(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可撓性を有する管材によって形成され、加圧気体供給源と連通するための連通口が固定端をなす基端部に形成されるとともに前記連通口を通じて加圧気体供給源から供給された気体を噴射する噴射口が自由端をなす先端部に形成され、前記連通口と前記噴射口との間には前記加圧気体供給源から供給される気体を移送する移送路が形成されており、前記噴射口から気体が噴射されるのに伴って、前記噴射口を含む前方部が旋回運動を行うように動作するノズル部材を備えた噴射ノズルであって、
前記ノズル部材の周囲に位置するように配置され、内周面が前記ノズル部材の旋回運動をガイドするためのガイド面となっているガイド部材と、
外周面が前記ガイド面と接する被ガイド面となっており、前記ノズル部材の旋回運動を助けるバランサとを備え、
前記バランサには、前記移送路を移送される前記気体の一部を噴出して、前記旋回運動を行う時に前記ガイド面と前記被ガイド面との間における摩擦抵抗を低減する低摩擦抵抗部が開口形成され、前記低摩擦抵抗部は、前記移送路から前記被ガイド面及び/又は前記ノズル部材の外周面に向けて貫通形成されていることを特徴とする噴射ノズル。
ノズル部材の先端部に近い位置での低摩擦抵抗部での気体の噴出量が前記ノズル部材の基端部に近い位置での前記低摩擦抵抗部での気体の噴出量よりも多くなるように構成されている請求項1又は2記載の噴射ノズル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した通り、特許文献1〜3に記載された噴射ノズルや噴射装置では、噴射ノズルが旋回し始めると、旋回時の回転半径を徐々に大きくし、最終的には噴射ノズルの外周面をガイドの内周面に当接させながら旋回することになる。このように、噴射ノズルの外周面がガイドの内周面に当接している状態では、これら噴射ノズルの外周面とガイドの内周面との間において摩擦抵抗が発生し、スムーズに旋回しなくなるおそれがあった。また、このように噴射ノズルの外周面とガイドの内周面とが接触しながら該噴射ノズルが旋回すると、噴射ノズルの外周面又はガイドの内周面のいずれか、又は噴射ノズルの外周面及びガイドの内周面のいずれもが削れてしまい、噴射ノズルの耐久性が低下したり、スムーズに旋回させることができなくなるおそれがあるという問題があった。このように、噴射ノズルがスムーズに旋回しなくなると、被清掃部の汚れや塵を落としきることが出来なくなるという新たな問題が生じていた。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、噴射ノズルをスムーズに旋回させることができ、被清掃部の汚れや塵をよりよく除去することができる噴射ノズル及びこの噴射ノズルを備えた噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)可撓性を有する管材によって形成され、加圧気体供給源と連通するための連通口が固定端をなす基端部に形成されるとともに前記連通口を通じて加圧気体供給源から供給された気体を噴射する噴射口が自由端をなす先端部に形成され、前記連通口と前記噴射口との間には前記加圧気体供給源から供給される気体を移送する移送路が形成されており、前記噴射口から気体が噴射されるのに伴って、前記噴射口を含む前方部が旋回運動を行うように動作するノズル部材を備えた噴射ノズルであって、
前記ノズル部材の周囲に位置するように配置され、内周面が前記ノズル部材の旋回運動をガイドするためのガイド面となっているガイド部材と、
外周面が前記ガイド面と接する被ガイド面となっており、前記ノズル部材の旋回運動を助けるバランサとを備え、
前記バランサには、
前記移送路を移送される前記気体の一部を噴出して、前記旋回運動を行う時に前記ガイド面と前記被ガイド面との間における摩擦抵抗を低減する低摩擦抵抗部が開口形成され、前記低摩擦抵抗部は、前記移送路から前記被ガイド面及び/又は前記ノズル部材の外周面に向けて貫通形成されていることを特徴とする噴射ノズル、
(2)低摩擦抵抗部がノズル部材にも形成されている上記(1)記載の噴射ノズル、
(3)ノズル部材の先端部に近い位置での低摩擦抵抗部での気体の噴出量が前記ノズル部材の基端部に近い位置での前記低摩擦抵抗部での気体の噴出量よりも多くなるように構成されている上記(1)又は(2)記載の噴射ノズル、
(4)低摩擦抵抗部は、バランサの円周方向に等間隔に並んで形成されている上記(1)〜(3)のいずれかに記載の噴射ノズル、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の噴射ノズルを備えたことを特徴とする噴射装置を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移送路から被ガイド面及び/又はノズル部材の外周面に向けて貫通形成した低摩擦抵抗部がバランサに形成されているので、ノズル部材が旋回運動を行う時にガイド面と被ガイド面との間で生じる摩擦抵抗を低減することができる。そのため、本発明は、ノズル部材をガイド部材の内側において、よりスムーズに旋回運動させることができるとともに、被清掃部の汚れや塵をより確実に落としきることが可能になる。また、本発明によれば、上記した通り、ガイド面と被ガイド面との間で生じる摩擦抵抗を低減することができるので、噴射ノズルの耐久性を大きく向上させることも可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る噴射ノズル及びこの噴射ノズルを備えた噴射装置の構成を
図1〜
図3に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る噴射装置の実施の形態を一部断面で表す概略図、
図2は、噴射装置を構成する噴射ノズルの断面構成を表す断面図、
図3は、
図2のA−A線断面図である。
【0011】
図1に示すように、噴射装置1は、操作部2、貯留容器3、開閉弁操作部材4、連結体5、ノズル取付部6及び噴射ノズル7を備えている。
【0012】
[操作部2の構成]
操作部2は、ガン本体11と引き金12とを備えている。ガン本体11は、入力端13と出力端14とを有している。入力端13には、吸入口15が開口形成しており、出力端14には、排出口16が開口形成している。また、これら吸入口15及び排出口16の間には、流通経路17が形成されている。吸入口15は、圧縮気体供給源18から供給される圧縮気体を吸入するための開口である。この吸入口15を形成するためには、配管を用いる方法であってもよいし、他の方法であってもよい。
【0013】
また、排出口16は、吸入口15から吸入された圧縮気体を排出するための開口である。また、流通経路17は、吸入口15から吸入された圧縮気体を排出口16に向けて移送するための通路である。この流通経路17は、圧縮気体を所定量移送することが出来ればよく、内径や形状は特に限定されるものではない。
【0014】
また、操作部2は、出力端14に第1接続部21が形成されている。第1接続部21は、ガン本体11の出力端14において、該ガン本体11の外周側にネジ山を形成することで構成されている。この第1接続部21は、連結体5に形成されている後述する第1被接続部22に対してネジ嵌合することができる大きさに形成されている。なお、第1接続部21の出力端14には排出口16が開口形成されている。即ち、第1接続部21は、ガン本体11において内部に形成されている流通経路17に沿う方向に形成されている。
【0015】
引き金12は、圧縮気体供給源18から供給される空気を上流側から下流側に向けて送る際、その供給される気体の流量を調整するためのものである。この引き金12は、ガン本体11に設けられている流量調整部23を操作するように構成されている。即ち、引き金12は、ガン本体11に近づけるように操作すると、流量調整部23が開いてより大きな流量の気体を供給することができ、逆に引き金12をガン本体11から遠ざける方向に操作すると、流量調整部23が閉じて、気体の供給量が少なくなるように構成されている。なお、本実施の形態では、操作部2の例としてガン状の構成をしたものを用いて説明したが、操作部2は、この構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0016】
圧縮気体供給源18としては、例えばエアコンプレッサが用いられる。また、圧縮気体供給源18は、供給管路を介してガン本体11と接続されている。ガン本体11は、引き金12が引かれることによって、連結体5の後述する圧縮気体流路46に向けて、圧縮気体供給源18から圧縮気体を送り込む。送り込まれた圧縮気体は、圧縮気体流路46から貫通孔51を経て外ノズル52と内ノズル53との間に形成されている後述する移送路54に侵入する。引き金12を引いている間、供給管路と圧縮気体流路46並びに貫通孔51及び移送路54とは連通状態を維持しており、引き金12を戻すことで圧縮気体流路46との間は遮断される。
【0017】
[貯留容器3の構成]
貯留容器3は、開閉弁操作部材4の上流側に着脱自在に取り付けられている。貯留容器3は、洗剤液24を貯留するためのもので、該貯留容器3の内部に洗剤液24が入れられている。この貯留容器3は、洗剤液24を加圧することなく内部に貯留しており、貯留容器3には、挿入管25が底部26に向けて延びている。この貯留容器3は、開閉弁操作部材4と接続する第2接続部27を備えている。第2接続部27は、開閉弁操作部材4が貯留容器3に接続された時に、貯留容器3内の気密性が維持でき、かつ液漏れをしないように構成されていることが好ましい。
【0018】
[開閉弁操作部材4の構成]
開閉弁操作部材4は、貯留容器3と連結体5との間において、上流側では貯留容器3と接続し、下流側では連結体5と接続することができるように構成されている。この開閉弁操作部材4は、貯留容器3の第2接続部27と接続する第2被接続部28と、連結体5の第3被接続部29と接続する第3接続部30とを備えている。また、開閉弁操作部材4には、貯留容器3内に貯留した洗剤液24を連結体5まで供給する供給部(図示せず)が内部に設けられている。また、開閉弁操作部材4は、開閉弁を操作するための操作レバー31が設けられている。この操作レバー31を操作することにより、洗剤液24をノズル本体に向けて供給することができるように構成されている。なお、本実施の形態では、開閉弁操作部材4と連結体5との間における気密性を確保するため、第3接続部30は弾性部材を使用したパッキン部材を用いているが、第3接続部30にはパッキン部材以外のものを任意に選択して用いてもよい。
【0019】
[連結体5の構成]
連結体5は、操作部2、開閉弁操作部材4及びノズル取付部6と接続し、これら操作部2、開閉弁操作部材4及びノズル取付部6を連結させるためのものである。この連結体5は、第1流入口41を有する第1流入部42、第2流入口43を有する第2流入部44及び第1排出口16を有する第1排出部45を備えている。また、連結体5は、これら第1流入口41、第2流入口43及び第1排出口16の間が連通しており、これら第1流入口41、第2流入口43及び第1排出口16の間に圧縮気体流路46が形成されている。第1流入部42は、第1流入口41が上流側端部に形成されており、この上流側端部から所定位置まで、圧縮気体流路46の内周面側に第1被接続部22が形成されている。第1被接続部22は、ガン本体11に形成された第1接続部21と接続することができるように形成されている。なお、本実施の形態では、第1被接続部22は、第1接続部21に対して雌ネジ状に形成されているが、第1接続部21と確実に接続することができれば、この構成に限定されるものではない。
【0020】
第2流入部44は、第2流入口43が下部に開口形成されている。この第2流入部44には、第2流入口43が形成されている内周面に、第3接続部30が接続される第3被接続部29が形成されている。この第3被接続部29は、第2流入口43から上部に向けた所定位置までの間の内周面にネジ穴が形成された雌ネジ状に形成されているが、第3接続部30と確実に接続することができれば、この構成に限定されるものではない。
【0021】
第1排出部45は、第1排出口16が下流側端部に形成されており、この下流側端部から所定位置まで、圧縮気体流路46の内周面側に第4被接続部47が形成されている。第4被接続部47は、ノズル取付部6に形成された第4接続部48と接続することができるように形成されている。なお、本実施の形態では、第4被接続部47は、第4接続部48に対して雌ネジ状に形成されているが、第4接続部48と確実に接続することができれば、この構成に限定されるものではない。
【0022】
圧縮気体流路46は、第1流入口41、第2流入口43及び第1排出口16の間に形成された流路である。この圧縮気体流路46は、圧縮気体供給源18から供給される圧縮気体を第1流入口41から流入させて第1排出口16から排出する。また、圧縮気体流路46は、第2流入口43から第1排出口16に向けて噴射ノズル7を構成する後述する内ノズル53が配置されている。上記した通り、第2流入口43は連結体5の下部に開口形成されており、第1排出口16は、連結体5の後端部に開口形成されている。そのため、圧縮気体流路46内においては、内ノズル53は、第2流入口43からは上下方向に延び、圧縮気体流路46内において水平方向に屈曲して第1排出口16に向けて延びるように形成されている。
【0023】
なお、本実施の形態では、第1被接続部22、第3被接続部29及び第4被接続部47は、いずれも雌ネジ状に形成する例を用いて説明したが、これに限定されるものではない。
【0024】
[ノズル取付部6の構成]
ノズル取付部6は、連結体5の前端に取付固定されている。このノズル取付部6は、内部に貫通孔51を有する。ノズル取付部6の前端には、噴射ノズル7を構成する外ノズル52の基端部が固定され、外ノズル52の内部には、噴射ノズル7を構成する内ノズル53が挿通されている。外ノズル52の内面の内ノズル53の外面との間に生じる間隙は、圧縮気体が流通する移送路54を形成する。この移送路54は、ノズル取付部6の貫通孔51から連結体5の圧縮気体流路46に連通している。内ノズル53は、その後部が、ノズル取付部6の貫通孔51から連結体5の圧縮気体流路46に入り込んだ後、連結体5の第2流入口43へと延びて開閉弁操作部材4に接続されている。内ノズル53の内部に形成される通路は、洗剤液24が流通する洗剤流通通路57を構成する。
【0025】
噴射ノズル7は、ノズル取付部6の先端側に着脱自在に取付固定される。この噴射ノズル7はノズル部材7a及びガイド部材55を備えている。このノズル部材7aは、外ノズル52と内ノズル53とを備えている。外ノズル52は、その基端部がノズル取付部6の前端に固定されている。この外ノズル52の内部には内ノズル53が挿通されている。また、外ノズル52の内面と内ノズル53の外面との間には、所定の間隔を備えた間隙が形成されている。この間隙は、圧縮気体が流れる移送路54として形成されている。この移送路54は、ノズル取付部6の貫通孔51から連結体5の圧縮気体流路46に連通している。また、内ノズル53は、後端部がノズル取付部6の貫通孔51から連結体5の圧縮気体流路46に連通している。また、内ノズル53は、後端部がノズル取付部6の貫通路から連結体5の圧縮気体流路46に入り込んだ後、連結体5の第2流入口43へと延びて、開閉弁操作部材4に接続されている。この内ノズル53の内部に形成される通路は、洗剤液24が流れる洗剤流通通路57を構成している。
【0026】
外ノズル52は、その全体が例えばナイロン、テフロン(登録商標)、ポリウレタン、ポリプロピレンなどの可撓性を有する合成樹脂製のチューブ材で形成されており、先端に外噴射口52aを備えている。内ノズル53も、少なくとも外ノズル52内に配される部分が同様の合成樹脂製のチューブ材で形成されており、先端に内噴射口53aを備えている。外ノズル52と内ノズル53は、内ノズル53と外ノズル52との間の移送路54中を圧縮気体が通過し、流路先端に形成された外ノズル52の外噴射口52aから気体が噴射することにより、材質が持つ柔軟性によって、外ノズル52の固定された基端部よりも前方の部分が旋回回転を行うようにしている。
【0027】
内ノズル53は、該内ノズル53の通路の先端にある内噴射口53aが外ノズル52の流路先端にある外噴射口52aよりも若干外方、即ち、外ノズル52の流路から気体が噴射されている際に、この外噴射口52aの近傍に形成される負圧域に突出している。
【0028】
外ノズル52の外周には、外ノズル52の先端部と長さ方向に間隔をおいた所定の位置とに合成樹脂製のバランサ61が複数取り付けられている。バランサ61は、ノズルの旋回運動に慣性力を付与して旋回を効率よく行わせるとともに、その外周面に形成された被ガイド面62を後述するガイド部材55のガイド面56に接触させながら旋回させることで、よりスムーズに旋回させることができるようになっている。
【0029】
ノズル部材7aの外方、即ち外ノズル52の外方にはガイド部材55が取り付けられている。ガイド部材55は、基端側から先端側へ行くにしたがって内径が順次大径となるラッパ状に形成されている。ガイド部材55の開口端、即ち先端は、外ノズル52よりも前方に張り出している。このガイド部材55は、合成樹脂材料によって形成され、外ノズル52の旋回運動をその内周面、即ちガイド面56に沿って行わせる。これにより、ノズルの動きが一定の範囲に規制されると同時に、ガイド部材55の開口端に沿って気体等が噴射される。
【0030】
バランサ61には、ガイド面56と被ガイド面62との間における摩擦抵抗を低減する低摩擦抵抗部としての第1低摩擦抵抗部63aが形成されている。第1低摩擦抵抗部63aは、ノズル部材7aが旋回運動を行う時にガイド面56と被ガイド面62との間における摩擦抵抗を低減するためのものである。この第1低摩擦抵抗部63aは、移送路54から被ガイド面62に向けて貫通形成された第1貫通孔63bとなるように形成されており、移送路54を移送される圧縮気体の一部がこの第1貫通孔63bから噴出するように構成されている。本実施の形態では、この第1貫通孔63bは、外ノズル52を正面視した時に、半径方向に向くと共に、外ノズル52を側面視した時に、外ノズル52の内周面と直交する方向に貫通形成している。即ち、第1低摩擦抵抗部63aは、外ノズル52の法線方向に圧縮気体が噴出するように第1貫通孔63bが開口形成されて構成されている。
【0031】
本実施の形態では、低摩擦抵抗部としての第2低摩擦抵抗部63cは外ノズル52にも形成されている。外ノズル52に形成されている第2低摩擦抵抗部63cは、移送路54から被ガイド面62に向けて貫通形成された貫通孔63dとなるように形成されており、移送路54を移送される圧縮気体の一部がこの貫通孔63dから噴出するように構成されている。本実施の形態では、この貫通孔63dは、外ノズル52を正面視した時に、半径方向に向くと共に、外ノズル52を側面視した時に、外ノズル52の内周面と直交する方向に貫通形成している。即ち、外ノズル52にも形成された第2低摩擦抵抗部63cは、外ノズル52の法線方向に圧縮気体が噴出するように第2貫通孔63dが開口形成されて構成されている。
【0032】
これら第1低摩擦抵抗部63a及び第2低摩擦抵抗部63cは、第1貫通孔63b及び第2貫通孔63dから噴出する圧縮気体の噴出量が同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、これら第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63cは、ノズル部材7aとしての噴射ノズル7の先端部に近い位置における圧縮気体の噴出量が、噴射ノズル7の基端部に近い位置における圧縮気体の噴出量よりも多くなるように構成されていることが好ましい。噴射ノズル7は、移送路54内に圧縮気体が供給されて該圧縮気体を噴射すると、ガイド部材の内部において後述するように旋回運動を行う。この旋回運動を行う時の移動量は、噴射ノズル7の基端部に近い位置よりも先端部に近い位置の方が多くなる。したがって、噴射ノズル7が旋回運動をしている間、ガイド部材に接触する力の大きさは、噴射ノズル7の基端部に近い位置よりも噴射ノズル7の先端部に近い位置の方が大きくなる。そのため、噴射ノズル7の先端側に近い位置における第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63cの噴射量を、噴射ノズル7の基端側に近い位置における第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63cの噴射量よりも大きくすることで、ガイド部材に接触する力の大きさを小さくすることができる。
【0033】
なお、噴射ノズル7の先端部に近い位置における第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63cの噴射量を、噴射ノズル7の基端部に近い位置における第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63cの噴射量よりも大きくするためには、噴射ノズル7の先端部に近い位置における第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63cの数を噴射ノズル7の基端部に近い位置における第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63cよりも多くすることにより実現してもよいし、噴射ノズル7の先端部に近い位置における第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63cの大きさを噴射ノズル7の基端部に近い位置における第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63cよりも大きくすることにより実現してもよい。また、これら以外の方法であってもよいし、上記したものを組み合わせて実現してもよい。
【0034】
さらに低摩擦抵抗部63は、外ノズル52の円周方向にも等間隔に並んで形成されていることが好ましい。このように、第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63dを外ノズル52の円周方向に等間隔で並んで配置することで、ノズル部材7aが旋回運動をする時に、よりスムーズに旋回運動を行うようにすることができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、低摩擦抵抗部63は、バランサ61の法線方向、又は外ノズル52の法線方向に向けて圧縮気体が噴出するように形成されているが、このように形成することに限定されるものではない。例えば、
図4(a)に示すように、バランサ61及び外ノズル52の外周面に対して、長孔形状に貫通形成させてもよいし、また
図4(b)に示すように、外ノズル52を側面視した時に、外ノズル52の内周面と直交すると共に、外ノズル52を正面視した時に、半径方向から所定角度だけ傾くように形成してもよい。この場合、低摩擦抵抗部63は、ノズル部材7aが旋回運動する際、その旋回運動をアシストする方向に貫通形成していることが好ましい。このようにすることで、ノズル部材7aが旋回運動する時に、よりスムーズに動作しやすくすることができる。
【0036】
次に、このような構成の噴射装置1の作用効果を説明する。まず、この噴射装置1で圧縮気体と洗剤液24とを併用して噴射する場合、洗剤液24の貯留容器3を装着し、開閉弁操作部材4の操作レバー31を開位置にしておく。
【0037】
次に、圧縮気体供給源18であるコンプレッサを駆動させる。この状態でガン本体11の引き金12を引くと、コンプレッサから圧縮気体が流れ、流通経路17、圧縮気体流路46、貫通孔51を経て外ノズル52の流路に流れる。そして、流路先端の外噴射口52aから勢いよく噴射される。このとき、外ノズル52と内ノズル53は、ともにその前方部が可撓性合成樹脂材料にて形成されており、かつ基端部が固定されている一方で先端部が自由端になっているため、噴射口を有する自由端が暴れるようにして旋回運動を開始する。この旋回運動は、外ノズル52の外方に設けられたガイド部材55によって半径方向一定の範囲に規制される。即ち、ガイド部材55は、内周面がガイド面56となっており、外ノズル52に設けられているバランサ61は、外周面が被ガイド面62となっているので、外ノズル52及び内ノズル53が旋回運動を行うと、ガイド面56と被ガイド面62とが互いに当接し合いながらガイド部材55が外ノズル52及び内ノズル53の旋回運動の範囲を規則的にし、より安定したものにする。また、本実施の形態では、バランサ61を備えることで外ノズル52及び内ノズル53に遠心力を付与しやすくでき、より旋回運動をスムーズに行うことが可能になる。
【0038】
特に、この噴射装置1は、バランサ61には第1低摩擦抵抗部63aが形成され、外ノズル52には第2低摩擦抵抗部63dが形成されているので、圧縮気体流路を圧縮気体が流れてくると、外噴射口に到達する圧縮気体の一部が第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63bからも噴射することになる。これら第1低摩擦抵抗部63a、第2低摩擦抵抗部63bから噴出した圧縮気体は、外ノズル52及び内ノズル53が旋回運動をしている時には、ガイド面56に向けて噴射される。したがって、旋回運動時において圧縮気体がガイド面56に向けて噴射されることで、ガイド面56及び被ガイド面62が当接する力を低減することができ、それによって、ガイド面56から被ガイド面62に生じる摩擦力を低減することができる。このようにして、摩擦力を低減すると、よりスムーズに外ノズル52及び内ノズル53が旋回運動を行うことができるようになり、より旋回運動を安定させることが可能になる。
【0039】
移送路54を通った圧縮気体が外ノズル52の外噴射口52aから勢いよく噴射されると、内ノズル53の内噴射口53aの周辺に負圧力が作用する。そして、内噴射口53aから内ノズル53内の洗剤流通通路57と挿入管25の内部にも負圧力が作用し、貯留容器3内の洗剤液24を吸い上げる。そして、洗剤液24は、外ノズル52の外噴射口52aから噴射された圧縮気体に乗り、さらに圧縮気体と混合された霧状の混合流体となって放出される。このように、ノズル部材7aの外ノズル52と内ノズル53は旋回運動を行いながら圧縮気体と洗剤液24とを混合流体として噴射するので、これらの混合流体は勢いが増幅された渦巻流となって、被洗浄面に擦るようにして衝突する。また、ノズル部材7aの外ノズル52及び内ノズル53の旋回運動は、被ガイド面62がガイド面56と接触しながら行われるので、ガイド面56が形成されているガイド部材55によって一定の範囲となるようにガイドされる。したがって、噴射時のエネルギの無駄を生じさせることがなく、固定されたノズルから単純に前方に向けて噴射されるものに比べて強い衝突力又は洗浄力が得られる。
【0040】
噴射装置1は、ガン本体11に単一の管路のみが接続されているので、噴射作業の際に管路が邪魔になることはない。また、洗剤液24の貯留容器3がガン本体11と噴射ノズル7との間に位置しているので、ガン本体11の操作バランスも良好となる。洗剤液24を変更又は補充する場合には、貯留容器3を取り外して、異なる洗剤液24又は補充された洗剤液24の貯留容器3を取り付けるだけでよい。なお、ガイド部材55の孔部は、外部の空気を取り込み、ガイド面56に沿って噴出させることで、ノズルの旋回噴射時に孔部からガイド部材55先端にかけて流れる誘導流を生じさせる。
【0041】
開閉弁操作部材4の操作レバー31を閉状態にして、ガン本体11の引き金12を引くと、上記したのと同様に、コンプレッサから送られた圧縮気体が通過路と貫通孔51を経て外ノズル52の流路を通過し、先端の噴出口から噴出される。一方、洗剤液24の挿入管25は、開閉弁操作部材4によって内ノズル53の内部通路と遮断されている。したがって、外ノズル52と内ノズル53は、上記したと同様に、旋回運動を行いながらも、空気のみの旋回粒を放出する。こうした空気のみの旋回粒は、洗浄の前処理としての埃や塵等の軽い付着物の吹き飛ばし除去に効果的である。また、洗浄液を吹き付けた後や塗料を塗布した後の乾燥処理にも効果的に用いることができる。
【0042】
以上、本発明に係る噴射ノズル及び噴射装置について詳細に説明したが、上記したのは本発明に係る噴射ノズル及び噴射装置を例示したにすぎず、これに限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、噴射ノズル及び噴射装置を適宜変更してもよい。