特許第6588688号(P6588688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588688
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】化合物、組成物及び硬化物
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/14 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   C07D209/14CSP
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-67256(P2014-67256)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-189694(P2015-189694A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年11月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】小西 秀和
【審査官】 ▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−266927(JP,A)
【文献】 特開2011−082238(JP,A)
【文献】 特開2010−138088(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103848773(CN,A)
【文献】 特表2011−521894(JP,A)
【文献】 特開2013−151668(JP,A)
【文献】 特開昭58−043956(JP,A)
【文献】 特開2013−102220(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102977006(CN,A)
【文献】 国際公開第2014/023377(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/208767(WO,A1)
【文献】 特開2015−178547(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/084021(WO,A1)
【文献】 JONES D. J. et al,Facile Synthesis of 2-Arylpyrroles from 4-Oxo-butanoic Acids and Their Use In the Preparation of Bis(pyrrolyl)methanes,HETEROCYCLES,2006年,vol.68, no.6,p.1121-1138
【文献】 SONG M. Y. et al,Hetero-calix[4]pyrroles: incorporation of furans, thiophenes, thiazoles or fluorenes as a part of the macrocycle,Tetrahedron Letters,2004年,vol.45,p.299-301
【文献】 STILLE J. K. et al,Polyquinolines Containing Fluorene and Anthrone Cardo Units: Synthesis and Properties,Macromolecules,1981年,vol.14,p.486-493
【文献】 SRINIVASAN, P. R. et al,Preparation and Properties of Polybenzimidazoles Containing Cardo Groups,Journal of Polymer Sciences: Polymer Chemistry Edition,1982年,vol.20,p.3095-3105
【文献】 KATRITZKY A. R. et al,Synthesis of 1,1-Bis(1,2,4-triazol-1-yl)-based Potential Aromatase Inhibitors,Journal of Heterocyclic Chemistry,2000年,vol.37,p.743-745
【文献】 LOU S.L. et al,Low energy emission bands in a small molecular fluorene derivative for organic light-emitting diodes,Eur. Phys. J. D,2008年,Vvol.50,p.21-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表され、ポリマーを形成する樹脂原料に用いられる化合物
【化1】
(式(1)中、R1及びR2は、下記式(3’)で表される化合物から、結合に関与した芳香環上の一つの水素原子を除いた基である。)
【化2】
式(3’)中、Zは、炭素数1〜20の有機基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子である。nは、0〜5の整数である。nが2以上の場合、複数のZは、同一でも異なっていてもよい。)
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含む組成物。
【請求項3】
さらに、溶媒、無機充填剤、顔料、揺変性付与剤、流動性向上剤及び上記化合物以外のモノマーからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
さらに、硬化剤及び/又は硬化促進剤を含む請求項2又は請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも硬化剤を含む請求項4に記載の組成物を硬化して得られる硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフルオレン誘導体及びその製造方法、化合物、組成物並びに硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格等のフルオレン骨格を有する化合物は、屈折率、耐熱性等に優れ、樹脂原料等に利用されている。例えば、フルオレン骨格を有する樹脂として、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂で構成された成形材料(特開2002−284864号公報参照)、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するフェノール樹脂組成物(特開2010−242107号公報参照)が開示されている。
【0003】
このようなフルオレン骨格を有する化合物を用いて得られた材料は、高耐熱性や高屈折率性等に加え、紫外線照射によるπ電子の作用により蛍光を発する等の有用な特性を有している。しかし、近年の急速な技術革新に伴い、光学用途やエンジニアリングプラスチック等の分野において、このような特性のさらなる向上や特性の改善が要求されている。
【0004】
一方、窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を含む環状化合物(複素環化合物)は、天然物及び合成化合物共に非常に多く存在し、医薬や農薬等の活性成分として重要な役割を果たしている。例えば、重合体の光学的特性を向上させる方法として、チオフェン等の複素環化合物を重合体に導入することにより光学的特性を向上させる方法が提案されている(特開2005−171055号公報及び特開2011−042596号公報参照)。近年開発が盛んな機能性材料や電子材料等の分野においては、多くの複素環化合物が利用されているため、これらの製品開発において必要となる化合物を工業的に効率よく高品質かつ低コストに造り上げることが望まれている。
【0005】
芳香族ヘテロ環を有する化合物に注目すると、例えば芳香環自体の反応性を利用して製造された新規な各種ポリマー、例えばエポキシ樹脂は、高耐熱性樹脂として電子材料などの用途に用いられている(特許第4813201号公報参照)。また、芳香族ヘテロ環を有するインドール化合物などは、多くの生理活性化合物の基本骨格であり、医薬品原料や中間体としても重要である。例えばビスインドール誘導体は抗炎症作用を有していることが知られている(特表2002−520315号公報参照)。さらには、インドール化合物を正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等に用いた有機感光体(OPC)、有機エレクトロルミネッサンス素子、有機太陽電池、有機発光ダイオードなども開発されている(特許第3229654号公報及び特開2008−133225号公報参照)。
【0006】
これらの事情から、フルオレン骨格と芳香族ヘテロ環構造とを有し、高機能化や新たな特性の付与を可能とする新規な化合物の開発が待ち望まれている。しかし、フルオレン骨格と芳香族ヘテロ環構造とを併せ持つ化合物は一般的に知られておらず、その物理的や光化学的性能に関して記述されたものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−284864号公報
【特許文献2】特開2010−242107号公報
【特許文献3】特開2005−171055号公報
【特許文献4】特開2011−042596号公報
【特許文献5】特許第4813201号公報
【特許文献6】特表2002−520315号公報
【特許文献7】特許第3229654号公報
【特許文献8】特開2008−133225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、屈折率が高く、耐熱性に優れた新規なフルオレン誘導体及びこの製造方法、化合物、組成物並びに硬化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明は、
下記式(1)で表されるフルオレン誘導体である。
【化1】
(式(1)中、R1及びR2は、芳香族ヘテロ環化合物の残基を表す。)
【0010】
当該フルオレン誘導体は、フルオレン骨格を有するため、フルオレン特有の諸特性、例えば高炭素密度、高屈折率、高耐熱性、優れた蛍光特性等を備え、さらにフルオレン骨格の9位に芳香族ヘテロ環骨格を有する置換基が導入されていることにより、フルオレンよりも高い融点を有し、芳香族ヘテロ環骨格に起因する反応性をも有する。
【0011】
上記式(1)におけるR1及びR2の芳香族ヘテロ環化合物としては、インドール類が好ましい。このような特定構造とすることで、当該フルオレン誘導体は、特に高い融点及び屈折率を発揮することができ、またより効率的に製造することができる。
【0012】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、
当該フルオレン誘導体を前駆体として得られる化合物である。
【0013】
当該フルオレン誘導体を前駆体として得られる本発明の化合物も、各種の官能基を導入することで更なる特有の性質が付与され、様々な樹脂を合成する際の樹脂原料として用いることができる。
【0014】
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、
当該化合物を含む組成物である。当該組成物は、硬化剤及び硬化促進剤をさらに含有することが好ましい。
【0015】
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該組成物を硬化して得られる硬化物である。
【0016】
当該フルオレン誘導体又は当該フルオレン誘導体を前駆体として得られる化合物を含む本発明の組成物は、高い汎用性と付加価値を有する様々な樹脂を合成する際の樹脂組成物として用いることができる。また、当該組成物を硬化して得られる硬化物は、フルオレン骨格を有することで、高屈折率、高融点、優れた蛍光性能等を備えることができ、多分野へ応用可能な樹脂等として使用することができる。
【0017】
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、
芳香族ヘテロ環化合物とフルオレノンとを反応させる工程を有する下記式(1)で表されるフルオレン誘導体の製造方法である。
【化2】
(式(1)中、R1及びR2は、芳香族ヘテロ環化合物の残基を表す。)
【0018】
なお、本明細書において、「芳香族ヘテロ環」とは、芳香環を構成する原子としてヘテロ原子を有する芳香環をいう。また、「芳香族ヘテロ環化合物の残基」とは、芳香族ヘテロ環化合物から、結合に関与した一つの水素原子を除いた基をいう。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明のフルオレン誘導体は、屈折率が高く、耐熱性に優れる。さらに、当該フルオレン誘導体は、フルオレン骨格に起因する高い炭素密度を有し、インドール骨格に起因する反応性等を有することができる。また、当該フルオレン誘導体を前駆体として得られる化合物、これらを含む組成物及び硬化物も、高屈折率、高融点及び優れた蛍光性能を備える。従って、当該フルオレン誘導体等は、エポキシ樹脂原料、ポリカーボネート原料、フォトレジスト材料、コーティング材料、光学材料、記録材料、顔料、色素、医薬品原料、医薬品中間体、反射防止膜、半導体封止材、積層材、塗料、有機感光体、有機太陽電池、有機EL素子等の材料等極めて多岐の分野に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1で得られたフルオレン誘導体のH−NMRチャート
図2】実施例1で得られたフルオレン誘導体の13C−NMRチャート
図3】実施例3で得られたフルオレン誘導体のH−NMRチャート
図4】実施例3で得られたフルオレン誘導体の13C−NMRチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のフルオレン誘導体及びその製造方法、化合物、組成物並びに硬化物の実施の形態を順に詳説する。
【0022】
<フルオレン誘導体>
本発明のフルオレン誘導体は、下記式(1)で表される。
【0023】
【化3】
【0024】
上記式(1)中、R1及びR2は、芳香族ヘテロ環化合物の残基を表す。
【0025】
上記芳香族ヘテロ環化合物の芳香環を構成するヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子が好ましい。
【0026】
上記芳香族ヘテロ環化合物としては、例えば
ピロール類、ピリジン類、インドール類、キノリン類、カルバゾール類、フェナントリジン類、アクリジン類、プリン類、ピラジン類、ピリミジン類、ピリダジン類、トリアジン類、イソキノリン類、ナフチリジン類、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、ピラゾール類等の含窒素芳香族ヘテロ環化合物;
フラン類、ベンゾフラン類、ベンゾピラン類、キサンテン類等の含酸素芳香族ヘテロ環化合物;
チオフェン類、ベンゾチオフェン類、チアントレン類等の含硫黄芳香族ヘテロ環化合物;
オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、フラザン類等の含窒素含酸素芳香族ヘテロ環化合物;
チアアゾール類、ベンゾチアゾール類等の含窒素含硫黄芳香族ヘテロ環化合物等が挙げられる。
【0027】
これらの中でも、含窒素芳香族ヘテロ環化合物が好ましく、反応性の点から、インドール類がより好ましい。
【0028】
上記インドール類とは、インドール骨格を有する化合物をいい、インドール及びインドールが有する水素原子の一部又は全部を置換基で置換した化合物である。
【0029】
上記置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、これらの基が−O−と連結した基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0030】
上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0031】
上記アリール基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、9−アンスリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、1−アセナフチル基、2−フルオレニル基、9−フルオレニル基、3−ペリレニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,5−キシリル基、メシチル基、p−クメニル基、p−ドデシルフェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、p−シクロヘキシルフェニル基、4−ビフェニル基、o−フルオロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、m−カルボキシフェニル基、o−メルカプトフェニル基、p−シアノフェニル基、m−ニトロフェニル基、m−アジドフェニル基等が挙げられる。
【0032】
上記アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0033】
上記アルケニル基としては、例えばビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基等が挙げられる。
【0034】
上記アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルケニル基が−O−と連結した基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基;ビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基等が挙げられる。
【0035】
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0036】
上記インドール類としては、例えばインドール、1−メチルインドール、2−メチルインドール、4−メチルインドール、5−メチルインドール、6−メチルインドール、7−メチルインドール、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、6−ニトロインドール、7−ニトロインドール、4−フルオロインドール、5−フルオロインドール、6−フルオロインドール、7−フルオロインドール、4−クロロインドール、5−クロロインドール、6−クロロインドール、7−クロロインドール、4−ブロモインドール、5−ブロモインドール、6−ブロモインドール、7−ブロモインドール、4−ヨードインドール、5−ヨードインドール、6−ヨードインドール、7−ヨードインドール、4−インドロール、5−インドロール、6−インドロール、7−インドロール、4−メトキシインドール、5−メトキシインドール、6−メトキシインドール、7−メトキシインドール、4−ベンジルオキシインドール、5−ベンジルオキシインドール、6−ベンジルオキシインドール、7−ベンジルオキシインドール、インドール−4−カルボニトリル、インドール−5−カルボニトリル、インドール−6−カルボニトリル、インドール−7−カルボニトリル等が挙げられる。これらのうち、インドール、5−ブロモインドールが好ましい。
【0037】
インドール類の残基とは、化合物としての上記インドール類から、結合に関与した一つの水素原子を除いた基をいう。このインドール類の残基としては、インドール類から芳香環上の一つの水素原子を除いた基が好ましく、1位の水素原子、3位の水素原子、5位の水素原子を除いた基がより好ましい。
【0038】
上記インドール類としては、下記式(3)で表される化合物が好ましい。
【化4】
【0039】
上記式(3)中、Zは、炭素数1〜20の有機基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子である。nは、0〜5の整数である。nが2以上の場合、複数のZは、同一でも異なっていてもよい。
【0040】
上記炭素数1〜20の有機基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、これらの基が−O−と連結した基、ヒドロキシアルキル基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
【0041】
上記Zとしては、炭素数1〜5の有機基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン原子がより好ましく、ヒドロキシメチル基、臭素原子がさらに好ましい。このように置換基が比較的小さい場合、当該フルオレン誘導体の炭素密度がより高まり、屈折率等を高めることができる。また、置換基としてハロゲン原子を有することで、当該フルオレン誘導体にハロゲン原子に由来する反応性を付与することなどができる。
【0042】
nとしては、0〜4が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。このように置換基の数を少なくすると、当該フルオレン誘導体の炭素密度がより高まり、屈折率等をより高めることができる。
【0043】
当該フルオレン誘導体は、フルオレン骨格を有するため、フルオレン特有の諸特性、例えば高炭素密度、高屈折率、高融点、優れた蛍光特性等を備える。具体的には、当該フルオレン誘導体の融点は250℃以上350℃以下、好ましくは280℃以上320℃以下、屈折率は1.65以上1.75以下とすることができる。当該フルオレン誘導体の融点及び屈折率は、芳香族ヘテロ環化合物の残基を選択することで調整することができる。
【0044】
当該フルオレン誘導体は、上記1つ以上、好ましくは2つの反応活性なインドール基を有することから、フルオレン特有の諸特性を備えた上で、インドール系化合物が備える多様な反応性を有する。例えば当該フルオレン誘導体を前駆体として、アリル化物、グリシジル化物、アクリル化物、メチロール化物等の化合物を得ることができる。これらの中でも、アリル化物、メチロール化物が好ましい。
【0045】
従って、当該フルオレン誘導体は、各種樹脂原料等に用いることができる等高い汎用性を発揮することができる。特に、当該フルオレン誘導体は、好ましくは2つのインドール骨格がメチレン鎖で繋がり、フルオレン環がぶら下がるように配置されていることで、対称性が高く、また、樹脂原料として使用する場合にポリマー側鎖に導入が可能となる等の優れた応用展開が可能となる。特に、当該フルオレン誘導体は、インドール骨格を有するため、ポリマー骨格に導入された際、当該ポリマーが極めて高い炭素密度を有する、又は結晶性が高くなるなどの特有な機能が発揮されることが期待される。
【0046】
また、上記芳香族ヘテロ環化合物の残基が置換基を有するフルオレン誘導体は、当該フルオレン誘導体の特徴を維持したまま、さらに機能を付加又は調整することができる。
【0047】
例えば、置換基としてハロゲン原子を有する芳香族ヘテロ環化合物の残基を備える当該フルオレン誘導体によれば、当該フルオレン誘導体の持つ屈折率や蛍光特性等を有し、かつ、従来のフルオレン骨格が持つ反応性とは異なる形態による重合反応が可能となり、更なる応用展開が可能となる。
【0048】
本発明のフルオレン誘導体は、上記の構造を有するため、直接又は反応中間体として用いて、エポキシ樹脂原料、ポリカーボネート樹脂原料、フォトレジスト材料、コーティング材料、光学材料、記録材料、顔料、色素、医薬品原料、医薬品中間体、その他反射防止膜、半導体封止材、積層材、塗料、有機感光体、有機太陽電池、有機EL素子の材料等の各種合成樹脂原料等として用いることができる。
【0049】
<フルオレン誘導体の製造方法>
本発明のフルオレン誘導体の製造方法は、芳香族ヘテロ環化合物とフルオレノンとを反応させる工程を有する。具体的には、例えば当該フルオレン誘導体は、有機溶媒中、酸触媒の存在下又は無触媒にて、9−フルオレノンと芳香族ヘテロ環化合物とを反応させる工程を有する方法により製造される。当該反応の反応機構は定かではないが、芳香族ヘテロ環化合物の持つπ過剰芳香族性によるものと推測される。
【0050】
本発明のフルオレン誘導体の製造方法に用いられる芳香族ヘテロ環化合物としては、上述したものを挙げることができ、これらは所望する当該フルオレン誘導体の構造に応じて適宜選択される。例えば、上記芳香族ヘテロ環化合物としてインドール類を選択することで、上記式(1)におけるR1及びR2がインドール類の残基であるフルオレン誘導体を製造することができる。なお、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
また、この芳香族ヘテロ環化合物の配合量の下限としては、フルオレノン1モルに対し
0.1モルが好ましく、1.5モルがより好ましい。この芳香族ヘテロ環化合物の配合量の上限としては、フルオレノン1モルに対し5モルが好ましく、2.5モルがより好ましい。芳香族ヘテロ環化合物の配合量が上記下限未満では、フルオレノンが残留するため、それを除去するのに多大なエネルギーを要し、逆に上記上限を超えると未反応の芳香族ヘテロ環化合物を除去するのに多大なエネルギーを要する為、共に非経済的である。なお、芳香族ヘテロ環化合物の配合量を少なくすること等で、R2がヒドロキシ基である(芳香族ヘテロ環の導入を一つとした)フルオレン誘導体を得ることができる。
【0052】
当該製造方法に用いられる有機溶媒としては、芳香族ヘテロ環化合物、フルオレノン及び合成されるフルオレン誘導体とは反応しないものであれば特に限定されないが、例えばアルコール類、多価アルコール系エーテル、環状エーテル類、多価アルコール系エステル、エステル類、スルホキシド類、カルボン酸類等が挙げられる。
【0053】
アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の一価アルコール;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の二価アルコール;グリセリン等の三価アルコール等が挙げられる。
【0054】
多価アルコール系エーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられる。
【0055】
環状エーテル類としては、例えば1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。多価アルコール系エステルとしては、例えばエチレングリコールアセテート等のグリコールエステル類等が挙げられる。エステル類としては、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。スルホキシド類としては、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等が挙げられる。カルボン酸類としては、例えば酢酸、無水酢酸等が挙げられる。
【0056】
これらの中でもアルコール類及び多価アルコール系エーテルが好ましく、メタノール、エチレングリコール及びエチレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
【0057】
上記有機溶媒はそれぞれを単独又は2種以上を混合して用いても良い。有機溶媒の配合量の下限としては、芳香族ヘテロ環化合物100質量部に対して、1質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。また、有機溶媒の配合量の上限としては、芳香族ヘテロ環化合物100質量部に対して、1,000質量部が好ましく、500質量部がより好ましく、300質量部がさらに好ましい。有機溶媒の配合量が上記下限未満であると、反応系内が固化する危険性があり、設備を破損するおそれがある。逆に、有機溶媒の配合量が上記上限を超えると、反応速度が低下し、生産性が低下するおそれがある。
【0058】
当該製造方法に用いられる酸触媒としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸;蓚酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸;強酸性イオン交換樹脂等の樹脂酸等が挙げられる。これらの触媒は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、メルカプト酢酸等の反応助触媒を併用しても良い。酸触媒の使用量としては、反応が過激で危険とならない範囲でかつ反応促進の為少なすぎない量を設定すればよいが、一般的には、芳香族ヘテロ環化合物100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部である。
【0059】
なお、当該製造方法は、触媒を用いなくとも反応が進行する。触媒を用いない場合、反応後の触媒の除去する必要が無く経済的である。
【0060】
上記フルオレン誘導体の製造は、上記の芳香族ヘテロ環化合物、9−フルオレノン、有機溶媒を反応容器に投入して溶解後、必要であれば触媒を加えて、所定時間撹拌して行われる。
【0061】
当該製造方法の反応工程における反応温度としては、通常0〜100℃であり、25〜60℃が好ましい。反応温度が低すぎると、反応時間が長くなる可能性があり、一方、反応温度が高すぎると、高次縮合物及び異性体等の反応副生物の生成が助長され、当該フルオレン誘導体の純度が低下する可能性がある。
【0062】
当該製造方法の反応工程における反応容器内の圧力としては、通常常圧であり、加圧下又は減圧下で行ってもよく、具体的には内部圧力(ゲージ圧)が−0.02MPa〜0.2MPaであることが好ましい。
【0063】
当該製造方法の反応工程における反応時間としては、用いる芳香族ヘテロ環化合物及び有機溶媒の種類と量、モル比、反応温度、圧力等により異なるが、一般的には、1時間〜48時間の範囲である。
【0064】
当該製造方法の反応終了後、酸触媒の除去を行う。この酸触媒除去の方法としては、一般的には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の非水溶性有機溶媒に生成物を溶解し、水洗により除去を行うが、その他中和処理を行った後析出した中和塩を濾別する方法や、イオン交換樹脂等の樹脂酸を直接濾別除去する方法、アニオン製充填剤の詰まったカラムに反応液を通過させる方法等、特に制限はない。また、触媒を用いない場合には触媒を除去する工程を省くことができる。
【0065】
当該製造方法においては酸触媒除去後、精製により当該フルオレン誘導体を取り出す。一般的には、目的物に対して貧溶媒として作用し、その他の副生成物や未反応原料には良溶媒として作用する有機溶媒を添加し、析出させた後濾別、乾燥する方法によって目的物である当該フルオレン誘導体を得ることができる。
【0066】
<フルオレン誘導体を前駆体として得られる化合物>
当該フルオレン誘導体を前駆体として得られる化合物は、当該フルオレン誘導体をアリル化、グリシジル化、エポキシ化、アクリル化、メチロール化等を行うことで得ることができる。上記各反応は、公知の方法により行うことができる。これらの化合物は、エポキシ樹脂原料、アクリル樹脂原料等の樹脂原料等として用いることができる。
【0067】
当該フルオレン誘導体を前駆体として得られるこれらの化合物も、フルオレン骨格を有しているため、高融点、高屈折率、優れた蛍光特性等のフルオレン特有の性質を備えている。従って、当該化合物から得られる樹脂も高融点、高屈折率、優れた蛍光特性等の機能を有するなど、更なる付加価値を有することができる。
【0068】
<組成物>
当該フルオレン誘導体、又はこのフルオレン誘導体を前駆体として得られる化合物を含む組成物は、エポキシ樹脂原料、ポリカーボネート樹脂原料等の樹脂原料や、接着剤、塗料等に用いることができる。当該組成物における他の成分としては、各樹脂を製造する際に使用される公知のものが挙げられる。上記他の成分としては、例えば溶媒、硬化剤、硬化促進剤、無機充填剤、顔料、揺変性付与剤、流動性向上剤、上記フルオレン誘導体又は上記化合物以外の他のモノマー、硬化剤、硬化促進剤等が好ましい。
【0069】
上記溶媒としては、例えばエーテル類、ジエチレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等が挙げられる。
【0070】
また、無機充填剤としては、例えば球状又は破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられ、また、顔料としては、例えば有機系又は無機系の体質顔料、鱗片状顔料等が挙げられる。揺変性付与剤としては、例えばシリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等が挙げられ、流動性向上剤としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0071】
<硬化物>
本発明の硬化物は、上記組成物を硬化して得られ、各種樹脂として使用することができる。これらの硬化物は、フルオレン骨格に由来する高融点、高屈折率、優れた蛍光特性といった様々な特性を付与する高汎用性の材料として様々な用途に用いることができる。なお、当該硬化物は、上記の組成物を光照射、加熱等の各組成に対応した公知の方法を用いることによって得ることができる。
【0072】
これらの硬化物は、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の各種合成樹脂として、さらには、機能性を活かしてレンズ、光学シート等の光学材料、ホログラム記録材料等の記録材料、有機感光体(例えば、蛍光素子の発光層等)、フォトレジスト材料、反射防止膜、半導体封止材等の高機能材料等として用いることができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、得られたフルオレン誘導体の測定は、下記測定機器及び測定方法により行った。
【0074】
<GPC純度>
GPC純度は、東ソー社のHLC−8220型GPC、RI検出器、TSK−Gel SuperHZ2000+HZ1000+HZ1000(4.6mmφ×150mm)カラムを用い、展開溶媒としてテトラヒドロフランを0.35ml/分で送液し、目的物ピークの面積比によって求めた。
【0075】
<HPLC純度>
HPLC純度及び反応の終点確認は、島津製作所社のHPLC Promineceシリーズ、UV検出器SPD−20A(246nm)、GLサイエンス社のODS−3(4.6mmφ×250mm)カラムを用い、水とアセトニトリルを任意の割合で混合した溶媒を1.0ml/分で送液し、目的物ピークの面積比によって求めた。
【0076】
<融点>
融点は、リガク社のDSC8230型示差走査熱量計にて、窒素雰囲気下5℃/分の昇温速度によるピークトップ法にて求めた。
【0077】
H−NMR及び13C−NMR>
H−NMR及び13C−NMRは、バリアン社のUNITY−INOVA 400MHzを用い、TMSを基準物質としてアセトン溶媒で測定した。
【0078】
<屈折率>
屈折率は、京都電子工業社のRA−520N型屈折率計を用い、25℃にて1質量%、5質量%及び10質量%の各濃度でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解して測定し、検量線を作成して100質量%時の換算屈折率を求めた。
【0079】
[実施例1](ビスインドールフルオレンの合成)
3,000mlの環流管付き反応容器にインドール117.1g(1.0mol)、9−フルオレノン81.0g(0.45mol)及びメタノール234.2gを入れ、撹拌溶解した。98質量%の濃硫酸5.4gを投入し、60℃で24時間反応を行い、HPLCにてフルオレノンピークの消失と、主として目的物が生成していることを確認した。次いで、10質量%のNaOH水溶液18.0gで中和し、蒸留水351.0gを加えて撹拌した。析出した結晶を濾別後、メタノール1,208.0gに得られた結晶405.0gを加え、60℃で1時間撹拌した。結晶を濾別後、60℃にて減圧乾燥を行い、白色結晶170.1g(収率95.4%)を得た。
【0080】
得られた結晶は、GPC純度98.4%、HPLC純度99.8%、融点303℃、換算屈折率1.685(25℃)であり、H−NMR(400MHz,acetone,δ,ppm/10.0,2H,indole−NH/6.7,6.9,7.0,7.1,7.6,10H,Indole−CH/7.2,7.3,7.4,7.9,8H,fluorene−H/)及び13C−NMR(400MHz,acetone,δ,ppm/112.3,119.1,120.7,124.2,127.9,128.0,138.4,−indole/56.2,121.8,122.0,126.3,127.4,140.4,153.6,−fluorene)にて9,9−ビス(1H−インドール−3−イル)フルオレンであることを確認した。図1H−NMRチャート、図213C−NMRチャートを示す。
【0081】
[実施例2](ビス(5−ブロモインドール)フルオレンの合成)
3,000mlの環流管付き反応容器に5−ブロモインドール8.2g、9−フルオレノン3.0g及びメタノール16.4gを入れ、撹拌溶解した。98質量%の濃硫酸0.2gを投入し、60℃で24時間反応を行い、HPLCにてフルオレノンピークの消失と、主として目的物が生成していることを確認した。次いで、10質量%のNaOH水溶液1.4gで中和し、蒸留水24.6gを加えて撹拌した。析出した結晶を濾別後、メタノール(43.0g)に得られた結晶(14.8g)を加え、60℃で1時間撹拌した。結晶を濾別後、60℃にて減圧乾燥を行い、白色結晶8.8g(収率95.3%)を得た。
【0082】
得られた結晶は、GPC純度が98.7%、HPLC純度が99.0%、融点が305℃であった。
【0083】
[実施例3](ビスインドールフルオレンのジメチロール体の合成)
500mlの環流管付き反応容器に実施例1で得られた白色結晶23.8g、37質量%のホルマリン38.9g、メタノール23.8g、及びトリエチルアミン12.1gを入れ、加熱昇温して、3時間還流反応さした。冷却後、30質量%のパラトルエンスルホン酸水溶液58.3gで中和し、1時間撹拌した。析出した結晶を濾別後、メチルエチルケトン35.3gに得られた結晶35.3gを加え、80℃で1時間撹拌した。30℃に冷却後、析出している結晶を濾別し、120℃にて減圧乾燥を行い、白色結晶16.8g(収率61.3%)を得た。
【0084】
得られた結晶は、GPC純度が97.2%、HPLC純度が97.5%、H−NMR(400MHz,acetone,δ,ppm/5.5,4H,−CH−/5.3,2H,−OH/6.7,6.8,7.0,7.6,8H,Indole−CH/7.2,7.3,7.4,7.9,8H,fluorene−H/)及び13C−NMR(400MHz,acetone,δ,ppm/69.8,−CH−/110.9,119.4,119.7,120.8,126.3,128.2,128.5,138.0−indole/56.0,122.1,122.2,127.0,128.1,140.3,153.2,−fluorene)にて9,9−ビス(1−ヒドロキシメチル−インドール−3−イル)フルオレンであることを確認した。図3H−NMRチャート、図413C−NMRチャートを示す。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のフルオレン誘導体は、屈折率が高く、耐熱性に優れる。さらに、当該フルオレン誘導体は、フルオレン骨格に起因する高い炭素密度を有し、インドール骨格に起因する反応性等を有することができる。また、当該フルオレン誘導体を前駆体として得られる化合物、これらを含む組成物及び硬化物も、高屈折率、高融点及び優れた蛍光性能を備える。上記効果を発揮することができる。従って、当該フルオレン誘導体等は、エポキシ樹脂原料、ポリカーボネート原料、フォトレジスト材料、コーティング材料、光学材料、記録材料、顔料、色素、医薬品原料、医薬品中間体、その他反射防止膜、半導体封止材、積層材、塗料、有機感光体、有機太陽電池、有機EL素子等の材料等、極めて多岐の分野に利用することができる。
図1
図2
図3
図4