(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
送電装置では、受電装置との間で接近して通信することが想定されている。送電装置と受電装置とが水中で接近せずに磁気共鳴方式により電力伝送するためには、少なくとも1つのコイルを水中の所定位置に設置する必要がある。この場合において、磁気共鳴方式の電力伝送に用いる周波数が比較的低い場合、コイルの直径を長くする必要がある。コイルの直径が大きいと、コイルが重くなり、コイルが水底方向に沈みやすくなる。
【0011】
水中にコイルを設置するためには、コイルを所望の位置に固定するための支柱やロープが必要となるが、コイルの比重が水や海水の比重よりも大きい場合、支柱やロープの耐力を大きくする必要がある。そのため、コイル設置のための建設費やコイルの材料費が高くなる。また、コイルが重いと、コイルを運搬する船の大型化が必要となり、コイルを運搬するための輸送コストも高くなる。
【0012】
水深の深い場所で送電装置の使用を希望する場合、コイルには大きな水圧がかかるので、コイルを堅固なものにする必要があり、コイルの重さだけでは水深の深い所望の位置に設置することが困難であることがあり得る。したがって、コイルを水深方向の所望の位置に設置するためには、コイルを自由に浮かせたり沈めたりできることが好ましい。
【0013】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における電力伝送システム10が置かれる環境の一例を示す模式図である。
図2は、電力伝送システムの構成例を示すブロック図である。電力伝送システム10は、送電装置100、受電装置200、及び複数のコイルCLを備える。送電装置100は、受電装置200に対して、複数のコイルCLを介して、磁気共鳴方式に従ってワイヤレス(無接点)で電力伝送する。コイルCLの数は、n(n≧2)個であり、任意である。
【0015】
コイルCLは、例えば、環状に形成され、防水用プラスチック管(後述)に収容されている。コイルCLは、例えば、ヘリカルコイルやスパイラルコイルである。ヘリカルコイルは、同一平面内において巻回された環状のコイルである。スパイラルコイルは、同一平面内ではなく、磁気共鳴方式による電力の伝送方向に沿って螺旋状に巻回された環状のコイルである。また、コイルCLは、例えばキャプタイヤケーブルで形成される。複数のコイルCLは、送電コイルCLA及び受電コイルCLBを含む。送電コイルCLAは、一次コイル(PrimaryCoil)であり、受電コイルCLBは、二次コイル(Secondary Coil)である。
【0016】
また、コイルCLは、送電コイルCLAと受電コイルCLBとの間に配置された1つ以上の中継コイルCLC(Booster Coil)を含んでもよい。中継コイルCLC同士は、略平行に、かつ、中継コイルCLCにより形成される開口面の半分以上が重なるように配置される。複数の中継コイルCLC間の間隔は、例えば中継コイルCLCの半径以上確保される。中継コイルCLCは、送電コイルCLAによる電力伝送を補助する。中継コイルCLCは、無給電コイルであってよい。
【0017】
送電コイルCLAは、送電装置100に設けられる。受電コイルCLBは、受電装置200に設けられる。中継コイルCLCは、送電装置100に設けられても、受電装置200に設けられても、さらには、送電装置100及び受電装置200とは別に設けられてもよい。中継コイルCLCは、一部が送電装置100に設けられ、残りの一部が受電装置200に設けられてもよい。
【0018】
送電装置100は、船舶50に設置される。受電装置200は、移動可能な水中航走体60(例えば潜水艇70や水底掘削機80)や固定的に設置される受電装置(例えば地震計、監視カメラ、地熱発電機)に設置される。各コイルCLは、水中(例えば海中)に配置される。
【0019】
潜水艇70は、例えば、遠隔操作無人探査機(ROV:Remotely Operated Vehicle)、無人潜水艇(UUV:Unmanned Underwater Vehicle)、又は自立型無人潜水機(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)を含んでもよい。
【0020】
船舶50の一部は、水面90(例えば海面)より上部つまり水上に存在し、船舶50の他の一部は、水面90よりも下部つまり水中に存在する。船舶50は、水上で移動可能であり、例えばデータ取得場所の水上へ自由に移動可能である。船舶50の送電装置100と送電コイルCLAとの間は、電源用電線20により接続される。電源用電線20は、水上のコネクタ(不図示)を介して、例えば送電装置100内のドライバ151(
図2参照)と接続される。
【0021】
水中航走体60は、水中又は水底95(例えば海底)に存在し、水中又は水底95を航走する。例えば、水上の船舶50からの指示により、データ取得ポイントへ自由に移動可能である。船舶50からの指示は、各コイルCLを介した通信により伝送されてもよいし、その他の通信方法により伝送されてもよい。
【0022】
図1では、複数のコイルCLのうち、送電コイルCLAは、二重構造プラスチック管300に収容される。また、2つの中継コイルCLCは、2つの防水用プラスチック管330,340にそれぞれ収容される。例えば、水深方向に等間隔に配置された二重構造プラスチック管300と、防水用プラスチック管330,340と、を含むプラスチック管を、複数の連結用ロープ335で繋いで、コイル構造体5が構成されてよい。
【0023】
複数(例えば8本)の連結用ロープ335のうち、少なくとも一部(例えば4本)の連結用ロープ335の下端には、錘40が懸架されてよい。錘40は、連結用ロープ335の移動を規制し、連結用ロープ335に繋がれた二重構造プラスチック管300及び2つの防水用プラスチック管330,340の移動を規制する。つまり、錘40は、コイルCLの移動を規制する。錘40は、コイル構造体5に含まれてよい。なお、錘40が設けられてなくもよい。
【0024】
水深方向に隣り合うコイルCL間の距離(コイル間隔)は、例えば5mである。コイル間隔は、コイルCLの直径の半分程度の長さでよい。伝送周波数は、水中(例えば真水中又は海中)での磁界強度の減衰量を考慮すると、例えば40kHz以下であり、10kHz未満とされることが好ましい。なお、伝送周波数は、40kHz以上であってもよい。また、10kHz以上の送信周波数で電力伝送する場合には、電波法の規定に基づいて所定のシミュレーションを行う必要があり、10kHz未満の場合にはこの作業を省略できる。尚、伝送周波数が低周波であるほど、電力伝送距離が長くなり、コイルCLが大きくなり、コイル間隔が長くなる。なお、伝送周波数は、例えば通信信号が重畳される場合、40kHzよりも高い周波数でよい。
【0025】
伝送周波数は、コイルCLのインダクタンス、コイルCLの直径、コイルCLの巻き数等のコイル特性に基づき定まる。コイルCLの直径は、例えば数m〜数10mである。また、コイルCLの太さが太い程、つまりコイルCLの線径が大きい程、コイルCLでの電気抵抗が減り、電力損失が小さくなる。また、コイルCLを介して伝送される電力は、例えば50W以上であり、kWオーダーでもよい。
【0026】
水中において水流が発生した場合、錘40により二重構造プラスチック管300及び2つの防水用プラスチック管330,340の移動、つまり、各コイルCLの移動が規制される。したがって、コイルCLを用いた電力伝送の効率が低下することを抑制できる。
【0027】
また、各コイルCLにより形成される面は、水面90と略平行となってよい。この場合、各コイルCLを用いて磁界共鳴方式によって水深方向(水面と略直交する方向)に電力伝送が可能である。
【0028】
また、連結用ロープ335における上端部(水中の場合の水面側)には、ブイ(Buoy)が接続されてもよい。連結用ロープ335において、下端部(水中の場合の水底側)に錘40が接続され、上端部にブイが接続された場合、錘40が水底側、ブイが水面側となり、連結体30が水面90と略垂直となる姿勢を維持し易くなる。ブイは、コイル構造体5に含まれてもよい。
【0029】
なお、錘40は、コイル構造体5の運搬時には連結用ロープ335から取り外され、コイル構造体5の運搬が終了し、所定の位置に設置される際に、連結用ロープ335に錘40が取り付けられてもよい。これにより、コイル構造体5の運搬が容易になる。
【0030】
図2に示すように、電力伝送システム10は、送電装置100及び受電装置200を備える。送電装置100は、電源110、ADC(AC/DC Converter)120、CPU(Central Processing Unit)130、情報通信部140、及び送電回路150、を備える。
【0031】
ADC120は、電源110から供給される交流電力を直流電力に変換する。変換された直流電力は、送電回路150へ送られる。CPU130(プロセッサの一例)は、送電装置100の各部(例えば電源110、ADC120、情報通信部140、送電回路150)の動作を統括する。
【0032】
情報通信部140は、受電装置200との間で通信される通信データを変調又は復調するための変復調回路141を含む。情報通信部140は、例えば、送電装置100から受電装置200への制御情報を、コイルCLを介して送信する。情報通信部140は、例えば、受電装置200から送電装置100へのデータを、コイルCLを介して受信する。このデータは、例えば、受電装置200により水中探査や水底探査された探査結果のデータが含まれる。情報通信部140により、水中航走体60がデータ収集等の作業しながら、水中航走体60との間で迅速にデータ通信できる。
【0033】
送電回路150は、ドライバ151及び共振回路152を含む。ドライバ151は、ADC120からの直流電力を所定の周波数の交流電圧(パルス波形)に変換する。共振回路152は、コンデンサCAと送電コイルCLAとを含んで構成され、ドライバ151からのパルス波形の交流電圧から正弦波波形の交流電圧を生成する。送電コイルCLAは、ドライバ151から印加される交流電圧に応じて、所定の共振周波数で共振する。尚、送電コイルCLAは、送電装置100の出力インピーダンスにインピーダンス整合される。尚、ドライバ151が変換することで得られる交流電圧に係る所定の周波数は、送電装置100と受電装置200との間での電力伝送の伝送周波数に相当し、共振周波数に相当する。伝送周波数は、例えば、各コイルCLのQ値に基づき設定されてよい。
【0034】
受電装置200は、受電回路210、CPU220、充電制御回路230、2次電池240、及び情報通信部250を備える。受電回路210は、整流回路211、レギュレータ212、及び共振回路213を含む。共振回路213は、コンデンサCBと受電コイルCLBとを含んで構成され、送電コイルCLAから送電された交流電力を受電する。尚、受電コイルCLBは、受電装置200の入力インピーダンスにインピーダンス整合される。整流回路211は、受電コイルCLBに誘起された交流電力を直流電力に変換する。レギュレータ212は、整流回路211から送られる直流電圧を、2次電池240の充電に適合する所定の電圧に変換する。
【0035】
CPU220(プロセッサの一例)は、受電装置200の各部(例えば受電回路210、充電制御回路230、2次電池240、情報通信部250)の動作を統括する。充電制御回路230は、2次電池240の種別に応じて2次電池240への充電を制御する。例えば、2次電池240がリチウムイオン電池の場合、充電制御回路230は、定電圧で、レギュレータ212からの直流電力により2次電池240への充電を開始する。2次電池240は、送電装置100から伝送された電力を蓄積する。2次電池240は、例えばリチウムイオン電池である。
【0036】
情報通信部250は、送電装置100との間で通信される通信データを変調又は復調するための変復調回路251を含む。情報通信部250は、例えば、送電装置100から受電装置200への制御情報を、コイルCLを介して受信する。情報通信部250は、例えば、受電装置200から送電装置100へのデータを、コイルCLを介して送信する。このデータは、例えば、受電装置200により水中探査や水底探査された探査結果のデータが含まれる。情報通信部250により、水中航走体60がデータ収集等の作業しながら、船舶50との間で迅速にデータ通信できる。
【0037】
尚、中継コイルCLCは、送電コイルCLA及び受電コイルCLBと同様に、コンデンサCCとともに共振回路を構成する。つまり、本実施形態では、共振回路が水中において多段に配置されることで、磁気共鳴方式により電力が伝送される。
【0038】
次に、送電装置100から受電装置200への電力伝送について説明する。共振回路152では、送電装置100の送電コイルCLAに電流が流れると送電コイルCLAの周囲に磁場が発生する。発生した磁場の振動は、同一の周波数で共振する中継コイルCLCを含む共振回路又は受電コイルCLBを含む共振回路213に伝達される。
【0039】
中継コイルCLCを含む共振回路では、磁場の振動により中継コイルCLCに電流が励起され、電流が流れ、中継コイルCLCの周囲に更に磁場が発生する。発生した磁場の振動は、同一の周波数で共振する他の中継コイルCLCを含む共振回路又は受電コイルCLBを含む共振回路213に伝達される。
【0040】
共振回路213では、中継コイルCLC又は送電コイルCLAの磁場の振動により、受電コイルCLBに交流電流が誘起される。誘起された交流電流が整流され、所定の電圧に変換され、2次電池240に充電される。
【0041】
図3はコイル構造体5の外観を示す斜視図である。
【0042】
コイル構造体5は、複数(例えば8本)の連結用ロープ335で連なるように繋がれた、複数のプラスチック管を有する。複数のプラスチック管のそれぞれは、複数のコイルCLのそれぞれを内包し、管内を密閉する。複数のコイルCLは、送電コイルCLAを含み、中継コイルCLCを含んでよい。プラスチック管は、二重構造プラスチック管300と、2本の防水用プラスチック管330と、を含んでよい。
【0043】
二重構造プラスチック管300は、環状(リング状)に形成され、管内に送電コイルCLA(給電コイル)を収容してよい。2本の防水用プラスチック管330,340は、環状に形成され、それぞれの管内に中継コイルCLCを収容してよい。なお、中継コイルCLCを収容する防水用プラスチック管の数は、2つに限らず、任意の数でよい。
【0044】
コイル構造体5が、水中(海中を含む)で鉛直方向(水深方向)の位置を安定した状態で維持できるように、複数(例えば8本)の連結用ロープ335のうち、少なくとも一部(例えば4本)の連結用ロープ335の下端には、それぞれ錘40が取り付けられてよい。連結用ロープ335の上端は、それぞれ二重構造プラスチック管300に一定の間隔で固定されてよい。
【0045】
二重構造プラスチック管300には、管内の空気量を適量に調節する調整部390が接続される。調整部390は、例えば、吸排気管360、バルブ375、二又管365、コンプレッサ370及び吸引ポンプ380を有する。調整部390は、例えば、海上に設置されてよい。調整部390の少なくとも一部は、船舶50に設けられてよい。
【0046】
また、調整部390におけるバルブ375の開閉、コンプレッサ370の動作、及び吸引ポンプ380の動作は、任意の制御装置によって制御されてよい。この制御装置は、送電装置100に含まれてもよいし、送電装置100とは別体で設けられてもよい。制御装置は、バルブ375の開閉、コンプレッサ370の動作、吸引ポンプ380の動作、等を制御するための制御信号を、有線又は無線を介して、バルブ375、コンプレッサ370、吸引ポンプ380、等に送信してよい。
【0047】
吸排気管360は、コイル構造体5が水中で浮沈可能なように、二重構造プラスチック管300と連結し、管内の空気が流出入する通路である。吸排気管360は、バルブ375及び二又管365を介して、コンプレッサ370及び吸引ポンプ380と接続される。
【0048】
コンプレッサ370は、吸排気管360を通して二重構造プラスチック管300に空気を送り込む。コンプレッサ370が非作動状態にある場合、コンプレッサ370の吐出口は閉じられ、コンプレッサ370が作動状態にある場合、コンプレッサ370の吐出口は開かれる。
【0049】
吸引ポンプ380は、吸排気管360を通して二重構造プラスチック管300に貯留する空気を吸い出す。吸引ポンプ380が非作動状態にある場合、吸引ポンプ380の吸気口は閉じられ、吸引ポンプ380が作動状態にある場合、吸引ポンプ380の吸気口は開かれる。
【0050】
コンプレッサ370と吸引ポンプ380のうち、いずれか一方が作動状態にある時、他方は非作動状態になる。したがって、コンプレッサ370及び吸引ポンプ380間では空気は流出入しない。
【0051】
なお、吸引ポンプ380を省くことも可能である。バルブ375を介して吸排気管360に繋がる二又管365を開放した場合、二重構造プラスチック管300の管内の空気が流出し得る。また、二重構造プラスチック管300を海中に沈降させると、水圧によって二重構造プラスチック管300の管内の空気が二又管365から吐出され得る。この場合、吸引ポンプ380で強制的に二重構造プラスチック管300の空気を吸引しなくても、管内の空気量は徐々に減っていく。ただし、二重構造プラスチック管300の容積の大きさによっては、空気の吐出量が多くなり、空気の量を所定量に減らすまでに多くの時間を要する。したがって、調整部390は、吸引ポンプ380で空気を吸引すると、二重構造プラスチック管内の空気量を短時間で減らすことができる。
【0052】
バルブ375は、吸引ポンプ380の吸気口及びコンプレッサ370の吐出口に繋がる二又管365と、吸排気管360と、の開閉を行う。バルブ375は、電磁弁の駆動により開閉可能な構造であってもよいし、手動で開閉可能な構造であってもよい。
【0053】
また、二重構造プラスチック管300には、電源用電線20が取り付けられる。電源用電線20は、樹脂モールド又は防水用コネクタを介して、二重構造プラスチック管300の壁面に接続(例えば固着)される。電源用電線20は、二重構造プラスチック管300の管内に収容された送電コイルCLAに接続され、送電コイルCLAに電力を伝送する。
【0054】
図4Aは二重構造プラスチック管300の構造例を示す縦断面図である。
図4Bは二重構造プラスチック管300の構造例を示す横断面図である。なお、縦断面は、管軸に対して垂直方向の断面である。横断面は、管軸に対し平行方向の断面である。以降の縦断面、横断面も同様である。
【0055】
二重構造プラスチック管300は、コイル電線302が収容された防水用プラスチック管310と、防水用プラスチック管310を囲むプラスチック管315とが同軸で配置された二重構造を有する。
【0056】
防水用プラスチック管310は、例えば、ポリエチレン樹脂や塩化ビニル樹脂により形成されてよい。ポリエチレン樹脂及び塩化ビニル樹脂は、防水性、耐久性、耐候性、入手容易性に優れている。特にポリエチレン樹脂はこれらの特性に優れているので、使用されることが好ましい。ポリエチレン樹脂や塩化ビニル樹脂が防水用プラスチック管310に使用されることで、長期信頼性が向上する。なお、防水用プラスチック管330、340についても、防水用プラスチック管310と同様の素材で形成されてよい。
【0057】
プラスチック管315は、防水性を有しても有しなくてもよい。プラスチック管315は、例えば、ポリエチレン樹脂や塩化ビニル樹脂により形成されてよい。
【0058】
二重構造プラスチック管300のリング(円環)の直径は、例えば3.5mである(
図1のL1参照)。二重構造プラスチック管300の管径について、内側(防水用プラスチック管310)の外径は、例えば140mmであり(
図4AのL2参照)、外側(プラスチック管315)の外径は、例えば200mmである(
図4AのL3参照)。
【0059】
防水用プラスチック管310の外周とプラスチック管315の内周との間には、周方向に例えば4か所で、防水用プラスチック管310の外周面とプラスチック管315の内周面とを支持するスペーサ308が設けられてよい。スペーサ308により、防水用プラスチック管310の外周とプラスチック管315の内周との間が一定間隔に支持される。スペーサ308は、例えば円筒状に成形され、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間隙に挿通される。スペーサ308は、二重構造プラスチック管300に外力(例えば水圧)が加わっても、防水用プラスチック管310とプラスチック管315が変形しないように、これらを補強できる。スペーサ308は、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間隙において海水owや空気arの流れを妨げないように配置される。
【0060】
プラスチック管315の側面の下方には、長手方向に沿って複数の孔315zが分散して形成される。複数の孔315zは、略等間隔に形成されてよい。複数の孔315zが分散配置されることで、集中的に開口部分が大きくなることが抑制され、プラスチック管315の強度が低下することが抑制される。なお、例えば、二重構造プラスチック管300のリングの直径が3.5mの場合、複数の孔315zの直径は10mm以上(例えば20mm)でよい。
【0061】
二重構造プラスチック管300が海中又は海底に沈められる場合、防水用プラスチック管310の外周とプラスチック管315の内周との空間に貯留する空気arは、吸引ポンプ380によって外部に吸い出されてよい。この場合、海水owは、孔315zを通ってプラスチック管315の管内に流入し、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間隙に貯留する。
【0062】
一方、コイル構造体5を海中又は海面に浮かせる場合、防水用プラスチック管310の外周とプラスチック管315の内周との空間に、コンプレッサ370によって空気arが送り込まれる。管内の気圧が高まることで、管内に貯留する海水owが孔315zを通って管外に吐き出される。二重構造プラスチック管300の管内では、海水owが流出した分、空気量が増加する。空気arの比重は、海水owの比重と比べて小さい。海水owより軽い空気arが管内に占める体積が増えることで、二重構造プラスチック管300の浮力が増加し、コイル構造体5が浮かび易くなる。
【0063】
図4A及び
図4Bでは、二重構造プラスチック管300の管内に空気arが送り込まれた状態が示される。
図4及び
図4Bでは、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間隙において、上方の約3/4に空気arが滞留し、下方の約1/4に海水owが貯留する。この状態では、管内に空気arが多く存在することで、二重構造プラスチック管300に加わる浮力が大きい。コイル構造体5は、コイル構造体5全体にかかる下方に向かう重力と、上方に向かう浮力とが釣り合うと、停止する。したがって、例えば、コイル構造体5の浮上中、所望の水深でバルブ375が閉じられることで、コイル構造体5はその水深を維持する。なお、コイル構造体5の二重構造プラスチック管300を海面に浮かせる場合、コンプレッサ370に繋がるバルブ375が途中で閉じられることなく、二重構造プラスチック管300の管内の空気量が満杯にされてもよい。
【0064】
図5Aは二重構造プラスチック管300の構造例を示す縦断面図である。
図5Bは二重構造プラスチック管300の構造例を示す横断面図である。
【0065】
コイル構造体5を海中に沈降させる場合、上記の制御装置が、吸引ポンプ380を作動させる。防水用プラスチック管310の外周とプラスチック管315の内周との空間に存在する空気arが吸引ポンプ380によって吐き出されると、管内の気圧が下がる。管内の気圧が低くなったことで、孔315zを通って管内に海水owが流入する。これにより、二重構造プラスチック管300の浮力が減少し、コイル構造体5が沈降する。
【0066】
図5A及び
図5Bでは、二重構造プラスチック管300の管内から空気が吐き出された状態が示される。
図5A及び
図5Bでは、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間隙には、上方に僅かの空気arが残り、下方に多くの海水owが貯留する。この状態では、二重構造プラスチック管300の管内に空気arがほとんど存在しないので、二重構造プラスチック管300に働く浮力は小さい。コイル構造体5は、コイル構造体5全体にかかる下方に向かう重力と、上方に向かう浮力とが釣り合うと、停止する。したがって、例えば、コイル構造体5の沈降中、所望の水深でバルブ375を閉じることで、コイル構造体5はその水深を維持する。なお、コイル構造体5を海底まで沈める場合、吸引ポンプ380に繋がるバルブ375を途中で閉じることなく、二重構造プラスチック管300の管内の空気量をほぼ零にしてもよい。
【0067】
以上のように、第1の実施形態における電力伝送システム10では、送電装置100は、水中(例えば海中)において、受電コイルCLBを有する受電装置200に電力を伝送する。送電装置100は、磁界を介して受電コイルCLBに電力を伝送する送電コイルCLAを含む1つ以上のコイルCLと、交流電力を送電コイルCLAへ送電するドライバ151と、送電コイルCLAに接続されると共に、送電コイルCLAと共に共振する共振回路152を形成するコンデンサCAと、を有する。送電装置100は、防水性を有し、コイルCLの周囲を密閉する防水用プラスチック管310と、防水用プラスチック管310を包囲し、複数の孔315zを有するプラスチック管315と、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間の空間の空気arの量を調整する調整部390と、を備える。
【0068】
なお、コイルCLは、伝送コイルの一例である。ドライバ151は、送電部の一例である。防水用プラスチック管310は、第1の管状部材の一例である。プラスチック管315は、第2の管状部材の一例である。防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間の空間は、間隙の一例である。
【0069】
プラスチック管315が複数の孔315zを有することで、コイルCLが水中に配置された場合に、複数の孔315zから水が流入可能である。また、調整部390により上記間隙における空気量が調整されることで、間隙から空気arが流出されると水(例えば海水ow)が流入し、間隙に空気arが流入すると間隙に入り込んだ水が流出する。空気arよりも水の比重が大きいので、空気量が多くなるとコイルCLが浮き易くなる。逆に、空気量が少なくなるとコイルCLが沈みやすくなる。よって、送電装置100は、コイルCLを自由に浮かせたり沈めたりすることができる。つまり、複数のコイルCLを有するコイル構造体5は、浮沈機能を有する。また、送電装置100は、防水用プラスチック管310が防水性を有することで、間隙に水が流入しても、コイルCLが水に接触することを防止できる。よって、送電装置100は、コイルCLがショートすることを防止でき、水中においてコイルCLを用いて電力伝送することができる。このように、送電装置100は、水中において電力伝送するためのコイルCLの水深方向における配置位置を容易に変更できる。また、防水用プラスチック管310とプラスチック管315を含む二重構造プラスチック管300とされることで、耐候性が高くなる。
【0070】
また、防水用プラスチック管310は、水深方向に並んで配列される複数のコイルCLのうち、水面に最も近い位置に配列されるコイルCL(例えば送電コイルCLA)の周囲を密閉してよい。
【0071】
これにより、送電装置100は、水面に最も近い位置のコイルCLの水深方向の位置を調整することで、コイル構造体5全体での位置を調整し易くなる。また、各コイルの周囲にそれぞれ防水用プラスチック管310が配置されるのではなく、一か所に防水用プラスチック管310が配置されることで、シンプルな構成でコイル構造体5に浮沈機能を持たせることができる。また、水上からコイルCLを内包する二重構造プラスチック管300の状態が確認し易くなる。
【0072】
なお、例えば送電コイルCLAよりも水面に近い位置に反射コイルが配置される場合には、反射コイルの周囲が防水用プラスチック管310により密閉されてよい。つまり、反射コイルの周囲に二重構造プラスチック管300が形成されてよい。
【0073】
また、送電装置100は、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間隙には、防水用プラスチック管310の外周面とプラスチック管315の内周面とを支持するスペーサ308を備えてよい。
【0074】
これにより、プラスチック管315と防水用プラスチック管310との間に一定のスペースが確保され、所望量の空気や水が流入可能なスペースが確保可能である。また、プラスチック管315と防水用プラスチック管310が堅固な構造となり、外力が加えられても変形しにくくなる。したがって、送電装置100は、管の内容積を略一定に確保でき、二重構造プラスチック管300に働く浮力を調整し易くできる。
【0075】
また、調整部390は、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間隙に空気を送出するコンプレッサ370と、間隙から空気を吸引する吸引ポンプ380と、を含んでよい。
【0076】
これにより、送電装置100は、外部装置からの力により間隙の空気を流出入できる。また、送電装置100は、吸引ポンプ380を使うことで、吸引ポンプ380を使わずに単にバルブ375を開放する場合と比較すると、間隙から高速に空気を流出させることができる。
【0077】
また、複数の孔315zは、プラスチック管315の長手方向(プラスチック管315が延びる方向)に沿って分散して配置されてよい。
【0078】
これにより、複数の孔315zの位置が偏らないことで、送電装置100は、一部分から水が流入し易くなることを抑制でき、プラスチック管315の強度を保つことができる。よって、二重構造プラスチック管300の長期信頼性が向上する。
【0079】
また、コイルCLは、水面と略直交する方向に電力を伝送してよい。
【0080】
これにより、送電装置100は、水深方向に電力伝送距離を延長でき、水深の深い場所(例えば深海)に位置する受電装置200に対して給電でき、受電装置200の作業効率が向上する。
【0081】
また、送電コイルCLAは、電力を伝送するとともに、データを通信してよい。
【0082】
これにより、受電装置200は、データ収集等の活動効率の低下を抑制しながら、送電装置100からの電力を充電でき、送電装置100との間でデータ通信できる。
【0083】
さらに、送電装置100及び電力伝送システム10によれば、受電装置200(例えば水中航走体60)は、水中の流れがある環境においても、送電コイルCLAに接触する必要なく、磁気共鳴方式による電力伝送の効率低下を抑制して、安定的に電力の供給を受けることができる。従って、水中航走体60は、データ収集等の活動を行いながら連続給電を受けることが可能になり、給電を受ける際の水中航走体60の稼働率が向上する。よって、送電装置100は、水中でのデータ収集活動の効率を向上できる。
【0084】
また、送電装置100は、送電装置100の送電コイルCLA及び受電装置200の受電コイルCLBを用いることで、磁気共鳴方式によりワイヤレスで電力伝送できる。また、送電装置100は、水中航走体60が所定の給電場所に移動することなく電力を受けられるので、給電時においても水中航走体60は自由に移動でき、ポジションフリーの電力伝送が可能となる。よって、送電装置100は、水中航走体60による水中や水底95での活動が阻害されることを抑制できる。よって、水中航走体60は、充電中でも作業範囲を拡大でき、作業中に連続充電できる。また、水中航走体60は、任意のタイミングで充電できるので、作業時間を短縮できる。
【0085】
また、送電装置100は、中継コイルCLCを用いることで、連続した電磁誘導により電力伝送距離を延長できる。例えば、
図1に示したように、中継コイルCLCを多段に水面90付近から水底方向へ配置することで、送電装置100は、水深の深い位置まで電力伝送可能となる。この場合、送電装置100は、海底資源の採掘や調査を行う水中航走体60に対して、ワイヤレスで電力伝送でき、給電時の水中航走体60の稼働率の低下を抑制できる。
【0086】
また、無給電により動作するための大型のバッテリを水中航走体60が備えなくても、水中航走体60が活動できる。この場合には、水中航走体60を小型化、軽量化できる。
【0087】
(第2の実施形態)
(送電コイルが収容されない二重構造プラスチック管を有する生簀)
例えば日本国特開2017−169452号公報に開示されているように、海洋に配置され、魚類を養殖する生簀が知られている。この生簀は、軟質シートにより形成された本体部を有する。本体部の形状は、ポンプにより供給される養殖水で維持される。また、本体部の重量の大半を養殖水が占めるので、生簀は少しの浮力で浮く。したがって、海洋に浮上させた状態で生簀を生簀枠に繋ぎ止めることができる。また、フロートを設けて生簀を海洋に浮上させておくこともできる。
【0088】
生簀では様々な魚等が飼育されるが、魚等の種類に応じて適する環境が異なる。例えば、水深方向に比較的浅い位置で飼育に適した魚等がいる一方、水深方向に比較的深い位置で飼育に適した魚等もいる。そのため、生簀の水深方向における位置は、可変であることが好ましい。
【0089】
本第2の実施形態における開示は、水中において魚類を飼育するための生簀に関し、水深方向の位置を変更可能な生簀を提供する。
【0090】
本第2の実施形態における開示の一態様は、水中において魚類を飼育するための生簀であって、水中において魚類を包囲する本体部と、防水性を有し、内部を密閉する第1の管状部材と、前記本体部に連結され、前記第1の管状部材を包囲し、複数の孔を有する第2の管状部材と、前記第1の管状部材と前記第2の管状部材との間隙の空気の量を調整する調整部と、を備える生簀である。
【0091】
本第2の実施形態における開示によれば、水深方向の位置を変更可能な生簀を提供できる。
【0092】
図6は、第2の実施形態における生簀600の外観例を示す斜視図である。第1の実施形態で示した部材と同一の部材については、同一の符号を用いることで、その説明を省略又は簡略化する。生簀600は、環状(例えばリング状)に形成された生簀枠610と、生簀枠610に連結用ロープ620で吊るされた生簀籠630と、を有する。
【0093】
生簀枠610は、二重構造プラスチック管300を有する。二重構造プラスチック管300の構造は、第1の実施形態に示した二重構造プラスチック管300と同一であるので、詳細な説明を省略又は簡略化する。二重構造プラスチック管300は、例えば、防水性を有し、その内部を密閉する防水用プラスチック管310と、生簀籠630に連結され、防水用プラスチック管310を包囲し、複数の孔315zを有するプラスチック管315と、を有してよい。複数の孔315zの配置等は、第1の実施形態と同様でよい。二重構造プラスチック管300は、スペーサ308を有してよい。ここでは、防水用プラスチック管310の管内には、送電コイルCLAが収容されない。
【0094】
なお、ここでは、二重構造プラスチック管300の内側のプラスチック管に防水用プラスチック管310が用いられることを例示するが、管内に電線が収納されないので、防水性能を有しない通常のプラスチック管が用いられてもよい。通常のプラスチック管を用いた場合、空気及び海水が流出入することで、浮沈の速度を高めることができる。
【0095】
また、生簀600は、生簀枠610の管内の空気量を調整可能な調整部390を備える。調整部390は、第1の実施形態と同様、二重構造プラスチック管300に接続される。調整部390は、吸排気管360、バルブ375、二又管365、コンプレッサ370及び吸引ポンプ380を有する。コンプレッサ370及び吸引ポンプ380は、水上に設置され、例えば陸地や船舶50に設置される。調整部390の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0096】
生簀籠630は、例えば円筒状に形成された枠体が網630Zで囲まれた構造を有する。枠体は、例えば、長尺なプラスチック、金属、耐腐食性を有する木材等の棒材を曲げることで成形される。なお、生簀籠630は、枠体が省かれて成形されてもよい。網630Zは、生簀籠630の上面、底面及び側面に張られる。なお、例えば生簀籠630の上端が海上に位置する場合、生簀籠630の上面には、網630Zが張られなくてもよい。生簀籠630の中には、魚類fhを含む水産物が養殖される。生簀籠630の大きさは、養殖の対象となる水産物によって任意に決められる。水産物には、例えば、マダイ、ブリ、カンパチ、スズキ、トラフグ、ヒラメ、コイ等の魚類の他、クルマエビ、イセエビ、アワビ、サザエ、マダコ、ウナギ等が含まれてよく、養殖の対象となり得る。
【0097】
生簀600を海中に沈降させる場合、防水用プラスチック管310の外周とプラスチック管315の内周との空間に存在する空気arを吸引ポンプ380によって吸い出す。これにより、二重構造プラスチック管300の管内の空気量が減少し、生簀600が沈降する。生簀600にかかる下方(例えば海底方向)に向かう重力と、上方(例えば海面方向)に向かう浮力とが釣り合うと、生簀600は水深方向の動きを停止する。したがって、例えば、生簀600の沈降中、所望の水深でバルブ375を閉じることで、コイル構造体5はその水深を維持する。このとき、所望の水深を維持するために、重石で生簀600を係留し、生簀600の水深方向の位置固定を補助してもよい。これにより、生簀600は、魚類の養殖に適した水深に留まって養殖できる。
【0098】
また、生簀600を海底まで沈める場合、吸引ポンプ380に繋がるバルブ375を途中で閉じることなく、二重構造プラスチック管300の管内の空気量をほぼ零にしてもよい。この場合、生簀籠630の枠体が、海底で変形しないような強度を有するものにする。これにより、海底に置かれた生簀籠630の中で、イセエビ、アワビ、サザエ、マダコ等の水産物が養殖可能である。
【0099】
一方、生簀600を海中に浮かせる場合、防水用プラスチック管310の外周とプラスチック管315の内周との空間に、コンプレッサ370によって空気arを送り込む。管内の気圧が高まることで、管内に貯留する海水owが孔315zを通って管外に吐き出される。二重構造プラスチック管300の管内では、海水owが流出した分、空気量が増加する。空気arの比重は、海水owの比重と比べて小さい。海水owより軽い空気arが管内に占める体積が増えることで、二重構造プラスチック管300の浮力が増加し、生簀600が浮かび易くなる。そして、生簀600は、生簀600にかかる下方に向かう重力と、上方に向かう浮力とが釣り合うと、停止する。したがって、例えば、生簀600の浮上中、所望の水深でバルブ375が閉じられることで、生簀600はその水深を維持する。この場合、所望の水深を維持するために、重石で生簀600を係留してもよい。これにより、生簀600は、魚類の養殖に適した水深に留まって養殖できる。例えば、水深の浅い海中では、アジやマダイ等の魚を生簀600で養殖し、水深の深い海中では、マグロ、カンパチ、カツオ等の魚を生簀600で養殖することが可能である。
【0100】
なお、生簀600の生簀枠610を海面に浮かせる場合、コンプレッサ370に繋がるバルブ375が途中で閉じられることなく、二重構造プラスチック管300の管内の空気量が満杯にされてもよい。
【0101】
以上のように、第2の実施形態における生簀600は、水中(例えば海中)において魚類等の水産物を養殖(飼育)するための生簀である。生簀600は、水中において魚類等を包囲する生簀籠630と、防水性を有し、内部を密閉する防水用プラスチック管310と、生簀籠630に連結され、防水用プラスチック管310を包囲し、複数の孔315zを有するプラスチック管315と、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間隙の空気の量を調整する調整部390と、を備える。なお、生簀籠630は、生簀600の本体部の一例である。防水用プラスチック管310は、第1の管状部材の一例である。プラスチック管315は、第2の管状部材の一例である。
【0102】
プラスチック管315が複数の孔315zを有することで、生簀600の二重構造プラスチック管300が水中に配置された場合に、複数の孔315zから水が流入可能である。また、調整部390により上記間隙における空気量が調整されることで、間隙から空気arが流出されると水(例えば海水ow)が流入し、間隙に空気arが流入すると間隙に入り込んだ水が流出する。空気arよりも水の比重が大きいので、防水用プラスチック管310は、空気量が多くなると浮き易くなり、空気量が少なくなると沈み易くなる。よって、プラスチック管315に連結された生簀籠630を含む生簀600を自由に浮かせたり沈めたりすることができる。つまり、生簀600は浮沈機能を有する。生簀600は、水中において水深方向における位置を容易に変更できる。また、防水用プラスチック管310とプラスチック管315を含む二重構造プラスチック管300とされることで、耐候性が高くなる。また、生簀600は、プラスチックを二重構造とすることで、防水用プラスチック管310の内部に一定量の空気が常に貯留されているので、二重構造プラスチック管300において浮力バランスを維持し易くできる。
【0103】
また、生簀600は、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間隙に、防水用プラスチック管310の外周面とプラスチック管315の内周面とを支持するスペーサ308を備えてよい。
【0104】
これにより、防水用プラスチック管310とプラスチック管315の間のスペースが確保され、所望量の空気arや水が流入可能である。また、プラスチック管315と防水用プラスチック管310とが堅固な構造となり、外力が加えられても変形しにくくなる。したがって、生簀600は、二重構造プラスチック管300の管内容積を略一定に確保でき、二重構造プラスチック管300に働く浮力を調整し易くできる。
【0105】
調整部390は、防水用プラスチック管310とプラスチック管315との間隙に空気を送出するコンプレッサ370と、この間隙から空気を吸引する吸引ポンプ380と、を含んでよい。
【0106】
これにより、生簀600は、外部装置からの力により間隙の空気arを流出入できる。また、生簀600は、吸引ポンプ380を使うことで、吸引ポンプ380を使わずに単にバルブ375を開放する場合と比較すると、間隙から高速に空気arを流出させることができる。
【0107】
また、複数の孔315zは、プラスチック管315の長手方向(プラスチック管315が延びる方向)に沿って分散して配置されてよい。
【0108】
これにより、複数の孔315zの位置が偏らないことで、生簀600は、一部分から水が流入し易くなることを抑制でき、プラスチック管315の強度を保つことができる。よって、二重構造プラスチック管300の長期信頼性が向上する。
【0109】
(送電コイルが収容された二重構造プラスチック管を有する生簀)
図7は、第2の実施形態における他の生簀600Aの外観例を示す斜視図である。生簀600Aは、上記生簀600と同様、環状(リング状)に形成された生簀枠610Aと、生簀枠610Aに連結用ロープ620で吊るされた生簀籠630と、を有する。
【0110】
生簀枠610Aは、二重構造プラスチック管300を有する。二重構造プラスチック管300の構造は、第1の実施形態に示した二重構造プラスチック管300と同一であるので、詳細な説明を省略又は簡略化する。ここでは、二重構造プラスチック管300の防水用プラスチック管310の内部には、送電コイルCLAが収容される。
【0111】
二重構造プラスチック管300の側面には、送電コイルCLAに電力を伝送するための電源用電線20が、樹脂モールド又は防水コネクタを介して接続される。したがって、生簀600Aは、送電コイルCLAを用いて電力を伝送することができる。つまり、生簀600Aは、第1の実施形態の送電装置100と同様に、電力を送電する送電機能を有する。生簀100Aは、第1の実施形態と同様の送電装置100の各構成部の少なくとも一部を有してもよい。また、
図7では、送電コイルCLAのみが図示されているが、中継コイルCLCが設置され、連結体等により各コイルCLが連結され、コイル構造体を形成してもよい。
【0112】
一方、生簀籠630は、前述した生簀600の生簀籠630と同様であるので、説明を省略又は簡略化する。また、調整部390により二重構造プラスチック管300の管内の空気量を調節することで生簀枠610Aを浮沈させる、つまり生簀600Aを浮沈させる動作は、上記生簀600の場合と同様である。
【0113】
生簀枠610Aには、送電コイルCLAから磁気共鳴方式で受電可能な受電コイルCLBを搭載し、受電コイルCLBで受電した電力で動作可能な、各種の受電装置200が取り付けられてよい。受電装置200は、生簀枠610Aに取り付けられずに、生簀枠610Aで包囲された内部に配置されてもよい。
【0114】
図7では、受電装置200の一例として、カメラ701、ライト703、及び給餌装置705が生簀枠610Aに取り付けられている。
【0115】
カメラ701は、生簀600Aで養殖される魚類や生簀籠630の網630Z等を撮像する。撮像された画像は、受電コイルCLB及び送電コイルCLAを介して、海上の船舶50や陸上の装置へ伝送され、表示されてよい。これにより、ユーザは、カメラ701で撮像される映像を見て、魚類等の成長を観察できる。また、ユーザは、網630Zの状態を把握し、メンテナンスの必要性を判断できる。
【0116】
ライト703は、生簀籠630の内部を照明する。夜間や水深の深い所では、生簀籠630の内部まで外光が届かず、暗くなり得る。生簀600Aは、ライト703により照明することで、生簀籠630の内部を観察し易くできる。また、ライト703からの光が魚類等にストレスを与えないように、ライト703は、魚類等が感知しない赤外光を照明してもよい。また、魚類の習性を利用し、給餌時にライト703で照明することで、魚類を集め易くしてもよい。
【0117】
給餌装置705は、魚類等の水産物に餌を供給する。給餌装置705は、供給された電力により、給餌の時間帯を扉が開き、生簀籠630内の海中に餌が撒かれるように動作する。餌は、固形の餌でもよいし、エビやイワシ等の生餌でもよい。固形の餌の場合、給餌装置705は、海上あるいは海中に設置され、定時刻に一定量の餌を海中に撒いてよい。生餌の場合、給餌装置705は海中に設置される。給餌装置705は、生餌を畜養する空間を有し、給餌の時間帯にこの空間を生簀籠630に開放することで給餌してよい。例えば、カツオを養殖する場合、餌となるイワシを生簀籠630の中の別空間で畜養してもよい。給餌装置705は、生簀籠を2つの空間に仕切るゲートを電動で開閉してよい。ゲートが開くと、イワシ側からカツオ側へ向かう一方向の通路が形成されてよい。
【0118】
受電装置200(例えばカメラ701、ライト703、給餌装置705)は、海上の船舶50等に設置された送電装置100から供給され、生簀枠610Aに収容された送電コイルCLAによって伝送される電力で動作する。これにより、受電装置200が電源を持たなくて済むので、受電装置200の簡単化かつ軽量化が図られる。
【0119】
なお、受電装置200は、生簀枠610Aに取り付けられるだけでなく、生簀籠630の上面、側面、底面に組まれた枠体に取り付けられてもよい。また、受電装置200は、上記3つの例に限らず、種々の機器が挙げられる。
【0120】
また、中継コイルCLCを収容したプラスチック管を多段に設置し、水深方向において最深位置のプラスチック管に生簀籠630を、連結用ロープ335を介して吊るすことも可能である。この場合、コイルCLを収容した生簀枠610Aと離れた水深の深い位置に、生簀籠630を設置できる。また、生簀600Aは、生簀籠630が生簀枠610Aから遠ざかっても、生簀籠630で作動する受電装置200に対して電力を伝送できる。
【0121】
以上のように、第2の実施形態における他の生簀600Aは、磁界を介して電力を伝送するための送電コイルCLAと、交流電力を送電コイルCLAへ送電するドライバ151と送電コイルCLAに接続されると共に、送電コイルCLAと共に共振する共振回路152を形成するコンデンサCAと、を備える。防水用プラスチック管510は、送電コイルCLAの周囲を密閉する。なお、送電コイルCLAは、伝送コイルの一例である。ドライバ151は、送電部の一例である。
【0122】
これにより、生簀600Aは、送電コイルCLA及びコンデンサCAが共振回路152を形成して、磁界を介して電力を伝送できる。生簀600Aは、生簀600Aにおける魚類の飼育に用いられる電力を要する機器(受電装置200の一例)に対して、電力供給できる。この電力を要する機器は、例えば、生簀600Aにおける魚類の様子をモニタリングするためのカメラ701、生簀600Aにおける魚類に餌を自動供給する給餌装置705、その他の機器を含んでよい。また、生簀600Aは、防水用プラスチック管510が防水性を有することで、間隙に水が流入しても、防水用プラスチック管510に収容された送電コイルCLAが水に接触することを防止できる。よって、生簀600Aは、送電コイルCLAがショートすることを防止でき、水中において送電コイルCLAを用いて電力伝送することができる。なお、防水用プラスチック管510は、送電コイルCLA以外のコイルCLを内包してもよい。
【0123】
また、送電コイルCLAは、水面と略直交する方向に電力を伝送してよい。
【0124】
これにより、送電コイルCLAを含む送電装置100は、水深方向に電力伝送距離を延長でき、水深の深い場所(例えば深海)に位置する受電装置200に対して給電でき、受電装置200の作業効率を向上できる。
【0125】
また、送電コイルCLAは、電力を伝送するとともに、データを通信してよい。
【0126】
これにより、受電装置200は、電力供給を受けながら、例えば各種データ(例えばカメラ701による撮像画像)を通信できる。
【0127】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、送電コイルを収容する二重構造プラスチック管の空気量を調節することで、コイル構造体に働く浮力を増減させることを例示した。第3の実施形態では、送電コイルCLAを収容する防水用プラスチック管にフロートを取り付け、フロート内部の空気量を調節することで、コイル構造体に働く浮力を増減させることを想定する。
【0128】
第3の実施形態の電力伝送システム10は、第1の実施形態とほぼ同一の構成を有する。第1の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略又は簡略化する。
【0129】
図8は第3の実施形態におけるコイル構造体5Aの第1外観例を示す斜視図である。第1外観例では、フロート410内の空気量が比較的多く、コイル構造体5Aが海中又は海面において浮き易い状態となっている。
【0130】
コイル構造体5Aは、複数(例えば8本)の連結用ロープ335で連なるように繋がれた、複数のプラスチック管を有する。複数のプラスチック管のそれぞれは、複数のコイルCLのそれぞれを内包し、管内を密閉する。複数のコイルCLは、送電コイルCLAを含み、中継コイルCLCを含んでよい。プラスチック管は、複数の防水用プラスチック管510,330,340を含んでよい。
【0131】
防水用プラスチック管510は、環状に形成され、管内に送電コイルCLA(給電コイル)を収容してよい。防水用プラスチック管330,340は、環状に形成され、それぞれの管内に中継コイルCLCを収容してよい。なお、中継コイルCLCを収容する防水用プラスチック管の数は、2つに限らず、任意の数でよい。
【0132】
コイル構造体5が水中で鉛直方向の位置を安定した状態を維持できるように、複数(例えば8本)の連結用ロープ335のうち、少なくとも一部(例えば4本)の連結用ロープ335の下端には、それぞれ錘40が取り付けられてよい。連結用ロープ335の上端は、それぞれ防水用プラスチック管510に一定の間隔で固定されてよい。
【0133】
防水用プラスチック管510の外周には、複数(例えば4つ)のフロート410(410a,410b,410c,410d)が配置される。複数のフロート410a,410b,410c,410dを特に区別しない場合、フロート410とも称する。複数のフロート410は、防水用プラスチック管510の外周に沿って、等間隔で配置されてよい。なお、フロートの数は、4つでなくとも、任意の数(例えば2つ、3つ、5つ以上)でもよい。
【0134】
フロート410は、リングの一部の形状に類似する略円柱状の形状を有してよい。フロート410の内部には、空気を出し入れ可能な密閉された空間が形成される。フロート410は、防水性を有し、フロート内部の空気量に応じて変形する。フロート410は、例えば弾力性を有するゴム部材を素材としてよい。なお、フロート410の素材は、ゴム部材に限らず、密閉された空間を形成し、この空間を膨張・収縮自在な材質であればよく、例えば防水性のシート(金属シートや、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のプラスチックシート)であってもよい。
【0135】
複数のフロート410a〜410dの上面には、それぞれ複数のフロート410a〜410dの内部と連通する複数(例えば4本)の吸排気管460a〜460dが取り付けられる。複数の吸排気管460a〜460dは、調整部390のバルブ375に繋がる1本の吸排気管465と連結する。吸排気管465がバルブ375を介して接続される二又管365には、コンプレッサ370及び吸引ポンプ380が取り付けられてよい。
【0136】
また、各フロート410a〜410dと接する防水用プラスチック管510の外周面には、突起511が各フロート410a〜410dに向かって突き出すように形成される。例えば、4つのフロートの場合、防水用プラスチック管510の外周面には、8本の突起511が配置されてよい。フロート410は、2本の突起511によって係止され、上方(水面に垂直で水面に向かう方向)への移動を制限される。また、フロート410は、防水用プラスチック管510と一体になるように、巻回した結束ロープ520で拘束されてよい。したがって、フロート410は、フロート410の内部の空気が流出して平面に近い形状になっても、突起511及び結束ロープ520によって、防水用プラスチック管510から離れることなく、防水用プラスチック管510の外周面に隣接した状態を維持する。
【0137】
防水用プラスチック管510の外周面に、各フロート410a〜410dが等間隔に配置される場合、コイル構造体5Aの水深方向に沿ってかかる力(例えば重力及び浮力)のバランスが良くなる。したがって、海中で水平方向(水面に沿う方向)の姿勢が安定する。
【0138】
また、各フロート410a〜410dに空気が流出入する場合、コンプレッサ370又は吸引ポンプ380が、同量ずつ同時に、各フロート410a〜410dに空気を送出し、又は各フロート410a〜410dから空気を吸引することで、各フロート410a〜410dにかかる浮力を均一にできる。この場合、仮に防水用プラスチック管510に連結された1つのフロートに対して空気を出し入れする場合と比較すると、防水用プラスチック管510が各フロート410aの近傍で水平方向に対して傾き難く、防水用プラスチック管510の水平方向の姿勢が安定し、したがってコイル構造体5Aの水平方向の姿勢が安定する。
【0139】
図8では、フロート410に流入された空気量が比較的多い場合のフロート410の形状が示される。
図8では、フロート410は、空気で充填されており、膨らんだ状態にある。例えば、フロート410の内部にある空気の体積(空気量)によって浮力の大きさが定まる。フロート410a〜410dに働く浮力を含む上方向の力(海面に向かう力)と、コイル構造体5Aにかかる下方向の重力(海底に向かう力)とが釣り合う位置で、コイル構造体5が停止する。また、コイル構造体5Aの防水用プラスチック管510を海面に浮かせる場合、4つのフロート410a〜410dの内部は、空気で満杯の状態にされてよい。
【0140】
図9はコイル構造体5Aの第2外観例を示す斜視図である。第2外観例では、フロート410内の空気量が比較的少なく、コイル構造体5Aが海底又は海面において沈み易い状態となっている。
【0141】
コイル構造体5Aを海中に沈降させる場合、フロート410は、内部にほとんど空気が無く、萎んだ状態にある。フロート410は、
図8と比較して
図9では、略平らな板状に変形する。この状態では、フロート410に浮力がほとんど働かない。フロート410の内部の空気量が調整されることで、コイル構造体5Aの沈降具合を変更可能である。
【0142】
例えば、フロート410の内部にある空気の体積(空気量)に応じて、浮力の大きさが定まる。フロート410a〜410dを含むコイル構造体5Aに加わる上方向の浮力(海面に向かう力)と、コイル構造体5Aにかかる下方向の重力(海底に向かう力)とが釣り合う位置で、コイル構造体5Aは停止する。なお、コイル構造体5Aを海底に沈めた状態にする場合、4つのフロート410a〜410dの内部を空気が全く無い状態にされてよい。
【0143】
図10Aは防水用プラスチック管510の構造例を示す縦断面図である。
図10Bは防水用プラスチック管510の構造例を示す横断面図である。
【0144】
防水用プラスチック管510は、管内に複数本のコイル電線302を収容する。防水用プラスチック管510の管内は、コイル電線302を内包するように充填物530で満たされる。充填物530は、海水owの比重よりも比重が小さく絶縁性を有する物質であればよい。例えば、充填物530は、空気でもよいし、油でもよいし、その他の液体や気体でもよい。油の比重は、空気の比重より大きく、海水の比重より小さい。これにより、防水用プラスチック管510にも浮力が加わるので、コイル構造体5Aが浮き易くなる。また、防水用プラスチック管510内に油が充填される場合にはコイル電線302(つまりコイルCL)が腐食し難くなり、コイル電線302の長寿命化に繋がる。
【0145】
なお、防水用プラスチック管510に空気が充填されるよりも、防水用プラスチック管510に油が充填された方が、防水用プラスチック管510の浮力が適度となり易い。また、防水用プラスチック管510には、気体が充填されるよりも液体が充填された方が外力に対する強度が増大する。したがって、例えば水圧の高い水深の深い場所にコイル構造体5Aが配置される場合には、防水用プラスチック管510に液体(例えば油)が充填されることが好ましい。
【0146】
以上のように、第3の実施形態における電力伝送システム10では、送電装置100は、水中(例えば海中)において、受電コイルCLBを有する受電装置200に電力を伝送する。送電装置100は、磁界を介して受電コイルCLBに電力を伝送する送電コイルCLAを含む1つ以上のコイルCLと、交流電力を送電コイルCLAへ送電するドライバ151と、送電コイルCLAに接続されると共に、送電コイルCLAと共に共振する共振回路152を形成するコンデンサCAと、を有する。送電装置100は、防水性を有し、コイルCLの周囲を密閉する防水用プラスチック管510と、防水用プラスチック管510に取り付けられ、空気を吸入可能なフロート410と、フロート410に吸引する空気量を調整する調整部390と、を備える。なお、防水用プラスチック管510は、管状部材の一例である。フロート410は、収容体の一例である。
【0147】
空気arよりも水の比重が大きいので、フロート410内の空気量が多くなると、コイルCLが浮き易くなり、フロート410内の空気量が少なくなるとコイルCLが沈みやすくなる。よって、コイルCLを自由に浮かせたり沈めたりすることができる。つまり、複数のコイルCLを有するコイル構造体5Aは、浮沈機能を有する。また、送電装置100は、防水用プラスチック管510が防水性を有することで、コイルCLが水に接触することを防止できる。よって、コイルCLがショートすることを防止でき、水中においてコイルCLを用いて電力を伝送できる。このように、送電装置100は、水中において電力伝送するためのコイルCLの水深方向における配置位置を容易に変更できる。
【0148】
また、複数のフロート410a〜410dは、防水用プラスチック管510に沿って等間隔に配置されてよい。
【0149】
これにより、防水用プラスチック管510を浮かせる力又は沈ませる力のバランスが良好になる。よって、防水用プラスチック管510が水面に対して傾き難くなり、送電装置100は、防水用プラスチック管510に内包されたコイルCLを貫く磁束の量の減少を抑制でき、電力伝送効率の低下を抑制できる。
【0150】
また、フロート410は、3つ以上存在してよい。
【0151】
これにより、防水用プラスチック管510に沿って重量が同じフロート410を3つ以上配置できる。したがって、フロートの数が2つである場合と比較して、防水用プラスチック管510の姿勢、さらにはコイル構造体5の姿勢が一層安定する。
【0152】
また、調整部390は、複数のフロート410の内部に貯留する空気の量を同量ずつ同時に調整してよい。
【0153】
これにより、送電装置100は、例えば、各フロート410に空気arを同量ずつ流入でき、又は各フロート410から空気arを同量ずつ流出できる。よって、送電装置100は、空気量調整時に各フロート410に働く浮力にばらつきが生じ、各フロート410が連結される防水用プラスチック管510が傾くことを抑制できる。
【0154】
また、防水用プラスチック管510は、水深方向に並んで配列される複数のコイルCLのうち、水面に最も近い位置に配列される送電コイルCLAの周囲を密閉してよい。
【0155】
これにより、送電装置100は、水面に最も近い位置の送電コイルCLAの水深方向の位置を調整することで、コイル構造体5A全体での位置を調整し易くなる。また、一か所(1つの防水用プラスチック管)にフロート410を配置することで、シンプルな構成でコイル構造体5Aに浮沈機能を持たせることができる。また、水上からフロート410の状態が確認し易くなる。
【0156】
また、調整部390は、フロート410に空気を送出するコンプレッサ370と、フロート410から空気を吸引する吸引ポンプ380と、を含んでよい。
【0157】
これにより、送電装置100は、外部装置からの力によりフロート410に貯留する空気arを流出入できる。また、送電装置100は、吸引ポンプ380を使うことで、吸引ポンプ380を使わずに単にバルブ375を開放する場合と比較すると、フロート410から高速に空気を流出させることができる。
【0158】
(第4の実施形態)
(送電コイルが収容されないプラスチック管に連結したフロートを有する生簀)
第2の実施形態でも述べたように、生簀では様々な魚等が飼育されるが、魚等の種類に応じて適する環境が異なる。例えば、水深方向に比較的浅い位置で飼育に適した魚等がいる一方、水深方向に比較的深い位置で飼育に適した魚等もいる。そのため、生簀の水深方向における位置は、可変であることが好ましい。
【0159】
本第4の実施形態における開示は、水中において魚類を飼育するための生簀に関し、水深方向の位置を変更可能な生簀を提供する。
【0160】
本第4の実施形態における開示の一態様は、水中において魚類を飼育するための生簀であって、水中において魚類を包囲する本体部と、前記本体部に連結され、防水性を有し、内部を密閉する管状部材と、前記管状部材に連結され、空気を収容する収容体と、前記収容体に収容される空気の量を調整する調整部と、を備える生簀である。
【0161】
本第4の実施形態における開示によれば、水深方向の位置を変更可能な生簀を提供できる。
【0162】
図11は、第4の実施形態における生簀600Bの第1外観例を示す斜視図である。第1外観例では、フロート410内の空気量が比較的多く、生簀600Bが海中又は海面において浮き易い状態となっている。フロート410の構造や配置については、第3の実施形態と同様であるので、その説明を省略又は簡略化する。
【0163】
第3の実施形態で示した部材と同一の部材については、同一の符号を用いることで、その説明を省略又は簡略化する。生簀600Bは、環状(リング状)に形成された生簀枠610Bと、生簀枠610Bに連結用ロープ620で吊るされた生簀籠630と、を有する。
【0164】
生簀枠610Bは、防水用プラスチック管510を有する。防水用プラスチック管510の構造は、第3の実施形態に示した防水用プラスチック管510と同一であるので、詳細な説明を省略又は簡略化する。防水用プラスチック管510は、例えば、生簀籠630に連結され、防水性を有し、その内部を密閉する。ここでは、防水用プラスチック管510の管内には、送電コイルCLAが収容されない。
【0165】
なお、ここでは、防水用プラスチック管510が用いることを例示するが、管内に電線が収納されないので、防水性を有しないプラスチック管や内部が密閉されないプラスチック管が用いられてもよい。
【0166】
生簀枠610Bの外周には、複数(例えば4つ)のフロート410(410a,410b,410c,410d)が等角度間隔で配置される。複数のフロート410a〜410dの上面の1箇所には、それぞれフロート410a〜410dの内部と連通する複数(例えば4つ)の吸排気管460a〜460dが取り付けられる。複数の吸排気管460a〜460dは、第3の実施形態に示した調整部390のバルブ375に繋がる1本の吸排気管465と連結する。吸排気管465がバルブ375を介して接続される二又管365には、コンプレッサ370及び吸引ポンプ380が接続される。このように、生簀600Bは、第3の実施形態と同様、フロート410の内部の空気量を調整可能な調整部390を備える。一方、生簀籠630は、第2の実施形態と同様でよく、円筒状に形成された枠体に網が張られた構造を有してよい。また、調整部390の動作は、第3の実施形態と同様である。
【0167】
図11では、フロート410に流入された空気量が比較的多い場合のフロート410の形状が示される。
図11では、フロート410は、空気で充填されており、膨らんだ状態にある。例えば、フロート410の内部にある空気の体積(空気量)によって浮力の大きさが定まる。フロート410a〜410dに働く浮力を含む上方向の力(海面に向かう力)と、生簀600Bにかかる下方向の重力(海底に向かう力)とが釣り合う位置で、生簀600Bが停止する。このとき、所望の水深を維持するために、生簀籠630に繋がれた重石で生簀600Bを係留してもよい。これにより、魚類の養殖に適した水深に生簀600Bを留めて養殖できる。
【0168】
また、生簀600Bの各フロート410a〜410dを海面に浮かせる場合、各フロート410a〜410dの内部は、空気で満杯の状態にされてよい。
【0169】
図12は、生簀600Bの第2外観例を示す斜視図である。第2外観例では、フロート410内の空気量が比較的少なく、生簀600Bが海底又は海面において沈み易い状態となっている。
【0170】
生簀600Bを海中に沈降させる場合、フロート410は、内部に空気がほとんど無く、萎んだ状態にある。フロート410は、
図11と比較して
図12では、略平らな板状に変形する。この状態では、フロート410に浮力がほとんど働かない。フロート410の内部の空気量が調整されることで、生簀600Bの沈降具合を変更可能である。
【0171】
第3の実施形態と同様、フロート410の内部にある空気の体積によって、フロート410による浮力の大きさが定まる。フロート410a〜410dを含む生簀600Bに加わる上方向の浮力と、生簀600Bにかかる下方向の重力とが釣り合う位置で、生簀600Bは停止する。なお、生簀600Bを海底に完全に沈めた状態にする場合、4つのフロート410a〜410dの内部を空気が全く無い状態にされてよい。
【0172】
以上のように、第4の実施形態における生簀600Bは、海水中(例えば水中)において魚類を飼育するための生簀である。生簀600Bは、水中において魚類を包囲する生簀籠630と、生簀籠630に連結され、防水性を有し、内部を密閉する生簀枠610Bの防水用プラスチック管510と、防水用プラスチック管510に連結され、空気を収容するフロート410と、フロート410に収容される空気の量を調整する調整部390と、を備える。
【0173】
空気arよりも水の比重が大きいので、フロート410内の空気量が多くなるとフロート410が浮き易くなる。また、フロート410内の空気量が少なくなると、フロート410が沈み易くなる。よって、フロート410が連結される生簀枠610Bが連結される生簀籠630を自由に浮かせたり沈めたりすることができる。生簀籠630を含む生簀60Bは、浮沈機能を有する。このように、生簀600Bは、水中において水深方向における位置を容易に変更できる。
【0174】
また、複数のフロート410a〜410dは、生簀枠610Bに沿って等間隔に配置されてよい。
【0175】
これにより、生簀枠610Bを浮かせる力又は沈ませる力のバランスが良好になり、水中における生簀600Bの姿勢が安定する。
【0176】
また、フロート410は、3つ以上存在してよい。
【0177】
これにより、生簀枠610Bに沿って重量を同様に調整可能な同じフロート410を3つ以上配置できる。したがって、フロート410の数が2つである場合と比較して、生簀枠610Bに沿って浮力が分散するので、生簀枠610Bの姿勢、さらには生簀600Bの姿勢が安定する。
【0178】
また、調整部390は、複数のフロート410の内部に貯留する空気arの量を同量ずつ同時に調整してよい。
【0179】
これにより、生簀600Bは、各フロート410に空気arを同量ずつ流入でき、又は各フロート410から空気arを同量ずつ流出できる。よって、生簀600Bは、空気量調整時に各フロート410に働く浮力にばらつきが生じ、各フロート410が連結される生簀枠610Bが傾くことを抑制できる。
【0180】
また、調整部390は、フロート410に空気arを送出するコンプレッサ370と、フロート410から空気arを吸引する吸引ポンプ380と、を含んでよい。
【0181】
これにより、生簀600Bは、外部装置からの力によりフロート410に貯留する空気arを流出入できる。また、生簀600Bは、吸引ポンプ380を使うことで、吸引ポンプ380を使わずに単にバルブ375を開放する場合と比較すると、フロート410から高速に空気arを流出させることができる。
【0182】
(送電コイルが収容されたプラスチック管に連結したフロートを有する生簀)
図13は、第4の実施形態における他の生簀600Cの外観例を示す斜視図である。生簀600Cは、上記生簀600Bと同様、環状(リング状)に形成された生簀枠610Cと、生簀枠610Cに連結用ロープ620で吊るされた生簀籠630と、を有する。
【0183】
生簀枠610Cは、防水用プラスチック管510を有する。防水用プラスチック管510の構造は、第3の実施形態に示した防水用プラスチック管510と同一であるので、詳細な説明を省略又は簡略化する。ここでは、防水用プラスチック管510には、送電コイルCLAが収容される。
【0184】
防水用プラスチック管510の側面には、送電コイルCLAに電力を伝送するための電源用電線20が樹脂モールド又は防水コネクタを介して接続される。したがって、送電コイルCLAに電力を伝送できる。つまり、生簀600Cは、第3の実施形態の送電装置100と同様に、電力を送電する送電機能を有する。
図13では、送電コイルCLAのみが図示されているが、中継コイルCLCが設置され、連結体等により各コイルCLが連結され、コイル構造体を形成してもよい。
【0185】
一方、生簀籠630は、前述した生簀600Bの生簀籠630と同様であるので、説明を省略又は簡略化する。また、調整部390によりフロート410の内部の空気量を調節することで、生簀枠610Cを浮沈させる、つまり生簀600Cを浮沈させる動作は、上記生簀600Bの場合と同様である。
【0186】
生簀枠610Cには、送電コイルCLAから磁気共鳴方式で受電可能な受電コイルCLBを搭載し、受電コイルCLBで受電した電力で動作可能な、各種の受電装置200が取り付けられてよい。受電装置200は、生簀枠610Cに取り付けられずに、生簀枠610Aで包囲された内部に配置されてもよい。
【0187】
図13では、受電装置200の一例として、第2の実施形態と同様、カメラ701、ライト703、及び給餌装置705が生簀枠610Cに取り付けられている。カメラ701、ライト703、及び給餌装置705の動作は、第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0188】
このように、受電装置200(例えばカメラ701、ライト703、給餌装置705)は、海上の船舶50等に設置された送電装置100から供給され、生簀枠610Cに収容された送電コイルCLAによって伝送される電力で動作する。これにより、受電装置200は、電源を持たなくて済むので、受電装置200の簡単化かつ軽量化が図られる。なお、第2の実施形態と同様、受電装置200として、種々の機器が接続されてもよい。
【0189】
なお、中継コイルCLCを収容したプラスチック管を多段に設置し、水深方向において最深位置のプラスチック管に生簀籠630を、連結用ロープ335を介して吊るすことも可能である。この場合、コイルCLを収容した生簀枠610Cから離れた水深の深い位置に、生簀籠630を設置できる。また、生簀600Cは、生簀籠630が生簀枠610Cから遠ざかっても、生簀籠630で作動する受電装置200に対して電力を伝送できる。
【0190】
以上のように、第4の実施形態における他の生簀600Cは、磁界を介して電力を伝送するための送電コイルCLAと、交流電力を送電コイルCLAへ送電するドライバ151と、送電コイルCLAに接続されると共に、送電コイルCLAと共に共振する共振回路152を形成するコンデンサCAと、を備える。生簀枠610Cの防水用プラスチック管510は、送電コイルCLAの周囲を密閉する。
【0191】
これにより、生簀600Cは、送電コイルCLA及びコンデンサACが共振回路152を形成して、磁界を介して電力を伝送できる。よって、生簀600Cは、生簀600Cにおける魚類の飼育に用いられる電力を要する機器に対して、電力供給できる。また、防水用プラスチック管510が防水性を有することで、防水用プラスチック管510の内部に配置された送電コイルCLAが水に接触することを防止できる。よって、送電コイルCLAがショートすることを防止でき、水中において送電コイルCLAを用いて電力伝送することができる。なお、防水用プラスチック管510は、送電コイルCLA以外のコイルCLを内包してもよい。
【0192】
また、複数のフロート410a〜410dは、防水用プラスチック管510に沿って等間隔に配置されてよい。
【0193】
これにより、防水用プラスチック管510を有する生簀枠610Cを浮かせる力又は沈ませる力のバランスが良好になる。よって、生簀枠610Cが水面に対して傾き難くなり、生簀枠610Cに内包されたコイルCLを貫く磁束の量の減少を抑制でき、電力伝送効率の低下を抑制できる。
【0194】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0195】
本開示の一態様は、水中において、受電コイルを有する受電装置に電力を伝送する送電装置であって、磁界を介して受電コイルに電力を伝送する送電コイルを含む1つ以上の伝送コイルと、交流電力を送電コイルへ送電する送電部と、伝送コイルに接続されると共に、伝送コイルと共に共振する共振回路を形成するコンデンサと、防水性を有し、伝送コイルの周囲を密閉する第1の管状部材と、第1の管状部材を包囲し、複数の孔を有する第2の管状部材と、第1の管状部材と第2の管状部材との間隙の空気の量を調整する調整部と、を備える。
【0196】
ここで第1の管状部材は、水深方向に並んで配列される複数の伝送コイルのうち、水面に最も近い位置に配列される伝送コイルの周囲を密閉してよい。
【0197】
第2の管状部材の複数の孔は、第2の管状部材が延びる方向に沿って分散して配置されてよい。
【0198】
本開示の一態様は、水中において、受電コイルを有する受電装置に電力を伝送する送電装置であって、磁界を介して受電コイルに電力を伝送する送電コイルを含む1つ以上の伝送コイルと、交流電力を送電コイルへ送電する送電部と、伝送コイルに接続されると共に、伝送コイルと共に共振する共振回路を形成するコンデンサと、防水性を有し、伝送コイルの周囲を密閉する管状部材と、管状部材に連結され、空気を収容する収容体と、収容体に収容される空気の量を調整する調整部と、を備える。
【0199】
ここで管状部材は、水深方向に並んで配列される複数の伝送コイルのうち、水面に最も近い位置に配列される伝送コイルの周囲を密閉してよい。 本開示の一形態は、水中において魚類を飼育するための生簀であって、水中において魚類を包囲する本体部と、防水性を有し、内部を密閉する第1の管状部材と、本体部に連結され、第1の管状部材を包囲し、複数の孔を有する第2の管状部材と、第1の管状部材と第2の管状部材との間隙の空気の量を調整する調整部と、を備える。
【0200】
本開示の生簀は、磁界を介して電力を伝送するための伝送コイルと、交流電力を伝送コイルへ送電する送電部と、伝送コイルに接続されると共に、伝送コイルと共に共振する共振回路を形成するコンデンサと、を更に備え、第1の管状部材は、伝送コイルの周囲を密閉してよい。
【0201】
第1の管状部材と第2の管状部材との間隙には、第1の管状部材の外周面と第2の管状部材の内周面とを支持するスペーサ、を更に備えてよい。
【0202】
調整部は、第1の管状部材と第2の管状部材との間隙に空気を送出するコンプレッサと、間隙から空気を吸引する吸引ポンプと、を含んでよい。
【0203】
第2の管状部材の複数の孔は、第2の管状部材が延びる方向に沿って分散して配置されてよい。
【0204】
本開示の一態様は、水中において魚類を飼育するための生簀であって、水中において魚類を包囲する本体部と、本体部に連結され、防水性を有し、内部を密閉する管状部材と、管状部材に連結され、空気を収容する収容体と、収容体に収容される空気の量を調整する調整部と、を備える。
【0205】
本開示の生簀は、磁界を介して電力を伝送するための伝送コイルと、交流電力を伝送コイルへ送電する送電部と、伝送コイルに接続されると共に、伝送コイルと共に共振する共振回路を形成するコンデンサと、を更に備え、管状部材は、伝送コイルの周囲を密閉してよい。
【0206】
収容体は、複数存在し、管状部材に沿って等間隔に配置されてよい。
【0208】
調整部は、複数の収容体に貯留する空気の量を同量ずつ同時に調整してよい。
【0209】
調整部は、収容体に空気を送出するコンプレッサと、収容体から空気を吸引する吸引ポンプと、を含んでよい。
【0210】
伝送コイルは、水面と略直交する方向に電力を伝送してよい。
【0211】
伝送コイルは、電力を伝送するとともに、データを通信してよい。
【0212】
上記実施形態では、生簀籠630の形状は、円筒状に限らず、正方形、長方形、六角形、八角形等の箱形であってもよい。
【0213】
上記実施形態では、生簀籠630は、生簀枠610,610A〜610Cの下側に連結用ロープ620で繋がれたが、生簀枠610,610A〜610Cの上側に連結用ロープ620で繋がれてもよい。また、複数の生簀籠630が多段に連なるように、連結用ロープ620で生簀枠610,610A〜610Cに繋いでもよい。この場合、生簀枠610,610A〜610Cは、多段に形成される生簀籠630の最上位、最下位、中間位置等、任意の位置に配置されてもよい。
【0214】
上記実施形態では、海上あるいは海中に生簀600,600A〜600Cを設置する場合を想定したが、川や湖に生簀600,600A〜600Cを設置してもよい。また、人工的なプール等に生簀600,600A〜600Cを設置してもよい。これにより、山間部や砂地等の陸上においても、水産物の養殖に適して環境を作ることができる。
【0215】
上記実施形態では、水として海水を主に例示したが、海水以外の水(例えば淡水)であってよい。したがって、コイル構造体5,5A及び生簀600,600A〜600Cは、海水中において浮沈機能を有するだけでなく、その他の水中(例えば河川、湖、ダムにおける水中)において浮沈機能を有してよい。
【0216】
第1,第2の実施形態では、送電コイルCLAを収容する二重構造プラスチック管300を示したが、二重構造プラスチック管300は、中継コイルCLCを収容する防水用プラスチック管をプラスチック管で覆うように設けられてもよい。この場合、各コイルCLの水深方向における所望の配置位置(例えば異なる配置位置)に合わせて、各二重構造プラスチック管300の間隙に存在する空気量が調整されてよい。
【0217】
第3,第4の実施形態では、送電コイルCLAを包囲する防水用プラスチック管510にフロート410が連結されることを示したが、中継コイルCLCを包囲する防水用プラスチック管にフロート410が連結されてもよい。この場合、各コイルCLの水深方向における所望の配置位置(例えば異なる配置位置)に合わせて、フロート410の内部に貯留する空気量が調整されてよい。
【0218】
上記実施形態では、プロセッサは、物理的にどのように構成してもよい。また、プログラム可能なプロセッサを用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できるので、プロセッサの設計の自由度を高めることができる。プロセッサは、1つの半導体チップで構成してもよいし、物理的に複数の半導体チップで構成してもよい。複数の半導体チップで構成する場合、上記実施形態の各制御をそれぞれ別の半導体チップで実現してもよい。この場合、それらの複数の半導体チップで1つのプロセッサを構成すると考えることができる。また、プロセッサは、半導体チップと別の機能を有する部材(コンデンサ等)で構成してもよい。また、プロセッサが有する機能とそれ以外の機能とを実現するように、1つの半導体チップを構成してもよい。また、複数のプロセッサが1つのプロセッサで構成されてもよい。
【0219】
なお、本出願は、2018年3月27日出願の2つの日本特許出願(特願2018−060900、2018−060901)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
水中において電力伝送するためのコイルの水深方向における配置位置を容易に変更できる送電装置を提供する。送電装置(100)は、水中において、受電コイル(CLB)を有する受電装置(200)に電力を伝送する。送電装置(100)は、磁界を介して受電コイル(CLB)に電力を伝送する送電コイル(CLA)を含む1つ以上の伝送コイルと、交流電力を送電コイル(CLA)へ送電する送電部と、伝送コイルに接続されると共に、伝送コイルと共に共振する共振回路(152)を形成するコンデンサと、防水性を有し、伝送コイルの周囲を密閉する第1の管状部材と、第1の管状部材を包囲し、複数の孔を有する第2の管状部材と、第1の管状部材と第2の管状部材との間隙の空気の量を調整する調整部(390)と、を備える。