(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項12に記載の注入デバイスであって、前記使用者から前記第1動作モードを退出することのインジケーションを受信するためのユーザインタフェースを更に備え、前記制御システムは、前記遷移先動作モードを決定し、前記インジケーションに応答して、前記第1動作モードから前記遷移先動作モードへ遷移することを特徴とする注入デバイス。
請求項12または13に記載の注入デバイスであって、前記制御システムは、前記複数の異なる動作モードの中から前記遷移先動作モードを選択し、前記第1動作モードに関連付けられた第1のモジュールから前記遷移先動作モードに関連付けられた第2のモジュールに前記動作情報の前記一部分を提供する監督モジュールを備えることを特徴とする注入デバイス。
請求項16に記載の方法であって、前記1つ以上のグルコース値は、現在のグルコース測定値を含み、前記動作情報は、前記第1動作モードのための現在の送達停止時間を含み、前記コントローラが、前記1つ以上のあり得る動作モードの組を決定することは、
前記コントローラが、前記現在のグルコース測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の異なる動作モードのうちの低グルコース停止動作モードのための予想送達停止時間を決定することと、
前記予想送達停止時間と前記現在の送達停止時間との和が最大送達停止閾値よりも大きいとき、前記コントローラが、前記組から前記低グルコース停止動作モードを除外することと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例にすぎず、主題の実施形態またはそのような実施形態の用途および使用を制限することを意図していない。本明細書において用いられるとき、「例示的な」という単語は、「一例、事例、または例示としての役割を果たす」ことを意味する。本明細書に「例示的」と記載されたいかなる実装も、必ずしも他の実装よりも好ましいかまたは有利であると解釈されない。更に、上記の技術分野、背景技術、発明の概要、または以下の発明を実施するための形態において提示されている明示または暗示された理論により束縛されることも意図していない。
【0018】
本明細書に記載される主題は、モータを含む任意の電子デバイスにおいて実施することができるが、以下に示す例示的な実施形態は、ポータブル電子医療デバイス等の医療デバイスの形態で実施される。多くの異なる用途が可能であるが、以下の説明は、注入システム展開の一部として流体注入デバイス(または注入ポンプ)に焦点を当てる。簡潔にするために、注入システム動作、インスリンポンプおよび/または注入設定動作、ならびに本システムの他の機能態様(およびシステムの個々の動作コンポーネント)に関係する従来の技法は、本明細書において詳細に記載されない場合がある。注入ポンプの例は、限定ではないが、特許文献1〜15に記載されているタイプのものとすることができ、これらの各々を本願に引用して援用する。
【0019】
インスリン等の流体の用量を使用者の身体に送達するための、流体注入デバイス内に設けられる容器のプランジャ(またはストッパ)を直線変位させるように動作可能なモータを含む流体注入デバイスが本明細書に記載される。しかし、本発明は、注入デバイスの動作およびその動作に必要な構造に関するものであるため、流体を運ぶかまたは進めるための任意の機械的構造の詳細は、例としてのみ与えられる。モータ、すなわち、流体に直接または間接的に運動を与える役割を果たすデバイスの動作を管理する用量コマンドは、特定の動作モードに関連付けられた送達制御方式に従って自動化された方式で生成することができる。流体注入デバイスは、複数の動作モードのうちの任意の動作モードにおいて動作することができ、モード間で切り替えることができる。動作モードの例は、閉ループ動作モード、予測動作モードおよび開ループ動作モードである。デバイスは通常、実行されると、動作モードの各々を実施するアルゴリズムを含む。その場合、切り替えモードは、アルゴリズム間で切り替えることを含む。閉ループ動作モードでは、例えば、用量コマンドは、使用者の身体における生理学的状態の現在の(または最も近時の)測定値(例えば、インスリンの注入による糖尿病管理の場合は、間質液グルコースレベル)と、その生理学的状態の目標(または基準)値との間の差に基づいて生成される。予測動作モードでは、用量コマンドは、ある未来の時点の使用者の身体におけるその生理学的状態の予測値(または予期される測定値)によって影響を受け得る。逆に、開ループ動作モードでは、用量コマンドは、所定の送達速度を実施するように構成することができる。そのような速度は、実質的に、使用者の生理学的状態の現在の測定値または予測測定値と独立することができる。
【0020】
以下で主に
図8〜
図9との関連でより詳細に記載されるように、例示的な実施形態において、注入デバイスによって実施される動作モード間の遷移はまた、使用者の生理学的状態の満足な制御を維持し、適用可能な送達制御規則の遵守を確保するように監督されるかまたは他の形で管理される。送達制御規則は、規制上の要件、製造者の要件、デバイス設定、使用者の嗜好等によって決定づけることができる。この際、動作モード間で比較的シームレスな遷移を提供するために、遷移先動作モードは、遷移元の初期動作モードにおける注入デバイスの現在の動作に関する動作情報を用いて初期化される。例示的な実施形態では、遷移先動作モードに遷移する前に、現在実施されている動作モードに関する情報が得られる。動作情報は、現在の動作モードの現在のインスタンスを特徴付け、例えば、送達または停止情報(例えば、送達が任意の時点において停止されたか否か、送達が停止された持続時間等)、任意のアクティブなタイマの値(例えば、送達停止の現在のインスタンスの持続時間、現在の不応期間の持続時間等)、アラート情報(例えば、何らかのアラートが生成されたか否か、どのタイプのアラートが生成されたかまたは主原因を特定する情報)および現在の動作モードの現在のインスタンスを退出する理由を示す情報を含むことができる。前の動作モードからの遷移時に、動作情報の少なくとも一部分が遷移先動作モードに提供され、遷移先動作モードに従う注入デバイスの動作はその動作情報によって影響を受ける。例えば、遷移先動作モードは、先行する動作モードと同じタイマ値またはカウンタ値を用いて初期化され、遷移先動作モードによって時間制約または他の適用可能な最大値制限が違反されないことを確保することができる。
【0021】
例示的な実施形態では、遷移先動作モードに遷移する前に、使用者の生理学的状態に関する臨床ステータス情報も得られる。上記で説明したように、臨床情報は、例えば、使用者の生理学的状態の近時のセンサ測定値または履歴センサ測定値、使用者の生理学的状態の基準測定値、使用者のセンサ較正履歴等を含むことができる。1つ以上の実施形態において、遷移先動作モードは、動作モードの階層的順序を確立するデバイス設定または使用者の嗜好と共に、現在の動作モードのための臨床情報および動作情報の一部分に少なくとも部分的に基づいて自動的に決定される。この際、臨床情報および/または動作情報を用いて、エントリ時の任意の適用可能な制約または要件に違反する可能性が高い動作モードを特定し除外することができ、動作モードのための階層情報を用いて、残りの可能性のある動作モードの中から、最も好ましい動作モードが選択される。
【0022】
図1を参照すると、注入システム100の1つの例示的な実施形態は、限定ではないが、流体注入デバイス(または注入ポンプ)102、検知装置104、コマンド制御デバイス(CCD)106およびコンピュータ108を含む。注入システム100のコンポーネントは、様々なプラットフォーム、設計および構成を用いて実現することができ、
図1に示す実施形態は、網羅的でも限定的でもない。
図1に示すように、実際には、注入デバイス102および検知装置104は、使用者(または患者)の身体の所望のロケーションに固定される。この際、
図1において注入デバイス102および検知装置104が使用者の身体に固定されるロケーションは、代表的な非限定的例としてのみ提供される。注入システム100の要素は、特許文献16に記載されるものと同様とすることができ、その主題全体を本願に引用して援用する。
【0023】
図1の示される実施形態において、注入デバイス102は、流体、液体、ゲルまたは他の製剤を使用者の身体に注入するのに適したポータブル医療デバイスとして設計される。例示的な実施形態において、注入される流体はインスリンであるが、限定ではないが、HIV薬、肺高血圧治療薬、鉄キレート薬、鎮痛剤、抗がん治療、薬剤、ビタミン、ホルモン等の注入を通じて多くの他の流体を投与することができる。いくつかの実施形態では、流体は、栄養剤、染料、追跡媒質、塩媒質、水和媒質等を含むことができる。
【0024】
検知装置104は、通常、使用者の状態を検知するか、検出するか、測定するか、または他の方法で定量化するように構成された注入システム100のコンポーネントを表し、検知装置によって検知されるか、検出されるか、測定されるか、または他の方法で監視される状態を示すデータを提供するためのセンサ、モニタ等を含むことができる。この際、検知装置104は、電子機器と、使用者の血糖レベル等の生物学的状態に反応する酵素とを含むことができ、血糖レベルを示すデータを注入デバイス102、CCD106および/またはコンピュータ108に提供することができる。例えば、注入デバイス102、CCD106および/またはコンピュータ108は、例えば、使用者の現在のグルコースレベル、使用者のグルコースレベル対時間のグラフまたはチャート、デバイスステータスインジケータ、アラートメッセージ等の、検知装置104から受信したセンサデータに基づいて、使用者に情報またはデータを提示するためのディスプレイを含むことができる。他の実施形態では、注入デバイス102、CCD106および/またはコンピュータ108は、センサデータを解析し、センサデータおよび/または事前にプログラムされた送達ルーチンに基づいて使用者の身体に流体を送達するように注入デバイス102を動作させるように構成された電子機器およびソフトウェアを含むことができる。このため、例示的な実施形態では、注入デバイス102、検知装置104、CCD106および/またはコンピュータ108のうちの1つ以上が、注入システム100の他のコンポーネントとの通信を可能にする送信機、受信機および/または他の送受信機電子機器を含み、それによって、検知装置104は、センサデータまたは監視データを、注入デバイス102、CCD106および/またはコンピュータ108のうちの1つ以上に送信することができる。
【0025】
図1を更に参照すると、様々な実施形態において、検知装置104は、使用者の身体に固定することができるか、または注入デバイス102が使用者の身体に固定されるロケーションから離れたロケーションにおいて使用者の身体に埋め込むことができる。様々な他の実施形態において、検知装置104は、注入デバイス102内に組み込むことができる。他の実施形態において、検知装置104は、注入デバイス102と別個に離すことができ、例えば、CCD106の一部とすることができる。そのような実施形態において、検知装置104は、使用者の状態を測定するために生体試料、解析物等を受け取るように構成することができる。
【0026】
上記で説明したように、いくつかの実施形態では、CCD106および/またはコンピュータ108は、処理、送達ルーチン記憶を実行し、検知装置104によって測定され、および/または検知装置104から受信されるセンサデータによって影響を受ける方式で注入デバイス102を制御するように構成された電子機器および他のコンポーネントを含むことができる。CCD106および/またはコンピュータ108内に制御機能を含めることによって、注入デバイス102は、より単純な電子機器で作製することができる。一方、他の実施形態では、注入デバイス102は、全ての制御機能を含むことができ、CCD106および/または他のコンピュータ108なしで動作することができる。様々な実施形態において、CCD106はポータブル電子デバイスとすることができる。更に、様々な実施形態において、注入デバイス102および/または検知装置104は、CCD106および/またはコンピュータ108によるデータの表示または処理のために、データをCCD106および/またはコンピュータ108に送信するように構成することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、CCD106および/またはコンピュータ108は、注入デバイス102の使用者の後続の使用を容易にする情報を使用者に提供することができる。例えば、CCD106は、使用者が自身の身体に投与される薬剤の速度または用量を決定することを可能にする情報を使用者に提供することができる。他の実施形態では、CCD106は、使用者の身体に投与される薬剤の速度または用量を自律的に制御するための情報を注入デバイス102に提供することができる。いくつかの実施形態では、検知装置104はCCD106に一体化することができる。そのような実施形態は、使用者が、例えば、自身の状態を評価するために自身の血液の試料を検知装置104に提供することによって、状態を監視することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、注入デバイス102と検知装置104および/またはCCD106との間の有線接続またはケーブル接続を使用することも必要とすることもなく、検知装置104およびCCD106を用いて、使用者の血液および/または体液におけるグルコースレベルを特定することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、検知装置104および/または注入デバイス102は、使用者に流体を送達するための閉ループシステムを利用するように協働で構成される。閉ループシステムを利用する検知デバイスおよび/または注入ポンプの例は、限定ではないが、以下の特許文献17〜23において得ることができ、これらの全てを本願に参照により援用する。そのような実施形態において、検知装置104は、血糖レベル等の使用者の状態を検知または測定するように構成される。注入デバイス102は、検知装置104によって検知される状態に応じて流体を送達するように構成される。そして、検知装置104は、使用者の現在の状態を検知するかまたは他の形で定量化し続け、それによって、注入デバイス102が、検知装置104によって現時点に(または最も近時に)検知された状態に応答して連続的に流体を無期限に送達することを可能にする。いくつかの実施形態では、検知装置104および/または注入デバイス102は、一日のうちの一部分についてのみ、例えば、使用者が眠っているときまたは起きているときにのみ閉ループシステムを利用するように構成することができる。
【0029】
図2〜
図4は、例えば、
図1の注入システム100内の注入デバイス102等の注入システムにおける使用に適した流体注入デバイス200(または代替的に、注入ポンプ)の1つの例示的な実施形態を示す。流体注入デバイス200は、患者(または使用者)によって運ばれるかまたは装着されるように設計されたポータブル医療デバイスであり、流体注入デバイス200は、例えば、特許文献6および特許文献15に記載の特徴、コンポーネント、要素および/または特性のうちのいくつか等の、既存の流体注入デバイスの任意の数の従来の特徴、コンポーネント、要素および特性を活用することができる。
図2〜
図4は、注入デバイス200のいくつかの態様を単純化された方式で示しているが、実際には、注入デバイス200は、本明細書に詳細に示されても記載されてもいない追加の要素、特徴またはコンポーネントを含み得ることを理解されたい。
【0030】
図2〜
図3に最も良好に示されるように、流体注入デバイス200の示される実施形態は、流体を含む容器205を受けるようになっているハウジング202を含む。ハウジング202内の開口部220は、容器205のための取付具223(またはキャップ)を収容し、取付具223は、使用者の身体への/からの流路を提供する注入セット225のチューブ221と嵌合するかまたは他の形で相互接続するように構成される。このようにして、容器205の内部から使用者への流体連通がチューブ221を介して確立される。示される流体注入デバイス200は、使用者によって、流体のボーラス(例えば、インスリン)の投与、治療の設定の変更、使用者の嗜好の変更、表示機能の選択等を行うように操作することができる要素232、234を含むヒューマンマシンインタフェース(HMI)230(またはユーザインタフェース)を含む。注入デバイスは、限定ではないが、患者の現在のグルコースレベル、時間、患者のグルコースレベル対時間のグラフまたはチャート、デバイスステータスインジケータ等の様々なタイプの情報またはデータを使用者に提示するのに用いることができる、液晶ディスプレイ(LCD)または別の適切な表示要素等の表示要素226も含む。
【0031】
ハウジング202は、電子アセンブリ204、摺動部材(またはスライド)206、駆動システム208、センサアセンブリ210および駆動システムキャッピング部材212が、容器205に加えて中に配置されることを可能にするように適合された中空の内部214を有する実質的に剛体の材料から形成され、ハウジング202の中身はハウジングキャッピング部材216によって封入されている。開口部220、スライド206および駆動システム208は、軸方向(矢印218によって示される)に同軸で位置合わせされ、これによって、駆動システム208は、(容器205が開口部220内に挿入された後で)流体を容器205から分注するように軸方向218におけるスライド206の線形変位を容易にし、ここで、センサアセンブリ210は、スライド206を変位させるように駆動システム208を動作させることに応答して、センサアセンブリ210に行使される軸方向の力(例えば、軸方向218に位置合わせされた力)を測定するように構成される。様々な実施形態において、センサアセンブリ210を利用して、以下のもの、すなわち、容器205から使用者の身体への流体の送達を低速化するか、防ぐか、または他の形で劣化させる流路内の遮蔽物、容器205が空になったとき、スライド206が容器205に適切に設置されたとき、流体投与量が送達されたとき、注入ポンプ200が衝撃または振動を受けたとき、注入ポンプ200がメンテナンスを必要とするとき、のうちの1つ以上を検出することができる。
【0032】
実施形態に依拠して、流体を含む容器205は、シリンジ、バイアル、カートリッジ、バッグ等として実現することができる。ある実施形態では、注入される流体はインスリンであるが、限定ではないが、HIV薬、肺高血圧治療薬、鉄キレート薬、鎮痛剤、抗がん治療、薬剤、ビタミン、ホルモン等の注入を通じて多くの他の流体を投与することができる。
図3〜
図4に最も良好に示されるように、容器205は通常、容器外筒219を含み、容器外筒219は流体を含み、容器205が注入ポンプ200内に挿入されるときに(例えば、軸方向218において)スライド206と同心円状におよび/または同軸で位置合わせされる。開口部220に近接する容器205の端部は、取付具223を含むかまたは他の形で取付具223と係合することができ、取付具223は、ハウジング202内に容器205を固定し、容器205がハウジング202内に挿入された後にハウジング202に対し軸方向218に容器205が変位することを防ぐ。上記で説明したように、取付具223は、ハウジング202の開口部220から(または開口部220を通って)延び、チューブ221と噛み合い、容器205の内部(例えば、容器外筒219)からチューブ221および注入セット225を介して使用者への流体連通を確立する。スライド206に近接した容器205の反対端は、流体経路に沿って容器205の外筒219の内側からチューブ221を通って使用者まで流体を押すように位置決めされたプランジャ217(またはストッパ)を含む。スライド206は、プランジャ217と機械的に係合するかまたは他の形で噛み合い、それによってプランジャ217および/または容器205に設置されるように構成される。流体は、駆動システム208がハウジング202内の開口部220に向かう軸方向218にスライド206を変位させるように動作するときにチューブ221を介して容器205から追い出される。
【0033】
図3および
図4の示される実施形態では、駆動システム208は、モータアセンブリ207と打ち込みねじ209とを備える。モータアセンブリ207は、モータの回転運動を軸方向218におけるスライド206の並進変位に変換し、それによって容器205のプランジャ217と噛み合い、プランジャ217を軸方向218に変位させるように構成された、駆動システム208のトレーンコンポーネントを駆動するように結合されたモータを含む。いくつかの実施形態では、モータアセンブリ207は、スライド206を反対方向(例えば、方向218の反対方向)に並進させて引き込み、および/または容器205から取り外して容器205が交換されることを可能にするように動力を供給することもできる。例示的な実施形態では、モータアセンブリ207は、そのロータの上に搭載されるか、取り付けられるか、または他の方法で配置される1つ以上の永久磁石を有するブラシレスDC(BLDC)モータを含む。一方、本明細書に記載の主題は、必ずしもBLDCモータとの使用に限定されず、代替的な実施形態では、モータはソレノイドモータ、ACモータ、ステッパモータ、圧電キャタピラドライブ、形状記憶アクチュエータドライブ、電気化学式ガスセル、熱駆動式ガスセル、バイメタルアクチュエータ等として実現することができる。ドライブトレーンコンポーネントは、1つ以上の主ねじ、カム、ラチェット、ジャック、プーリー、歯止め、クランプ、ギア、ナット、スライド、軸受、レバー、梁、ストッパ、プランジャ、スライダ、ブラケット、ガイド、軸受、支持部、ベローズ、キャップ、振動板、バッグ、加熱器等を含むことができる。この際、注入ポンプの示される実施形態は、同軸に位置合わせされた駆動トレーンを利用するが、モータは、容器205の長手方向軸に対し、オフセットされるかまたは他の形で非同軸に配置されてもよい。
【0034】
図4に最も良好に示されるように、打ち込みねじ209はスライド206の内部のねじ402と嵌合する。モータアセンブリ207が電源を入れられ、動作されると、打ち込みねじ209が回転し、スライド206を軸方向218に並進させる。例示的な実施形態では、注入ポンプ200は、駆動システム208の打ち込みねじ209が回転するときにスライド206が回転することを防ぐスリーブ211を含む。このため、打ち込みねじ209の回転によって、スライド206が駆動モータアセンブリ207に対し拡張するかまたは引き込まれる。流体注入デバイスが組み立てられ、動作するとき、スライド206はプランジャ217と接触して容器205と噛み合い、注入ポンプ200からの流体の送達を制御する。例示的な実施形態において、スライド206のショルダー部分215は、プランジャ217と接触するかまたは他の形でプランジャ217と噛み合い、プランジャ217を軸方向218に変位させる。代替的な実施形態において、スライド206は、本願に引用することにより援用する特許文献24および特許文献6に詳細に記載されているように、容器205のプランジャ217上の雌ねじ404と取り外し可能に噛み合うことが可能なねじ切りされた先端213を含むことができる。
【0035】
図3に示すように、電子アセンブリ204は、表示要素226に結合された制御電子機器224を含み、ハウジング202は、電子アセンブリ204がハウジング202の内側214の中に配置されたときに使用者がディスプレイ226を見ることを可能にする、表示要素226と位置合わせされた透明な窓部分228を含む。制御電子機器224は、通常、以下で
図5との関連でより詳細に説明するように、モータアセンブリ207および/または駆動システム208の動作を制御するように構成されたハードウェア、ファームウェア、処理ロジックおよび/またはソフトウェア(またはそれらの組み合わせ)を表す。そのような機能が、ハードウェアとして実装されるか、ファームウェアとして実装されるか、状態マシンとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、実施形態に課される特定の用途および設計の制約に依拠する。ここで説明される概念に精通した当業者であれば、そのような機能を、特定の用途ごとに適切な方式で実施することができるが、そのような実装の決定は、制限または限定として解釈されるべきではない。例示的な実施形態では、制御電子機器224は、注入ポンプ200の動作を制御するようにプログラムすることができる1つ以上のプログラム可能なコントローラを含む。
【0036】
モータアセンブリ207は、電子アセンブリ204に電気的に結合されて、制御電子機器224とモータアセンブリ207との間で通信を確立するように適合された1つ以上の導線236を含む。電源からモータに供給される電力量を調整するようにモータドライバ(例えば、電力コンバータ)を動作させる制御電子機器224からのコマンド信号に応答して、モータは、スライド206を軸方向218に変位させるように駆動システム208の駆動トレーンコンポーネントを作動させて、流体を容器205から流路(チューブ221および注入セットを含む)に沿って押し、それによって容器205に含まれる流体の投与量を使用者の身体の中に投与する。好ましくは、電源は、ハウジング202内に含まれる1つ以上の電池として実現される。代替的に、電源は、ソーラーパネル、キャパシタ、電源コードで給電されるAC電力またはDC電力などであってもよい。いくつかの実施形態では、制御電子機器224は、通常、断続的に、段階的方式でモータアセンブリ207および/または駆動システム208のモータを動作させ、プログラムされた送達プロファイルに従って、使用者に流体の個別の精密な用量を投与することができる。
【0037】
図2〜
図4を参照すると、上記で説明されるように、ユーザインタフェース230は、キーパッドアセンブリ233の上に重なるグラフィックキーパッドオーバレイ231上に形成されるボタン232および方向パッド234等のHMI要素を含み、キーパッドアセンブリ233は、グラフィックキーパッドオーバレイ231によって示されるボタン232、方向バッド234または他のユーザインタフェースアイテムに対応する特徴を含む。組み立てられるとき、キーパッドアセンブリ233は制御電子機器224に結合され、これによって、HMI要素232、234が、制御電子機器224とインタラクトし、注入ポンプ200の動作を、例えばインスリンのボーラスを投与するように、治療設定を変更するように、使用者の嗜好を変更するように、表示機能を選択するように、アラームおよびリマインダを設定するかまたは無効にするように等、制御するように使用者によって操作されることを可能にする。この際、制御電子機器224は、プログラムパラメータ、送達プロファイル、ポンプ動作、アラーム、警告、ステータス等のプログラムパラメータに関する情報を維持し、および/またはディスプレイ226に提供する。これは、HMI要素232、234を用いて調整することができる。様々な実施形態では、HMI要素232、234は、物理的オブジェクト(例えば、ボタン、ノブ、ジョイスティック等)または仮想オブジェクトとして(例えば、タッチ検知および/または近接検知技術を用いて)実現することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ディスプレイ226は、タッチスクリーンまたはタッチ感応式センサーディスプレイとして実現することができ、そのような実施形態において、HMI要素232、234の特徴および/または機能は、ディスプレイ226に一体化することができ、HMI230は存在しない場合がある。いくつかの実施形態では、電子アセンブリ204は、制御電子機器224に結合され、限定ではないが、聴覚フィードバック、視覚フィードバック、触覚(物理的)フィードバック等の1つ以上のタイプのフィードバックを生成するように適切に構成された、アラート生成要素を含むこともできる。
【0038】
図3〜
図4を参照すると、1つ以上の実施形態によれば、センサアセンブリ210は、バックプレート構造250と、負荷要素260とを含む。負荷要素260は、キャッピング部材212と梁構造270との間に配置される。梁構造270は、検知要素が配置された1つ以上の梁を含み、これらの検知要素は、1つ以上の梁を偏向させるセンサアセンブリ210に適用される圧縮力による影響を受ける。これについては、本願に参照することにより援用する特許文献25に詳細に記載されている。例示的な実施形態では、バックプレート構造250は、駆動システム208の底面238に取り付けられるか、付着されるか、搭載されるか、または他の形で機械的に結合され、バックプレート構造250が、駆動システム208の底面238とハウジングキャップ216との間に位置するようになっている。駆動システムキャッピング部材212は、センサアセンブリ210および駆動システム208を収容し、それらの底面に一致するような輪郭にされる。駆動システムキャッピング部材212をハウジング202の内部に貼り付け、駆動システム208によって提供される力の方向と反対の方向(例えば、方向218の反対方向)のセンサアセンブリ210の変位を阻止することができる。このため、センサアセンブリ210は、モータアセンブリ207とキャッピング部材212との間に位置決めされ、キャッピング部材212によって固定され、これによって、矢印218の方向と反対の下方向におけるセンサアセンブリ210の変位を防ぐ。それによって、センサアセンブリ210は、駆動システム208および/またはモータアセンブリ207がスライド206を容器205内の流体圧力と反対の軸方向218に変位させるように動作するときに、反動的な圧縮力にかけられる。通常の動作条件の下では、センサアセンブリ210に加えられる圧縮力は、容器205内の流体圧力と相関する。示されるように、導線240は、センサアセンブリ210の検知要素を電子アセンブリ204と電気的に結合し、制御電子機器224との通信を確立するように適合される。ここで、制御電子機器224は、軸方向218における駆動システム208によって加えられる力を示す、センサアセンブリ210の検知要素からの電気信号を測定するか、受信するか、または他の形で得るように構成される。
【0039】
図5は、
図1の注入デバイス102または
図2の注入デバイス200等の注入デバイス502と共に使用するのに適した制御システム500の例示的な実施形態を示す。制御システム500は、使用者の身体501における生理学的状態を制御するかまたは他の形で調整するように構成される。1つ以上の例示的な実施形態において、調整される状態は、注入デバイス502に通信可能に結合された検知装置504(例えば、検知装置104)によって検知されるか、検出されるか、測定されるか、または他の形で定量化される。一方、代替的な実施形態において、制御システム500によって調整される状態は、検知装置504によって得られる測定値と相関関係にあってもよいことに留意されたい。とはいえ、明確にするためにおよび説明の目的で、主題は、本明細書において、制御システム500によって使用者の身体501において調整される使用者のグルコースレベルを検知するか、検出するか、測定するかまたは他の形で定量化するグルコース検知装置として実現される検知装置504との関連で説明される場合がある。
【0040】
例示的な実施形態において、検知装置504は、使用者の身体501における相対的な間質液グルコースレベルに相関するか、この相対的な間質液グルコースレベルによる影響を受けるか、またはこの相対的な間質液グルコースレベルを他の形で示す信号特性を有する電気信号を生成するかまたは他の形で出力する1つ以上の間質液グルコース検知要素を備える。出力された電気信号は、フィルタリングされるかまたは他の形で処理され、使用者の間質液グルコースレベルを示す測定値が得られる。例示的な実施形態では、フィンガースティックデバイス等の血糖メータ530を利用して、使用者の身体501における血糖を直接検知するか、検出するか、測定するかまたは他の形で定量化する。この際、血糖メータ530は、検知装置504を較正し、使用者の間質液グルコースレベルを示す測定値を対応する較正された血糖測定値に変換するための基準測定値として利用することができる測定血糖値を出力するかまたは他の形で提供する。説明の目的で、センサグルコース値、検知されたグルコース値、またはそれらの変形形態は、検知装置504の検知要素によって出力される電気信号に基づく使用者の身体における現在のグルコースレベルを示す任意のグルコース値を含むことを理解されたい。
【0041】
ポンプ制御システム520は、使用者の身体501における現在のグルコースレベルを示す検知されたグルコース値によって影響を及ぼすことができる方式で、所望の注入送達プログラムに従って流体注入デバイス502の動作を制御する注入デバイス502の電子機器および他のコンポーネントを全体的に表す。ポンプ制御システム520によって実施される特定の動作モードが、プランジャ517を変位させ、インスリンを使用者の身体501に送達するようにモータ507を動作させるために生成される用量コマンドに影響を及ぼす。例えば、閉ループ(CL)動作モードでは、ポンプ制御システム520は、検知されたグルコース値と目標(または命令された)グルコース値との間の差に基づいて、モータ507を動作させるための用量コマンドを生成するかまたは他の形で決定し、目標に対し検知されたグルコース値を調整する。他の動作モードでは、ポンプ制御システム520は、検知されたグルコース値をグルコース上限よりも下に、またはグルコース下限よりも上に、または他の形でグルコース値の所望の範囲内に維持するように構成された用量コマンドを生成するか、または他の形で決定することができる。例えば、予測低グルコース管理(PLGM)動作モードでは、ポンプ制御システム520は、現在検知されているグルコース値に基づいて予測グルコース値を計算するかまたは他の形で決定し、予測グルコース値が予測停止閾値よりも大きいとき、基本注入速度を与えるように構成された用量コマンドを生成し、予測グルコース値が予測停止閾値未満であるとき、(例えば、ゼロに等しい用量コマンドを与えることによって)送達を自動的に停止する。低グルコース停止(LGS)動作モードでは、ポンプ制御システム520は、検知されたグルコース値が停止閾値(予測停止閾値とは異なる場合がある)よりも大きいとき、基本注入速度を与えるように構成された用量コマンドを生成し、検知されたグルコース値が停止閾値未満であるとき、送達を自動的に停止する。開ループ(OL)動作モードでは、ポンプ制御システム520は、検知されたグルコース値とは無関係に、所定の開ループ基本注入速度を与えるように構成された用量コマンドを生成する。実際には、注入デバイス502は、ポンプ制御システム520にアクセス可能なデータストレージ要素において、目標値、停止閾値および/または他のグルコース値を記憶するかまたは他の形で維持することができる。
【0042】
目標グルコース値および他の閾値を、外部コンポーネント(例えば、CCD106および/またはコンピューティングデバイス108)から受信するか、または注入デバイス502に関連付けられたユーザインタフェース要素540を介して使用者によって入力することができる。実際には、注入デバイス502に関連付けられた1つ以上のユーザインタフェース要素540は、通常、例えば、ボタン、キーパッド、キーボード、ノブ、ジョイスティック、マウス、タッチパネル、タッチスクリーン、マイクロフォンまたは別のオーディオ入力デバイス等の少なくとも1つの入力ユーザインタフェース要素を含む。更に、1つ以上のユーザインタフェース要素540は、通知または他の情報を使用者に提供するための、例えば、表示要素(例えば、発光ダイオード等)、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ等)、スピーカまたは別のオーディオ出力デバイス、触覚フィードバックデバイス等の少なくとも1つの出力ユーザインタフェース要素を含む。
図5は、注入デバイス502と別個のものとしてユーザインタフェース要素540を示しているが、実際には、ユーザインタフェース要素540のうちの1つ以上を注入デバイス502と統合することができることに留意されたい。更に、いくつかの実施形態では、1つ以上のユーザインタフェース要素540が、注入デバイス502と一体化されたユーザインタフェース要素540に加えて、および/またはその代わりに、検知装置504と一体化される。ユーザインタフェース要素540は、所望に応じて、補正ボーラスの送達、目標値および/または閾値の調整、送達制御方式または動作モードの変更等を行うように注入デバイス502を動作させるように使用者によって操作することができる。
【0043】
例示的な実施形態では、ポンプ制御システム520は、ポンプ制御システム520による実行のためにプログラミング命令を記憶することが可能なデータストレージ要素、メモリまたは他の非一時的コンピュータ可読媒体を含むか、これらに他の形でアクセスする。コンピュータ実行可能プログラミング命令は、読み出され実行されるとき、ポンプ制御システム520に、特定の動作モードに従って用量コマンドを決定させ、
図7〜
図10に関して本明細書で説明される様々な追加のタスク、動作、機能およびプロセスを実行させる。
【0044】
図5を更に参照すると、示される実施形態において、注入デバイス502は、容器(例えば、容器205)内のプランジャ517(例えば、プランジャ217)を変位し、所望の量の流体を使用者の身体501に提供するように動作可能なモータ507(例えば、モータアセンブリ207)に結合されたモータ制御モジュール512を含む。この際、プランジャ517の変位の結果、使用者の身体501の状態に影響を及ぼすことが可能な流体が、流体送達経路を介して(例えば、注入セット225のチューブ221を介して)使用者の身体501に送達される。モータドライバモジュール514がエネルギーソース503とモータ507との間に結合される。モータ制御モジュール512はモータドライバモジュール514に結合され、モータ制御モジュール512は、ポンプ制御システム520から、送達される流体の所望の量を示す用量コマンドを受信することに応答して、エネルギー源503からモータ507に電流(または電力)を提供してプランジャ517を変位させるようにモータドライバモジュール514を動作させるコマンド信号を生成するかまたは他の形で提供する。
【0045】
例示的な実施形態では、エネルギー源503は、直流(DC)電流をもたらす注入デバイス502内(例えば、ハウジング202内)に収容されたバッテリとして実現される。この際、モータドライバモジュール514は、通常、エネルギー源503によって提供されたDC電力を、モータ507のステータ巻線のそれぞれの位相に印加される交流電気信号にコンバートするかまたは他の形で転換するように構成された、回路、ハードウェアおよび/または他の電気コンポーネントの組合せを表す。この結果、電流がステータ巻線を通って流れ、これによって、ステータ磁界が生成され、モータ507のロータが回転する。モータ制御モジュール512は、ポンプ制御システム520から命令された用量を受信するかまたは他の形で取得し、命令された用量をプランジャ517の命令された並進変位にコンバートし、モータドライバモジュール514に命令するか、シグナリングするかまたは他の形でモータドライバモジュール514を動作させ、モータ507のロータを、プランジャ517の命令された並進変位を生成する量だけ回転させる。例えば、モータ制御モジュール512は、ポンプ制御システム520から受信される命令された用量を達成するプランジャ517の並進変位を生成するのに必要とされるロータの回転量を決定することができる。ロータ検知装置516の出力によって示されるステータに対するロータの現在の回転位置(または向き)に基づいて、モータ制御モジュール512は、現在の位置(または向き)から所定の回転量だけロータを回転させるはずの、ステータ巻線のそれぞれの位相に適用される交流電気信号の適切なシーケンスを決定する。モータ507がBLDCモータとして実現される実施形態において、交流電気信号は、ステータに対し、ロータを所望の方向に回転させる回転ステータ磁界を提供するための適切な順序で、ロータ磁気ポールの適切な向きでステータ巻線のそれぞれの位相を整流する。その後、モータ制御モジュール512は、決定された交流電気信号(例えば、コマンド信号)をモータ507のステータ巻線に印加するようにモータドライバモジュール514を動作させ、使用者への流体の所望の送達を達成する。
【0046】
モータ制御モジュール512がモータドライバモジュール514を動作させているとき、モータ507のステータ巻線を通じてエネルギー源503から電流が流れ、ロータ磁界とインタラクトするステータ磁界を生成する。いくつかの実施形態では、モータ制御モジュール512が、命令された用量を達成するようにモータドライバモジュール514および/またはモータ507を動作させた後、モータ制御モジュール512は、後続の用量コマンドが受信されるまで、モータドライバモジュール514および/またはモータ507の動作を止める。この際、モータドライバモジュール514およびモータ507はアイドル状態に入り、アイドル状態の間、モータドライバモジュール514は、モータ507のステータ巻線をエネルギー源503から効果的に切断または分離する。換言すれば、モータ507がアイドルであるとき、電流は、モータ507のステータ巻線を通ってエネルギー源503から流れず、このため、モータ507は、アイドル状態においてエネルギー源503からの電力を消費せず、それによって効率を改善する。
【0047】
実施形態に依拠して、モータ制御モジュール512は、本明細書に記載の機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、状態マシン、連想メモリ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、任意の適切なプログラム可能論理デバイス、離散ゲートもしくはトランジスタロジック、離散ハードウェアコンポーネントまたはそれらの任意の組み合わせで実施または実現することができる。更に、本明細書に開示される実施形態に関連して説明される方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接、ファームウェアで、モータ制御モジュール512によって実行されるソフトウェアで、またはそれらの任意の実際の組み合わせで実現することができる。例示的な実施形態において、モータ制御モジュール512は、モータ制御モジュール512による実行のためにプログラミング命令を記憶することが可能な任意の種類のランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、磁気もしくは光マスストレージ、または任意の他の短期記憶もしくは長期記憶ストレージ媒体または他の非一時的コンピュータ可読媒体を含む、データストレージ要素またはメモリを含むかまたは他の形でこれらにアクセスする。コンピュータ実行可能プログラミング命令は、モータ制御モジュール512によって読み出され、実行されると、モータ制御モジュール512に、本明細書に記載のタスク、動作、機能およびプロセスを実行させる。
【0048】
図5は、説明の目的での注入デバイス502の簡略化された図であり、本明細書に記載の主題をいかなる形においても限定することは意図されないことを理解されたい。この際、実施形態に依拠して、検知装置504のいくつかの特徴および/または機能をポンプ制御システム520によって実施するかまたは他の形でポンプ制御システム520に一体化することができ、逆もまた同様である。同様に、実際に、モータ制御モジュール512の特徴および/または機能をポンプ制御システム520によって実施するかまたは他の形でポンプ制御システム520に一体化することができ、逆もまた同様である。更に、ポンプ制御システム520の特徴および/または機能は、流体注入デバイス200内に位置する制御電子機器224によって実施することができる一方、代替的な実施形態では、ポンプ制御システム520は、例えば、CCD106またはコンピューティングデバイス108等の注入デバイス502と物理的に異なるおよび/または別個の遠隔コンピューティングデバイスによって実施することができる。
【0049】
図6は、1つ以上の実施形態による、
図5のポンプ制御システム520として用いるのに適したポンプ制御システム600の例示的な実施形態を示す。示されるポンプ制御システム600は、限定ではないが、ポンプ制御モジュール602と、通信インタフェース604と、データストレージ要素(またはメモリ)606とを備える。ポンプ制御モジュール602は通信インタフェース604およびメモリ606に結合され、ポンプ制御モジュール602は、本明細書に記載の動作、タスクおよび/またはプロセスをサポートするように適切に構成される。例示的な実施形態において、ポンプ制御モジュール602は、ボーラスまたは他の送達命令を受信し、通知または他の情報を使用者に提供するための1つ以上のユーザインタフェース要素608(例えば、ユーザインタフェース230、540)にも結合される。
図6は、ユーザインタフェース要素608を、ポンプ制御システム600に一体化されたものとして(例えば、注入デバイス200、502の一部として)示すが、様々な代替的な実施形態において、ユーザインタフェース要素608は、検知装置504、または注入システム100の別の要素(例えば、コンピュータ108またはCCD106)と一体化することができる。
【0050】
図6を参照し、更に
図5を参照すると、通信インタフェース604は、通常、ポンプ制御モジュール602に結合され、ポンプ制御システム600と検知装置504との間の通信をサポートするように構成された、ポンプ制御システム600のハードウェア、回路、ロジック、ファームウェアおよび/または他のコンポーネントを表す。この際、通信インタフェース604は、ポンプ制御システム520、600と、注入システム100内の検知装置504または別の電子デバイス106、108との間の無線通信をサポートすることが可能な1つ以上の送受信機モジュールを含むかまたは他の形でこれらに結合することができる。他の実施形態では、通信インタフェース604は、検知装置504への/からの有線通信をサポートするように構成することができる。
【0051】
ポンプ制御モジュール602は、通常、通信インタフェース604に結合され、検知装置504から受信したデータに基づいて流体を身体501に送達し、本明細書に記載の様々な追加のタスク、動作、機能および/または動作を行うようにモータ507を動作させるための用量コマンドを決定するように構成された、ポンプ制御システム600のハードウェア、回路、ロジック、ファームウェアおよび/または他のコンポーネントを表す。例えば、例示的な実施形態において、ポンプ制御モジュール602はコマンド生成モジュール614を実施するかまたは他の形で実行し、コマンド生成モジュール614は、特定の動作モードに従って注入デバイス502のモータ507を動作させるための用量コマンドを自動的に計算するかまたは他の形で決定する。本明細書に記載の例示的な実施形態において、コマンド生成モジュール614は、異なる送達制御方式が関連付けられた複数の異なる動作モードをサポートする。更に、コマンド生成モジュール614は、手動で開始されるかまたは他の形で使用者によってユーザインタフェース要素608を介して命令されたボーラスを送達するための用量コマンドを生成することができる。示されるポンプ制御モジュール602は、ユーザインタフェース要素608を介して使用者通知またはアラートを生成するかまたは他の形で提供する診断モジュール612も実施するかまたは他の形で実行する。
【0052】
図6を更に参照すると、実施形態に依拠して、ポンプ制御モジュール602は、本明細書に記載の機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、状態マシン、連想メモリ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、任意の適切なプログラム可能論理デバイス、離散ゲートもしくはトランジスタロジック、離散ハードウェアコンポーネントまたはそれらの任意の組み合わせで実施または実現することができる。この際、本明細書に開示される実施形態に関連して説明される方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接、ファームウェアで、ポンプ制御モジュール602によって実行されるソフトウェアで、またはそれらの任意の実際の組み合わせで実現することができる。例示的な実施形態において、ポンプ制御モジュール602は、ポンプ制御モジュール602による実行のためのプログラミング命令を記憶することが可能な任意の種類の非一時的コンピュータ可読媒体を用いて実現することができるデータストレージ要素またはメモリ606を含むかまたは他の形でこれらにアクセスする。コンピュータ実行可能プログラミング命令は、ポンプ制御モジュール602によって読み出され、実行されると、ポンプ制御モジュール602に、以下でより詳細に説明されるタスク、動作、機能およびプロセスを実行させる。
【0053】
図6は、説明の目的でのポンプ制御システム600の簡略化された図であり、本明細書に記載の主題をいかなる形においても限定することは意図されないことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、例えば、コマンド生成モジュール614が、用量コマンドを対応するモータコマンドに変換することによって、モータ制御モジュール512の特徴および/または機能をポンプ制御システム600および/またはポンプ制御モジュール602によって実施するかまたは他の形でポンプ制御システム600および/またはポンプ制御モジュール602に一体化することができ、この場合、注入デバイス502の実施形態において、別個のモータ制御モジュール512は存在しない場合がある。
【0054】
図7は、ポンプ制御システム520、600によって、使用者の身体の状態を所望の(または目標)値に調整するように実施することができる例示的な閉ループ制御システム700を示す。
図7は、説明の目的での制御システム700の簡略化された図であり、本明細書に記載の主題をいかなる形においても限定することは意図されないことを理解されたい。
【0055】
例示的な実施形態において、制御システム700は、入力702において目標グルコース値を受信するかまたは他の形で得る。いくつかの実施形態では、目標グルコース値は、(例えば、メモリ606内の)注入デバイス502によって記憶するかまたは他の形で維持することができるが、いくつかの代替的な実施形態では、目標値は外部コンポーネント(例えば、CCD106および/またはコンピュータ108)から受信することができる。1つ以上の実施形態において、目標グルコース値は、1つ以上の患者固有の制御パラメータに基づいて、閉ループ動作モードに入る前に動的に計算するかまたは他の形で決定することができる。例えば、目標血糖値は、先行する時間間隔にわたる履歴送達情報(例えば、前の24時間にわたって送達されたインスリン量)に基づいて決定された患者固有の基準基礎速度および患者固有の日毎のインスリン要件に少なくとも部分的に基づいて計算することができる。また、制御システム700は、入力704において検知装置504からの現在のグルコース測定値を受信するかまたは他の形で得る。示される制御システム700は、比例積分微分(PID)制御を実施するかまたは他の形で提供し、目標グルコース値と現在のグルコース測定値との間の差に少なくとも部分的に基づいてモータ510を動作させるための送達コマンドを決定するかまたは他の形で生成する。この際、PID制御は、測定値と目標値との間の差を最小限にすることを試み、それによって、測定値を所望の値に調整する。PID制御パラメータは、入力702における目標グルコースレベルと、入力704における測定グルコースレベルとの間の差に適用され、出力730において提供される用量(または送達)コマンドを生成するかまたは他の形で特定する。その送達コマンドに基づいて、モータ制御モジュール512は、使用者の身体にインスリンを送達し、使用者のグルコースレベルに影響を及ぼし、それによってその後測定されるグルコースレベルと目標グルコースレベルとの間の差を低減するようにモータ510を動作させる。
【0056】
示される制御システム700は、入力702において得られる目標値と、入力704において検知装置504から得られる測定値との間の差を、例えば、測定値から目標値を減算することによって求めるように構成された合算ブロック706を含むかまたは他の形で実施する。合算ブロック706の出力は、測定値と目標値との間の差を表し、次にこれは、比例項経路、積分項経路および微分項経路の各々に提供される。比例項経路は、差を比例利得係数K
Pと乗算して比例項を得る利得ブロック720を含む。積分項経路は、差を積分する積分ブロック708と、積分された差を積分利得係数K
Iと乗算して積分項を得る利得ブロック722とを含む。微分項経路は、差の微分を求める微分ブロック710と、差の微分を微分利得係数K
Dと乗算して微分項を得る利得ブロック724とを含む。次に、比例項、積分項および微分項は合算されるか、または他の形で組み合わされ、出力730においてモータを動作させるのに利用される送達コマンドが得られる。閉ループPID制御および利得係数の決定に関する様々な実施の詳細が、引用して援用する特許文献23により詳細に記載されている。
【0057】
1つ以上の例示的な実施形態において、PID利得係数は使用者固有(または患者固有)であり、履歴インスリン送達情報(例えば、以前の投与量の量および/またはタイミング、履歴補正ボーラス情報等)、履歴センサ測定値、履歴基準血糖測定値、使用者報告または使用者入力イベント(例えば、食事、運動等)等に基づいて、閉ループ動作モードに入る前に動的に計算されるかまたは他の形で決定される。この際、1つ以上の患者固有の制御パラメータ(例えば、インスリン感度係数、日毎のインスリン要件、インスリン制限、基準基礎速度、基準空腹時グルコース、有効インスリン作用持続時間、薬力学的時間制約等)を利用して、体験されるおよび/または注入デバイス502によって呈される様々な動作条件を計上するようにPID利得係数を補償するか、補正するか、または他の形で調整することができる。PID利得係数は、ポンプ制御モジュール602にアクセス可能なメモリ606によって維持することができる。この際、メモリ606は、PID制御のための制御パラメータに関連付けられた複数のレジスタを含むことができる。例えば、第1のパラメータレジスタは、目標グルコース値を記憶することができ、入力702において合算ブロック706によってアクセスされるかまたは合算ブロック706に他の形で結合することができ、同様に、比例利得ブロック720によってアクセスされる第2のパラメータレジスタは比例利得係数を記憶することができ、積分利得ブロック722によってアクセスされる第3のパラメータレジスタは積分利得係数を記憶することができ、微分利得ブロック724によってアクセスされる第4のパラメータレジスタは微分利得係数を記憶することができる。
【0058】
ここで
図8を参照すると、1つ以上の実施形態によれば、管理システム800は、注入デバイスによってサポートされる動作モード間の遷移を管理する。本明細書に記載の1つ以上の例示的な実施形態では、管理システム800は、ポンプ制御システム520、600および/またはポンプ制御モジュール602によって実施される。この際、様々なモジュール802、804、806、808、810は、ポンプ制御モジュール602またはコマンド生成モジュール614のサブコンポーネントとすることができる。例えば、1つの実施形態において、コマンド生成モジュール614は、管理システム800を含むかまたは他の形で実施することができる。示されるシステム800は、それぞれの動作モード間の遷移を管理する監督制御モジュール810と共に複数の動作モード制御モジュール802、804、806、808を含む。示される実施形態において、監督制御モジュール810はコマンドマルチプレクサ820を動作させる。コマンドマルチプレクサ820は、モータ制御モジュール512に結合され、注入デバイス502によって現在実施されている動作モードに対応する選択された動作モード制御モジュール802、804、806、808からの用量コマンドを出力する。
【0059】
閉ループ制御モジュール802は、通常、閉ループ動作モードをサポートするように構成されたポンプ制御システム520、600のコンポーネントを表す。この際、閉ループ制御モジュール802は、
図7の閉ループ制御システム700を実施し、使用者の間質液グルコースレベルの現在の(または最も近時の)測定値と目標(または基準)間質液グルコース値との間の差に基づいて、用量を生成することができる。
【0060】
予測低グルコース制御モジュール804は、通常、PLGM動作モードをサポートするように構成されたポンプ制御システム520、600のコンポーネントを表す。上記で説明したように、PLGM制御モジュール804は、予測グルコース値が予測停止閾値よりも大きいとき、基本注入速度を与えるための用量コマンドを生成し、予測グルコース値が予測停止閾値未満であるとき、送達を自動的に停止する(またはゼロに等しい用量コマンドを生成する)。
【0061】
低グルコース制御モジュール806は、通常、LGS動作モードをサポートするように構成されたポンプ制御システム520、600のコンポーネントを表す。上記で説明したように、LGS制御モジュール806は、使用者の間質液グルコースレベルの現在の(または最も近時の)測定値が停止閾値よりも大きいとき、基本注入速度を提供するための用量コマンドを生成し、現在の測定値が停止閾値未満であるとき、送達を自動的に停止する。
【0062】
開ループ制御モジュール808は、通常、開ループ動作モードをサポートするように構成されたポンプ制御システム520、600のコンポーネントを表す。この際、開ループ制御モジュール808は、所定の開ループ基本注入速度を提供するように構成された用量コマンドを生成する。
【0063】
示される実施形態では、コマンドマルチプレクサ820は、それぞれの制御モジュール802、804、806、808の出力に結合され、監督制御モジュール810からの選択信号に応答してモジュール802、804、806、808のうちの1つからモータ制御モジュール512に用量コマンドを選択的に出力する。この際、選択信号は、現在注入デバイス102、200、502によって実装されている動作モードを特定する。監督制御モジュール810は、通常、ポンプ制御システム520、600のコンポーネントを表し、これらのコンポーネントは、制御モジュール802、804、806、808に結合され、動作モード遷移プロセス900をサポートし、それぞれの制御モジュール802、804、806、808に関連付けられた動作モード間の遷移を管理する本明細書に記載のタスク、動作、機能およびプロセスを実行するように構成される。
【0064】
図8は、説明の目的での管理システム800の簡略化された表現であり、本明細書に記載の主題をいかなる形においても限定することを意図していないことを理解されたい。この際、実施形態に依拠して、任意の数の動作モードをサポートするための任意の数の動作モード制御モジュールが存在することができる。いくつかの実施形態では、コマンドマルチプレクサ820の特徴および/または機能は、監督制御モジュール810によって実施するかまたは他の形で監督制御モジュール810に統合することができる。更に、いくつかの実施形態において、管理システム800の特徴および/または機能は、流体注入デバイス200、502内に位置する制御電子機器224によって実施されるが、代替的な実施形態において、管理システム800の様々な態様は、例えば、CCD106またはコンピューティングデバイス108等の注入デバイス200、502と物理的に異なるおよび/または別個の遠隔コンピューティングデバイスによって実施されてもよい。
【0065】
図9は、デバイスによってサポートされる動作モード間の遷移を管理するために流体注入デバイスに関連付けられた制御システムによって実施するのに適した例示的な動作モード遷移プロセス900を示す。動作モード遷移プロセス900に関連して実行される様々なタスクは、ハードウェア、ファームウェア、処理回路によって実行されるソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせによって実行することができる。例示の目的で、以下の説明は、
図1〜
図7に関連して上記で言及された要素を参照する。実際には、動作モード遷移プロセス900の一部分は、例えば、注入デバイス502、ポンプ制御システム520、600、診断モジュール612、コマンド生成モジュール614、管理システム800、監督制御モジュール810および/またはコマンドマルチプレクサ820等の制御システム500の異なる要素によって実行することができる。動作モード遷移プロセス900は、任意の数の追加のまたは代替的なタスクを含むことができ、タスクは示された順序で実行される必要がなく、および/またはタスクは同時に実行することができ、および/または動作モード遷移プロセス900は、本明細書に詳細に記載されていない追加の機能を有するより包括的な手順またはプロセスに組み込むことができることを理解されたい。更に、
図9との関連で示され記載されるタスクのうちの1つ以上は、意図される全体機能が損なわれないままである限り、動作モード遷移プロセス900の実際の実施形態から省かれ得る。
【0066】
図9を参照し、更に
図8を継続して参照すると、動作モード遷移プロセス900は、特定の動作モードを退出する要求を検出するかまたは他の形で特定することに応答して初期化するかまたは他の形で開始する。例えば、動作モード遷移プロセス900は、使用者が1つの動作モードを出て別の動作モードに入る要求を示すようにユーザインタフェース540、608を操作することに応答して始動することができる。他の実施形態では、動作モード遷移プロセス900は、特定の動作モードが、この動作モードが退出されるべきであると自動的に判断し、監督モジュール810に対応するインジケーションを与えることに応答して始動することができる。例えば、制御モジュール802、804、806、808のうちの1つ以上について最大時間制限を課すことができ、それぞれの制御モジュール802、804、806、808がタイマを実装し、最大時間制限に達したときに監督制御モジュール810に自動的に通知する。代替的に、監督制御モジュール810は、適切なタイマを実装し、特定の動作モードのための最大時間制限に到達したときを特定してもよい。更に、いくつかの実施形態では、制御モジュール802、804、806、808のうちの1つ以上が、自身の性能を連続して監視または解析し、その性能が不確かであるように見えるときに、自身の動作モードが終了されるべきであることを検出するかまたは他の形で特定するように、これらの制御モジュールを構成することができる。例えば、閉ループ制御モジュール802は、閉ループ制御パラメータのうちの1つ以上が無効であるかまたは不確かであるように見えるとき、検知装置504からの測定値が無効であるかまたは不確かであるように見えるとき等に、閉ループ動作モードを退出するべきであることを自動的に特定することができる。
【0067】
特定の動作モードを退出する要求を検出するかまたは他の形で特定することに応答して、動作モード遷移プロセス900は、使用者の生理学的状態に関連する臨床情報と共に、退出される動作モードに関する動作情報を受信するかまたは他の形で得る(タスク902、904)。この際、監督モジュール810は、現在実施されている動作モードに関連付けられた制御モジュール802、804、806、808から動作情報を得る。動作情報は、タイマ値(例えば、送達停止時間、不応期時間等)、送達ステータス(例えば、送達が停止されたか否か)、アラートまたは事象情報(例えば、血糖降下事象またはアラート、血糖上昇事象またはアラート等)、動作モードが終了している理由(例えば、手動で開始された、タイムアウト、無効な制御パラメータおよび/または無効な測定値、異常状態等)、および動作モードの現在のインスタンスを特徴付ける他の情報を含む。例示的な実施形態では、監督モジュール810は、例えば、近時のセンサグルコース測定値、予測グルコース測定値、血糖基準測定値、センサ較正データ、他の履歴データ等の使用者のための臨床情報をメモリ606から得る。
【0068】
動作情報および臨床情報を用いて、モード遷移プロセス900は、遷移先のための利用可能な動作モードを特定するかまたは他の形で決定する(タスク906)。この際、監督モジュール810は、1つ以上の適用可能な制約に違反する可能性が高いか、または他の形で有効である可能性が低い任意の動作モードを排除しながら、いずれの動作モードが有効な遷移先であるかを特定するために、臨床情報を動作情報と併せて利用する。このようにして、モード遷移プロセス900は、遷移先動作モードにより結果として適用可能な送達制御規則、制約、制限等が違反されない尤度を増大させる。また、モード遷移プロセス900は、遷移先動作モードが、使用者体験を劣化させ得るアラートを生成する尤度を低減し、アクティベートされた後に遷移先動作モードが自動的に終了するかまたは出る尤度を低減する。
【0069】
例えば、1つ以上の実施形態において、最大停止時間制限を全ての動作モードにわたって注入デバイス502に課すことができ、監督モジュール810は、初期動作モードの現在の停止持続時間と、使用者の現在のグルコース値または予測グルコース値とに基づいて、結果として最小停止時間を違反する可能性が高い動作モードを除外する。例えば、ある期間にわたって送達を停止している閉ループ動作モードから遷移し、使用者の予測グルコース値が、閉ループ動作モードのための現在の停止時間、およびPLGM動作モードの予測停止持続時間の和が最大停止時間を超えるように、PLGM動作モードが更なる時間量にわたって送達を停止する可能性が高いことを示す場合、監督モジュール810は、あり得る遷移先動作モードとしてPLGM動作モードを検討から除外することができる。
【0070】
別の例として、特定の時間フレーム(例えば、前の24時間)にわたる最大インスリン送達制限を課すことができ、監督モジュール810は、初期動作モードの場合に送達されるインスリン量と、使用者の現在のグルコース値または予測グルコース値とに基づいて、結果として、最大インスリン送達制限が送達されることになる可能性が高い動作モードを除外する。例えば、使用者の現在のグルコース値および/または予測グルコース値と、閉ループ動作モードのための目標グルコース値との差が、閉ループ動作モードの結果として、最大インスリン送達制限を違反させる量の流体送達が生じる可能性が高いことを示す場合、監督モジュール810は、あり得る遷移先動作モードとして閉ループ動作モードを検討から除外することができる。閉ループ動作モードの代わりに、いくつかの実施形態では、現在の動作モードの実装中に最大インスリン送達制限に達したことに応答してモード遷移プロセス900が開始される場合、安全な基本送達モード(またはハイブリッド閉ループ送達モード)をあり得る遷移先動作モードとして特定することができる。安全な基本送達モードは、使用者のグルコースの現在の測定値または予測測定値と無関係に、最大インスリン送達制限または最小インスリン送達制限のいずれにも違反しない送達速度を保つように構成されたハイブリッド閉ループ動作モードとして実現することができる。この際、安全な基本送達モードは、最大インスリン送達制限をその適用可能な時間フレームで除算したもの以下である最大送達速度を課すことができ、最小インスリン送達制限をその適用可能な時間フレームで除算したものよりも大きい最小送達速度を課すことができる。このため、現在のセンサグルコース測定値と目標グルコース測定値との間の差に基づいて安全な基本送達モードにおいて生成された送達コマンドは、適用可能な送達制限に違反しないように制限される。
【0071】
同様に、監督モジュール810は、初期動作モードで送達されるインスリン量と、使用者の現在のグルコース値または予測グルコース値に基づいて、結果として最小インスリン送達制限を違反する可能性が高い動作モードを除外することができる。例えば、使用者の現在のグルコース値および/または予測グルコース値と、目標グルコース値との差が、閉ループ動作が最小インスリン送達制限を違反させる時間量にわたって流体を送達する可能性が低いことを示す場合、監督モジュール810は、あり得る遷移先動作モードとして閉ループ動作モードを検討から除外することができる。いくつかの実施形態では、現在の動作モードの実施中に最小インスリン送達制限に達したことに応答してモード遷移プロセス900が開始される場合、閉ループ動作モードの代わりに安全な基本送達モードをあり得る遷移先動作モードとして特定することができる。
【0072】
別の例として、監督モジュール810は、センサ健康情報に基づいてセンサグルコース測定値を利用する動作モードを除外することができる。この際、検知装置504の近時のセンサグルコース測定値または履歴較正情報は、検知装置504が特定の動作モードについて有効でない場合があることを示す。この際、以前のセンサグルコース測定値または履歴較正情報が、検知装置504が正常でないか、または再較正もしくは交換を必要とする場合があることを示す場合、監督モジュール810は、そうでなければ潜在的に不確実なセンサ測定値に依拠する動作モードの入力を防ぐ。例えば、監督モジュール810は、現在のセンサグルコース測定値と予測グルコース値との間の差が閾値よりも大きい場合、検知装置504の較正係数が期限切れになった場合、検知装置504との通信が中断された場合、現在の較正係数と以前の較正係数との差が閾値量よりも大きい場合(例えば、35%よりも大きな差)、または基準血糖測定値と現在の較正係数に用いられる対応するセンサ測定値との間の差が閾値量よりも大きい場合(例えば、センサ測定値が基準血糖測定値よりも35%を超えて大きいかまたは小さい)、あり得る遷移先動作モードとして閉ループ動作モードを検討から除外することができる。他の実施形態では、センサグルコース測定値を利用する動作モードは、最も近時の較正から経過した持続時間が閾値を超えているとき、除外することができる。
【0073】
1つの実施形態において、特定の時間フレーム(例えば、前の24時間)にわたるアラートの所望の最大数を使用者によって指定することができ、監督モジュール810は、結果として、アラートの最大数を超える可能性が高い動作モードを除外する。例えば、監督モジュール810によって得られる動作情報は、現在の動作モードによって(例えば、対応するカウンタを実施するそれぞれの制御モジュール802、804、806、808によって)生成された使用者通知またはアラートの現在の数を含むことができる。監督モジュール810は、使用者のための現在のグルコース値および/または予測グルコース値に基づいて、特定の動作モードによって生成される使用者通知またはアラートの予測数を決定し、アラートの予測数とアラートの現在の数との和が使用者によって選択された最大数を超えるときに、可能な遷移先動作モードの組から動作モードを除外することができる。
【0074】
1つ以上の実施形態において、監督モジュール810は、注入デバイス502によって以前に生成された使用者通知のステータスに基づいて動作モードを除外する。例えば、使用者が検知装置504を再較正または交換するべきであることを示す使用者通知が生成され、使用者が閾値時間量(例えば90分)以内に検知装置504を再較正または交換することによって使用者通知に応答していない場合、監督モジュール810は、使用者が通知に応答するまで、あり得る遷移先モードとして、検知装置504に依拠する閉ループ動作モードまたは他の動作モードを検討から除外することができる。
【0075】
図9を更に参照すると、潜在的な遷移先のために利用可能な動作モードを特定した後、モード遷移プロセス900は、利用可能な動作モードの群の中から遷移先動作モードを特定するかまたは他の形で選択することによって継続する(タスク908)。例示的な実施形態では、監督モジュール810は、メモリ606内に維持されるデバイス設定または使用者嗜好に基づいて最も好ましいかまたは最も高くランク付けされた利用可能な動作モードを自動的に選択する。この際、使用者は、使用者の嗜好順で動作モードの階層的順序付けを確立するようにユーザインタフェース540、608を操作することができ、階層情報は、他の使用者嗜好と共にメモリ606に記憶される。例えば、使用者は、最も好ましい動作モードとして閉ループ動作モードを特定し、次に最も好ましい動作モードとしてPLGM動作モードが続き、次に最も好ましい動作モードとしてLGS動作モードを特定し、最も好ましくない動作モードとして開ループ動作モードを特定することができる。他の実施形態では、注入デバイス102、200、502のためのデフォルト設定は、動作モードのデフォルトの階層的順序を指定することができる。一方、本明細書に記載の主題は、利用可能な動作モードの中から最も好ましい動作モードを特定するのに用いられるいかなる特定のタイプの選択判断規準にも限定されないことを理解されたい。
【0076】
遷移先動作モードを選択した後、モード遷移プロセス900は、遷移先動作モードに提供される現在の動作モードに関する動作情報のタイプまたはサブセットを特定するかまたは他の形で決定し、その特定された動作情報を遷移先動作モードに提供することによって継続することができる(タスク910、912)。この際、監督モジュール810は、現在の動作モード制御モジュール802、804、806、808から得た動作情報の少なくとも一部分を遷移先モジュール802、804、806、808に渡し、遷移先動作モードの実施が、いかなる送達規則、制約、制限等にも違反しないようにする。例えば、監督モジュール810は、現在の動作モードに対応する制御モジュール802、804、806、808から、現在の不応期タイマ値、現在の停止持続時間タイマ値等を取得し、これらの値を、遷移先動作モードに対応する制御モジュール802、804、806、808に提供し、遷移先動作モードが、送達停止間の最小不応期間、最大停止持続時間、最小停止持続時間等に違反しないことを確実にすることができる。更に、監督モジュール810は、現在の動作モードの退出理由、現在の送達ステータス、現在の動作モード中に発生したアラートまたは事象に関する情報、有効なインスリン推定値、センサ健康ステータスおよび/または較正情報、および/または他の履歴送達情報を遷移先動作モード制御モジュール802、804、806、808に提供することができる。遷移先動作モードは、以前の動作モードから受信した動作情報に従って用量コマンドを生成し、動作モード間で比較的シームレスな遷移を提供する。
【0077】
再び
図9を参照すると、モード遷移プロセス900は、注入デバイスモータ制御モジュールに、提供された動作情報に従って、遷移先動作モードによって生成された用量(または送達)コマンドを提供することによって継続する(タスク914)。この際、監督モジュール810は、コマンドマルチプレクサ820にシグナリングするか、命令するか、または他の形でコマンドマルチプレクサ820を動作させて、遷移先動作モード制御モジュール802、804、806、808によって生成される用量コマンドを出力させ、以前に有効であった動作モードからの用量コマンドの出力を止めさせる。例えば、閉ループ動作モードからPLGM動作モードに遷移するために、監督モジュール810は、コマンドマルチプレクサ820にシグナリングするか、命令するか、または他の形でコマンドマルチプレクサ820を動作させて、閉ループ制御モジュール802ではなくPLGM制御モジュール804によって生成された用量コマンドを出力させる。更に、いくつかの実施形態では、監督モジュール810は、それぞれの制御モジュール802、804、806、808に、それぞれの制御モジュール802、804、806、808が用量コマンドを生成するべきか否かを示す中断信号をアサートするかまたは他の形で提供することができる。例えば、監督モジュール810は、(例えば、論理高中断信号を閉ループ制御モジュール802に提供することによって)閉ループ制御モジュール802をディアクティベートし、他の制御モジュール806、808をディアクティベートされた状態に維持しながら、(例えば、論理低中断信号をPLGM制御モジュール804に提供することによって)PLGM制御モジュール804をアクティベートすることができる。
【0078】
図8を参照すると、1つの実施形態によれば、閉ループ動作モードからPLGM動作モードに遷移するとき、監督モジュール810は、退出理由(例えば、手動または自動)、前の60分に送達が停止された時間量、および閉ループ制御モジュール802からの閉ループ不応タイマの現在の値を特定する情報を得る。いくつかの実施形態では、監督モジュール810は、遷移に先行する連続送達コマンドの量に基づいて不応時間を計算する。監督モジュール810は、得られた値および情報をPLGM制御モジュール804に提供し、その後、PLGM制御モジュール804は、閉ループ制御モジュール802からの動作情報に従って用量コマンドを生成する。
【0079】
例えば、PLGM制御モジュール804は、自身の不応タイマを閉ループ不応タイマの値に設定し、総不応時間が送達を停止する前の最小不応期間を超えるまで送達を維持することができる。このため、使用者の予測グルコースレベルが予測停止閾値未満である場合であっても、PLGM制御モジュール804は用量コマンドの提供を継続することができ、結果として、PLGM不応タイマの値が最小不応期間以上になるまで基礎速度の注入が得られる。いくつかの実施形態では、PLGM制御モジュール804は、退出理由を利用して、PLGM不応タイマの値が最小不応期間以上になるまで用量コマンドの提供を継続するか否かを判断することができる。例えば、退出理由が手動である(例えば、使用者が注入デバイス502をPLGMモードに手動で遷移させた)場合、PLGM制御モジュール804は、最小不応期間が観測されるまで用量コマンドを提供することができる一方、退出理由が自動である場合、PLGM制御モジュール804は、最小不応期間が観測される前に用量コマンドを停止し、適宜PLGM不応タイマをリセットすることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、PLGM動作モードにおいて最小不応期間を観測するか否かを判断するとき、閉ループ動作モードからのセンサ健康ステータスおよび/または較正情報、推定有効インスリン情報および/または他の動作情報を退出理由と併せて利用することができる。例えば、PLGM制御モジュール804は、検知装置504が遷移前の閾値時間量未満(例えば、最後の1時間以内)に較正され、推定有効インスリンが、使用者によって手動で設定することができるかまたは注入デバイス502によって保持されるデフォルト値とすることができる安全閾値よりも大きい場合にのみ、用量コマンドの停止を可能にすることができる。このため、検知装置504が最近較正されていないか、または推定有効インスリンが低すぎる場合、自動遷移について最小不応期間を依然として観測することができる。逆に、閉ループ制御モジュール802からの不応時間が最小不応期間未満であるとき、閉ループ制御モジュール802からの有効インスリン推定値が閾値よりも大きいという判断に応答して、PLGM制御モジュール804は、送達を自動的に停止することができる。
【0081】
同様に、送達が現在停止されている場合、PLGM制御モジュール804は、自身の送達停止タイマを、閉ループ停止タイマの値(例えば、前の60分間に送達が停止された時間量)に設定することができる。このため、使用者の予測グルコースレベルが予測停止閾値未満である場合であっても、PLGM制御モジュール804は、PLGM送達停止タイマの値が最大停止期間よりも大きくなると、用量コマンドの提供を開始することができる。更に、いくつかの実施形態では、PLGM制御モジュール804によって退出理由を利用して、送達を停止するかまたは送達を再開するかを、独立して、またはセンサ健康ステータスおよび/または較正情報、予測有効インスリン情報、および/または他の動作情報と併せて、上記で説明したのと同様にして判断することができる。例えば、検知装置504が遷移前に閾値時間量未満(例えば、最後の1時間以内)に較正され、推定有効インスリンが閾値未満である場合、PLGM制御モジュール804は、最大停止期間が満たされていない場合があるにもかかわらず、用量コマンドの提供を再開することができる。
【0082】
閉ループ動作モードからLGS動作モードに遷移するとき、監督モジュール810は、PLGM動作モードへの遷移について上記で説明したのと同様にして、退出理由(例えば、手動または自動)、前の60分に送達が停止された時間量、および閉ループ制御モジュール802からの閉ループ不応タイマの現在の値を特定する情報を得て、得られた値および情報を、それに従って用量コマンドを生成するためにLGS制御モジュール806に提供する。
【0083】
別の例示的な実施形態において、閉ループ動作モードから開ループ動作モードに遷移するとき、監督モジュール810は、閉ループ制御モジュール802から開ループ制御モジュール808に不応タイマ値を提供することしかできない。そのような実施形態では、開ループ制御モジュール808は、別の動作モードへの後続の遷移のために不応タイマ値を動的に更新しながら、用量コマンドを提供し、結果として注入の開ループ基礎速度を得る。この際、注入デバイス502がその後、開ループ動作モードから、送達が停止され得る別の動作モードに遷移する場合に、送達が停止される前の後続の動作モードに関連付けられた制御モジュール802、804、806によって最小不応期間が依然として観測されるように、不応期タイマ値が更新される。他の実施形態では、不応時間情報を開ループ制御モジュール808に提供する代わりに、監督モジュール810は、不応時間情報を独立して管理し、動的に更新することができ、その後、開ループ動作モードから遷移するときに、不応時間情報を別の遷移先制御モジュール802、804、806に提供することができる。同様に、いくつかの実施形態では、監督モジュール810は、任意の最大停止制限が、後続の動作モードに関連付けられた制御モジュール802、804、806によって依然として観測されることを確実にするように停止時間情報を動的に更新するために、停止情報を開ループ制御モジュール808に提供することができる(例えば、先行する時間間隔にわたって送達が停止された時間量)。代替的に、監督モジュール810は、不応時間情報を独立して管理し、動的に更新することができ、その後、開ループ動作モードから遷移するときに、不応時間情報を遷移先制御モジュール802、804、806に提供することができる。
【0084】
他の例示的な実施形態では、PLGM動作モードまたはLGS動作モードから閉ループ動作モードに遷移するとき、監督モジュール810は、それぞれの制御モジュール804、806から、退出理由(例えば、手動または自動)およびそれぞれの不応タイマの現在の値を特定する情報を得て、得られた値および情報を閉ループ制御モジュール802に提供する。この際、閉ループ制御モジュール802は、自身の不応タイマをそれぞれの制御モジュール804、806の不応タイマの値に設定し、送達の停止前に総不応時間が最小不応期間を超えるまで送達を維持することができる。他の実施形態では、閉ループ制御モジュール802は、総不応時間が最小不応期間未満である場合であっても送達を停止することができる。例えば、閉ループ制御モジュール802は、前の動作モードからセンサ較正情報を得て、最も近時の較正から経過した持続時間が、閉ループモードのための較正係数の信頼可能な寿命に対応する閾値を超えているか否かを判断することができる。最も近時の較正から経過した持続時間が閾値を超えているとき、閉ループ制御モジュール802は、ユーザインタフェース540を介して、閉ループモードへの遷移時に検知装置504を再較正するための新たな血糖基準測定値を得るように使用者を促す通知を生成することができる。使用者が血糖メータ530を操作して新たな血糖基準測定値を得ることに応答して、新たな血糖基準測定値は、送達が停止されるべきであることを示し、閉ループ制御モジュール802は、総不応時間が最小不応期間を超えない場合であっても送達を停止することができる。代替的に、送達が停止されるべきであることを示す新たな血糖基準測定値がない場合、閉ループ制御モジュール802は、使用者の現在のグルコース測定値が閉ループ制御システムのための目標グルコース値未満であり得る場合であっても、閉ループ不応タイマ値が最小不応期間未満である間、最小基礎速度の注入を提供する用量コマンドを生成することができる。
【0085】
更に他の例示的な実施形態では、開ループ動作モードから別の動作モードに遷移するとき、監督モジュール810は、開ループモジュール808から、退出理由(例えば、手動または自動)および不応タイマの現在の値を特定する情報を得て、得られた値を特定の遷移先動作モード制御モジュール802、804、806に提供する。この際、開ループ動作モードから遷移するとき、遷移先動作モード制御モジュール802、804、806は、自身の不応タイマを、監督モジュール810によって提供される値に設定し、送達が停止されることを可能にする前に、総不応時間が最小不応期間を超えるまで送達を維持する。
【0086】
実際に、制御モジュール802、804、806、808間で交換して遷移の所望の方式を達成し、特定の用途のための特定の制約、規則および/または制限に適合することができる、多数の異なるタイプの情報が存在することが理解されよう。したがって、上記の例は、単に、主題の理解を助けるために提供され、限定であることは意図されていない。
【0087】
短く要約すると、本明細書に記載の主題は、(例えば、使用者が、所望の動作モードの有効性を、先を見越して増大させることを可能にし、および/または自動遷移のあり得る遷移先からアラートを生成する可能性が高い動作モードを除外することによって)使用者体験を向上させるような方式で動作モード間の遷移を容易にし、(例えば、除外しなければ結果として違反となる可能性が高い動作モードを除外し、複数の動作モードにわたってタイマおよび/またはカウンタ値を転送することによって)適用可能な送達制御規則および他の制約の遵守を確実にする。
【0088】
簡潔にするために、グルコース検知および/または監視に関連する従来の技法、閉ループグルコース制御、予測グルコース管理、センサ較正および/または補償、および主題の他の機能的態様は、本明細書に詳細に記載されない場合がある。更に、参照の目的のみで、本明細書においていくつかの用語も用いられる場合があり、このため、限定であることは意図されない。例えば、構造を参照する、「第1の」、「第2の」等の用語、および他のそのような数値的用語は、文脈による明確な指示がない限り、順番または順序を暗に意味するものではない。上記の説明は、共に「接続」または「結合」された要素またはノードまたは特徴も指すことができる。本明細書において用いられるとき、明示的に別段の指示がない限り、「結合された」とは、1つの要素/ノード/特徴が、別の要素/ノード/特徴に直接もしくは間接的に接合されている(または直接もしくは間接的にそれらと連通する)ことを意味し、必ずしも機械的ではない。
【0089】
上記の詳細な説明において少なくとも1つの例示的な実施形態が提示されたが、多数の変形形態が存在することを理解されたい。本明細書に記載の1つ以上の例示的な実施形態は、特許請求される主題の範囲、適用可能性または構成をいかなる形においても限定することを意図していないことを理解されたい。例えば、本明細書に記載の主題は、本明細書に記載の注入デバイスおよび関連システムに限定されない。更に、上記の詳細な説明は、当業者に、説明した1つ以上の実施形態を実施するための好都合な手引きを与える。特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、要素の機能および構成において様々な変更を行うことができることを理解されたい。これには、本特許出願の出願時において既知の等価物および予測可能な等価物を含む。したがって、例示的な実施形態の詳細または上記で説明した他の制限は、これと異なる明確な意図がない限り、特許請求の範囲内に読み込まれるべきでない。
以下の段落は、本開示の一部をなす更なる実施形態を示す。
段落1
薬液のための注入デバイス(502)であって、
コマンドに応答して前記流体を送達するように動作可能なモータ(507)と、
前記モータ(507)に結合され、前記コマンドを生成するための管理システム(800)と、
を備え、前記管理システム(800)は、
各々が、異なるそれぞれの動作モードに従って前記コマンドを生成するように構成された複数の制御モジュール(802、804、806、808)と、
前記制御モジュール(802、804、806、808)の各々に接続され、前記制御モジュールの前記ステータスを監視し、モード遷移信号を受信するように構成された監督モジュール(810)と、
前記制御モジュール(802、804、806、808)、前記モータ(507)、および前記監督モジュール(810)の各々に接続され、前記監督モジュール(810)からの選択信号に従って、前記制御モジュール(802、804、806、808)のうちの選択された1つから前記モータ(507)に前記コマンドを方向付けるように構成されたコマンドマルチプレクサ(820)と、
を備え、
前記監督モジュール(810)は、前記モード遷移信号の受信時に、前記選択信号を変更し、それによって前記コマンドマルチプレクサに、前記制御モジュール(802、804、806、808)のうちの異なる選択された1つから前記モータ(507)に前記コマンドを方向付けさせるように更に構成されることを特徴とする注入デバイス。
段落2
段落1に記載の注入デバイスであって、ユーザインタフェース(540)を更に含み、前記モード遷移信号は、前記ユーザインタフェース(540)を操作する使用者によって生成されることを特徴とする注入デバイス。
段落3
段落2に記載の注入デバイスであって、前記管理システム(800)は、前記モータ(507)に送信される前記コマンドを生成している制御モジュール(802、804、806、808)が所定の最大動作時間制限に到達するのに応答して、前記モード遷移信号を生成するように構成されることを特徴とする注入デバイス。
段落4
段落1に記載の注入デバイスであって、前記管理システム(800)は、前記モータ(507)に送信される前記コマンドを生成している制御モジュール(802、804、806、808)において不確実性が検出されるのに応答して、前記モード遷移信号を生成するように構成されることを特徴とする注入デバイス。
段落5
段落1から3のいずれか1つに記載の注入デバイスであって、前記監督モジュールは、不確実性が検出された制御モジュール(802、804、806、808)の前記モード遷移信号の受信時に、前記選択を阻止するように構成されることを特徴とする注入デバイス。
段落6
段落1から5のいずれか1つに記載の注入デバイスであって、前記ステータスは、それぞれの制御モジュール(802、804、806、808)が選択された場合に前記モータ(507)に向けられる未来のコマンドの予測を含み、前記監督モジュール(810)は、前記未来のコマンドの結果として、予め指定された最大停止時間の違反、予め指定された最大送達制限の違反、および予め指定された最小送達閾値を満たすことの失敗のうちの1つ以上が生じる制御モジュール(802、804、806、808)の前記モード遷移信号の受信時に、前記選択を阻止するように構成されることを特徴とする注入デバイス。
段落7
段落1から6のいずれか1つに記載の注入デバイスであって、前記動作モードは、開ループモードと、閉ループモードと、前記薬液によって制御される生理学的解析物レベルが閾値を上回っている間、基礎速度の前記薬液の送達が提供され、上回っていない間、停止される、LGSモードと、前記薬液によって制御される前記生理学的解析物の予測レベルが閾値を上回っている間、基礎速度の前記薬液の送達が提供され、上回っていない間、停止される、PLGMモードとを含むリストから選択されることを特徴とする注入デバイス。
段落8
段落1から7のいずれか1つに記載の注入デバイスであって、前記薬液はインスリンであることを特徴とする注入デバイス。