(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ディスプレイに表示される前記画像の明るさ及びコントラストの少なくとも一方の操作を可能とするように構成された、前記ディスプレイ上のユーザインターフェイスを更に備える、請求項18に記載のシステム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本開示の一実装は、画像の作成方法に関する。その方法は、解剖学的組織の三次元画像データを提供すること、その解剖学的組織のある部位のモデルを提供すること、並びに画像データからの情報及びモデルからの情報を用いて解剖学的組織の対象部位の仮想x線写真を作成することを含む。
【0005】
ある実施形態では、方法は仮想x線写真上で修正状態における解剖学的組織のある部位を表示することを含み、修正状態は解剖学的組織の部位の平行移動若しくは回転または切除である。解剖学的組織の部位は、術前計画に従って修正され得る。
【0006】
ある実施形態では、方法は、解剖学的組織の部位に対応する画像データを仮想x線写真からサブトラクションすることを含む。仮想x線写真はまた、解剖学的組織の部位に対応する画像データを修正し、修正画像データを仮想x線写真に付加することによって作成できる。ある実施形態では、方法は、補綴具の画像を仮想x線写真に付加することを含む。補綴具の画像は、術前計画に従って仮想x線写真に付加され得る。
【0007】
ある実施形態では、解剖学的組織の部位のモデルは部分的骨モデルである。他の実施形態では、モデルは、三次元画像データ内で解剖学的組織の部位の境界を与える。
【0008】
ある実施形態では、仮想x線写真を作成することは、三次元画像データに対して第1のボリュームレイキャスティング処理を実行することを含み、モデルによって境界付けされた三次元画像データに対して第2のボリュームレイキャスティング処理を実行することを含む。仮想x線写真を作成することは、第1のボリュームレイキャスティング処理中に第1のセットの累積減弱値を計算すること、第1のセットの累積減弱値を仮想x線写真に加算すること、第2のボリュームレイキャスティング処理中に第2のセットの累積減弱値を計算すること、及び第2のセットの累積減弱値を仮想x線写真からサブトラクションすることを含んでいてもよい。仮想x線写真を作成することは、術前計画に従って第2のセットの累積減弱値を修正すること、及び修正された第2のセットの累積減弱値を仮想x線写真に加算することを更に含んでいてもよく、仮想x線写真を作成するステップは、補綴具の画像を仮想x線写真に付加することを含んでいてもよい。
【0009】
ある実施形態では、仮想x線写真を作成することは、インプラントモデルに対して第3のボリュームレイキャスティング処理を実行すること、第3のボリュームレイキャスティング処理から第3のセットの累積減弱値を計算すること、及び第3のセットの累積減弱値を、第1のセットの累積減弱値と第2のセットの累積減弱値の差に加算することを含んでいてもよい。方法は、インプラントモデルが術前計画に従って三次元画像データ、モデルまたは解剖学的組織の部位に相対して位置決め及び方向付けされることを更に含んでいてもよい。
【0010】
本開示の別の実装は、プロセッサ及びメモリを有する処理回路、入力/出力インターフェイス、並びに入力/出力インターフェイスに結合されたディスプレイを備えた画像生成システムである。処理回路は、解剖学的組織の三次元画像データを取得し、解剖学的組織のある部位に対応する解剖学的組織のモデルを取得し、三次元画像データ及びモデルからの情報を用いて仮想x線写真を作成し、得られた仮想x線写真をディスプレイに表示するように構成される。
【0011】
他の実施形態では、処理回路は更に、術前計画に従って解剖学的組織の部位を修正するように構成される。処理回路は更に、仮想x線写真において、解剖学的組織の部位を修正状態で表示するように構成される。
【0012】
他の実施形態では、処理回路は更に、解剖学的組織の部位に対応する画像データを仮想x線写真からサブトラクションするように構成され、解剖学的組織の部位に対応する画像データを修正するように構成されてもよく、解剖学的組織の部位に対応する画像データを仮想x線写真に付加するように構成されてもよい。処理回路は、解剖学的組織の部位に対応する画像データを術前計画に従って修正するように構成されてもよい。
【0013】
他の実施形態では、処理回路は更に、仮想x線写真に対して補綴具の仮想画像を付加するように構成される。
【0014】
本開示の別の実装は、表示装置上の表示のための仮想x線写真の生成方法である。方法は、プロセッサ及びメモリ装置を含む処理回路を有して表示装置に結合された画像生成システムを提供すること、メモリに記憶された解剖学的組織の三次元画像データを取得すること、メモリに記憶された解剖学的組織の部位に対応する三次元骨モデルを取得すること、解剖学的組織の部位に対応する三次元画像データ内の第1の境界付けされた容積を含む第1の境界を三次元骨モデルが画定するように、三次元骨モデルを三次元画像データに関連付けること、及び三次元画像データに対してボリュームレイキャスティング処理を実行することを含む。ボリュームレイキャスティング処理は、原点から、スクリーン空間矩形部における第1の画素を通り、第1の境界付けされた容積を通るレイをキャスティングすること、及びレイに沿って複数のサンプリングステップで第1の境界付けされた容積をサンプリングすることを含み、サンプリングステップはサンプリング距離で分けられ、サンプリングはレイと第1の境界との前面側交点の近接位置と、レイと第1の境界との背面側交点の近接位置との間のレイの部分に制限される。ボリュームレイキャスティング処理は更に、サンプリングステップの各々においてサンプリングに基づいてサンプリングステップの各々においてレイの減弱係数を演算すること、レイに沿って第1の境界付けされた容積の第1の累積減弱値を計算すること、スクリーン空間矩形部の第2の画素に沿って第2のレイをキャスティングすること、スクリーン空間矩形部の第2の画素についてサンプリング、演算及び計算ステップを反復して、第1の境界付けされた容積の第2の累積減弱値を計算すること、並びに第1の境界付けされた容積の累積減弱値を記憶することを含む。
【0015】
他の実施形態では、方法は、三次元画像データの第2の境界付けされた容積を画定する第2の境界を設けること、三次元画像データの第2の境界付けされた容積に対してボリュームレイキャスティング処理を実行すること、第2の境界付けされた容積の累積減弱値を仮想x線写真に加算すること、及び第1の境界付けされた容積の累積減弱値を仮想x線写真からサブトラクションすることを更に含む。
【0016】
他の実施形態では、方法は、第1の境界付けされた容積に関連付けられたデータを修正することを更に含む。第1の境界付けされた容積に関連付けられたデータは、第1の境界付けされた容積内の三次元画像データ、第1の境界付けされた容積の減弱係数、第1の境界付けされた容積の累積減弱値、及び第1の境界付けされた容積に関連付けられた色情報、の少なくとも1つを含み得る。
【0017】
他の実施形態では、第1の境界付けされた容積に関連付けられたデータの修正は、平行移動、回転及び切除の少なくとも1つを含む。データの修正は術前計画に対応するように実行されてもよい。第1の境界付けされた容積に関連付けられたデータは第1の境界付けされた容積の累積減弱値であり、方法は、第1の境界付けされた容積の修正された累積減弱値を仮想x線写真に加算することを更に含んでいてもよい。
【0018】
他の実施形態では、方法は、インプラントモデルの減弱値を計算すること、及びインプラントモデルの減弱値を仮想x線写真に加算することを含んでいてもよい。インプラントモデルは、術前計画に従って三次元画像データに相対して位置決めされてもよい。
【0019】
他の実施形態では、方法は、第1の境界付けされた容積の累積減弱値を色情報に変換すること、および色情報をディスプレイに提供することを更に含んでいてもよい。
【0020】
他の特徴及び特徴の組合せに関する代替的な例示の実施形態は、特許請求の範囲に全般に記載されるものとなる。
[本発明1001]
画像の作成方法であって、
解剖学的組織の三次元画像データを提供すること、
前記解剖学的組織のある部位のモデルを提供すること、及び
前記画像データからの情報及び前記モデルからの情報を用いて前記解剖学的組織の対象部位の仮想x線写真を作成すること
を備える方法。
[本発明1002]
前記仮想x線写真を作成するステップが、前記解剖学的組織の前記部位を修正状態で表示することを含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記修正状態が、前記解剖学的組織の前記部位の平行移動または回転の少なくとも一方である、本発明1002の方法。
[本発明1004]
前記修正状態が、前記解剖学的組織の前記部位の切除である、本発明1002の方法。
[本発明1005]
前記解剖学的組織の前記部位が術前計画に従って修正される、本発明1002の方法。
[本発明1006]
前記仮想x線写真を作成するステップが、前記解剖学的組織の前記部位に対応する画像データを前記仮想x線写真からサブトラクションすることを含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記仮想x線写真を作成するステップが、前記解剖学的組織の前記部位に対応する画像データを修正すること、及び修正された画像データを前記仮想x線写真に加算することを含む、本発明1006の方法。
[本発明1008]
前記モデルが部分的骨モデルである、本発明1001の方法。
[本発明1009]
補綴具の画像を前記仮想x線写真に付加することを更に含む、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記補綴具の画像が術前計画に従って前記仮想x線写真に付加される、本発明1009の方法。
[本発明1011]
前記補綴具が、股関節インプラントの少なくとも1つの構成要素である、本発明1009の方法。
[本発明1012]
前記解剖学的組織の前記部位が、大腿部の少なくとも一部位である、本発明1001の方法。
[本発明1013]
前記モデルが、前記三次元画像データ内で前記解剖学的組織の前記部位の境界を提供する、本発明1001の方法。
[本発明1014]
前記仮想x線写真を作成するステップが、前記三次元画像データに対して第1のボリュームレイキャスティング処理を実行することを含む、本発明1013の方法。
[本発明1015]
前記仮想x線写真を作成するステップが、前記モデルによって境界付けされた前記三次元画像データに対して第2のボリュームレイキャスティング処理を実行することを含む、本発明1014の方法。
[本発明1016]
前記仮想x線写真を作成するステップが、
前記第1のボリュームレイキャスティング処理中に第1のセットの累積減弱値を計算すること、
前記第1のセットの累積減弱値を前記仮想x線写真に加算すること、
前記第2のボリュームレイキャスティング処理中に第2のセットの累積減弱値を計算すること、及び
前記第2のセットの累積減弱値を前記仮想x線写真からサブトラクションすること
を含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記仮想x線写真を作成するステップが、術前計画に従って前記第2のセットの累積減弱値を修正すること、及び修正された該第2のセットの累積減弱値を前記仮想x線写真に加算することを含む、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記仮想x線写真を作成するステップが、補綴具の画像を前記仮想x線写真に付加することを含む、本発明1017の方法。
[本発明1019]
前記補綴具の画像が術前計画に従って前記仮想x線写真に付加される、本発明1018の方法。
[本発明1020]
前記仮想x線写真を作成するステップが、
インプラントモデルに対して第3のボリュームレイキャスティング処理を実行すること、
前記第3のボリュームレイキャスティング処理から第3のセットの累積減弱値を計算すること、及び
前記第3のセットの累積減弱値を、前記第1のセットの累積減弱値と前記第2のセットの累積減弱値の差に加算すること
を含む、本発明1017の方法。
[本発明1021]
前記インプラントモデルが、術前計画に従って前記三次元画像データ、前記モデルまたは前記解剖学的組織の前記部位に相対して位置決め及び方向付けされる、本発明1020の方法。
[本発明1022]
画像生成システムであって、
プロセッサ及びメモリを有する処理回路、
入力/出力インターフェイス、及び
前記入力/出力インターフェイスに結合されたディスプレイ
を備え、
前記処理回路が、
解剖学的組織の三次元画像データを取得し、
前記解剖学的組織のある部位に対応する解剖学的組織のモデルを取得し、
前記三次元画像データ及び前記モデルからの情報を用いて仮想x線写真を作成し、かつ
得られた前記仮想x線写真を前記ディスプレイに表示する
ように構成された、システム。
[本発明1023]
前記処理回路が更に、前記仮想x線写真において、前記解剖学的組織の前記部位を修正状態で表示するように構成された、本発明1022のシステム。
[本発明1024]
前記処理回路が更に、術前計画に従って前記解剖学的組織の前記部位を修正するように構成された、本発明1023のシステム。
[本発明1025]
前記処理回路が更に、前記解剖学的組織の前記部位に対応する画像データを前記仮想x線写真からサブトラクションするように構成された、本発明1022のシステム。
[本発明1026]
前記処理回路が更に、前記解剖学的組織の前記部位に対応する前記画像データを修正するように構成された、本発明1025のシステム。
[本発明1027]
前記処理回路が更に、前記解剖学的組織の前記部位に対応する修正された画像データを前記仮想x線写真に加算するように構成された、本発明1026のシステム。
[本発明1028]
前記処理回路が更に、前記解剖学的組織の前記部位に対応する画像データを術前計画に従って修正するように構成された、本発明1027のシステム。
[本発明1029]
前記モデルが部分的骨モデルである、本発明1027のシステム。
[本発明1030]
前記解剖学的組織の前記部位が大腿部の少なくとも一部位である、本発明1027のシステム。
[本発明1031]
前記処理回路が更に、前記仮想x線写真に対して補綴具の仮想画像を付加するように構成された、本発明1022のシステム。
[本発明1032]
前記ディスプレイに表示される前記画像の明るさ及びコントラストの少なくとも一方の操作を可能とするように構成された、前記ディスプレイ上のユーザインターフェイスを更に備える、本発明1022のシステム。
[本発明1033]
表示装置上の表示のための仮想x線写真の生成方法であって、
プロセッサ及びメモリ装置を含む処理回路を有し、前記表示装置に結合された画像生成システムを提供すること、
前記メモリに記憶された、解剖学的組織の三次元画像データを取得すること、
前記メモリに記憶された、前記解剖学的組織の部位に対応する三次元骨モデルを取得すること、
前記解剖学的組織の前記部位に対応する前記三次元画像データ内の第1の境界付けされた容積を含む第1の境界を前記三次元骨モデルが画定するように、前記三次元骨モデルを前記三次元画像データに関連付けること、及び
前記三次元画像データに対してボリュームレイキャスティング処理を実行すること
を含み、該処理が、
原点から、スクリーン空間矩形部における第1の画素を通り、前記第1の境界付けされた容積を通るレイをキャスティングすること、
前記レイに沿って複数のサンプリングステップで前記第1の境界付けされた容積をサンプリングすることであって、前記サンプリングステップがサンプリング距離で分けられ、前記サンプリングが前記レイと前記第1の境界との前面側交点の近接位置と、前記レイと前記第1の境界との背面側交点の近接位置との間の前記レイの部分に制限される、前記サンプリングすること、
前記サンプリングステップの各々におけるサンプルに基づいて前記サンプリングステップの各々において前記レイの減弱係数を演算すること、
前記レイに沿って前記第1の境界付けされた容積の第1の累積減弱値を計算すること、
前記スクリーン空間矩形部の第2の画素に沿って第2のレイをキャスティングすること、
前記スクリーン空間矩形部の前記第2の画素について前記サンプリング、演算及び計算ステップを反復して、前記第1の境界付けされた容積の第2の累積減弱値を計算すること、及び
前記第1の境界付けされた容積の累積減弱値を記憶すること
を含む、方法。
[本発明1034]
前記三次元画像データの第2の境界付けされた容積を画定する第2の境界を設けること、
前記三次元画像データの前記第2の境界付けされた容積に対して前記ボリュームレイキャスティング処理を実行すること、
前記第2の境界付けされた容積の累積減弱値を前記仮想x線写真に加算すること、及び
前記第1の境界付けされた容積の累積減弱値を前記仮想x線写真からサブトラクションすること
を更に含む、本発明1033の方法。
[本発明1035]
前記第1の境界付けされた容積に関連付けられたデータを修正することを更に含む、本発明1034の方法。
[本発明1036]
前記第1の境界付けされた容積に関連付けられたデータが、前記第1の境界付けされた容積内の三次元画像データ、前記第1の境界付けされた容積の前記減弱係数、前記第1の境界付けされた容積の累積減弱値、及び前記第1の境界付けされた容積に関連付けられた色情報の少なくとも1つを含む、本発明1035の方法。
[本発明1037]
前記第1の境界付けされた容積に関連付けられたデータの前記修正が、平行移動、回転及び切除の少なくとも1つを含む、本発明1035の方法。
[本発明1038]
前記第1の境界付けされた容積に関連付けられたデータの前記修正が術前計画に対応するように実行される、本発明1035の方法。
[本発明1039]
前記第1の境界付けされた容積に関連付けられたデータが前記第1の境界付けされた容積の累積減弱値であり、かつ方法が前記第1の境界付けされた容積の修正された累積減弱値を前記仮想x線写真に加算することを更に含む、本発明1035の方法。
[本発明1040]
インプラントモデルの減弱値を計算すること、及び
前記インプラントモデルの減弱値を前記仮想x線写真に加算すること
を更に含む、本発明1033の方法。
[本発明1041]
前記インプラントモデルが、術前計画に従って三次元画像データに相対して位置決めされる、本発明1040の方法。
[本発明1042]
前記第1の境界付けされた容積の累積減弱値を色情報に変換すること、および該色情報を前記ディスプレイに提供することを更に含む、本発明1033の方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
例示の実施形態を詳細に示す図面を参照する前に、本願は、明細書において説明され、若しくは図面に示される詳細または方法に限定されないことが理解されるべきである。用語は説明の便宜上のものに過ぎず、限定的なものとしてみなされるべきではないことも理解されるべきである。
【0024】
全般に図面を参照して、二次元(2−D)x線画像の作成のためのシステム及び方法を示し、説明する。ここに説明するシステム及び方法は、概略として、患者のコンピュータ断層撮像(CT)スキャン、部分的骨モデル、及び手術のための術前計画を用いて、本明細書ではx線画像とも呼ばれるインタラクティブで高品質な仮想x線写真を作成することができる。生成されたx線画像は、インプラント計画(または他の何らかの手術計画)のための完全な前後方向の表示を提供することができる。生成されたx線画像は、術後記録との比較としても使用され得る。画像は、手術前の手術計画工程中にユーザを補助するデジタルツールが装備されたユーザインターフェイス上に表示される。
【0025】
一実施形態において、ここにおけるシステム及び方法が、患者の骨盤及び大腿部のカスタマイズ可能な表示を提供するように使用される。例えば、骨盤及び大腿部のx線画像が作成され、その後、解剖学的組織の純粋な前後方向または側方の透視図を与えるように操作されることができる。これにより、旧来のx線撮像技術の制約がx線テーブル上の患者の位置による影響に関係するという点において、旧来のx線撮像技術を改善することができる。また、インプラントモデルが、手術計画の準備において利用され、術後記録との比較に使用されるようにx線画像に付加されることができる。
【0026】
x線画像は、手術における準備のための種々の表示を提供するように操作される。全般に
図1〜2を参照して、画像生成システム100、及び画像生成システム100によって実行可能な処理200を図示及び説明する。画像生成システム100は、概略として、医療専門家が見るためのx線画像を生成するように構成されることができる。画像生成システム100は、一実施形態による他の医療関連ソフトウェアと統合された構成要素であってもよい。
【0027】
システム100は、撮像システム132からの患者のCTスキャンまたは統計的な変形可能モデル、部分的骨モデル、及び手術のための術前計画など、患者の解剖学的組織を表すデータを用いてx線画像を生成する。術前計画の一例では、医師及び/または医師の助手は、予期される組織切除、インプラント配置及び/または手術中に行われるべき他の意図する行動若しくは手術から実現されるべき結果を詳細に計画することができる。システム100は、そのような情報を入力/出力(I/O)インターフェイス108を介してユーザから受信し、及び/または情報をデータベース110から取得することができる。部分的骨モデルは、ライブワイヤ分割技術、Mimcsソフトウェアまたは当技術分野で公知の方法などの各方法によって作成されることができる。
【0028】
システム100は、概略として、プロセッサ104及びメモリ106を有する処理回路102を含む。プロセッサ104は、1以上のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1以上の処理構成要素を含む回路、分散処理構成要素のグループ、マイクロプロセッサをサポートするための回路構成、または処理のために構成された他のハードウェアであってもよく、またはそれを含んでいてもよい。例示の実施形態によると、プロセッサ104は、メモリ106に記憶されたコンピュータコードを実行して、ここに記載される動作を遂行及び容易化するように構成される。メモリ106は、ここに記載される動作に関するデータまたはコンピュータコードを記憶することができる揮発性または不揮発性メモリ装置であればよい。例えば、メモリ106は、プロセッサ104による実行のために構成されたコンピュータコードモジュール(例えば、実行可能なコード、オブジェクトコード、ソースコード、スクリプトコード、機械コードなど)である種々のモジュールを含むものとして示される。プロセッサ104によって実行されると、処理回路102は、ここに記載される動作を遂行するように構成される。
【0029】
メモリ106は、処理200を実行するための種々のモジュールを含むものとして示される。x線画像を生成するための処理200は、概略として、加算的及びサブトラクション的モデルが引き出されるボリュームレイキャスティング構成要素、定減弱モデルを引き出すための構成要素、並びに最初の2つの構成要素によって演算された減弱値及び厚さ値から出力色を演算するための構成要素を含むことができる。メモリ106は、処理200の構成要素を実行するためのボリュームレイキャスティングモジュール112、減弱モデルモジュール114及び色モジュール116を含むものとして示される。レイキャスティングモジュール112は、概略として、所与のCTスキャン画像における1以上の特徴を回転または切除するように構成されることができる。減弱モデルモジュール114は、概略として、システム100によって出力されるx線画像においてそのような特徴を表示するように構成され、色モジュール116は、表示用の画像のためのグレースケール色設定を提供するように構成されることができる。モジュール112〜116の動作については、より詳細を後続の図面に関して後述する。
【0030】
メモリ106は、x線画像生成処理中にデータを一時的に記憶するための1以上のバッファ118〜124を含むことができる。メモリ106は、レイキャスティング処理中に演算される加算的及びサブトラクション的な減弱値を記憶するための減弱バッファ118を含む。メモリ106はまた、入力モデルの厚さを記憶するための厚さバッファ120並びに入力モデルの前方断片及び後方断片のXYZ座標を記憶する前方バッファ122及び後方バッファ124を含む。バッファ118〜124の使用については、より詳細を後続の図面に関して後述する。
【0031】
メモリ106は、表示モジュール126を更に含む。表示モジュール126は、生成されるx線画像を含むユーザへの表示を生成するように構成されることができる。表示モジュール126は、
図8〜9に関して説明するように、ユーザがx線画像と相互作用することを可能とするディスプレイ130上の表示に対するユーザインターフェイスを生成するように構成されることができる。
【0032】
システム100は、入力/出力(I/O)インターフェイス108を更に含む。I/Oインターフェイス108は、画像システム132から情報を受信し、外部ディスプレイ130から情報を受信するとともに外部ディスプレイ130に情報を送信するように構成されることができる。I/Oインターフェイス108は、無線で、または有線接続を介して、ディスプレイ130上の表示のための1以上のx線画像を送信するように構成されることができる。ディスプレイ130は、コンピュータまたは他の装置に対するディスプレイのような任意のタイプのディスプレイであればよい。
図9に、ディスプレイ130を介して表示されるx線画像の一実施例をより詳細に示す。I/Oインターフェイス108は、ディスプレイ130、ディスプレイ130に関連する入力装置(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーンへの接触など)、他の周辺装置、及び/またはより広範な手術システムプラットフォーム内に含まれる他のシステムを介して入力を更に受信することができる。システム100及びより具体的にはシステム100のモジュールは、入力を解釈してその入力に基づいてx線画像を生成するように構成されることができる。
【0033】
図2を再度参照すると、x線画像を生成するための詳細なx線描画処理200のフローチャートが示される。処理200は、概略として、患者のCTスキャン、当技術分野で周知の任意の手段によって作成された部分的骨モデル、及び術前計画に基づいてx線画像を作成するように構成されることができる。
【0034】
処理200は、概略として、減弱バッファ118及び厚さバッファ120をクリアすること(ステップ202及び204)の後に、ボリュームレイキャスティング処理206を含む。レイキャスティング処理206は、例えば、ボリュームレイキャスティングモジュール112によって実行される。レイキャスティング処理206は、概略として、CTスキャンからの画像における各画素について原点608からCT容積の境界付けボックスを通るレイをキャスティングすることによって、CTスキャンからx線画像を作成することを含むことができる。レイに沿ってCT値から演算された減弱が累積される。ボリュームレイキャスティング処理206によって作成されたx線画像を、
図3Aの画像300に示す。画像300は、画像への何らかの操作が行われる前のCTスキャンのx線表示である。
【0035】
レイキャスティング処理206はまた、概略として、同じ表示パラメータを用いて、操作のために選択された特定の部分的骨モデル、例えば、例示の実施形態におけるように両大腿骨の内部のCT容積の画像を作成する。そして、累積減弱値は、手術計画及びx線画像に示される解剖学的組織の何らかの必要な操作を補助するように、以前に演算された減弱からサブトラクションされてもよい。
図3Bの画像310を参照すると、図示されるx線画像は、累積減弱値をサブトラクションした結果を示す。例えば、部分的な大腿骨モデルについて、大腿骨がx線画像から「サブトラクション」されて示されている。
【0036】
所望の位置において患者の解剖学的組織のx線画像を得るために、レイキャスティング処理206はまた、概略として、平行移動、回転、切除及び/または修正された骨モデル内部のCT容積の画像を作成することを含むことができる。一実施形態では、これらの修正は術前計画に従って行われる。そして、累積減弱値は、所望の位置において以前に演算された減弱に加算されてもよい。
図3Cの画像320をまた参照すると、図示されるx線画像は、累積減弱値を加算した結果を示す。図示される大腿骨の例については、仮想的に修正された大腿骨がx線画像に再び加えられている。図示する実施形態では、部分的骨モデルに相対して規定され得る機械的な軸が骨盤中心線軸に対して整列され、手術側大腿骨モデルは術前計画に基づいて切除及び縮小されている。
【0037】
レイキャスティング処理206の後に、処理200は、減弱モデルが引き出される減弱モデル処理208を含む。処理208は、概略として、インプラントモデルの画像を作成することを含むことができ、減弱はモデルの統合表示による厚さに比例し、インプラントモデルは術前計画に従って配置される。生成された減弱値は、処理206において演算された減弱に加算される。
図3Dの画像330を参照すると、図示されるx線画像は処理208の結果を示している。処理206及び208については、より詳細をそれぞれ
図4及び7を参照して後述する。
【0038】
処理200は、演算された減弱値をグレースケール色にマッピングすること(ステップ210)及び色情報を有するx線画像をスクリーンまたは他のディスプレイ130に供給することを更に含む。ステップ210は、レイキャスティング処理206中に生成された減弱バッファ118におけるデータ及び減弱モデル処理208中に生成された厚さバッファ120におけるデータを利用する。
【0039】
処理200を実行することによって、回転または操作された特徴(例えば、画像320における大腿骨)及び/またはインプラントモデルの計画された位置(画像330におけるインプラントモデル)を示す、
図3B〜3Dの画像310、320及び330に示すようなx線画像が生成される。その特徴は、手術の準備のために若しくは他の医療上の理由のために外科医または他の医療専門家に対して追加の補助的表示を提供するために示される。レイキャスティング処理は、一般に、x線画像における特徴を操作するように構成され、減弱モデル処理は、一般に、その手順に関するそのような変化及び特徴を示すように構成される。
【0040】
ここで、
図4を参照して、レイキャスティング処理206をより詳しく説明する。レイキャスティング処理206は、CT容積全体に対して、及び最初のx線画像を修正するのに使用される多数の部分的骨モデルに対して実行されることができる。例えば、立方体または部分的骨モデルによって境界付けされたCT容積全体となり得る次のモデルを選択すること(ステップ402)の後、処理206は3個のレンダリングパスを実行することを含む。第1に、モデルの前面が前方バッファ122に引き入れられる(ステップ404)。これは、後述するように、モデル表面の前面側交点610及びステップ408で使用される各レイ606のワールド空間座標を記憶する。また、モデルの背面が後方バッファ124に引き入れられる(ステップ406)。これは、モデル表面の背面側交点612及びステップ408で使用される各レイ606のワールド空間座標を記憶する。また、(
図6に示すような)スクリーン空間矩形部602が、レイキャスティングアルゴリズム用のGLSLシェーダを実行するように引き出される。
【0041】
レイキャスティング処理206は、レイキャスティングすること、並びにレイキャスティングから得られた累積減弱を演算及び保存することを更に含む(処理408)。処理408を、より詳細に
図5に示す。結果として得られた累積減弱は減弱バッファ118に記憶され、処理206は処理すべき他のモデルがあるかを確認することに進む(ステップ410)。
【0042】
図5を参照すると、累積減弱を演算及び保存する処理408は、まず、レイ位置、方向及び作業容積距離などの種々のパラメータを初期化することを含む(ステップ502)。ステップ502は、バッファ122及び124からモデルの前面側及び背面側交点610及び612のワールド空間座標を参照することを含む。レイ位置(例えば、レイ606の開始点)、レイの方向、及びレイの作業容積距離が演算され、個別の長さ変数がゼロに初期化される。各レイ606についての作業容積距離は、前面側交点610と背面側交点612の間のレイ606に沿う距離として演算される。処理408は、作業容積距離が有効数でないか(例えば、無限大、非数(NaN)または他の何らかの有効でない値)を確認することを更に含む(ステップ504)。
【0043】
処理408は、データ値を参照すること並びに減弱を演算及び累算することを更に含む(ステップ506)。ステップ506の動作を
図6A〜Bに示す。
図6Aはあるモデルについての例のスクリーン空間矩形部602及び容積604の例示600であり、
図6Bは容積604を通過するレイ606の上面図の例示620である。ステップ506は、まず、モデルが記憶されるバッファ414から3Dモデルを取得することを含む。データ値を得るために、特定のレイ位置及び方向を有するレイ606が原点608から送出される。各レイ606は、原点608から送出され、スクリーン空間矩形部602の対応画素の中心を通り、そして容積604の境界付けボックスを通る。一実施形態では、レイ606は、スクリーン空間矩形部602の各画素について演算される。他の実施形態では、複数のレイ606がスクリーン空間矩形部602の各画素について演算され、その画素の減弱または色が、各対応画素に関連付けられた複数のレイからの減弱または色の平均として演算される。レイキャスタは、容積の前面側から容積の背面側に所与のサンプリング距離622においてレイ606に沿って移動する。サンプリング距離622は、許容可能な描画を提供するように選択されるべきであり、例えば、粗すぎるサンプリング距離を選ぶと、1つのサンプルと次のサンプルの間をブレンドする難しさに起因してアーティファクト及びスペースが現れてしまう。最初のサンプルは、前面側交点610において採られればよい。各ステップ(例えば、各サンプリング距離622)において、レイキャスタは、容積をサンプリングして、補完されたCT値を得る。CT値は、(伝達関数、より具体的には、式(18)及び(19)に関して以下に記載される)減弱係数に変換される。CT値は、各サンプリング距離について累算される。累積CT値は、累積減弱(A)として以下のように表される。
ここで、μ(p
k)は、レイ606に沿うサンプリング位置(p
k)におけるCT値v(p
k)から演算された減弱係数であり、dはステップ長(例えば、サンプリング距離622)である。
【0044】
各ステップの後に、レイ606の位置は(容積604の容積を通って進むレイ606について)更新される。長さ変数は、サンプリング距離622によって同様に増加される。長さ変数が、演算された作業容積距離以下である場合には(ステップ508)、処理408は、容積604におけるレイに沿うサンプリング位置を進めるためにステップ506に戻ることを含む。演算された作業容量距離よりも長さ変数が大きくなると、累積減弱が減弱バッファ118に保存される(ステップ510)。スクリーン空間矩形部602の各画素について、減弱が計算された場合、またはNaN若しくは無限大の判定がなされた場合には処理408は終了し、それ以外の場合には処理はスクリーン空間矩形部602の各画素について継続する。一実施形態では、処理408は、プロセッサ104によって各画素について並列に実行される。処理408の結果は、表示用のx線画像を生成するのに使用されることになるスクリーン空間矩形部602の各画素について減弱バッファ118に記憶された累積減弱である。減弱バッファ118は、概略として、後述する加算的及びサブトラクション的な累積減弱値を記憶するように構成される。
【0045】
ステップ506のボリュームレイキャスティング処理は、閉じられて方向付けられた多方向の表面のような任意の境界付けモデルに対応する。例えば、大腿部のみのx線表示を生成するために、部分的大腿モデルが、レイキャスティング構成要素のための境界付けボックスとして使用され得る。任意数の境界付けモデルが描画に付加され得る。各境界付けモデルからの累積減弱は、モデルのタイプに応じて、総減弱に加算されるか、総減弱からサブトラクションされる。累積減弱のサブトラクションは、(
図3Bに示すように)x線画像における所与の骨の寄与をマスクするのに使用される。加算的モデル及びサブトラクション的モデルは、以下のように個別に累算することができる。
【0046】
累積減弱は、以下のようにグレースケール色に変換される(ステップ210)。
【0047】
色計算は、以下のようにサブトラクション的モデルを扱うために修正することができる。
【0048】
式5は、ここで使用されるように正のA
−に加算される負のA
+を含むが、この演算は負の指数関数内で実行されるので、この演算及び同様の演算は、A
+の値からのA
−の値のサブトラクションとして考えられる。同様に、この演算及び同様の演算は、ここで使用されるように、A
−の値に対するA
+の値の加算としても考えられる。A
+の値はそれらの対応画素の明るさを増加させる傾向があり、A
−の値はそれらの対応画素の明るさを減少させる傾向があるという結果となる。x線不透過性の高い容積がより暗く見え、x線不透過性の低い容積がより明るく見えることが望ましい代替の実施形態では、ここで使用される加算演算及びサブトラクション演算の性質を変えることなく、A
+及びA
−の前の符号が交換されてもよい。計算された色(c)がグレースケール画像を表示するのにその後使用されてもよい。例えば、8ビットRGBディスプレイにおいて、計算された色(c)が、以下に従って赤、緑及び青の値を計算するのに利用されてもよい。
【0049】
上述したように、CT値v(p
k)は、伝達関数を介して減弱係数値μ(p
k)に変換することができる。同種材料を介したx線強度の減弱は、Beer−Lambert法則によって以下のように特徴付けられる。
【0050】
I
0は入力強度であり、Iは出力強度であり、μは材料のx線不透過性を表す線形減弱係数であり、Δxはx線ビームが材料を伝搬する距離である。異種の媒体については、式は、以下の式に従って個別の総和によって近似できる。
【0051】
各線分は、一定の減弱係数μ
kで同種の材料を横切るのと同じ長さと仮定している。
【0052】
放射線医学において、ハウンスフィールドスケールが、材料のx線透過性を特徴付ける標準化された態様で使用される。ハウンスフィールド単位(HU)と線形減弱係数の関係は、以下の式で表わされる。
ここで、μ
0は水の線形減弱係数である。減弱はx線光子エネルギーの関数となる。例えば、100keVのx線ビームについて、μ
0=0.17cm
−1であるということは、1cmの水は、ビームにおける光子の1−e
−0.17=15.6%だけ減弱することを意味する。同じ条件下で、骨の減弱係数がμ=0.3cm
−1として与えられる場合、HU値は765となる。一般に、骨についてのHU値は、海綿状のものについての700から皮質骨についての3000の範囲となる。
【0053】
CT値は、DICOM(digital imaging and communications in medicine)ファイルに記憶される。CT値(v)は、以下のようにHU値に関係する。
ここで、slope及びinterceptはスキャナのパラメータであり、データファイルに記憶されている。slope及びinterceptの値は、異なる製造者による様々な標準に基づいて異なることとなる。
【0054】
式(11)及び(12)の合成によって、相対減弱係数は、以下に示すようにCT値の線形関数であることとなる。
ここで、α=slope/1000及びβ=intercept/1000+1である。CTデータ値の範囲の下端はゼロまたは負であり、演算された減弱係数が負でない数となることを確実にするのに追加のクランプが必要となる。
【0055】
x線画像の特性プロパティとして、高いx線減弱の組織構造体は、画像において明るく見える。生成されたx線描画における組織構造体を強調するまたは隠すために、HU値が、以下のウィンドウ化といわれる処理において拡縮される。
ここで、HU
0及びHU
1はウィンドウ範囲を指定し、HU
min及びHU
maxはデータからの最小HU値及び最大HU値である。以下のように式(9)を式(11)に代入することによって、ウィンドウ化をCT値に直接実行できる。
ここで、v
min及びv
maxは、データにおける最小CT値及び最大CT値である。
【0056】
ウィンドウ化はCT値の範囲を拡縮するので、v
0とv
1の間のCT値を有する組織については滑らかに遷移し、v
0以下のCT値を有する組織は隠され、v
1以上のCT値を有する組織は強調される。ウィンドウ化によって、ユーザは選択されたCT値の範囲のみを描画に含めることができる。
【0057】
ユーザインターフェイス(
図8A〜D及び9参照)は、生成されたx線画像においてどの組織構造体が強調されるかを制御する明るさスライダ及びコントラストスライダをアイコンツールバーに含むことができる。そのような構造体に対するウィンドウ化は、以下に従って演算される。
ここで、各値は以下の通りである。
そして、0≦B及びC≦1は、明るさスライダ及びコントラストスライダの値である。
【0058】
演算を簡素化するために、式(10)及び(12)は以下のように合成される。
ここで、各値は以下の通りである。
式(20)、(21)及び(22)は、処理408で得られたCT値を減弱値に変換するのに使用できる式である。そして、減弱値は、式(2)及び(3)を参照して説明したように累算される。
【0059】
使用されるIGS(image guided system)ファイルは、スキャナからの元のCT値とは同一ではないデータ値を含み得る。DICOMからIGSへの変換処理中に、元のCT値は、DICOMヘッダにおいて尺度及びオフセットパラメータを用いて拡縮され、標準HU値となる。次に、HU値は、平均HU値がウィンドウに入る場合には、DICOMヘッダにおけるウィンドウ化パラメータを用いて修正される。それ以外の場合には、データがシフトされて、最小HU値が出力においてゼロにマッピングされる。IGSヘッダからはどの変換が適用されたかが不明であるため、この処理はHU値のリカバリを阻害し得る。両変換を適応させるために、slopeが1に設定されるとともにinterceptが−1000に設定された状態で、式(21)及び(22)の双方が使用され、α=1/1000及びβ=0となる。そのような実装では、式(20)における最大関数は必要ではない。
【0060】
図7を参照して、定減弱モデルを引き出すための処理208をより詳細に説明する。処理208は、減弱値が減弱バッファ118に記憶されるレイキャスティング処理の後に実行される。処理208は、x線画像生成処理において使用される多数のモデルについて実行されることができる。次のモデルを選択した後(ステップ702)、モデルの全ての三角面が引き出される(ステップ704)。背面深さ値が厚さバッファ120における値からサブトラクションされ、前面深さ値が厚さバッファ120における値に加算される。処理208で定減弱モデルを引き出した後、厚さバッファ120は定減弱モデルの厚さに応じた統合表示を含む。処理208は、引き出されるべき全てのモデルについて反復し、最後のモデルがレンダリングされた後に終了する(ステップ706)。
【0061】
(術前計画の一部である)インプラント構成要素はCT容積の一部ではないので、データは、個別のレンダリングパスにおいて加算されることになる。一実施形態では、速度の目的のために、インプラントの各構成要素が同じ材料からなるものとすると、表示に応じた厚さtは各インプラント構成要素について演算することができる。そして、累積減弱(A
imp)は、以下のように厚さから演算される。
ここで、μは、以下の対応するHU値から演算されたインプラント材料の線形減弱係数である。
式(5)の色計算は、以下のように全てのインプラント構成要素からの寄与を含むように修正することができる。
インプラント構成要素からの寄与は、例示の実施形態によると、明るさスライダ及びコントラストスライダに影響されない。
【0062】
図8A〜Dをまた参照すると、x線画像に対する種々の明るさ値及びコントラスト値による効果が示される。ユーザは、ユーザインターフェイス(
図9)上で明るさスライダ及びコントラストスライダを調整して、x線画像の見た目を微調整し、種々のスキャナ間のデータにおける差を考慮することができる。この機能は、患者の皮膚、骨のみ、骨及び柔らかい組織などの表示を見るなど、医療専門家が解剖学的組織の種々の特徴を見るのに非常に有用であり、手術計画に役立ち処置の役に立つ他の情報を提供する。
図8Aの画像800では、明るさ値及びコントラスト値は0に設定されている。
図8Bの画像810では、明るさ値及びコントラスト値は0.5に設定されている。
図8Cの画像820では、明るさ値及びコントラスト値はそれぞれ0.15及び0.25に設定されている。
図8Dの画像830では、明るさ値及びコントラスト値はそれぞれ0.6及び0.75に設定されている。一実施形態では、明るさ値は全般的に0.0から0.99の範囲となり、コントラスト値は0.0から1.0の範囲となる。
【0063】
図9を参照すると、例示の実施形態による、x線画像が表示され得るユーザインターフェイス900が示される。ユーザインターフェイス900は、術前計画ページまたはモードの一部としてユーザに対して表示されるユーザインターフェイスであればよい。ユーザインターフェイス900は、3D表示、CTスライサ表示及び3Dスライサ表示に加えて個別の表示モードにおいて提供されてもよい。
【0064】
ユーザは、アイコンツールバーまたはユーザインターフェイス900のいずれかの箇所におけるトグルボタンをx線表示上でトグルしたときにx線表示をアクティブにすることができる。ユーザインターフェイス900は、
図8A〜Dに示すように、画像の見た目を調整するための明るさスライダ及びコントラストスライダを含む。
図9に示すように、明るさ制御とコントラスト制御の間をトグルする機能を1つのスライダに与えることができる。ユーザインターフェイス900は、x線画像の表示を回転、パンまたはズームすることを含むインタラクティブな表示操作に対応するための種々の制御を更に含むことができる。ユーザインターフェイス900は、種々の特徴を示す種々の線を表示することができる。例えば、
図9では、デフォルトの向きで示される上前腸骨棘(ASIS)及び骨盤の中心線を示す線が図示される。より小さい転子のランドマーク及び腰長インジケータ線が図示されてもよい。インプラントの位置決めボタンをクリックすることによって、またはカップ計画モデル及びステム計画モデルにおけるインプラントモデルをクリック及びドラッグすることによって、インプラントの位置決めがサポートされる。
【0065】
一代替手法は、分割マスクと同様に、骨及びインプラントモデルについてのラスター化された表示を用いることである。視覚品質は影響されないものの、ラスターデータを用いるのに必要となる追加のテクスチャ参照によってレンダリング性能は低下し得る。
【0066】
x線画像操作に対する他の代替手法は、分割中にCT容積におけるデータ値を操作することによってインプラント描画及び回転修正を実施することである。そのような手法は、大量のデータを移動及び計算することを必要とし、CTスキャンの解像度によって制限され得る。
【0067】
第3の代替手法は、まず、以下のように表示レイに沿って累積データ値を演算することを含む。
【0068】
次に、累積値は、以下のように入力データ値の範囲に正規化される。
ここで、v
最大和はx線画像に対して演算された全てのv
和値であり、v
minはゼロであるものとする。正規化は、演算の感度を選択されたステップサイズに低減させるのに有用である。
【0069】
最後に、正規化された累積値は、以下に従ってグレースケール色にマッピングされる。
ここで、v
0及びv
1は、式(13)及び(14)を用いて演算される。正規化された累積値がどのように色にマッピングされるのかを制御するのに式(25)において明るさ値及びコントラスト値のみが使用されるので、ユーザがアプリケーションにおける明るさ値及びコントラスト値を変化させるときに、実装では式(23)の累算ステップを実行する必要はない。
【0070】
CTスキャン中に取得されたデータなどのデータから2次元x線画像を作成し、本開示によるx線描画の方法を実行することによって、医療専門家は、画像を操作して手術計画及び施術を補助するための付加された機能とともに、使い慣れているx線描画を使用し続けることができる。
【0071】
種々の例示の実施形態において示されたシステム及び方法の構造及び構成は、説明の便宜上のものに過ぎない。本開示においていくつかの実施形態が詳述されたが、多数の変形例(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値、実装構成、材料の使用、色、向きなどの変更)が可能である。例えば、要素の位置は反転または変更されてもよいし、個々の要素の性質若しくは数または位置が修正または変更されてもよい。したがって、全てのそのような変形は、本開示の範囲内に含まれるものである。処理または方法のステップの順序または順番は、代替の実施形態に従って変更または再順序付けされてもよい。他の代替、変形、変化及び削除が、本開示の範囲から逸脱することなく、例示の実施形態の設計、動作条件及び構成においてなされ得る。
【0072】
本開示は、種々の動作を達成するための方法、システム及び機械可読媒体上のプログラム製品を考慮する。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを用いて、またはこの目的若しくは他の目的のために組み込まれた、適切なシステムのための特定用途のコンピュータプロセッサによって、またはハードワイヤードシステムによって、実施され得る。本開示の範囲内の実施形態は、機械実行可能インストラクションまたはそれに記憶されたデータ構造体を搬送または保持するための機械可読媒体を備えたプログラム製品を含む。そのような機械可読媒体は、汎用若しくは特定用途のコンピュータまたは他のプロセッサ付き機械によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であればよい。例示として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、他の光学ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気ストレージ装置、または機械実行可能インストラクション若しくはデータ構造体の形式で所望のプログラムコードを搬送若しくは記憶するのに使用でき、かつ汎用若しくは特定用途のコンピュータまたは他のプロセッサ付き機械によってアクセスできる他の媒体であればよい。情報がネットワークまたは他の通信接続(ハードワイヤード、無線、またはハードワイヤードと無線の組合せ)を介して機械に転送または供給される場合に、機械は、接続を機械可読媒体として適切に認識する。したがって、あらゆるそのような接続は、適宜、機械可読媒体といわれる。上記の組合せはまた、機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能インストラクションは、例えば、汎用コンピュータ、特定用途のコンピュータまたは特定用途の処理機械に特定の機能若しくは機能のグループを実行させるインストラクション及びデータを含む。
【0073】
図面は特定の順序の方法ステップを示すが、ステップの順序は図示されたものと異なっていてもよい。また、2以上のステップが同時に、または部分的に実行されてもよい。そのような変形は、選択されるソフトウェア及びハードウェアシステムに応じるものであり、及び設計者の選択に応じるものである。全てのそのような変形は開示の範囲内にある。同様に、ソフトウェア実装は、規則に基づくロジック並びに種々の接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ及び決定ステップを達成する他のロジックによって標準的なプログラミング技術で達成され得る。