特許第6588730号(P6588730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588730
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】列車運行支援システム
(51)【国際特許分類】
   B61L 27/00 20060101AFI20191001BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20191001BHJP
【FI】
   B61L27/00 K
   B60L3/00 N
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-94149(P2015-94149)
(22)【出願日】2015年5月1日
(65)【公開番号】特開2016-210251(P2016-210251A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年4月5日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年11月1日に頒布された第51回鉄道サイバネ・シンポジウム論文集に掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 敏博
(72)【発明者】
【氏名】道下 一幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康裕
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−131324(JP,A)
【文献】 特開平11−17576(JP,A)
【文献】 特開2006−56442(JP,A)
【文献】 特開2013−75644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00−99/00
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の円滑な運行を支援する列車運行支援システムにおいて、
保守用車両が走行する出発点から到着点までの進路設定要求を送信し、前記保守用車両が前記到着点に到着した場合には進路解除要求を送信する保守用車両の作業員が携帯する端末装置と、
前記端末装置から進路設定要求を受信した場合に要求された進路の線路閉鎖を行うと共に保守用車両の進路設定である旨登録し、前記端末装置から進路解除要求を受信し、且つ、前記登録がある場合には前記到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除する保守用制御サーバと、
を備え
前記保守用制御サーバは、前記到着点が待避可能な番線である場合において、前記端末装置から進路解除要求を受信し、且つ、前記登録がある場合には前記到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除することを特徴とする列車運行支援システム。
【請求項2】
前記保守用制御サーバは、前記線路閉鎖が行われた区間に列車が接近した場合において、前記端末装置から進路解除要求を受信し、且つ、前記登録がある場合には前記到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除することを特徴とする請求項1記載の列車運行支援システム。
【請求項3】
前記保守用制御サーバは、前記到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除した状態で、且つ、列車が前記要求された進路に在線している場合には、前記端末装置からの進路設定要求を受信しても線路閉鎖を行わないことを特徴とする請求項1又は2に記載の列車運行支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道における保守作業に伴う線路閉鎖を部分的に解除して列車の円滑な運行を支援することができる列車運行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道における軌道の狂い(軌間・通り・高低・水準・平面性等)の修正、レールの交換、バラスト(砂利)の入れ替え等の保守作業は、保守用車両を用いて行われる。このような保守用車両は、通常の列車や車両(以下、列車等と呼ぶ。)が走行する線路上を走行しながら作業を行う。
【0003】
但し、保守用車両には、通常の列車等とは異なり軌道回路を短絡しないで走行(絶縁走行)するものもあり、この場合、軌道回路では保守用車両の在線を検知することはできず、列車等との衝突の可能性がある。
【0004】
このため、保守用車両にGPS(Global Positioning System)機能を有する車載装置や、ID(IDentifier)タグの読み取り機能を有する車載装置を搭載して、GPS機能による保守用車両の位置(緯度経度)検知や、地上側に設置したIDタグを読み取ることによる位置の検知を用いて、保守用車両の位置を検出して、列車等との衝突を回避するシステムが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−237817号公報
【特許文献2】特開2008−247216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2の在線検知システムでは、いずれもGPS機能やIDタグの読み取り機能を有する車載装置を保守用車両に搭載する必要性があり、全体として高価なシステムになってしまう。
【0007】
また、特許文献1及び2のような在線検知を行わずに、保守作業において絶縁走行する保守用車両を用いる場合には、安全のため、保守用車両の全ての移動範囲(保守用車両が車庫を出発して戻るまで)を線路閉鎖する必要性がある。
【0008】
このように保守作業範囲の線路閉鎖は、通常は、列車の運行がない夜間に実施されるため、通常の列車の運行には支障がないものの、貨物列車や夜行列車等の夜間に運行される列車は、保守作業を完了するまで当該保守作業範囲に進行することはできない。
【0009】
但し、線区によっては、保守作業中に保守用車両を一時的に待避させる副本線(待避線)等が存在する場合があり、このような副本線に実際に保守用車両が在線している場合であっても、保守用車両の在線位置を特定できないため、貨物列車や夜行列車等の追い越しやすれ違い等を許可することはできず、貨物列車や夜行列車等の円滑な運行を支援することはできないといった問題点があった。
【0010】
本発明の課題は、列車の円滑な運行を支援することができる列車運行支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、この発明は、
列車の円滑な運行を支援する列車運行支援システムにおいて、
保守用車両が走行する出発点から到着点までの進路設定要求を送信し、前記保守用車両が前記到着点に到着した場合には進路解除要求を送信する保守用車両の作業員が携帯する端末装置と、
前記端末装置から進路設定要求を受信した場合に要求された進路の線路閉鎖を行うと共に保守用車両の進路設定である旨登録し、前記端末装置から進路解除要求を受信し、且つ、前記登録がある場合には前記到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除する保守用制御サーバと、
を備え
前記保守用制御サーバは、前記出発点が本線であり、前記到着点が副本線である場合において、前記端末装置から進路解除要求を受信し、且つ、前記登録がある場合には前記到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除するようにしたものである。
【0012】
保守用制御サーバが、端末装置から進路解除要求を受信し、且つ、当該線路閉鎖が保守用車両からの要求である旨の登録がある場合、保守用車両が到着点に在線していることが分かるので、到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除することにより、保守作業に伴う線路閉鎖を部分的に解除することができ、追い越し、或いは、すれ違いの他の列車が、本来、線路閉鎖されている区間を通過することができるので、列車の円滑な運行を支援することができる。
【0013】
保守用制御サーバが、前記到着点が待避可能な番線である場合において、端末装置から進路解除要求を受信し、且つ、当該線路閉鎖が保守用車両からの要求である旨の登録がある場合、保守用車両が到着点(副本線等の待避可能な番線)に在線していることが分かるので、待避可能な番線における線路閉鎖を維持して、本線の線路閉鎖を解除することにより、保守作業に伴う線路閉鎖を部分的に解除することができ、追い越し、或いは、すれ違いの他の列車が、本来、線路閉鎖されている区間を通過することができるので、列車の円滑な運行を支援することができる。
【0014】
また、望ましくは、前記保守用制御サーバは、前記線路閉鎖が行われた区間に列車が接近した場合において、前記端末装置から進路解除要求を受信し、且つ、前記登録がある場合には前記到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除するようにしたものである。
保守用制御サーバが、線路閉鎖区間に列車が接近し、端末装置から進路解除要求を受信し、且つ、当該線路閉鎖が保守用車両からの要求である旨の登録がある場合、保守用車両が到着点に在線していることが分かるので、到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除することにより、線路閉鎖区間に列車が接近した時点で、保守作業に伴う線路閉鎖を部分的に解除することができ、追い越し、或いは、すれ違いの他の列車が、本来、線路閉鎖されている区間を通過することができるので、列車の円滑な運行を支援することができる。
【0015】
また、望ましくは、前記保守用制御サーバは、前記到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除した状態で、且つ、列車が前記要求された進路に在線している場合には、前記端末装置からの進路設定要求を受信しても線路閉鎖を行わないようにしたものである。
保守用制御サーバは、到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除した状態では、保守用車両は副本線(待避線)に在線していることが分かるので、要求された進路に列車が在線している場合、端末装置1から進路設定要求を受信しても線路閉鎖を行わずに、そのまま当該列車を通過させることにより、列車との衝突を未然に回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、保守用車両が走行する出発点から到着点までの進路設定要求を送信し、保守用車両が到着点に到着した場合には進路解除要求を送信する保守用車両の作業員が携帯する端末装置と、端末装置から進路設定要求を受信した場合に要求された進路の線路閉鎖を行うと共に保守用車両の進路設定である旨登録し、端末装置から進路解除要求を受信し、且つ、前記登録がある場合、到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除する保守用制御サーバとを備えることにより、保守用車両が到着点に在線していることが分かるので、保守作業に伴う線路閉鎖を部分的に解除することができ、追い越し、或いは、すれ違いの他の列車が、本来、線路閉鎖されている区間を通過することができるので、列車の円滑な運行を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係る列車運行支援システムの構成の一例を示す概略構成図である。
図2】端末装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】保守用制御サーバの進路設定要求受信時の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】保守用車両と線路閉鎖との関係の一例を示す説明図である。
図5】保守用制御サーバの進路解除要求受信時の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】保守用車両と線路閉鎖との関係の他の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態)
[1.構成の説明]
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態である列車運行支援システムを詳細に説明する。但し、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0019】
[1−1.列車運行支援システムの構成の説明]
本発明の実施形態の列車運行支援システムの構成について図1を参照して説明する。図1は、列車運行支援システム100(以下、単にシステム100と呼ぶ。)の機能をブロック図として表した概略構成図である。
図1に示すように、システム100は、保守用車両が走行する出発点から到着点までの進路設定要求を送信し、保守用車両が到着点に到着した場合には進路解除要求を送信する操作を行うために保守用車両の作業員が携帯する端末装置1、端末装置1から進路設定要求や進路解除要求を受信した場合に要求された進路の線路閉鎖や線路閉鎖の解除を行う保守用制御サーバ2、を有する構成である。
システム100において、端末装置1と保守用制御サーバ2は通信ネットワークNにより互いに通信可能に接続される。具体的には、通信ネットワークNは、インターネットや電気通信事業者等の電話回線網や携帯電話通信網等である。
【0020】
端末装置1は、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、ノート型PC等の保守用車両の作業員が携帯可能な装置である。このような端末装置1は通信ネットワークN(具体的には、端末装置1の通信回線や無線LAN(Local Area Network)等)を用いて保守用制御サーバ2との間で相互に通信を行う。
【0021】
保守用制御サーバ2は、端末装置1から送信される進路設定要求を受信した場合に要求された進路の線路閉鎖を行うと共に保守用車両の進路設定である旨登録し、端末装置1から進路解除要求を受信し、且つ、前記登録がある場合には到着点における線路閉鎖は維持して、その他の線路閉鎖は解除する。保守用制御サーバ装置は、PC、WS(Work Station)等の情報機器であってよい。
【0022】
[1−2.端末装置1の構成の説明]
次に、端末装置1の詳細について説明する。
端末装置1は、制御部11、操作部12、表示部13、記憶部14、通信部15を有する。また、端末装置1において、制御部11、操作部12、表示部13、記憶部14及び通信部15は内部バス等により互いに接続される。
【0023】
制御部11は、端末装置1の動作を中央制御する。具体的には、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有しており、RAMの作業領域に展開されたROMや記憶部14に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により各部を統括制御する。
【0024】
操作部12は、ユーザからの操作入力を受け付け、当該操作入力に応じた操作信号を制御部11へ出力する。例えば、操作部12は、文字入力キー、数字入力キー、カーソルキー、その他各種機能に対応付けられたキーなどを有するキー入力部であってよい。また、スマートフォンやタブレット端末等のように操作部12は、表示部13と一体的に形成されたタッチパネルなどであってもよい。
【0025】
表示部13は、制御部11から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。例えば、表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)素子を用いたFPD(Flat Panel Display)などであってよい。また、スマートフォンやタブレット端末等のように表示部13は、操作部12と一体的に形成されたタッチパネルなどであってもよい。
【0026】
記憶部14は、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部11から読み書き可能に記憶する。例えば、記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリなどであってよい。
【0027】
通信部15は、アンテナや通信回路を有し、制御部11による制御の下で外部機器との間の無線通信や有線通信を行う。具体的には、通信部15は、通信ネットワークNを介してデータ通信を行う。
【0028】
[1−3.保守用制御サーバ2の構成の説明]
次に、保守用制御サーバ2の詳細について説明する。
保守用制御サーバ2は、制御部21、操作部22、表示部23、記憶部24、通信部25を有する。また、サーバ装置2において、制御部21、操作部22、表示部23、記憶部24及び通信部25は内部バス等により互いに接続される。
【0029】
制御部21は、保守用制御サーバ2の動作を中央制御する。具体的には、制御部21は、CPU、ROM、RAMなどを有しており、RAMの作業領域に展開されたROMや記憶部24に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により各部を統括制御する。
【0030】
操作部22は、ユーザからの操作入力を受け付け、当該操作に応じた操作信号を制御部21へ出力する。例えば、操作部22は、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを備えたキーボード、マウス等のポインティングデバイスなどであってよい。
【0031】
表示部23は、制御部21から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。例えば、表示部23は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCDなどであってよい。
【0032】
記憶部24は、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部21から読み書き可能に記憶する。例えば、記憶部24は、HDD、半導体メモリなどであってよい。
【0033】
通信部25は、制御部21の制御の下、所定の通信プロトコルを用いて通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。具体的には、通信部25は、通信用IC(Integrated Circuit)と通信コネクタなどを有する通信インターフェイスである。
【0034】
[2.動作の説明]
本発明の実施形態におけるシステム100の具体的な動作の説明を図2図6を用いて詳細に行う。以下、説明の便宜上、端末装置1や保守用制御サーバ2の制御部が主体となる処理は、「端末装置1」、「保守用制御サーバ2」をその処理の主体として説明する。
【0035】
[2−1.端末装置1の動作の説明]
ここで、端末装置1の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
端末装置1は、保守用車両の作業員が進路設定要求の操作を行ったか否かを判断する(ステップS21)。例えば、保守用車両の作業員は、進路の出発点と到着点とを指定して進路設定要求を保守用制御サーバ2に送信するように端末装置1を操作する。
【0036】
端末装置1は、保守用車両の作業員が進路設定要求の操作を行っていないと判断した場合(ステップS21:No)、ステップS21に戻り、保守用車両の作業員が進路設定要求の操作を行ったと判断した場合(ステップS21:Yes)、保守用制御サーバ2に通信ネットワークNを介して進路設定要求を送信する(ステップS22)。
【0037】
そして、端末装置1は、通信部15が保守用制御サーバ2から進路の設定完了の通知を受信したか否かを判断し(ステップS23)、保守用制御サーバ2から進路の設定完了の通知を受信していないと判断した場合(ステップS23:No)、ステップS23に戻り、保守用制御サーバ2から進路の設定完了の通知を受信したと判断した場合(ステップS23:Yes)、表示部13に進路の設定が完了した旨の表示を行う(ステップS24)。
【0038】
例えば、保守用車両の作業員は、端末装置1の表示部13に進路の設定が完了した旨の表示がされたことを確認した上で、出発点から保守用車両を進行させ、設定した進路を到着点まで走行させる。
【0039】
端末装置1は、保守用車両の作業員が進路解除要求の操作を行ったか否かを判断する(ステップS25)。例えば、保守用車両が設定した進路を走行して到着点に到着し、当該到着点が一時的に待避が可能な副本線(待避線)等の場合、保守用車両の作業員は、他の列車の運行の支障とならないよう、速やかに、進路解除要求を保守用制御サーバ2に送信するように端末装置1を操作をして、線路閉鎖を部分的に解除した上で、当該該到着点での保守作業を行う。
勿論、当該到着点が一時的に待避が可能な副本線(待避線)等ではない場合には、進路解除要求の操作を行うことなく、線路閉鎖を維持したまま保守作業を行う。
【0040】
端末装置1は、保守用車両の作業員が進路解除要求の操作を行っていないと判断した場合(ステップS25:No)、ステップS25に戻り、保守用車両の作業員が進路解除要求の操作を行ったと判断した場合(ステップS25:Yes)、保守用制御サーバ2に通信ネットワークNを介して進路解除要求を送信する(ステップS26)。
【0041】
最後に、端末装置1は、通信部15が保守用制御サーバ2から進路の解除完了の通知を受信したか否かを判断し(ステップS27)、保守用制御サーバ2から進路の解除完了の通知を受信していないと判断した場合(ステップS27:No)、ステップS27に戻り、保守用制御サーバ2から進路の解除完了の通知を受信したと判断した場合(ステップS27:Yes)、表示部13に進路の解除が完了した旨の表示を行う(ステップS28)。
【0042】
例えば、保守用車両の作業員は、端末装置1の表示部13に進路の解除が完了した旨の表示がされたことを確認した場合には、保守用車両をそれ以上移動させることはできず、その場(到着点)に留まる。
【0043】
[2−2.進路設定要求受信時の保守用制御サーバ2の動作の説明]
また、ここで、保守用制御サーバ2の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。図3は保守用制御サーバ2の進路設定要求受信時の動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
保守用制御サーバ2は、通信部25が端末装置1から進路設定要求を受信したか否かを判断する(ステップS31)。もし、保守用制御サーバ2が、端末装置1から進路設定要求を受信していないと判断した場合(ステップS31:No)、ステップS31に戻る。
【0045】
一方、保守用制御サーバ2が、端末装置1から進路設定要求を受信したと判断した場合(ステップS31:Yes)、保守用制御サーバ2は、受信した進路設定要求が保守用車両からものであるか否かを判断する(ステップS32)。
【0046】
例えば、受信した進路設定要求が保守用車両からものであるか否かの判断は、送信元情報や進路設定要求に付加された情報等を照査することにより判断してもよい。また、その他公知の技術を用いてもよい。
【0047】
そして、保守用制御サーバ2が、受信した進路設定要求が保守用車両からものであると判断した場合(ステップS32:Yes)、当該進路設定が保守用車両からの要求である旨を登録し(ステップS33)、受信した進路設定要求に基づき進路の線路閉鎖を実施する(ステップS34)。
【0048】
例えば、進路設定が保守用車両からの要求である旨を登録としては、保守用制御サーバ2が、進路設定が保守用車両からの要求であるか否かを示すフラグを備え、進路設定が保守用車両からの要求である場合は、当該フラグを”1”に設定(登録)する。
【0049】
一方、保守用制御サーバ2が、受信した進路設定要求が保守用車両からものではないと判断した場合(ステップS32:No)、受信した進路設定要求に基づき進路の線路閉鎖を実施する(ステップS34)。
【0050】
また、保守用制御サーバ2は、進路設定が保守用車両からの要求ではない場合は、必要に応じて、進路設定が保守用車両からの要求であるか否かを示すフラグを”0”に設定(解除)してもよい。
【0051】
最後に、保守用制御サーバ2は、進路設定要求に基づく設定(線路閉鎖)が完了した通知を端末装置1に送信する(ステップS35)。
【0052】
例えば、図4(a)に示すように、保守用車両MT41が、出発点SP41に在線して、保守用車両の作業員が到着点AP41までの進路設定要求の操作を行った場合、図4(b)に示すように、保守用制御サーバ2は、当該進路設定が保守用車両によるものであることを登録した上で、分岐器PT41を反位に転換して進路を設定すると共に、当該進路の線路閉鎖LL41を実施する。
【0053】
そして、例えば、図4(b)に示すように、保守用車両MT41の作業員は、端末装置1の表示部13に進路の設定が完了した旨の表示がされたことを確認した上で、保守用車両MT41を出発点SP41から到着点AP41まで矢印MV41に示すように走行させる。
【0054】
[2−3.進路解除要求受信時の保守用制御サーバ2の動作の説明]
また、ここで、保守用制御サーバ2の動作について図5のフローチャートを用いて説明する。図5は保守用制御サーバ2の進路解除要求受信時の動作の一例を示すフローチャートである。
【0055】
保守用制御サーバ2は、通信部25が端末装置1から進路解除要求を受信したか否かを判断する(ステップS51)。もし、保守用制御サーバ2が、端末装置1から進路解除要求を受信していないと判断した場合(ステップS51:No)、ステップS51に戻る。
【0056】
一方、保守用制御サーバ2が、端末装置1から進路解除要求を受信したと判断した場合(ステップS51:Yes)、保守用制御サーバ2は、受信した進路解除要求に関連する線路閉鎖が保守用車両からの要求である旨の登録の有無を判断する(ステップS52)。
【0057】
例えば、保守用制御サーバ2は、進路設定が保守用車両からの要求であるか否かを示すフラグが”1”に設定(登録)されているか否かを判断する。
【0058】
保守用制御サーバ2が、端末装置1から受信した進路解除要求に関連する線路閉鎖が保守用車両からの要求である旨の登録があると判断した場合(ステップS52:Yes)、保守用車両が到着点に在線していることが分かるので、到着点の線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除し(ステップS53)、端末装置1から受信した進路解除要求に関連する線路閉鎖が保守用車両からの要求である旨の登録がないと判断した場合(ステップS52:No)、全ての線路閉鎖を解除する(ステップS54)。
【0059】
最後に、保守用制御サーバ2は、進路解除要求に基づく設定(線路閉鎖)の解除が完了した通知を端末装置1に送信する(ステップS55)。
【0060】
例えば、図6に示すように、保守用車両MT41が、到着点AP61に在線して、保守用車両の作業員が進路解除要求の操作を行った場合、図6に示すように、保守用制御サーバ2は、当該線路閉鎖が保守用車両からの要求である旨の登録を確認した上で、分岐器PT61を定位に転換して設定された進路を解除すると共に、到着点AP61の線路閉鎖LL61を維持すると共に、その他の線路閉鎖を解除する。
【0061】
そして、例えば、図6に示すように、保守用制御サーバ2は、部分的に線路閉鎖を解除して、追い越しの列車TR61の進路を確保した上で、列車TR61を矢印MV61に示すように通過させる。この時、到着点AP61の線路閉鎖LL61は維持されているので、列車TR61の円滑な運行を支援すると共に、保守用車両MT41の安全は確保される。
【0062】
以上のように、保守用車両が走行する出発点から到着点までの進路設定要求を送信し、保守用車両が到着点に到着した場合には進路解除要求を送信する保守用車両の作業員が携帯する端末装置1と、端末装置1から進路設定要求を受信した場合に要求された進路の線路閉鎖を行うと共に保守用車両の進路設定である旨登録し、端末装置1から進路解除要求を受信し、且つ、登録がある場合、保守用車両が到着点に在線していることが分かるので、到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除する保守用制御サーバ2とを備えることにより、保守作業に伴う線路閉鎖を部分的に解除することができ、追い越し、或いは、すれ違いの他の列車が、本来、線路閉鎖されている区間を通過することができるので、列車の円滑な運行を支援することができる。
【0063】
なお、実施形態の説明に際しては、保守用制御サーバ2は、進路解除要求を受信し、進路設定が保守用車両によるものである登録を確認した場合、保守用車両が到着点に在線していることが分かるので、到着点の線路閉鎖を維持すると共に、その他の線路閉鎖を解除しているが、到着点が副本線(待避可能な番線)である場合において、端末装置1から進路解除要求を受信し、進路設定が保守用車両によるものである登録を確認した場合、到着点(副本線等の待避可能な番線)の線路閉鎖を維持すると共に、その他(本線)の線路閉鎖を解除してもよい。
【0064】
この場合には、保守作業に伴う線路閉鎖を部分的に解除することができ、追い越し、或いは、すれ違いの他の列車が、本来、線路閉鎖されている区間を通過することができるので、列車の円滑な運行を支援することができる。
【0065】
また、実施形態の説明に際しては、保守用制御サーバ2は、進路解除要求を受信し、進路設定が保守用車両によるものである登録を確認した場合、保守用車両が到着点に在線していることが分かるので、到着点の線路閉鎖を維持すると共に、その他の線路閉鎖を解除しているが、線路閉鎖区間に列車が接近した場合において、端末装置1から進路解除要求を受信し、進路設定が保守用車両によるものである登録を確認した場合、到着点の線路閉鎖を維持すると共に、その他の線路閉鎖を解除してもよい。
【0066】
この場合には、線路閉鎖区間に列車が接近した時点で、保守作業に伴う線路閉鎖を部分的に解除することができ、追い越し、或いは、すれ違いの他の列車が、本来、線路閉鎖されている区間を通過することができるので、列車の円滑な運行を支援することができる。
【0067】
また、実施形態の説明に際しては、列車の円滑な運行を支援するため、保守用車両を一時的に副本線(待避線)に待避させ、追い越し、或いは、すれ違いの他の列車を通過させているが、列車を通過させた後は、必要に応じて、再度、保守用車両の作業員は進路設定要求の操作を行い、進路の設定の完了を確認してから、保守用車両を進行させて、保守作業を継続することができる。
【0068】
このような再度の進路設定要求の際、保守用制御サーバ2は、保守用車両が到着点に在線しているので、到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除した状態で、列車が要求された進路にまだ在線している場合、端末装置1から進路設定要求を受信しても線路閉鎖を行わないようにしてもよい。
【0069】
この場合、到着点における線路閉鎖を維持して、その他の線路閉鎖を解除した状態では、保守用車両は副本線(待避線)に在線していることが分かるので、要求された進路に列車がまだ在線している場合、端末装置1から進路設定要求を受信しても線路閉鎖を行わずに、そのまま当該列車を確実に通過させることにより、保守用車両と当該列車との衝突を未然に回避することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 端末装置
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 通信部
2 保守用制御サーバ
21 制御部
22 操作部
23 表示部
24 記憶部
25 通信部
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6