているため、4つのコア柱M13を備えるコアを複数のU型コアを組み合わせてなる構成と見なすことができ、本発明の磁性モジュールMに巻回される巻線がPCBコイルである場合、PCBコイルの実装サイズを小さくすることができる。また、本発明の磁性モジュールMを複数のU型コアを組み合わせてなる構成と見なすことができるため、磁性モジュールMの巻線の放熱効果が比較的良い。さらに、本発明の磁性モジュールMのコアを、複数のU型コアが上コア部M11および下コア部M12を共有してなると見なすことができるため、複数の独立したU型コアを使用する場合に比べて、本発明の磁性モジュールMの上コア部M11および下コア部M12の断面積が増え、上コア部M11および下コア部M12の交流フラックスの密度が低下するため、上コア部M11および下コア部M12の損失を低減し、電源変換装置1の効率を高めることができる。さらに、本発明に係る磁性モジュールMのコアの任意の2つの隣接するコア柱M13の交流フラックスが逆向きであるため、上コア部M11および下コア部M12の交流フラックスの密度をさらに低減することができ、上コア部M11および下コア部M12のコアの損失をさらに減らし、電源変換装置1の効率をさらに高めることができる。
【0032】
図2および
図4を参照すると、
図4は、本発明のもう1つの好適な実施形態に係る電源変換装置の回路構造を示す概略図である。
図4に示すように、本実施形態に係る電源変換装置2の回路構造は、
図1に示す電源変換装置1に似ているため、類似した回路構造や動作については同じ符号を付する。ただし、
図1に示す電源変換装置1の共振回路17が共振キャパシタCrおよび唯一の共振インダクタンスLrを備えることに対し、本実施形態に係る電源変換装置2の共振回路17は、共振キャパシタCrおよび間接的に直列接続される2つの共振インダクタンスLr1、Lr2(すなわち、2つの共振インダクタンスLr1、Lr2の間には直列接続される他の部材が存在することを意味する)を備え、かつ該2つの共振インダクタンスLr1、Lr2が上コア部および下コア部を共有する構造である。本発明の別の実施形態においては、2つの共振インダクタンスLr1、Lr2を並列接続することもできる。2つの共振インダクタンスLr1、Lr2は、
図2に示すコアを利用して磁性モジュールを構成してもよく、すなわち、
図2に示すコア、共振インダクタンスLr1の第1巻線および共振インダクタンスLr2の第2巻線を備えることができる。なお、第1巻線が電源変換装置2の第1インダクタンスのコイルであり、第2巻線が電源変換装置2の第2インダクタンスのコイルである。コア、共振インダクタンスLr1の第1巻線および共振インダクタンスLr2の第2巻線からなる磁性モジュールは、
図2に示す磁性モジュールMに類似した構造を有する。但し、
図2に示す磁性モジュールMが2つの変圧器T1、T2を備え、PCBコイル22を用いて変圧器T1の2つの第1二次巻線S1および変圧器T2の2つの第2二次巻線S2を構成することに対し、該実施形態に係るコア、共振インダクタンスLr1の第1巻線および共振インダクタンスLr2の第2巻線で構成される磁性モジュールは、
図2に示すPCBコイル20に類似するコイル部材のみで共振インダクタンスLr1の第1巻線および共振インダクタンスLr2の第2巻線を構成し、PCBコイル22がなくても済む。
【0033】
共振インダクタンスLr1の第1巻線は、コアの任意の2つのコア柱M13(たとえば、第1コア柱および第2コア柱)に巻回され、共振インダクタンスLr1の第1巻線によって巻回される2つのコア柱M13、上コア部M11および下コア部M12が第1閉磁路を形成する。共振インダクタンスLr2の第2巻線は、残りの2つのコア柱M13(たとえば、第3コア柱および第4コア柱)に巻回され、共振インダクタンスLr2の第2巻線によって巻回される2つのコア柱M13、上コア部M11および下コア部M12が第2閉磁路を形成する。なお、共振インダクタンスLr1の第1巻線および共振インダクタンスLr2の第2巻線がコアの2つのコア柱M13に巻回されるとき、直接接続してなる直列接続の関係でなく、たとえば、間接的に直列接続され、または、並列接続される。さらに、本発明の実施形態において、共振インダクタンスLr1の第1巻線および共振インダクタンスLr2の第2巻線がコアのコア柱M13に巻回される際の巻き方によっては、任意の2つの隣接するコア柱M13の交流フラックスが逆向きとなる。そして、上記共振インダクタンスLr1の第1巻線によって巻回される2つのコア柱M13、上コア部M11および下コア部M12で形成される第1閉磁路における各コア柱内の交流フラックスのピーク値と、上記共振インダクタンスLr2の第2巻線によって巻回される2つのコア柱M13、上コア部M11および下コア部M12で形成される第2閉磁路における各コア柱内の交流フラックスのピーク値との合計値は、上コア部M11内の交流フラックスのピーク値を超え、かつ下コア部M12内の交流フラックスのピーク値を超える。
【0034】
当然ながら、共振回路17は、
図4に示すLLC共振回路に限らず、本発明の一実施形態において、
図5に示すように、電源変換装置3の共振回路17はLCC共振回路であってもよい。換言すれば、共振回路17は、共振キャパシタCrおよび互いにカップリングする2つの共振インダクタンスLr1、Lr2以外、1つの共振キャパシタCr2をさらに備え、共振キャパシタCr2は、第1一次巻線N1の2つのワイヤ端部の間にブリッジ接続され、かつ第2一次巻線N2の2つのワイヤ端部の間にブリッジ接続される。
【0035】
図6および
図2を参照すると、
図6は、本発明のもう1つの好適な実施形態に係る電源変換装置の回路構造を示す概略図である。
図6に示すように、本実施形態に係る電源変換装置4は、直流/直流コンバータに限らず、入力電気エネルギーを出力電気エネルギーに変換して負荷に供給し、正入力端子40、負入力端子41、正出力端子42、負出力端子43および2つの変換回路44、44’を備える。入力電気エネルギーは、正入力端子40および負入力端子41を介して電源変換装置4に供給され、変換されてから正出力端子42および負出力端子43を介して出力電気エネルギーとして出力される。
【0036】
2つの変換回路44、44’は、回路構造が同じでありかつ共振型の変換回路である。以下、そのうち1つの変換回路の回路構造および動作を説明する。本発明の実施形態において、変換回路44、44’はそれぞれ共振型の変換回路であってもよいが、特に制限がない。変換回路44の入力端子は、変換回路44’の入力端子に直列接続され、かつ正入力端子40と負入力端子41の間に電気的に接続される。変換回路44の出力端子は、もう1つの変換回路44’の出力端子に並列接続され、かつ正出力端子42と負出力端子43の間に電気的に接続される。変換回路44、44’はそれぞれ入力電気エネルギーを変換し、電源変換装置4が2つの変換回路44、44’を介して出力電気エネルギーを負荷に出力できるようにする。変換回路44は、入力フィルタ回路45、インバータ回路46(スイッチ切替回路とも称する)、共振回路47、変圧器T1、複数の整流回路48および複数の出力フィルタ回路49を備える。変換回路44’は、入力フィルタ回路45’、インバータ回路46’(スイッチ切替回路とも称する)、共振回路47’、変圧器T2、複数の整流回路48’および複数の出力フィルタ回路49’を備える。
【0037】
入力フィルタ回路45は、正入力端子40と負入力端子41の間に電気的に接続され、入力電気エネルギーをフィルタ処理する。本発明の実施形態において、入力フィルタ回路45は、直列接続される2つの入力キャパシタを備えることができる。
【0038】
インバータ回路46は、入力フィルタ回路45の出力端子に電気的に接続され、フィルタ処理された入力電気エネルギーを移行交流エネルギーに変換する。本発明の実施形態において、インバータ回路46は、直列接続される2つのスイッチングユニットを備え、2つのスイッチングユニットは、ハーフブリッジ式の回路構造を形成することができる。
【0039】
共振回路47は、入力フィルタ回路45の出力端子およびインバータ回路46の出力端子に電気的に接続される。本発明の実施形態において、共振回路47は、直列接続される共振キャパシタCrおよび共振インダクタンスLrで形成されてもよい。
【0040】
変圧器T1は、第1一次巻線N1および2つの第1二次巻線S1を備える。第1一次巻線N1の2つのワイヤ端部は、それぞれ共振回路47に電気的に接続され、かつ第1一次巻線N1は、2つのコイルを直列接続してなる構成であるが、直列接続に限らず、並列接続であってもよい。2つの第1二次巻線S1は、それぞれセンタータップ構造である。インバータ回路46からの移行交流エネルギーが変圧器T1の第1一次巻線N1に流されると、移行交流エネルギーを電磁結合の方法で2つの第1二次巻線S1に供給し、2つの第1二次巻線S1がそれぞれ出力交流エネルギーを生成できるようにする。同様に、変圧器T2は、第2一次巻線N2および2つの第2二次巻線S2を備え、変圧器T1と構造や動作が同じであるため、ここで重複説明を省略する。
【0041】
整流回路48の数は、変圧器T1が備える第1二次巻線S1の数に対応する。
図1に示すように、変換回路44は2つの整流回路48を備え、各整流回路48は、対応する第1二次巻線S1に電気的に接続され、対応する第1二次巻線S1からの出力交流エネルギーを整流して直流エネルギーを生成する。
【0042】
出力フィルタ回路49の数は、整流回路48の数に対応する。
図1に示すように、変換回路44は2つの出力フィルタ回路49を備え、各出力フィルタ回路49の入力端子は、それぞれ対応する整流回路48の出力端子に電気的に接続される。また、各出力フィルタ回路49の出力端子は、他の全ての出力フィルタ回路49の出力端子に並列接続され、そして、正出力端子42および負出力端子43に電気的に接続され、各出力フィルタ回路49は、整流回路48からの直流エネルギーをフィルタ処理する。
【0043】
図2に示すように、本発明の実施形態において、2つの変換回路44、44’の2つの変圧器T1、T2は、
図2に示すコアを利用して
図1および
図2に示すような磁性モジュールを構成することができる。すなわち、1つの変換回路44の変圧器T1の第1一次巻線N1が
図2に示すコアの任意の2つのコア柱M13(たとえば、第1コア柱および第2コア柱)に巻回されることで、変換回路44の変圧器T1の第1一次巻線N1によって巻回されるコア柱M13は、上コア部M11および下コア部M12と第1閉磁路を形成する。また、もう1つの変換回路44’の変圧器T2の第2一次巻線N2が残りの2つのコア柱M13(たとえば、第3コア柱および第4コア柱)に巻回されることで、変換回路44’の変圧器T2の第2一次巻線N2によって巻回されるコア柱M13は、上コア部M11および下コア部M12と第2閉磁路を形成する。
【0044】
また、そのうち1つの変換回路44の変圧器T1の2つの第1二次巻線S1は、それぞれ対応するコア柱M13に巻回され(たとえば、1つの第1二次巻線S1が第1コア柱に巻回され、もう1つの第1二次巻線S1が第2コア柱に巻回される)、もう1つの変換回路44’の変圧器T2の2つの第2二次巻線S2も、それぞれ対応する残りのコア柱M13に巻回される(たとえば、1つの第2二次巻線S2が第3コア柱に巻回され、もう1つの第2二次巻線S2が第4コア柱に巻回される)。なお、本発明の実施形態において、変換回路44の変圧器T1の第1一次巻線N1の巻き方および変換回路44の変圧器T2の第2一次巻線N2の巻き方によっては、任意の2つの隣接するコア柱M13の交流フラックスが逆向きとなり、あるいは位相が180°ずれる。
【0045】
上記の実施形態において、2つの変換回路44、44’の入力端子が直列接続されてもよく、2つの変換回路44、44’のインバータ回路46、46’は、同じ位相のインバータ回路であってもよいが、特に制限がない。2つの変換回路44、44’のインバータ回路46、46’は、位相が180°ずれるインバータ回路であってもよい。2つの変換回路44、44’が同じ位相である場合、2つの変換回路44、44’の2つの変圧器T1、T2の第1一次巻線N1、第2一次巻線N2の巻き方によっては、任意の2つの隣接するコア柱M13の交流フラックスが逆向きとなり、上コア部M11および下コア部M12の交流フラックスが相殺して低下する。2つの変換回路44、44’の位相が180°ずれる場合、2つの変換回路44、44’の2つの変圧器T1、T2の第1一次巻線N1、第2一次巻線N2の巻き方によっては、任意の2つの隣接するコア柱M13の交流フラックスの位相が180°ずれてしまい、上コア部M11および下コア部M12の交流フラックスがそれぞれ相殺して低下する。その結果、第1閉磁路における単独のコア柱内の交流フラックスのピーク値と、第2閉磁路における単独のコア柱内の交流フラックスのピーク値との合計値は、上コア部M11内の交流フラックスのピーク値を超え、かつ下コア部M12内の交流フラックスのピーク値を超える。
【0046】
本発明の実施形態において、より良いEMI性能を取得するために、変換回路44のインバータ回路46のブリッジアームにおける上部スイッチと変換回路44’のインバータ回路46’のブリッジアームにおける上部スイッチは、位相が180°ずれる。そのため、変換回路44のインバータ回路46のブリッジ中点電圧の負入力端子41に対する電圧VAは、変換回路44’のインバータ回路46’のブリッジ中点電圧の負入力端子41に対する電圧VBに比べ、電位ホッピングが逆向きとなり、あるいは位相が180°ずれる(
図7を参照)。その結果、インバータ回路46のブリッジ中点電圧が該インバータ回路46に接続される変圧器T1の一次・二次寄生キャパシタCpsを通じて形成するコモンモード電流ipsと、インバータ回路46’のブリッジ中点電圧が該インバータ回路46’に接続される変圧器T2の一次・二次寄生キャパシタCps’を通じて形成するコモンモード電流ips’とは逆向きとなり、あるいは位相が180°ずれ、コモンモードノイズが相殺する。そのため、電源変換装置4がEMIフィルタを追加することなく、2つの変換回路44、44’のブリッジアームにおける上部スイッチの位相を180°ずらすことで、より良いEMI性能を取得し、製造コストを減らすことができる。
【0047】
図8に示すように、このようなコモンモード相殺の概念は、2つの入力が直列接続されるコンバータに適用するだけではなく、2つの入力が並列接続されるコンバータにも適用する。2つのコンバータの入力が並列接続されるため、変換回路44におけるインバータ回路46のブリッジ中点電圧の負入力端子41に対する電圧VA、および変換回路44’におけるインバータ回路46’のブリッジ中点電圧の負入力端子41に対する電圧VBは、
図9に示す通りになり、
図7との違いとしては、VAにVin/2の直流電圧成分がない。VAとVBの電位ホッピングが逆向きとなり、あるいは位相が180°ずれ、VAがそれに接続される変圧器T1の一次・二次寄生キャパシタCpsを通じて形成するコモンモード電流ipsと、VBがそれに接続される変圧器T2の一次・二次寄生キャパシタCps’を通じて形成するコモンモード電流ips’とは逆向きとなり、あるいは位相が180°ずれ、コモンモードノイズが相殺する。
【0048】
当然ながら、上記2つの変換回路44、44’としては、共振型変換回路の回路構造であってもよいが、特に制限がなく、本発明の別の実施形態において、2つの変換回路はそれぞれPWM型のコンバータ回路であってもよい。
【0049】
図10は、本発明のもう1つの好適な実施形態に係る電源変換装置の回路構造を示す概略図である。
図10に示すように、該実施形態に係る電源変換装置5の回路構造は、
図6に示す電源変換装置4の回路構造に似ているため、類似する回路構造や動作については同じ符号を付し、ここで重複説明を省略する。
図6に示す電源変換装置4に比べて、本実施形態に係る電源変換装置5は、電源変換装置5の2つの変換回路44、44’の2つの共振回路17、17’における2つの共振インダクタンスLrが互いに上コア部および下コア部を共有し、かつ2つの共振インダクタンスLrが
図2に示すコアを用いて磁性モジュールを構成し、すなわちコア、共振回路17の共振インダクタンスLrの第1巻線、および共振回路17’の共振インダクタンスLrの第2巻線を備える。
【0050】
共振回路17の共振インダクタンスLrの第1巻線は、コアの任意の2つのコア柱M13(たとえば、第1コア柱および第2コア柱)に巻回され、共振回路17の共振インダクタンスLrの第1巻線によって巻回されるコア柱M13は、上コア部M11および下コア部M12と第1閉磁路を形成する。共振回路17’の共振インダクタンスLrの第2巻線は、残りの2つのコア柱M13(たとえば、第3コア柱および第4コア柱)に巻回され、共振回路17’の共振インダクタンスLrの第2巻線によって巻回されるコア柱M13は、上コア部M11および下コア部M12と第2閉磁路を形成する。また、本発明の実施形態において、共振回路17の共振インダクタンスLrの第1巻線および共振回路17’の共振インダクタンスLrの第2巻線がコアのコア柱M13を巻回する際の巻き方によっては、任意の2つの隣接するコア柱M13の交流フラックスが逆向きとなり、あるいは位相が180°ずれる。さらに、第1閉磁路における単独のコア柱内の交流フラックスのピーク値と第2閉磁路における単独のコア柱内の交流フラックスのピーク値との合計値は、上コア部M11内の交流フラックスのピーク値を超え、かつ下コア部M12内の交流フラックスのピーク値を超える。
【0051】
図11は、本発明のもう1つの好適な実施形態に係る電源変換装置の回路構造を示す概略図である。
図11に示すように、本実施形態に係る電源変換装置6の回路構造は、
図6に示す電源変換装置4に似ており、類似する回路構造や動作については同じ符号を付し、ここで重複説明を省略する。
図6に示す電源変換装置4の各変換回路44、44’のインバータ回路46、46’の回路構造は、2つのスイッチングユニットを直列接続してなるハーフブリッジ回路構造であるが、本実施形態に係る電源変換装置6の各変換回路44、44’のインバータ回路46、46’の回路構造は、4つのスイッチングユニットを直列接続してなるハーフブリッジ・3レベル回路構造である。
【0052】
以上から分かるように、本発明に係る磁性モジュールの概念に則って2つの磁性モジュールを形成することができ、たとえば、2つの変圧器または2つのインダクタンスを形成することができる。なお、上記の概念に則って磁性モジュールとして2つのインダクタンスを形成する場合、2つのインダクタンスを構成する磁性モジュールは、他の電源変換装置に適用することもできる。たとえば、
図12に示すように、電源変換装置7に2つの変換回路(以下、説明の便宜を図って電源変換装置7の2つの変換回路を第1変換回路および第2変換回路とも称する)を備え、かつ第1変換回路に昇圧インダクタンスLbを有する昇圧回路を備え、第2変換回路に昇圧インダクタンスLb2を有する昇圧回路を備える場合、2つの変換回路の2つの昇圧インダクタンスは、本発明に係る磁性モジュールの概念に則って実現することができ、ここで該磁性モジュールの構造についての重複説明を省略する。なお、第1変換回路は、同位相のスイッチ切替回路であり、第1共振インダクタンスを備え、第2変換回路は、第2共振インダクタンスを備える。第1共振インダクタンスの第1巻線は第3閉磁路を形成し、第2共振インダクタンスの第2巻線は第4閉磁路を形成する。
図12に示す実施形態において、第1変換回路および第2変換回路の入力端子が並列接続され、第1変換回路および第2変換回路の位相が同じであってもよく、180°ずれてもよい。
【0053】
上記の実施形態において、第1変換回路は、昇圧インダクタンスLbおよびハーフブリッジスイッチング回路70を備え、第2変換回路は、昇圧インダクタンスLb2およびハーフブリッジスイッチング回路71を備える。第1変換回路の昇圧インダクタンスLbの一端に入力電気エネルギーが流され、第1変換回路の昇圧インダクタンスLbの他端は、ハーフブリッジスイッチング回路70に電気的に接続され、第2変換回路の昇圧インダクタンスLb2の一端に入力電気エネルギーが流され、第2変換回路の昇圧インダクタンスLb2の他端は、ハーフブリッジスイッチング回路71に電気的に接続される。
図13を参照すると、
図13は、
図12に示す第1変換回路の昇圧インダクタンスがスイッチング回路と電気的に接続されるエンドポイントの波形、第2変換回路の昇圧インダクタンスがスイッチング回路と電気的に接続されるエンドポイントの波形、第1変換回路の昇圧インダクタンスの巻線によって巻回されるコア柱のフラックス波形、第2変換回路の昇圧インダクタンスの巻線によって巻回されるコア柱のフラックス波形、およびコア部(上コア部または下コア部)のフラックス波形を示す概略図である。
図13に示すように、第1変換回路の昇圧インダクタンスLbとハーフブリッジスイッチング回路70が電気的に接続されるエンドポイントの電圧VAと、第2変換回路の昇圧インダクタンスLb2とハーフブリッジスイッチング回路71が電気的に接続されるエンドポイントの電圧VBとの位相が180°ずれるとき、本実施形態に係る電源変換装置7では、第1変換回路の昇圧インダクタンスLbの巻線によって巻回されるコア柱のフラックスと、第2変換回路の昇圧インダクタンスLb2の巻線によって巻回されるコア柱のフラックスとの位相を180°ずらせて、上コア部M11および下コア部M12のフラックスをそれぞれ相殺させて低減することができるため、コアの損失が低下する。本発明の別の実施形態において、上記第1変換回路は、降圧インダクタンスを有する降圧回路を備えてもよく、第2変換回路は、降圧インダクタンスを有する降圧回路を備えてもよい。
【0054】
当然ながら、
図14に示すように、電源変換装置8が第1変換回路および第2変換回路を備え、かつ第1変換回路がインダクタンスLを有するトーテムポール出力因子の補正回路(Totem pole PFC)であり、第2変換回路もインダクタンスL2を有するトーテムポール出力因子の補正回路(Totem pole PFC)であるとき、第1変換回路のインダクタンスLおよび第2変換回路のインダクタンスL2は、本発明に係る磁性モジュールの概念に則って実現することができ、ここで該磁性モジュールの構造についての重複説明を省略する。なお、
図14に示す実施形態において、第1変換回路の入力端子と第2変換回路の入力端子が並列接続され、かつ第1変換回路と第2変換回路の位相が同じであってもよく、180°ずれてもよい。また、第1変換回路にインダクタンスL、ハーフブリッジスイッチング回路80およびハーフブリッジスイッチング回路82を備え、第2変換回路にインダクタンスL2、ハーフブリッジスイッチング回路81およびハーフブリッジスイッチング回路82を備える。
【0055】
上記のように、本発明は、磁性モジュールおよび該磁性モジュールを適用する電源変換装置を提供する。本発明に係る電源変換装置によると、入力電気エネルギーを出力電気エネルギーに変換する際、変換回路における2つの一次巻線が並列接続される変圧器を用いて行い、変圧器の二次巻線は、整流ブリッジを介して出力端子で並列接続される。本発明に係る電源変換装置によると、2つの変圧器の一次巻線の巻数が同じく、2つの変圧器の二次巻線の巻数も同じく、かつ並列接続される一次巻線の間のインダクタンス値の誤差が│Lm1−Lm2│/(Lm1+Lm2)≦30%の条件式を満たすため、各変圧器の許容電力を半分程度に減らすことができ、各変圧器で生成した磁化電流差および磁化電流損失差を制御可能な範囲に抑えることができる。このように、2つの変圧器における巻線のコイル幅および厚さも適切な範囲に抑えることができ、2つの変圧器における巻線の寄生抵抗および熱抵抗を効果的に減少することができる。また、本発明に係る磁性モジュールによると、2つのコア柱と上コア部および下コア部をU型コアに類似する構成とすることができるため、4つのコア柱を備えるコアを、複数のU型コアを組み合わせてなる構成と見なすことができる。したがって、本発明に係る磁性モジュールに巻回される巻線がPCBコイルである場合、PCBコイルの実装サイズを小さくすることができる。また、本発明に係る磁性モジュールを、複数のU型コアを組み合わせてなる構成と見なすことができるため、磁性モジュールにおける巻線の放熱効果が比較的良い。さらに、本発明に係る磁性モジュールのコアを、複数のU型コアが上コア部および下コア部を共有してなる構成と見なすことができるため、複数の独立したU型コアを使用した場合に比べ、本発明の上コア部および下コア部の断面積が増え、上コア部および下コア部の交流フラックスが低下するため、上コア部および下コア部の損失を低減させ、本発明に係る電源変換装置の変換効率を高めることができる。そして、本発明に係るコアの任意の2つの隣接するコア柱の交流フラックスが逆向き(または、位相が180°ずれる)であるため、上コア部および下コア部の交流フラックスをさらに低減することができ、上コア部および下コア部の損失をさらに低減させ、本発明に係る電源変換装置の変換効率をさらに高めることができる。
【0056】
以上、本発明を複数の実施形態を例示して説明したが、本発明の技術的範囲はこれらの実施形態に記載されている範囲に限定されるものではない。したがって、これらの実施形態に記載した範囲以外の構成を備えるものであっても、特許請求の範囲の記載に含まれるすべてのものは本発明の技術的範囲に含まれることになる。