(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステータ(1)の溝(4)に配置された多数の導体素子(7)により形成された少なくとも2つの電気的に並列な波巻(6.1,6.2)を備える電気機械のためのステータであって、
それぞれの波巻(6)の前記導体素子(7)が前記ステータ(1)のそれぞれの前記溝(4)を通って波状に延在しており、
前記導体素子(7)が2つの導体脚部(7.1)および2つの導体脚部(7.1)を接続する接続導体(7.2)を備え、2つの前記導体脚部(7.1)が互いに離間された溝(4)に配置されており、
それぞれの前記溝(4)に偶数のn個の前記導体脚部(7.1)がステータ軸線(3)に対して半径方向に互いに重ねて配置されており、前記導体素子(7)のそれぞれの前記導体脚部(7.1)が前記溝(4)内の所定の半径方向位置に設けられており、該半径方向位置が、前記導体脚部(7.1)が前記溝(4)の溝底(5)を起点としてそれぞれの溝(4)内のx番目の前記導体脚部(7.1)であることによって定義されており、xが1とnとの間の自然数であり、
周方向に互いに隣接して配置された複数の前記溝(4)が磁極(τp)に割り当てられており、
いずれか1つの磁極(τp)の内部には、同じ電気的な相に割り当てられた隣接する前記導体脚部(7.1)の少なくとも1つのグループ(12)が設けられており、前記導体脚部(7.1)が、全節巻の前記波巻(6)のために同じ1つの溝または隣接する複数の同じ前記溝(4)に配置されているか、または短節巻の前記波巻(6)ために互いに半径方向の個々の位置に関して少なくとも1つの溝の溝ずれの分だけずらして少なくとも部分的に異なる隣接した前記溝(4)に配置されており、全ての半径方向位置に関して周方向に見て最も外側の前記導体脚部(7.1)が、同じ電気的な相に割り当てられた導体脚部(7.1)のそれぞれの前記グループ(12)のための縁部溝である前記溝(4)に配置されており、
全ての前記接続導体(7.2)が前記ステータ(1)の一方の端面に位置し、前記接続導体(7.2)に向いていない前記導体脚部(7.1)の全ての端部が他方の端面に位置するように、前記導体素子(7)が前記溝(4)に挿入されており、前記接続導体(7.2)に向いていない導体脚部(7.1)の端部が、少なくとも2つの並列な波巻が形成されるように互いに接続されており、材料接合により互いに接続されたそれぞれ2つの導体脚部が導体接続部(7.3)を形成しており、
第1波巻(6.1)、および第1波巻(6.1)に対して電気的に並列な第2波巻(6.2)が設けられており、これらの波巻の第1端部がそれぞれ同じ電気的な相に接続されている電気機械のためのステータにおいて、
前記第1波巻(6.1)が第1スタート導体素子(14)を備え、第1スタート導体素子の第1導体脚部(14.1)が前記第1波巻(6.1)の第1端部を形成し、第1スタート溝(9)の(n−1)番目の位置に配置されており、
前記第2波巻(6.2)が第2スタート導体素子(15)を備え、第2スタート導体素子の第1導体脚部(15.1)が前記第2波巻(6.2)の第1端部を形成し、第2スタート溝(10)の2番目の位置に配置されており、
全節巻の並列な波巻のための第2スタート溝(9,10)が、孔数qが1に等しい場合には、対応する波巻のそれぞれの電気的な相に割り当てられたいずれか1つの磁極の唯一の溝に設けられており、孔数が1に等しくない場合にはそれぞれの電気的な相に割り当てられたいずれか1つの磁極の縁部溝であり、あるいは短節巻の並列な波巻の場合には、それぞれの電気的な相の縁部溝の間に位置する、溝ずれの分だけ縁部溝から離間された溝であり、
第1スタート導体素子(14)の接続導体(14.2)および第2スタート導体素子(15)の接続導体(15.2)が、互いに離反した周方向に延在し、
前記第1および第2波巻(6.1,6.2)の残りの導体素子(7)が、同じ前記導体素子(7)の一方の前記導体脚部(7.1)の半径方向の位置が他方の導体脚部(7.1)の半径方向位置と比較して同じ周方向に、同じ端面から見てこれらのそれぞれの前記導体素子(7)について値1だけ増大するか、またはこれらのそれぞれの前記導体素子(7)について値1だけ減少するように溝(4)に配置されていることを特徴とする電気機械のためのステータ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、ステータ1およびロータ2を備える電気機械を示し、この電気機械において本発明を利用することができる。
【0015】
ステータ1は、ステータ軸線3に関して軸線方向に延在する多数の溝4を備え、これらの溝は、ステータ1の周、例えば内周にわたって分配されている。溝4はロータ2に向かってそれぞれ開かれて構成されており、ロータ2に向いていない方の側にそれぞれ溝底5を備える。ステータ1は、例えば、互いに重ねて配置された多数の電子鋼板からなるステータ板パッケージによって形成されている。
【0016】
ステータ1は、電気的な相につき少なくとも2つの電気的に並列な波巻6を含み、これらの波巻6は、それぞれステータ1の溝4に配置された多数の導体素子7により形成されている。この場合、それぞれの波巻6の導体素子7は、ステータ1のそれぞれの溝4を通って波状に延在する。
図2aに示すように、波巻6の導体素子7は、それぞれ2つの導体脚部7.1およびこれら2つの導体脚部7.1を接続する接続導体7.2を有する。代替的には、少なくとも1つの波巻6は、
図2bに示す電気的に並列な導体素子7の対を多数備えていてもよい。ステータ1には、それぞれ導体素子7の2つの導体脚部7.1が、互いに離間された異なる溝4に配置されている。
図1には、多数の接続導体7.2のうちの1つのみが例示的に示されている。導体素子7は、全ての接続導体7.2がステータ1の一方の端面に配置され、導体脚部7.1の、接続導体7.2に向いていない方の全ての終端部が他方の端面に配置されるようにステータ1の溝4に挿入される。接続導体7.2に向いていない方の導体脚部7.1の端部は、波巻6が形成されるように材料接合により互いに接続される。この場合、材料接合により互いに接続されたそれぞれ2つの導体脚部7.1は1つの導体接続部7.3を形成する。接続導体7.2は、少なくとも2つの並列な波巻6の全ての導体素子7について、導体脚部の間の間隔を定義する等しいピッチを有する。代替的には、少なくとも2つの並列な波巻6の導体接続部7.3が等しいピッチを有していてもよい。電気的な相に直接に機械的に接続されていない導体素子7はそれぞれ等しい長さの導体脚部7.1を備える。
【0017】
電気機械は3個または6個の電気的な相を備えていてもよく、電気的な相につき2つまたは4つの電気的に並列の波巻6が設けられていてもよい。
図3aに示す第1実施例では、電気機械は3個の相u,v,wを含み、電気的な相u,v,wにつきに2つの電気的に並列な波巻が構成されている。並列の波巻6はそれぞれ2つの端部、すなわち第1端部と第2端部とを有する。
図3aに示すように、全ての電気的な相の並列な波巻6はスター結線で接続されていてもよい。この場合、並列な波巻6はそれぞれ第1端部によっていずれか1つの電気的な相u,v,wに接続されており、第2端部によって中性点8に電気的に接続されている。代替的には、並列な波巻6はΔ結線で接続されていてもよく(
図3b)、この場合、並列な波巻6はそれぞれ第1端部によっていずれか1つの電気的な相u,v,wに接続されており、第2端部によって他のいずれか1つの相u,v,wに電気的に接続されている。
【0018】
ステータ1のそれぞれの溝4には偶数のn個の導体脚部7.1が設けられており、導体脚部7.1は、ステータ軸線3に関して半径方向にみて常に互いに重ねて配置されている。溝毎の導体脚部の数nは、例えば2個、4個、6個、8個、または10個である。
【0019】
導体素子7のそれぞれの導体脚部7.1は、溝4内の所定の半径方向位置に配置されている。この半径方向位置は、それぞれの導体脚部7.1がそれぞれの溝4の溝底5を起点としてそれぞれの溝4内のx番目の導体脚部7.1であることにより定義され、xは1とnとの間の自然数である。溝につき2つの導体脚部7.1が設けられている場合には、1番目の位置は、溝底5に向いたいわゆる「下層」であり、2番目の位置は、溝底5に向いていないいわゆる「上層」である。
【0020】
本発明によれば、互いに並列な波巻6は、第1端部がそれぞれ同じ電気的な相に接続されており、ステータ1を通る波巻6の延在は、それぞれ「スタート溝9,10」と呼ぶステータ1の所定の溝4で始まる。この場合、スタート溝9,10に設けられた導体脚部7.1は所定の半径方向位置に配置されている。したがって、スタート溝9.10およびスタート溝9内における半径方向位置が定義されるべきである。
【0021】
ステータ1に周方向に互いに隣接して配置された複数の溝4が磁極τ
pに割り当てられている。磁極および相の個数は磁気回路設計により設定されている。これにより、スタート溝の数を、磁極の数に相の数をかけた積によって割った商により巻線の孔数qが得られる。
【0022】
いずれか1つの磁極τ
pの内部には導体脚部7.1の少なくとも1つのグループ12が設けられており、これらの導体脚部7.1は同じ電気的な相に割り当てられており、半径方向および/または周方向に隣接している。したがって「隣接した導体脚部」とは、同じ溝内で直接に隣接しているか、もしくは直接に互いに並んで配置されているか、または直接に互いに隣接して配置された溝内に位置する導体脚部として理解される。導体脚部7.1のこのグループ12は、1に等しい孔数qを備える全節巻の並列な波巻の場合には同じの1つの溝に配置されており、1に等しくない孔数qの場合には隣接する同じ複数の溝4に配置されており、全ての半径方向位置にわたって周方向に見て最も外側の導体脚部7.1は、以下では「縁部溝」と呼ぶ溝4に配置されている。孔数qとは、電気機械工学では磁極および相毎の溝の数として理解される。
【0023】
導体脚部7.1のグループ12は、孔数qに溝毎の導体脚部7.1の数をかけた数に相当する導体脚部7.1の数をそれぞれ含む。この場合、周方向に隣接し、同じ電気的な相に割り当てられる導体脚部7.1の数は、孔数qに相当する。孔数qはそれぞれ1以上である。
【0024】
本発明によれば、いずれか1つの電気的な相に割り当てられた並列な第1波巻6.1は第1スタート導体素子14を備え、第1スタート半導体素子14は第1導体脚部14.1によって第1波巻6.1の第1端部に位置し、第1導体脚部14.1によって第1スタート溝9の(n−1)番目の位置に配置されている。同じ電気的な相に割り当てられ、第1波巻6.1に対して電気的に並列な第2波巻6.2は第2スタート導体素子15を備え、第2スタート導体素子15は第1導体脚部15.1によって第2波巻6.2の第1端部に位置し、第1導体脚部15.1によって第2スタート溝10の2番目の位置に配置されている。この場合、全節巻の並列な波巻および所定の電気的な相において孔数qが1に等しくない場合、第1スタート溝9は関連する電気的な相のいずれか1つの縁部溝であり、第2スタート溝10は関連する電気的な相のそれぞれ別の縁部溝である。この場合、いずれの磁極τ
pで関連する電気的な相の縁部溝がスタート溝として定められるかは、重要ではない。
【0025】
スタート溝を起点として電気的に並列な両方の波巻6.1,6.2は、互いに離反した周方向、すなわち反対の周方向に延在する。換言すれば、第1スタート導体素子14の接続導体14.2と、第2スタート導体素子15の接続導体15.2とは互いに離反した周方向に延在する。したがって、左側の縁部溝の波巻6.1は左方向に延在し、右側の縁部溝の波巻は右方向に延在する。
【0026】
第1および第2の並列な波巻6.1,6.2の、スタート溝9,10に位置しない後続の残りの導体素子7は、同じ導体素子7の一方の導体脚部7.1の半径方向位置が他方の導体脚部7.1の半径方向位置と比較して同じ周方向に、同じ端面から見てこれらそれぞれの導体素子7について値1だけ増大するか、またはこれらのそれぞれの導体素子7について値1だけ減少するように溝4に配置されている。このようにして、これらの全ての導体素子7の接続導体7.2は水平な周方向にではなく、対角線上に、もしくは周方向に対して傾斜して、しかも実質的に(すなわち正確にではなく)互いに平行に、互いに交差することなしに延在している。
【0027】
図4は、第1実施例による電気的な相uの互いに電気的に並列な全節巻の2つの波巻6のための本発明による巻き方概略図を示す。一実施例によれば、ステータ1は、例えば、隣接するそれぞれ6個の溝4を有する8個の磁極τ
pを備える。磁極数がより大きい場合には、巻き方概略図に「・・・」によって示すように、電気機械は対応してより大きい溝数を有する。ステータ1のそれぞれの溝4には2つの導体脚部7.1が配置されている。3つの電気的な相、電気的な相につき2つの並列な波巻6、および2つの孔数qが設けられている。
図4には、相uの波巻6のみが示されている。電気的な相vおよびwの並列な波巻6も同様に本発明にしたがってスタート溝9,10に配置されており、電気的な相uの並列な波巻と同様に延在している。
【0028】
溝が巻き方概略図に列により示されている。それぞれの溝4内のそれぞれの導体脚部の半径方向位置は、列における右から左への導体脚部の配置順序から得られ、列の最も右側に配置された導体脚部が溝底5に配置されており、最も左側に配置された導体脚部は半径方向の最上位に配置されている。
【0029】
この第1実施例では、スタート溝9,10は相uのための縁部溝、すなわち、いずれか1つの磁極の、相uに割り当てられた両方の溝であり、いずれか1つの随意の磁極の内部で相uに割り当てられた2つの並列な波巻6は、相uに割り当てられた縁部溝すなわち、連続的な番号1および2を付した溝で始まる。
【0030】
第1波巻6の第1スタート導体素子14は、本発明によれば縁部溝9の(n−1)番目の位置に配置されている。第1実施例のnは2に等しいので、第1スタート導体素子14の導体脚部14.1は、連続番号1を付した縁部溝の第1の位置、すなわち最下位置に配置されている。第1スタート導体素子14の導体脚部14.1は、電気的な相uのための導体レールの形式の相接続部に直接に電気的に接続されている。第2波巻6.2の第2スタート導体素子15は、連続番号2を付した他の縁部溝の2番目の位置に設けられている。第1スタート導体素子15の導体脚部15.1は同様に電気的な相uのための相接続部に直接に電気的に接続されている。左側の縁部溝「No.1」の第1波巻6.1は左側の縁部溝「No.1」を起点として左方向へ延在し、右側の縁部溝「No.2」の第2波巻は右側の縁部溝「No.2」を起点として右方向に延在している。
【0031】
図5は、
図4の巻き方概略図により線形に示したステータ1における電気的な相uの2つの並列な波巻を示す。この場合、2つの並列な波巻6.1,6.2によって通過される溝4のみが示されている。両方の並列な波巻6の個々の導体脚部7.1は、延び方に対応して増大する連続番号を付されている。区別するために第1波巻6.1の導体脚部7.1の番号は「′」によって示されている。
【0032】
導体素子7は、同じ溝4に配置された導体脚部7.1の接続導体7.2が半径方向に見て交互に一周方向または反対の周方向に延在するようにそれぞれ溝4に配置されている。したがって、例えば接続導体7.2は、溝14の上層に位置し、番号3を付された導体素子7.1から右方向に延在し、接続導体7.2は溝14の下層に位置し、番号15′を付された導体素子7.1から左方向に延在する。
【0033】
第1波巻6.1および第2波巻6.2は、ステータ1をそれぞれ何重にも周回することができ、両方の波巻6のうちいずれか一方の第1周回における導体素子7の導体脚部7.1および同じ波巻6の第2周回における導体素子7の導体脚部7.1は、それぞれ隣接する溝4に、第1周回時と同じ半径方向位置に配置されている。したがって、例えば第1導体素子7は第1波巻6.1の第1周回時には溝2の上層(第2の半径方向位置に相当する)から溝8の下層(第1の半径方向位置に相当する)へ延在する。第1導体素子7の一方の導体脚部7.1は第1波巻6.1の第2周回時には、溝2に隣接する溝、この実施例では左側の隣接する溝、すなわち溝1に位置し、しかも第1周回時と同じ半径方向位置、すなわち第2の半径方向位置に位置する。同じ導体素子7の他方の導体脚部7.1は溝7の1番目の位置に位置し、したがって溝8の1番目の位置に位置する、第1周回における第1導体素子7の他方の導体脚部7.1に隣接している。
【0034】
両方の並列な波巻6.1,6.2の全ての接続導体7.2はステータ1の一方の端面で互いにほぼ平行に、交差することなしに延在し、この端面に形成されたコイル端部は極めて均一もしくは対称的に構成されており、軸線方向高さが低い。
【0035】
図6は、第2実施例による電気的な相uの全節巻の2つの並列な波巻のための本発明による巻き方概略図を示す。
【0036】
第2実施例によれば、ステータ1は、例えば、それぞれ6個の隣接する溝4を有する8個の磁極τ
pを備える。ステータ1のそれぞれの溝4には4個の導体脚部7.1が配置されている。3つの電気的な相、および電気的な相につき2つの並列な波巻6が設けられており、相uの波巻6のみが示されている。電気的な相vおよびwの並列な波巻6は同様に本発明によればスタート溝9,10に配置されており、電気的な相uの並列な波巻と同様に延在している。第2実施例では、孔数qは2に等しい。
【0037】
この第1実施例では、相uに割り当てられた並列の波巻のためのスタート溝9,10は、相uのための縁部溝、すなわち、いずれか1つの磁極の、相uに割り当てられた両方の溝であり、相uに割り当てられた2つの並列な波巻6は、相uに割り当てられた縁部溝、すなわち、例えば連続番号1および2を付した溝内のいずれか1つの随意の磁極内で始まる。
【0038】
第1波巻6.1の第1スタート導体素子14は、本発明によれば第1スタート溝9の(n−1)番目の位置に配置されている。第2実施例ではnは4に等しいので、第1スタート導体素子14の導体脚部14.1は、左側の縁部溝「No.1」の第3位置に配置されている。第1スタート導体素子14の導体脚部14.1は、電気的な相uのための、例えば導体レールの形式の相接続部に直接に電気的に接続されている。
【0039】
第2波巻6.2の第2スタート導体素子15は、別の、すなわち右側の縁部溝「No.2」の2番目の位置に設けられている。第1スタート導体素子15の導体脚部15.1は同様に電気的な相uのための相接続部に直接に電気的に接続されている。左側の縁部溝「No.1」の第1波巻6.1は、左側の縁部溝「No.1」を起点として左方向に延在しており、右側の縁部溝「No.2」の第2波巻6.2は右側の縁部溝「No.2」を起点として右方向に延在している。
【0040】
図7は、
図6の巻き方概略図により線形に示したステータ1における2つの並列な波巻を示す。この場合、2つの並列な波巻6.1,6.2によって通過される溝4のみが示されている。両方の並列な波巻6の導体脚部7.1は、延び方に対応して増大する連続番号を付されている。
【0041】
両方の並列な波巻6.1,6.2の全ての接続導体7,2は、ステータ1の一方の端面でほぼ互いに平行に、交差することなしに延在し、この端面に形成されたコイル端部は極めて均一もしくは対称的に構成されており、軸線方向高さは低い。他方の端面には、位置1から位置4へ、および位置2から位置3へ幾つかの特殊コネクタが設けられている。
【0042】
図8は、第3実施例による全節巻の2つの並列な波巻のための本発明による巻き方概略図を示す。第3実施例によれば、ステータ1は、例えば隣接するそれぞれ3つの溝4を有する12個の磁極τ
pを備える。ステータ1のそれぞれの溝4には2つの導体脚部7,1が配置されている。3つの電気的な相、電気的な相につき2つの並列な波巻6、および1に等しい孔数qが設けられている。
図8には、相uの波巻6のみが示されている。電気的な相vおよびwの並列な波巻6は、同様に本発明にしたがってスタート溝9,10に配置されており、電気的な相uの並列な波巻と同様に延在している。
【0043】
本発明によれば、全節巻の2つの並列な波巻および1に等しい孔数qのための第1スタート溝9および第2スタート溝10は同一であり、対応する波巻のそれぞれの電気的な相に割り当てられたいずれか1つの磁極の溝内に設けられている。したがって、第1スタート溝9および第2スタート溝10は、電気的な相uに割り当てられた波巻のために、電気的な相uに割り当てられた同じ溝、例えば連続番号1を付した溝に位置する。
【0044】
本発明によれば、第1波巻6の第1スタート導体素子14は第1スタート溝9の(n−1)番目の位置に配置されている。第3実施例ではnは2に等しいので、第1スタート導体素子14の導体脚部14.1は、縁部溝「No.1」の1番目の位置、すなわち最下位に配置されている。第1スタート導体素子14の導体脚部14.1は、電気的な相uのための、例えば導体レールの形式の相接続部に直接に電気的に接続されている。第2波巻6.2の第2スタート導体素子15は同じ縁部溝「No.1」の2番目の位置に設けられている。第1スタート導体素子15の導体脚部15.1は同様に電気的な相uのための相接続部に直接に電気的に接続されている。第1波巻6.1は、溝「No.1」を起点として左方向に延在しており、第2波巻6.2は溝「No.1」を起点として右方向に延在している。
【0045】
図9は、第4実施例による短節巻の2つの並列な波巻のための本発明による巻き方概略図を示す。第4実施例によれば、ステータ1は、例えばそれぞれ6個の隣接する溝4を有する8個の磁極τ
pを備える。ステータ1のそれぞれの溝4には2つの導体脚部7.1が配置されている。3つの電気的な相、および電気的な相につき2つの並列な波巻6が設けられており、相uの波巻6のみが示されている。電気的な相vおよびwの並列な波巻6は同様に本発明によればスタート溝9,10に配置されており、電気的な相uの並列な波巻と同様に延在している。孔数qは第4実施例では2に等しい。
【0046】
磁極τ
pの内部には、同じ電気的な相に割り当てられた隣接する導体脚部7.1のそれぞれ少なくとも1つのグループ12が設けられており、上側の半径方向位置に位置するそれぞれのグループ12の全ての導体脚部7.1は、下側の半径方向位置に位置する同じグループ12の全ての導体脚部に対して周方向に少なくとも1つの溝分だけずらして配置されており、全ての半径方向位置に関して周方向に見てこれらの導体脚部7.1の最も外側の導体脚部は、縁部溝である溝4内に配置されている。第4実施例によれば、同じ電気的な相に割り当てられた隣接する導体脚部7.1のそれぞれのグループ12は4つの導体脚部を含み、これは、孔数q=2および溝につき2つの導体数の乗算によって生じる。周方向に隣接し、上側の半径方向位置に位置するこのグループ12の2つの導体脚部は、周方向に隣接し、下側の半径方向位置に位置するこのグループ12の導体脚部に対して1つの溝分だけずらされている、すなわち短節巻になっている。
【0047】
本発明によれば、短節巻の並列な波巻は、縁部溝の間に位置するそれぞれ1つのスタート溝または複数のスタート溝で始まり、縁部溝からそれぞれの溝ずれの分だけ離間されている。第4実施例によれば、短節巻の並列な波巻は、例えば、連続番号1から6までを付した溝を備える磁極で始まる。したがって、相uのための縁部溝は連続番号1および3を付した溝である。周方向における半径方向位置の溝ずれは、第4実施例では1である。連続番号1および3を付した縁部溝を起点としてそれぞれ溝ずれの分だけ縁部溝の間の隣接領域の内部へ移動した場合には、共通のスタート溝に到達する。したがって、唯一のスタート溝9、すなわち、連続番号2を付した溝に到達する。並列な第1波巻6.1は、上記実施例と同様に、本発明によれば、スタート溝「No.2」の(n−1)番目の位置、すなわち1番目の位置に位置し、並列な第2波巻6.2は同じスタート溝「No.2」の2番目の位置に位置する。このスタート溝「No.2」を起点として両方の並列な波巻6.1,6.2は上記実施例の場合と同様に延在する。
【0048】
図10は、第5実施例による短節巻の2つの並列な波巻のための本発明による巻き方概略図を示す。第5実施例によれば、ステータ1は、例えばそれぞれ6個の隣接する溝4を有する8個の磁極τ
pを備える。ステータ1のそれぞれの溝4には2つの導体脚部7.1が配置されている。3つの電気的な相、および電気的な相につき2つの並列な波巻6が設けられており、相uの波巻6のみが示されている。電気的な相vおよびwの並列な波巻6は同様に本発明によればスタート溝9,10に配置されており、電気的な相uの並列な波巻と同様に延在している。孔数qは第5実施例では2に等しい。
【0049】
第5実施例によれば、同じ電気的な相に割り当てられた隣接する導体脚部7.1のそれぞれのグループ12は4個の導体脚部を含み、これは、孔数q=2と溝につき2つの導体数の乗算によって求められる。第5実施例によれば、短節巻の並列な波巻は、例えば連続番号1から6までを付した溝を備える磁極で始まる。相uのための縁部溝は、連続番号1および4を付した溝である。周方向に隣接し、上側の半径方向位置に位置するいずれか1つのグループ12の2つの導体脚部は2つの溝の分だけ、周方向に隣接し、下側の半径方向位置に位置する同じグループ12の導体脚部に対してずらされている。連続番号1および4を付した縁部溝を起点としてそれぞれ溝ずれ、すなわち2つの溝の分だけ縁部溝の間に隣接する領域の内部に移動した場合には、連続番号2および3を付したスタート溝9,10である溝に到達する。並列な第1波巻6.1は、上記実施例の場合のように、本発明によれば、すなわちスタート溝「No.3」の(n−1)番目の位置、すなわち1番目の位置に位置し、そこから左方向に延在し、並列な第2波巻6.2は別のスタート溝「No.2」の2番目の位置に位置し、そこから右方向に延在する。これらのスタート溝を起点として、両方の並列な波巻6.1,6.2は上記実施例と同様に延在する。
【0050】
図11は、第6実施例による全節巻の互いに電気的に並列な4個の波巻6のための本発明による巻き方概略図を示す。
【0051】
第6実施例によれば、ステータ1は、例えばそれぞれ6個の隣接する溝4を有する8個の磁極τ
pを備える。ステータ1のそれぞれの溝4には2つの導体脚部7.1が配置されている。3つの電気的な相、および電気的な相につき4つの並列な波巻6が設けられており、相uの波巻6のみが示されている。電気的な相vおよびwの並列な波巻6は同様に本発明によればスタート溝9,10に配置されており、電気的な相uの並列な波巻と同様に延在している。孔数qは第6実施例では2に等しい。
【0052】
2つの並列な波巻6の代わりに4つの並列な波巻6が設けられている場合には、第3波巻6.3および第4波巻6.4は、最初の両方の波巻6.1,6.2の場合と同様に本発明にしたがって始まるが、しかしながら、最初の両方の並列な波巻6.1,6.2に対して180°だけ機械的にずらされており(
図11を参照)、本発明にしたがって最初の両方の波巻6.1,6.2の場合と同様に延在している。
【0053】
第6実施例では、第1および第2波巻6.1,6.2のスタート溝9,10は、いずれか1つの磁極の相uのための縁部溝であり、第1および第2波巻6.1,6.2は、いずれか1つの随意の磁極の内部で相uに割り当てられた縁部溝、すなわち、例えば連続番号1および2を付した溝で始まる。
【0054】
第1波巻6.1の第1スタート導体素子14は、本発明によれば、縁部溝9の(n−1)番目の位置に配置されている。第1実施例ではnは2に等しいので、第1スタート導体素子14の導体脚部14.1は、連続番号1を付した縁部溝の1番目の位置、すなわち最下位に配置されている。第1波巻6.1の第1スタート導体素子14の導体脚部14.1は、電気的な相uのための、例えば導体レールの形式の相接続部に直接に電気的に接続されている。第2波巻6.2の第2スタート導体素子15は、連続番号2を付した別の縁部溝の2番目の位置に設けられている。第2波巻6.2の第1スタート導体素子15の導体脚部15.1は同様に電気的な相uのための相接続部に直接に電気的に接続されている。左側の縁部溝「No.1」の第1波巻6.1は、左側の縁部溝「No.1」を起点として左方向に延在し、右側の縁部溝「No.2」の第2波巻6.2は右側の縁部溝「No.2」を起点として右方向に延在している。
【0055】
第3および第4波巻6.3,6.4のスタート溝9,10は、第1および第2波巻6.1,6.2のためのスタート溝9,10を備える磁極に対して180°だけ機械的にずらされた磁極に位置する。したがって8個の磁極を備える第6実施例では、第1および第2もしくは第3および第4波巻のためのスタート溝9,10を含む両方の磁極は、4つの磁極の分だけ互いにずらされている。
【0056】
第6実施例では、スタート溝9,10は相uのための縁部溝、すなわち、相uに割り当てられた上記磁極の両方の溝であり、したがって、この磁極の内部で相uに割り当てられた2つの並列な波巻6.3,6.4は、相uに割り当てられた縁部溝、すなわち、例えば連続番号25および26を付した溝で始まる。
【0057】
第3波巻6.3の第1スタート導体素子14は、本発明によれば、縁部溝9の(n−1)番目の位置に配置されている。第6実施例ではnは2に等しいので、第1スタート導体素子14の導体脚部14.1は、連続番号25を付した縁部溝の1番目の位置、すなわち最下位に配置されている。第1スタート導体素子14の導体脚部14.1は、電気的な相uのための、例えば導体レールの形式の相接続部に直接に電気的に接続されている。第4波巻6.4の第2スタート導体素子15は、連続番号26を付した別の縁部溝の2番目の位置に設けられている。第1スタート導体素子15の導体脚部15,1は同様に電気的な相uのための相接続部に直接に電気的に接続されている。左側の縁部溝「No.25」の第3波巻6.3は、左側の縁部溝「No.25」を起点として左方向に延在しており、右側の縁部溝「No.26」の第4波巻6.4は右側の縁部溝「No.26」を起点として右方向に延在している。
【0058】
スタート溝9,10に位置しない並列な第3および第4波巻6.3,6.4の残りの後続の導体素子7は、同じ導体素子7の一方の導体脚部7.1の半径方向の位置が他方の導体脚部7.1の半径方向位置と比較して同じ周方向に、同じ端面から見てこれらのそれぞれの導体素子7について値1だけ増大するか、またはこれらのそれぞれの導体素子7について値1だけ減少するように溝4に配置されている。このようにして、これらの全ての導体素子7の接続導体7.2は水平な周方向にではなく、対角線上に、もしくは周方向に対して傾斜して、しかも実質的に(すなわち正確にではなく)互いに平行に、互いに交差することなしに延在している。