(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
股下に引き当ててパンツ又はおむつと併用される便失禁専用パッドであって、肛門周辺に当たる部位に吸水域(9)が設けられた股下パッド(4)の中央部に半円柱状の埋山(2)が設けられると共に、前記埋山(2)に隣接した前部に横方向に立体的に盛り上がった土手(10)が設けられ、前記股下パッド(4)の背面部側に前記パンツ又はおむつに固定するための引き帯(3)が設けられた便失禁専用パッド。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、健康で毎日元気に働いている会社員や学生を中心とした男性の成年層に供する軽い便失禁に対応する
便失禁専用パッド及び便失禁専用おむつを提供する。介護用おむつ、老人用おむつ、下着感覚のパンツと称するおむつ等や尿とり
パッドの類とは全く用途を異にするもので
ある。朝出勤や通学途上の電車等で乗車時の急な便意の不安がある際に、予め普段のパンツの中に着用する用具で、体調や緊張感やストレスによる便失禁の不安の軽重に応じて使い分けする3種類の便失禁専用の対応用具で構成され
、以下のような構成を有する。
【0013】
(第1の実施形態)
まず、
図1を参照してワンタッチ
パッド(1)につき記述する。これは極めて軽微な便失禁に対応するものであり、男女共用で使えるもので
ある。会陰部から肛門を中心に股下局部にワンタッチ
パッド(1)を押しあてて尻部くぼみでしっかり挟み込む。その際、
半円柱状の埋山(2)の中心が肛門に当たる様に注意し、ズレ防止の引き帯(3)を引っ張ってワンタッチ
パッド(1)の位置を安定させる。そしてパンツを穿いてワンタッチ
パッド(1)を軽く押えて位置を確認し、ズレ防止の引き帯(3)を上に引っ張って裏面の粘着テープをパンツに貼り止めて、パンツの位置を安定させる。
【0014】
これにより下痢以外であれば、トイレに到着するまでの間の少量の便失禁や我慢途上での少量の便液モレには十分対応できる。このワンタッチ
パッド(1)の大きさと形状につき記述する。股下
パッド(4)は幅70ミリ、長さ114ミリの大きさで、ズレ防止の引き帯(3)は根元(11)の幅20ミリ、手元(12)の幅30ミリ、長さ86ミリとする。股下
パッド(4)の前面側の上
縁(
39)は10ミリの幅間で曲線でふくらみ、背面側の下辺(6)は15ミリの幅間で曲線で縮む。全体の表面材は外面側は不織布、内面側はポリオフィンとする。左右両縁に幅5ミリの立体ギャザー(8)を設ける。股下
パッド(4)の中央部分に幅50ミリ、長さ90ミリの範囲で厚み2ミリの吸水域(9)を設ける。形は大概長方形でよい。
【0015】
吸水材は綿状パルプ、高分子吸収材、防水材はポリオフィンフィルムで構成する。吸水域(9)の中心部に幅20ミリ、長さ60ミリの
半円柱状の埋山(2)を設ける。
半円柱状の埋山(2)は頂きの高さ10ミリの半円柱で、前面側及び背面側の両端は10度の角度で上から下にけずって傾斜(13)を設け、吸水材の密度を厚くして適度の硬さを持つものとする。
半円柱状の埋山(2)に隣接した前部に、幅5ミリ、長さ40ミリの身体前面方向へのもれを防ぐ流れ防止の土手(10)を設ける。頂きの高さ、左右両端の傾斜(13)は
半円柱状の埋山(2)と同様とする。一体となった流れ防止の土手(10)と
半円柱状の埋山(2)は失禁便や便液の吸水を高めて流れを防止し尻部のくぼみをしっかり押えて挟み易くする効果を目的としている。
【0016】
ズレ防止の引き帯(3)は根元(11)から手元(12)に向けて末広がりの形状とし、身体背面側に伸ばした際にパンツに固定するため、パンツ側の面に粘着テープを設ける。これにより歩行中にズレ落ちてしまう心配がないが、これでも不安定な場合は、ワンタッチ
パッド(1)を押える感じで尻部該当部に横方向にサージカルテープを貼ることも可能
である。但し
、ボクサータイプ、ブリーフタイプ等の身体にぴったりした下着を穿けばその必要はない。
【0017】
朝出勤前に、本実施形態のワンタッチパッド(1)を使用すれば、極めて軽微な便失禁には十分対応できるので安心して外出でき、出勤途上でトイレに到着するまでに失敗することが少なくなる。
【0018】
(第2の実施形態)
次に、
図2を参照してぴたっと
パッド(14)につき記述する。これは尿とり
パッドや生理用
パッドと同様に、パンツに粘着テープで付着させて使用するものである。通勤途上で突発性の便意が習慣的に予想される場合に使用するもので、トイレに到着するまでの比較的少量の便失禁や軟便傾向に対応する。このぴたっと
パッド(14)は、
男性器をパッドの抑圧ストレスから解放するために、陰のうを根元から持ち上げて肛門から遠ざけるための持ち上げ引き帯(15)と
半円柱状の埋山(2)、流れ防止の土手(10)を設置した男性向けの便失禁
専用パッドである。健康な成人がストレスや神経的な要因で、通勤時に突発的な便意を催す場合は、このぴたっと(14)を装着しているという安心感でそれを抑止する効果もあり、又トイレでの事後処理も簡単である。
【0019】
このぴたっとの大きさと形状につき記述する。ぴたっと
パッド(14)の
パッド本体(16)は幅80ミリ、左右両端の長さ120ミリとする。身体前面側の2本の持ち上げ引き帯(15)は、幅11ミリ、長さ70ミリ、上部に幅広つまみ部分(17)を設ける。背面側のズレ防止の引き帯(3)は根元(11)幅20ミリ、手元(12)幅40ミリ、長さ56ミリとする。
パッド本体(16)は、左右両縁に幅5ミリの立体ギャザー(8)を設ける。前面側は左右両端から各15ミリ内側、根元(11)から垂直に120ミリの位置1(18)から28ミリ垂直に離れた2箇所の位置2(19)の間を下弦月状に10ミリの高低で曲線状にくぼむ形とする。背面側端は2箇所の位置3(20)の間を上弦月状に20ミリの高低で曲線状にふくらみ、ズレ防止の引き帯(3)に結がる形とする。
パッド本体(16)の中央部分に幅50ミリ、長さ120ミリの範囲で、厚さ3ミリの吸水域(9)を設ける。吸水域(9)の前面側両角は45度傾斜でけずり、前面側の上辺(5)の長さ30ミリとする。背面側両角は45度傾斜でけずり、下辺(6)の長さは30ミリとする。上辺(5)から10ミリ離れた中心部背面側に流れ防止の土手(10)を設け、それに隣接して
半円柱状の埋山(2)を設ける。
【0020】
流れ防止の土手(10)は幅5ミリ、長さ40ミリ、頂きの高さ10ミリの半円柱で左右の両端は10度の角度で上から下にけずって傾斜(13)を設け、吸水材の密度を厚くして適度の硬さを持たせる。背面側に隣接して中心部に設ける
半円柱状の埋山(2)は、幅20ミリ、長さ60ミリ、頂きの高さ10ミリの半円柱で上下の両端は10度の角度で上から下にけずって傾斜(13)を設け、吸水材の密度を厚くして適度の硬さを持たせる。身体前面側の2本の持ち上げ引き帯(15)は位置2(19)から各々80度の角度で伸び、上部の幅広つまみ部分(17)は、横幅30ミリ、縦幅20ミリの長方形とし、表面材の素材は
パッド本体(16)部分の物よりやや厚めの構成とする。
【0021】
パンツ側面に粘着テープを設けてパンツに付着、安定させる。背面側のズレ防止の引き帯(3)は、根元(11)から手元(12)にかけて末広がり状とし、根元(11)から中心線で50ミリ離れた箇所で5ミリの高さで半円形にふくらむ曲線とする。パンツ側面に粘着テープを設置し、よく引っ張って位置を安定させてパンツに付着させる。
【0022】
この2本の持ち上げ引き帯(15)の間の下弦月状のくぼみ(21)が陰のうを根元から持ち上げて、肛門から遠ざける役目を持つ。従って2本の持ち上げ引き帯(15)でしっかり引っ張って位置を安定させてパンツに粘着させる。ぴたっと
パッド(14)のパンツ側全面に粘着テープを設けても良い。全体の表面材、吸水域(9)の吸水材、防水材等の素材構成は前記ワンタッチ
パッド(1)と同様とする。
【0023】
本実施形態のぴたっとパッド(14)をパンツ内に装着して外出すれば、下痢以外の少量の軟便等に十分対応できる。男性器を押えこまないので、抑圧感のストレスがなく排尿時の煩わしさも解消される。加えて陰のうが失禁便で汚れることも防止できる。
【0024】
(第3の実施形態)
次に、
図3を参照して最後に窓開き下着風おむつ(22)につき記述する。これは身体前面部のおむつが男性器を押さえないようにするための機能と、肛門から出来るだけ陰のうを引き離して失禁便が陰のうに付着しないようにするための機能、及び失禁便が前面方向、横方向に流れ出ないようにするための機能を備えるものである。加えて健康な男性成年層に供するために吸水体
パッドの範囲を極力小さくして、穿き心地も見た目もすっきりしたパンツ風にしている。具体的には男性器をおむつの外に出す窓開き開放口(23)を設け、その肛門側部分は陰のうを根元から上に引き上げるための半円形状の開放口(24)とする。
【0025】
股下の吸水域(9)の中心部に、前方向と左右横方向に失禁便が流れ出ないようにM字型の流れ防止の土手(25)を設ける。更に吸水域(9)を可能な限り小さく設定した薄いパンツ型の男性専用の便失禁専用のおむつである。
【0026】
この形態は斜視図や断面図で構成を説明するのが難しいために、両脇の貼り合せ部(26)を左右の足ぐりまで切断した状態を平面図にした
図3に基づいて詳細を記述する。
【0027】
窓開き下着風おむつ(22)の全体の大きさは、縦の長さは身体前面部280ミリ、股下域(7)の幅狭部120ミリ、身体背面部280ミリとする。身体前面部から記述する。ウェスト伸縮帯(27)は幅30ミリ、横の長さ200ミリ、伸縮材としわ加工の中段伸縮帯(28)は最大幅80ミリとする。左右両脇の貼り合せ部(26)はウェスト伸縮帯の下側縁の位置4(29)から下に132ミリ、横へ88ミリの位置5(30)に幅5ミリの帯状で設置する。
【0028】
位置5(30)から位置6(31)が足ぐり縁になる。位置6(31)から位置7(32)の220ミリの間に、窓開き開放口(23)の全部、M字型の流れ防止の土手(25)と吸水域(9)の大半を設置する。ウェスト伸縮帯(27)の前面側の中心点の位置8(33)から下に180ミリの箇所に、横72ミ、縦80ミリの長方形開放口(34)とその下40ミリの高さの半円形状の開放口(24)で形づくる窓開き開放口(23)を設ける。
【0029】
半円形状の開放口の先端部分(35)は幅40ミリ、頂き高さ12ミリの一層の丸みを持つ形で、陰のうの根元を押えて男性器全体を持ち上げて、窓開き開放口(23)の外に出す役目を持つ。位置8(33)から背面側へ300ミリの箇所から吸水域(9)を横幅100ミリ、長さ180ミリで設ける。上端はM字型とする。
【0030】
背面側の先端の横幅は20ミリとし、40ミリ手前から角度をつけて細くする。吸水域(9)の厚みは5ミリ以上とする。M字型の流れ防止の土手(25)は吸水域(9)の端に沿ってM字型に設ける。前面側は吸水域(9)の端に沿ってM字型に、背面部も吸水域(9)の左右両端に沿って左右共に長さ120ミリで設置する。規模は幅10ミリ、頂きの高さ10ミリで
半円柱状とし、吸水材の密度を厚くして適度の硬さを持たせる。両脇下の位置6(31)と位置7(32)の間に、幅12ミリの返しギャザー(36)を設置し、その縁に幅5ミリで強めの伸縮材を織り込んで中心部で30ミリ程度立ち上がる立体的な構造とする。
【0031】
身体背面部について記述する。ウェスト伸縮帯(27)に接して中段伸縮帯(28)を最大幅40ミリで設ける。ウェスト伸縮帯(27)の下側縁の位置9(37)から前面部へ132ミリ、横へ80ミリの位置10(38)まで両脇の貼り合せ部(26)の合体面となる。
【0032】
従って位置10(38)から位置7(32)、位置6(31)、位置5(30)を結ぐラインが足ぐり全体の太さとなる。平面
図3で表したウェスト伸縮帯(27)は静止時の長さは200ミリではあるが、引き伸ばすと最大450ミリまで拡大する。
【0033】
従って、伸縮材使用部分やしぼり加工を施こした部分等の膨らみ程度は通常の市販おむつと相当程度の同形態とする。
半円柱状の埋山(2)、流れ防止の土手(10)、M字型の流れ防止の土手(25)のみ吸水材の密度を厚く構成し、その他は一般の市販されているおむつ、尿とり
パッド等の構成素材と同様とし、特に限定しない。
【0034】
本実施形態の窓開き下着風おむつ(22)は、従来のおむつと異なって以下の効果がある。男性器を押えこまないので抑圧感のストレスがない。排尿時に従来のおむつの様な煩わしさがない。陰のうが失禁便で汚れることが極めて少なくなる。M字型の流れ防止の土手の設置により、失禁便の流出防止、吸水力の向上に効果がある。全体の吸水域を従来に比較して相当程度縮小できるので穿き心地が向上し、外観上も薄くて見た目もすっきりしているので、成年層の男性が使用する際の抵抗感が極めて少なくなる。