(54)【発明の名称】ベルト駆動装置、ベルト駆動装置を備えるシートの搬送装置及びその搬送装置を用いたシートの搬送方法、並びにシートの加工装置及びその加工装置を用いたシートの加工方法
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定ロール、前記自動調芯ロール及び前記テンションロールは、前記無端ベルトの内側に配されて、前記駆動ロールは、該無端ベルトの外側に配されている請求項1に記載のシートの搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のベルト駆動装置及びベルト駆動装置を備えたシートの搬送装置をその好ましい第1実施態様に基づき、
図1〜
図6を参照しながら説明する。
第1実施形態のシートの搬送装置1A(以下、単に「搬送装置1A」ともいう。)は、
図1に示すように、複数個のロール2,2,2,・・・と、複数個のロール2,2,2,・・・に巻きかけられた無端ベルト3とを備え、複数個のロール2を回転させて無端ベルト3を周回させるベルト駆動装置100を備え、無端ベルト3上に配された帯状のシート4を搬送するシートの搬送装置である。
【0019】
複数個のロール2は、
図1〜
図2に示すように、駆動する少なくとも1個の駆動ロール21と駆動ロール21に従動する複数個の従動ロール22とからなる。以下の説明では、駆動ロール21の軸方向をX方向として説明する。尚、搬送装置1Aにおいては、各従動ロール22の軸方向は、駆動ロール21の軸方向(X方向)と一致している。また、帯状のシート4の搬送方向をY方向として説明する。
【0020】
駆動ロール21は、
図1〜
図3に示すように、矢印R方向に回転駆動される円筒形状の駆動ロール本体部211を有している。駆動ロール本体部211は、軸方向(X方向)の基端側の端部に円盤状の固定板212と、固定板212の中心部に中心軸部213とを有している。駆動ロール本体部211の中心軸部213は、支持体(不図示)に保持されており、モータ等の原動機からの動力を受けて、駆動ロール本体部211が、矢印R方向に回転駆動するようになっている。駆動ロール本体部211は、軸方向(X方向)の長さが、帯状のシート4及び該シート4を配する無端ベルト3の幅よりも長く形成されている。駆動ロール本体部211には、軸方向(X方向)の両端部に、駆動ロール本体部211の周面から隆起し、無端ベルト3の脱落を防止するフランジ214,214が全周に亘って設けられている。駆動ロール本体部211、固定板212、中心軸部213及びフランジ214は、金属製の剛体からなり、一体に形成されている。
【0021】
複数個の従動ロール22の内の1個は、無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて周面が揺動しない固定ロール23であり、複数個の従動ロール22の内の1個は、無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて周面が揺動する自動調芯ロール24であり、複数個の従動ロール22の内の1個は、無端ベルト3のテンションを調整するテンションロール25である。以下、固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25について詳述する。
【0022】
固定ロール23は、従動ロール22であり、
図1〜
図2,
図4に示すように、矢印方向に回転する円筒形状の固定ロール本体部231と、固定ロール本体部231の内側に円柱状のシャフト(不図示)とを有している。固定ロール23のシャフト(不図示)は、その基端側の端部が、支持体(不図示)に保持されている。シャフト(不図示)は、転がり軸受(不図示)を介して固定ロール本体部231を支持している。固定ロール本体部231は、その軸方向の長さが、帯状のシート4及び該シート4を配する無端ベルト3の幅よりも長く形成されている。固定ロール本体部231は、その軸方向の両端部に円盤状の固定板232,232を有している。各円盤状の固定板232は、固定ロール本体部231の軸方向の端部にて、固定ロール本体部231の円形状の内周壁に嵌合している。
【0023】
また、
図1,
図4に示すように、固定ロール本体部231には、その軸方向の両端部に、固定ロール本体部231の周面から隆起するフランジ234,234が設けられている。各フランジ234は、固定ロール本体部231の軸方向の端部にネジ235にてネジ止めされている。固定ロール本体部231の軸方向の両端部にフランジ234が全周に亘って設けられていることにより、無端ベルト3の脱落が防止できるようになっている。尚、搬送装置1Aにおいては、固定ロール23の軸方向と、駆動ロール本体部211の軸方向(X方向)とは同じ方向である。即ち、固定ロール本体部231のシャフト(不図示)と駆動ロール本体部211の中心軸部213とは平行に延びている。固定ロール本体部231、固定板232、シャフト(不図示)及びフランジ234は、金属製の剛体から形成されている。
【0024】
自動調芯ロール24は、従動ロール22であり、
図1〜
図2,
図5〜
図6に示すように、矢印方向に回転する円筒形状の自動調芯ロール本体部241と、自動調芯ロール本体部241の内側に円柱状のシャフト243とを有している。自動調芯ロール24のシャフト243は、その基端側の端部が、支持体(不図示)に保持されている。シャフト243は、搬送装置1Aにおいては、自動調芯ころ軸受5を介して自動調芯ロール本体部241を支持している。自動調芯ロール本体部241は、その軸方向の長さが、帯状のシート4及び該シート4を配する無端ベルト3の幅よりも長く形成されている。
【0025】
また、
図1,
図6に示すように、自動調芯ロール本体部241には、その軸方向の両端部に、自動調芯ロール本体部241の周面から隆起するフランジ244,244が設けられている。各フランジ244は、自動調芯ロール本体部241の軸方向の端部にネジ245にてネジ止めされている。自動調芯ロール本体部241の軸方向の両端部にフランジ244が全周に亘って設けられていることにより、無端ベルト3の脱落が防止できるようになっている。搬送装置1Aにおいては、自動調芯ロール本体部241の軸方向と、駆動ロール本体部211の軸方向(X方向)とは同じ方向である。即ち、自動調芯ロール本体部241のシャフト243と駆動ロール本体部211の中心軸部213とは平行に延びている。自動調芯ロール本体部241、シャフト243、フランジ244及び自動調芯ころ軸受5は、金属製の剛体から形成されている。
【0026】
自動調芯ロール24を構成する自動調芯ころ軸受5は、
図6に示すように、シャフト243に摩擦式締結具7を用いて固定される内輪部51を備えている。内輪部51の外周面には、シャフト243の軸方向に長い円柱状のころ52を保持する凹部53が周方向に間欠的に配されてなる凹部53の群が、軸方向(X方向)に2列形成されている。従って、各凹部53に収容されて保持されたころ52が、周方向に一定間隔を空けて配されてなるころ52の群が、軸方向(X方向)に2列形成されるようになる。搬送装置1Aにおいては、自動調芯ころ軸受5を軸方向(X方向)に視て、一方の列のころ52の群を構成する周方向に隣り合うころ52,52どうしの間に、他方の列のころ52の群を構成するころ52が1個配されるようになっている。各ころ52は、内輪部51の凹部53に収容され、保持具54により凹部53内に保持されている。
【0027】
自動調芯ロール24は、
図1,
図6に示すように、シャフト243に上述した自動調芯ころ軸受5を介して自動調芯ロール本体部241が支持されているので、無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて周面が揺動するロールとなっており、自動調芯ロール本体部241の周面が、シャフト243の軸心に対して傾く揺動ロールとなっている。
自動調芯ロール24がこのような構成を備えることにより、例えば、
図6において、無端ベルト3の幅方向のテンションが変わることで無端ベルト3が幅方向右側へ蛇行すると、自動調芯ロール本体部241は、揺動軸心を中心に、無端ベルト3の蛇行と同方向(時計回り)に傾く。それに伴い、無端ベルト3は、幅方向左側のテンションが幅方向右側のテンションと比較し、大きくなる。このため、自動調芯ロール本体部241には、揺動軸心周りに反時計回りの回動力が与えられる。このことで無端ベルト3に幅方向中央へ戻す力が与えられ、無端ベルト3のセンタリングが行われ、蛇行の抑制が可能となる。
【0028】
テンションロール25は、従動ロール22であり、
図1,
図2に示すように、矢印方向に回転する円筒形状の自動調芯ロール本体部251と、自動調芯ロール本体部251の内側に円柱状のシャフト253とを有している。テンションロール25のシャフト253は、その基端側の端部が、エアーシリンダ、油圧シリンダ、或いはジャッキボルトを介して支持体(不図示)に保持されており、テンションロール25が、支持体(不図示)に対して上下方向、或いは前後方向に移動可能となっている。シャフト253は、搬送装置1Aにおいては、自動調芯ロール24と同様に、自動調芯ころ軸受5を介して自動調芯ロール本体部251を支持している。自動調芯ロール本体部251は、その軸方向の長さが、帯状のシート4及び該シート4を配する無端ベルト3の幅よりも長く形成されている。
【0029】
また、
図1,
図2に示すように、自動調芯ロール本体部251には、その軸方向の両端部に、自動調芯ロール本体部251の周面から隆起するフランジ254,254が設けられている。各フランジ254は、自動調芯ロール本体部251の軸方向の端部にネジ255にてネジ止めされている。自動調芯ロール本体部251の軸方向の両端部にフランジ254が全周に亘って設けられていることにより、無端ベルト3の脱落が防止できるようになっている。搬送装置1Aにおいては、自動調芯ロール本体部251の軸方向と、駆動ロール本体部211の軸方向(X方向)とは同じ方向である。即ち、自動調芯ロール本体部251のシャフト253と駆動ロール本体部211の中心軸部213とは平行に延びている。自動調芯ロール本体部251、シャフト253、フランジ254及び自動調芯ころ軸受5は、金属製の剛体から形成されている。
【0030】
テンションロール25は、搬送装置1Aにおいては、自動調芯ロールとしての役割も担うロールである。即ち、テンションロール25は、支持体(不図示)に対して上下方向、或いは前後方向に移動可能となっており、無端ベルト3又は帯状のシート4のテンションを調整できるようになっている。そして、テンションロール25は、
図1,
図2に示すように、シャフト253に上述した自動調芯ころ軸受5を介して自動調芯ロール本体部251が支持されているので、無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて周面が揺動するロールとなっており、自動調芯ロール本体部251の周面が、シャフト253の軸心に対して変化する揺動ロールとなっている。
【0031】
次に、第1実施形態のベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aの特徴となるところについて説明する。特許文献1には、自動調芯プーリを配したベルト式伝動装置が開示されているが、駆動ロールと、該駆動ロールに従動する従動ロールとの配置関係によっては、ベルトの蛇行を効果的に抑えることができない配置関係があることを、本願発明者らは見出した。
すなわち、ベルトの蛇行を効果的に抑えるには駆動ロールと従動ロールとの配置関係が重要であり、本発明のベルト駆動装置及び該ベルト駆動装置を備えたシートの搬送装置においては、固定ロール23が、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の上流側に隣り合う位置に配されていることに特徴を有している。具体的には、ベルト駆動装置100及び該ベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aにおいては、
図1,
図2に示すように、従動ロール22が、固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25の3個のロールを有しており、固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25が、無端ベルト3の内側に配されている。そして、ベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aにおいては、1個の駆動ロール21が、無端ベルト3の外側に配されている。詳述すると、ベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aにおいては、搬送方向(Y方向)の上流側に固定ロール23が配され、搬送方向(Y方向)の下流側に自動調芯ロール24が配されている。そして、駆動ロール21が、固定ロール23と自動調芯ロール24との間に配置されている。また、テンションロール25は、駆動ロール21の上方に配置されている。そして、無端ベルト3が、固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25を内側にして、固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25に巻きかけられている。無端ベルト3のテンションは、テンションロール25を上下方向に移動することにより調整可能となっている。このようにテンションロール25を移動させることにより、巻きかけられた無端ベルト3のテンションを0.25N/mm以上22.5N/mm以下の範囲に調整することが望ましい。
【0032】
そして、
図1,
図2に示すように、駆動ロール21が無端ベルト3の外側に配置されている。従って、ベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aにおいては、固定ロール23は、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の上流側に隣り合う位置に配されている。また、自動調芯ロール24は、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の下流側に隣り合う位置に配されている。即ち、固定ロール23は、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の上流側の最も隣接する位置に配されている。また、自動調芯ロール24は、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の下流側の最も隣接する位置に配されている。
【0033】
また、
図1に示すように、帯状のシート4が無端ベルト3によって駆動ロール21の周面上に加圧された状態で搬送されるようになっている。具体的には、駆動ロール21を矢印R方向に駆動することにより、駆動ロール21に巻きかけられた無端ベルト3が矢印方向に回転し、無端ベルト3の巻きかけられた従動ロール22(固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25)が連れ回るようになっている。そして、無端ベルト3上に配された帯状のシート4が、無端ベルト3によって駆動ロール21の駆動ロール本体部211の周面上に加圧され、駆動ロール21が矢印R方向に回転駆動することによって、加圧状態の帯状のシート4がY方向に搬送されるようになっている。
【0034】
駆動ロール21に巻きかけられた無端ベルト3の巻きかけ角度(接触角度)の範囲は、円筒状の駆動ロール本体部211の周方向の全周に亘って無端ベルト3が接触する場合を360°とした場合に、90°以上180°以下であることが好ましく、より好ましくは100°以上150°以下である。
また、自動調芯ロール24に巻きかけられた無端ベルト3の巻きかけ角度(接触角度)の範囲は、円筒状の自動調芯ロール本体部241の周方向の全周に亘って無端ベルト3が接触する場合を360°とした場合に、45°以上270°以下であることが好ましく、より好ましくは105°以上210°以下である。
【0035】
無端ベルト3としては、加工時に発生する熱に耐えうる耐熱性を有する金属又は樹脂製のベルトを用いることができる。無端ベルト3の幅は、50mm以上500mm以下程度であることが好ましい。
【0036】
帯状のシート4としては、紙、不織布、或いは樹脂フィルム等の一枚もののシート、又は、それらの積層シートが挙げられる。積層シートとしては、具体的には、2層以上の不織布の積層シート、樹脂フィルムと不織布との積層シート、筒形状の袋内に内容物(お菓子類、ウエットティシュ等)を装填したシート、吸収体を備える吸収性本体とともに二つ折りされた外包材の連続体からなる帯状のおむつ連続体(例えば特開2008−137271号公報の
図3に示されるもの)等が挙げられる。シート4の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0037】
上述した搬送装置1Aを用いて、帯状のシート4を搬送するシートの搬送方法の第1実施態様について
図1を参照しながら説明する。
第1実施態様のシートの搬送方法は、複数個のロール2,2,2,・・・に巻きかけられた無端ベルト3上に配された帯状のシート4を搬送する搬送工程を備えている。搬送工程では、上述した搬送装置1Aが用いられている。具体的には、先ず、無端ベルト3の外側に配置された駆動ロール21を矢印R方向に駆動させることにより、駆動ロール21に巻きかけられた無端ベルト3を矢印方向に移動させる。その際、無端ベルト3の内側に配置され巻きかけられた従動ロール22(固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25)が連れ回り、無端ベルト3を矢印方向に連続的に回転させる。
【0038】
次いで、帯状のシート4を、案内ロール(不図示)によって所定のテンションを掛けた状態で、矢印R方向に駆動する駆動ロール21の駆動ロール本体部211の周面と無端ベルト3との間に導入する。そして、無端ベルト3上に配された帯状のシート4を、無端ベルト3によって駆動ロール21の駆動ロール本体部211の周面上に加圧し、駆動ロール21が矢印R方向に回転駆動することによって、加圧状態の帯状のシート4をY方向に搬送する。
【0039】
次いで、下流側の自動調芯ロール24によって、加圧状態の帯状のシート4を駆動ロール21の駆動ロール本体部211の周面上から離し、自動調芯ロール24の自動調芯ロール本体部241が矢印方向に連れ回ることによって、無端ベルト3上に配された帯状のシート4を搬送する。その後、下流側のニップロール(不図示)等によって、帯状のシート4を無端ベルト3上から離してY方向に搬送する。
【0040】
ここで、ベルト駆動装置100及びベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aにおいては、
図1に示すように、無端ベルト3を巻きかける複数個のロール2が、駆動ロール21と駆動ロール21に従動する複数個の従動ロール22とからなり、複数個の従動ロール22が、無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて周面が揺動しない固定ロール23、無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて周面が揺動する自動調芯ロール24、無端ベルト3のテンションを調整するテンションロール25を備えている。そして、固定ロール23が、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の上流側に隣り合う位置に配されている。その為、無端ベルト3の蛇行を抑えることができ、無端ベルト3上に配された帯状のシート4を安定的に搬送することができる。ここで、搬送装置1Aにおいては、固定ロール23の軸方向と、駆動ロール本体部211の軸方向(X方向)とは同じ方向である。その為、無端ベルト3の搬送方向(Y方向)が固定ロール23と駆動ロール21の回転方向(Y方向)と一致し、無端ベルト3の搬送方向を安定化させることができる。
【0041】
また、ベルト駆動装置100及びベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aにおいては、
図1に示すように、無端ベルト3の内側に従動ロール22(固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25)が配され、無端ベルト3の外側に駆動ロール21が配されている。そして、帯状のシート4が無端ベルト3によって駆動ロール21の周面上に加圧された状態で搬送されるようになっている。その為、無端ベルト3上に配された帯状のシート4を更に安定的に搬送することができる。
【0042】
また、ベルト駆動装置100及びベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aにおいては、
図1に示すように、自動調芯ロール24が、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の下流側に隣り合う位置に配されている。その為、無端ベルト3の幅方向のテンションが変化したとしても、下流側の自動調芯ロール24の周面が無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて揺動して、無端ベルト3の蛇行を安定させることができる。従って、無端ベルト3の蛇行を更に抑えることができ、無端ベルト3上に配された帯状のシート4を更に安定的に搬送することができる。
【0043】
また、ベルト駆動装置100及びベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aにおいては、
図1に示すように、無端ベルト3を介して、自動調芯ロール24の下流側に、テンションロール25が配されており、テンションロール25が、自動調芯ロールの役割も担うロールである。その為、無端ベルト3の幅方向のテンションが変化したとしても、下流側の自動調芯ロール24及びテンションロール25の周面が無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて揺動して、無端ベルト3の蛇行を更に安定させることができる。従って、無端ベルト3の蛇行を更に一層抑えることができ、無端ベルト3上に配された帯状のシート4を更に一層安定的に搬送することができる。
【0044】
以上のような搬送装置1Aを用いて帯状のシート4を搬送する搬送工程を備えた、第1実施態様のシートの搬送方法によれば、帯状のシート4を安定的に連続して搬送することができる。
【0045】
次に、本発明のシートの搬送装置をその好ましい第2実施形態に基づき、
図7を参照しながら説明する。
第2実施形態のシートの搬送装置1B(以下、「搬送装置1B」ともいう。)については、第1実施形態の搬送装置1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、第1実施形態の搬送装置1Aと同様であり、第1実施形態の搬送装置1Aの説明が適宜適用される。
【0046】
搬送装置1Bは、
図7に示すように、複数個のロール2,2,2,・・・に巻きかけられた帯状のシート4を搬送するシートの搬送装置である。即ち、搬送装置1Bは、搬送装置1Aと比べて、帯状のシート4を搬送する無端ベルト3が配されていない形態である。
【0047】
駆動ロール21は、搬送装置1Bにおいては、駆動ロール本体部211の軸方向(X方向)の長さが、帯状のシート4の幅よりも長く形成されている。駆動ロール本体部211には、軸方向(X方向)の両端部に、駆動ロール本体部211の周面から隆起し、帯状のシート4の脱落を防止するフランジ214,214が全周に亘って設けられている。
【0048】
従動ロール22である固定ロール23は、搬送装置1Bにおいては、固定ロール本体部231の軸方向の長さが、帯状のシート4の幅よりも長く形成されている。固定ロール本体部231には、その軸方向の両端部に、固定ロール本体部231の周面から隆起するフランジ234,234が設けられており、帯状のシート4の脱落が防止できるようになっている。
【0049】
従動ロール22である自動調芯ロール24は、搬送装置1Bにおいては、自動調芯ロール本体部241の軸方向の長さが、帯状のシート4の幅よりも長く形成されている。自動調芯ロール本体部241には、その軸方向の両端部に、自動調芯ロール本体部241の周面から隆起するフランジ244,244が設けられており、帯状のシート4の脱落が防止できるようになっている。
【0050】
従動ロール22であるテンションロール25は、搬送装置1Bにおいては、自動調芯ロール本体部251の軸方向の長さが、帯状のシート4の幅よりも長く形成されている。自動調芯ロール本体部251には、その軸方向の両端部に、自動調芯ロール本体部251の周面から隆起するフランジ254,254が設けられており、帯状のシート4の脱落が防止できるようになっている。テンションロール25は、搬送装置1Aと同様に、自動調芯ロールの役割も担うロールである。
【0051】
本発明者らは、ベルトの蛇行を効果的に抑えるには駆動ロールと従動ロールとの配置関係が重要であることを見出し、本発明のシートの搬送装置においては、固定ロール23が、帯状のシート4を介して、駆動ロール21の上流側に隣り合う位置に配されていることに特徴を有している。具体的には、搬送装置1Bにおいては、
図7に示すように、従動ロール22が、固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25の3個のロールを有している。搬送方向(Y方向)の上流側から下流側に向かって、自動調芯ロール24、固定ロール23、自動調芯ロールの役割も担うテンションロール25の順に配され、また、駆動ロール21が、固定ロール23とテンションロール25との間に配置されている。ここで、固定ロール23及び駆動ロール2の位置が、自動調芯ロール24及びテンションロール25の位置よりも上方に配されている。
【0052】
そして、
図7に示すように、帯状のシート4が、自動調芯ロール24、固定ロール23、駆動ロール21、自動調芯ロールの役割も担うテンションロール25の順に巻きかけられている。帯状のシート4のテンションは、テンションロール25を前後方向に移動することにより調整可能となっている。搬送装置1Bにおいては、固定ロール23は、帯状のシート4を介して、駆動ロール21の上流側に隣り合う位置に配されている。また、自動調芯ロールの役割も担うテンションロール25は、帯状のシート4を介して、駆動ロール21の下流側に隣り合う位置に配されている。即ち、固定ロール23は、帯状のシート4を介して、駆動ロール21の上流側の最も隣接する位置に配されている。また、自動調芯ロールの役割も担うテンションロール25は、帯状のシート4を介して、駆動ロール21の下流側の最も隣接する位置に配されている。
【0053】
搬送装置1Bにおいては、
図7に示すように、駆動ロール21を矢印R方向に駆動することにより、駆動ロール21に巻きかけられた帯状のシート4が矢印方向に回転し、帯状のシート4の巻きかけられた従動ロール22(固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25)が連れ回るようになっている。このようにして複数個のロール21,23,24,25に巻きかけられた帯状のシート4がY方向に搬送されるようになっている。
【0054】
上述した搬送装置1Bを用いて、帯状のシート4を搬送するシートの搬送方法の第2実施態様について
図7を参照しながら説明する。
第2実施態様のシートの搬送方法は、複数個のロール2,2,2,・・・に巻きかけられた帯状のシート4を搬送する搬送工程を備えている。搬送工程では、上述した搬送装置1Bが用いられている。具体的には、先ず、上流側から下流側に向かって、自動調芯ロール24、固定ロール23、駆動ロール21、自動調芯ロールの役割も担うテンションロール25の順に配されている各ロールに、帯状のシート4を巻きかける。巻きかけられた帯状のシート4の先端は、下流側のニップロール(不図示)等に挟持されている。
【0055】
次いで、駆動ロール21を矢印R方向に駆動させるとともに、下流側のニップロール(不図示)を駆動することにより、駆動ロール21に巻きかけられた帯状のシート4を矢印方向に移動させる。その際、帯状のシート4の巻きかけられた従動ロール22(固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25)が連れ回り、帯状のシート4を矢印方向(Y方向)に連続的に搬送する。
【0056】
ここで、搬送装置1Bにおいては、
図7に示すように、帯状のシート4を巻きかける複数個のロール2が、駆動ロール21と駆動ロール21に従動する複数個の従動ロール22とからなり、複数個の従動ロール22が、帯状のシート4の幅方向のテンションに応じて周面が揺動しない固定ロール23、帯状のシート4の幅方向のテンションに応じて周面が揺動する自動調芯ロール24、帯状のシート4のテンションを調整するテンションロール25を備えている。そして、固定ロール23が、帯状のシート4を介して、駆動ロール21の上流側に隣り合う位置に配されている。その為、帯状のシート4の蛇行を抑えることができ、帯状のシート4を安定的に搬送することができる。
【0057】
また、搬送装置1Bにおいては、
図7に示すように、自動調芯ロールの役割も担うテンションロール25が、帯状のシート4を介して、駆動ロール21の下流側に隣り合う位置に配されている。その為、帯状のシート4の幅方向のテンションが変化したとしても、下流側のテンションロール25の自動調芯ロール本体部251の周面が帯状のシート4の幅方向のテンションに応じて揺動して、帯状のシート4の蛇行を安定させることができる。従って、帯状のシート4の蛇行を更に抑えることができ、帯状のシート4を更に安定的に搬送することができる。
【0058】
また、搬送装置1Bにおいては、
図7に示すように、帯状のシート4を介して、固定ロール23の上流側に、自動調芯ロール24が配されている。その為、帯状のシート4の幅方向のテンションが変化したとしても、上流側の自動調芯ロール24及び下流側のテンションロール25の周面が帯状のシート4の幅方向のテンションに応じて揺動して、帯状のシート4の蛇行を更に安定させることができる。従って、帯状のシート4の蛇行を更に一層抑えることができ、帯状のシート4を更に一層安定的に搬送することができる。
【0059】
以上のような搬送装置1Bを用いて帯状のシート4を搬送する搬送工程を備えた、第2実施態様のシートの搬送方法によれば、帯状のシート4を安定的に連続して搬送することができる。
【0060】
次に、本発明のシートの加工装置をその好ましい第3実施形態に基づき、
図8を参照しながら説明する。
第3実施形態のベルト駆動装置100を備えたシートの加工装置1C(以下、「加工装置1C」ともいう。)については、第1実施形態の搬送装置1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、第1実施形態の搬送装置1Aと同様であり、第1実施形態の搬送装置1Aの説明が適宜適用される。
【0061】
加工装置1Cは、
図8に示すように、複数個のロール2,2,2,・・・に巻きかけられた無端ベルト3上に配された帯状のシート4に対して加工を行うシートの加工装置である。シート4に対して行う加工は、シートのプレス、シート間のシール及びシートの切断の少なくとも1つであり、加工装置1Cにおいては、シートのプレス、シート間のシール及びシートの切断の全てが該当する。
【0062】
加工装置1Cにおいては、
図8に示すように、駆動ロール21の駆動ロール本体部211には、軸方向(X方向)に長いスリット状の開口部215が、周方向に一定の間隔を空けて間欠的に配されている。スリット状の開口部215は、帯状のシート4の幅よりも長く形成されている。駆動ロール本体部211は、スリット状の開口部215ではレーザー光を通過させる一方、スリット状の開口部215以外の部分ではレーザー光を通過も透過もしないようになっている。スリット状の開口部215は、駆動ロール本体部211に、エッチング、パンチング或いはレーザー加工等により穿設する等して形成できる。尚、帯状のシート4が、後述する帯状のおむつ連続体である場合には、スリット状の開口部215の周方向の間隔は、帯状のおむつ連続体における搬送方向(Y方向)に隣り合う吸収性本体40,40どうしの中間位置の搬送方向(Y方向)の間隔に対応している。
【0063】
加工装置1Cは、
図8に示すように、中空の駆動ロール本体部211の内部に、駆動ロール本体部211の周面に向けてレーザー光6を照射する照射ヘッド61を備えている。照射ヘッド61は、レーザー光6を自在に走査するガルバノスキャナであり、詳述すると、照射されたレーザー光6を反射し該レーザー光6を自在に走査するミラー62を有している。ミラー62は、モータ軸に取り付けられている。照射ヘッド61のミラー62は、レーザー光6を駆動ロール本体部211の軸方向(X方向)と平行な方向に進退させる機構、レーザー光6を駆動ロール本体部211の周方向に移動させる機構を備え、レーザー光6を自在に走査可能となっている。照射ヘッド61のレンズ63は、レーザー光6を集光して、駆動ロール本体部211の周面上でレーザー光6のスポット(照射点、焦点f)径を一定にする機構等を備えている。照射ヘッド61は、ミラー62及びレンズ63を有することによって、レーザー光6の照射点(焦点f)を、駆動ロール本体部211の周方向及び軸方向(X方向)の両方向に任意に移動させることができる。従って、回転している駆動ロール本体部211の長いスリット状の開口部215に向かって、レーザー光6を照射ヘッド61から照射し、スリット状の開口部215に沿って且つ1往復(1パス)に亘って、レーザー光6を照射し続けることができる。
【0064】
加工装置1Cの従動ロール22(固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25)は、搬送装置1Aのものと同じ構成である。また、加工装置1Cの固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25の配置関係は、搬送装置1Aの固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25の配置関係と同様である。
【0065】
無端ベルト3としては、加工時に発生する熱に耐えうる耐熱性を有する金属又は樹脂製のベルトを用いることができ、特に加工装置1Cにおける無端ベルト3としては、帯状のシート4に対して照射されるレーザー光の透過性を有しないものが用いられることが好ましい。
【0066】
帯状のシート4としては、紙、不織布、或いは樹脂フィルム等の一枚もののシート、又は、それらの積層シートが挙げられ、特に加工装置1Cにおける積層シートとしては、吸収体を備える吸収性本体40とともに二つ折りされた外包材の連続体からなる帯状のおむつ連続体(例えば特開2008−137271号公報の
図3に示されるもの)等が挙げられる。シート4の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。尚、加工装置1Cによって、帯状のシート4である帯状のおむつ連続体にシール及び切断を施して、所謂使い捨ておむつのサイドシール部Sを形成する。
【0067】
上述した加工装置1Cを用いて、帯状のシート4を加工するシートの加工方法の第3実施態様について
図8を参照しながら説明する。
第3実施態様のシートの加工方法は、複数個のロール2,2,2,・・・に巻きかけられた無端ベルト3上に配された帯状のシート4に対して加工を行う加工工程を備えている。加工工程では、上述した加工装置1Cが用いられている。具体的には、先ず、無端ベルト3の外側に配置された駆動ロール21を矢印R方向に駆動させることにより、駆動ロール21に巻きかけられた無端ベルト3を矢印方向に移動させる。その際、無端ベルト3の内側に配置され巻きかけられた従動ロール22(固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25)が連れ回り、無端ベルト3を矢印方向に連続的に回転させる。
【0068】
次いで、帯状のシート4である帯状のおむつ連続体を、案内ロール(不図示)によって所定のテンションを掛けた状態で、矢印R方向に駆動する駆動ロール21の駆動ロール本体部211の周面と無端ベルト3との間に導入する。そして、無端ベルト3上に配された帯状のシート4である帯状のおむつ連続体を、無端ベルト3によって駆動ロール21の駆動ロール本体部211の周面上に加圧し、駆動ロール21が矢印R方向に回転駆動することによって、帯状のシート4である帯状のおむつ連続体を加圧状態で搬送する。
【0069】
そして、加圧状態の帯状のシート4である帯状のおむつ連続体を搬送しながら、該おむつ連続体に対して、駆動ロール本体部211の内部からスリット状の開口部215に沿って、レーザー光6を照射ヘッド61から照射することにより、おむつ連続体を個々に分断するのと同時に、その分断によって生じた加圧状態にある前記おむつ連続体を構成する複数枚のシートの切断縁部どうしを融着して、サイドシール部S,S(シール縁部)を形成する。このように、一対のサイドシール部S,S(シール縁部)を有する外包材41(シート融着体)を具備するパンツ型使い捨ておむつ400を連続的に製造する。
【0070】
前記帯状のおむつ連続体を構成する複数枚のシートにおけるサイドシール部Sの予定部位に、レーザー光6が照射されると、該予定部分に存する前記複数枚のシートの形成材料(繊維等)は、レーザー光6の直射による発熱によって気化して消失し、該予定部分の近傍に存する該形成材料は、レーザー光6によって間接的に熱せされて溶融する。その結果、前記予定部分が分断されて、前記帯状のおむつ連続体から1つの枚葉のおむつ400が切り分けられる形で、該おむつ連続体が切断されるのと同時に、その切断によって生じた該枚葉のおむつ400における複数枚のシートの切断縁部どうしが、それぞれ融着してシールされる。
【0071】
次いで、下流側の自動調芯ロール24によって、加圧状態の枚葉のおむつ400を駆動ロール21の駆動ロール本体部211の周面上から離し、自動調芯ロール24の自動調芯ロール本体部241が矢印方向に連れ回ることによって、無端ベルト3上に配された枚葉のおむつ400を搬送する。その後、下流側のニップロール(不図示)等によって、枚葉のおむつ400を無端ベルト3上から離して搬送する。
【0072】
ここで、ベルト駆動装置100を備えた加工装置1Cにおいては、
図8に示すように、無端ベルト3を巻きかける複数個のロール2が、駆動ロール21と駆動ロール21に従動する複数個の従動ロール22とからなり、複数個の従動ロール22が、無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて周面が揺動しない固定ロール23、無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて周面が揺動する自動調芯ロール24、無端ベルト3のテンションを調整するテンションロール25を備えている。そして、固定ロール23が、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の上流側に隣り合う位置に配されている。その為、無端ベルト3の蛇行を抑えることができ、無端ベルト3上に配された帯状のシート4である帯状のおむつ連続体を加圧状態で安定的に搬送することができる。従って、レーザー光6の照射により、サイドシール部S,S(シール縁部)を精度良く形成し易く、パンツ型使い捨ておむつ400を安定的に製造できる。
【0073】
また、ベルト駆動装置100を備えた加工装置1Cにおいては、
図8に示すように、無端ベルト3の内側に従動ロール22(固定ロール23、自動調芯ロール24及びテンションロール25)が配され、無端ベルト3の外側に駆動ロール21が配されている。そして、帯状のシート4である帯状のおむつ連続体が無端ベルト3によって駆動ロール21の周面上に加圧された状態で搬送されるようになっている。その為、無端ベルト3上に配された帯状のシート4である帯状のおむつ連続体を更に安定的に加圧状態で搬送することができ、サイドシール部S,S(シール縁部)を更に精度良く形成し易く、パンツ型使い捨ておむつ400を更に安定的に製造できる。
【0074】
また、ベルト駆動装置100を備えた加工装置1Cにおいては、
図8に示すように、自動調芯ロール24が、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の下流側に隣り合う位置に配されている。その為、無端ベルト3の幅方向のテンションが変化したとしても、下流側の自動調芯ロール24の周面が無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて揺動して、無端ベルト3の蛇行を安定させることができ、無端ベルト3の蛇行を更に抑えることができる。従って、無端ベルト3上に配された帯状のシート4である帯状のおむつ連続体を更に安定的に加圧状態で搬送することができ、サイドシール部S,S(シール縁部)を更に精度良く形成し易く、パンツ型使い捨ておむつ400を更に安定的に製造できる。
【0075】
また、ベルト駆動装置100を備えた加工装置1Cにおいては、
図8に示すように、無端ベルト3を介して、自動調芯ロール24の下流側に、テンションロール25が配されており、テンションロール25が、自動調芯ロールの役割も担うロールである。その為、無端ベルト3の幅方向のテンションが変化したとしても、下流側の自動調芯ロール24及びテンションロール25の周面が無端ベルト3の幅方向のテンションに応じて揺動して、無端ベルト3の蛇行を更に安定させることができ、無端ベルト3の蛇行を更に一層抑えることができる。従って、無端ベルト3上に配された帯状のシート4である帯状のおむつ連続体を更に一層安定的に加圧状態で搬送することができ、サイドシール部S,S(シール縁部)を更に一層精度良く形成し易く、パンツ型使い捨ておむつ400を更に一層安定的に製造できる。
【0076】
以上のような加工装置1Cを用いて帯状のシート4を加工する加工工程を備えた、第3実施態様のシートの加工方法によれば、帯状のシート4である帯状のおむつ連続体を加圧状態で安定的に連続して搬送することができる。従って、レーザー光6の照射により、サイドシール部S,S(シール縁部)を精度良く形成し易く、パンツ型使い捨ておむつ400を安定的に連続して製造できる。
【0077】
以上、本発明をその好ましい第1〜第3実施形態に基づき説明したが、本発明は前記第1〜第3実施形態に制限されない。
例えば上述した第1実施形態のベルト駆動装置100を備えた搬送装置1A、第2実施形態の搬送装置1B、及び第3実施形態のベルト駆動装置100を備えた加工装置1Cにおいては、
図1,
図7,
図8に示すように、テンションロール25が、無端ベルト3又は帯状のシート4のテンションを調整できるようになっていると共に、自動調芯ロールとしての役割も担うロールであるが、無端ベルト3又は帯状のシート4のテンションのみを調整できるようになっているロールであってもよい。即ち、
図9に示すように、テンションロール25が、固定ロールであり、シャフト253の基端側の端部が、エアーシリンダ、油圧シリンダ、或いはジャッキボルトを介して支持体(不図示)に保持されており、固定ロールであるテンションロール25が、支持体(不図示)に対して上下方向、或いは前後方向に移動可能となっているロールであってもよい。
【0078】
また、上述した第1実施形態のベルト駆動装置100を備えた搬送装置1A、及び第3実施形態のベルト駆動装置100を備えた加工装置1Cにおいては、
図1,
図8に示すように、自動調芯ロール24が、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の下流側に隣り合う位置に配されているが、自動調芯ロール24の替わりに、固定ロールを配置してもよい。
【0079】
また、上述した第2実施形態の搬送装置1Bにおいては、
図7に示すように、自動調芯ロール24が、帯状のシート4を介して、固定ロール23の上流側に隣り合う位置に配されているが、自動調芯ロール24の替わりに、固定ロールを配置してもよい。
【0080】
また、自動調芯ロール24は、
図6に示すように、構成部材に自動調芯ころ軸受5を有しているが、自動調芯ころ軸受5の替わりに、自動調芯玉軸受を有していてもよい。尚、自動調芯ロールとしての役割も担うテンションロール25も同様である。
【0081】
また、上述した第1実施形態のベルト駆動装置100を備えた搬送装置1A、第2実施形態の搬送装置1B、及び第3実施形態のベルト駆動装置100を備えた加工装置1Cにおいては、
図1,
図7,
図8に示すように、自動調芯ロール本体部241の軸方向と、駆動ロール本体部211の軸方向(X方向)とは同じ方向である。即ち、自動調芯ロール本体部241のシャフト243と駆動ロール本体部211の中心軸部213とは平行に延びているが、自動調芯ロール本体部241のシャフト243が、駆動ロール本体部211の中心軸部213と交差する方向に延びていてもよい。
また、上述した第1実施形態のベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aにおいては、無端ベルト3上に配された帯状のシート4を搬送するシートの搬送装置であったが、帯状のシート4に限らず、無端ベルト3上に被搬送物を担持して搬送する装置であってもよい。また、搬送装置に限らず、タイミングベルトのようなベルト駆動装置にも適用可能である。
【0082】
上述した実施形態に関し、さらに以下のベルト駆動装置、該ベルト駆動装置を備えたシートの搬送装置、又はシートの加工装置を開示する。
【0083】
<1>
複数個のロールと、前記複数個のロールに巻きかけられた無端ベルトとを備え、前記ロールを回転させて前記無端ベルトを周回させるベルト駆動装置であって、
前記複数個のロールは、駆動する少なくとも1個の駆動ロールと該駆動ロールに従動する複数個の従動ロールとからなり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトの幅方向のテンションに応じて周面が揺動しない固定ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトの幅方向のテンションに応じて周面が揺動する自動調芯ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトのテンションを調整するテンションロールであり、
前記固定ロールは、前記無端ベルトを介して、前記駆動ロールの上流側に隣り合う位置に配されているベルト駆動装置。
【0084】
<2>
前記固定ロール、前記自動調芯ロール及び前記テンションロールは、前記無端ベルトの内側に配されて、前記駆動ロールは、該無端ベルトの外側に配されている前記<1>に記載のベルト駆動装置。
<3>
前記自動調芯ロールは、前記無端ベルトを介して、前記駆動ロールの下流側に隣り合う位置に配されている前記<1>又は<2>に記載のベルト駆動装置。
<4>
前記テンションロールは、前記自動調芯ロールの役割も担うロールである前記<1>〜<3>の何れか1に記載のベルト駆動装置。
<5>
前記<1>〜<4>の何れか1に記載のベルト駆動装置を備え、前記無端ベルト上に配された帯状のシートを搬送するシートの搬送装置であって、
前記帯状のシートは、前記無端ベルトによって前記駆動ロールの周面上に加圧された状態で搬送されるシートの搬送装置。
<6>
複数個のロールに巻きかけられた帯状のシートを搬送するシートの搬送装置であって、
前記複数個のロールは、駆動する少なくとも1個の駆動ロールと該駆動ロールに従動する複数個の従動ロールとからなり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記帯状のシートの幅方向のテンションに応じて周面が揺動しない固定ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記帯状のシートの幅方向のテンションに応じて周面が揺動する自動調芯ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記帯状のシートのテンションを調整するテンションロールであり、
前記固定ロールは、前記帯状のシートを介して、前記駆動ロールの上流側に隣り合う位置に配されているシートの搬送装置。
<7>
前記自動調芯ロールは、前記帯状のシートを介して、前記駆動ロールの下流側に隣り合う位置に配されている前記<5>又は<6>に記載のシートの搬送装置。
<8>
前記固定ロールの軸方向と前記駆動ロールの軸方向とは、同じ方向である前記<5>〜<7>の何れか1に記載のシートの搬送装置。
<9>
前記駆動ロールは、所定方向に回転駆動される円筒形状の駆動ロール本体部を有しており、
前記駆動ロールに巻きかけられた無端ベルトの巻きかけ角度は、前記駆動ロール本体部の周方向の全周に亘って該無端ベルトが接触する場合を360°とした場合に、90°以上180°以下、好ましくは100°以上150°以下である前記<5>〜<8>の何れか1に記載のシートの搬送装置。
<10>
前記自動調芯ロールは、初手方向に回転する円筒形状の自動調芯ロール本体部を有しており、
前記自動調芯ロールに巻きかけられた無端ベルトの巻きかけ角度は、前記自動調芯ロール本体部の周方向の全周に亘って該無端ベルトが接触する場合を360°とした場合に、45°以上270°以下、好ましくは105°以上210°以下である前記<5>〜<9>の何れか1に記載のシートの搬送装置。
<11>
前記帯状のシートは、紙、不織布、樹脂フィルムを積層した積層シートである前記<5>〜<10>の何れか1に記載のシートの搬送装置。
【0085】
<12>
複数個のロールに巻きかけられた無端ベルト上に配された帯状のシートに対して加工を行うシートの加工装置であって、
前記シートに対する前記加工は、シートのプレス、シート間のシール及びシートの切断の少なくとも1つであり、
前記複数個のロールは、駆動する少なくとも1個の駆動ロールと該駆動ロールに従動する複数個の従動ロールとからなり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトの幅方向のテンションに応じて周面が揺動しない固定ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトの幅方向のテンションに応じて周面が揺動する自動調芯ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトのテンションを調整するテンションロールであり、
前記固定ロールは、前記無端ベルトを介して、前記駆動ロールの上流側に隣り合う位置に配されており、
前記無端ベルトによって前記駆動ロールの周面上に加圧された状態の前記帯状のシートに対して加工を行うシートの加工装置。
<13>
前記固定ロール、前記自動調芯ロール及び前記テンションロールは、前記無端ベルトの内側に配されて、前記駆動ロールは、該無端ベルトの外側に配されており、
前記帯状のシートは、前記無端ベルトによって前記駆動ロールの周面上に加圧された状態で搬送される前記<12>に記載のシートの加工装置。
<14>
前記自動調芯ロールは、前記帯状のシートを介して、前記駆動ロールの下流側に隣り合う位置に配されている前記<12>又は<13>に記載のシートの加工装置。
<15>
前記固定ロールの軸方向と前記駆動ロールの軸方向とは、同じ方向である前記<12>〜<14>の何れか1に記載のシートの加工装置。
<16>
前記駆動ロールは、所定方向に回転駆動される円筒形状の駆動ロール本体部を有しており、
前記駆動ロールは、前記駆動ロール本体部にスリット上の開口部を有し、内部にはレーザー光を照射する照射ヘッドを備えている前記<12>〜<15>の何れか1に記載のシートの加工装置。
【0086】
<17>
複数個のロールに巻きかけられた無端ベルト上に配された帯状のシートを搬送する搬送工程を備えたシートの搬送方法であって、
前記搬送工程で用いる前記複数個のロールは、駆動する少なくとも1個の駆動ロールと該駆動ロールに従動する複数個の従動ロールとからなり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトの幅方向のテンションに応じて周面が揺動しない固定ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトの幅方向のテンションに応じて周面が揺動する自動調芯ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトのテンションを調整するテンションロールであり、
前記固定ロールは、前記無端ベルトを介して、前記駆動ロールの上流側に隣り合う位置に配されているシートの搬送方法。
<18>
前記固定ロール、前記自動調芯ロール及び前記テンションロールは、前記無端ベルトの内側に配されて、前記駆動ロールは、該無端ベルトの外側に配されており、
前記搬送工程においては、前記帯状のシートを、前記無端ベルトによって前記駆動ロールの周面上に加圧された状態で搬送する前記<17>に記載のシートの搬送方法。
<19>
複数個のロールに巻きかけられた帯状のシートを搬送する搬送工程を備えたシートの搬送方法であって、
前記搬送工程で用いる前記複数個のロールは、駆動する少なくとも1個の駆動ロールと該駆動ロールに従動する複数個の従動ロールとからなり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記帯状のシートの幅方向のテンションに応じて周面が揺動しない固定ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記帯状のシートの幅方向のテンションに応じて周面が揺動する自動調芯ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記帯状のシートのテンションを調整するテンションロールであり、
前記固定ロールは、前記帯状のシートを介して、前記駆動ロールの上流側に隣り合う位置に配されているシートの搬送方法。
<20>
前記自動調芯ロールは、前記帯状のシートを介して、前記駆動ロールの下流側に隣り合う位置に配されている前記<17>〜<19>の何れか1に記載のシートの搬送方法。
<21>
前記固定ロールの軸方向と前記駆動ロールの軸方向とは、同じ方向である前記<17>〜<20>の何れか1に記載のシートの搬送方法。
【0087】
<22>
複数個のロールに巻きかけられた無端ベルト上に配された帯状のシートに対して加工を行う加工工程を備えたシートの加工方法であって、
前記シートに対して行う加工は、シートのプレス、シート間のシール及びシートの切断の少なくとも1つであり、
前記加工工程で用いる前記複数個のロールは、駆動する少なくとも1個の駆動ロールと該駆動ロールに従動する複数個の従動ロールとからなり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトの幅方向のテンションに応じて周面が揺動しない固定ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトの幅方向のテンションに応じて周面が揺動する自動調芯ロールであり、
前記複数個の従動ロールの内の少なくとも1個は、前記無端ベルトのテンションを調整するテンションロールであり、
前記固定ロールは、前記無端ベルトを介して、前記駆動ロールの上流側に隣り合う位置に配されており、
前記加工工程においては、前記無端ベルトによって前記駆動ロールの周面上に加圧された状態の前記帯状のシートに対して加工を行うシートの加工方法。
<23>
前記固定ロール、前記自動調芯ロール及び前記テンションロールは、前記無端ベルトの内側に配されて、前記駆動ロールは、該無端ベルトの外側に配されている前記<22>に記載のシートの加工方法。
<24>
前記自動調芯ロールは、前記帯状のシートを介して、前記駆動ロールの下流側に隣り合う位置に配されている前記<22>又は<23>に記載のシートの加工方法。
<25>
前記固定ロールの軸方向と前記駆動ロールの軸方向とは、同じ方向である前記<22>〜<24>の何れか1に記載のシートの加工方法。
<26>
前記駆動ロールは、所定方向に回転駆動される円筒形状の駆動ロール本体部を有しており、
前記駆動ロールは、前記駆動ロール本体部にスリット上の開口部を有し、内部にはレーザー光を照射する照射ヘッドを備えている前記<22>〜<25>の何れか1に記載のシートの加工方法。
【実施例】
【0088】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
【0089】
〔実施例1〕
図1に示すベルト駆動装置100を備えた搬送装置1Aを用意した。
図1に示すベルト駆動装置100は、固定ロール23が、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の上流側に隣り合う位置に配されており、自動調芯ロール24が、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の下流側に配されている。また、自動調芯ロールとしての役割も担うテンションロール25が、駆動ロール21の上方に配置されている。尚、無端ベルト3の搬送速度は213m/minであり、無端ベルト3のテンションは2.5N/mmに調整し、無端ベルト3の幅は80mmであった。
【0090】
〔実施例2〕
駆動ロール21の上方に配置されている自動調芯ロールとしての役割も担うテンションロール25を、固定ロールであり且つテンションロールでもあるロールに変更する以外は、実施例1と同様の搬送装置を用意した。
【0091】
〔実施例3〕
無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の下流側に配されている自動調芯ロール24を、固定ロール23に変更する以外は、実施例1と同様の搬送装置を用意した。
【0092】
〔比較例1〕
無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の上流側に配されている固定ロール23を、自動調芯ロール24に変更する以外は、実施例1と同様の搬送装置を用意した。
【0093】
〔比較例2〕
無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の上流側に配されている固定ロール23を、自動調芯ロール24に変更し、更に、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の下流側に配されている自動調芯ロール24を、固定ロール23に変更する以外は、実施例1と同様の搬送装置を用意した。
【0094】
〔比較例3〕
無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の上流側に配されている固定ロール23を、自動調芯ロール24に変更し、更に、駆動ロール21の上方に配置されている自動調芯ロールとしての役割も担うテンションロール25を、固定ロールであり且つテンションロールでもあるロールに変更する以外は、実施例1と同様の搬送装置を用意した。
【0095】
〔比較例4〕
無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の上流側に配されている固定ロール23を、自動調芯ロール24に変更し、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の下流側に配されている自動調芯ロール24を、固定ロール23に変更し、更に、駆動ロール21の上方に配置されている自動調芯ロールとしての役割も担うテンションロール25を、固定ロールであり且つテンションロールでもあるロールに変更する以外は、実施例1と同様の搬送装置を用意した。
【0096】
〔性能評価〕
実施例1〜3、比較例1〜4の搬送装置を用いて無端ベルト3を回転させている際の「蛇行幅」を以下の方法で測定し、測定結果を下記表1に示した。また、実施例1〜3、比較例1〜4の搬送装置を用いて無端ベルト3を回転させている際の「金属音」を以下の方法で評価し、評価結果を下記表1に示した。
【0097】
<蛇行幅の測定>
駆動ロール21の上方に配置されているロール(実施例1の搬送装置においてはテンションロール25)と、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の下流側に配されているロール(実施例1の搬送装置においては自動調芯ロール24)との間に、キーエンス社製のCCD透過型デジタルレーザセンサIG−028を配置して、無端ベルト3における駆動ロール21の軸方向(X方向)の手前側(基端側とは反対側)の端縁の位置を、30秒間連続して測定した。そして、30秒間連続して測定した前記端縁の位置の振れ幅の最大値を、蛇行幅として測定した。
【0098】
<金属音の評価>
実施例1〜3、比較例1〜4の搬送装置を用いて無端ベルト3を回転させている際に発生する「金属音」の評価を官能評価により行った。発生する音の大きさに応じて、下記の点数を付け、金属音の評価の点とした。
4点:金属音が非常に鳴っている。
3点:金属音がやや鳴っている。
2点:金属音が少し鳴っている。
1点:金属音が殆ど鳴っていない。
金属音を評価する際に金属音が大きいということは、無端ベルト3の幅方向にかかる力のアンバランスにより、無端ベルト3の側端部とロールフランジとが接触することで生じていると考えられる。すなわち、金属音の評価点が小さいほど無端ベルト3の幅方向にかかる力のバランスが良くなっていることを意味する。
したがって、無端ベルト3の蛇行幅が小さく、且つ金属音の評価点が小さいほど、蛇行が抑えられていることとなる。
【0099】
【表1】
【0100】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜3の搬送装置は、比較例1〜4の搬送装置に比べて、無端ベルト3を回転させている際の「蛇行幅」が抑えられていることが判った。また、実施例1〜3の搬送装置は、比較例1〜4の搬送装置に比べて、無端ベルト3を回転させている際の「金属音」の評価が良好であった。すなわち、実施例1〜3のように固定ロール23を、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の上流側に隣り合う位置に配置する構成にすることによって、比較例1〜4のように、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の上流側に隣り合う位置に自動調芯ロール24を配する構成に比べて、蛇行を抑えられることがわかった。さらに、実施例1、2のように、自動調芯ロール24を、無端ベルト3を介して、駆動ロール21の搬送方向(Y方向)の下流側に配置することにより、「金属音」の評価もより良好となっており、無端ベルト3の幅方向にかかる力のバランスが改善されていることがわかった。従って、実施例1〜3の搬送装置を用いて、帯状のシート4を搬送すれば、帯状のシート4の蛇行を抑えることが期待でき、無端ベルト3で搬送する帯状のシート4を安定的に加工することが期待できる。