【実施例】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本実施例に係る顧客サービスシステム、オペレータスキル判定方法及びオペレータスキル判定プログラムについて説明する。なお、本実施例では、顧客からの電話等による問い合せを受けて、会話を用いた対応を行うコールセンタに本発明を適用する場合について説明を行う。
【0022】
まず、本実施例に係る顧客サービスシステムの特徴について説明する。
図1は、本実施例に係る顧客サービスシステムの特徴を説明するための説明図である。
図1に示すように、顧客が電話等によりコールセンタに問い合せを行うと、該問い合せに割り当てられたオペレータが応答し、顧客対応を行う(1)。
【0023】
コールセンタでは、複数のオペレータに対応して複数のオペレータ端末装置100が設けられており、オペレータは顧客対応を行いつつ、問い合せの内容や回答した内容をオペレータ端末装置100に入力する(2)。
【0024】
オペレータ端末装置100は、入力されたデータを顧客対応管理サーバ200に送信し、入力データの登録を行う(3)。顧客対応管理サーバ200は、オペレータ端末装置100から受信した入力データを対応履歴データ200dに追加する。このように、顧客対応管理サーバ200は、コールセンタの複数のオペレータがそれぞれ行った顧客対応の内容を対応履歴データ200dに蓄積することができる。
【0025】
さらに、オペレータ端末装置100は、オペレータによる入力状態をモニタし、モニタの結果をオペレータ管理サーバ300に送信する(4)。入力状態のモニタ結果は、具体的には、オペレータによる入力操作の速度を示す入力速度、入力操作の修正頻度、入力操作が行われていない時間を示す無入力時間などであり、特許請求の範囲の「入力操作情報」に対応する。
【0026】
オペレータ管理サーバ300は、オペレータ端末装置100から受信した入力状態モニタ結果を、オペレータのスキルの判定(5)と、オペレータのストレスの判定(6)に用いる。
【0027】
具体的には、オペレータ管理サーバ300は、オペレータのスキルの判定基準を示す判定基準データ304aを記憶しており、オペレータ端末装置100から受信した入力状態モニタ結果と判定基準データ304aとに応じてオペレータのスキルを判定することになる。
【0028】
例えば、入力速度については早いほどオペレータのスキルは高く、修正頻度及び無入力時間については少ないほどオペレータのスキルは高い。判定基準データ304aは、入力速度、修正頻度、無入力時間などについて、それぞれの値とスキルの判定値とを対応付けたテーブルである。従って、オペレータ管理サーバ300は、オペレータ端末装置100から入力状態モニタ結果を受信した場合に、判定基準データ304aを参照することでオペレータのスキルを示す判定値を求めることができる。オペレータ管理サーバ300は、算定したスキルの判定値をオペレータの識別情報と対応付けて記憶する。
【0029】
また、オペレータ管理サーバ300は、入力状態モニタ結果から求めたスキルの判定値と、過去に同一のオペレータについて求めたスキルの判定値とを比較し、スキルの判定値の低下の度合をストレスの判定結果として算定する。すなわち、入力速度の減少や、修正頻度や無入力時間の増加が発生していた場合に、オペレータに何らかのストレスが生じていると判定することになる。
【0030】
このように、オペレータ端末装置100がオペレータによる入力状態をモニタしてオペレータ管理サーバ300に通知し、オペレータ管理サーバ300が入力状態モニタ結果及び判定基準データ304aに応じて該当するオペレータのスキルを判定することにより、簡易な構成でオペレータのスキルを判定することができる。
【0031】
また、オペレータ管理サーバ300は、入力状態モニタ結果から求めたスキルの判定値を記憶し、スキルの判定値の変化からオペレータのストレスを判定することができる。
【0032】
次に、顧客サービスシステムのシステム構成について説明する。
図2は、顧客サービスシステムのシステム構成図である。
図2に示すように、顧客端末とコールセンタ10とは、ネットワーク20を介して接続される。顧客端末は、例えば電話機などであり、ネットワーク20は電話回線網などである。
【0033】
コールセンタ10は、複数のオペレータ端末装置100を有し、顧客端末からの着呼をいずれかのオペレータ端末装置100に割り当てる。また、コールセンタ10は、顧客対応管理サーバ200及びオペレータ管理サーバ300と接続される。
【0034】
顧客対応管理サーバ200は、既に説明した対応履歴データ200dに加え、オペレータデータ200a、顧客データ200b及び対応マニュアルデータ200cを記憶する。また、顧客対応管理サーバ200は、オペレータ管理サーバ300とも接続されている。
【0035】
オペレータデータ200aは、コールセンタ10で顧客対応を行うオペレータを管理するためのデータであり、オペレータの識別情報であるオペレータIDに、オペレータの氏名や所属などを対応付けている。顧客対応管理サーバ200は、オペレータデータ200aの一部又は全てを、オペレータ管理サーバ300に送信することができる。また、オペレータ管理サーバ300からオペレータのスキルの判定結果などを受信し、オペレータデータ200aに追加することも可能である。
【0036】
顧客データ200bは、顧客を管理するためのデータであり、顧客の識別情報である顧客IDに、顧客の氏名、属性などを対応付けている。顧客の属性には、性別、年齢層、職業などが含まれる。この他、顧客の連絡先、住所、電話番号、過去の問い合せ実績など任意の情報を顧客データ200bに含めることができる。例えば、顧客が加入しているサービスや所有している製品などを顧客データ200bに含めてもよい。顧客対応管理サーバ200は、オペレータ端末装置100からの要求に応じて顧客データ200bに含まれる情報を応答する。このため、オペレータは、顧客に関する情報を適宜検索して参照しつつ、顧客対応を行うことができる。
【0037】
対応マニュアルデータ200cは、オペレータによる顧客対応のマニュアルである。顧客対応管理サーバ200は、オペレータ端末装置100からの要求に応じて対応マニュアルデータ200cに含まれる情報を応答する。このため、オペレータは、マニュアルを適宜検索して参照しつつ、顧客対応を行うことができる。
【0038】
オペレータ管理サーバ300は、既に説明した判定基準データ304aに加え、オペレータデータ304b及び判定結果データ304cを記憶する。
【0039】
オペレータデータ304bは、オペレータを管理するためのデータであり、オペレータIDに各種情報を対応付けている。オペレータIDなど、顧客対応管理サーバ200のオペレータデータ200aと共通する情報については、顧客対応管理サーバ200から取得して使用することができる。さらに、オペレータ管理サーバ300のオペレータデータ304bには、スキルやストレスに関わる情報が含まれている。具体的には、オペレータがこれまでに行った顧客対応の時間の合計、当日の勤務開始時間、スキルの総合的な判定値、入力速度など各項目別のスキルの判定値などをオペレータデータ304bに含めることができる。
【0040】
判定結果データ304cは、スキルやストレスの判定結果を示すデータである。判定結果データ304cには、顧客対応ごとのスキルやストレスの判定結果が蓄積される。また、詳細については後述するが、対応したオペレータのオペレータID、顧客対応の開始日時、顧客の属性、問い合せの分類を示す問い合せ分野なども対応付けて蓄積され、オペレータのスキルやストレスの分析に使用される。
【0041】
次に、
図1に示したオペレータ端末装置100について説明する。
図3は、
図1に示したオペレータ端末装置100の構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、オペレータ端末装置100は、表示部101、操作受付部102、音声受付部102aと接続される。また、オペレータ端末装置100は、通信部103、記憶部104及び制御部105を有する。
【0042】
表示部101は、液晶ディスプレイ装置等の表示デバイスである。操作受付部102は、キーボードやマウス等の入力デバイスであり、オペレータによる入力操作を受け付ける。音声受付部102aは、顧客とオペレータの音声の入力を受け付けるマイクなどである。通信部103は、顧客対応管理サーバ200及びオペレータ管理サーバ300と通信するためのインタフェース部である。
【0043】
記憶部104は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、顧客対応データ104a、対応音声データ104b及び入力状態データ104cを記憶する。顧客対応データ104aは、問い合せや回答の内容などを示すデータであり、オペレータからの入力操作に応じて生成される。対応音声データ104bは、顧客とオペレータとの会話を録音したデータある。入力状態データ104cは、オペレータによる入力状態のモニタ結果を示すデータである。
【0044】
制御部105は、オペレータ端末装置100の全体を制御する制御部であり、顧客対応処理部105a、入力状態モニタ部105b及びモニタ結果通知部105cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、顧客対応処理部105a、入力状態モニタ部105b及びモニタ結果通知部105cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0045】
顧客対応処理部105aは、オペレータからの入力操作に応じて顧客対応データ104aを生成する処理部である。また、顧客対応処理部105aは、オペレータからの入力操作に応じて顧客対応管理サーバ200との通信制御を行い、顧客データ200bや対応マニュアルデータ200cから情報を取得する処理を行う。取得した情報は、表示部101に表示出力するとともに、顧客対応データ104aに格納される。また、顧客対応処理部105aは、顧客対応中に音声受付部102aにより受け付けた顧客とオペレータの音声を対応音声データ104bとして記憶部104に格納する。顧客対応処理部105aは、顧客対応の終了時に、顧客対応データ104a及び対応音声データ104bを顧客対応管理サーバ200に送信する。
【0046】
入力状態モニタ部105bは、操作受付部102が受け付けたオペレータの入力操作の状態をモニタし、入力状態データ104cを生成する処理を行う。具体的には、オペレータの入力操作から、入力速度、修正頻度、無入力時間、ポインタ移動距離、ポインタ選択操作、ポインタ停止時間などを求めて入力状態データ104cを生成する。
【0047】
入力速度は、キーボードに対するキー操作の速度であり、例えば1分間に最高で何文字分のキー操作が行なわれたかを計数することで求める。キー操作の修正頻度は、例えばキー操作の総数に対する修正キーの操作数により求める。無入力時間は、例えば、キー操作を行っていた時間の合計に対し、キー操作が検知されない時間が占める割合である。
【0048】
ポインタ移動距離は、マウスなどのポインティングデバイスの操作により表示されるポインタの移動距離を示す。この移動距離は、例えば入力画面の幅の何倍分を移動したかを計測すればよい。ポインタ選択操作は、マウスなどのポインティングデバイスによる選択操作の回数である。選択操作の種類(シングルクリック、ダブルクリックなど)ごとに選択操作の回数を計数してもよい。ポインタ停止時間は、例えば、マウスなどのポインティングデバイスの操作を行っていた時間の合計に対し、ポインタが停止していた時間が占める割合である。
【0049】
また、入力状態モニタ部105bは、オペレータID、対応開始日時、対応所要時間、顧客属性、問い合せ分野などを入力状態のモニタ結果に対応付けて入力状態データ104cに格納する。これらの情報は、顧客対応データ104aから取得すればよい。
【0050】
モニタ結果通知部105cは、顧客対応の終了時に、入力状態データ104c及び対応音声データ104bをオペレータ管理サーバ300に送信する処理を行う。
【0051】
次に、顧客対応データ104a及び入力状態データ104cの一例について説明する。
図4は、顧客対応データ104a及び入力状態データ104cの一例を説明するための説明図である。
【0052】
図4に示すように、顧客対応データ104aは、オペレータIDに対し、対応開始日時、対応所要時間、顧客ID、顧客属性、顧客氏名、問い合せ分野、問い合せ内容、回答内容などを対応付けたデータである。
【0053】
図4では、オペレータID「b0010」に対し、対応開始日時「2016/05/10 14:35」、対応所要時間「34分」、顧客ID「c0822」、顧客属性「30代・男性・会社員」、顧客氏名「AB CD」、問い合せ分野「製品D 故障対応」などが対応付けられた状態を示している。対応開始日時及び対応所要時間は、顧客対応処理部105aにより特定される。顧客ID、顧客属性、顧客氏名、問い合せ分野は、顧客対応管理サーバ200からの取得や、オペレータからの入力操作により得られる。
【0054】
入力状態データ104cは、オペレータIDに対し、対応開始日時、対応所要時間、顧客属性、問い合せ分野、入力速度、修正頻度、無入力時間、ポインタ移動距離、ポインタ選択操作、ポインタ停止時間などを対応付けたデータである。オペレータID、対応開始日時、対応所要時間、顧客属性、問い合せ分野は、顧客対応データ104aの同一項目の内容を使用すればよい。
【0055】
図4では、オペレータID「b0010」に対し、対応開始日時「2016/05/10 14:35」、対応所要時間「34分」、顧客属性「30代・男性・会社員」、問い合せ分野「製品D 故障対応」、入力速度「80文字/分」、修正頻度「5%」、無入力時間「21%」、ポインタ移動距離「2.17」、ポインタ選択操作「32」、ポインタ停止時間「8%」などが対応付けられた状態を示している。
【0056】
次に、顧客対応時に表示部101に表示される入力画面例について説明する。
図5は、顧客対応時に表示部101に表示される入力画面例の説明図である。
図5に示した入力画面例では、右側に顧客情報の表示領域が設けられ、左側に対応の詳細を示す表示領域が設けられている。
【0057】
顧客情報の表示領域には、顧客ID「c0822」、顧客属性「30代・男性・会社員」、顧客氏名「AB CD」など、顧客に関する情報が表示される。対応の詳細を示す表示領域には、オペレータID「b0010」、対応開始日時「2016/05/10 14:35」、対応時間「27分」、問い合せ分野「製品D 故障対応」などが表示される。また、対応の詳細を示す表示領域には、問い合わせ内容の入力領域と、回答内容の入力領域が設けられており、オペレータはこれらの領域に対応する内容を入力することになる。
【0058】
次に、
図1に示したオペレータ管理サーバ300について説明する。
図6は、
図1に示したオペレータ管理サーバ300の構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、オペレータ管理サーバ300は、表示部301、入力部302と接続される。また、オペレータ管理サーバ300は、通信部303、記憶部304及び制御部305を有する。
【0059】
表示部301は、液晶ディスプレイ装置等の表示デバイスである。入力部302は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。通信部303は、オペレータ端末装置100及び顧客対応管理サーバ200と通信するためのインタフェース部である。
【0060】
記憶部304は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、既に説明した判定基準データ304a、オペレータデータ304b及び判定結果データ304cを記憶する。
【0061】
制御部305は、オペレータ管理サーバ300の全体を制御する制御部であり、音声解析処理部305a、スキル判定部305b、ストレス判定部305c及び分析処理部305dを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、音声解析処理部305a、スキル判定部305b、ストレス判定部305c及び分析処理部305dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0062】
音声解析処理部305aは、オペレータ端末装置100から受信した対応音声データ104bの解析を行う処理部である。この解析により、顧客の発言に含まれる単語や、オペレータの発言に含まれる単語が識別できる。また、顧客及びオペレータの心理状態とその推移を推定することができる。
【0063】
スキル判定部305bは、オペレータ端末装置100から入力状態のモニタ結果である入力状態データ104cを受信した場合に、入力状態データ104cと判定基準データ304aとに応じてオペレータのスキルを判定する処理を行う。
【0064】
具体的には、スキル判定部305bは、入力状態データ104cに示された各項目の値について判定基準データ304aを参照し、項目毎に判定値を算定する。また、スキル判定部305bは、他の複数のオペレータの判定結果などを用いて、各項目の判定値を補正する。
【0065】
ここで、判定値の補正について説明する。例えば、コールセンタの空調が適切に行われていない場合には、オペレータのスキルが充分に発揮されないことがある。このような環境要因は、他のオペレータにも同様に影響するため、複数のオペレータのスキルの判定結果から各オペレータのスキルの判定値が全体的に低下している場合には、同様の影響が発生していると推定して、かかる影響を相殺するよう判定結果に補正を行う。
【0066】
同様に、当日の勤務時間が長くなれば、オペレータのスキルが充分に発揮されなくなっていくことが考えられる。勤務時間による影響は、他のオペレータにも同様に生ずるため、勤務時間が類似する複数のオペレータのスキルの判定結果から各オペレータのスキルの判定値が全体的に低下している場合には、同様の影響が発生していると推定して、かかる影響を相殺するよう判定結果に補正を行う。
【0067】
また、音声解析処理部305aによる解析結果も、スキルの判定に使用可能である。例えば、オペレータの発言に含まれる単語を評価し、不適切な単語が含まれている場合にはスキルの判定結果を下げる。また、顧客の心理状態が顧客対応により興奮状態に移行した場合にはスキルの判定結果を下げ、顧客の心理状態が顧客対応により沈静状態に移行した場合にはスキルの判定結果を上げる。また、オペレータの心理状態が顧客対応中に興奮状態となったならば、スキルの判定結果を下げる。
【0068】
スキル判定部305bは、入力状態データ104cに示された各項目の判定結果に重みを付与しつつ平均値を求めることで、オペレータのスキルの総合的な判定値を算定する。かかる加重平均により、オペレータのスキルの総合的な高さを評価することができる。
【0069】
スキル判定部305bは、算定したスキルの判定値を判定結果データ304cに登録する。この登録は、顧客対応毎に行われ、入力状態データ104cに示されたオペレータID、顧客対応の開始日時、顧客の属性、問い合せの分類を示す問い合せ分野なども対応付けられる。
【0070】
また、スキル判定部305bは、同一のオペレータに係る所定件数分の判定結果を判定結果データ304cから読み出し、各項目の判定値及び総合的なスキル判定値について、移動平均を算定し、移動平均の結果をオペレータデータ304bに登録する。
【0071】
すなわち、判定結果データ304cには、1件の顧客対応毎に各項目の判定値及び総合的なスキル判定値が登録されるのに対し、オペレータデータ304bには、複数件の顧客対応の結果から求められた各項目の判定値及び総合的なスキル判定値が登録されることになる。従って、オペレータデータ304bにおけるスキルの判定結果は、顧客対応毎の影響を除外し、オペレータの本来のスキルをより正確に評価した結果として用いることができる。
【0072】
ストレス判定部305cは、スキル判定部305bによって新たに求められたスキルの判定値と、過去に同一のオペレータについて求めたスキルの判定値とを比較し、スキルの判定値の低下の度合をストレスの判定結果として算定する処理部である。
【0073】
具体的には、ストレス判定部305cは、オペレータ端末装置100から入力状態データ104cを受信し、受信した入力状態データ104cを用いてスキル判定部305bがスキルの判定値を求めた場合に、オペレータデータ304bに登録された同一オペレータのスキルの判定値を読み出す。
【0074】
ストレス判定部305cは、オペレータデータ304bに登録された各項目の判定値と、スキル判定部305bが算定した各項目の判定値との差分をそれぞれ算定し、差分値を加重平均してストレス判定値とする。ストレス判定部305cは、算定したストレス判定値を判定結果データ304cに登録する。
【0075】
なお、音声解析処理部305aによる解析結果をストレスの判定に反映させてもよい。例えば、顧客の発言に含まれる単語を評価し、不適切な単語が含まれている場合にはストレス要素として登録する。また、顧客の心理状態が興奮状態となったならば、ストレス要素として登録すればよい。
【0076】
分析処理部305dは、判定結果データ304cを用いて、オペレータのスキルやストレスを分析する処理部である。例えば、同一オペレータのスキル判定値及びストレス判定値を抽出し、顧客属性ごとに比較すれば、オペレータが苦手とする顧客属性を判別することができる。同様に、同一オペレータのスキル判定値及びストレス判定値を抽出し、問い合せ分野ごとに比較すれば、オペレータが苦手とする問い合せ分野を判別することができる。
【0077】
また、所定のグループに属する複数のオペレータのスキル判定値及びストレス判定値を抽出し、顧客属性や問い合せ分野ごとに比較すれば、そのグループが苦手とする顧客属性や問い合せ分野を判別することができる。
【0078】
また、時間帯、勤務時間などに基づいて、判定結果データ304cの分析を行うことで、勤務状態によってオペレータに加わるストレスを評価することも可能である。
【0079】
また、オペレータがこれまでに行った顧客対応の時間の合計をオペレータデータ304bから取得し、スキルの判定値の変化と対応付けることで、経験によるオペレータのスキル向上を評価することが可能となる。
【0080】
次に、判定基準データ304aの一例について説明する。
図7は、判定基準データ304aの一例を説明するための説明図である。
図7に示すように、判定基準データ304aは、入力状態データ104cに示される各項目、すなわち、入力速度、修正頻度、無入力時間、ポインタ移動距離、ポインタ選択操作、ポインタ停止時間のそれぞれの値とスキルの判定値とを対応付けたテーブルである。
【0081】
具体的には、入力速度「100字/分以上」に対して判定値「80」を対応付け、入力速度「90字/分以上」に対して判定値「75」を対応付け、入力速度「80字/分以上」に対して判定値「70」を対応付け、入力速度「70字/分以上」に対して判定値「65」を対応付け、入力速度「60字/分以上」に対して判定値「60」を対応付けている。
【0082】
また、修正頻度「6%未満」に対して判定値「80」を対応付け、修正頻度「8%未満」に対して判定値「75」を対応付け、修正頻度「10%未満」に対して判定値「70」を対応付け、修正頻度「15%未満」に対して判定値「65」を対応付け、修正頻度「20%未満」に対して判定値「60」を対応付けている。
【0083】
また、無入力時間「8%未満」に対して判定値「80」を対応付け、無入力時間「10%未満」に対して判定値「75」を対応付け、無入力時間「15%未満」に対して判定値「70」を対応付け、無入力時間「25%未満」に対して判定値「65」を対応付け、無入力時間「30%未満」に対して判定値「60」を対応付けている。
【0084】
また、ポインタ移動距離「1.5未満」に対して判定値「80」を対応付け、ポインタ移動距離「2.0未満」に対して判定値「75」を対応付け、ポインタ移動距離「2.5未満」に対して判定値「70」を対応付け、ポインタ移動距離「3.0未満」に対して判定値「65」を対応付け、ポインタ移動距離「4.0未満」に対して判定値「60」を対応付けている。
【0085】
また、ポインタ選択操作「20未満」に対して判定値「80」を対応付け、ポインタ選択操作「25未満」に対して判定値「75」を対応付け、ポインタ選択操作「30未満」に対して判定値「70」を対応付け、ポインタ選択操作「35未満」に対して判定値「65」を対応付け、ポインタ選択操作「40未満」に対して判定値「60」を対応付けている。
【0086】
また、ポインタ停止時間「4%未満」に対して判定値「80」を対応付け、ポインタ停止時間「5%未満」に対して判定値「75」を対応付け、ポインタ停止時間「6%未満」に対して判定値「70」を対応付け、ポインタ停止時間「8%未満」に対して判定値「65」を対応付け、ポインタ停止時間「10%未満」に対して判定値「60」を対応付けている。
【0087】
次に、オペレータデータ304b及び判定結果データ304cの一例について説明する。
図8は、オペレータデータ304b及び判定結果データ304cの一例を説明するための説明図である。
【0088】
図8に示すように、オペレータデータ304bは、オペレータIDに対し、オペレータ氏名、対応時間合計、勤務開始時間、スキル判定値、キー入力判定値及びポインタ選択操作判定値を対応付けたデータである。なお、キー入力判定値は、キー入力の速度、修正頻度、無入力時間についての判定値をそれぞれ含む。ポインタ選択操作判定値は、ポインタの起動距離、選択操作の回数、停止時間についての判定値をそれぞれ含む。そして、スキル判定値は、キー入力判定値及びポインタ選択操作判定値から求めた総合的なスキルの判定値である。
【0089】
図8では、オペレータデータ304bは、オペレータID「b0010」に対し、オペレータ氏名「EF GH」、対応時間合計「48:17」、勤務開始時刻「10:00」、スキル判定値「75」、キー入力判定値「(75、90、65)」、ポインタ選択操作判定「(75、80、70)」を対応付けている。
【0090】
同様に、オペレータID「b0011」に対し、オペレータ氏名「HI JK」、対応時間合計「128:52」、勤務開始時刻「12:00」、スキル判定値「80」、キー入力判定値「(90、70、80)」、ポインタ選択操作判定「(80、70、40)」を対応付けている。
【0091】
また、判定結果データ304cは、対応開始日時、対応所要時間、オペレータID、顧客属性、問い合せ分野、スキル判定値、キー入力判定値、ポインタ操作判定値及びストレス判定値を対応付けたデータである。
【0092】
図8では、判定結果データ304cは、対応開始日時「2016/05/10 14:01」、対応所要時間「22分」、オペレータID「b0010」、顧客属性「20代・女性・学生」、問い合せ分野「製品K 使用法」、スキル判定値「80」、キー入力判定値「(75、90、60)」、ポインタ選択操作判定「(75、80、65)」、ストレス判定値「10」を対応付けている。
【0093】
同様に、判定結果データ304cは、対応開始日時「2016/05/10 14:10」、対応所要時間「45分」、オペレータID「b0053」、顧客属性「50代・男性・自営業」、問い合せ分野「製品K 修理」、スキル判定値「65」、キー入力判定値「(55、70、70)」、ポインタ選択操作判定「(50、60、75)」、ストレス判定値「45」を対応付けている。
【0094】
同様に、判定結果データ304cは、対応開始日時「2016/05/10 14:35」、対応所要時間「34分」、オペレータID「b0010」、顧客属性「30代・男性・会社員」、問い合せ分野「製品D 修理」、スキル判定値「70」、キー入力判定値「(70、80、65)」、ポインタ選択操作判定「(70、75、60)」、ストレス判定値「30」を対応付けている。
【0095】
次に、顧客サービスシステムの動作について説明する。
図9は、顧客サービスシステムの動作の説明図である。
図9に示すように、オペレータ端末装置100は、オペレータの操作に基づいて顧客対応を開始すると(ステップS101)、顧客対応管理サーバ200に顧客に関する情報の問い合せを行う(ステップS102)。顧客対応管理サーバ200は、オペレータ端末装置100からの問い合わせを受け、該当する顧客に関する情報を応答する(ステップS111)。
【0096】
また、オペレータ端末装置100は、オペレータから顧客対応に関する入力操作を受け付け(ステップS103)、顧客対応データ104a、対応音声データ104b及び入力状態データ104cを随時更新する(ステップS104)。
【0097】
その後、オペレータ端末装置100は、オペレータから顧客対応の終了を示す操作を受けると(ステップS105)、顧客対応データ104a及び対応音声データ104bを顧客対応管理サーバ200に送信し(ステップS106)、入力状態データ104c及び対応音声データ104bをオペレータ管理サーバ300に送信して(ステップS107)、処理を終了する。
【0098】
顧客対応管理サーバ200は、オペレータ端末装置100から送信された顧客対応データ104a及び対応音声データ104bを対応履歴データ200dに登録する(ステップS112)。
【0099】
オペレータ管理サーバ300は、オペレータ端末装置100から入力状態データ104c及び対応音声データ104bを受信し(ステップS121)、受信した入力状態データ104c及び対応音声データ104bを用いてスキル判定処理(ステップS122)及びストレス判定処理(ステップS123)を行う。そして、判定結果の報知や分析などを行って(ステップS124)、処理を終了する。
【0100】
次に、オペレータ管理サーバ300によるスキル判定の処理手順について説明する。
図10は、オペレータ管理サーバ300によるスキル判定の処理手順を示すフローチャートである。
【0101】
図10に示すように、オペレータ管理サーバ300のスキル判定部305bは、オペレータ端末装置100から入力状態データ104cを受信した場合に、入力状態データ104cに示された各項目の値について判定基準データ304aを参照し、項目毎に判定値を算定する(ステップS201)。また、スキル判定部305bは、他の複数のオペレータのスキルの判定値を用いて、各項目の判定値を補正する(ステップS202)。
【0102】
スキル判定部305bは、入力状態データ104cに示された各項目の判定値を加重平均して、オペレータの総合的なスキル判定値を算定する(ステップS203)。スキル判定部305bは、算定したスキルの判定値にオペレータID、顧客対応の開始日時、顧客の属性、問い合せの分類を示す問い合せ分野などを対応付けて判定結果データ304cに登録する(ステップS204)。
【0103】
また、スキル判定部305bは、同一のオペレータに係る所定件数分の判定結果を判定結果データ304cから読み出し、各項目の判定値及び総合的なスキル判定値について、移動平均を算定する(ステップS205)。スキル判定部305bは、スキルの判定値の移動平均をオペレータデータ304bに登録して更新し(ステップS206)、処理を終了する。
【0104】
次に、オペレータ管理サーバ300によるストレス判定の処理手順について説明する。
図11は、オペレータ管理サーバ300によるストレス判定の処理手順を示すフローチャートである。
【0105】
図11に示すように、オペレータ管理サーバ300のストレス判定部305cは、スキル判定部305bが新たに求めた判定結果データ304cにおける各項目の判定値と、同一オペレータのオペレータデータ304bにおける各項目の判定値との差分を算定する(ステップS301)。
【0106】
ストレス判定部305cは、各項目の差分値を加重平均してストレス判定値とする(ステップS302)。ストレス判定部305cは、算定したストレス判定値を判定結果データ304cに追加して(ステップS303)、処理を終了する。
【0107】
上述してきたように、本実施例に係る顧客サービスシステムでは、顧客対応を行うオペレータにより操作されるオペレータ端末装置100がオペレータによる入力状態を取得し、取得した入力状態を示す入力状態データ104cをオペレータ管理サーバ300に通知する。また、オペレータ管理サーバ300は、オペレータのスキルの判定基準に係る判定基準データ304aを記憶しており、オペレータ端末装置100から入力状態データ104cを通知された場合に、該入力状態データ104c及び判定基準データ304aに応じて該当するオペレータのスキルを判定する。このため、簡易な構成でオペレータのスキルを判定することができる。
【0108】
また、オペレータ管理サーバ300は、オペレータのスキルの判定結果を記憶し、入力状態データ104cから求めたスキルの判定結果と、同一オペレータに係る過去の判定結果とを用いて、該当するオペレータのストレスを判定することができる。
【0109】
また、オペレータ管理サーバ300は、顧客属性や問い合せの分野をスキルの判定結果と対応付けて蓄積するので、顧客属性や問い合せの分野に依存するオペレータのスキルの変動を分析することができる。
【0110】
また、オペレータ端末装置100が顧客やオペレータの音声を取得し、オペレータ管理サーバ300が音声分析を行ってスキルの判定に反映させることで、オペレータのスキルをさらに高精度に判定することができる。
【0111】
また、オペレータ管理サーバ300は、他のオペレータに係るスキルの判定結果を用いて、オペレータのスキルの判定に対して補正を行うことで、環境や就業時間などによるスキル判定への影響を排除し、オペレータのスキルをさらに高精度に判定することができる。
【0112】
なお、本実施例に示した構成及び動作はあくまで一例であり、本発明は適宜変形して実施することができる。例えば、オペレータ端末装置100は、顧客との音声通信を行う機能を有してもよい。また、顧客対応管理サーバ200の機能とオペレータ管理サーバ300の機能を有する一体型のサーバ装置として実施してもよい。
【0113】
また、判定基準データ304a、オペレータデータ304b、判定結果データ304cなどは、同一の記憶部に記憶する必要はなく、個別の記憶部や外部に設けたデータベースに記憶させてもよい。
【0114】
また、入力状態としては、キー入力もポインティングデバイスの操作も行われていない無操作時間など、任意の項目を用いることができる。また、オペレータデータ304bにストレス判定値を加えるなど、蓄積するデータも適宜変更することが可能である。
【0115】
また、本実施例ではコールセンタのオペレータのスキルを判定する場合を例に説明を行ったが、本発明はコールセンタのオペレータに限らず、機器への入力操作を行うオペレータのスキルを判定する場合に広く適用することができる。
【0116】
また、図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。