(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導通ビアが前記中間接続層に形成されると共に、前記両主面に形成された接続電極は前記導通ビアを介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1(
図10、11)では、ヒューズ111aが表面実装部品106外方の中間接続層105の一端部105aを懸架するように形成されていることから、ヒューズ111aを形成できる領域が狭く、ヒューズ111aの長さ寸法に限界がある。すなわち、ヒューズ111aの長さ寸法を十分に確保するのが困難であり、このためヒューズ111aが溶断してもアーク放電により、電流を遮断できず、ヒューズとして機能しないおそれがある。
【0011】
ヒューズ111aの長さを十分に確保するためには、中間接続層105の外方のヒューズ形成領域を広くする必要があるが、この場合は中間接続層105の長手方向や幅方向の寸法を大きくしなければならず、装置自体の大型化を招くことから好ましくない。
【0012】
また、特許文献2(
図12、13)では、ヒューズ126が中間接続層123の高さ方向に形成されていることから、特許文献1と同様の問題を有しており、ヒューズ126の長さを十分に確保するためには、中間接続層123の高さ自体を高くしなければならず、低背化の要請に反し、好ましくない。
【0013】
このように従来では、電子装置に十分なヒューズ機能を確保しようとした場合、装置自体の大型化を招くことから、ヒューズの設計自由度に劣っており、このため小型で十分なヒューズ機能を有する電子装置の出現が待望されている。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、装置自体の大型化を招くこともなく、所望のヒューズ機能を確保することができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明に係る電子装置は、複数のランド電極を有する基板と、該基板上に実装される電子部品とを有し、前記基板と前記電子部品との間に中間接続層が介在された電子装置であって、前記中間接続層は、前記ランド電極及び前記電子部品を電気的に接続する複数の接続電極が両主面に形成されると共に、前記各接続電極が主導体部を有し、前記両主面のうちの一方の主面において、
少なくとも一つの接続電極は、当該少なくとも一つの接続電極の主導体部と他の接続電極の主導体部との間にヒューズ部が形成されていることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の電子装置は、前記ヒューズ部が、前記中間接続層の長手方向に狭窄状に形成されているのが好ましい。
【0017】
これにより接続電極の内側の広い領域にヒューズ部が形成されることとなり、ヒューズ部の設計自由度が広がり、ヒューズ部は十分な長さを確保することが可能となる。したがって、装置の大型化を招くこともなく、ヒューズ溶断後もアーク電流により電流を遮断できないという不具合を回避することができる。
【0018】
さらに、本発明の電子装置は、前記ヒューズ部が、前記中間接続層の短手方向に狭窄状に形成されているのも好ましい。
【0019】
すなわち、基板に実装する際は、通常、リフロー処理等ではんだを溶融し、冷却することで基板に実装する。そして、はんだを冷却する際に、中間接続層の長手方向に対し曲げ応力が発生するが、ヒューズ部を中間接続層の短手方向に形成することより、中間接続層の変形に起因してヒューズに歪が発生するのを抑制することが可能となる。
【0020】
また、本発明の電子装置は、前記ヒューズ部が、前記接続電極中で金属ワイヤによりボンディング接続されて形成されているのも好ましい。
【0021】
この場合は、ヒューズ部が中間接続層の基体と直接接触するのを回避することができ、したがってヒューズ部からの中間接続層への熱伝導が抑制されることから、溶断時間を短縮することが可能となり、また中間接続層の発火を未然に防止することができる。
【0022】
また、本発明の電子装置は、前記ヒューズ部が、前記電子部品の対向面に形成されているのが好ましい。
【0023】
すなわち、基板は、通常、耐熱性に劣るガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料を主体として形成され、電子部品は耐熱性の良好なセラミック材料を主体として形成されることから、ヒューズ部を電子部品の対向面に形成することにより、ヒューズ部が溶断されて発熱しても、基板の発火や発煙、焼損等を効果的に防止することができる。
【0024】
また、本発明の電子装置は、前記ヒューズ部は、前記基板の対向面に形成されていてもよい。
【0025】
また、本発明の電子装置は、導通ビアが前記中間接続層に形成されると共に、前記両主面に形成された接続電極は前記導通ビアを介して電気的に接続されているのが好ましい。
【0026】
この場合は、両主面に形成された接続電極が、導通ビアを介して電気的に接続されることから、電子部品は中間接続層を介して容易に基板実装される。そして、回路に大電流が流れたときは、ヒューズ部の溶断により回路がオープン状態となり、これにより電子装置の発火や焼損を未然に防止することができる。
【0027】
また、本発明の電子装置は、前記中間接続層の一方の主面は、前記接続電極が、前記中間接続層の側面に引出部を有するように形成されると共に、前記中間接続層の他方の主面は、前記接続電極が、前記中間接続層の側面に沿うように形成され、前記一方の主面に形成された前記接続電極と、前記他方の主面に形成された前記接続電極とは、前記中間接続層の前記側面を介して電気的に接続されているのも好ましい。
【0028】
これにより導通ビアを形成する必要もなく、低コストで所望のヒューズ機能を有する電子装置を実現することが可能となる。しかも、電子部品の長手方向の寸法は、該長手方向と直交する幅方向の寸法より大きいため、接続電極間を短くすることができるので、中間接続層の撓み強度を向上させることが可能となる。
【0029】
さらに、本発明の電子装置は、前記中間接続層は、金属被膜が端面に形成されているのが好ましく、又は金属被膜が側面に形成されているのが好ましい。
【0030】
これによりはんだ付けした場合に、基板と中間接続層との接合状態が裾広がり状態となって、良好なフィレットを容易に形成することができ、良好な仕上がり状態を得ることができる。
【0031】
尚、本発明では、中間接続層において、長手方向を側面、短手方向を端面というものとする。
【発明の効果】
【0032】
本発明の電子装置によれば、複数のランド電極を有する基板と、該基板上に実装される電子部品とを有し、前記基板と前記電子部品との間に中間接続層が介在された電子装置であって、前記中間接続層は、前記ランド電極及び前記電子部品を電気的に接続する複数の接続電極が両主面に形成されると共に、前記各接続電極が主導体部を有し、前記両主面のうちの一方の主面において、
少なくとも一つの接続電極は、当該少なくとも一つの接続電極の主導体部と他の接続電極の主導体部との間にヒューズ部が形成されているので、特許文献1や2に比べ、ヒューズの設計自由度が大きくなってヒューズ形成領域を広くすることができ、装置の大型化を招くこともない。そして、ヒューズ部は十分な長さを確保することができることから、ヒューズ溶断後もアーク電流により電流を遮断できないという不具合を回避でき、良好なヒューズ機能を有する電子装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳説する。
【0035】
図1は、本発明に係る電子装置の一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示す断面図である。
【0036】
この電子装置は、表面に第1及び第2のランド電極7a、7bが形成された配線基板1と、セラミック材料を主体として形成されたチップ型積層セラミックコンデンサ等の電子部品2とを有し、配線基板1と電子部品2との間に中間接続層3が介在され、電子部品2は中間接続層3に実装されている。
【0037】
具体的には、電子部品2は、セラミック材料からなる部品素体4の両端部に第1及び第2の外部電極5a、5bがそれぞれ形成されている。これら第1及び第2の外部電極5a、5bは、はんだ6a、6bを介して中間接続層3の表面(一方の主面)に形成された第1及び第2の接続電極に接続されている。また、配線基板1の表面に形成された第1及び第2のランド電極7a、7bは、はんだ8a、8bを介して中間接続層3の裏面(他方の主面)に形成された第3及び第4の接続電極に接続されている。
【0038】
そして、中間接続層3は、前記電子部品2の対向面にヒューズ部9が形成されている。
【0039】
図2は、
図1のA−A矢視図であって、中間接続層3の平面図を示している。
【0040】
中間接続層3は、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料からなる平板
状の基体10の表面に第1及び第2の接続電極11a、11bが形成されている。
【0041】
第1の接続電極11aは、第1の外部電極5aの対向面に形成された主導体部13と、基体10の略中央部に形成された副導体部14と、主導体部13と副導体部14とを連接する接続導体部15とを有している。また、副導体部14の先端には第1の導通ビア12aが基体10を貫通するように形成されている。
【0042】
また、第2の接続電極11bは、第2の外部電極5bの対向面に形成された主導体部16と、前記第1の接続電極11aと接しないように基体10の略中央部に形成された副導体部17と、主導体部16と副導体部17とを連接する狭窄状に形成されたヒューズ部9とを有している。また、第2の接続電極11bの副導体部17先端には第2の導通ビア12bが基体10を貫通するように形成されている。
【0043】
また、中間接続層3の表面には、はんだ6a、6bが流れ込んでも第1の接続電極11aと第2の
接続電極11bとが電気的に接触しないように、ソルダーレジスト等からなる保護層18、19が形成されている。
【0044】
また、中間接続層3の両端面にはハンダ8a、8bによるフィレットの形成が容易となるように金属被膜20a、20bが形成されている。
【0045】
尚、金属被膜20a、20bに使用される金属材料は、特に限定されるものではないが、通常は第1及び第2の接続電極11a、11bや後述する第3及び第4の接続電極21a、21bと同一の金属材料で形成される。例えば、第1〜第4の接続電極11a、11b、21a、21bがCuで形成されている場合は、通常は、金属被膜20a、20bもCuで形成される。
【0046】
図3は、中間接続層3の底面図である。
【0047】
中間接続層3の裏面には、端面から略中央部に架けて略コ字状に第3及び第4の接続電極21a、21bがそれぞれ形成されている。すなわち、第3の接続電極21a及び第4の接続電極21bは、互いに接触しないように反対称状に形成されており、これら第3の接続電極21a及び第4の接続電極21bは、第1のランド電極7a及び第2のランド電極7bとの対向面に形成された主導体部22、23と、第1の導通ビア12a及び第2の導通ビア12bを有する副導体部24、25と、主導体部22、23及び副導体部24、25を連接する接続導体部26、27とを有している。
【0048】
そして、第3の接続電極21aは、第1の導通ビア12aを介して第1の接続電極11aと電気的に接続され、第4の接続電極21bは、第2の導通ビア12bを介して第2の接続電極11bと電気的に接続されている。
【0049】
また、中間接続層3の表面には、はんだ6a、6bが流れ込んでも第1の接続電極11aと第2の
接続電極11bとが電気的に接触しないように、ソルダーレジスト等からなる保護層18、19が形成されている。
【0050】
このように構成された電子装置では、実装された電子部品2に定格以上の大電流が流れて該電子部品2が破損しても、ヒューズ部9が溶断して回路がオープン状態となり、これにより周辺実装部品に及ぼす影響を最小限に止め、実装基板の焼損や発火等を未然に防ぐことができる。
【0051】
そして、ヒューズ部9が、第2の接続電極11bの内側、すなわち第1の外部電極5aの対向面である一方の主導体部13と、第2の外部電極5bの対向面である他方の主導体部16との間に形成されているので、従来のように中間接続層3の端部近傍や中間接続層3の高さ方向にヒューズ部を形成する場合に比べ、装置の大型化、高背化を招くこともなく、ヒューズの設計自由度が広くなり、ヒューズ溶断後もアーク電流により電流を遮断できないという不具合を回避することができ、良好なヒューズ機能を有する電子装置を得ることができる。
【0052】
また、配線基板1は、耐熱性に劣るガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料を主体として形成され、電子部品2は耐熱性の良好なセラミック材料を主体として形成されている。しかるに、本実施の形態では、ヒューズ部9が電子部品2の対向面に設けられているので、ヒューズ部9が溶断されて発熱しても、配線基板1の発火や発煙、焼損等を効果的に防止することができる。
【0053】
また、中間接続層3は、金属被膜20a、20bが端面に形成されているので、はんだ付けした場合に配線基板1と中間接続層3との接合状態が裾広がり状態となって、良好なフィレットを容易に形成することができ、良好な仕上がり状態を得ることができる。
【0054】
尚、この中間接続層3は以下のようにして容易に作製することができる。
【0055】
すなわち、Cu等の金属薄膜が表面に形成された基体10の集合体となる大判の集合基板を用意する。そして、まず、ドリルで導通ビアの形成位置に孔を貫設し、さらに基体10の端面となる位置に開口部を貫設する。次に、この集合基板に電解めっきを施し、孔内に金属材料を充填して第1及び第2の導通ビア12a、12bを形成すると共に、開口部の内面に金属被膜20a、20bを形成する。次に、周知のフォトリソグラフィー技術を使用して第1〜第4の接続電極11a、11b、21a、21bを形成する。次いで、基体10の表裏両面の所定箇所にソルダーレジストを塗布し、乾燥させて熱処理し、保護層18、19、28を作製する。
【0056】
次に、この集合基板上に所定個数の電子部品2を載置し、はんだ付け処理を行って第1及び第2の外部電極5a、5bと第1及び第2の接続電極11a、11bとを接合する。次いで、これをダイサー等の切断機で所定寸法に切断し、個片化し、これにより中間接続層3を作製することができる。
【0057】
そして、このようにして電子部品2がはんだ付けされた中間接続層3を配線基板1に載置し、はんだ付けを行って第1及び第2のランド電極7a、7bと第3及び第4の接続電極21a、21bとを接合し、これにより
図1に示す電子装置を作製することができる。
【0058】
次に、本発明に係る電子装置の第2の実施の形態を説明する。
【0059】
本第2の実施の形態では、電子部品及び配線基板は、第1の実施の形態と同様であり、中間接続層が異なる構造を有している。
【0060】
図4は、本第2の実施の形態における中間接続層の平面図である。
【0061】
中間接続層31の表面には、第1の実施の形態と同様、第1の接続電極32a及び第2の接続電極32bが形成されている。
【0062】
第1の接続電極32aは、第1の外部電極5aの対向面に形成された主導体部33と、該主導体部33の先端をL字状に屈曲して形成された副導体部34とを有し、該副導体部34の先端近傍に第1の導通ビア35aが形成されている。
【0063】
第2の接続電極32bは、第2の外部電極5bの対向面に形成された主導体部36と、略中央部に形成された副導体部37と、主導体部36と副導体部37とを連接するL字状に形成された接続導体部38とを有している。そして、副導体部37には第2の導通ビア35bが形成されると共に、前記接続導体部38は、副導体部37との接続点近傍が狭窄状とされ、これによりヒューズ部39を形成している。
【0064】
また、中間接続層31の表面には、はんだ6a、6bが流れ込んでも第1の接続電極32aと第2の
接続電極32bとが電気的に接触しないように、ソルダーレジスト等からなる保護層40、41が形成されている。
【0065】
また、第1の実施の形態と同様、中間接続層31の両端面には、ハンダ8a、8bによるフィレットの形成が容易となるように金属被膜20a、20bが形成されている。
【0066】
図5は、中間接続層31の底面図である。
【0067】
すなわち、中間接続層31の裏面には、第1の実施の形態と同様、端面から略中央部に架けてL字状の第3及び第4の接続電極42a、42bがそれぞれ形成されている。すなわち、第3の接続電極42a及び第4の接続電極42bは、互いに接触しないように反対称形状に形成されており、これら第3の接続電極42a及び第4の接続電極42bは、第1のランド電極7a及び第2のランド電極7bとの対向面に形成された主導体部43、44と、前記主導体部43、44に接続された第1の導通ビア35a及び第2の導通ビア35bを有する副導体部45、46とを有している。
【0068】
そして、第3の接続電極42aは、第1の導通ビア35aを介して第1の接続電極32aと電気的に接続され、第4の接続電極42bは、第2の導通ビア35bを介して第2の接続電極32bと電気的に接続されている。
【0069】
また、中間接続層31の裏面の中央部分は、はんだ8a、8bが流れ込んでも第3の接続電極42aと第4の接続電極42bとが電気的に接触しないように、ソルダーレジスト等からなる保護層48が形成されている。
【0070】
このように構成された電子装置では、第1の実施の形態と同様、実装された電子部品2に定格以上の大電流が流れて該電子部品2が破損しても、ヒューズ部39が溶断して回路がオープン状態となり、これにより周辺実装部品に及ぼす影響を最小限に止め、実装基板の焼損や発火等を未然に防ぐことができる。
【0071】
そして、ヒューズ部39が、第2の接続電極32bの内側、すなわち第1の外部電極5aの対向面である一方の主導体部33と、第2の外部電極5bの対向面である他方の主導体部36との間に形成されているので、従来のように中間接続層31の端部近傍や中間接続層31の高さ方向にヒューズ部を形成する場合に比べ、装置の大型化、高背化を招くこともなく、ヒューズの設計自由度が広くなり、ヒューズ溶断後もアーク電流により電流を遮断できないという不具合を回避することができ、良好なヒューズ機能を有する電子装置を得ることができる。
【0072】
しかも、この第2の実施の形態では、ヒューズ部39が、中間接続層31の短手方向に形成されているので、第1の実施の形態に比べ、基板に実装する際に発生する応力に起因した歪の発生を抑制することができる。すなわち、基板に実装する際は、通常、リフロー処理等ではんだを溶融し、冷却することで基板に実装する。そして、はんだを冷却する際に、中間接続層の長手方向に対し曲げ応力が発生するが、ヒューズ部39が中間接続層
31の短手方向に形成されることより、中間接続層10の変形に起因したヒューズの歪の発生を抑制することが可能となる。
【0073】
次に、本発明に係る電子装置の第3の実施の形態を説明する。
【0074】
本第3の実施の形態では、電子部品及び配線基板は、第1及び第2の実施の形態と同様であり、中間接続層が異なる構造を有している。
【0075】
図6は、本第3の実施の形態における中間接続層の平面図である。
【0076】
中間接続層51の表面には、第1及び第2の実施の形態と同様、第1の接続電極52a及び第2の接続電極52bが形成されている。
【0077】
第1の接続電極52aは、第1の外部電極5aの対向面に形成された主導体部53と、一方の側面に表面露出した引出部54と、主導体部53と引出部54とを接続する接続導体部55とを有している。
【0078】
第2の接続電極52bは、第2の外部電極5bの対向面に形成された主導体部56と、一方の側面に表面露出した引出部57と、主導体部56と引出部57とを接続する狭窄状に形成されたヒューズ部58とを有している。
【0079】
また、中間接続層51の表面には、はんだ6a、6bが流れ込んでも第1の接続電極52aと第2の
接続電極52bとが電気的に接触しないように、ソルダーレジスト等からなる保護層59、60が形成されている。
【0080】
また、第1の実施の形態と同様、中間接続層51の両側面には、ハンダによるフィレットの形成が容易となるように金属被膜61a、61bが形成されている。
【0081】
図7は、中間接続層51の底面図である。
【0082】
すなわち、中間接続層51の裏面には、互いに接しないように第3及び第4の接続電極62a、62bが長手方向に第1及び第2のランド電極と対向するように形成されている。
【0083】
また、第3の接続電極62aは、金属被膜61aを介して第1の接続電極52aと電気的に接続され、第4の接続電極62bは、金属被膜61bを介して第2の接続電極52bと電気的に接続されている。
【0084】
そして、中間接続層51の裏面の略中央部は、はんだ8a、8bが流れ込んで第3の接続電極62aと第4の
接続電極62bとが電気的に接触しないように、ソルダーレジスト等からなる保護層63が形成されている。
【0085】
このように構成された電子装置では、第1及び第2の実施の形態と同様、実装された電子部品2に定格以上の大電流が流れて該電子部品2が破損しても、ヒューズ部58が溶断して回路がオープン状態となり、これにより周辺実装部品に及ぼす影響を最小限に止め、実装基板の焼損や発火等を未然に防ぐことができる。
【0086】
そして、ヒューズ部58が、第2の接続電極52bの内側、すなわち第1の外部電極5aの対向面である一方の主導体部53と、第2の外部電極5bの対向面である他方の主導体部56との間に形成されているので、従来のように中間接続層51の端部近傍や中間接続層51の高さ方向にヒューズ部を形成する場合に比べ、装置の大型化、高背化を招くこともなく、ヒューズの設計自由度が広くなり、ヒューズ溶断後もアーク電流により電流を遮断できないという不具合を回避することができ、良好なヒューズ機能を有する電子装置を得ることができる。
【0087】
しかも、この第3の実施の形態では、側面で金属被膜61a、61bを介して第1の接続電極52aと第3の接続電極62aが接続され、第2の接続電極52bと第4の接続電極62bが接続されているので、導通ビアを形成する必要もなく、低コストで所望のヒューズ機能を有する電子装置を実現することが可能となる。
【0088】
さらに、この第3の実施の形態では、電子部品の長手方向の寸法は、該長手方向と直交する幅方向の寸法よりも大きいため、第3の接続電極62aと第4の接続電極62bとの間隔を短くすることができるので、中間接続層51の撓み強度を向上させることが可能となる。
【0089】
次に、本発明に係る電子装置の第4の実施の形態を説明する。
【0090】
本第4の実施の形態では、電子部品及び配線基板は、第1〜第3の実施の形態と同様であり、中間接続層が異なる構造を有している。
【0091】
図8は、本第4の実施の形態における中間接続層の平面図である。
【0092】
中間接続層64の表面には、第1の接続電極65a及び第2の接続電極65bが形成されている。
【0093】
第1の接続電極65aは、第1の実施の形態(
図3参照)と同様、第1の外部電極5aの対向面に形成された主導体部66と、基体67の略中央部に形成された副導体部68と、主導体部66と副導体部68とを連接する接続導体部69とを有している。また、副導体部68の先端には第1の導通ビア70aが基体67を貫通するように形成されている。
【0094】
また、第2の接続電極65bは、第2の外部電極5bの対向面に形成された主導体部71と、前記第1の接続電極65aと接しないように基体67の略中央部に形成された副導体部72と、主導体部71と副導体部72とを接続する金属ワイヤからなるヒューズ部73とを有している。すなわち、ヒューズ部73は、前記金属ワイヤにより主導体部71と副導体部72とをボンディング接続して形成されている。そして、第1〜第3の実施の形態と同様、第2の接続電極65b中でヒューズ部73は狭窄状とされ、主導体部71と副導体部72とが電気的に導通可能となるように形成されている。また、第2の接続電極65bの副導体部72の先端には第2の導通ビア70bが基体67を貫通するように形成されている。
【0095】
また、中間接続層64の表面には、はんだ6a、6bが流れ込んでも第1の接続電極65aと第2の接続電極65bとが電気的に接触しないように、ソルダーレジスト等からなる保護層74、75が形成されている。
【0096】
ここで、ボンディング接続用の金属ワイヤとしては、特に限定されるものではなく、例えば、Al、Au、Cu等のボンディング接続に通常使用される材料を使用することができる。ただし、より良好なヒューズ機能を確保する観点からは、融点が低く切断機能に優れたAlを使用するのが好ましい。そして、ボンディング接続は、第2の接続電極65bの主導体部71及び副導体部72上の少なくともワイヤの接続点を表面処理し、その後行われる。表面処理としては、例えば、Cu箔等で形成された主導体部71及び副導体部72上にNi皮膜をめっき形成し、さらに必要に応じてPd皮膜を形成し、この皮膜面上にフラッシュめっき等を施してAu皮膜を形成することにより行うことができる。
【0097】
また、金属ワイヤの大きさも、ボンディング接続に通常使用されるものであれば限定されるものではなく、例えば、直径0.1mm、長さ1.5mm程度の金属ワイヤを使用することができる。
【0098】
尚、中間接続層64の底面は、第1の実施の形態(
図4参照)と同様の構造を有している。
【0099】
このように構成された電子装置では、第1〜第3の実施の形態と同様、実装された電子部品2に定格以上の大電流が流れて該電子部品2が破損しても、ヒューズ部73が溶断して回路がオープン状態となり、これにより周辺実装部品に及ぼす影響を最小限に止め、実装基板の焼損や発火等を未然に防ぐことができる。
【0100】
そして、ヒューズ部73が、第2の接続電極65bの内側、すなわち第1の外部電極5aの対向面である一方の主導体部66と、第2の外部電極5bの対向面である他方の主導体部71との間に形成されているので、従来のように中間接続層64の端部近傍や中間接続層64の高さ方向にヒューズ部を形成する場合に比べ、装置の大型化、高背化を招くこともなく、ヒューズの設計自由度が広くなり、ヒューズ溶断後もアーク電流により電流を遮断できないという不具合を回避することができ、良好なヒューズ機能を有する電子装置を得ることができる。
【0101】
しかも、この第4の実施の形態では、ヒューズ部73が第2の接続電極65b中で金属ワイヤによりボンディング接続されて形成されていることから、ヒューズ部73を基体67から浮き上がらせることが可能となり、これによりヒューズ部73が基体67と直接接触するのを回避することができる。したがってヒューズ部からの中間接続層への熱伝導が抑制されることから、溶断時間を短縮することが可能となり、また中間接続層の発火を未然に防止することができる。
【0102】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。上記実施の形態では、ヒューズ部9、39、58
、73を電子部品2との対向面、すなわち中間接続層3の表面側に設けたが、
図9に示す第5の実施の形態ように、ヒューズ部9を配線基板との対向面、すなわち中間接続層3の裏面側に設けてもよい。
【0103】
また、第3の実施の形態では、ヒューズ部58は、中間接続層51の長手方向に形成しているが、第2の実施の形態のように、短手方向に形成してもよい。
【0104】
さらに、第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の電極パターンを有する接続電極を例示し、ヒューズ部を金属ワイヤで形成しているが、第2、第3、及び第5の実施の形態についても、それぞれのヒューズ部を金属ワイヤでボンディング接続して形成しても、第4の実施の形態と同様の作用効果が得られるのはいうまでもない。
【0105】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例1】
【0106】
第1の実施の形態に示した中間接続層を作製した(
図2、
図3参照)。
【0107】
すなわち、表裏両面にCu薄膜が形成された厚み0.8mmのガラスエポキシ製の基体を用意した。
【0108】
そして、この基体の所定の位置にドリルで孔を貫設し、さらに8.4mm間隔で開口部を設けた。この基体にCuめっきを施し、孔内にCuを充填して導通ビアを形成し、さらに開口部の内面にCu被膜を形成した。
【0109】
そして、周知のフォトリソグラフィー技術を使用して基体の表面に第1及び第2の接続電極を形成し、基体の裏面に第3及び第4の接続電極を形成した。
【0110】
尚、第2の接続電極に形成されたヒューズ部は、外形寸法を幅0.07mm、長さ3.0mm、厚み0.005mmとした。
【0111】
次に、基体の所定領域にソルダーレジストを塗布して保護層を形成し、その後5.0mm間隔で切断し、外形寸法が長さ8.4mm、幅5.0mm、厚み0.8mmの測定試料を作製した。
【0112】
この測定試料20個について、第1及び第2の接続電極をリード線で接続して短絡し、第3及び第4の接続電極間に直流電流を通電し、ヒューズ機能を評価した。所定の直流電流を通電したときに、ヒューズ部が溶断し、ヒューズ機能を有することが確認された。
【実施例2】
【0113】
第4の実施の形態に示した中間接続層を作製した(
図8参照)。
【0114】
すなわち、上記実施例1でヒューズ部をAl製の金属ワイヤで形成した以外は、実施例1と同様の方法・手順で測定試料を作製した。
【0115】
尚、ヒューズ部は以下の方法で作製した。Al製の金属ワイヤの接続点及びその周囲のCu被膜上にNi被膜をめっき形成した後、フラッシュめっきを施してAu被膜を形成し、表面処理した後、直径0.1mm、長さ1.5mmのAlワイヤで主導体部と副導体部とをボンディング接続し、これによりAl製の金属ワイヤからなるヒューズ部を作製した。
【0116】
この測定試料20個について、第1及び第2の接続電極をリード線で接続して短絡し、第3及び第4の接続電極間に直流電流を通電し、ヒューズ機能を評価したところ、実施例1に比べ、短時間でヒューズ部が溶断し、良好なヒューズ機能を有することが確認された。