特許第6588928号(P6588928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6588928一つ以上の照明装置を操作するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6588928
(24)【登録日】2019年9月20日
(45)【発行日】2019年10月9日
(54)【発明の名称】一つ以上の照明装置を操作するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20191001BHJP
【FI】
   H05B37/02 L
   H05B37/02 B
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-573548(P2016-573548)
(86)(22)【出願日】2015年6月15日
(65)【公表番号】特表2017-518620(P2017-518620A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】US2015035869
(87)【国際公開番号】WO2015195572
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年5月7日
(31)【優先権主張番号】14/309,761
(32)【優先日】2014年6月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512123938
【氏名又は名称】フォセオン テクノロジー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PHOSEON TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ムーア オグニアン
(72)【発明者】
【氏名】エディ ポール
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−051526(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0257313(US,A1)
【文献】 特開2013−062215(JP,A)
【文献】 特開2014−053250(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0062872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の照明装置を操作するシステムであって、
フィードバック入力を有し、前記一つ以上の照明装置と電気通信を行う電圧レギュレータと、
前記一つ以上の照明装置の出力に要求される段階的な増加に応じて、前記一つ以上の照明装置に対して抑制された電流を供給するための非一時的な命令を含むコントローラと、
を備え
前記抑制された電流は、
前記一つ以上の照明装置の出力が要求されてから、前記一つ以上の照明装置の放射照度が、前記電流の抑制がない場合の前記一つ以上の照明装置の出力開始時の放射照度、及び、定常状態の温度での前記一つ以上の照明装置の放射照度、の中間値に達するまで、の時間と、
前記一つ以上の照明装置の放射照度が定常状態の値に収束する速度を特定する曲率と、
前記一つ以上の照明装置の温度が熱的に定常状態の接合部温度を示す場合に当該前記一つ以上の照明装置に流れる定常電流と、
抑制パラメータと、
のうち少なくとも何れかに基づいて算出される、システム。
【請求項2】
前記抑制された電流を提供するために可変抵抗を調整するための追加の命令を含み、さらに、前記一つ以上の照明装置の出力に要求される段階的な減少に応じて、前記一つ以上の照明装置に対する電流を増幅するための追加の命令を含む、
請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記抑制された電流に対応する電圧を出力するための追加の命令を含む、
請求項に記載のシステム。
【請求項4】
一つ以上の照明装置を操作する方法であって、
前記一つ以上の照明装置の所望の放射照度の出力の段階的な増加に応じて、前記一つ以上の照明装置の熱的に定常状態の条件での前記一つ以上の照明装置の所望の放射照度の出力、に対応する電流、を選択し、
前記一つ以上の照明装置が前記電流の抑制なしに前記所望の放射照度の出力の段階的な増加に応答した場合の、前記一つ以上の照明装置の一つ以上の照明照度の応答特性に基づいて、前記電流を抑制し、
前記一つ以上の照明装置に対して前記抑制された電流を出力する方法であって、
前記電流は、前記一つ以上の照明装置の出力が要求されてから、前記一つ以上の照明装置の放射照度が、前記電流の抑制がない場合の前記一つ以上の照明装置の出力開始時の放射照度、及び、前記電流に対応する定常状態の温度での前記一つ以上の照明装置の放射照度、の中間値に達するまで、の時間と、前記一つ以上の照明装置の放射照度が定常状態の値に収束する速度を特定する曲率と、前記一つ以上の照明装置の温度が熱的に定常状態の接合部温度を示す場合に当該一つ以上の照明装置に流れる定常電流と、抑制パラメータと、のうち少なくとも何れかに基づいて抑制される、方法。
【請求項5】
前記電流の抑制は、所望の放射照度の増加の段階的な変化に対応する第1式に従って前記電流を調整する、ことを含む、
請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記電流の抑制は、所望の放射照度の減少の段階的な変化に対応する第2式に従って前記電流を調整する、ことを含む、
請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記抑制された電流は、可変抵抗を介して供給される、
請求項4〜6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
前記抑制された電流は、バックステージレギュレータを介して供給される、
請求項4〜6の何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、発光ダイオード(LED)の放射照度及び/又は照度の反応を改善するためのシステム及び方法に関する。特に、段階的な方法で出力することが求められる照明アレイでの利用に適したシステム及び方法に関する。
【0002】
(関連出願)
この出願は、2014年6月19日付けの「放射照度の段階的な応答出力のためのLED出力反応の抑制」と題する米国特許出願第14/309,761号に対し優先権を主張するものであり、全ての目的のためにこれらの出願の全てを参照することにより、これらそれぞれの全体の内容がここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
固体照明装置は、住宅用及び商業用の用途で多く用いられる。固体照明装置には、レーザダイオード、発光ダイオード(LED)等のいくつかのタイプが含まれる。紫外線(UV)固体照明装置は、インク、接着剤、防腐剤等を含むコーティングのような感光性媒体を硬化させるために使用され得る。感光性媒体の硬化時間は、固体照明装置から、感光性媒体に向けられる光の強度、及び/又は、感光性媒体が露光される時間、の影響を受け得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、固体照明装置の出力は、接合部温度及び他の条件によってさまざまであるため、硬化プロセスの期間中に均一な出力を供給することは困難である。そのため、被加工物の硬化時間がより正確に制御されるように、照明装置からより一貫性がありかつ均一な出力を供給することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、本明細書において上記の欠点を認識し、そして、1個以上の照明装置を制御するための方法を開発し、前記方法は、一つ以上の照明装置の出力に要求される段階的な変化に応じて、一つ以上の照明装置に電圧又は電流の段階的な変化が適用された場合における一つ以上の照明装置の出力に基づく一つ以上のパラメータ、に応じた、一つ以上の照明装置に供給される電流、を調整し、電圧又は電流の段階的な変化は、一つ以上の照明装置の出力に要求される段階的な変化と同時には発生しない。
【0006】
段階的な電流又は電圧が照明アレイに適用された場合における照明アレイの反応に基づいて照明アレイに流れる電流を制御することにより、より正確に照明アレイにおける段階的な要求に追従することができる。それにより、照明アレイの動作期間中、照明アレイからより均一な出力が出力され得る。例えば、照明アレイの活性化に応じて照明アレイが最初に活性化される場合、照明アレイの出力はより強くなる。しかしながら、初期活性化後の時間が経過すると、照明アレイからの出力は減衰して、所望の照明アレイの出力に収束する。照明アレイに適用される電圧又は電流の段階的な変化によって照明アレイが活性化される場合において、定常状態の放射照度に対する放射照度の初期のオーバーシュートの割合、及び、照明アレイが定常状態温度での照明出力の中間値に達した時間、のようなパラメータは、照明アレイの出力(例えば、放射照度)が所望の照明アレイの出力に段階的に変化して近づくように、照明アレイに流れる電流を制御するための根拠となり得る。そのため、規制されていない照明アレイの反応は、照明アレイの出力を規制するための根拠となり得る。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態は、いくつかの利点を提供することができる。具体的には、本提案は、照明システムの出力の安定性を改善し得る。また、本提案は、照明システムの出力のフィードバックの試みが付加されていないため、照明アレイの電流の制御を簡略化し得る。さらに、本提案は、要求された照明システムの出力の段階的な増加及び減少の両方を提供し得る。
【0008】
上記の利点および他の利点、及び、本明細書の特徴は、単独で、又は、添付の図面に関連付けられて、以下の詳細な説明から、容易に明らかになるであろう。
【0009】
上記の概要は、詳細な説明でさらに記載されている概念の選択を簡略化した形態で紹介するために、提供されていると理解されるべきである。これは、請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を特定するものではなく、その範囲は、詳細な説明に準じた特許請求の範囲によって一意に定義されている。さらに、特許請求の範囲に記載された対象は、上記または本開示の任意の部分で述べた任意の欠点を解決する実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、照明システムを示す概略図である。
図2図2は、図1に示す照明システムの電流制御システムの例を示す概略図である。
図3図3は、図1に示す照明システムの電流制御システムの例を示す概略図である。
図4図4は、図1〜3に示す照明システムのシミュレーション反応のプロット例を示している。
図5図5は、照明システムの出力を制御する方法の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書は、複数の電流出力量を持つ照明システムに関する。図1は、規制された可変電流制御の機能を備えた、照明システムの一例を示している。照明電流制御の機能は、図2及び図3に示すような回路例に従って設けられる。ここに記載される電流制御の機能は、図4に示すような照明反応を示す。照明システムは、図5の方法に従って動作され得る。様々な電気回路図におけるコンポーネント間に示された電気的相互接続は、図示されたデバイス間の電流経路を表している。
【0012】
図1を参照すると、本明細書に記載されたシステムと方法とに従った光反応システム10のブロック図が示されている。この例では、光反応システム10は、照明サブシステム100、コントローラ108、電源102、冷却サブシステム18を含む。
【0013】
照明サブシステム100は、複数の照明装置110を含んでいてもよい。照明装置110は、例えば、LEDである。選択された複数の照明装置110は、放射出力24を提供するために実装されている。放射出力24は、被加工物26に向けられている。反射光28は、(例えば、放射出力24の反射によって)被加工物26から照明サブシステム100に対して向けられ得る。
【0014】
放射出力24は、結合した光学素子30を介して被加工物26に向けられ得る。結合した光学素子30は、使用される場合、様々に実装されてもよい。一例として、結合した光学素子は、被加工物26と放射出力24を提供する照明装置110との間に介在する1個以上の層、材料または他の構造を含んでいてもよい。一例として、結合した光学素子30は、放射出力24の質または有効な量の収集、集光、照準あるいはその他を強化するために、マイクロレンズアレイを含んでもよい。別の例として、結合した光学素子30は、マイクロリフレクタアレイを含んでもよい。このようなマイクロリフレクタアレイの使用の際に、放射出力24を提供する各半導体装置は、それぞれのマイクロリフレクタ内に、一対一で配置されていてもよい。
【0015】
層、材料または他の構造体の各々は、選択された屈折率を有していてもよい。適切にそれぞれの屈折率を選択することにより、放射出力24(および反射放射28またはいずれか一方)の経路内の層、材料および他の構造物の間の境界での反射は、選択的に制御され得る。一例として、被加工物26と半導体素子との間に配置された選択された境界でそのような屈折率の差を制御することにより、被加工物26への最終的な放射のために、その境界での反射は、その境界での放射出力の伝達を向上させるべく、低減され、排除され、あるいは最小化され得る。
【0016】
結合した光学素子30は、様々な目的のために使用され得る。例示の目的は、とりわけ、照明装置110を保護するため、冷却サブシステム18に関連した冷却液を保持するため、放射出力24を収集し、集光し、または照準し、あるいはそのいずれかを行うため、反射放射28を収集し、あるいは直接的に除くため、または他の目的のために、単独あるいはそれらの組み合わせを含む。さらなる例として、光反応システム10は、放射出力24の効果的な品質または量を強化するように、特に、被加工物26に供給されるものとして、結合された光学素子30を採用してもよい。
【0017】
選択された複数の照明装置110は、コントローラ108にデータを提供するために、結合された電子機器22を介してコントローラ108に結合され得る。さらに以下に説明するように、コントローラ108はまた、例えば、結合された電子機器22を介してそのようなデータ提供半導体デバイスを制御するように実装され得る。
【0018】
コントローラ108はまた、好ましくは、電源102と冷却サブシステム18のそれぞれに接続され、および制御するために実装されている。また、コントローラ108は、電源102及び冷却サブシステム18からデータを受信し得る。
【0019】
1個以上の電源102、冷却サブシステム18、照明サブシステム100からコントローラ108によって受信されたデータは、様々なタイプのものであり得る。一例として、データは、結合された半導体デバイス110に関連する1個以上の特性をそれぞれ表すことができる。別の例として、データは、データを提供する各コンポーネント12、102、18に関連する1個以上の特性を表すことができる。さらに別の例として、データは、被加工物26に関連付けられた1以上の特性を代表するものであってもよい(例えば、被加工物に向けられた放射出力エネルギーあるいはスペクトル成分(複数)の代表)。また、データは、これらの特性のいくつかの組み合わせを表すことができる。
【0020】
コントローラ108は、そのようなデータの受信中に、そのデータに応答するように実現されてもよい。例えば、そのようないずれかの構成要素からそのようなデータに応答して、コントローラ108は、一つ以上の電源102、冷却サブシステム18、及び、照明サブシステム100(1以上のそのような結合された半導体デバイスを含む)を制御するように実現されてもよい。
【0021】
一例として、被加工物に関連する1以上の点で光エネルギーが不十分であることを示す照明サブシステムからのデータに応答して、コントローラ108は、(a)一以上の半導体装置110への電源の電流及び電圧又はいずれか一方の供給を増加する、(b)冷却サブシステム18を介して照明サブシステムの冷却を高める(すなわち、特定の照明装置が冷却された場合、より大きな放射出力を提供)、(c)電力がこのような装置に供給される間の時間を増加させる、あるいは(d)上記の組み合わせ、のいずれかが実現されてもよい。
【0022】
照明サブシステム100の個々の半導体装置110(例えば、LEDデバイス)は、コントローラ108によって独立に制御されてもよい。例えば、コントローラ108は、第1の強度、波長などの光を放出する1以上の個々のLEDデバイスの第1のグループを制御する間に、異なる強度、波長などの光を放出するように1以上の個々のLEDデバイスの第2のグループを制御してもよい。1以上の個々のLEDデバイスの第1のグループは、半導体デバイス110の同じアレイ内であってもよいし、半導体デバイス110の複数のアレイからのものであってもよい。
【0023】
半導体デバイス110のアレイは、コントローラ108による照明サブシステム100内の半導体デバイス110の他のアレイから、コントローラ108によって独立に制御されてもよい。例えば、第1のアレイの半導体装置は、第1の強度、波長などの光を放出するように制御されてもよい、同時に第2のアレイのこれらは、第2の強度、波長などの光を放出するように制御されてもよい。
【0024】
さらなる例として、第1の組み合わせの条件下で(例えば、特定の被加工物のための光反応および動作条件またはいずれか一方の設定)、コントローラ108は、第1の制御方法を実現するために光反応システム10を操作することができ、一方で、第2の組み合わせの条件下で(例えば、特定の被加工物のための光反応および動作条件またはいずれか一方の設定)、コントローラ108は、第2の制御方法を実現するために光反応システム10を操作することができる。
【0025】
上述したように、第1の制御方法は、第1の強度、波長などの光を放出する1以上の個々の半導体デバイス(例えば、LEDデバイス)の第1のグループを操作することを含むことができ、同時に、第2の制御方法は、第2の強度、波長などの光を放出する1以上の個々のLEDデバイスの第2のグループを操作することを含むことができる。LEDデバイスの第1のグループは、第2のグループのLEDデバイスと同じグループであってもよい、そして、LEDデバイスの1以上のアレイにまたがってもよい、あるいは第2のグループからの別のLEDデバイスのグループであってもよい、そして、別のLEDデバイスのグループは、第2のグループから1以上のLEDデバイスのサブセットを含むことができる。
【0026】
冷却サブシステム18は、照明サブシステム100の熱挙動を管理するために実装されている。例えば、一般的に、冷却サブシステム18は、サブシステム12および、より具体的には、半導体デバイス110の冷却を提供する。冷却サブシステム18はまた、被加工物26および被加工物26と光反応システム10(特に、照明サブシステム100)との間の空間またはいずれか一方を冷却するために実現されてもよい。例えば、サブシステム18は、空冷または他の液冷(例えば、水)システムであってもよい。
【0027】
光反応システム10は、種々の用途に使用することができる。例としては、限定されないが、インク印刷からDVDやリソグラフィーの製作に至るまでの硬化させるアプリケーションを含む。一般に、光反応システム10が採用されるアプリケーションは、関連付けられたパラメータを有する。つまり、アプリケーションは、次のように関連する動作パラメータを含むことができる:1以上の波長において、1以上の期間にわたって適用される放射パワーの1以上のレベルを提供する。アプリケーションに関連付けられた光反応を適切に達成するために、光パワーは、被加工物またはその付近に1以上のパラメータ(一定時間、回数あるいは時間の範囲のすべてまたはいずれか一個)の1以上の所定のレベル以上で供給される必要があり得る。
【0028】
意図されたアプリケーションのパラメータに従うために、放射出力24を提供する半導体デバイス110は、アプリケーションのパラメータ、例えば、温度、分光分布と放射パワーに関連する様々な特性に応じて制御され得る。同時に、半導体デバイス110は、半導体デバイスの製造および関連付けられ得る特定の動作仕様を有することができ、とりわけ、破壊を排除すると共にデバイスの劣化を未然に防ぐ、あるいはいずれかのために従うことができる。光反応システム10の他の構成要素はまた、動作仕様に関連し得る。これらの仕様は、他のパラメータ仕様の中で、温度制御および適用される電力の範囲(例えば、最大値と最小値)を含んでいてもよい。
【0029】
したがって、光反応システム10は、アプリケーションのパラメータの監視をサポートしている。加えて、光反応システム10は、それぞれの特性や仕様などを含む、半導体デバイス110の監視を提供し得る。さらに、光反応システム10はまた、それぞれの特性や仕様などを含む、光反応システム10の選択された他のコンポーネントの監視を提供してもよい。
【0030】
このような監視を提供することは、システムの適切な動作の検証をし得て、それにより、光反応システム10の動作が確実に評価され得る。例えば、システム10は、アプリケーションの1以上のパラメータ(例えば、温度、放射電力、等)に関連して望ましくない方法で制御され得て、すべてのコンポーネントの特性は、そのようなパラメータおよび任意のコンポーネントまたはいずれか一方のそれぞれの動作仕様に関連付けられている。監視の提供は、1以上のシステムの構成要素に基づきコントローラ108によって受信されたデータに従って応答し行われ得る。
【0031】
監視は、システムの動作の制御をサポートすることができる。例えば、制御方法は、コントローラ108を介して実装されてもよく、1以上のシステム・コンポーネントからのデータを受信し、応答する。この制御は、上述のように、直接的に(すなわち、構成要素の制御を重んじるデータに基づいて、構成要素に向けられた制御信号を介して構成要素を制御することによって)、あるいは間接的に(すなわち、他の構成要素の動作を調整するように向けられた制御信号を介して、構成要素の動作を制御することによって)実施することができる。一例として、半導体デバイスの放射出力は、照明サブシステム100に印加される電力調整のために電源102に向けられた制御信号、および冷却調整のために照明サブシステム100に適用される冷却サブシステム18に向けられた制御信号を介し、またはいずれか一方を介して間接的に調節され得る。
【0032】
制御方法は、システムの適切な動作およびアプリケーションのパフォーマンスまたはいずれか一方を有効化し、および向上させるため、またはいずれか一方のために用いられ得る。より具体的な例で、制御はまた、アレイの放射出力と動作温度と間のバランスを有効化し、および向上させるため、またはいずれか一方のために、用いられ得る。例えば、半導体装置110や半導体装置110のアレイの加熱をその仕様を超えて防止するために、アプリケーションの光反応を十分に適切に完了し、被加工物26に放射エネルギーを向ける間において用いられ得る。
【0033】
いくつかの用途では、高い放射電力は、被加工物26に到達し得る。したがって、サブシステム12は、半導体照明装置110のアレイを使用して実施され得る。例えば、サブシステム12は、高密度、発光ダイオード(LED)アレイを使用して実施され得る。本明細書に詳細に記載されているLEDアレイは使用され得るが、これは、半導体装置110およびそのアレイは説明の原理から逸脱することなく、他の発光技術を使用して実施され得ると理解され、他の発光技術の例としては、限定されないが、有機発光ダイオード、レーザダイオード、他の半導体レーザ等である。
【0034】
複数の半導体デバイス110は、アレイ20、あるいは複数のアレイからなるアレイの形態で提供され得る。アレイ20は、1以上のあるいは大部分の半導体装置110が放射出力を提供するために構成されるように実装され得る。同時に、しかしながら、選択されたアレイの特性のモニタリングを提供するため、1以上のアレイの半導体装置110が実装され得る。監視装置36は、アレイ20内のデバイスの中から選択されることができ、例えば、その他の照明装置と同じ構造を有していてもよい。
【0035】
例えば、発光と監視との間の差は、特定の半導体デバイスに関連する結合された電子機器22によって決定され得る(例えば、基本的な形で、LEDアレイは、結合された電子機器が逆電流を供給する監視LEDと、結合された電子機器が順方向電流を提供する発光LEDとを有し得る)。
【0036】
また、結合された電子機器に基づいて、アレイ20の半導体装置の選択は、多機能デバイスあるいはマルチモードデバイスまたは両方であり得る、ここで、(a)多機能デバイスは、複数の特性(例えば、放射出力、温度、磁場、振動、圧力、加速度、およびその他の機械的な力または変形のいずれか)を検出することが可能であり、アプリケーションパラメータまたは他の決定的な要因に応じて、これらの検出機能の間で切り替えられ得る、そして、(b)マルチモードデバイスは、発光、検出および他のいくつかのモード(例えば、オフ)が可能であり、アプリケーションのパラメータや他の決定的な要因に応じたモードの間に切り替えられ得る。
【0037】
図2を参照すると、電流の量を変化させながら供給することができる第1の照明システム回路の概略図が示されている。照明システム100は、1以上の照明装置110を含む。この例では、照明装置110は、発光ダイオード(LED)である。各LED110は、アノード201とカソード202を含む。図1に示したスイッチング電源102は、経路または導体264を経由して、電圧レギュレータ204に48VのDC電源を供給する。電圧レギュレータ204は、導体または経路242を経由して、LED110のアノード201に直流電力を供給する。
【0038】
電圧レギュレータ204は、導体または経路240を経由して、電気的に発光ダイオード110のカソード202に結合されている。電圧レギュレータ204は、グランド260を基準に示されており、一例では、降圧レギュレータであってもよい。コントローラ108は、電圧レギュレータ204と電気的に通信するように示されている。他の例では、必要に応じて、離散入力発生装置(例えば、スイッチ)は、コントローラ108と交換し得る。コントローラ108は、命令を実行するための中央処理装置290を含む。
【0039】
コントローラ108はまた、電圧レギュレータ204および他のデバイスの制御ための入力および出力(I/O)288を含む。非一時的な実行可能命令は、読み出し専用メモリ(非一時的メモリ)292に格納されてもよい、そして、変数は、ランダムアクセスメモリ294に格納されてもよい。電圧レギュレータ204は、LED110に調整可能な電圧を供給する。
【0040】
電界効果トランジスタ(FET)の形態の可変抵抗220は、コントローラ108から、または他の入力装置を介して強度信号電圧を受信する。本実施例では、FETとして可変抵抗を説明しているが、回路は、可変抵抗の他の形態を採用してもよいことに注意すべきである。
【0041】
この例では、アレイ20の少なくとも一つの要素は、発光ダイオード(LED)やレーザダイオードなどの光を生成する固体発光素子を含む。素子は、基板上の単一のアレイ、基板上の複数のアレイ、相互に接続された複数の基板上の単一または複数のアレイのいずれかとして構成されてもよい一例では、発光素子のアレイは、Phoseon Technology社製シリコンライトマトリックス(登録商標)(SLM)からなり得る。
【0042】
図2に示す回路は、閉ループ電流制御回路208である。閉ループ回路208において、可変抵抗220は、駆動回路222を介した導体又は経路230を経由して強度電圧制御信号を受信する。可変抵抗220は、駆動回路222からの駆動信号を受信する。可変抵抗220とアレイ20との間の電圧は、電圧レギュレータ204によって決定される所望の電圧に制御される。所望の電圧値は、コントローラ108又は他の装置によって供給されても良く、電圧レギュレータ204は、電圧信号242を、アレイ20と可変抵抗220との間の電流経路に所望の電圧を供給するようなレベルに制御する。
【0043】
可変抵抗220は、アレイ20から電流検出抵抗255への矢印245の方向に電流の流れを制御する。所望の電圧はまた、照明装置の種類、被加工物の種類、硬化パラメータ、および様々な他の動作条件に応じて調整され得る。電流信号は、導体あるいは経路236に沿って、コントローラ108、あるいは、経路236により供給される電流フィードバックに応じて駆動回路222に提供される強度電圧制御信号を調整する別の装置、にフィードバックされ得る。特に、電流信号が所望の電流と異なる場合、導体230を介して渡される強度電圧制御信号は、アレイ20を通過する電流を調整するために増加あるいは減少する。アレイ20を通る電流の流れを示すフィードバック電流信号は、電流検出抵抗255を介して流れる電流が変化するにつれて変化する電圧レベルとして、導体236を介して導かれる。
【0044】
一例では、可変抵抗220とアレイ20との間の電圧は、一定の電圧に調整され、アレイ20および可変抵抗220を介した電流の流れは、可変抵抗220の抵抗値を調整することによって調整される。このように、可変抵抗220から導体240に沿って伝達される電圧信号は、この例では、アレイ20に進まない。代わりに、アレイ20および可変抵抗220との間の電圧のフィードバックは、導体240に沿って、電圧レギュレータ204に進む。
【0045】
電圧レギュレータ204は、アレイ20に電圧信号242を出力する。これにより、電圧レギュレータ204は、アレイ20の下流側の電圧に応答してその出力電圧を調整し、アレイ20を通る電流の流れは、可変抵抗220を介して調整される。コントローラ108は、導体236を介した電圧としてフィードバックされたアレイ電流に応じて可変抵抗220の抵抗値を調整するための命令を含み得る。導体240は、LED110のカソード202、可変抵抗220の入力299(例えば、NチャネルMOSFETのドレイン)、そして、電圧レギュレータ204の電圧フィードバック入力293との間の電気通信を可能にする。したがって、発光ダイオード110のカソード202、可変抵抗220の入力側299及び電圧フィードバック入力293は、同電位である。
【0046】
可変抵抗は、FET、バイポーラトランジスタ、デジタルのポテンショメータまたは任意の電気的に制御できる、電流制限装置の形態を取ることができる。駆動回路は、使用される可変抵抗に応じて異なる形態を取ることができる。閉ループシステムは、アレイ20を動作させるために、電圧レギュレータ204の出力が約0.5V以上の電圧を維持するように制御する。電圧を出力するレギュレータは、アレイ20に印加される電圧を調整し、可変抵抗は、アレイ20を流れる電流を所望のレベルに制御する。
【0047】
この回路は、他の手法と比較して、照明システムを効率的に拡大させることができ、かつ、照明システムにより生成された熱を減少させることができる。図2の例では、可変抵抗220は、典型的には0.6Vの範囲の電圧降下を生成する。しかし、可変抵抗220における電圧降下は、可変抵抗の設計に依存して、0.6Vより少ないかまたは大きくなり得る。
【0048】
したがって、図2に示す回路は、アレイ20を通した電圧降下を制御するため、電圧レギュレータに電圧フィードバックを供給する。例えば、アレイ20の動作がアレイ20を通した電圧降下をもたらすため、電圧レギュレータ204により出力される電圧は、アレイ20及び可変抵抗220間の所望の電圧にアレイ220を通した電圧降下を追加したものとなる。アレイ20に流れる電流を減少させるために可変抵抗220の抵抗値が増大した場合、電圧レギュレータの出力は、アレイ20及び可変抵抗20間の所望の電圧を維持するように調整(減少)される。それに対し、アレイ20に流れる電流を増加させるために可変抵抗220の抵抗値が減少した場合、電圧レギュレータの出力は、アレイ20及び可変抵抗20間の所望の電圧を維持するように調整(増大)される。このように、アレイ20を通した電圧及びアレイ20に流れる電流は、アレイ20から所望の照明強度の出力を供給するために同時に調整され得る。この例では、アレイ20に流れる電流は、アレイ20の(例えば電流方向において)下流、及び、グランド基準260の上流に位置又は配置された装置(例えば、可変抵抗220)を介して調整される。
【0049】
この例では、アレイ20において全てのLEDに同時に電力が供給された場合について示された。しかしながら、追加の可変抵抗220(例えば、制御電流が供給される各アレイに一つ)を追加することにより、異なるLEDグループに流れる電流が別々に制御されてもよい。コントローラ108は、アレイ20と同様に複数のアレイに流れる電流を制御するために、各可変抵抗に流れる電流を調整する。
【0050】
続いて、図3を参照すると、電流の量を変化させながら供給することができる第2の照明システム回路の概略図が示されている。図3は、図2に示す第1の照明システム回路と同じ要素のいくつかを含む。図2の要素と同じ図3の要素は、同じ識別番号が付与されている。簡潔にするため、図2及び図3間の同じ要素の記載については省略されるが、図2の要素の記載は、同じ識別番号を持つ図3の要素に適用される。
【0051】
図3に示す照明システムは、LED110を有するアレイ20を備えたSLM部301を備える。また、SLMは、スイッチ308及び電流検出抵抗255を備える。しかしながら、スイッチ308及び電流検出抵抗は、必要であれば、電圧レギュレータ304に設けられてもよいし、又は、コントローラ108の一部として設けられてもよい。電圧レギュレータ304は、抵抗313及び抵抗315からなる分圧器310を備える。導体340は、LED110のカソード202及びスイッチ308の電気通信に、分圧器310を組み込む。そのため、LED110のカソード202、スイッチ308の入力側(NチャネルMOSFETのドレイン)、及び、抵抗313,315間のノード321は、同じ電位である。スイッチ308は、オープン又はクローズの状態のみに操作され、直線的又は比例して調整され得る抵抗値を持つ可変抵抗として動作しない。さらに、一例では、スイッチ308は、図2に示す可変抵抗220における0.6VのVdsと比較して、0VのVdsを持つ。
【0052】
また、図3の照明システム回路は、電流検出抵抗255による測定時に、導体340を介してアレイ20を通過する電流を表す電圧、を受信する誤差増幅器326を備える。また、誤差増幅器326は、導体319を介してコントローラ108及び他の装置から参照電圧を受信する。誤差増幅器326からの出力は、パルス幅変調器(PWM)328の入力に供給される。PWMからの出力は、バックステージレギュレータ330に供給され、バックステージレギュレータ330は、アレイ20の上流位置から、規制されたDC電源(例えば図1の102)及びアレイ20間に供給される電流を調整する。
【0053】
いくつかの例では、図2に示すようなアレイ20の下流の位置の代わりに、アレイ20の(例えば電流方向において)上流に位置又は配置された装置を介して電流を調整することが望ましい。図3の照明システムの例では、導体340を介して供給される電圧のフィードバック信号が、直接的に電圧レギュレータ304に達する。電圧制御信号の強度を形成し得る電流要求は、コントローラ108から導体319を介して供給される。その信号は、参照信号Vrefになり、可変抵抗用の駆動回路よりも誤差増幅器326に供給される。
【0054】
電圧レギュレータ304は、アレイ20の上流位置からSLMの電流を直接制御する。特に、スイッチ308をオープンすることによってSLMが非活性化された場合、抵抗分割網310は、バックステージレギュレータ330を、バックステージレギュレータ330の出力電圧をモニタする従来のバックレギュレータとして動作させる。SLMは、照明を供給するため、スイッチ308をクローズしてSLMを活性化する導体302からイネーブル信号を選択的に受信する。具体的には、より典型的なバックレギュレータとは異なり、バックレギュレータは、負荷電流、SLMへの電流、及び、SLMにより押し出される電流の量、を制御する。特に、スイッチ308がクローズした場合、アレイ20を通る電流は、ノード321において生じる電圧に基づいて決定される。
【0055】
ノード321の電圧は、電流検出抵抗255に流れる電流、及び、分圧器310に流れる電流に基づいている。そのため、ノード321の電圧は、アレイ20を流れる電流を表している。SLM電流を表す電圧は、導体319を介してコントローラ108により供給される。SLMを流れる所望の電流を表す参照電圧と比較される。SLM電流が所望のSLM電流と異なる場合、誤差増幅器326の出力に誤差電圧が発生する。その誤差電圧は、バックステージ330内のコイルの充電時間及び放電時間を制御する、PWM発生器328のデューティサイクル及びPWM発生器328のパルス列、を調整する。コイルの充電及び放電時間は、電圧レギュレータ304の出力電圧を調整する。アレイ20を流れる電流は、電圧レギュレータ304から出力されてアレイ20に供給される電圧を調整することによって調整される。追加のアレイ電流が求められる場合、電圧レギュレータ304から出力される電圧は増加する。減少したアレイ電流が求められる場合、電圧レギュレータ304から出力される電圧は減少する。
【0056】
そのため、図1図3のシステムは、一つ以上の照明装置を操作するためのシステムを提供するものであって、フィードバック入力を含み、かつ、一つ以上の照明装置と電気通信を行う電圧レギュレータと、一つ以上の照明装置の出力に要求される段階的な増加に応じて、一つ以上の照明装置に対して抑制された電流を提供するための非一時的な命令を含むコントローラと、を備える。抑制電流プロファイルは、一つ以上の照明装置が、照明装置の定常状態の温度での一つ以上の照明装置の放射照度の出力の中間値に達した時間に基づいている、ということをシステムは含んでいる。
【0057】
また、抑制電流プロファイルは、一つ以上の照明装置の放射照度が定常状態値に収束する速度を特定する曲率に基づいている、ということをシステムは含んでいる。抑制電流プロファイルは、一つ以上の照明装置が熱的に定常状態の接合部温度である場合における電流に基づいている、ということをシステムは含んでいる。システムは、抑制電流プロファイルを提供するために可変抵抗を調整するための追加の命令を含み、さらに、一つ以上の照明装置の出力に要求される段階的な減少に応じて、一つ以上の照明装置に対する電流を増幅する(例えば、選択電流Ieqよりも大きな値に増加させる)ための追加の命令をさらに備える。システムは、抑制電流反応に対応する電圧を出力するための追加の命令を含んでいる。
【0058】
図4を参照すると、照明システムのシミュレーション反応のプロット例が示されている。図4のプロットは、プロットの左側の第1のY軸と、プロットの右側の第2のY軸と、を含む。第1のY軸は、正規化された放射照度を表し、第2のY軸は、LEDの接合部温度を表している。X軸は、時刻、及び、プロットの左側からプロットの右側にかけて増加する時間を表している。時刻は、時刻T0で始まり、X軸の左側に向けて増加する。アレイの照明出力は、図5の方法が照明アレイの出力を制御するために使用されていない場合、時刻T2において定常状態の値に到達する。
【0059】
プロットは3つの曲線402〜406を含む。曲線402は、照明アレイ電流が図5の方法に基づいて制御されている場合、要求された照明アレイ出力の段階的変化に対応するアレイ20の放射照度を表している。曲線404は、図5の方法に基づく電流制御なしにアレイ20に電力が供給された場合、曲線402と同様に、要求された照明アレイ出力の段階的変化に対応するアレイ20の放射照度を表している。最後に、曲線406は、曲線402と同様の要求された照明アレイ出力の段階的変化、に対応するアレイ20のLED接合部温度を表している。要求された照明アレイ出力の段階的変化は、時刻T0に始まる。
【0060】
曲線402は、要求された照明アレイ出力の段階的変化に接近して追従しているのが観察される。しかしながら、曲線404は、照明アレイの放射照度が、LED接合部温度の増加に伴って、初期に所望出力(例えば値1)からオーバーシュートし、その後、所望の出力まで減衰することを示している。それ故、照明アレイ出力は、照明アレイの電流が図5の方法に基づいて制御されない場合、照明アレイ出力を増加させるという要求に対して所望よりも大きくなり得る。そのため、追加の照明アレイ出力の要求に応じて電圧及び/又は電流が単純に増加した場合、図5の方法を採用しなければ、照明アレイ出力は、所望のレベルを超えてしまう可能性がある。
【0061】
図5の方法がアレイ電流を制御するために使用されない場合、照明アレイの出力が、照明アレイ強度の増大の要求が開始されて(例えば時刻T0)から、定常状態の温度での照明の放射照度の出力の中間値に達するまでの時間は、T0及びT1の垂直マーカー間の時間である。この時間は、t1/2maxとして表される。図5の方法がアレイ電流を制御するために使用されない場合における、照明アレイ強度の増加の要求を開始してからの照明アレイ出力の指数関数的な減衰は、cで表される指数パラメータの曲率として参照される。パラメータcは、曲線404の420での減衰速度を表している。
【0062】
そのため、図4は、図5の方法が、照明アレイ出力の増加要求に応じて照明アレイ出力をより均一に変化させることを示している。図5の方法は、所望の照明アレイ出力の段階的な変化に対応する放射照度の出力に近いステップを提供する。
【0063】
図5を参照すると、照明システムの出力を制御する方法が示されている。図5の方法は、図1図4に示すシステムに適用され得る。その方法は、コントローラの非一時的メモリに実行可能命令として格納される。さらに、図5の方法は、図4に示すように照明アレイを操作する。
【0064】
502では、方法500は、LEDが現在命令されているのか、又は、LEDが既に活性化されているのか、を判断する。一例では、方法500は、コントローラの入力に応じて、LEDが命令されている、又は、LEDが既に活性化されている、と判断する。コントローラの入力は、プッシュボタン又はオペレータ制御と、インターフェースで連結する。コントローラ入力は、LEDが命令されている場合、又は、LEDが既に活性化されている場合、1の値である。LEDが命令されていると方法500が判断した場合、又は、LEDが既にオンの場合、回答はYESで、方法500は504に進む。さもなければ、回答はNOで、方法500はEXITに進む。
【0065】
504では、方法500は、LEDがオフ状態から全出力となるように命令されているか否かを判断する。一例では、方法500は、要求された放射照度又は照度、及び、要求された放射照度又は照度の前値、に基づいて、LEDが全出力(例えば、0から100%のパワー)となるように命令されたか否かを判断する。もし、要求された放射照度又は照度が0から100%に変化することである場合、回答はYESで、方法500は506に進む。さもなければ、回答はNOで、方法500は520に進む。
【0066】
506では、方法500は、照明アレイが最大限の照明強度(全出力)で操作された場合における、照明アレイが最終的な定常状態の温度の半分に達した時間を判定する。変数はt1/2maxとして表される。一例では、この時間は、実験的に判定され、メモリ内のテーブル又は関数に格納される。方法500は、照明アレイが最終的な定常状態の温度の半分に達した時間を取得すると、508に進む。
【0067】
508では、方法500は、照明アレイの放射照度の初期の抑制を決定する。抑制パラメータはdとして表される。抑制パラメータは、実験的に決定され、メモリに格納される。初期の抑制は、初期の照明出力の照射照度を、予測された定常状態での照明出力の照射照度で割ることによって決定される。例えば、最初のオン時に(定常状態と比較して)ランプが10%高い照明出力を放射している場合、d(100%)=0.9とすると、d(80%)=0.8/0.9によって、80%のdが与えられる。方法500は、抑制パラメータを取得すると、510に進む。
【0068】
510では、方法500は、要求された照明強度で定常状態の放射照度に収束する照明アレイの照射照度の曲率をメモリから調べる。曲率は、実験的に決定され、メモリに格納される。一例では、曲率cは、照明アレイ電流が照明アレイ出力を段階的な応答に近づけられるように、ステップ514の方程式のパラメータcを調整することによって実験的に決定される。cの値は、通常は1から2.5の範囲内である。方法500は、メモリから曲率値を取得すると、512に進む。
【0069】
512では、方法500は、熱的に定常状態の条件にて照明アレイが全出力を供給して動作する場合における、照明アレイ電流を判定する。照明アレイ電流は、実験に決定され、メモリに格納される。方法500は、熱的に定常状態の条件での照明アレイ電流を取得すると、514に進む。
【0070】
514では、方法500は、照明出力の増加のために電流の抑制を用いるように完全に命令を受けてからの時間の関数として、照明アレイに対する電流を、調整又は供給する。一例では、方法500は、照明アレイの出力を次の式から決定する。
【0071】
【数1】
【0072】
ここで、tは、照明アレイ強度を増加させる要求が出力されてからの経過時間であって、照明アレイが既に光を出力していない限り、tはゼロで開始する。t1/2maxは、照明アレイの出力が、照明アレイ強度を増大させる要求の開始(例えば時刻T0)から、定常状態の温度での照明の放射照度の出力の中間値に達するまで、の時間である。dは、初期の抑制値である。cは、照明強度出力が新たに要求された定常状態値に収束する速度を表す曲率値である。Ieqは、熱的に定常状態の条件での照明アレイ電流である。I(t)は、経過時間の関数としての照明アレイ電流である。方法500は、照明アレイ出力の増加の要求後のI(t)に基づく電流命令を出力する。いくつかの例では、電流命令は、伝達関数によって、電圧に変換され得る。ここで、当該電圧は、照明アレイ電流を図2及び図3に記載された照明アレイの電流源に印加された出力電圧の関数として記載した伝達関数により、要求された照明アレイ電流を表している。このように、方法500は、照明アレイ出力の段階的な要求に対応する抑制電流プロファイルを出力する。
【0073】
電流Ieqは、熱的に定常状態の条件での照明アレイ電流であって、実験的に決定され、所望の照明アレイ出力によって指標化されたテーブルまたは関数に格納される。所望の照明アレイ出力は、照明アレイに供給される電力、放射照度、又は、照度に基づいて特定される。所望の照明アレイの出力の段階的な変化は、テーブル又は関数を指標化し、そのテーブル又は関数は、電流Ieqを出力する。方法500は、照明アレイに電流を出力し、EXITに進む。
【0074】
520では、方法500は、照明アレイの放射照度又は照度の段階的な増加が要求されているか否かを判断する。一例では、方法500は、要求された放射照度又は照度(例えば30%から60%へのパワー)、及び、要求された放射照度又は照度の前値、に基づいて、LEDが出力の段階的な増加を命令されているか否かを判断する。要求された放射照度又は照度が閾値よりも正に変化した場合、回答はYESで、方法500は522に進む。さもなければ、回答はNOで、方法500は540に進む。
【0075】
522では、方法500は、今回要求された照明アレイの出力に変更する前の照明アレイの出力に基づいて、ステップ514の式における時間tの初期値を調整する。例えば、照明アレイの出力を全出力の50%から全出力の80%に変化するように要求された場合、t=2×t1/2max×0.5である。このように、tの初期値は、照明アレイが既に光エネルギーを出力している場合、照明アレイを命令された電流に調整するためにアップデートされる。方法500は、時間tの初期値を調整し、524に進む。
【0076】
524では、方法500は、最終的に要求される光強度に基づいて抑制パラメータdを調整する。特に、照明アレイの全出力のためのdの値は、要求された照明アレイの出力のわずかな量に基づいて調整される。例えば、照明アレイの出力として、最大の放射照度又は照度の80%が要求された場合、508にて決定されるdの値は、次のd(80%)=1−((1−d(100%))×0.8ように調整される。このように、抑制パラメータは、照明アレイ出力の増大が要求された場合に調整される。方法500は抑制パラメータを取得すると、526に進む。
【0077】
526では、方法500は、要求された照明強度で定常状態の放射照度に収束する照明アレイの照射照度の曲率をメモリから調べる。曲率は、実験的に決定され、メモリに格納される。曲率は、ステップ510に記載されたように決定される。方法500は、曲率値をメモリから取得すると、528に進む。
【0078】
528では、方法500は、照明アレイが熱的に定常状態の条件にて全出力を供給して動作する場合における、照明アレイ電流を判定する。照明アレイ電流は、実験的に判定され、メモリに格納される。方法500は、熱的に定常状態の条件での照明アレイ電流を取得すると、530に進む。
【0079】
530では、方法500は、照明出力の増加のために電流の抑制を用いるように新しい放射照度又は照度の命令をLEDが受けてからの時間の関数として、照明アレイに対する電流を、調整又は供給する。一例では、方法500は、ステップ514に記載された式から照明アレイ出力を決定する。方法500は、照明アレイ出力の増加の要求後のI(t)に基づく電流命令を出力する。電流命令は、伝達関数によって、電圧に変換され得る。ここで、当該電圧は、照明アレイ電流を図2及び図3に記載された照明アレイの電流源に印加された出力電圧の関数として記載した伝達関数により、要求された照明アレイ電流を表している。このように、方法500は、照明アレイ出力の段階的な要求に対応する抑制電流プロファイルを出力する。方法500は、照明アレイ電流を出力して、EXITに進む。
【0080】
540では、方法500は、照明アレイの放射照度又は照度の段階的な減少が要求されているか否かを判断する。一例では、方法500は、要求された放射照度又は照度(例えば80%から50%へのパワー)、及び、要求された放射照度又は照度の前値、に基づいて、LEDが出力の段階的な減少を命令されているか否かを判断する。要求された放射照度又は照度が閾値よりも負に変化した場合、回答はYESで、方法500は542に進む。さもなければ、回答はNOで、方法500は560に進む。
【0081】
542では、方法500は、今回要求された照明アレイの出力に変更する前の照明アレイの出力に基づいて、ステップ550の式における時間tの初期値を調整する。例えば、照明アレイの出力を全出力の80%から全出力の50%に変化するように要求された場合、t=2×t1/2max×0.8である。このように、tの初期値は、照明アレイが既に光エネルギーを出力している場合、照明アレイを命令された電流に調整するためにアップデートされる。方法500は、時間tの初期値を調整し、544に進む。
【0082】
544では、方法500は、最終的に要求される光強度に基づいて抑制パラメータdを調整する。特に、照明アレイの全出力のためのdの値は、要求された照明アレイの出力のわずかな量に基づいて調整される。例えば、照明アレイの出力として、最大の放射照度又は照度の80%の開始から50%が要求された場合、508にて決定されるdの値は、次のd(50%)=1−((1−d(100%))×0.5ように調整される。このように、抑制パラメータは、照明アレイ出力の減少が要求された場合に調整される。方法500は抑制パラメータを取得すると、546に進む。
【0083】
546では、方法500は、要求された照明強度で定常状態の放射照度に収束する照明アレイの照射照度の曲率をメモリから調べる。曲率は、実験的に決定され、メモリに格納される。曲率は、ステップ510に記載されたように決定される。方法500は、曲率値をメモリから取得すると、548に進む。
【0084】
548では、方法500は、照明アレイが熱的に定常状態の条件にて全出力を供給して動作する場合における、照明アレイ電流を判定する。照明アレイ電流は、実験的に判定され、メモリに格納される。方法500は、熱的に定常状態の条件での照明アレイ電流を取得すると、550に進む。
【0085】
550では、方法500は、照明出力の減少のために電流の増幅を用いるように新しい放射照度又は照度の命令をLEDが受けてからの経過時間の関数として、照明アレイに対する電流を、調整又は供給する。一例では、方法500は、照明アレイの出力を次の式から決定する。
【0086】
【数2】
【0087】
ステップ550の変数は、ステップ514に記載された変数と同じである。
方法500は、照明アレイ出力の減少の要求後のI(t)に基づいて、照明アレイ電流を制御するための電流命令を出力する。電流命令は、伝達関数によって、電圧に変換され得る。ここで、当該電圧は、照明アレイ電流を図2及び図3に記載された照明アレイの電流源に印加された出力電圧の関数として記載した伝達関数により、要求された照明アレイ電流を表している。電流Ieqは、電流I(t)を供給するためにステップ550で増幅される。換言すると、駆動電流I(t)は、要求された照度の段階的な減少に応じてIeqから増幅される(例えば増加する)。このように、方法500は、照明アレイ出力の段階的な減少の要求に対応する増幅電流プロファイルを出力する。方法500は、照明アレイ電流を出力した後、EXITに進む。
【0088】
560では、方法500は、照明アレイに供給される電流が熱的に定常状態の条件での電流に収束するように、前回要求された放射照度又は照度の変更に基づいた電流を供給し続ける。そのため、図5の方法は、照明出力が段階的な方法で増加するか又は減少するかに応じて514に記載された式又は550に記載された式を用いることにより、照明アレイに供給される電流を制御し続ける。
【0089】
このように、図5の方法は、一つ以上の照明装置の操作方法を提供するものであって、
一つ以上の照明装置の所望の放射照度の出力の段階的な変化に応じて、一つ以上の照明装置の熱的に定常状態の条件での一つ以上の照明装置の所望の放射照度の出力、に対応する電流、を選択し、
一つ以上の照明装置が電流の抑制なしに所望の放射照度の出力の段階的な変化に応答した場合における、一つ以上の照明装置の一つ以上の放射照度の応答特性に基づいて、電流を抑制し、
一つ以上の照明装置に対して前記抑制された電流を出力する。
【0090】
換言すると、照明アレイ電流の抑制又は増幅(例えば増加)なしに照明アレイに供給される電圧又は電流を段階的に増加又は減少させることにより決定される照明の応答特性は、実質的に後の照明アレイの活性化の期間中における照明アレイ電流を抑制し又は増幅することに適用され得る。
【0091】
いくつかの例では、その方法は、前記電流は、一つ以上の照明装置が、前記電流に対応する定常状態の温度での照明出力の半分に達した時間に基づいて抑制される、ことを含む。その方法は、前記電流が、一つ以上の照明装置の放射照度が定常状態値に収束する速度を特定する曲率に基づいて抑制される、ことを含む。その方法は、前記電流が、一つ以上の照明装置が所望の放射照度の出力において熱的に定常状態の接合部温度である場合に基づいている、ことを含む。その方法は、電流の抑制が、所望の放射照度の増加の段階的な変化に対応する第1式に従って電流を調整する、ことを含む。
【0092】
また、その方法は、電流の抑制が、所望の放射照度の減少の段階的な変化に対応する第2式に従って電流を調整する、ことを含む。その方法は、抑制電流が、可変抵抗を介して供給されている、ことを含む。その方法は、抑制電流がバックステージレギュレータを介して供給されている、ことを含む。
【0093】
図5の方法は、また、一つ以上の照明装置の操作方法を含むものであって、
一つ以上の照明装置の出力に要求される段階的な変化に応じて、一つ以上の照明装置に電圧又は電流の段階的な変化が適用された場合における一つ以上の照明装置の出力に基づく一つ以上のパラメータ、に応じた、一つ以上の照明装置に供給される電流、を調整し、
電圧又は電流の段階的な変化は、一つ以上の照明装置の出力に要求される段階的な変化と同時には発生しない。
その方法は、一つ以上のパラメータが曲率パラメータを含む、ことを含む。
【0094】
いくつかの例では、その方法は、一つ以上のパラメータが抑制パラメータを含む、ことを含む。その方法は、段階的な変化が段階的に増加する変化である、ことを含む。その方法は、段階的な変化が段階的に減少する変化である、ことを含む。さらに、その方法は、一つ以上の照明装置のゼロ以外の初期条件に応じて、一つ以上の照明装置に供給される電流を調整することを備える。
【0095】
当業者にも理解されるように、図5に記載された方法は、イベント駆動型、割り込み駆動、マルチタスク、マルチスレッドなどのような1以上の任意の数の処理方法によって表現されてもよい。このようにして、図示された様々なステップ又は機能は、図示されたシーケンスで、並行して、あるいは省略されているいくつかの工程で行われてもよい。同様に、処理の順序は、必ずしも本明細書に記載の目的、特徴及び利点を達成するために必要とされないが、図示及び説明を容易にするために設けられている。明確に図示されていないが、図示された1以上のステップ又は機能が、使用される特定の方法に応じて繰り返し行われてもよいことは、当業者は理解するであろう図示のアクション、動作および機能またはそれらのいずれかのうちの1以上が、繰り返し使用される特定の方法に応じて行われてもよい。さらに、説明されているアクション、操作、方法及び/又は機能は、照明制御システムにおけるコンピュータ可読記憶媒体の非一時的なメモリにプログラムされるコードにグラフィカルに表され得る。
【0096】
これで説明を終了する。それを読んだ当業者は、精神と説明の範囲から逸脱することなく多くの変更や修正を思い起こさせるだろう。例えば、異なる波長の光を生成する照明源は、本明細書を利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5