特許第6588718号(P6588718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588718
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】光コネクタ部品
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20191001BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20191001BHJP
【FI】
   G02B6/36
   G02B6/26
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-68644(P2015-68644)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-188927(P2016-188927A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2017年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】菅野 修平
【審査官】 岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−002256(JP,A)
【文献】 特開2004−094109(JP,A)
【文献】 特許第5805344(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0084041(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24−6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送路の端部を収容するハウジングと、
前記光伝送路から出力される光信号を反射する反射部を有し、前記ハウジング内で開閉可能なシャッターと、
前記ハウジングよりも耐熱性が高く、前記反射部に反射された前記光信号が照射される光吸収部材と
を備え、
前記光吸収部材は、ハウジングに接触するように取り付けられており、
前記シャッターは、前記反射部を開閉させる変形部と、前記反射部を固定する固定部とを有し、
前記固定部が前記ハウジングに接触しないように前記固定部が前記光吸収部材に固定されることによって、前記シャッターが前記ハウジング内に固定され、
前記光吸収部材は、前記固定部を覆うように配置されている
ことを特徴とする光コネクタ部品。
【請求項2】
請求項1に記載の光コネクタ部品であって、
前記光吸収部材は、前記固定部を収容する収容部を有しており、
前記ハウジングは、前記固定部を前記収容部に収容した状態で前記光吸収部材を取り付け可能である
ことを特徴とする光コネクタ部品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光コネクタ部品であって、
前記ハウジングは、前記光吸収部材を着脱可能である
ことを特徴とする光コネクタ部品。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の光コネクタ部品であって、
前記ハウジングは、一方側にレセプタクル側光コネクタを収容しつつ、他方側にプラグ側光コネクタを着脱可能なレセプタクルである
ことを特徴とする光コネクタ部品。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の光コネクタ部品であって、
前記ハウジングは、両側から光コネクタを着脱可能なアダプタである
ことを特徴とする光コネクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送路(例えば光ファイバ)の端部から出射される光信号は人体(特に目)に影響を与えるおそれがある。そこで、光伝送路の端部を収容するハウジングと、ハウジング内に設けられたシャッターとを備え、シャッターによって光信号を遮蔽・反射させて、外部に光信号が漏れないようにした光コネクタ部品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−94109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のシャッターでは、反射光を拡散させているものの、反射光が照射される部位(ハウジング)は高熱になり、溶けるおそれがある。
【0005】
本発明は、ハウジングが反射光で溶けてしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、光伝送路の端部を収容するハウジングと、前記光伝送路から出力される光信号を反射する反射部を有し、前記ハウジング内で開閉可能なシャッターと、前記ハウジングよりも耐熱性が高く、前記反射部に反射された前記光信号が照射される光吸収部材とを備え、前記光吸収部材は、ハウジングに接触するように取り付けられており、前記シャッターは、前記反射部を開閉させる変形部と、前記反射部を固定する固定部とを有し、前記固定部が前記ハウジングに接触しないように前記固定部が前記光吸収部材に固定されることによって、前記シャッターが前記ハウジング内に固定され、前記光吸収部材は、前記固定部を覆うように配置されていることを特徴とする光コネクタ部品である。
【0007】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハウジングが反射光で溶けてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の光コネクタ部品1とプラグ側光コネクタ100を上から見た斜視図である。
図2】光コネクタ部品1の断面図である。
図3】は光コネクタ部品1の構成を示す分解図である。
図4図4A及び図4Bは、光コネクタ部品1の組み立てについての説明図である。
図5】実施例の評価結果の説明図である。
図6】第2実施形態の光コネクタ部品1´を示す説明図である。
図7】第2実施形態の光コネクタ部品1´の構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
光伝送路の端部を収容するハウジングと、前記光伝送路から出力される光信号を反射する反射部を有し、前記ハウジング内で開閉可能なシャッターと、前記ハウジングよりも耐熱性が高く、前記反射部に反射された前記光信号が照射される光吸収部材とを備えた光コネクタ部品が明らかとなる。
このような光コネクタ部品によれば、反射光が光吸収部材に照射されるので、ハウジングが反射光で溶けてしまうことを抑制できる。
【0012】
前記シャッターは、前記反射部を開閉させる変形部と、前記反射部を固定する固定部とを有し、前記光吸収部材は、前記固定部を覆うように配置されていることが望ましい。これにより、光コネクタの着脱の繰り替えしによって、変形部が徐々に変形しても反射光を吸収し続けることができる。また、固定部の長さを長くできシャッターを固定しやすくできる。
【0013】
前記光吸収部材は、前記固定部を収容する収容部を有しており、前記ハウジングは、前記固定部を前記収容部に収容した状態で前記光吸収部材を取り付け可能であることが望ましい。これにより、狭いハウジング内での取り付け作業が1回で済む。
【0014】
前記収容部に収容された前記固定部は、前記ハウジングの内壁面と非接触であることが望ましい。これにより、光吸収部材が高熱になったとき、ハウジングへの伝熱を抑制しながら、シャッターにて放熱しやすくなる。
【0015】
前記ハウジングは、前記光吸収部材を着脱可能であることが望ましい。これにより、光吸収部材が反射光によって劣化しても、劣化した光吸収部材を交換できる。
【0016】
前記ハウジングは、一方側にレセプタクル側光コネクタを収容しつつ、他方側にプラグ側光コネクタを着脱可能なレセプタクルであってもよい。
【0017】
前記ハウジングは、両側から光コネクタを着脱可能なアダプタであってもよい。
【0018】
===第1実施形態===
図1は、第1実施形態の光コネクタ部品1とプラグ側光コネクタ100を上から見た斜視図である。また、図2は光コネクタ部品1の断面図であり、図3は光コネクタ部品1の構成を示す分解図である。また、図4A及び図4Bは、光コネクタ部品1の組み立てについての説明図である。
【0019】
以下の説明では、図に示すように、各方向を定義する。すなわち、光コネクタ部品1に対するプラグ側光コネクタ100の着脱方向を「前後方向」とし、光コネクタ部品1においてプラグ側光コネクタ100と対向する側を「前」とし、逆側を「後」とする。また、プラグ側光コネクタ100の幅方向(複数の光ファイバの並ぶ方向)を「左右方向」とする。また、前後方向及び左右方向に垂直な方向を「上下方向」とする。
【0020】
第1実施形態の光コネクタ部品1は、プラグ側光コネクタ100を着脱可能な光コネクタ付きレセプタクルである。第1実施形態の光コネクタ部品1は、ハウジング(レセプタクル)10と、メタルクリップ18と、レセプタクル側光コネクタ20と、シャッター30と、吸収プレート40(光吸収部材に相当)とを備えている。
【0021】
ハウジング10は、筒状の部材であり、光伝送路となる光コネクタの端部を収容するものである。ハウジング10の後側には、レセプタクル側光コネクタ20(後述)を収容する収容部が設けられており、前側にはプラグ側光コネクタ100(MPOコネクタ)を着脱可能に収容する収容部が設けられている。プラグ側光コネクタ100の収容部には、シャッター30(後述)及び吸収プレート40(後述)が収容されている。また、ハウジング10には、係合穴12とレール部14(後述)が設けられている。係合穴12は、吸収プレート40のラッチ部46と係合する部位(穴)であり、ハウジング10の上面に設けられている。
【0022】
メタルクリップ18は、ハウジング10を不図示の基板に取り付けるためのものである。また、メタルクリップ18は、ハウジング10の係合穴12上に配置されて、青色の吸収プレート40(ラッチ部46)を覆う(隠す)機能も有している。
【0023】
レセプタクル側光コネクタ20は、フェルール22と、ガイドピン23と、ブーツ24と、フローティング機構25とを備えている。
【0024】
フェルール22は、光伝送路となる光ファイバの端部を保持する部材であり、樹脂により一体成形されている。フェルール22の前側の端面は、相手方の光コネクタ(ここでは、プラグ側光コネクタ100)と接続する接続端面となる。フェルール22は、本体部22Aと、鍔部22Bとを備えている。また、本体部22Aには2つのガイド穴22Cと、複数の光ファイバ穴22Dが設けられている。本体部22Aの内部において、複数の光ファイバの端部が保持されることになる。
【0025】
鍔部22Bは、本体部22Aの外周面から外側に突出しており、ハウジング10の内壁に形成された突起物に接触(当接)する。
【0026】
ガイド穴22Cは、ガイドピン23を挿入するための穴である。ガイド穴22Cは、本体部22Aを前後方向に貫通しており、フェルール22の前側端面には、2つのガイド穴22Cが開口している。2つのガイド穴22Cは、複数の光ファイバ穴22Dを左右から挟むように、左右方向に間隔を空けて形成されている。
【0027】
光ファイバ穴22Dは光ファイバを挿入して位置決めする穴である。光ファイバ穴22Dには、光ファイバ心線から被覆を除去した裸ファイバが挿入されることになる。また、光ファイバ穴22Dは左右方向に複数並んでおり、各光ファイバ穴22Dは前後方向に平行である。つまり、互いに平行な複数の光ファイバ穴22Dが左右方向に並ぶことになる。また、フェルール22の前側端面には、各光ファイバ穴22Dから光ファイバ端面が露出する。
【0028】
ガイドピン23は、フェルール22と、相手側(ここではプラグ側光コネクタ100)のフェルールとを位置決めするものである。ガイドピン23は、フェルール22のガイド穴22Cに挿入されて、フェルール22の本体部22Aを前後方向に貫通している。また、図2に示すように、ガイドピン23の先端(前側端)は、フェルール22の前側端面から突出している。
【0029】
ブーツ24は、光ファイバの曲がりを緩やかにするための部材である。ブーツ24は、例えばゴムやエラストマー等の可撓性を有する材料で構成することが好ましいが、樹脂や金属等の可撓性の低い材料で構成してもよい。ブーツ24によって、光の伝送損失が低減され、若しくは光ファイバ自体が保護される。
【0030】
フローティング機構25は、フェルール22を後退可能に前側へ押圧するための機構である。フローティング機構25は、ピンクランプ26と、スプリング27と、スプリングプッシュ28とを備えている。
【0031】
ピンクランプ26は、ガイドピン23をクランプして保持するものである。ガイドピン23のフランジがフェルール22の後側端面とピンクランプ26の前側端面との間に挟まれて配置されており、ガイドピン23が前後方向に抜けることが防止されている。
【0032】
スプリング27は、当該スプリング27の反発力によって、ピンクランプ26を介してフェルール22に前側への力を付勢する。フェルール22の後側には、外周を突出させた鍔部22Bが形成されており、鍔部22Bの前側端面がハウジング10の内面に形成された突起部15(図2参照)に接触することによって、それ以上のフェルール22の前側への移動が規制されている(フェルール22の前抜けが規制されている)。
【0033】
スプリングプッシュ28は、スプリング27を弾性変形(圧縮)させた状態でハウジング10に収容するための部材である。これにより、フェルール22は、スプリング27の反発力で前側に力を付勢されつつ、後側に移動可能にハウジング10内に収容される。このようにフェルール22を収容することによって、プラグ側光コネクタ100を接続したときに、フェルールの端面同士を所定の力で物理的に突き当てた状態を保持できる。
【0034】
また、スプリングプッシュ28は、枠状本体28Aと、一対の嵌合用突壁部28Bとを備えている。枠状本体28Aには、光ファイバを挿通するためのファイバ挿通孔が形成されている。一対の嵌合用突壁部28Bは、枠状本体28Aの左右両側から前側に向かって突出して形成されている部位である。一対の嵌合用突壁部28Bには、外側に突出した係止爪28Cが形成されており、ハウジング10の内面に形成された係止穴(不図示)に係止爪28Cを嵌め込むことによって、スプリングプッシュ28がハウジング10に固定される。このとき、スプリング27は、ピンクランプ26とスプリングプッシュ28の間で圧縮変形した状態で収容されているが、係止爪28Cがハウジング10の係止穴に嵌め込まれることによって、スプリングプッシュ28がハウジング10の後側から抜けることが防止されている。
【0035】
シャッター30は、ハウジング10にプラグ側光コネクタ100が収容されていないときに、光による目への害を抑制するため、レセプタクル側光コネクタ20の光ファイバから出射される光信号を遮蔽・反射させるものである(アイセーフティ)。また、シャッター30は、プラグ側光コネクタ100の着脱に応じて開閉する機能を有している。さらに、シャッター30は、プラグ側光コネクタ100が無いとき(ハウジング10に収容されていないとき)に、レセプタクル側光コネクタ20を防塵する機能も有している。
【0036】
シャッター30は、金属製であり、反射部32と、変形部33と、固定部34とを備えている。シャッター30は、変形部32で折れ曲がったV字形状の部材である。
【0037】
反射部32は、レセプタクル側光コネクタ20の光ファイバから出射される光信号を所定方向に向けて反射させるものである。本実施形態では、反射部32は、吸収プレート40の下面(吸収面42)に向けて光信号を反射させる。なお、反射部32の後側の面が光信号を反射する反射面となる。反射部32の前側の面は、プラグ側光コネクタ100がハウジング10に挿入されたときに、プラグ側光コネクタ100と接触する接触面となる。
【0038】
変形部33は、反射部32と固定部34とを連結しており、変形(弾性変形)することにより、反射部32の開閉を許容する。変形部33は、プラグ側コネクタ100の装着時、及び、抜去時に変形する。具体的には、変形部33は、プラグ側コネクタ100の装着時には反射部32が開くように(上方に向かうように)変形し、プラグ側コネクタ100の抜去時には、反射部32が閉じるように(下方に向かうように)変形する。
【0039】
固定部34は、反射部32を吸収プレート40に固定させるものである。図3に示すように、固定部34は、係合穴34Aと縁部34Bとを有している。
【0040】
係合穴34Aは、吸収プレート40の係止部44Aと係合する部位である。係合穴34Aと係止部44Aとが係合することにより、シャッター30(反射部32)が吸収プレート40に対して固定されることになる。
【0041】
縁部34Bは、固定部34の左右方向の縁の部位であり、吸収プレート40の把持部44Bに把持される部位である。
【0042】
吸収プレート40は、シャッター30の反射部32で反射された反射光が照射されて、当該反射光を吸収するものである。このように反射光を吸収することにより、ハウジング10が反射光で溶けてしまうことを抑制することができる。また、吸収プレート40は、シャッター30の固定部34を固定する機能も備えている。
【0043】
吸収プレート40は、耐熱性樹脂(ポリエーテルイミド樹脂、例えばSABIC社製 Ultem 1000R)で形成されており、ハウジング10よりも耐熱性が高い。
【0044】
また、本実施形態の吸収プレート40の色は青色である。これは、適度に反射光を吸収させるためである。仮に、黒色の場合、反射光を吸収しすぎてしまい、吸収プレート40が溶けるおそれがある。なお、目立ちやすい青色を隠すため、メタルクリップ18で吸収プレート40(ラッチ部46)を隠している。
【0045】
吸収プレート40は、吸収面42と、収容部44と、ラッチ部46とを備えている。
【0046】
吸収面42は、吸収プレート40の下面であり、シャッター30の反射部32による反射光(光信号)が照射される面である。
【0047】
収容部44は、吸収プレート40の上面に設けられており、シャッター30の固定部34を収容し、固定する機能を有する。本実施形態では、吸収プレート40の上面に収容部44が設けられているので、シャッター30の固定部34を覆うように吸収プレート40を配置することができる。これにより、プラグ側光コネクタ100の着脱の繰り替えしによって、変形部33が徐々に変形し、反射光の照射位置がシャッター30の反射部32の根元に徐々に接近してきても、吸収プレート40がシャッター30の固定部34を覆っているため、吸収プレート40(吸収面42)が反射光を吸収し続けられる。また、吸収プレート40がシャッター30の固定部34を覆っているため、シャッター30の固定部34の長さを長くでき、シャッター30を固定しやすくなる。
【0048】
収容部44は、係止部44Aと、把持部44Bと、縁部44Cとを有している。
【0049】
係止部44Aは、シャッター30の係合穴34Aと係合する部位である。また、係止部44Aは、シャッター30の固定部34を、吸収プレート40の収容部44に固定させる機能も有する。係止部44Aは、収容部44において、上側に突出するように設けられている。
【0050】
把持部44Bは、シャッター30の縁部34Bを上下方向から挟んで把持する部位であり、縁部34Bと嵌合する形状(凹形状)となっている。把持部44Bは、シャッター30の左右方向の両端の縁部34Bに対応して、収容部44の左右方向の両側に一対設けられている。また、把持部44Bは前後方向に沿って設けられており、シャッター30の固定部34(縁部34B)は、把持部44Bに把持されつつ前後方向にスライド可能である。この把持部44Bの上部(シャッター30の縁部34Bよりも上側の部位)の肉厚があるため、シャッター30の固定部34は、ハウジング10の内壁面と非接触となる。これにより、吸収プレート40の吸収面42が高熱になったとき、ハウジング10への伝熱を抑制しながら、シャッター30にて放熱しやすくなる。
【0051】
縁部44Cは、吸収プレート40の吸収面42の左右方向の縁部分であり、ハウジング10のレール部14にスライドさせる部位である(図4B参照)。
【0052】
ラッチ部46は、ハウジング10の係合穴12に引っ掛かる部位である。また、ラッチ部46は、係合穴12に係合することにより、ハウジング10に吸収プレート40を固定させる。ラッチ部46は吸収プレート40の後端部において上側に突出するように(上側に凸状に)設けられている。
【0053】
ハウジング10のレール部14は、プラグ側光コネクタ100の収容部に設けられている(図2図4B参照)。レール部14は、吸収プレート40の左右の縁部44Cを前後方向に移動可能に上下方向から把持するものである。また、レール部14には、シャッター30の固定部34を吸収プレート40の収容部44に収容した状態で、吸収プレート40を取り付け可能である。このようにレール部14を設けていることにより、ハウジング10に対して吸収プレート40が着脱可能になっている。これにより、吸収プレート40が反射光によって劣化しても、劣化した吸収プレート40を交換可能である。
【0054】
なお、レール部14は、ハウジング10のキー溝とは反対側(上方)に配置している。これはキー溝の側ではハウジング10の肉厚が薄いためである。
【0055】
・組立方法
以下、光コネクタ部品1の組立方法(ハウジング10へのシャッター30と吸収プレート40の取り付け方法)について説明する。
【0056】
まず、シャッター30を吸収プレート40に固定する。すなわち、シャッター30の縁部34Bを吸収プレート40の把持部44Bにスライドさせる。スライドさせていくと、図4Aに示すように、シャッター30の係合穴34Aと吸収プレート40の係止部44Aとが係合する。これにより、シャッター30の固定部34が、吸収プレート40の収容部44に固定される。換言すると、シャッター30(反射部32)が吸収プレート40に固定される。
【0057】
次に シャッター30を固定した吸収プレート40をハウジング10内に固定する。ここでは、吸収プレート40の縁部44Cをハウジング10のレール部14にスライドさせる(図4A図4B参照)。スライドさせていくと、吸収プレート40のラッチ部46が、ハウジング10の係合穴12に引っ掛かる(図2参照)。これにより、吸収プレート40がハウジング10に固定される。さらに、吸収プレート40にはシャッター30が固定されているので、シャッター30がハウジング10に対して固定される。
【0058】
このように、本実施形態では、予め、シャッター30を固定した吸収プレート40をハウジング10内に取り付けているので、狭いハウジング10内での取り付け作業は1回で済む。
【0059】
・光コネクタ部品1の動作
光コネクタ部品1のハウジング10にプラグ側光コネクタ100を挿入(収容)すると、シャッター30にプラグ側光コネクタ100のハウジングが接触する。これにより、シャッター30の変形部33が変形して、反射部32が開く(上方に向かう)。そして、プラグ側光コネクタ100とレセプタクル側光コネクタ20の端面同士(光ファイバの端面同士)が接続(光接続)される。
【0060】
ハウジング10からプラグ側光コネクタ100を抜き取ると、変形部33が元に戻ろうとして、シャッター30の反射部32が閉じる(下方に向かう)。このため、レセプタクル側光コネクタ20の光ファイバから出射される光信号は、反射部32で反射されて、吸収プレート40の吸収面42に照射されるようになる。よって、光信号を遮蔽することができ、光信号による目への害を抑制することができる(アイセーフティ)。また、吸収プレート40は、反射光を吸収し、且つ、ハウジング10よりも耐熱性が高いので、反射光の照射によってハウジング10が溶けてしまうことを抑制できる。
【0061】
・実施例
第1実施形態の光コネクタ部品1を作成し、反射光による影響の評価を行った。比較例として、吸収プレート40(耐熱性樹脂)が無いものを用いた。なお、比較例では、反射光はハウジングに照射される。
【0062】
図5は、実施例の評価結果の説明図である。
評価結果では、ハウジングが溶けたものを×、溶け始めているものを△、溶けていないものを○で示している。
【0063】
図に示すように、比較例ではすべての入射パワーに対してハウジングが溶けている。これに対し、実施例では、0.5W、1.0Wではハウジングが溶けておらず、1.5Wで溶け始めている。
【0064】
このように、本実施例では反射光でハウジングが溶けるのを抑制できることが確認された。
【0065】
以上、説明したように、本実施形態の光コネクタ部品1は、レセプタクル側光コネクタ20(光伝送路の端部)を収容するハウジング10と、光ファイバから出力される光信号を反射する反射部32を有し、ハウジング10内で開閉可能なシャッター30と、ハウジング10よりも耐熱性が高く、反射部32に反射された反射光が照射される吸収プレート40(吸収面42)とを備えている。これにより、吸収プレート40が反射光を吸収し、且つ、ハウジング10よりも耐熱性が高いので、反射光の照射によってハウジング10が溶けるのを抑制することができる。
【0066】
また、シャッター30は、反射部32を開閉させる変形部33と、反射部32を固定する固定部34とを有し、光吸収部材40は、固定部34を覆うように配置されている。これにより、プラグ側光コネクタ100の着脱の繰り替えしによって、変形部33が徐々に変形しても反射光を吸収し続けることができる。また、固定部30の長さを長くできシャッター30を固定しやすくできる。
【0067】
===第2実施形態===
第2実施形態の光コネクタ部品は、アダプタである点が第1実施形態と異なっている。
【0068】
図6は、第2実施形態の光コネクタ部品1´を示す説明図である。また、図7は、第2実施形態の光コネクタ部品1´へのシャッター30及び吸収プレート40の取り付けの説明図である。第2実施形態の光コネクタ部品1´は、両側から光コネクタを着脱可能な光コネクタ用アダプタである。
【0069】
第2実施形態の光コネクタ部品1´のハウジング(アダプタ)10´には、前後方向の両側に光コネクタ100´(MPOコネクタ)を着脱可能に収容する収容部が設けられている。なお、光コネクタ100´は、第1実施形態のプラグ側光コネクタ100と同様のものである。また、第2実施形態の光コネクタ部品1´では、サイズの縮小を図るため、ハウジング10´の収容部の構造が前側と後側で上下逆になっている。つまり、図6に示すように、一方の光コネクタ100´と他方の光コネクタ100´は、互いに上下逆向きにハウジング10´に収容されることになる。
【0070】
また、図7に示すように、ハウジング10´の前側と後側のそれぞれの収容部には、シャッター30及び吸収プレート40が収容されている。ここでは、シャッター30を固定した吸収プレート40をハウジング10´の各収容部に(上下逆向きに)取り付けている。但し、これには限られず、片方のみにシャッター30及び吸収プレート40を収容してもよい。この場合、ハウジング10´の片方に光コネクタ100´を収容するときには、シャッター30によって光信号が遮蔽・反射される側の収容部に光コネクタ100´を収容すればよい。
【0071】
この第2実施形態においても、光コネクタ100´から出射される光信号による目への害を抑制でき(アイセーフティ)、また、反射光が吸収プレート40に照射されるので、反射光でハウジング10´が溶けるのを抑制することができる。
【0072】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【0073】
吸収プレート40の材質や色は前述の実施形態には限られない。例えば、前述の実施形態では、吸収プレート40の色は青色であったが、反射光を適度に吸収する色であればよい。例えば、赤色でもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 光コネクタ部品、1´ 光コネクタ部品、
10 ハウジング(レセプタクル)、10´ ハウジング(アダプタ)、
12 係合穴、14 レール部、18 メタルクリップ、
20 レセプタクル側光コネクタ、22 フェルール、
22A 本体部、22B 鍔部、22C ガイド穴、22D 光ファイバ穴、
23 ガイドピン、24 ブーツ、25 フローティング機構、
26 ピンクランプ、27 スプリング、28 スプリングプッシュ、
28A 枠状本体、28B 嵌合用突壁部、28C 係止爪、
30 シャッター、32 反射部、33 変形部、34固定部、
34A 係合穴、34B 縁部、
40 吸収プレート、42 吸収面、
44 収容部、44A 係止部、44B 把持部、44C 縁部、
46 ラッチ部、
100 プラグ側光コネクタ、100´ 光コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7