(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
二部材連結構造として、例えば、特許文献1に示すように、清掃用具の柄を構成する二つの角筒状の部材を回動自在に連結した構造が提案されている。この二部材連結構造に開示されているヒンジ機構では、一方の部材の端部には回動半径方向の下方側外方に突出する第1ヒンジ突片が形成され、他方の部材の端部には回動半径方向の下方側外方に突出する第2ヒンジ突片が形成され、第1ヒンジ突片と第2ヒンジ突片とが回動支点軸によって左右方向の水平な回動軸芯周りで相対回動自在に連結されている。
このヒンジ機構では、両部材の連結側の端面同士を当接させて両部材の軸芯を一直線状にした姿勢が伸展状態となり、両部材を回動軸芯周りで回動させて両部材の下側縁同士を近接又は接触させた二つ折り姿勢が折畳み状態となる。
【0003】
また、係合保持機構を構成するに、一方の部材には、角筒の内部空間及び端部開口をもって構成される被係合部としての係合孔が形成されている。他方の部材には、両部材が伸展状態にあるときに一方の部材の係合孔に対して係脱可能な係合部を有し、且つ、係合部の係脱方向に移動自在な可動係合部材と、当該可動係合部材を係合側に移動付勢する付勢部としての圧縮コイルバネと、可動係合部材を圧縮コイルバネの弾性付勢力に抗して係合解除側に移動操作する操作部とが設けられている。
可動係合部材の係合部は、両部材の連結側端面が当接した状態で一方の部材の係合孔内に設定係合寸法だけ係入するように構成されている。
また、他方の部材に設けられている可動係合部材の係合部の端面は、回動半径方向外方側ほど一方の部材側に突出する傾斜面に形成され、この係合部の傾斜端面に、回動軸芯周りで回動する一方の部材の開口端縁のうち、回動半径方向外方側の開口端縁部分が当接したとき、部材長手方向の分力で可動係合部材の係合部を圧縮コイルバネの弾性付勢力に抗して係合解除側に押し込むように構成されている。
【0004】
そして、伸展状態にある両部材を折畳み状態に変更する場合には、操作部を操作して可動係合部材を圧縮コイルバネの弾性付勢力に抗して係合解除側に移動させ、可動係合部材の係合部の先端が一方の部材の開口端縁から離脱した時点で両部材を回動軸芯周りで折畳み側に回動操作する。
また、折畳み状態にある両部材を伸展状態に変更する場合には、両部材を回動軸芯周りで伸展側に回動操作し、両部材が伸展状態に到達する前に、一方の部材の開口端縁における回動半径方向外方側の開口端縁部分が可動係合部材の係合部の傾斜端面に当接する。この当接に伴う部材長手方向の分力より、可動係合部材が圧縮コイルバネの弾性付勢力に抗して係合解除側に押し込まれ、両部材の連結側端面同士が当接する直前に、可動係合部材の係合部が圧縮コイルバネの弾性付勢力で係合位置に突出移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の係合保持機構では、折畳み状態にある両部材を伸展状態に変更するとき、回動軸芯周りで回動する一方の部材の開口端縁のうち、回動半径方向外方側の開口端縁部分で可動係合部材の係合部の傾斜端面を押し込む。そのため、可動係合部材の係合部の設定係合寸法を十分な長さにすると、一方の部材の開口端縁における回動半径方向外方側の開口端縁部分と可動係合部材の係合部の傾斜端面との初期当接位置が回動軸芯側に偏倚する。この初期当接位置の回動軸芯側への偏倚に伴って可動係合部材の移動方向に対して斜めに押し込む傾斜角度が大きくなり、他方の部材に対する可動係合部材の部材横断方向での押付け分力が大きくなるため、他方の部材の内面に沿って係合解除位置側に押し込まれる可動係合部材の摩擦抵抗が増大し、折畳み状態にある両部材の伸展状態への変更操作に大きな労力を要する。
また、両部材の伸展状態への変更操作力を軽減する方法として、一方の部材の第1ヒンジ突片と他方の部材の第2ヒンジ突片との回動軸芯位置を、可動係合部材に対して回動半径方向の下方側外方に大きく離間配置することが考えられる。しかし、この場合、下方側外方への離間配置によって両部材のヒンジ機構の大型化、重量化を招来する問題がある。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、係合保持機構での係合力を高めながらも、ヒンジ機構の小型化、軽量化を図りつつ両部材の伸展状態への変更操作を容易に行うことのできる二部材連結構造及びそれを用いた清掃具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、二つの部材を伸展状態と折畳み状態との間で回動自在に連結するヒンジ機構と、前記両部材を伸展状態で相対回動不能に係合保持する係合保持機構とが設け
られ、前記ヒンジ機構の回動軸芯は、折畳み状態で対面する前記両部材の側面側に設けられている二部材連結構造であって、
前記係合保持機構には、一方の前記部材に設けられた
係合孔と、前記両部材が伸展状態にあるときに前記
係合孔に対して係脱可能な
係合突起を有し、且つ、他方の前記部材に対して前記
係合突起の係脱方向に移動自在に設けられた可動係合部材と、当該可動係合部材を係合側に移動付勢する付勢部と、前記可動係合部材を係合解除側に移動操作する操作部とが備えられ、
前記両部材の回動領域のうち、伸展状態に対応する回動領域部においては前記付勢部による前記可動係合部材の前記
係合突起の係合位置への移動を許容し、且つ、伸展状態に対応しない他の回動領域部においては前記可動係合部材の前記
係合突起を前記付勢部の付勢力に抗して非係合位置に保持する移動規制機構が設け
られ、
前記移動規制機構は、前記両部材の伸展状態に対応する回動領域部において前記係合孔側に突出する状態で前記可動係合部材に設けられた移動規制突起と、一方の前記部材のうち、伸展状態に対応する回動領域部において前記移動規制突起と対面する部位おいて、前記付勢部の付勢力によって前記移動規制突起が係合する係合凹部と、伸展状態に対応しない他の回動領域部においてのみ前記ヒンジ機構の回動軸芯周りで円弧状又は略円弧状に連続し、且つ、前記可動係合部材の前記係合突起が非係合位置にある状態で前記移動規制突起の先端と当接する突出規制面とが備えられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、両部材が折畳み状態にあるときには、他方の部材に移動自在に設けられている可動係合部材の係合部は、移動規制機構によって付勢部の付勢力に抗して非係合位置に保持されている。この状態は、両部材の回動領域のうち、伸展状態に対応しない他の回動領域部において維持される。つまり、折畳み状態にある両部材を伸展状態に変更操作するとき、伸展状態の直前までは可動係合部材の係合部は非係合位置に保持されている。
そして、可動係合部材の係合部が伸展状態に対応する回動領域部に到達すると、移動規制機構による移動規制が解除され、可動係合部材の係合部が、付勢部の付勢力で一方の部材に設けられた被係合部に係合移動し、可動係合部材の係合部が一方の部材の被係合部に係合した位置に付勢保持される。
【0010】
また、係合保持機構の操作部を操作して、係合位置にある可動係合部材の係合部を付勢部の付勢力に抗して非係合位置に移動させ、その状態で伸展状態に対応しない他の回動領域部に回動操作すると、可動係合部材の係合部は、そのまま移動規制機構によって非係合位置に保持される。
【0011】
そして、両部材の回動領域のうち、伸展状態に対応する回動領域部においてのみ可動係合部材の係合部の係脱移動が可能であるから、他方の部材に設けられた可動係合部材の係合部と一方の部材に設けられた被係合部との係合代を大きくしても、両部材の回動操作に悪影響を与えることを抑制することができる。
したがって、係合保持機構での係合力を高めながらも、ヒンジ機構の小型化、軽量化を図りつつ両部材の伸展状態への変更操作を容易に行うことができる。
【0013】
さらに、伸展状態に対応しない他の回動領域部においは、ヒンジ機構の回動軸芯周りで円弧状又は略円弧状に連続形成された突出規制面に、可動係合部材に設けられた移動規制突起の先端が当接して、可動係合部材の係合部が非係合位置に保持される。
それ故に、伸展状態に対応しない他の回動領域部での両部材の回動操作を同一又は略同一の操作感覚で円滑に行うことができる。
【0014】
本発明による第
2の特徴構成は、前記移動規制機構の前記突出規制面は、一方の前記部材に設けられた前記ヒンジ機構の筒状連結部の外周面の一部をもって構成されている点にある。
【0015】
上記構成によれば、ヒンジ機構の回動軸芯周りで円弧状又は略円弧状に連続形成される筒状連結部の外周面を利用して、移動規制機構の突出規制面を構造面及び製造コスト面で有利に構成することができる。
【0016】
本発明による第
3の特徴構成は、前記筒状連結部の外周面のうち、前記両部材の伸展状態に対応する回動領域部おいて前記移動規制突起の先端と対面する部位
に前記係合凹部が形成されている点にある。
【0017】
上記構成によれば、可動係合部材の係合部が伸展状態に対応する回動領域部に到達すると、移動規制機構による移動規制が解除され、付勢部の付勢力により、可動係合部材の係合部が一方の部材に設けられた被係合部に係合し、且つ、可動係合部材の移動規制突起が筒状連結部の外周面に形成されている係合凹部に係合する。
それ故に、ヒンジ機構の回動半径方向における二箇所での係合により、両部材を伸展状態に強固に連結維持することができる。
【0018】
本発明による第
4の特徴構成は、
前記係合突起における前記ヒンジ機構の回動半径方向外方側に位置する外側面が、係合先端側ほど前記係合孔における前記ヒンジ機構の回動半径方向外方側に位置する外方側内面から前記ヒンジ機構の回動軸芯側に離間し、且つ、基端側ほど前記係合孔における前記外方側内面に近接又は接触するテーパー面に構成されている点にある。
【0019】
上記構成によれば、係合突起におけるヒンジ機構の回動半径方向外方側に位置する外側面をテーパー面に構成してあるので、係合突起の係合先端側においては、これに対応する係合孔の外方側内面からヒンジ機構の回動軸芯側に離間した状態にあるため、可動係合部材が両部材の伸展状態に対応する回動領域部に到達したとき、可動係合部材の係合突起が引っ掛かることなく係合孔内にスムーズに係入する。
それでいて、係合突起の外側面の基端側においては、これに対応する係合孔の外方側内面に近接又は接触する状態にあるので、係合突起と係合孔とが嵌合した状態でのガタツキを抑制することができる。
【0020】
本発明による第
5の特徴構成は、前記移動規制突起の先端部には、前記両部材の伸展状態から折畳み状態への初期回動時に、前記係合凹部内の外周面側開口縁部との当接に伴って前記可動係合部材を係合解除側に移動させるガイド部が形成されている点にある。
【0021】
上記構成によれば、伸展状態にある両部材を折畳み状態側に回動操作する際、係合保持機構の操作部を操作して、係合位置にある可動係合部材の係合部を付勢部の付勢力に抗して非係合位置に移動させる。このとき、操作部による可動係合部材の移動操作が不十分で、移動規制突起の先端部が係合凹部内に位置する場合がある。この場合でも、移動規制突起の先端部に形成された傾斜面と係合凹部内の外周面側開口縁部との当接により、両部材の伸展状態から折畳み状態への初期回動時において、可動係合部材を係合解除側に移動させることができるので、両部材の折畳み状態側への回動操作を確実、スムーズに行うことができる。
【0022】
本発明による第
6の特徴構成は、第1〜
5の特徴構成のいずれか一つに記載の二部材連結構造を用いた清掃具であって、前記両部材のうち、一方が清掃部側の柄部材から構成され、他方が把持部側の柄部材から構成
され、前記両柄部材間には、伸展状態にあるとき回動方向から係合して前記両柄部材の横振れを防止する横振れ防止部が設けられている点にある。
【0023】
上記構成によれば、清掃用具側の柄部材には被係合部が設けられ、把持部側の柄部材には可動係合部材と付勢部が設けられる。
そして、折畳み状態にある両柄部材を伸展状態に変更操作する際、他方の柄部材の把持部を把持した状態で一方の柄部材側の重量を利用して回動軸芯周りで開き側に振り操作すると、可動係合部材の係合部が伸展状態に対応する回動領域部に到達すると同時に、移動規制機構による移動規制が解除され、可動係合部材の係合部が付勢部の付勢力で被係合部に係合する。
それ故に、他方の柄部材の把持部を把持した状態で、一方の柄部材側の重量を利用して回動軸芯周りで開き側に振り操作するだけで、折畳み状態にある両柄部材を伸展状態に簡単に変更することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
図1〜
図6は、本発明の二部材連結構造が適用された清掃具を示す。この清掃具は、主として浴槽や床等の洗浄に使用されるもので、清掃対象面を摺接状態で清掃する清掃部Aと、この清掃部Aを清掃対象面に沿って移動操作するための把持部Bを備え、且つ、傾斜姿勢で前後方向に延びる合成樹脂製の柄Cとが備えられている。
柄Cは、一方の部材となる清掃部A側の角筒状の柄部材(以下、前方側柄部材と呼称する)1と、他方の部材となる把持部B側の角筒状の柄部材(以下、後方側柄部材と呼称する)2とに分割構成されている。
この分割構成された両柄部材1、2の連結構造には、両柄部材1、2を前後方向に沿って一直線状に接合した伸展状態(
図1参照)と清掃時に清掃対象面側に向く下側縁1a,2a同士が接する折畳み状態(
図4参照)との間で回動自在に枢支連結するヒンジ機構Dと、両柄部材1、2を伸展状態で相対回動不能に係合保持する係合保持機構Eとが設けられている。
【0026】
清掃部Aは、
図1、
図4に示すように、板状の合成樹脂製の取付け基体3と、当該取付け基体3の下面に対して脱着自在に取付けられる清掃用スポンジ4とを主要構成として備えている。
取付け基体3の下面には、
図4に示すように、清掃用スポンジ4の上面側に設けた面状ファスナー4Cを着脱自在に保持する多数の雄型の係合素子3aが一体的に突出形成されている。また、取付け基体3の上面の左右方向中央部で、且つ、後方側に偏倚した部位には、前方側柄部材1の前端側角筒部1Aに対して脱着可能で、且つ、相対回転不能な状態で嵌合接続される角状連結軸部5Aを備えた柄取付け部5が柄Cの傾斜角度で一体形成されている。
柄取付け部5の角状連結軸部5Aには、
図4に示すように、前方側柄部材1の前端側角筒部1Aに形成された操作窓6に臨む係合凹部7が形成され、前端側角筒部1Aの操作窓6の開口縁には、柄取付け部5の角状連結軸部5Aと前方側柄部材1の前端側角筒部1Aとが所定嵌合深さで嵌合接続されたとき、角状連結軸部5Aの係合凹部7に係合する抜止め片8が一体形成されている。
抜止め片8は、係合凹部7に対する係脱方向に撓み変形可能に構成され、この抜止め片8の先端には、操作窓6に挿入されたドライバー等の工具で係合解除側に撓み変形させるための係合解除操作片8aが一体形成されている。
【0027】
清掃用スポンジ4としては、従来から種々の形態のものが開発され、そのいずれの形態の清掃用スポンジ4も好適に用いることができる。
当該実施形態で用いられる清掃用スポンジ4は、
図1、
図4に示すように、連続気泡を備えた弾性発泡体の一例であるウレタンフォーム製のスポンジからなる清掃本体4Aの下側面の全域に、不織布4Bが接着剤や熱融着等により貼着されている。清掃本体4Aの上側面の全域には面状ファスナー4Cが接着剤や熱融着等により貼着されている。
【0028】
後方側柄部材2の把持部Bは、
図1、
図4に示すように、後方側柄部材2の後端に一体形成された下方に開口する上側グリップ部9Aと、当該上側グリップ部9Aの下方開口部に嵌合固定された下側グリップ部9Bとからなり、下側グリップ部9Bの後端部には、上側グリップ部9Aの後端部に貫通する状態で吊下げ用の筒状部9bが一体形成されている。
【0029】
次に、ヒンジ機構Dについて詳述する。
図2〜
図5に示すように、前方側柄部材1の後端側角筒部1Bで、且つ、左右方向の中央部位には、前方側柄部材1の下側縁1a相当位置を左右方向に沿って水平に通る回動軸芯Xを中心とする第1軸孔11、及び、回動軸芯Xを円弧中心とする外周面12aを備えた第1筒状連結部12が一体形成されている。この第1筒状連結部12の下半部は、前方側柄部材1の下側縁1aよりも下方側に突出形成され、第1筒状連結部12の後半部は、前方側柄部材1の後端面1bよりも後方側に突出形成されている。
【0030】
後方側柄部材2の前端側角筒部2Aで、且つ、第1筒状連結部12の回動軸芯X方向幅に相当する間隔又はそれよりも少し大なる間隔を左右方向に空けた両側部位には、後方側柄部材2の下側縁2a相当位置を左右方向に沿って水平に通る回動軸芯Xを中心とする第2軸孔13、及び、回動軸芯Xを円弧中心とする外周面14aを備えた左右一対の第2筒状連結部14が一体形成されている。各第2筒状連結部14の下半部は、後方側柄部材2の下側縁2aよりも下方側に突出形成され、各第2筒状連結部14の前半部は、後方側柄部材2の前端面2bよりも前方側に突出形成されている。
【0031】
前方側柄部材1の第1筒状連結部12と後方側柄部材2の両第2筒状連結部14とは、第1筒状連結部12の第1軸孔11と両第2筒状連結部14の第2軸孔13とが同芯状態で左右方向に連通する相対姿勢で重合配置可能に構成されている。
重合配置状態にある第1筒状連結部12の第1軸孔11と両第2筒状連結部14の第2軸孔13とに亘って回動支点軸15を挿通することにより、前方側柄部材1と後方側柄部材2とが回動軸芯X周りで回動自在に枢支連結されている。
【0032】
回動支点軸15は、
図2に示すように、後方側柄部材2の一方の第2筒状連結部14の第2軸孔13側から第1筒状連結部12の第1軸孔11内に挿入される雌型の連結軸部材15Aと、後方側柄部材2の他方の第2筒状連結部14の第2軸孔13側から第1筒状連結部12の第1軸孔11内に挿入される雄型の連結軸部材15Bとから構成されている。
雌型の連結軸部材15Aの軸部分15aには、軸芯方向に沿って先端側に開口するスリット15Cが形成され、雄型の連結軸部材15Bの軸部分15bは、雌型の連結軸部材15Aのスリット15Cに回動軸芯X方向から嵌合する板状に構成されている。この板状の軸部分15bの両側面における回動軸芯X方向の中間部位には係止突起部15Dが一体形成され、雌型の連結軸部材15Aにおけるスリット15Cに臨む内面には、雄型の連結軸部材15B側の両係止突起部15Dが係合する係合凹部15Eが形成されている。
また、雌型の連結軸部材15Aの軸部分15aにおける基端側部位及び雄型の連結軸部材15Bの軸部分15bにおける基端側部位には、後方側柄部材2の両第2筒状連結部14における第2軸孔13の外面側開口縁に形成された大径凹部13aに入込み状態で当接する鍔部15c,15dが一体形成されている。
【0033】
次に、係合保持機構Eについて詳述する。
前方側柄部材1の後端側角筒部1Bで、且つ、第1筒状連結部12よりも回動半径方向外方側部位には、後端側角筒部1Bの後端面1bにおいて後方側に開口する被係合部としての係合孔20が形成されている。
後方側柄部材2の前端側角筒部2Aには、前方側柄部材1の後端側角筒部1Bの係合孔20に対して後方側から係脱自在な係合部としての係合突起21が一体形成され、且つ、後方側柄部材2の内面に沿って係合突起21の係脱方向に摺動状態で移動自在に設けられた合成樹脂製の可動係合部材22と、可動係合部材22を係合側に移動付勢する付勢部23と、可動係合部材22を付勢部23の付勢力に抗して係合解除側に移動操作する操作部24とが備えられている。
【0034】
可動係合部材22には、後方側柄部材2の前端側角筒部2Aを構成する天井壁部2cと左右の側壁部2d及び底壁部2eとのうち、左右に側壁部2dの内面に沿って摺接案内する両ガイド側面22aと、底壁部2eの内面に沿って摺接案内するガイド底面22bとが形成されている。
可動係合部材22の後端面には、後方側柄部材2の前端側角筒部2Aの天井壁部2cの内面に近接する状態で後方に延出される移動ガイド板部25が一体形成されている。
そのため、可動係合部材22は後方側柄部材2の前端側角筒部2Aの内面に沿って前後方向に円滑に摺動する。
【0035】
可動係合部材22の上面には、後方側柄部材2の前端側角筒部2Aの天井壁部2cに形成された前後方向の操作ガイド溝26を通して上方外方に突出する操作ガイド部27が一体形成され、この操作ガイド部27の突出先端に操作部24が一体形成されている。
この操作部24には、付勢部23の付勢力に抗して係止解除側である後方側に操作するための凹状の指掛け面24aが形成され、操作部24の左右方向の幅は、操作ガイド溝26の溝幅よりも大に構成されている。
【0036】
付勢部23は、前後方向に沿う圧縮コイルスプリング23Aを備え、この圧縮コイルスプリング23Aの前端部は、可動係合部材22の後端面に突設された第1バネ受け突起23Bに密着状態で外嵌装着されている。また、圧縮コイルスプリング23Aの後端部は、後方側柄部材2の前端側角筒部2A内の仕切り壁部2C前面に突設された第2バネ受け突起23Cに外嵌装着されている。
【0037】
そして、上述の如く構成された両柄部材1、2の連結構造には、
図6(a)に示すように、両柄部材1、2の回動領域Rのうち、伸展状態に対応する回動領域部R1においては圧縮コイルスプリング23Aによる可動係合部材22の係合突起21の係合位置への移動を許容し、且つ、伸展状態に対応しない他の回動領域部R2においては可動係合部材22の係合突起21を圧縮コイルスプリング23Aの弾性付勢力に抗して非係合位置(係合解除位置)に保持する移動規制機構Fが設けられている。
この移動規制機構Fは、
図2〜
図6に示すように、両柄部材1、2が伸展状態にあるとき、換言すれば、両柄部材1、2の伸展状態に対応する回動領域部R1において係合孔20側に突出する状態で可動係合部材22に一体形成された移動規制突起31と、伸展状態に対応しない他の回動領域部R2においてのみヒンジ機構Dの回動軸芯X周りで円弧状又は略円弧状に連続し、且つ、可動係合部材22の係合突起21が非係合位置にある状態で移動規制突起31の先端と当接する突出規制面32とが備えられている。
この突出規制面32は、両柄部材1、2の伸展状態に対応する回動領域部R1において移動規制突起31と対面する回動領域部R1には存在せず、伸展状態の直前状態にあるときに移動規制突起31の先端と対面する第1回動位置R2aから両柄部材1、2が折畳み状態にあるときに移動規制突起31の先端と対面する第2回動位置R2bまでの他の回動領域部R2においてのみ存在する。
【0038】
そのため、
図4、
図6(a)に示すように、両柄部材1、2が折畳み状態にあるときには、後方側柄部材2の前端側角筒部2Aに装着の可動係合部材22に形成されている移動規制機構Fの移動規制突起31は、伸展状態に対応しない他の回動領域部R2に設けられた円弧状又は略円弧状の突出規制面32に当接して、可動係合部材22の係合突起21は圧縮コイルスプリング23Aの弾性付勢力に抗して非係合位置に保持されている。この状態は、例えば、
図6(b)、(c)に示すように、両柄部材1、2の回動領域Rのうち、伸展状態に対応しない他の回動領域部R2において維持される。つまり、折畳み状態にある両柄部材1、2を伸展状態に変更操作するとき、伸展状態の直前までは可動係合部材22の係合突起21は非係合位置(係合解除位置)に保持されている。
【0039】
次に、
図5に示すように、可動係合部材22の係合突起21が両柄部材1、2の伸展状態に対応する回動領域部R1に到達すると、移動規制機構Fの移動規制突起31は突出規制面32から離脱して移動規制が解除される。そのため、後方側柄部材2の前端側角筒部2Aに装着されている可動係合部材22の係合突起21は、圧縮コイルスプリング23Aの弾性付勢力で前方側柄部材1の後端側角筒部1Bに形成されている係合孔20に係合移動し、両柄部材1、2は前後方向に沿って一直線状に接合した伸展状態で係合保持される。
【0040】
また、係合保持機構Eの操作部24を係合解除側に操作して、係合位置にある可動係合部材22の係合突起21を圧縮コイルスプリング23Aの弾性付勢力に抗して非係合位置に移動させ、その状態で伸展状態に対応しない他の回動領域部R2に回動操作する。これにより、
図6(c)、(b)、(a)の順番で示すように、可動係合部材22に形成されている移動規制機構Fの移動規制突起31は、伸展状態に対応しない他の回動領域部R2に設けられた円弧状又は略円弧状の突出規制面32に再び当接し、可動係合部材22の係合突起21は圧縮コイルスプリング23Aの弾性付勢力に抗して非係合位置(係合解除位置)に保持される。
【0041】
それ故に、両柄部材1、2の回動領域Rのうち、伸展状態に対応する回動領域部R1においてのみ可動係合部材22の係合突起21の係脱移動が可能であるから、可動係合部材22の係合突起21と前方側柄部材1の後端側角筒部1Bに形成されている係合孔20との係合代を大きくしても、両柄部材1、2の回動操作に悪影響を与えることを回避することができる。
したがって、係合保持機構Eでの係合力を高めながらも、ヒンジ機構Dの小型化、軽量化を図りつつ両柄部材1、2の伸展状態への変更操作を迅速、容易に行うことができる。
特に、後方側柄部材2の把持部Bを把持した状態で、清掃部Aの重量を利用して前方側柄部材1を開き側に回動操作するだけで、折畳み状態にある両柄部材1、2を伸展状態に簡単に変更することができる。
【0042】
また、伸展状態に対応しない他の回動領域部R2においは、ヒンジ機構Dの回動軸芯X周りで円弧状又は略円弧状に連続形成された突出規制面32に、可動係合部材22に設けられた移動規制突起31の先端が当接しているので、伸展状態に対応しない他の回動領域部R2での両柄部材1、2の回動操作を円滑に行うことができる。
【0043】
また、移動規制機構Fの突出規制面32は、前方側柄部材1の後端側角筒部1Bに一体形成されているヒンジ機構Dの第1筒状連結部12の外周面12aの一部をもって構成されている。
そのため、第1筒状連結部12の外周面12aのうち、両柄部材1、2が伸展状態にあるときに移動規制突起31と対面する部位には、圧縮コイルスプリング23Aの弾性付勢力による移動規制突起31の前方側への突出移動によって係合する係合凹部33が形成されている。
そのため、可動係合部材22の係合突起21が伸展状態に対応する回動領域部R1に到達すると、可動係合部材22に形成されている移動規制機構Fの移動規制突起31は、突出規制面32を構成する第1筒状連結部12の外周面12aから離脱して移動規制が解除され、第1筒状連結部12の外周面12aに形成されている係合凹部33に回動半径方向で対向する位置に回動する。この位置に回動した瞬間、圧縮コイルスプリング23Aの弾性付勢力により、可動係合部材22の係合突起21は、前方側柄部材1の後端側角筒部1Bに形成されている係合孔20に係合し、且つ、可動係合部材22の移動規制突起31は、第1筒状連結部12の係合凹部33に係合する。
この係合状態では、
図3、
図5に示すように、伸展状態にある両柄部材1、2を折畳み状態側に回動操作すると、可動係合部材22の係合突起21における回動半径方向外方側に位置する外側面(上面)21aが、前方側柄部材1の係合孔20における回動半径方向外方側に位置する外方側内面20aに当接する。同時に、可動係合部材22の移動規制突起31における回動半径方向外方側に位置する外側面(上面)31aが、第1筒状連結部12の係合凹部33における回動半径方向外方側に位置する外方側内面33aに当接し、両柄部材1、2の回動軸芯X周りでの回動が阻止される。
それ故に、ヒンジ機構Dの回動半径方向における二箇所での係合により、両柄部材1、2を伸展状態で強力に維持することができる。
【0044】
さらに、
図3、
図5に示すように、可動係合部材22の係合突起21における回動半径方向外方側の外側面21aは、係合先端側ほど係合孔20の外方側内面20aから回動軸芯X側に離間し、且つ、基端側ほど係合孔20の外方側内面20aに近接又は接触するテーパー面に構成されている。
そのため、係合突起21の外側面21aの係合先端側においては、これに対応する係合孔20の外方側内面20aから回動軸芯X側に離間した状態にあるため、可動係合部材22の係合突起21が伸展状態に対応する回動領域部に到達したとき、係合突起21が引っ掛かることなく係合孔20内にスムーズに係入する。
それでいて、係合突起21の外側面21aの基端側においては、これに対応する係合孔20の外方側内面20aに近接又は接触する状態にあるので、係合突起21と係合孔20とが嵌合した状態でのガタツキを抑制することができる。
【0045】
また、
図3に示すように、可動係合部材22の係合突起21の外側面21aの基端側部位と移動規制突起31の回動半径方向内方側の下面31bとの間における柄横断方向での間隔W1が、係合孔20の外方側内面20aと係合凹部33における回動半径方向内方側に位置する内方側内面33bとの間における柄横断方向での間隔W2よりも僅かに小に構成されている。
【0046】
移動規制突起31の先端部には、
図3、
図5に示すように、両柄部材1、2の伸展状態から折畳み状態への初期回動時に、係合凹部33の開口縁、詳しくは、係合凹部33における回動半径方向内方側に位置する内方側内面33bの開口縁との当接に伴って可動係合部材22を係合解除側に移動させる傾斜姿勢のガイド部31cが形成されている。
また、係合凹部33における回動半径方向外方側に位置する外方側内面33aの開口縁には、係合移動する移動規制突起31の先端部との当接に伴って当該移動規制突起31を所定係合位置に移動案内する傾斜姿勢の第2ガイド部33cが形成されている。
【0047】
図1〜
図4に示すように、前方側柄部材1と後方側柄部材2とが伸展状態にあるとき、回動方向から係合して両柄部材1、2の横振れを防止する横振れ防止部35が設けられている。この横振れ防止部35は、後方側柄部材2の前端側角筒部2Aの前端面2bから前方側に突出形成された略Uの字状の横振れ防止部材35Aと、当該横振れ防止部材35Aが回動方向から係脱可能な状態で前方側柄部材1の後端側角筒部1Bの天井壁部1cの外面に形成された略Uの字状の係合凹部35Bとから構成されている。
略Uの字状の横振れ防止部材35Aは、両柄部材1、2が折畳み状態にあるときの吊下げ具に兼用構成されている。
【0048】
〔第2実施形態〕
図7に示す移動規制機構Fでは、前方側柄部材1の第1筒状連結部12のうち、両柄部材1、2が伸展状態にあるときにおいて、移動規制突起31の回動半径方向内方側に位置する下面31bに回転半径方向で対向する第1位置P1から係合孔20の開口縁に相当する第2位置P2までの範囲に、圧縮コイルスプリング23Aの弾性付勢力による移動規制突起31の前方側への突出移動を許容する凹部36が形成されている。
この凹部36は、伸展状態にある両柄部材1、2の回動操作を阻止する機能はなく、回動操作を阻止するのは、可動係合部材22の係合突起21の外側面21aと前方側柄部材1の係合孔20における外方側内面20aとの係合だけになる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0049】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、ヒンジ機構Dを、前方側柄部材1の後端側角筒部1Bで、且つ、左右方向の中央部位に一体形成した第1筒状連結部12と、後方側柄部材2の前端側角筒部2Aで、且つ、左右方向に間隔を空けた両側部位に一体形成した左右一対の第2筒状連結部14と、重合配置状態にある第1筒状連結部12の第1軸孔11と両第2筒状連結部14の第2軸孔13とに亘って挿通される回動支点軸15とから構成した。しかし、この構成に限定されるものではなく、例えば、前方側柄部材1の後端側角筒部1Bに左右一対の第2筒状連結部14を一体形成し、後方側柄部材2の前端側角筒部2Aに第1筒状連結部12を一体形成してもよい。
また、前方側柄部材1側の第1筒状連結部12と後方側柄部材2側の第2筒状連結部14とを板状のヒンジ片から構成し、そのうちの一方に、他方の第2筒状連結部14又は第1筒状連結部12を回動自在に支承する回動支点軸15を一体形成してもよい。
【0050】
(2)上述の各実施形態では、移動規制機構Fの突出規制面32を、前方側柄部材1の後端側角筒部1Bに一体形成されているヒンジ機構Dの第1筒状連結部12の外周面12aの一部をもって構成した。しかし、この構成に限定されるものではなく、例えば、ヒンジ機構Dの回動軸芯X周りで円弧状又は略円弧状に連続する突出規制面32を備えた突出規制部材を別途設けて実施してもよい。
【0051】
(3)上述の各実施形態では、移動規制機構Fの突出規制面32を、ヒンジ機構Dの回動軸芯X周りで円弧状又は略円弧状に連続形成して、伸展状態に対応しない他の回動領域部での両柄部材1、2の回動操作を同一又は略同一の操作感覚で円滑に行うことができるように構成した。しかし、この構成に限定されるものではなく、例えば、移動規制機構Fの突出規制面32を、両柄部材1、2が折畳み状態にあるときに移動規制突起31の先端と対面する第2回動位置R2b側ほどヒンジ機構Dの回動軸芯Xから離れる又は近接する状態の曲線形状又は直線形状若しくは曲線と直線の組み合せ形状に構成してもよい。
移動規制機構Fの突出規制面32は、移動規制突起31を略円滑に移動案内できるものであれば実質的に連続する形状であってもよい。
【0052】
(4)上述の各実施形態では、付勢部23で可動係合部材22を係合側に移動付勢し、可動係合部材22に設けた操作部24により可動係合部材22を付勢部23の付勢力に抗して係合解除側に移動操作するように構成した。しかし、この構成に限定されるものではなく、例えば、可動係合部材22を付勢部23の付勢力に抗して係合解除位置に保持する解除保持機構を設けてもよい。
この場合、移動規制機構Fを構成するにあたって、伸展状態に対応しない他の回動領域部R2での可動係合部材22の非係合位置は、可動係合部材22の係合突起21が第1筒状連結部12の外周面12aに形成されている係合凹部33から離脱した以降で、且つ、解除保持機構の係合解除位置に至るまでの係合解除領域において設定するとよい。
【0053】
(5)上述の各実施形態では、二部材連結構造を用いた清掃具について説明したが、傘の柄等の他の分野での二部材の連結構造としても有効に用いることができる。
【0054】
(6)上述の各実施形態では、付勢部23を圧縮コイルスプリング23Aを主体に構成したが、板バネ用の他の弾性付勢体を用いて構成してもよい。