【実施例】
【0010】
本発明の第一の目的は、堆肥化可能有機廃棄物から液肥を製造する簡単で、効率よく、安価な方法とすることで、上述した現在の方法の技術的問題点、非効率性を解決するものである。このように、本発明では、簡単に設置し、維持管理ができる堆肥製造用のタンク、貯水槽だけが必要で、高価で複雑な設備、機械は必要としない。
【0011】
本発明の次の目的は、現在利用されている方法では悪臭を生じさせるが堆肥化可能有機廃棄物から、液肥・コプロダクツ15を作り出し方法でメタン発酵消化液によって、堆肥化可能有機廃棄物10は短期間に簡単に効率よく分解されることで、悪臭を周辺に出すことを抑制することができる。
【0012】
更に、本発明は、堆肥化可能有機廃棄物より、液肥(LIQUID)・コプロダクツ( CO-PRODUCTS) 15を簡単に作ることができるものである。これらの、本発明が、より優れていることが添付された図によって明らかで、また詳細に理解できるであろう。
【0013】
図解の
図1に関して、堆肥化可能有機廃棄物10から、液肥(LIQUID)・コプロダクツ15は
図1に示したようなステップで製造される。下記はそれを示したものである。
a.堆肥化不可有機性廃棄物と堆肥化可能有機性廃棄物を分別する。
(SEGRIGATION) 11
b.粉砕機、切断機によって、分離された堆肥化可能有機性廃棄物の大きさを細かくする (CRUSHING/SCHREDDING) 12
c.メタン発酵消化液が投入された堆肥製造用のタンク、貯水槽に細かくなった分離済み堆肥化可能有機性廃棄物を事前に決められた率で投入する (FEEDING INTO COMPOST TANK POND/DRUMS) 13
d.最終の製品(液肥)・コプロダクツ15を分離回収する(SEPARATING/COLLECTING) 14
【0014】
図2は堆肥化可能有機廃棄物10から製造された液肥・コプロダクツ 15の講成を示したものである。
主生産品は嫌気性活動(開放系であり、完全な嫌気性環境ではない)によって生成された高品質の液肥16である。これは、浮遊物(FLOATINGS)17とウジ(MAGGOTS)18が同時に生産される。
【0015】
浮遊物17はミミズ培地(FEED TO VERMICULTURE)19に与えられる。詳しくいうと、浮遊物は,ミミズ堆肥肥料(COMPOST FERTILIZER) 20を生産するミミズ培地に、その餌として与えられ、ミミズが消化することの出来る餌である。
【0016】
主たる生産物である、高品質の液肥16は、主として農作物、特に農場や庭(FERTILIZER FOR HOME/GARDEN)21 で,生産される果実、野菜などに利用される。一方、ウジ(MAGGOTS)18については、養殖池(FISH POND)22の餌として利用される。
【0017】
本発明の方法を開始するにあたり、
図3で示したようなタンク・貯水槽Pを準備する。タンク・貯水槽Pは、コンクリートの床B、底の部分F、側壁Wから構成され,上部は開放式Tとなっている。タンク・貯水槽Pを清掃するための排水口が側壁Wの一つにつけられる(図では記載なし)堆肥化用のタンク・貯水槽Pは、コンクリート製で、屋根付の設備があることが望ましい。
【0018】
本発明では、メタン発酵消化液には、例えば、サトウキビからの抽出液をアルコール発酵を行った廃液をメタン発酵を行った消化液が使用できる。この場合は、組成のバラツキか少ないメタン発酵消化液が大量に得られる。その他、家庭、飲食店、食堂、ホテル、小売り店(スーマーマーケット、コンビニエンスストア等)卸売店、食品加工工場、各種の市場(青果物市場、魚市場)からの廃棄物、農場、畜産場、娯楽施設からの堆肥化可能有機廃棄物をメタン発酵させた消化液が使用できることももちろんである。
【0019】
本発明では、堆肥化可能有機廃棄物10から,液肥・コプロダクツ15を生産するために家庭、飲食店、食堂、ホテル、小売り店(スーマーマーケット、コンビニエンスストア等)、食品加工工場、各種の市場(青果物市場、魚市場)からの廃棄物、農場、畜産場、娯楽施設からの堆肥化可能有機廃棄物を集荷することから始まる。また、それから、人手を使って、または、従来型の機械による選別によって、堆肥化不可廃棄物を取り除く。その分別された堆肥化可能有機廃棄物10は効果的なプロセスと分解のために小さなサイズにする必要がある。これは粉砕、切断の設備によって実行されるのが好ましいが、人力または従来型の粉砕、切断機でも構わない。
【0020】
次の工程は、事前に決められた量のメタン発酵消化液を、タンク・貯水槽Pに満たすことである。メタン発酵消化液がタンク・貯水槽Pが満たされていたら、そこに、細かくなった堆肥化可能有機廃棄物10を投入する。
【0021】
本発明では、事前に準備投入されたメタン発酵消化液に対して決められた比率の堆肥化可能有機廃棄物を一定の間隔で(日々)投入するものである。そして、一定の間隔で攪拌するものである。
【0022】
重要なことは、最終の液肥・コプロダクツ15を作り出すために、タンク・貯水槽Pの菌の活動を維持する必要があるので、一定の間隔で決められた比率の堆肥化可能有機廃棄物10を投入することが求められる。
【0023】
結果として発生する製品、液肥・コプロダクツ15は、高品質の液肥16、浮遊物17、ウジ18で、これらは直ぐに使用するのであれば日々、収穫、更には分別が必要となる。液肥・コプロダクツ15の収穫は人力または、これまで従来からの機械によって行っても良い。
【0024】
更に重要なことは、タンク・貯水槽Pにおける混合物のPHが中性域(PH6−8)であることで、この判定は、これまでの従来の方法で行われる。PHはメタン発酵消化液と、それに対する一定の比率にて投入される堆肥化可能有機廃棄物の比率に左右される。
【0025】
PHは原料となる堆肥化可能有機廃棄物の状態により変化するが、この範囲内に維持することが好ましい。PHが6未満の場合、また、PHが8を超える場合は、反応が遅くなる。そのため、PHが6〜8の範囲に入るようにすることが好ましいが、やや酸性、アルカリ性の場合(PHが5〜9)でも、反応は進行する。メタン発酵消化液のPHは機器による測定、または、表面状態(泡の発生状態等)により推測する。
【0026】
本発明における、もう一つの指標は、メタン発酵消化液に対する堆肥化可能有機廃棄物10の実用範囲を0.1質量%から20質量%とすることである。例えば、タンク・貯水槽Pにメタン発酵消化液を、1,000kg準備すれば、(1〜)200kg以内の堆肥化可能有機廃棄物10を、そのタンク貯水槽Pに一定の間隔で投入して攪拌することである。この量の上下限は配合する堆肥化可能有機廃棄物10の組成により異なる。農産物廃棄系(葉菜、オクラ等)の植物性堆肥化可能有機廃棄物の場合の上限が200kgであり、畜産系の廃棄物の割合が増加すると、上限値は低くなる。
【0027】
植物性堆肥化可能有機廃棄物に、畜産系の廃棄物の割合が増加すると、PHが上がるため、投入の上限値は低くなる。この場合の指標は、メタン発酵消化液に対する堆肥化可能有機廃棄物10の実用範囲を0.1質量%から10質量%とすることである。例えば、タンク・貯水槽Pにメタン発酵消化液を、1,000kg準備すれば、(1〜)100kg以内の堆肥化可能有機廃棄物10を、そのタンク貯水槽に一定の間隔で投入して攪拌することである。下限値の0.1%は、それ以下の場合は、表面状態がメタン発酵は進まないため、および、生産性を維持するための値である。
【0028】
本発明におけるメタン発酵消化液はアルコール製造からの廃液、残渣に由来していることが望ましい。メタン発酵消化液は最終製品である液肥・コプロダクツ15を生産するための、堆肥化可能有機廃棄物10を分解する微生物群を含んでいる。堆肥化用タンク・貯水槽Pのなかで、メタン発酵消化液と堆肥化可能余剰有機物10の混合物の濃度が上昇した場合の調整は、メタン発酵消化液に対して、事前に決められた率の水を混合物に投入することが、本発明の方法である。堆肥化可能余剰有機物の混合物の濃度が上がりすぎると、反応速度が低下する。水の比率は、事前に決められたメタン発酵消化液の0.1−10質量%の範囲である。
【0029】
水の比率は、事前に決められたメタン発酵消化液の0.1−10質量%の範囲は、10質量%以上の投入では希釈されすぎ、反応速度が低下する。下限値の0.1質量%は、実質的な作業能率を考慮した値である。なお、投入は複数回に分けて行うこと、攪拌しつつ行うことが好ましい。
【0030】
これまでに述べて来たタンク・貯水槽Pにおける、メタン発酵消化液と堆肥化可能余剰有機物10の混合液の濃度は伝統的な方法にて調べることも可能であるし、混合物において泡の発生が減少することでも、判断が可能である。タンク・貯水槽Pの中の濃度は、嫌気性発酵(完全な嫌気性環境ではない)を維持して、求める液肥・コプロダクツ15が発生するものでなければならない。
【0031】
本発明をより優位にするために変更することは、この方式においては可能である。本発明は、幅広い便利性をもっているので、本件でしめされた事例にこだわらない。すなわち、本件で示された基本的な考え方から逸脱しない限り、修正をすることは可能である。
【0032】
メタン発酵消化液には、アルコール工場の廃液と汚泥からの抽出液を用いたが、これにかぎられるものではない。アルコール工場の対象物は、トウモロコシ、サトウキビ、各種醸造工場の廃液、汚泥からの抽出液も使用可能である。
【実施例3】
【0044】
実施例1(試験A)をふまえて、通常の家庭よりの生ゴミ(各種のものが混じっている)を分解テストした。粉砕機は、小型のもので、ペースト状にはならず、切断されたような状態である。結果を表9、表10に示す。
【0045】
【表9】
【0046】
【表10】
【0047】
上記の3つの試験結果(実施例1〜3)より、以下の結論を得た。
1.生ゴミ、余剰有機物をメタン発酵消化液で分解すことは可能である。
2.分解が可能な物質を分別して、できることならばペースト状にすりつぶすことが望ましいが、機械の設置の問題などで、切断だけでも行うことで効果がある。
3.メタン発酵消化液と物質の接触面積を増やすために切断、粉砕が必要であるが、同時に適度な攪拌をすることは必要である。
4.分解の活動は泡が発生していることで確認することが出来る。分解が進んで完了すると、泡の発生が止まる。再度投入をすると、泡の活性が再開することも確認できている(別途)。
5.PHを中性域に保つことで、分解の状態を保つことができる。
6.取り出した余剰メタン消化液(拡大したもの)は、液体肥料として野菜などに与えた場合に、通常の発電から発生するメタン発酵消化液と同等の効果が見られる。
7.浮遊物はミミズ培地で有効な餌となる。これは適度に残った繊維質が空気層を作ってミミズの侵入に効果てきであることと、ミミズが好むPHのレベルにあることである。腐敗菌などが多い場合はPHは酸性が強く、ゴミの山にミミズを放っても中には入り込まない。ミミズが入り込むこと自体が、すでに堆肥製造の有効な原料となっていることを示していると考えられる。