特許第6588659号(P6588659)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588659
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】グラフィックミラー
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/00 20060101AFI20191001BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20191001BHJP
   G09F 13/22 20060101ALI20191001BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20191001BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20191001BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   G09F13/00 P
   G09F13/00 W
   G09F13/04 J
   G09F13/22 N
   G02F1/167
   G02B5/08 D
   G02B5/20 101
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-549956(P2018-549956)
(86)(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公表番号】特表2019-512744(P2019-512744A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】US2017023617
(87)【国際公開番号】WO2017165539
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年12月25日
(31)【優先権主張番号】62/311,563
(32)【優先日】2016年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/464,884
(32)【優先日】2017年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505043649
【氏名又は名称】マーケティング ディスプレイズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Marketing Displays,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミス クレイ
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3105262(JP,U)
【文献】 特開2002−90723(JP,A)
【文献】 実開昭58−185887(JP,U)
【文献】 特開2008−33319(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/075772(WO,A1)
【文献】 特開平5−281582(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0242867(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0124284(US,A1)
【文献】 特表2016−520209(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/114865(WO,A1)
【文献】 特表平11−508377(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0026434(US,A1)
【文献】 米国特許第8139290(US,B2)
【文献】 特表2004−510202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00
G09F 13/04
G09F 13/22
G02B 5/08
G02B 5/20
G02F 1/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフィックディスプレイ装置であって、
第1主要面および反対側の第2主要面を有し、前記グラフィックディスプレイ装置が透過モードの場合に光を透過し、前記グラフィックディスプレイ装置が反射モードの場合に光を反射する基板と、
前記基板の前記第1主要面に位置する反射層と、
前記第2主要面に位置する着色層と、
前記基板との間で前記着色層を挟持するように、前記着色層に接して位置する、画像を備えた散光層と、
前記散光層との間で前記画像を挟持するように、前記散光層近傍に配置される光源とを備えるグラフィックディスプレイ装置であって、
前記透過モードでは、前記基板の前記第1主要面から前記画像を視認可能であるように、前記光源は前記画像を照らし、
前記反射モードでは、前記画像は前記光源に照らされず、前記基板の前記第1主要面から前記画像を視認不可能とすることを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のグラフィックディスプレイ装置において、
前記着色層は、前記グラフィックディスプレイ装置が前記反射モードの場合は、前記画像を視認不可能とすることを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のグラフィックディスプレイ装置において、
前記着色層は、前記基板を約20パーセント暗くすることを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項4】
グラフィックディスプレイ装置であって、
第1主要面および反対側の第2主要面を有し、前記グラフィックディスプレイ装置が透過モードの場合に光を透過し、前記グラフィックディスプレイ装置が反射モードの場合に光を反射する基板と、
前記基板の前記第1主要面に位置する反射層と、
前記基板の前記第2主要面に位置し、前記グラフィックディスプレイ装置が前記透過モードの場合は透明であり、前記グラフィックディスプレイ装置が前記反射モードの場合は不透明である導電性部材と、
前記基板との間で前記導電性部材を挟持するように、前記導電性部材上に配置される画像と、
前記画像近傍に配置され、前記透過モードにおいて前記画像を照らす光源と、
少なくとも前記導電性部材に電圧を印加する電源とを備えるグラフィックディスプレイ装置であって、
前記透過モードにおいて、前記基板の前記第1主要面から前記画像が視認可能であるように、前記光源は前記画像を照らし、前記電源は前記導電性部材に電圧を印加して、前記導電性部材を透明にし、
前記反射モードにおいて、前記導電性部材が不透明となり、かつ、前記基板の前記第1主要面から前記画像を視認不可能であるように、前記電源は前記導電性部材に電圧を印加することを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項5】
グラフィックディスプレイ装置であって、
第1主要面および反対側の第2主要面を有し、前記グラフィックディスプレイ装置が透過モードの場合に光を透過し、前記グラフィックディスプレイ装置が反射モードの場合に光を反射する基板と、
前記基板の前記第1主要面に位置する反射層と、
前記基板の前記第2主要面に位置する電気泳動層であって、前記グラフィックディスプレイ装置が前記透過モードの場合は画像を表示可能にし、かつ、前記グラフィックディスプレイ装置が前記反射モードの場合は前記電気泳動層を不透明とする複数の粒子を含む電気泳動層と、
前記電気泳動層近傍に配置され、前記グラフィックディスプレイ装置が前記透過モードの場合は前記画像を照らす光源とを備えるグラフィックディスプレイ装置であって、
前記グラフィックディスプレイ装置が前記透過モードの場合、前記光源は、前記電気泳動層により生成された前記画像を照らし、
前記グラフィックディスプレイ装置が前記反射モードの場合、前記電気泳動層は不透明となって、前記反射層により反射された画像のみが、前記第1主要面で視認可能となることを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項6】
請求項1、請求項4、または請求項5に記載のグラフィックディスプレイ装置において、
前記基板近傍の状況を検出するセンサー装置をさらに備えることを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項7】
請求項に記載のグラフィックディスプレイ装置において、
前記状況は、前記基板近傍の動きであり、前記動きを検出すると、前記グラフィックディスプレイ装置は、前記透過モードから前記反射モードへ切り替えられることを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項8】
請求項1、請求項4、または請求項5に記載のグラフィックディスプレイ装置において、
前記光源は、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセントパネル(ELP)、冷陰極蛍光管(CCFL)、熱陰極蛍光管(HCFL)、外部蛍光管(EEFL)、および白熱電球のいずれかであることを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項9】
請求項1、請求項4、または請求項5に記載のグラフィックディスプレイ装置において、
前記基板は、ガラス、アクリルおよびポリカーボネートのいずれかで形成されることを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項10】
請求項に記載のグラフィックディスプレイ装置において、
前記複数の粒子が、複数のマイクロカプセル中に存在することを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項11】
請求項に記載のグラフィックディスプレイ装置において、
前記電気泳動層は、一対の電極を備え、前記電極は、電圧が印加されると、前記複数の粒子を引きつける、または、退けることを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【請求項12】
請求項11に記載のグラフィックディスプレイ装置において、
前記複数の粒子が、白色粒子および着色粒子を含むことを特徴とするグラフィックディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年3月21日に出願されたアメリカ特許出願番号第15/464,884の優先権を主張すると共に、2016年3月22日に出願されたアメリカ仮出願番号第62/311,563の利益を主張する。上記各出願の開示事項は全て、本明細書内に援用される。
【0002】
本願開示は、第一状態で画像を反射し、第二状態で画像を透過するマジックミラーに関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、本願開示に関連する背景情報を提供するが、これは必ずしも先行技術にはあたらない。
【0004】
近年、ハーフミラー(透明ミラーまたはマジックミラーとも呼ばれる)を用いた広告が開発されている。ハーフミラーは、その前側または後側が少なくとも部分的に反射材料で塗布される透明材料(例えば、ガラス、アクリル、ポリカーボネート等)であって、その後側の近傍に画像を備える。ハーフミラーは、従来の全反射ミラーとして機能するように、ハーフミラーの後ろに光がない場合は周囲の光を反射する。反対に、光源からの光が、ハーフミラーの後ろに配置される画像を照らすと、画像は、ハーフミラーを透過し、ハーフミラーの前側で視認される。とはいえ、ハーフミラーにおいて、照らされた場合は画像が鮮やかに表示され、照らされない場合は完全に消えることを可能にするような、理想的な量の透明度および反射度を作り出すことにおいて、依然として課題は残る。
【発明の概要】
【0005】
本セクションは、本願開示の概要を提示するものであり、その範囲全体又はその全ての特徴を包括的に開示するものではない。
【0006】
本願開示によれば、グラフィックディスプレイ装置は、第1主要面および第2主要面を有し、前記グラフィックディスプレイ装置が透過モードの場合に光を透過し、前記グラフィックディスプレイ装置が反射モードの場合に光を反射する基板と、前記基板の前記第1主要面に位置する反射層と、前記第2主要面に位置する着色層と、前記基板との間で前記着色層を挟持するように、前記着色層に接して位置する、画像を備えた散光層と、前記散光層との間で前記画像を挟持するように、前記散光層近傍に配置される光源とを備え、前記透過モードでは、前記光源は前記画像を照らすことで、前記基板の前記第1主要面から前記画像を視認可能とし、前記反射モードでは、前記画像は前記光源に照らされず、前記基板の前記第1主要面から前記画像を視認不可能となる、ことを特徴とする。
【0007】
本願開示によれば、また、グラフィックディスプレイ装置は、第1主要面および第2主要面を有し、前記グラフィックディスプレイ装置が透過モードの場合に光を透過し、前記グラフィックディスプレイ装置が反射モードの場合に光を反射する基板と、前記基板の前記第1主要面に位置する反射層と、前記基板の前記第2主要面に位置し、前記グラフィックディスプレイ装置が前記透過モードの場合は透明であり、前記グラフィックディスプレイ装置が前記反射モードの場合は不透明である導電性部材と、前記基板との間で前記導電性部材を挟持するように、前記導電性部材上に配置される画像と、前記画像近傍に配置され、前記透過モードにおいて前記画像を照らす光源と、少なくとも前記導電性部材に電圧を印加する電源とを備え、前記透過モードにおいて、前記基板の前記第1主要面から前記画像が視認可能であるように、前記光源は前記画像を照らし、前記電源は前記導電性部材に電圧を印加して、前記導電性部材を透明にし、前記反射モードにおいて、前記導電性部材が不透明となり、かつ、前記基板の前記第1主要面から前記画像を視認不可能であるように、前記電源は前記導電性部材に電圧を印加する、ことを特徴とする。
【0008】
最後に、本願開示によれば、第1主要面および第2主要面を有し、前記グラフィックディスプレイ装置が透過モードの場合に光を透過し、前記グラフィックディスプレイ装置が反射モードの場合に光を反射する基板と、前記基板の前記第1主要面に位置する反射層と、前記基板の前記第2主要面に位置する電気泳動層であって、前記グラフィックディスプレイ装置が前記透過モードの場合は画像を表示可能にし、かつ、前記グラフィックディスプレイ装置が前記反射モードの場合は前記電気泳動層を不透明とする複数の粒子を含む前記電気泳動層と、前記電気泳動層近傍に配置され、前記グラフィックディスプレイ装置が前記透過モードの場合は前記画像を照らす光源とを備え、前記グラフィックディスプレイ装置が前記透過モードの場合、前記光源は、前記電気泳動層により生成された前記画像を照らし、前記グラフィックディスプレイ装置が前記反射モードの場合、前記電気泳動層は不透明となって、前記反射層により反射された画像のみが、前記第1主要面で視認可能となる、ことを特徴とする。
【0009】
さらに、本明細書の記載から、適用領域は明らかになる。この概要における記載および具体的な実施例は、例示のみを目的とし、本願開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に記載される図面は、選択された実施形態の例示のみを目的とし、実行され得る全てを示すものではなく、本願開示の範囲を限定することを意図しない。
図1】本願開示の第一原理における、透過モードでのグラフィックディスプレイ装置を示す。
図2】本願開示の第一原理における、反射モードでのグラフィックディスプレイ装置を示す。
図3】本願開示の第一原理における、透過モードと反射モードの間を移行中のグラフィックディスプレイ装置を示す。
図4図1に示されるグラフィックディスプレイ装置の分解斜視概略図である。
図5図1に示されるグラフィックディスプレイ装置の断面概略図である。
図6】例示的なグラフィックディスプレイ装置の断面斜視図である。
図7】本開示の第二原理におけるグラフィックディスプレイ装置の断面概略図である。
図8】本開示の第三原理におけるグラフィックディスプレイ装置の断面概略図である。
【0011】
いくつかの図では、同じ符号が、対応する箇所を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照して、より詳しく実施形態を説明する。
【0013】
図1から図6を参照すると、本願開示のグラフィックディスプレイ装置10が図示されている。図1および図2に最も良く示されるように、ディスプレイ装置10は、第1モードすなわち透過モードで作動し(例えば、図1参照)、第2モードすなわち反射モードで作動する(例えば、図2参照)ミラー装置12を備える。透過モード(図1)と反射モード(図2)の間の移行は、図3に図示される。ミラー装置12の後ろに配置された画像(この場合は三角形)は、ミラー装置12により部分的に透過され、ミラー装置12の前に配置された画像(この場合五角形)は、ミラー装置12により部分的に反射されている。
【0014】
ミラー装置12は、上記の通り、光を透過も反射もすることができる半透過ミラーである。すなわち、ミラー装置12は、いわゆるハーフミラーである。図4および図5に最も良く示されるように、ミラー装置12は、板状透明基板14を備え、この基板14は、ガラス、アクリル、またはポリカーボネート材料のような透明材料で形成されてもよい。尚、これら材料はほんの例示であって、本願開示はこれらに限定されないことを理解されたい。すなわち、本願開示の範囲から逸脱しなければ、他の透明基板材料を使用可能である。
【0015】
ミラー装置12の基板14は、極薄くまばらな層の状態に塗布される反射塗膜を有する。この点に関し、基板14を不透明ミラーにするのに必要な分子の約半分だけが塗布されるように、銀、アルミニウム、クロム等の反射材料で、基板14をまばらに被覆する。分子レベルで、均一な膜状で基板14に設けられる反射分子があり、基板14の半分だけが覆われ、「ハーフミラー」を作る。基板14の半分だけが反射材料で塗布されるので、基板14は表面に当たる光の約半分を反射し、あと半分を通過させる。本願開示によれば、基板14は、約60%が透明で、約40%が反射性であることが好ましい。しかしながら、本願開示の範囲から逸脱しなければ、他の割合(例えば、50/50、40/60)を使用してもよいことを理解されたい。
【0016】
基板14は、可視表面すなわち前面16(反射材料が塗布された表面)と、非可視表面すなわち後面18とを有する。本願開示の範囲から逸脱しなければ、上記反射塗膜を前面16または後面18に形成してもよい。さらに、後面18は、着色層20で塗膜されることが好ましい。着色層20は、基板14の後面18に直接設けられてもよく、または、基板14とは離間する別体の層として、グラフィックディスプレイ装置10中に存在してもよい。
【0017】
着色層20は、約10%から40%の範囲で基板14を暗くするように構成される。着色層20は、基板14を約20%暗くするのが好ましい。例示される着色層20は、紫外線および赤外線保護のために、住居用または商業用窓に適用されてもよい。あるいは、着色層20が基板14とは離間する別体である場合には、着色層20は、グレーに着色された、厚さ3mmの押出成形アクリルプレッキシガラス材料(MCグレー2064)であってもよい。しかしながら、本願開示の範囲から逸脱しなければ、3mmを超えるまたは3mm未満の厚さを有する他の着色層、および、20%を超えるまたは未満に着色される他の着色層が使用されてもよい。
【0018】
グラフィックディスプレイ装置10は、散光層22を備えてもよい。散光層22は、ポリエステルのような材料から形成されてもよく、なんらかの形で光を拡散・散乱するように構成され、柔らかい光を提供し、ホットスポットを防ぐ。例示的な散光層は、イーストマンコダック社(Eastman Kodak)から入手できるデュラトラン(Duratrans)散光器である。散光層22は画像24を備える。画像24は、散光層22の後面26(すなわち、着色層20とは反対側の散光層22の面)に配置される。画像24は、ミラー装置12が透過モードで作動中に視認され(図1)、ミラー装置12が反射モードで作動中には視認されない(図2)。画像24は、散光層22の後面26に配置されるので、ミラー装置12の透過モードで表示されるはずの任意の文書または記号を反転させる(例えば、文書または記号のミラー画像を用いる)必要があるかもしれない。インクジェット印刷法、または、他の種類の印刷法を含む当業者に公知の任意の方法で、画像24を散光層22に設けてもよい。
【0019】
グラフィックディスプレイ装置10が透過モードである場合に画像24を照らすために、グラフィックディスプレイ装置10は光源28を備える。光源28は、当業者に公知の任意の種類の光源であってよい。光源28の例示としては、発光ダイオード(LEDs)、エレクトロルミネッセントパネル(ELPs)、冷陰極蛍光管(CCFLs)、熱陰極蛍光管(HCFLs)、外部蛍光管(EEFLs)、および白熱電球が挙げられる。光源28は、ライトガイド(図示なし)と共に使用されてもよいし、またはライトガイドなしで使用されてもよい。上記の通り、グラフィックディスプレイ装置10が透過モードで使用される場合に光源28が使用され、反射モードでは使用されない。
【0020】
図5および図6に最も良く図示されるように、グラフィックディスプレイ装置10は、基板14、着色層20、画像24を備えた散光層22、および光源28を収容するフレームまたはハウジング30を備えてもよい。図6に最も良く図示されるように、ハウジング30は、剛性をハウジング30に与える複数の構造部材33を備えてもよく、また、基板14(スロット35で)、着色層20(スロット37で)、画像24を備えた散光層22(スロット39で)、および光源28(スロット41で)を収容し支持するための複数のスロット35、37、39および41を規定してもよい。このようにして、グラフィックディスプレイ装置10の各種構成要素は、適宜容易に取り外し、修理可能である。さらに、このような構造により、異なる画像24を必要に応じて使用することができる。図6には図示されないが、ハウジング30の空洞43に、ディスプレイ装置10の各種電子機器を収容可能である。
【0021】
例えば、ハウジング30は、基板14の前面16近傍の動きまたは周囲の光の変化を検出するセンサー装置32を備えてもよい。さらに、制御装置34は、センサー装置32および光源28と通信してもよい。透過表示中に、動きまたは周囲の光の変化がセンサー装置32により検出され、制御装置34に伝達されると、制御装置34は、グラフィックディスプレイ装置10が透過表示から反射表示へ移行するように、光源28を消すよう指示してもよい。
【0022】
例えば、グラフィックディスプレイ装置10が透過モード(図1)であり、センサー装置32が基板14の前面16近傍の位置での動きを検出すると、グラフィックディスプレイ装置10は反射モードに移行してもよい。このような構造は、例えば、衣料品店で有用であり、透過モードを広告目的で使用し、反射モードを顧客が購買意欲を持った衣服を試着する際に、顧客自身を見ることができるように使用可能である。この点に関し、顧客の動きはセンサー装置32により検出され、その後、制御装置34は、グラフィックディスプレイ装置10が反射モードに移行するように、光源28を消すよう指示する。
【0023】
制御装置34を用いて、透過モードと反射モードとの相互間の移行に必要な時間量を制御してもよい。この点に関し、透過モードと反射モードとの間の移行は、即時(すなわち、1秒未満)可能であるか、または、もっとゆっくり(すなわち、3秒から10秒の範囲で)行ってもよい。しかしながら、他の移行間隔も予期される。
【0024】
本願開示によれば、グラフィックディスプレイ装置10は、着色層20を備え、画像24は、散光層22と光源28の間に配置される。このような構成により、画像24は、反射モード中、より容易に隠される。すなわち、画像24と基板14の間に着色層20および散光層22が使用されるので、グラフィックディスプレイ装置10が反射モードである場合は、画像24を暗くし、その結果、画像24を視認できない。さらに、このような構造では、透過モード中に、光源28で画像24を照らしている間、画像を著しく暗くしない。
【0025】
図7を参照して、本願開示の第二実施形態を説明する。図7は、上記と同一の反射塗膜を有する基板14を備えるグラフィックディスプレイ装置10aを図示する。すなわち、基板14は、基板14の後ろに配置された光源28からの光を基板14が透過し、前面16に入射する光を反射できるように、極薄くまばらな層の状態に塗布される反射塗膜を有する、いわゆるハーフミラーである。着色層20および散光層22に代えて、グラフィックディスプレイ装置10aは、導電性部材36を備える。導電性部材36は、基板14の後面18に塗布されてもよく、または、基板14とは離間する別体であってもよい。いずれにしても、導電性部材36は、電源37により電流または電圧が印加されると、透明または不透明のいずれかになるように構成される。すなわち、導電性部材36は、電源37により電流または電圧が印加されると、透明モードと不透明モードの間で切り替え可能である。このように、グラフィックディスプレイ装置10aが透過モードで作動する際、導電性部材36が不透明である場合は、電流または電圧が導電性部材36に印加され、導電性部材を透明モードに切り替える。グラフィックディスプレイ装置10aが反射モードで作動する際には、電流または電圧が導電性部材36に再び印加され、導電性部材を不透明モードに切り替え可能である。
尚、重要なことは、透明モードまたは不透明モードのいずれかを維持するために、電流または電圧を持続的に導電性部材36に印加する必要はないということである。むしろ、電流または電圧を印加することにより、導電性部材36を一方のモードから他方のモードへと切り替える。例示的な導電性部材36は、スマートティント(R)から入手可能である。
【0026】
画像24は、導電性部材36の、基板14とは反対側に配置されてもよい。画像24は、インクジェット印刷法、または、他の種類の印刷法を含む当業者に公知の任意の方法で、導電性部材36に設けられてもよい。最後に、グラフィックディスプレイ装置10aは、光源28、ハウジング30、センサー装置32、および制御装置34を備え、制御装置34は、センサー装置32および光源28に加えて、電源37を介して導電性部材36と通信する。
【0027】
グラフィックディスプレイ装置10aを透過モードで作動させるために、制御装置34は光源28に照光するように指示し、電流が電源37により導電性部材36に印加されるように指示する。導電性部材36に電流が印加されるので、導電性部材36は透明である。このように、照らされた画像24は、導電性部材36および基板14を透過し、基板14の前面16で視認される。
【0028】
グラフィックディスプレイ装置10aを反射モードで作動させるために、制御装置34は光源28を消すよう指示し、電流を導電性部材36に印加しないよう指示する。導電性部材36に電流が印加されないので、導電性部材36は不透明であり、反射モード中、画像24が見えないように隠す。
【0029】
図8を参照して、本願開示の第三実施形態を説明する。図8は、上記と同一の反射塗膜を有する基板14を備えるグラフィックディスプレイ装置10bを図示する。すなわち、基板14は、基板14の後ろに配置された光源28からの光を基板14が透過し、前面16に入射する光を反射できるように、極薄くまばらな層の状態に塗布される反射塗膜を有する、いわゆるハーフミラーである。着色層20および散光層22に代えて、または、導電性部材36に代えて、グラフィックディスプレイ装置10bは、電気泳動層38を備える。電気泳動層38は、基板14の後面18に積層されてもよく、または、基板14とは離間する別体であってもよい。いずれにしろ、電気泳動層38は、電圧印加時に画像を表示し、電圧が印加されない場合は不透明になるように構成される。例示的な電気泳動層38は、イーインクコーポレーション(E Ink Corporation)から入手可能である。電気泳動層38の後ろに光源28があってもよい。
【0030】
電気泳動層38は、複数のマイクロカプセル40を備えてもよく、各マイクロカプセル40は、複数の負荷電粒子42および正荷電粒子44を備える。複数のマイクロカプセル40は、一対の電極46および48の間に配置され、電圧が印加されると、荷電粒子42および44を引きつける、または、退ける。このようにして、電気泳動層38を用いて、画像を表示するか、または、不透明とすることができる。この点に関し、粒子は、白色粒子42か着色粒子44かのいずれかであり、白色粒子42は層38を不透明とし、着色粒子44は画像を表示するのに使用される。いずれにしろ、グラフィックディスプレイ装置10bの透過モードでは、電気泳動層38により表示される画像は、光源28に照らされ、基板14を透過してもよい。一方、グラフィックディスプレイ装置10bの反射モードでは、電気泳動層38は不透明として、基板14が入射光を反射するのみとしてもよい。
【0031】
グラフィックディスプレイ装置10bは、センサー装置32および制御装置34も備えてよく、制御装置34はセンサー装置32、光源28および電気泳動層38と通信する。透過モードでは、制御装置34は、電源37から電極46および48に適切な電圧を印加し着色粒子44を基板14側に引きつけることを指示することにより、画像を表示するように電気泳動層38に指示してもよい。さらに、制御装置34は、電気泳動層38により生成された画像を照らすよう光源28に指示してもよい。反射モードでは、制御装置34は、電源37から電極46および48に適切な電圧を印加し、白色粒子42を基板側に引きつけることを指示することにより、不透明となるよう電気泳動層38に指示してもよい。さらに、制御装置34は、光源28を消すよう指示する。電気泳動層38は不透明となるので、基板14は入射光を反射するのみである。
【0032】
最後に、ハウジング30は、基板14を備える前部と、少なくとも光源28および画像24を備える後部の二部構成であってもよいことを理解されたい。この場合、ハウジング30の前部は、後部に対してドアのように開くように、後部に蝶番で連結される。このような構成では、グラフィックディスプレイ装置10、10aおよび10bの使用中、異なる画像24が定期的に使用されてもよいように、画像24を取り外し可能としてもよい。
【0033】
実施形態の上記記述は、例示および説明の目的で提示された。包括的であることまたは開示事項に限定されることを意図しない。特定の実施形態の個々の構成要素または特徴は、一般に、この特定の実施形態に限定されるものではなく、適用可能ならば交換可能であり、たとえ具体的に図示または記載されていなくても、選択された実施形態で使用可能である。同様に、構成要素または特徴は、さまざまに変形されてもよい。このような変形は、本願開示からの逸脱とはみなされるべきではなく、全ての変形は、本願開示の範囲内に包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8